JP2007167387A - 対物レンズ、顕微鏡装置および顕微鏡観察方法 - Google Patents

対物レンズ、顕微鏡装置および顕微鏡観察方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実験動物等の体内管腔壁面に配置される観察部位を鮮明にかつ安定的に観察することを可能とする。
【解決手段】体内管腔B内に挿入される細径先端部18を有する対物レンズ5であって、長手軸に交差する方向に光軸を屈曲させて、細径先端部18の半径方向外方に焦点Pを配置する偏向部材21と、焦点位置Pを半径方向に変位させる焦点位置調節手段20とを備える対物レンズ5を提供する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、対物レンズ、顕微鏡装置および顕微鏡観察方法に関するものである。
従来、動物を生きたままの状態で観察するのに適した顕微鏡システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この顕微鏡システムは、動物の体内に低侵襲で挿入可能な細径先端部を有する対物レンズを備えており、対物レンズの先端面を動物の体内の観察部位に近接させあるいは押し当てて、レーザ光等の励起光を照射し、観察部位から戻る蛍光を観察する共焦点顕微鏡観察方法を採用している。
このような顕微鏡システムは、細径先端部を有する対物レンズの作動距離が数100μm程度と極めて小さいために、観察部位を対物レンズの先端面に非常に近接させる必要があるとともに、共焦点顕微鏡であるために、被写界深度が極めて浅いという特徴を有する。このため、観察部位に対物レンズの先端面を十分に近接させることができる場合には、鮮明な蛍光画像を取得することができる。
特開2005−241671号公報
しかしながら、このような顕微鏡システムを体内管腔の観察に使用する場合には、以下の不都合がある。
すなわち、対物レンズの細径先端部を実験動物等の体内管腔内に挿入すると、細径先端部の先端には管腔内の空洞部が配されるのみであり、管腔内壁が近接しないので、管腔内壁に形成されている腫瘍等の観察部位に焦点を合わせることが困難であるという不都合がある。
この場合に、比較的柔軟な観察部位であれば、実験動物に外部から押圧力を加えて体内管腔を変形させ、管腔内壁を細径先端部の先端面に近接させることができる。しかしながら、体内の奥深い場所に位置する体内管腔である場合には、押圧力を加えることが困難であり、また、押圧力により観察部位に一時的にまたは偶発的に焦点が合った場合でも、その状態を長時間にわたって安定して維持することが困難であるという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、実験動物等の体内管腔壁面に配置される観察部位を鮮明にかつ安定的に観察することを可能とする対物レンズ、顕微鏡装置および顕微鏡観察方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、体内管腔内に挿入される細径先端部を有する対物レンズであって、長手軸に交差する方向に光軸を屈曲させて、細径先端部の半径方向外方に焦点を配置する偏向部材と、前記焦点の位置を半径方向に変位させる焦点位置調節手段とを備える対物レンズを提供する。
本発明によれば、細径先端部を体内管腔内に挿入することにより、細径先端部の外周面が体内管腔の内壁面に近接配置される。細径先端部を長手軸方向に延びる光軸に沿って進行してきた光は、偏向部材によって長手軸に交差する方向に偏向され、半径方向外方に指向される。そして、細径先端部の外周面に近接配置されている体内管腔の内壁面に焦点が配置される。したがって、作動距離および被写界深度が小さくても、体内管腔の内壁面の鮮明な画像を安定して取得することが可能となる。
上記発明においては、前記焦点位置調節手段が、レンズの焦点距離を変更することで焦点調節を行うこととしてもよい。また、上記発明においては、前記焦点位置調節手段が液体レンズからなることとしてもよい。
このようにすることで、対物レンズを小型化することが可能となる。
また、上記発明においては、前記細径先端部の半径方向外方に、少なくとも焦点位置近傍に配置される透明部材を備えることとしてもよい。
このようにすることで、透明部材を体内管腔の内壁面に押し当てて、内壁面を平坦化することで観察を容易にすることができる。また、体内管腔の内壁面をより確実に焦点位置近傍に配置することができ、より安定した画像の取得が可能となる。
また、上記発明においては、前記焦点位置調節手段が、前記透明部材と細径先端部との間に配置され、両者の距離を変化させるアクチュエータからなることとしてもよい。
