JP2007169809A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維製造工程において、折れ曲がりや、捩れ(撚り)、厚みむらを生じさせることなく引き上げ、焼成工程における糸切れや、毛羽発生による巻き付きを防止し、アクリル繊維トウから炭素繊維を生産性よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】収納容器にトラバースしながら収納されたアクリル繊維トウを鉛直方向に引き上げて、整トウガイドを介して焼成工程に送って炭素繊維を製造する方法であって、前記収納容器と前記整トウガイドの間に、アクリル繊維トウに対し、自重に加えて更に張力を付与する張力付与手段を配し、前記張力付与手段から前記整トウガイドまでの鉛直方向の引き上げ高さをY(mm)、アクリル繊維トウの総繊度をF(dtex)としたとき、アクリル繊維トウに更に付与する張力f(g)が下式(1)の範囲である炭素繊維の製造方法。 F×5.0×10−6≦f≦{F×(Y−700)/99}×10−5 ・・・(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、アクリル繊維トウとして、集合小トウに分割することができるアクリル繊維トウ(以下、単にトウという場合もある。)にも適用可能である炭素繊維の製造方法、特に、品位、物性に優れた炭素繊維を得るために前駆体であるアクリル繊維トウを非捲縮糸とした場合に収納容器からの引き出し性に優れ、安定に炭素繊維製造工程にトウを連続供給する方法に関する。更に詳しくは、製造コストが低く、生産性に優れ、糸切れ、毛羽の発生が少ない、分割することのできるアクリル繊維トウを用いた炭素繊維の製造方法であって、耐炎化工程で均一、かつ、安定に耐炎化処理を行うことが可能な炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、通常フィラメント数1000〜30000本の少数のフィラメントからなり、その前駆体であるアクリル繊維トウの梱包形態は一般にボビン巻きである。そこで炭素繊維製造工程においては、ボビンに巻き取られた前駆体をボビンから巻き戻した後、フィラメント密度を110〜5500dtex/mmとなるように、櫛ガイドまたは溝ローラーで規制して耐炎化工程に供給する方法が提案されている。炭素繊維の製造コストを下げるためには、一般にフィラメント数が40000本以上のいわゆるラージトウを使用すれば、生産能力が上がり効果的であるが、ラージトウをボビン巻きすることが困難なため、収納容器に振り込んで梱包するのが一般的である。
従来、収納容器からトウを引き上げる技術は、衣料用繊維トウで用いられる整トウ技術が一般的であるが、その際の要求事項は、トウを長手方向に沿ってほぼ平行に重ねてカット工程へ供給することができればよく、トウを均一に、かつ、シート状に拡げる必要がなく、また、小トウへ分割する必要もなかった。一方、炭素繊維前駆体としてのトウを収納容器から引き上げる際に、トウの厚みむら、捩れ(撚り)が発生すると、耐炎化工程において反応熱が蓄積し、蓄熱により糸切れが発生したり、部分的に多くの毛羽が発生し、ローラーに巻き付きが生じる等の問題がある。
従来の技術として、収納容器から所定の引き上げ高さに整トウガイドを配置する方法が開示されている(例えば特許文献1参照)が、整トウガイドにフィードされる前に、引き上げ高さ分のトウの自重によって捩れ(撚り)を解除する必要があり、特にトウが非捲縮糸である場合、安定して捩れを解除することができなかった。
特開平11−229241号公報
本発明は、炭素繊維製造工程において、収納容器から鉛直に引き上げられるトウに、自重に加えて一定の張力を付与することにより、引き上げられるトウが、折れ曲がったり、捩れ(撚り)たりすることなく引き上げられ、引き続く焼成工程における糸切れや、毛羽発生による巻き付きを防止し、アクリル繊維トウから炭素繊維を生産性よく製造しようとするものである。
