JP2007168683A - タイヤチューブ、タイヤ、及びそれらの製造方法 - Google Patents

タイヤチューブ、タイヤ、及びそれらの製造方法 Download PDF

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駆米雄 近藤
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Abstract

【課題】
一度空気を注入するのみでパンクの発生が殆どないタイヤチューブ、タイヤ及びそれらの製造方法の提供である。
【解決手段】
熱可塑性エラストマーとプロセスオイルと粘着付与樹脂とを含む複合弾性樹脂RによりタイヤチューブT1を成形し、タイヤKのリムSのバルブ孔31からタイヤチューブT1に空気注入針Nを直接に突き刺して空気を注入して、前記空気注入針Nを抜き去った後にタイヤチューブT1に形成される抜孔41は、前記複合弾性樹脂Rの弾性と粘着性とによる自己修復力により閉塞されるようにする。
【選択図】 図10

Description

本発明は、自転車、車椅子、シニアカー、原動機付自転車、農作業車、フォークリフト等に使用されるタイヤチューブ、タイヤ、及びそれらの製造方法に関するものである。
タイヤには路面からの衝撃を吸収しながら荷重を支える機能が要求される。このため従来では空気入りのタイヤが使用され、タイヤチューブに注入された空気圧によって衝撃吸収性が保持されている。しかし、従来の空気入りタイヤは、バルブからの空気の自然流出、釘などの踏み抜き、或いは「リム打ち」によってパンクするという問題があった。「リム打ち」とは、空気の充填が不十分なタイヤで走行中、小石や段差に乗り上げた衝撃でタイヤ外皮とリムにチューブが強く挟まれるためにチューブに孔が開いてしまう不具合のことである。パンクの問題を解決する手段として、タイヤチューブの中に樹脂を注入してソリッドタイヤとするノーパンク技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、空気注入用のバルブから発泡性ポリウレタン樹脂を注入する技術が開示されている。この技術は、ポリオールとポリイソシアネートより成る主剤と、発泡剤、触媒等より成る副剤とを高圧発泡機を用いて混合してからタイヤチューブ内に圧入後、発泡及び硬化させて得られる樹脂をタイヤの充填材としたソリッドタイヤ(中実タイヤ)の製造方法である。しかし、この技術には高圧発泡機という二液混合機を併せた特殊な注入機が必要であり、自転車小売修理店等をも含む幅広い作業現場にて簡便に施工できない。また、この樹脂を用いたタイヤは、クッション性、乗り心地性の悪さに加えて耐久性も悪く、一年ほどでタイヤに「へたり」が生じてしまう問題があった。
また、特許文献2においては、「タイヤチューブに注入可能なタイヤパンクレス化軟質樹脂材料」が開示されており、樹脂材料はポリスチレン系又はポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにパラフィンオイルを5%以上混合したものである。しかし、この樹脂材料には粘着性がなくタイヤチューブと樹脂材料との密着性が低い。このため、樹脂材料の充填硬化後において樹脂の注入充填量が不十分の場合、又は注入の際に空気を巻き込んだ場合には、タイヤ走行に伴って樹脂内の気泡が集合して大きな空気溜りとなり、タイヤチューブとタイヤ外皮の界面に存在するようになる。つまり、タイヤチューブと樹脂が離れてタイヤ内には樹脂の無い空間が生じる形となり、これが原因で走行時にはタイヤが圧縮変形されて過度な衝撃や振動が発生し、乗り心地性が徐々に低下していくという問題があった。
これらの問題に対する改善策として、出願人は特許文献3の「タイヤの製造方法、その補修方法、及び溶液状樹脂の注入装置」において、既存の空気入りタイヤからパンク発生の無いソリッドタイヤの製造方法、タイヤへの樹脂の簡便な注入方法とその装置、並びに樹脂注入の不十分な場合の補修方法を開示した。
しかし、いずれのソリッドタイヤも以下に示すようなソリッドタイヤ特有の問題があった。(1)従来の空気入りタイヤに比べて重い。(2)ハンドルを握る手や運転手の身体に細かい振動が伝わり、そのクッション性は空気より劣る。(3)従来の空気入りタイヤに比べてタイヤやフレームへの衝撃が大きく、車体自体の耐久性を低下させる恐れがある。
特開平8−142603号公報 特開2005−126654号公報 特開2005−205885号公報
本発明は、従来の空気入りタイヤに比べて一度空気を入れるだけでパンクしにくく、ソリッドタイヤに比べて軽量で、長期間に亘って良好な乗り心地性を維持し得るタイヤチューブ、タイヤ、及びこれらの製造方法の提供を課題としている。
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルと粘着付与樹脂とを含む複合弾性樹脂によりタイヤチューブを成形したことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルを所定割合で混合させた高温の溶液を常温まで冷却ゲル化させて得られる樹脂は、両者の混合割合に応じた粘弾性を有することが知られているが、請求項1の発明では、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルに加えて更に粘着付与樹脂が混合された複合弾性樹脂でタイヤチューブが製作されているので、タイヤチューブは粘弾性に加えて粘着力を有する。
粘着力とは剥がされるのに抵抗する力であり、剥離界面の分子間力で抵抗する力と、粘着力を有する樹脂の粘弾性による変形での抵抗力の総合力である。
従って、例えば注射針状をした細径の空気注入針をタイヤチューブに突き刺して空気を注入した後に、前記空気注入針を抜き取る場合において、タイヤチューブを構成する複合弾性樹脂内に形成されていた空気注入針による細孔状の抜孔(正確には、時間経過により空気注入針を抜き去った直後の不完全孔部)は、該空気注入針を抜き去る途中で、以下に示すように閉塞される。即ち、複合弾性樹脂の有する粘弾性によって即座に周辺の樹脂により物理的に閉塞される。それに加えて、複合弾性樹脂の有する粘着力によって閉塞した前記抜孔周辺の分子同士が分子間力によって結合するので、閉塞が確実となる。
以上より、本発明に係るタイヤチューブは、従来のタイヤチューブのように専用の空気注入バルブを設けなくても、上記した複合弾性樹脂の「自己修復力」によって、細い空気注入針を直接突き刺して空気を注入後、そのままゆっくりと抜くのみで空気の注入が可能となり、従来のタイヤチューブに不可欠である空気注入バルブが不要となる。
請求項1に係るタイヤチューブは、空気注入バルブが存在しないので、使用中においてバルブの弁部の不具合により自然に空気が漏れることはなく、当初に注入した空気量がそのまま維持される。よって、一度空気を注入すれば、以後の空気注入作業が不要になると共に、空気漏れが無いために、長期に亘って空気注入当初の良好な乗り心地性が維持される。
また、請求項1の発明に係るタイヤチューブをタイヤ内に嵌め込んで使用する場合には、タイヤチューブ内の空気による弾性が主体となり、タイヤチューブを構成する複合弾性樹脂の弾性が補助的に作用するのに加えて、タイヤチューブ全体を弾性樹脂で成形するソリッド状のタイヤチューブと比較して、空気が注入されている中空部の部分だけ重量が軽減される。このように、使用者にとって最も快適な空気による弾性が主体となり、しかもタイヤチューブが軽量であるために、結果としてタイヤが軽量化されて、例えば自転車に使用した場合の「乗り心地性」は、従来のタイヤチューブと殆ど遜色ない。