このようにすることで、アクチュエータを作動させて透明部材と細径先端部との距離を調節することにより、作動距離が固定されていても、焦点位置の調節を容易に行うことができる。
また、上記発明においては、前記細径先端部の周囲に配置され、体内管腔壁面に対して細径先端部を固定する固定手段を備えることとしてもよい。
このようにすることで、固定手段の作動により細径先端部を体内管腔壁面に固定することが可能となり、より安定した観察を行うことができる。
また、上記発明においては、前記固定手段がバルーンからなることとしてもよい。
このようにすることで、細径先端部の周囲に配置したバルーンを膨張させることにより、体内管腔壁面を外方に押し広げるように押圧し、細径先端部を体内管腔に対して容易に固定することができる。
また、上記発明においては、前記バルーンが、周方向に複数に分割され、それぞれ独立に膨張収縮可能に設けられていることが好ましい。
このようにすることで、バルーンの膨張収縮状態を周方向に異ならせることにより、体内管腔に対して細径先端部を支持させつつ、焦点位置を移動させることができる。特に、焦点位置を含む光軸上に配されるバルーンを膨張収縮させることにより、焦点位置を半径方向に移動させることができる。
また、上記発明においては、前記偏向部材を前記細径先端部の長手軸回りに回転させる回転機構を備えることとしてもよい。
このようにすることで、回転機構の作動により、偏向部材を長手軸回りに回転させて、焦点位置を体内管腔の周方向に沿って移動させ、周方向にわたる観察範囲を観察することが可能となる。
また、上記発明においては、前記偏向部材が、円錐ミラーからなることとしてもよい。
このようにすることで、偏向部材を回転させることなく、周方向にわたる観察範囲を観察することが可能となる。
また、本発明は、光源と、該光源からの光を2次元的に走査する光走査部と、該光走査部により走査された光を体内管腔に照射し、体内管腔から戻る戻り光を集光する対物レンズと、該対物レンズにより集光され、光走査部を介して戻る戻り光を検出する光検出器とを備え、前記対物レンズが、体内管腔内に挿入される細径先端部を有するとともに、長手軸に交差する方向に光軸を屈曲させて、細径先端部の半径方向外方に焦点を配置する偏向部材とを備え、前記光源から前記偏向部材までのいずれかの光軸上に、前記焦点の位置を半径方向に変位させる焦点位置調節手段を備える顕微鏡装置を提供する。
本発明によれば、光源から発せられた光が光走査部により2次元的に走査された後、対物レンズを介して体内管腔に照射され、体内管腔から戻る戻り光が対物レンズおよび光走査部を介して戻り光検出器により検出される。対物レンズには細径先端部が設けられ、細径先端部には偏向部材が備えられているので、細径先端部の半径方向外方に配置されている体内管腔の内壁面に焦点を配置することができる。そして、焦点位置調節手段の作動により、焦点の位置を半径方向に変位させることにより、所望の観察部位に焦点を合わせて鮮明な画像を取得することができる。
上記発明においては、前記焦点位置調節手段が、レンズの焦点距離を変更することで焦点調節を行うこととしてもよい。また、上記発明においては、前記光検出器の前段に配される前記焦点と共役な結像位置にピンホールを備えることが好ましい。
このようにすることで、ピンホールにより被写界深度を制限し、焦点近傍の深さ位置における薄い深さ範囲から戻る戻り光のみを検出して、鮮明な画像を取得することができる。また、ピンホール径を調節することにより、被写界深度を調節することができる。
また、本発明は、半径方向外方に焦点を配置した対物レンズの細径先端部を、特定部位が発光するよう調製された実験動物の体内管腔内に挿入する挿入ステップと、体内管腔内壁の発光部位に焦点を合わせる焦点位置調節ステップと、焦点が合わせられた発光部位を撮影する撮影ステップとを含み、前記焦点位置調節ステップから撮影ステップまでを、体内管腔内において前記細径先端部を移動させながら繰り返す顕微鏡観察方法を提供する。
本発明によれば、半径方向外方に焦点を配置した対物レンズの細径先端部を体内管腔内に挿入した状態で、体内管腔内壁の発光部位に焦点を合わせて撮影するステップと、細径先端部を移動させるステップを繰り返すことにより、体内管腔内壁の所定範囲にわたる2次元画像を取得することができる。
上記発明においては、前記焦点位置調節ステップと前記撮影ステップとの間に、細径先端部の半径方向に焦点位置を移動させるステップをさらに含むこととしてもよい。
このようにすることで、体内管腔内壁の所定範囲にわたる3次元画像を取得することができる。