すなわち本発明の要旨は、収納容器にトラバースされ収納されたアクリル繊維トウを鉛直方向に引き上げて、整トウガイドを介して焼成工程に送って炭素繊維を製造する方法であって、
前記収納容器と前記整トウガイドの間に、アクリル繊維トウに対し、自重に加えて更に張力を付与する張力付与手段を配し、アクリル繊維トウに更に付与する張力f(g)を下式(1)の範囲とする炭素繊維の製造方法である。
F×5.0×10−6≦f≦{F×(Y−700)/99}×10−5 ・・・(1)
ここで、Y(mm)は前記張力付与手段から前記整トウガイドまでの鉛直方向の引き上げ高さ、Fはアクリル繊維トウの総繊度(dtex)である。
前記張力付与手段は、少なくとも3本の固定バーからなることが好ましい。
本発明によれば、炭素繊維製造工程において、収納容器から鉛直に引き上げられるトウに、さらに張力を付与し、収納容器から引き上げられるトウに、折れ曲がりや捩れ(撚り)を生じさせることなく整トウガイドに供給することができ、焼成工程における糸切れを防止し、炭素繊維の生産性を向上することができる。
以下、本発明について、実施の態様を詳細に説明する。
本発明において、炭素繊維の前駆体であるアクリル繊維トウは、シート状でトラバースされて、前後、左右に振られながら、収納容器に振り込まれる。トウが収納された収納容器は、前駆体製造工程から耐炎化工程を経る炭素繊維製造工程へ移送され、例えば直置き、又は、台車やパレット等に積み替えられて静置された後、トウが収納容器から鉛直方向に引き上げられ整トウされる。
トラバースされて収納容器に収納されたアクリル繊維トウを、鉛直方向に引き上げ焼成する炭素繊維の製造方法において、本発明は、整トウガイドへトウの捩れや撚りがフィードされるのを防ぐため、整トウガイドと収納容器との間に張力付与手段を設け、アクリル繊維トウに対し、自重に加えて一定範囲の張力を更に付与する。
張力付与手段は必ずしも限定されないが、収納容器と整トウガイドとの間に、少なくとも3本の固定バーを配置し、固定バーによって張力を付与することが好ましい。
トウのトラバースに伴い、固定バーへのトウの抱き角など接触状態の変化があるため、少なくとも3本の固定バーを配置すると、連続して張力を付与し続けることができ、また、トウが通過する間隔すなわちクリアランスを、トウの厚みに極めて近い間隔とする必要もなく、調整が容易となり、かつ撚れが生じた場合でも引っかかりが生じることはない。また、箱内でのトウのトラバースされた配置状態によって、接触状態の変化により摩擦によって付加される張力の変動が大きくなることもない。
アクリル繊維トウから炭素繊維を製造するための焼成工程は、通常耐炎化工程とそれに引き続く炭素化工程とからなる。本発明の製造方法に用いるアクリル繊維トウは、1本のトウ形態を用いることができる以外にも、1本のトウ形態を保ちながら、2本以上の複数の小トウに分割することのできるアクリル繊維トウや、主に耐炎化工程通過後に得られる耐炎繊維として供されるトウも用いることができる。複数の小トウに分割可能なアクリル繊維トウは、所定数の複数の糸条群が並行してなるトウに各糸条群の側端部(耳部)で互いに弱く交絡し合い、シート状に保持させた形態であることが好ましい。
炭素繊維の前駆体であるアクリル繊維トウは、アクリロニトリル単位90〜99.9質量%に対し、他の共重合可能なモノマー単位を0.1〜10質量%の割合で共重合させたアクリロニトリル共重合体を紡糸して得られるアクリル繊維トウである。アクリロニトリルと共重合可能な他の単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸又はその塩、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリロニトリル、クロロアクリルニトリル等である。