更に、使用中においても、破損等による場合を除いて空気漏れはほとんど考えられない。また、仮に釘類等の比較的小径の釘状物が突き刺さった場合においても、突き刺さった状態では、自己修復力を有する樹脂が釘状物の全周に密着しているために空気漏れは発生しないと共に、前記釘状物を抜き去る途中では、前記した空気注入針の抜去り時と同様の現象によって、釘状物を抜く途中で発生する釘孔は即座に閉塞される。よって、仮に釘状物が突き刺さっても、パンクの発生は殆どない。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記複合弾性樹脂は、スチレン系熱可塑性エラストマー10〜30重量%、粘着付与樹脂10〜40重量%、プロセスオイル35〜75重量%からなることを特徴としている。
請求項2の発明によれば、材料の上記混合比率であれば、前記複合弾性樹脂は不都合なく製造でき、扱いやすい樹脂材料となる。また、前記複合弾性樹脂の粘着力が十分に発現され、自己修復力が最大限に働くように決定される。即ち、スチレン系熱可塑性エラストマーが多い場合には得られた複合弾性樹脂が硬くなりすぎ、少ない場合は複合弾性樹脂の破断強度が低下し、切れ易い。粘着付与樹脂が多い場合には、複合弾性樹脂の粘着力が大きすぎて、得られた複合弾性樹脂を用いたタイヤチューブは扱いにくくタイヤ装着が困難であり、少ない場合には、複合弾性樹脂の自己修復力が十分発現されず、空気注入針の抜孔が閉塞されにくくなる。また、プロセスオイルが多い場合には、得られた複合弾性樹脂は軟らかくタイヤへの装着が難しく、一方、少ない場合は、溶融状態の複合弾性樹脂の流動性が悪く、成形型への注入が困難で扱いにくい。以上の理由から、複合弾性樹脂を構成する各材料の混合比率における最適範囲が決定される。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のタイヤチューブにおいて、常温で高粘度の液状粘着樹脂膜が内周面に形成されていることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、タイヤチューブの内周面には、常温で高粘度の液状粘着付与樹脂単独から成る粘着樹脂膜が形成されていて、前記粘着樹脂膜の粘着力は、タイヤチューブを形成している複合弾性樹脂の有する粘着力よりも遥かに大きい。従って、空気注入後に空気注入針を抜き取る際、前記空気注入針の針孔においてチューブ中空部に接している側の孔部は、前記孔部全周に存在している粘着樹脂膜の流動により即座に閉塞される。よって、空気注入針の抜き取り時に発生し易い空気漏れを一層確実に阻止できる。また、タイヤ使用時においてタイヤチューブに釘状物が突き刺さった場合においても、前記釘状物のタイヤチューブ中空部に臨んでいる部分は、チューブ内周面に存在する粘着樹脂膜により覆われる。よって、仮に釘状物が突き刺さった状態でも空気漏れが防止されるので、空気抜け、或いはパンクの発生を防止、抑制できる。
請求項4の発明は、請求項1ないし3に記載のタイヤチューブにおいて、タイヤのリム側に向けて突部が形成された横断面形状であることを特徴としている。
請求項4の発明によれば、タイヤチューブの横断面形状は、タイヤのリム側に向けて設けられた突部が存在することで、タイヤ外皮及びリムで定められるタイヤ全体の横断面形状に近づくので、タイヤチューブの膨張後にタイヤ外皮及びリムの内周面に安定して密着する。このため、チューブ幅と比較して肉厚の割合が大きいために、膨張後における横断面形状の変形が少ないにもかかわらず、形状的に安定してタイヤ内に嵌め込む(装着する)ことができる。
請求項5の発明は、請求項1ないし4に記載のタイヤチューブにおいて、その幅、肉厚、及び外径が以下の寸法であることを特徴としている。即ち、タイヤチューブの幅は、タイヤのチューブ挿入空間の内幅と等値から(前記内幅−6mm)の範囲であり、タイヤチューブの肉厚は5〜8mmであり、更にタイヤチューブの外径はタイヤのチューブ挿入空間の外径と等値から(前記外径−8mm)の範囲である。
請求項5の発明によれば、中空ドーナツ状をしたタイヤチューブは、空気の注入によりタイヤチューブ全体の周方向、及び横断面視の周方向の双方に沿って伸び、タイヤ外皮及びリムの内周面に密着する状態まで全体的に膨張する。このとき、前記の二つの周方向の少なくともどちらか一方にタイヤチューブが極端に伸びてしまうような膨張であると、大きな引張り力が残存して余計なストレスが発生した状態となり、逆に前記した二つの周方向の少なくとも一方が全く伸ばされない、或いは殆ど伸ばされない場合には、タイヤに対するタイヤチューブの一体性が乏しくなって(タイヤと、これに嵌め込まれるタイヤチューブとが別々に独立して存在する状態に近づいて)、乗り心地性が低下する。従って、チューブ幅、及びチューブ径は、タイヤのチューブ挿入空間の内幅、及び外径よりも僅かに小さくて、タイヤチューブは、前記した二つの周方向のいずれにもバランス良く僅かに膨張した状態でタイヤに嵌め込まれることが望ましい。
また、タイヤチューブの幅と径は上記の観点により定められるものであり、タイヤチューブの肉厚は、空気注入針の抜取り後、及び使用時の釘状物の突刺状態における空気漏れを効果的に防止できる観点から定められる。
請求項6の発明は、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルと粘着付与樹脂とを含む複合弾性樹脂から成るタイヤチューブの製造方法であって、設定長さの複数本の直線状に成形された各チューブ単体の両端部を、互いに他方のチューブ単体の両端部に熱融着により一体に接合するか、或いは設定長さの一本の直線状チューブ単体の両端部を熱融着して中空ドーナツ状に成形することを特徴としている。
請求項6の発明によれば、予め型成形等によりチューブ単体を成形しておいて、複数本のチューブ単体を用いる場合には、各チューブ単体の両端部を他方のチューブ単体の両端部に接合するか、或いは1本のチューブ単体の両端部を互いに接合することにより、容易に中空ドーナツ状のタイヤチューブを成形できる。また、熱可塑性エラストマーを含む複合弾性樹脂は、空気漏れすることなく容易に熱融着できることは知られている。
請求項7の発明は、請求項6に記載のタイヤチューブの製造方法において、前記チューブ単体は、型本体と、該型本体の中心部に配置される中子棒とから成る成形型で成形されて、前記中子棒の全長に亘って常温で高粘度の液状粘着樹脂を塗布した後に、成形型内に成形原料を注入して成形することを特徴としている。
請求項7の発明によれば、タイヤチューブを形成する途中の中間品であるチューブ単体の形成時において、完成品である中空ドーナツ状のタイヤチューブの内周面に粘着樹脂膜が形成された状態にできる。
請求項8の発明は、請求項6に記載のタイヤチューブの製造方法において、前記チューブ単体は、型本体と、該型本体の中心部に配置される中子棒とから成る成形型で成形されて、前記中子棒の一端部又は両端部は、他の部分よりも小径に形成されて、前記チューブ単体の一端部又は両端部の肉厚は、他の部分よりも厚くなっていることを特徴としている。
請求項8の発明によれば、接合部近辺の肉厚のみが他の部分よりも厚いタイヤチューブを容易に成形できる。また、タイヤのリムに前記タイヤチューブを装着する際に、接合部近辺の厚肉部をリムのバルブ孔の位置に配置して、前記厚肉部に空気注入針を突き刺してタイヤチューブ内に空気を注入すると、肉厚が厚い分だけ空気漏れ防止の信頼性が高まる。また、前記厚肉部はタイヤチューブの周方向に沿って部分的に存在するのみで、残りの部分は前記厚肉部よりも薄肉となっているので、空気漏れ防止の信頼性を高めたうえで、タイヤチューブの軽量化、ひいてはタイヤの軽量化が図られる。
請求項9の発明は、請求項6に記載のタイヤチューブの製造方法において、前記チューブ単体の端面開口近傍の空気注入針の差込予定部位の内周面に常温で高粘度の液状粘着樹脂を所定厚さで塗布した後に、チューブ単体を接合することを特徴としている。