次に、添付の図面に基づいて説明する。図1に示した様に、トウ3の引き上げ高さY(mm)とは、収納容器1の上部に設けた張力付与手段4がアクリル繊維トウに接触する部位の最上部から、整トウガイド2のうち、アクリル繊維トウが最初に接触する部位までの距離をいう。
このときトウ3の引き上げ高さY(mm)は、図2に示すように収納容器1内におけるトウのトラバース幅をX(mm)、収納容器1の高さをH(mm)としたとき、Yの最小値が2XまたはH+700の何れか大きい数値、且つYの最大値が10Xになるように設定することが好ましい。ここでトラバース幅Xは400≦X≦2,000、収納容器1の高さHは50≦H≦2,000の範囲が好ましい。
整トウガイド2は、少なくとも2本、好ましくは3本以上のガイドバーから構成される。係るガイドバーは平ガイドバー(軸方向に直線状のガイドバー)であっても、湾曲ガイドバー(軸方向に、ある曲率で湾曲したガイドバー)であってもよい。トウ3は、図3に1例として示した様にガイドバーに互い違いに接触させつつ通し次の工程に送られる。
必要に応じ整トウ後にピンガイドなど小トウ単位に分割する工程を設けることも可能である。
トウの引き上げ高さYの最大値が10Xであれば、整トウガイド2の設置高さが高くなりすぎて糸掛け等の作業性が悪くなることがない。また、クリール設備が大きくなり過ぎて、製造コストが上昇することもない。
一方、引き上げ高さYの最小値が2XまたはH+700の何れか大きいほうであれば、トウの自重による張力が大きくなるので、整トウガイド2を構成する複数のガイドバー上で糸揺れが多発することがなく、湾曲ガイドを用いた場合でも、走行糸条の片寄りや、トウ側端部の折れ曲がりや、捩れ(撚り)が発生し難い。従って収納容器を複数隣接して配置する場合であっても、隣接する収納容器から引き上げられたトウが互いに接触しないように、収納容器同士の間隔を広くする必要がなく、クリール設備面積が大きくなって製造コストが上昇することもない。
図3には、整トウガイドバーA〜Eの配置の1例を示す。ガイドバーA〜Eは平ガイドと、湾曲ガイドから構成することができる。この場合、A〜Cを平ガイド、D〜Eを湾曲ガイドとする組合せや、A、C、Eを平ガイド、B、Dを湾曲ガイドとする組合せなどが用いられる。図3には5本のガイドバーによって構成される整トウガイドの例を示しているが、必ずしも5本に限定されるわけではなく、トウの走行状態などから適宜その構成本数を決定すればよい。
次に、図4に収納容器1よりトウ3を鉛直方向に引き上げ、整トウし、焼成工程に供給する際に、収納容器1の上部に設けた張力付与手段として、鉛直方向に並んだ3本のバーによる箱上部ガイドバー4を用いた場合の実施の態様を示す。収納容器の上部に取り付けられる箱上部ガイドバー4には平ガイドバーが用いられる。なお、ガイドバーの材質は特に限定されないが、耐久性及びコストを考慮すれば、鉄、ステンレス等の金属、またはセラミックが好ましい。ガイドバーの直径も特に制約を受けるものではないが、収納容器1に直接取り付けることが好ましいことを考慮すると、直径15mm〜50mm程度のものが好適である。
また、張力付与手段により付与する張力f(g)は、引き上げ高さY(mm)及びトウの総繊度F(dtex)より、下式(1)の範囲とする。
F×5.0×10−6≦f≦{F×(Y−700)/99}×10−5 ・・・(1)
ここで決定したfの値及び下式(2)及び(3)を用いて箱上部ガイドバー4への抱き角を算出し、箱上部ガイドバー4の取り付け間隔や設置位置を設定することができる。
f=f×EXP(μθ) ・・・(2)
=F×h0×10−7 ・・・(3)
ここでfは箱上部ガイドバー4までの自重による張力(g)、μは動摩擦係数、θは箱上部ガイドバー4への抱き角(rad)、h0は収納容器1内のトウの最上層面から箱上部ガイドバー4の、トウが最初に接触する部位までの距離(mm)を示す。(θ:箱上部ガイドバー4への抱き角とは、図9に示すように、各ガイドバーにトウがまきついた部分の合計の角度である。図9の例ではθ=θ1+θ2+θ3である。)但し、h0に関しては、トウ3を鉛直方向に引き上げるにつれて変動するため、トウの最上層面が収納容器1の最上部にあるときと最下部にあるときの2パターンにおいて、箱上部ガイドバー4までの自重による張力fを算出し、箱上部ガイドバー4の抱き角θ、取り付け間隔、設置位置を設定する。
本発明において、付与する張力を{F×(Y−700)/99}×10−5(g)以下とすることにより、トウ3を引き上げている際に捩れ(撚り)が発生した場合も、トウ3を拘束する力が強すぎず、引き上げ高さYの間で捩れ(撚り)を戻すことができる。一方、付与する張力がF×5.0×10−6(g)以上とすることにより、引き上げ高さYの間でのトウ3の揺れが抑えられ、整トウガイド2において、トウ側端部の折れ曲がりや捩れ(撚り)が発生が抑えられる。
従って、付与する張力fの値の範囲は前記(1)式を満足する必要があり、さらに安定したトウ3の引き上げを考慮すると、下式(4)を満足する範囲であることが好ましい。
F×1.0×10−5≦f≦{F×(Y−700)/99}×8.5×10−6 ・・・(4)
図5、図6は、収納容器1のトウの末端と収納容器1’のトウの先端を共に耐炎化処理し、高速流体処理によって接続することにより、2箱以上のトウ3を鉛直方向に引き上げ、整トウし、焼成工程に連続供給する際の箱上部ガイドバー4の態様を示す。図5においては、収納容器1と収納容器1’を、トウ3を鉛直方向に引き上げた後のトウ3の進行方向と直交する方向に並べた配置となっており、図6においては、収納容器1と収納容器1’を、トウ3を鉛直方向に引き上げた後のトウ3の進行方向と平行に並べた配置となっている。
図5のような配置にした場合には、収納容器1と収納容器1’兼用の箱上部ガイドバー4の取り付け間隔や設置位置は、図4で示した箱上部ガイドバー4と同様に鉛直方向に並んだ3本のバーの軸方向の長さを延長することで対応できる。しかしながら、図6のような配置にした場合には、どちらか一方の収納容器の真上に箱上部ガイドバー4を取り付けると、もう一方のトウ3を引き上げる際のガイドバーへの抱き角θが大きくなり、付与する張力fも大きくなる。
付与する張力fが上述の式(1)の範囲に入っていれば、どちらか一方の収納容器の真上に箱上部ガイドバー4を取り付けても問題ないが、収納容器1と収納容器1’の間に箱上部ガイドバー4を設置する方が、ガイドバーへの抱き角θの差が少なくなるため好ましい。箱上部ガイドバー4を、鉛直方向に並んだ3本のバー(丸棒)とした場合でも若干のガイドバーへの抱き角θの差が生じるため、抱き角θの差がないように、図7のような、最下部に横方向に二本のバーを配置し、その上部に鉛直方向に2本のバーを配置した箱上部ガイドバーの形状とするのが良い。
本発明はアクリル繊維トウの繊度が38000〜1650000dtexのトウを用いることが好ましく、またトウの形態は、38000dtex以上275000dtex以下の小トウへ分割することができるアクリル繊維トウを用いることも可能である。さらに、本発明には、小トウへの分割することができない総繊度165000〜9900000dtexのアクリル繊維トウを用いることも可能である。
整トウ後のトウの糸条密度は2200〜8250dtex/mmの範囲にすることが好ましい。ここで糸条密度とは、糸条幅1mm当たりの総繊度を指し、総繊度(dtex)/糸幅(mm)で算出する。炭素繊維製造工程では、クリールから耐炎化工程に送られる糸条密度を規制することで多糸条並列運転が可能となり、製造コストを下げることができるが、糸条密度が8250dtex/mm以下であるとトウに厚みむらが生じ難く、耐炎化工程において反応熱による蓄熱が起こる可能性が低く、糸切れ等の問題は生じない。また、糸条密度が2200dtex/mmより大きいと、クリール設備が大幅に大きくなって製造コストが上昇することもない。