請求項9の発明によれば、内周面に液状粘着樹脂を塗布した部分がリムのバルブ孔の部分に配置されるようにして、タイヤにタイヤチューブを装着して、リムのバルブ孔の部分からタイヤチューブに空気注入針を突き刺して空気を注入する。空気注入後、空気注入針を引き抜く際、空気注入針の引き抜きに伴って、タイヤチューブの内周面に塗布されている液状粘着樹脂は、空気注入針と一緒にタイヤチューブの肉部に形成された空気注入針の抜孔内に引き込まれる。これによって、タイヤチューブの肉部に形成される空気注入針の抜孔は、形成直後に液状粘着樹脂により閉塞されて、タイヤチューブの空気漏れを一層確実に防止できる。
請求項10の発明は、タイヤであって、請求項1に記載のタイヤチューブがタイヤ内に嵌め込まれて、タイヤチューブ内に所定圧の空気が注入されていることを特徴としている。
請求項10の発明は、請求項1の発明のタイヤチューブがタイヤに嵌め込まれて、タイヤとしての使用が可能になった状態において把握したものであるため、実質的な作用効果は、請求項1の作用効果とほぼ同一である。
請求項11の発明は、請求項10に記載のタイヤの製造方法であって、空気注入針を挿通可能な内径を有する注入針挿通孔が開けられた薄い閉塞板により、タイヤのリムに形成されたバルブ孔を閉塞しておいて、請求項1に記載のタイヤチューブをタイヤのリムに装着して、この状態で前記閉塞板の注入針挿通孔に空気注入針を挿通してタイヤチューブに差し込むことにより、前記タイヤチューブ内に空気を注入することを特徴としている。
請求項11の発明によれば、既存のタイヤのタイヤ外皮に嵌め込まれた請求項1のタイヤチューブに対して空気を容易に注入できると共に、既存のタイヤのリムに形成されたバルブ孔を閉塞板により閉塞して、前記バルブ孔からチューブが空気圧により膨張し、空気注入針の抜孔が拡がることによる空気漏れを防止できる。
請求項12の発明は、請求項11において、前記タイヤチューブにおける空気注入針の差込予定部位に塗布したゼリー状瞬間接着剤の上に、伸長性を有していないテープ片を部分的に貼着し、前記テープ片の部分に空気注入針を差し込んで空気を注入することを特徴としている。
請求項12の発明によれば、タイヤチューブの空気注入針の差込予定部位に部分的に貼着された伸長性を有しないテープ片によって、空気注入時、及び注入後の双方において、タイヤチューブにおけるテープ片が貼られた部分の膨張が阻止される。この結果、タイヤチューブのテープ片貼着部に形成された空気注入針の抜孔の閉塞性が高まると共に、その閉塞状態が保たれるために、空気漏れ防止の効果が一層に高められる。
請求項13の発明は、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルとを含む複合弾性樹脂から成るタイヤチューブを装着したタイヤの製造方法であって、前記タイヤチューブの空気注入針の差込予定部位に塗布したゼリー状の瞬間接着剤の上に伸長性を有していないテープ片を部分的に貼着しておいて、空気注入針を挿通可能な内径を有する注入針挿通孔が開けられた薄い閉塞板により、タイヤのリムに形成されたバルブ孔を閉塞しておいて、テープ片が貼着された前記タイヤチューブをタイヤのリムに装着して、この状態で前記閉塞板の注入針挿通孔に挿通された空気注入針をタイヤチューブの前記テープ片の部分に差し込むことにより、前記タイヤチューブ内に空気を注入することを特徴としている。
請求項13の発明は、請求項12の発明に対してタイヤチューブを形成する複合弾性樹脂の組成を変更した点のみが異なる。即ち、請求項12の発明は、タイヤチューブを形成する複合弾性樹脂として、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルと粘着付与樹脂とを含むものを使用することにより、複合弾性樹脂の有する弾性と粘着性によりタイヤチューブに形成された抜孔を内部において化学的に閉塞する作用と、ゼリー状瞬間接着剤とテープ片との作用により抜孔の外周面側の部分を物理的に閉塞する作用との相乗によって、タイヤチューブの空気漏れを二重に防止するものである。
これに対して、請求項13の発明は、タイヤチューブに形成された抜孔の内部は、複合弾性樹脂の弾性を主体にして閉塞して、抜孔の外周面側の部分は、請求項12の発明と同様にして物理的に閉塞するものである。請求項13の発明によれば、粘着付与樹脂を含まない複合弾性樹脂によりタイヤチューブを成形しているために、タイヤチューブの成形前の直線状をしたチューブ単体を連続押出成形することが可能となって、タイヤチューブの生産性を高めることができる。この結果、所定長に切断された1本のチューブ単体の両端部を接合することにより、タイヤチューブを成形でき、チューブ単体の生産性の向上と相俟って、パンクの発生が殆どないタイヤチューブを有するタイヤの生産コストを低下させられる。
請求項14の発明は、請求項11ないし13において、空気注入後、タイヤチューブにおける空気注入針の引抜き跡にゼリー状瞬間接着剤を滴下して目封じすることを特徴としている。
請求項14の発明によれば、空気注入針をタイヤチューブから引き抜き後、空気注入針の引抜き跡に向けて、タイヤチューブとの接着力が高いゼリー状の瞬間接着剤を滴下し、目封じしておくことによって、前記引抜き跡から空気が漏れることをより確実に防止できる。
本発明に係るタイヤチューブを装着したタイヤは、その構造から従来のソリッドタイヤに比べて軽量である。タイヤチューブは、粘弾性に加え粘着力を有する複合弾性樹脂により成形されているため、タイヤに装着して空気注入後、生じた空気注入針孔を自己修復するため空気が漏れることは殆どない。また、これにより空気不足が主な原因となってタイヤ走行時に発生する「リム打ち」によるパンクは防止され、又釘状物の踏抜きによるパンクも発生しにくい。従って、本発明に係るタイヤチューブを装着したタイヤは、一度空気を注入するだけで長期間に亘って良好な乗り心地性を維持できる。
最初に、所定の肉厚を有して中空ドーナツ状をした本発明に係るタイヤチューブT1の中間品である厚肉直線パイプ状をしたチューブ単体T1'を成形するための成形型Mについて説明し、その後に、2本のチューブ単体T1'の両端部を熱融着により互いに接合してタイヤチューブT1を成形する方法について説明する。タイヤチューブT1は、中空ドーナツ状の全体形状を有していて、その横断面形状は、中空状であって、厚肉リング部1の周方向の一部にタイヤKのリムSと対向配置される突部2が、該タイヤチューブT1の中心側に向けて突設された非リング形状となっている(図6参照)。また、中空ドーナツ状をしたタイヤチューブT1の内周面には、常温で高粘度の液状粘着樹脂10’から成って、粘着力を有する粘着樹脂膜10が一体に形成されている。
次に、上記したチューブ単体T1'を成形するための成形型Mについて簡単に説明する。図2は、成形型Mの分解斜視図であり、図3(イ)は、原料である溶液状をした複合弾性樹脂Rを注入する原料注入筒11の部分における成形型Mの横断面図であり、同(ロ)は、成形型Mにより成形されたチューブ単体T1'の横断面図である。成形型Mは、前記横断面形状を有する直線状のチューブ単体T1'を成形可能な成形空間14を有している。即ち、成形型Mは、互いに密着させた状態で、内周面がチューブ単体T1'の横断面の外周形状に対応する成形面12a,13aとなった上下一対の型本体12,13と、前記チューブ単体T1'の内周面形状に対応する横断面形状を有していて、前記型本体12,13の成形面12a,13aで形成される成形空間14内に挿入される中子棒15とから成る。中子棒15の両端部には、連結ブロック16a,16bがそれぞれ連結されていて、各連結ブロック16a,16bは、中子棒15の両端部にスライド可能に嵌め込まれている。よって、一対の型本体12,13の密着により形成される成形空間14内に中子棒15が配設されるようにして、一対の型本体12,13を密着させておいて、各連結ブロック16a,16bを中子棒15の長手方向に僅かにスライドさせて、各型本体12,13の端面と互いに密着させた状態で、連結ブロック16a,16bと各型本体12,13とを複数本のボルト17により一体に連結すると、成形型Mを構成する一対の型本体12,13と中子棒15とが一体に締結されて型成形可能な状態となる。
そして、上記した成形型Mを用いて厚肉直線パイプ状をしたチューブ単体T1'を成形するには、成形型Mを分離した状態において、中子棒15の全周面に液状粘着樹脂10’を所定厚に塗布しておいて、上記したようにして成形型Mを一体に締結する。この状態で、原料注入筒11から溶液状の複合弾性樹脂(図示せず)を注入して成形空間14を充満させ、複合弾性樹脂がゲル化(固化)するまで常温で放置した後に、成形型Mを分解して、チューブ単体T1'から中子棒15を抜き出すと、成形品であるチューブ単体T1'が得られる〔図1及び図3(イ)参照〕。厚肉直線パイプ状をしたチューブ単体T1'の中空部4の内周面には、液状粘着樹脂10’により成形された粘着樹脂膜10が形成されている。なお、チューブ単体の作成方法は、上記した金型を用いる方法に限らず、押し出し方法も適用可能である。
タイヤチューブT1の中間品であるチューブ単体T1'は、厚肉直線パイプ状をなしていて、2本のチューブ単体T1'を半リング状にわん曲させて、その両端部を互いに熱融着により一体に接合すると、中空ドーナツ状のタイヤチューブT1が得られる。前記接合には、2本のチューブ単体T1'の接合面のずれを防止して安定して接合可能にするための接合治具Aが使用される。
図4は、接合治具Aにより2本のチューブ単体T1'を熱融着により接合している状態の部分斜視図であり、図5(イ)は、接合治具Aの横断面図であり、同(ロ),(ハ)は、2本のチューブ単体T1'が熱融着される順序を示す図である。接合治具Aは、図4及び図5に示されるように、あり溝21aを備えた案内レール21と、チューブ単体T1'の端部を支持した状態で、被嵌合部22aが前記案内レール21のあり溝21aに嵌合案内されて直線移動可能な一対のチューブ単体支持体22とで構成される。チューブ単体支持体22の上面には、チューブ単体T1'の略下半部を隙間なく嵌合可能な嵌合孔22bが設けられ、2本のチューブ単体T1'の接合端部がチューブ単体支持体22の対向面から僅かに突出するようにして、各チューブ単体T1'をチューブ単体支持体22の嵌合孔22bに嵌合支持しておく。なお、チューブ単体支持体22の嵌合孔22bに対するチューブ単体T1'の周方向の位置決めは、型成形時においてチューブ単体T1'の両側面に長手方向に形成されたパーティングライン(図示せず)を基準にして行なうことにより、接合すべき2本のチューブ単体T1'の周方向の位置を合致させられる。熱板23は、チューブ単体T1'を溶解可能な温度まで加熱されていて、各チューブ単体T1'の対向端面の間に熱板23を配設しておく。この状態で、熱板23に対して各チューブ単体T1'の端面を所定時間当接させることにより、各チューブ単体T1'の接合端部を部分的に融解させる。その後に、熱板23を取り除いて、部分融解した各チューブ単体T1'の接合端部を互いに当接させて、所定時間だけ放置すると、各チューブ単体T1'の端部は互いに融着されて一体に接合される。各チューブ単体T1'の他方の各端部も同様にして一体に接合すると、厚肉パイプ状をなしていた2本のチューブ単体T1'の両端部は互いに接合されて、図6に示されるような中空ドーナツ状のタイヤチューブT1が成形される。なお、図5(イ)及び図6において、3は、タイヤチューブT1における2本のチューブ単体T1'の接合部を示す。
次に、上記したタイヤチューブT1を既存のタイヤのリムSに装着してタイヤKを成形するには、以下のようにして行なう。図7は、タイヤKのリムS及びタイヤ外皮34、並びにタイヤチューブT1の部分分解斜視図であり、図8は、自転車Jの後輪RWのタイヤチューブT1に空気を注入している状態の側面図であり、図9(イ),(ロ)は、それぞれタイヤチューブT1に空気を注入する前後におけるタイヤKの横断面図であり、図10は、空気注入針Nを抜き去る途中の状態の拡大横断面図であり、図11は、タイヤK(タイヤ外皮34)と空気注入前のタイヤチューブT1の寸法関係を示す図である。なお、図11において、CはタイヤKの中心を示し、図11は、タイヤKの外径とタイヤの横断面の寸法との比を無視して図示してある。図7及び図9に示されるように、既存のタイヤのリムSには、バルブ孔31が開けられており、本発明に係るタイヤチューブT1は、空気注入バルブを有していないために、前記バルブ孔31が不要である。また、注入された空気の圧力によりタイヤチューブT1がバルブ孔から膨張し、空気注入針Nの抜孔41’が拡がることによって空気漏れが発生するのを防止するために、既存のタイヤのリムSにタイヤチューブT1を装着する際に、方形状をした樹脂製の閉塞板32により前記バルブ孔31を閉塞しておく。閉塞板32には、リムSにタイヤチューブT1を装着した後に、該タイヤチューブT1の中空部4に空気を注入するための注射針状をした空気注入針Nを挿通できる内径の挿通孔32aが開けられている。空気注入針Nの外径は1.5mm程度であるので、前記挿通孔32aの内径は2mm程度となる。
図7に示されるように、タイヤKのリムSのバルブ孔31の内側に両面テープ等(図示せず)により前記閉塞板32を仮固定しておいて、リムSの外側にタイヤチューブT1を装着し、その後に、タイヤチューブT1を覆うようにしてタイヤ外皮34をリムSに嵌め込む。この状態では、図9(イ)に示されるように、タイヤチューブT1は、リムSとタイヤ外皮34における前記リムSと対向する部分に接して、タイヤチューブT1の両側部とタイヤ外皮34との間には、所定の隙間36が形成されている。この状態で、図8及び図9(ロ)に示されるように、リムSのバルブ孔31に臨んでいる閉塞板32の挿通孔32aに空気注入針Nを挿通して、該空気注入針Nの先端をタイヤチューブT1の中空部4まで突き刺して、中空部4が所定圧となるまで空気の注入を行なう。図11に示されるように、タイヤチューブT1の幅W1及び外径D1は、いずれもタイヤKのチューブ挿入空間33の内幅W2及び外径D2と同等か、或いは僅かに小さく設定されているため、タイヤチューブT1の中空部4に空気が注入されることにより、タイヤチューブT1は、図9(イ),(ロ)に示されるように、タイヤ外皮34の内周面、及びリムSの内側面に接するまで、幅方向及び円周方向の双方に沿って膨張し、その結果として、中空部4の横断面積も大きくなる。また、タイヤチューブT1は、タイヤKのリムSと対向する部分に突部2が設けられていて、タイヤチューブT1の横断面形状は、リムSにタイヤ外皮34が嵌め込まれた状態の内側中空部の横断面形状と近似するような形状にしてあり、しかも空気注入前において、タイヤチューブT1は、リムSとタイヤ外皮34における前記リムSと対向する部分に接しているので、タイヤチューブT1の膨張時において、横断面視においてタイヤK(又はリムS)に対してタイヤチューブT1が移動することなく膨張する。なお、図8において、35は、空気注入針Nを備えたバルブを示し、FWは、自転車Jの前輪を示す。
本発明に係るタイヤチューブを形成している複合弾性樹脂は、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルに加えて更に粘着付与樹脂を含んだ複合弾性樹脂Rによりタイヤチューブが成形されているため、前記タイヤチューブは、エラストマーの持つ粘弾性に加えて、粘着力を有する。例えば注射針状をした細径の空気注入針NをタイヤチューブT1に突き刺して空気を注入した後に、前記空気注入針Nを抜き取る場合において、図10に示されるように、タイヤチューブT1を形成する複合弾性樹脂R内に形成されていた空気注入針Nによる細孔状の抜孔41’は、該空気注入針Nを抜き去る途中において、複合弾性樹脂Rの持つ自己修復力によって閉塞される。即ち、該空気注入針Nを抜き去る途中で、複合弾性樹脂Rの有する粘弾性によって、即座に周辺の樹脂により物理的に閉塞されるのに加え、抜孔41’の閉塞に伴って閉塞状態の抜孔41周辺の複合弾性樹脂Rの分子同士が結合できる距離に近づき、分子同士が分子間力により結合するので、抜孔41’は閉塞される。