次に、本発明の実施例を挙げてより具体的に説明する。
<実施例1>
総繊度60000dtexのアクリル繊維トウ3を、高さ1000mmの収納容器1にトウのトラバース幅Xを720mmとして振り込んで収納した。
次に、トウ密度を2200〜8250dtex/mmに規制するための整トウガイド2を配するにあたって、引き上げ高さY(mm)=2500とした。また、整トウガイド2は、直径20mmの平ガイドバー(表面粗度:Ra 3.2a)をA、C、Eの3本と、湾曲ガイドバー(曲率半径:600mm、表面粗度:Ra 3.2a)B、D2本を用いて図3に示すように構成した。
箱上部ガイドバー4は、直径20mmの平ガイドバー(表面粗度:Ra 3.2a)を3本用いて、図4に示すように収納容器上部に垂直方向に並べて配置した。箱上部ガイドバー4の取り付け間隔と取り付け高さは、付与する張力fの範囲が上記(1)式より0.3≦f≦10.9となるため、収納容器1の最下部においてトウ3に付与する張力f=9.0(g)と設定し、動摩擦係数μ=0.28として、上記式(2)、(3)により算出した結果、取り付け間隔を70mm、最下部となるバーの取り付け高さを収納容器1の最下部より1100mmとした。この箱上部ガイドバー4の構成にて、収納容器1箱分のトウ3を引き上げる際に付与される張力範囲は、引き上げ開始のとき0.83、引き上げ終わりのとき9.13(g)となる。
この工程を通して540m/hの速度でトウ3を炭素繊維焼成工程へ供給した。その結果、75時間にわたって捩れ(撚り)に起因する問題がおこらず安定に炭素繊維を製造することができた。
<実施例2>
総繊度60000dtexのアクリル繊維トウ3を、高さ1000mmの収納容器1と収納容器1’に、トウのトラバース幅Xを720mmとして振り込んで収納し、収納容器1のトウ3の末端と収納容器1’のトウ3の先端をそれぞれ耐炎化処理し、高速流体を吹き付けて交絡処理して接続した。収納容器1と収納容器1’は間隔を200mm開けて配置した。
箱上部ガイドバー4として、図8に示すように、収納容器1と収納容器1’の中心にくるように配置した。引き上げ高さY(mm)、整トウガイド2の構成は実施例1と同様にした。
付与する張力は、収納容器1の最下部においてf=9.0(g)と設定し、箱上部ガイドバー4の取り付け間隔を160mm、最下部となるバーの取り付け高さを収納容器1、1’の最下部より1100mmとした。この箱上部ガイドバー4の構成にて、収納容器2箱分のトウ3をそれぞれ引き上げる際の付与する張力範囲は、引き上げ開始のとき1.51、引き上げ終わりのとき9.0(g)となる。
この工程を通して実施例1と同様にトウ3を炭素繊維焼成工程へ供給した。その結果、150時間にわたって捩れ(撚り)に起因する問題がおこらず安定に炭素繊維を製造することができた。
<実施例3>
繊度60000dtexの小トウ3本に分割することのできる、総繊度180000dtexのアクリル繊維トウ3を、実施例1と同様の容器、トラバース幅にて振り込んで収納容器1に収納した。引き上げ高さY(mm)、整トウガイド2の構成及び箱上部ガイドバー4の形状は実施例1と同様にした。箱上部ガイドバー4の取り付け間隔と取り付け高さは、付与する張力fの範囲は上記(1)式に従うと0.9≦f≦32.7となるため、収納容器1の最下部においてトウ3に付与する張力f=27.0(g)と設定し、取り付け間隔を70mm、最下部となるバーの取り付け高さを収納容器1の最下部より1100mmとした。この箱上部ガイドバー4の構成にて、収納容器1箱分のトウ3を引き上げる際の付与する張力範囲は、引き上げ開始のとき2.49、引き上げ終わりのとき27.39(g)となる。