これに加えて、タイヤチューブT1の内周面には、液状粘着樹脂10’から成る粘着樹脂膜10が形成されているために、空気注入針NがタイヤチューブT1の中空部4から厚肉リング部1内に入り込む際に、空気注入針Nの引き込みに追従して、該空気注入針Nの周辺の液状粘着樹脂10’は空気注入針Nの引抜き側に引き込まれて、前記抜孔41’におけるタイヤチューブT1の中空部4に臨んでいる方の形成端を閉塞する。
以上のように、タイヤチューブT1を形成する複合弾性樹脂Rの自己修復力による抜孔41’の閉塞作用と、粘着樹脂膜10による抜孔41’の形成端を閉塞する作用とが相乗して、タイヤチューブT1を形成する複合弾性樹脂R内に形成される抜孔41’は、形成直後に閉塞される。
従来のエラストマーは粘弾性を有するため、外力がエラストマーに与えられると、エラストマーには元の状態に戻ろうとする弾性的な復元力が働くので、例えば注入針の引抜きという外力がエラストマーに与えられると、注入針による抜孔は物理的に閉塞される。従って、複合弾性樹脂Rはエラストマーとしての粘弾性を当然持つため、物理的な復元力によって抜孔41’は閉塞される。ここで、複合弾性樹脂Rの有する自己修復力について説明する。前記複合弾性樹脂Rは熱可塑性エラストマーとプロセスオイルから成る弾性樹脂に加えて、粘着付与樹脂が含まれている。この組成により複合弾性樹脂Rは、粘着剤に似た粘着力を有する。上記したように粘着力とは剥がれるのに抵抗する力であり、剥離界面の分子間力で抵抗する力と、粘着力を有する樹脂(粘弾性体)の粘弾性による変形で抵抗する力の総合力である。つまり、複合弾性樹脂Rには、特に前者の抵抗力、即ち剥離界面においては、界面に存在する分子同士の分子間力による抵抗力が付与される。従って、抜孔41’が閉塞される際、弾性的復元力によって樹脂同士が接触して物理的に閉塞されると、閉塞状態の抜孔41周辺に存在する複合弾性樹脂Rの分子同士が、結合可能な距離に接近して分子間力によって結合する。従って、粘着力を有した複合弾性樹脂Rにおいて、タイヤチューブT1の中空部4に注入された空気の内圧、或いは衝撃等の外力が閉塞した抜孔界面42に加えられても、複合弾性樹脂Rは上記粘着力により閉塞状態の抜孔41の剥離に抵抗し、耐えうることができるので、再び抜孔41’が生じることはなく、抜孔の閉塞状態41は維持される。従って、複合弾性樹脂Rの自己修復力にはエラストマー自体の持つ弾性的復元力に加えて粘着付与樹脂による粘着力が含まれているため、複合弾性樹脂Rは従来の弾性樹脂よりも優れた自己修復力を有する。
更に、タイヤチューブT1の空気漏れ抑制効果を高めるために、タイヤチューブT1の内周面には、常温で高粘度の液状粘着樹脂10’から成る粘着樹脂膜10が塗布される。液状粘着樹脂10’は、前記複合弾性樹脂Rを構成する粘着付与樹脂と同一である。前記粘着樹脂膜10の粘着力は、タイヤチューブT1を形成している複合弾性樹脂Rの有する粘着力よりも大きい。従って、空気注入後に空気注入針Nを抜き取る際、前記空気注入針Nの針孔においてチューブ中空部に接している側の孔部は、前記孔部全周に存在している液状粘着樹脂10’の流動により即座に閉塞され、閉塞状態の抜孔41では剥離に抵抗する粘着力が作用する。よって、空気注入針Nの抜き取り時に発生し易い空気漏れを一層効果的に抑制できる。また、タイヤK使用時においてタイヤチューブT1に釘状物が突き刺さった場合においても、前記釘状物のタイヤチューブT1の中空部4に臨んでいる部分は、チューブ内周面に存在する粘着樹脂膜10により覆われる。よって、仮に釘状物が突き刺さった状態でも空気漏れが防止されるので、空気抜け、或いはパンクの発生を防止、抑制できる。
以上により、複合弾性樹脂Rから成るタイヤチューブT1は、細い空気注入針Nを直接タイヤチューブT1に突き刺して空気を注入後、そのままゆっくりと抜き取るだけで、空気漏れの無いタイヤチューブとなり、従来のタイヤチューブのような専用の空気注入バルブは不要となる。
次に、複合弾性樹脂Rの材料について説明する。複合弾性樹脂Rは、熱可塑性エラストマー、プロセスオイル、粘着付与樹脂より構成されている。
複合弾性樹脂Rを構成する熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーであり、これはポリスチレンブロックとポリオレフィン構造のエラストマーブロックで構成されたブロック共重合体である。本発明の実施形態におけるスチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン(SEEPS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレン(SEBS)が挙げられるが、前記複合弾性樹脂Rを組成しうる他のスチレン系熱可塑性エラストマーの使用例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−高結晶エチレン共重合体(SEBC)、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIS)等が挙げられる。これらのスチレン系熱可塑性エラストマーはいずれかより選ばれる一種以上での使用が可能である。
複合弾性樹脂Rを構成するプロセスオイルは、熱可塑性エラストマーの可塑剤又は軟化剤として用いられ、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等の鉱油類よりなる。本発明の実施形態では、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルを各々使用したが、各オイルを単独、若しくはこれらを複数混合したオイルのいずれを用いてもプロセスオイルとしての効果は同様である。
複合弾性樹脂Rを構成する粘着付与樹脂は、複合弾性樹脂Rに粘着力を与え、自己修復力を増すために混合される。例えば、テルペン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素化ロジン系樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。複合弾性樹脂Rを構成する粘着付与樹脂として使用されるのは、上記樹脂のうち平均分子量が大きく、軟化点が高く、常温で固形のものである。本実施形態では、平均分子量が約700で、軟化点が125℃の水添テルペン樹脂及び、軟化点が125℃の変性テルペン樹脂を使用している。
タイヤチューブT1の内周面の粘着樹脂膜10を形成するために塗布される英状粘着樹脂10’には、上記粘着付与樹脂と同様の樹脂を用いる。即ち、テルペン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素化ロジン系樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。ただし、タイヤチューブT1の内周面の粘着樹脂膜10を形成するために塗布する場合には、上記樹脂のうち、平均分子量が小さく、軟化点が低く、常温で高粘度の流動状態(液状)であるものを使用する。本発明の実施形態では、軟化点が30℃のテルペンフェノール樹脂を使用している。
各材料の混合比率は、前記複合弾性樹脂Rを不都合なく製造し、扱いやすい樹脂材料にし、また複合弾性樹脂Rの自己修復力を十分に発現させるように決定される。スチレン系熱可塑性エラストマーが最適範囲10〜30重量%の範囲を超えると、多い場合には得られた複合弾性樹脂Rが硬くなりすぎてタイヤチューブに不適であり、少ない場合は複合弾性樹脂Rの破断強度が低下し、切れ易い。粘着付与樹脂が10〜40重量%の範囲を超えると、多い場合には、複合弾性樹脂Rの粘着力が大きすぎて、得られた複合弾性樹脂Rを用いたタイヤチューブT1は扱いにくくタイヤKへの装着が困難であり、少ない場合には、複合弾性樹脂Rの粘着力が小さいため、複合弾性樹脂Rの自己修復力が十分発現されず、タイヤチューブT1に空気注入後、空気注入針Nを抜き取る際、空気注入針Nの抜孔41’が閉塞されにくくなる。また、プロセスオイルが35〜75重量%の範囲を超えると、多い場合には、複合弾性樹脂Rが軟らかくタイヤKへの装着が難しく、一方、少ない場合は、溶融状態の複合弾性樹脂Rの流動性が悪く、成形型Mへの注入が困難で扱いにくい。以上の理由から、複合弾性樹脂Rを構成する各材料の混合比率は、スチレン系熱可塑性エラストマー10〜30重量%、粘着付与樹脂10〜40重量%、プロセスオイル35〜75重量%が最適範囲である。
タイヤチューブT1は以下にして装着される。リムSの外側にタイヤチューブT1を装着し、その後に、タイヤチューブT1を覆うようにしてタイヤ外皮34をリムSに嵌め込む。この状態では、図9(イ)に示されるように、タイヤチューブT1は、リムSとタイヤ外皮34における前記リムSと対向する部分に接して、タイヤチューブT1の両側部とタイヤ外皮34との間には、所定の隙間36が形成されている。つまり、図11に示されるように、タイヤチューブT1の幅W1及び外径D1は、いずれもタイヤKのチューブ挿入空間33の内幅W2及び外径D2と同等か、或いは僅かに小さく設定されている。このため、タイヤチューブT1の中空部4に空気が注入されることにより、タイヤチューブT1は、タイヤ外皮34の内周面、及びリムSの内側面に接し、密着するまで、タイヤチューブ全体における周方向、及び横断面視における周方向の双方に沿って伸び、全体として膨張する。タイヤチューブT1は、幅方向及び円周方向の双方に沿って過剰な負荷がかからないようバランスよく膨張し、かつタイヤ外皮34の内周面及びリムSの内側面に適度に密着することが可能になるように、タイヤチューブT1の幅W1及び外径D1は、タイヤKのチューブ挿入空間33の内幅W2及び外径D2と同様か或いは僅かに小さく設定され、また、タイヤチューブT1は、前記した二つの周方向のいずれにも僅かに伸びた状態でタイヤK(又はリムS)に嵌め込まれることが望ましい。なお、タイヤチューブT1の外径D1とチューブ単体T1’の長さL(図1参照)とは、変形時の歪みを無視すると、(L=πD1/2)の関係を有する。
タイヤチューブT1の肉厚は、空気注入針Nの抜取り後、及び使用時の釘状物の突刺状態における空気漏れを効果的に防止できる観点から定められる。つまり、タイヤチューブT1の肉厚は、厚いほど上記自己修復力が増して空気漏れ防止(抑制)の効果は高まる。一方、タイヤチューブT1の肉厚が薄いほど、タイヤチューブT1の重量が軽減されると共に、タイヤチューブT1内の空気による弾性がより一層主体となることから、タイヤチューブT1をタイヤ外皮34内に嵌め込んで成形したタイヤKの乗り心地性は、使用者にとって快適な空気入りタイヤの乗り心地性に一層近づく。良好な乗り心地性との兼ね合いを考慮しつつ、前記空気漏れを最大限に防止できるように、タイヤチューブT1の肉厚寸法は設定される。この設定された肉厚寸法であれば、タイヤ外皮34とリムSにタイヤチューブT1が強く挟まれるためにタイヤチューブT1に孔が開いてしまうリム打ちという不具合も解消される。
上記したタイヤチューブT1の横断面形状は、厚肉リング部1の周方向の一部に突部2が形成された形状であるが、その他に図12に示される厚肉楕円リング形、厚肉リング形等が挙げられる。図12(イ)は、タイヤ外皮34と非変形時のタイヤチューブT2の大きさの関係を示す横断面図であり、同(ロ),(ハ)は、それぞれ空気注入前後のタイヤチューブT2の横断面図である。タイヤチューブT2の横断面形状は、リムSの外周側の空間を含めたタイヤKのチューブ挿入空間33の全体形状が、該タイヤKの半径方向の寸法が僅かに大きい非円形であるのに対応させて、僅かに楕円リング形状になっている。このため、空気注入後に膨張したタイヤチューブT2は、少ない形状変形によってタイヤ外皮34の内周面及びリムSの外周面に密着可能となる。
また、上記した各タイヤチューブT1,T2の肉厚は、全周に亘って一定であるが、空気注入部のみを部分的に厚肉とすることにより、タイヤチューブT1,T2の重量、即ちタイヤKの重量を殆ど増加させずに、空気注入針Nの引抜き時、又は引抜き後における抜孔41’からの空気漏れを一層確実に防止できる。即ち、タイヤチューブT1,T2に形成される抜孔41’は、成形材料である複合弾性樹脂Rの粘弾性により、空気注入針Nの引抜き途中において即座に周辺の樹脂により物理的に閉塞されると共に、複合弾性樹脂の有する粘着力によって閉塞状態の抜孔41周辺の樹脂分子同士が分子間力で結合するために、前記閉塞を確実にしているが、空気注入部の複合弾性樹脂Rの肉厚の観点からみれば、厚い程、抜孔41’の閉塞性が高まると言える。図13(イ)は、タイヤチューブT1,T2の内周面側に膨肉部5を形成して空気注入部の肉厚を部分的に厚肉とした例であり、同(ロ)は、同じく外周面側に膨肉部5’を形成して厚肉とした例である。いずれの場合にも、チューブ単体T1’,T2’の端部(タイヤチューブT1,T2の接合部3となる部分)に膨肉部5,5’を形成することにより、以下の二つの利点がある。一つは、タイヤKにタイヤチューブT1,T2を装着する際に、接合部3を目印にしてリムSのバルブ孔31の部分にタイヤチューブT1,T2の厚肉部(空気注入部)を配置し易くなることである。他の一つは、成形型Mを用いたチューブ単体T1’,T2’の成形時において、中子棒15の両端部の外径を他の部分よりも小径にしたり、或いは型本体12,13の長手方向の両端部の成形面12a,13aに凹部を形成しておくことにより、前記各膨肉部5,5’を容易に成形できることである。
請求項9の発明を図14により具体的に説明する。まず、タイヤチューブ単体T1’又はT2’の端面開口近傍における空気注入具の差込予定部位の内周面に常温で高粘度の液状粘着樹脂10’を所定厚さで塗布する。前記液状粘着樹脂10’を塗布した後、上記した熱融着による接合方法によってタイヤチューブT1,T2を成形する。次に、タイヤチューブT1,T2の内周面において液状粘着樹脂10’を塗布した部分がリムSのバルブ孔31の部分に配置されるようにして、タイヤKにタイヤチューブT1,T2を装着して、リムSのバルブ孔31の部分からタイヤチューブT1,T2に空気注入針Nを突き刺して空気を注入する。空気注入後、空気注入針Nを引き抜く際、空気注入針Nの引き抜きに伴って、タイヤチューブT1,T2の内周面に塗布されている液状粘着樹脂10’は、空気注入針Nと一緒にタイヤチューブT1,T2の肉部に形成された空気注入針Nの抜孔41’内に引き込まれる。抜孔41’は複合弾性樹脂Rの自己修復力により直ちに閉塞するが、閉塞状態の抜孔41は、引き込まれた液状粘着樹脂10’の粘着力によって粘着するため、タイヤチューブの空気漏れの抑制効果が高まる。
また、以下の操作を実施すると、タイヤチューブの空気漏れ防止の効果を高めることができる。空気注入針NをタイヤチューブT1,T2から引き抜き後、リムSのバルブ孔31から閉塞板32の挿通孔32a及びタイヤチューブT1,T2の外周側における空気注入針Nの引抜き跡41aに向けて、タイヤチューブT1,T2との接着力が高いゼリー状瞬間接着剤50(例えばシアノアクリレート系瞬間接着剤)を滴下して、空気注入針Nの引抜き跡41aを目封じしておく。夏場等で気温が高くなると液状粘着樹脂10’がさらに軟化し、タイヤチューブT1の中空部4に注入された空気の内圧によって液状粘着樹脂10’は前記引抜き跡41aまで押し出される。しかし、瞬間接着剤50によって前記引抜き跡41aは目封じされているため、閉塞状態の抜孔41には液状粘着樹脂10’が満遍なく行き渡るので、空気漏れ抑制の更なる効果が得られる。なお、36は、タイヤKの挿入空間においてタイヤチューブT1を装着後に残った隙間を示す。