この工程を通して実施例1と同様にトウ3を炭素繊維焼成工程へ供給した。その結果、25時間にわたって捩れ(撚り)に起因する問題がおこらず安定に炭素繊維を製造することができた。
<比較例1>
収納容器1の上部に箱上部ガイドバー4を設置せず、更なる張力を付与しない(f=0)以外は、実施例1と同様にして炭素繊維の製造を実施した。その結果、トウの供給を開始してから1時間後に捩れ(撚り)による耐炎化工程での糸切れが発生したため製造工程を停止した。
<比較例2>
収納容器1の最上部においてトウ3に付与する張力f=13.0(g)となるように、箱上部ガイドバー4の取り付け間隔を35mm、取り付け高さを収納容器1の最下部より2100mmとした以外は、実施例1と同様にした。この箱上部ガイドバー4の構成にて、収納容器1箱分のトウ3を引き上げる際の付与する張力範囲は、引き上げ開始のとき13.04、引き上げ終わりのとき24.90(g)となる。その他は実施例1と同様にして炭素繊維の製造を実施した。その結果、トウの供給を開始してから4時間後に、捩れ(撚り)による耐炎化工程での糸切れが発生したため製造工程を停止した。
<比較例3>
引き上げ高さY(mm)=1000とした以外は、実施例1と同様にした。このときの付与する張力fの範囲は上記式(1)に従うと0.3≦f≦1.8となる。この箱上部ガイドバー4の構成にて、収納容器1箱分のトウ3を引き上げる際に付与される張力範囲は、引き上げ開始のとき0.83、引き上げ終わりのとき9.13(g)となる。
なお、引き上げ高さY(mm)=1000のときの付与する張力の上限値fmax=1.8(g)となるトウ最上層面から箱上部ガイドバー4までの距離h0は220mmである。
この工程を通して実施例1と同様にトウ3を炭素繊維焼成工程へ供給した。その結果、約9時間後、トウ最上層面から箱上部ガイドバー4までの距離h0=220mmとなり、その15分後には捩れ(撚り)による耐炎化工程での糸切れが発生したため製造工程を停止した。
以上の実施例1〜3、比較例1〜3の概要を表1に示す。
Figure 2007169809
本発明の炭素繊維の製造方法の一例を示す模式図である。 本発明の炭素繊維の製造方法に使用する、収納容器の一例を示す模式図である。 本発明の炭素繊維の製造方法に使用する、整トウガイドの一例を示す模式図である。 本発明の炭素繊維の製造方法の一例を示す模式図である。 本発明に使用する張力付与装置(箱上部ガイドバー)と収納容器の配置の一例を示す模式図である。 本発明に使用する張力付与装置(箱上部ガイドバー)と収納容器の配置の一例を示す模式図である。 本発明に使用する張力付与装置(箱上部ガイドバー)の配置の一例を示す模式図である。 本発明の炭素繊維の製造方法の一例を示す模式図である。 張力付与装置(箱上部ガイドバー)による張力付与の態様の一例を示す模式図である。
符号の説明
1:収納容器
2:整トウガイド
3:トウ
4:箱上部ガイドバー

Claims (2)

  1. 収納容器にトラバースされ収納されたアクリル繊維トウを鉛直方向に引き上げて、整トウガイドを介して焼成工程に送って炭素繊維を製造する方法であって、
    前記収納容器と前記整トウガイドの間に、アクリル繊維トウに対し、自重に加えて更に張力を付与する張力付与手段を配し、アクリル繊維トウに更に付与する張力f(g)を下式(1)の範囲とする炭素繊維の製造方法。
    F×5.0×10−6≦f≦{F×(Y−700)/99}×10−5 ・・・(1)
    ここで、Y(mm)は前記張力付与手段から前記整トウガイドまでの鉛直方向の引き上げ高さ、Fはアクリル繊維トウの総繊度(dtex)である。
  2. 前記張力付与手段が、少なくとも3本の固定バーからなる請求項1に記載の製造方法。
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