更に、タイヤチューブの空気漏れ防止の別の対策として、以下のものが挙げられる。図15(イ)のように、タイヤチューブT1,T2の空気注入針の差込予定部位にゼリー状の瞬間接着剤50を所定厚に塗布した後に、同(ロ),(ハ)のように、前記瞬間接着剤50の薄層の上に布ガムテープのように伸長性を有しないテープ片51を貼着しておく。タイヤチューブT1,T2への空気の注入は、前記テープ片51の部分に空気注入針Nを突き刺して行なう。タイヤチューブT1,T2の空気注入予定部位に貼られた伸長性を有しないテープ片51によって、空気注入時、及び注入後の双方において、タイヤチューブT1,T2におけるテープ片51が貼られた部分の膨張が阻止される。
このため、空気注入時及び注入後の双方においてタイヤチューブT1,T2の膨張が阻止されて、タイヤチューブT1,T2を構成する複合弾性樹脂Rの弾性復元力が減じられていない(当初のままである)ので、空気注入針Nの抜き去り途中において形成されて、形成直後に閉塞された抜孔41の閉塞性が高められる。この結果、タイヤチューブのテープ片51の貼着部に形成された空気注入針Nの抜孔41の閉塞性が高まると共に、その閉塞状態が保たれるために、空気漏れ防止の効果が一層に高められる。即ち、複合弾性樹脂の有する弾性と粘着性によりタイヤチューブT1,T2に形成された抜孔41の内部において化学的に閉塞する作用と、ゼリー状瞬間接着剤50とテープ片51との作用により抜孔41の外周面側の部分を物理的に閉塞する作用との相乗によって、タイヤチューブT1,T2の空気漏れを二重に防止するものである。なお、テープ片51の下層の瞬間接着剤50は、閉塞された抜孔41の外周側の引抜き跡41aを目封じする作用も有する。
ここで、ゼリー状瞬間接着剤50とテープ片51との作用により抜孔41の外周面側の部分を物理的に閉塞する上記作用が十分な場合には、タイヤチューブを成形する複合弾性樹脂として、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルとを含んでいて、粘着付与樹脂を含んでいないものであって、タイヤチューブに形成された抜孔の閉塞は、複合弾性樹脂の弾性を主体にして行なうものであっても、タイヤチューブの空気漏れを防止することができる。
このように、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルとを含んでいて、粘着付与樹脂を含まない複合弾性樹脂によりタイヤチューブを成形すると、成形型の内外において成形材料を流動させることが可能となって、タイヤチューブの成形前の直線状をしたチューブ単体を連続押出成形することが可能となって、タイヤチューブの生産性を高めることができる。この結果、所定長に切断された1本のチューブ単体の両端部を一箇所接合するのみでタイヤチューブを成形でき、押出成形によるチューブ単体の生産性の向上と相俟って、パンクの発生が殆どないタイヤチューブを有するタイヤの生産コストを低下させられる。
更に、上記した粘着付与樹脂を含まない複合弾性樹脂によりタイヤチューブを成形する場合においても、タイヤチューブに空気を注入した後において、抜孔41の外周側の引抜き跡41aを瞬間接着剤50により目封じして、空気漏れを確実にすることもできる。
また、タイヤチューブの製造時におけるチューブ単体の本数としては、上記のように2本に限定されず、複数本であってもよく、更に1本のチューブ単体の両端部を熱融着により接合することも可能である。
以上の説明は、従来の空気注入バルブを備えた空気入りタイヤを本発明のタイヤチューブT1,T2に変更することを前提にしたので、リムSに存在するバルブ孔31から空気注入針Nを用いて空気注入を行うこととしたが、新規のタイヤにおいて、従来の空気入りタイヤチューブの使用予定がない場合には、内径の大きなバルブ孔をリムに設ける必要はなく、空気注入針を挿通可能な小さな内径の孔をリムに形成しておけば足りる。
各材料から成る複合弾性樹脂Rを用いて三種類の自転車用タイヤチューブを成形し、各タイヤチューブより製造されたタイヤを用いた自転車の乗り心地性及びタイヤの空気漏れ、リム打ちパンク、釘の踏抜きパンクの抑制効果について評価した。各タイヤチューブは実施例1、2、3とし、各実施例の評価結果を図16に示す。
使用したタイヤの(外径×幅)は、(26×13/8インチ)であり、タイヤチューブ及びタイヤの各部の寸法は、以下の通りであった。また、タイヤチューブは、長さ(1,017mm)の2本のチューブ単体を上記した方法で成形したものを使用した。
〔タイヤチューブ〕
タイヤチューブの幅(W1): 28mm
タイヤチューブの外径(D1):648mm
タイヤチューブの肉厚(t): 6mm
〔タイヤ〕
タイヤのチューブ挿入空間の内幅(W2): 30mm
タイヤのチューブ挿入空間の外径(D2):652mm
(長さ×幅×厚さ)=(20×10×2mm)で、空気注入針の挿通孔の内径が(2mm)のポリエチレン製の閉塞板を使用して、上記各寸法のタイヤチューブをタイヤに上記した方法により装着して、内圧が(390kPa)となるまでタイヤチューブ内に空気を注入した。タイヤチューブ及びタイヤの各寸法を上記した同一寸法にして、複合弾性樹脂材料のみ異なるタイヤチューブ及びタイヤを成形した。
〔実施例1〕
熱可塑性エラストマーとして、株式会社クラレの商品名「セプトン4000シリーズ」無含油品のポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン(SEEPS)20重量%、プロセスオイルとして、日本サン石油株式会社の商品名「サンプリーム150」のナフテン系オイル40重量%、粘着付与樹脂として株式会社ヤスハラケミカルの商品名「YSレジンTO125」の変性テルペン樹脂40重量%を材料とした。
〔実施例2〕
熱可塑性エラストマーとして、株式会社三菱化学の商品名「ラバロン」無含油相当品のポリスチレン−ポリ(エチレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレン(SEBS)20重量%、プロセスオイルとして、株式会社出光興産の商品名「ダイアナプロセスオイル」のパラフィン系オイル70重量%、粘着付与樹脂として株式会社ヤスハラケミカルの商品名「クリアロンP−125」の水添テルペン樹脂10重量%を材料とした。
〔実施例3〕
実施例2において、タイヤチューブ内周面に、株式会社ヤスハラケミカルの商品名「YSポリスターT−30」のテルペンフェノール樹脂を塗布して、膜厚約0.2mmの粘着樹脂膜を形成したものである。
[比較例]
熱可塑性エラストマーとプロセスオイルを200℃で溶融混合して得られる弾性樹脂を通常の空気用タイヤチューブに160℃で注入充填し、冷却ゲル化させて26インチ用ソリッドタイヤを製造した。熱可塑性エラストマーとして株式会社クラレの商品名「セプトン4000シリーズ」無含油相当品のポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン(SEEPS)15重量%、プロセスオイルとして、株式会社出光興産の商品名「ダイアナプロセスオイル」のパラフィン系オイル85重量%を材料とした。
実施例1〜3のタイヤの乗り心地性については、比較例のソリッドタイヤで感じるような衝撃や振動は無く、従来のバルブ孔付空気入りタイヤと殆ど遜色がなく良好であった。実施例1〜3のタイヤの重量は比較例のソリッドタイヤに比べて一本当たり約0.60kg軽減され、従来のバルブ孔付空気入りタイヤに比べて約0.65kgのみの増加であった。また、長時間経過しても良好な乗り心地性は維持された。次に、各実施例のタイヤにおける空気漏れ抑制効果については、実施例1〜3のいずれも良好で、空気漏れの発生は殆どなかった。各実施例のタイヤにおけるリム打ちによるパンク発生の抑制効果については、実施例1〜3のいずれも良好で、リム打ちによるパンクの発生は殆どなかった。釘の踏抜き(釘踏み)によるパンク発生の抑制効果については、実施例1及び2のタイヤでは空気注入針と類似の径の釘では良好な効果が得られた。実施例3の効果は実施例1及び2の場合よりも太い釘でも、踏抜きによるパンクの発生は殆どなかった。
チューブ単体T1'の一部を破断した斜視図である。 成形型Mの分解斜視図である。 (イ)は、原料である溶液状をした複合弾性樹脂Rを注入する原料注入筒11の部分における成形型Mの横断面図であり、(ロ)は、成形型Mにより成形されたチューブ単体T1'の横断面図である。 接合治具Aにより2本のチューブ単体T1'を熱融着により接合している状態の部分斜視図である。 (イ)は、接合治具Aの横断面図であり、(ロ),(ハ)は、2本のチューブ単体T1'が熱融着される順序を示す図である。 タイヤチューブT1の一部を破断した斜視図である。 タイヤKを構成するリムS、タイヤチューブT1、及びタイヤ外皮34のバルブ孔31の部分分解斜視図である。 自転車Jの後輪RWのタイヤKに空気を注入している状態の側面図である。 (イ),(ロ)は、タイヤチューブT1に空気を注入する前後におけるタイヤKの横断面図である。 タイヤチューブT1に空気を注入した後において、空気注入針Nを抜いている途中の部分拡大横断面図である。 タイヤチューブT1とタイヤKのチューブ挿入空間33との寸法関係を示す図である。 (イ)は、タイヤ外皮34と非変形時のタイヤチューブT2の大きさの関係を示す横断面図であり、(ロ),(ハ)は、それぞれ空気注入前後のタイヤチューブT2の横断面図である。 (イ)は、内周面側に膨肉部5を形成して空気注入部の肉厚を部分的に厚肉としたタイヤチューブT1(T2)の周方向に沿った部分断面図であり、(ロ)は、同じく外周面側に膨肉部5’を形成して厚肉とした部分断面図である。 (イ),(ロ)は、それぞれ差込予定部位の内周面に液状粘着樹脂10’が塗布されたタイヤチューブT1(T2)の空気注入前後における周方向に沿った部分断面図である。 (イ)は、タイヤチューブT1(T2)の空気注入予定部位にゼリー状の瞬間接着剤50を塗布した状態の周方向に沿った部分断面図であり、(ロ),(ハ)は、それぞれ瞬間接着剤50の上にテープ片51を貼着した状態の周方向に沿った部分断面図及び平面図である。 各実施例の評価結果を示した表である。
符号の説明
1: タイヤチューブの外径
2: タイヤのチューブ挿入空間の外径
K:タイヤ
M: 成形型
N: 空気注入針
R: 複合弾性樹脂
S: リム
1,T2: タイヤチューブ
1’,T2’: チューブ単体
t:タイヤチューブの肉厚
1: タイヤチューブの幅
2: タイヤの内幅
1: タイヤチューブの厚肉リング部
2: タイヤチューブの突部
3: チューブ単体の接合部
5,5’: 膨肉部
10: 粘着樹脂膜
10’: 液状粘着樹脂
12,13: 型本体
15: 中子棒
31:リムのバルブ孔
32:閉塞板
33:チューブ挿入空間
41’:中空状態の抜孔
41:閉塞状態の抜孔
41a:引抜き跡
50:瞬間接着剤
51:テープ片

Claims (14)

  1. 熱可塑性エラストマーとプロセスオイルと粘着付与樹脂とを含む複合弾性樹脂から成ることを特徴とするタイヤチューブ。
  2. 前記複合弾性樹脂は、スチレン系熱可塑性エラストマー10〜30重量%、粘着付与樹脂10〜40重量%、プロセスオイル35〜75重量%からなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤチューブ。
  3. 常温で高粘度の液状粘着樹脂膜が内周面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤチューブ。
  4. タイヤのリム側に向けて突部が形成された横断面形状であることを特徴とする請求項1ないし3に記載のタイヤチューブ。
  5. 前記タイヤチューブの幅、肉厚、及び外径が下記の寸法であることを特徴とする請求項1ないし4に記載のタイヤチューブ。
    ・タイヤチューブの幅:タイヤのチューブ挿入空間の内幅〜(タイヤのチューブ挿入空間の内幅−6mm)
    ・タイヤチューブの肉厚:5〜8mm
    ・タイヤチューブの外径:タイヤのチューブ挿入空間の外径〜(タイヤのチューブ挿入空間の外径−8mm)
  6. 熱可塑性エラストマーとプロセスオイルと粘着付与樹脂を含む複合弾性樹脂から成る設定長さの複数本の直線状に成形された各チューブ単体の両端部を互いに別のチューブ単体の両端部に熱融着により一体に接合するか、或いは設定長さの一本の直線状をしたチューブ単体の両端部を熱融着して中空ドーナツ状に成形することを特徴とするタイヤチューブの製造方法。
  7. 前記チューブ単体は、型本体と、該型本体の中心部に配置される中子棒とから成る成形型で成形されて、前記中子棒の全長に亘って常温で高粘度の液状粘着樹脂を塗布した後に、成形型内に成形原料を注入して成形することを特徴とする請求項6に記載のタイヤチューブの製造方法。
  8. 前記チューブ単体は、型本体と、該型本体の中心部に配置される中子棒とから成る成形型で成形されて、前記中子棒の一端部又は両端部は、他の部分よりも小径に形成されて、前記チューブ単体の一端部又は両端部の肉厚は、他の部分よりも厚くなっていることを特徴とする請求項6に記載のタイヤチューブの製造方法。
  9. 前記チューブ単体の端面開口近傍の空気注入針の差込予定部位の内周面に常温で高粘度の液状粘着樹脂を所定厚さで塗布した後に、チューブ単体を接合することを特徴とする請求項6に記載のタイヤチューブの製造方法。
  10. 請求項1に記載のタイヤチューブがタイヤ内に嵌め込まれて、タイヤチューブ内に所定圧の空気が注入されていることを特徴とするタイヤ。
  11. 請求項10に記載のタイヤの製造方法であって、
    空気注入針を挿通可能な内径を有する注入針挿通孔が開けられた薄い閉塞板により、タイヤのリムに形成されたバルブ孔を閉塞しておいて、請求項1に記載のタイヤチューブをタイヤのリムに装着して、この状態で前記閉塞板の注入針挿通孔に空気注入針を挿通してタイヤチューブに差し込むことにより、前記タイヤチューブ内に空気を注入することを特徴とするタイヤの製造方法。
  12. 前記タイヤチューブの空気注入針の差込予定部位に塗布したゼリー状の瞬間接着剤の上に伸長性を有していないテープ片を部分的に貼着し、前記テープ片の部分に空気注入針を差し込んで空気を注入することを特徴とする請求項11に記載のタイヤの製造方法。
  13. 熱可塑性エラストマーとプロセスオイルとを含む複合弾性樹脂から成るタイヤチューブを装着したタイヤの製造方法であって、
    前記タイヤチューブの空気注入針の差込予定部位に塗布したゼリー状の瞬間接着剤の上に伸長性を有していないテープ片を部分的に貼着しておいて、
    空気注入針を挿通可能な内径を有する注入針挿通孔が開けられた薄い閉塞板により、タイヤのリムに形成されたバルブ孔を閉塞しておいて、テープ片が貼着された前記タイヤチューブをタイヤのリムに装着して、この状態で前記閉塞板の注入針挿通孔に挿通された空気注入針をタイヤチューブの前記テープ片の部分に差し込むことにより、前記タイヤチューブ内に空気を注入することを特徴とするタイヤの製造方法。
  14. 空気注入後、タイヤチューブにおける空気注入針の引抜き跡にゼリー状瞬間接着剤を滴下して目封じすることを特徴とする請求項11ないし13に記載のタイヤの製造方法。









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JP2012254785A (ja) * 2011-05-19 2012-12-27 Mitsuma Giken Kk ノーパンクタイヤ及びノーパンクタイヤの組立方法
JP2016043830A (ja) * 2014-08-25 2016-04-04 株式会社東部 パンクレスタイヤチューブ及びその製造方法
US9393839B2 (en) 2010-03-29 2016-07-19 Bridgestone Corporation Tire

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