本発明によれば、実験動物等の体内管腔壁面に配置される観察部位を鮮明にかつ安定的に観察することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係る対物レンズおよび顕微鏡装置について、図1および図2を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡装置1は、図1に示されるように、レーザ光Lを出射する光源2と、該光源2から発せられるレーザ光Lを伝播する光ファイバ3と、該光ファイバ3に接続された顕微鏡本体4と、該顕微鏡本体4に取り付けられる対物レンズ5とを備えている。図中、符号6は、レーザ光Lを光ファイバ3の端面3aに集光させる集光レンズである。
顕微鏡本体4には、光ファイバ3により伝播されてきたレーザ光Lを略平行光にするコリメートレンズ7と、略平行光にされたレーザ光Lを2次元的に走査する光走査部8と、該光走査部8により2次元的に走査されたレーザ光Lを集光して中間像を結像させる瞳投影レンズ9と、中間像を結像したレーザ光Lを集光して略平行光にする結像レンズ10とが備えられている。光走査部8は、例えば、直交する2つの軸線回りに揺動させられる2枚のガルバノミラー8a,8bを有する、いわゆる近接ガルバノミラーである。
また、顕微鏡本体4は、結像レンズ10、瞳投影レンズ9および光走査部8を介して戻る蛍光Fをレーザ光Lの光路から分岐するダイクロイックミラー11と、該ダイクロイックミラー11により分岐された蛍光Fを光ファイバ12の端部12aに集光するカップリングレンズ13とを備えている。また、本実施形態に係る顕微鏡装置1は、前記カップリングレンズ13により集光された蛍光Fを伝播する光ファイバ12と、該光ファイバ12により伝播された蛍光Fを集光する集光レンズ14と、集光レンズ14により集光された蛍光Fを検出する光検出器15とを備えている。図中、符号16は、蛍光Fとともに光ファイバ12を伝播されてきたレーザ光Lが光検出器15に入射されるのを阻止するためのバリアフィルタである。光検出器15は、例えば、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier tube)である。
前記対物レンズ5は、図2に示されるように、顕微鏡本体4に取り付ける取付ネジ17aを備えた筐体17に、マウス等の実験小動物Aの体内管腔B内に挿入可能な、十分に細い径寸法を有する細径先端部18を備えている。筐体17内には、前記結像レンズ10により略平行光とされたレーザ光Lをリレーする複数のリレーレンズ19および液体レンズ(焦点位置調節手段)20を備え、最先端部分には、レーザ光Lを半径方向外方に偏向させるミラー(偏向部材)21を備えている。
液体レンズ20は、加える電圧を変化させることで、液体の界面の曲率半径を変化させ、これによって、対物レンズ5全体の焦点位置Pを光軸方向に移動させることができるようになっている。
このように構成された本実施形態に係る対物レンズ5および顕微鏡装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る対物レンズ5および顕微鏡装置1を用いて実験動物Aの体内管腔Bの内壁面を観察するには、対物レンズ5の先端に設けられた細径先端部18を、特定部位が発光するように予め調製された実験動物Aの体内管腔B内に挿入する。実験動物Aとしては、ガンに感染しやすいように遺伝子を操作されたマウスや、ガン近傍において特異的に蛍光Fを発する蛍光物質を注入されたマウス等が用いられる。
光源2から発せられたレーザ光Lは、光ファイバ3により伝播されて顕微鏡本体4に入射され、コリメートレンズ7によって略平行光とされた後に、光走査部8により2次元的に走査される。そして、瞳投影レンズ9、結像レンズ10を介して対物レンズ5に入射され、対物レンズ5内のリレーレンズ19および液体レンズ20によりリレーされて細径先端部18の先端から出射される。
細径先端部18の先端にはミラー21が配置されているので、細径先端部18内を長手軸方向に伝播されてきたレーザ光Lは半径方向外方に偏向されて、細径先端部18の半径方向外方の焦点位置Pに集光される。細径先端部18の半径方向外方には、実験動物Aの体内管腔Bの内壁面が近接配置されているので、レーザ光Lはその内壁面に容易に集光されて、生体内の蛍光物質が励起され、蛍光Fが発せられる。
内壁面の内側から発せられた蛍光Fは、ミラー21を介して対物レンズ5により集光され、結像レンズ10、瞳投影レンズ9および光走査部8を介して戻り、ダイクロイックミラー11により分岐されて、カップリングレンズ13により集光され、光ファイバ12を介して集光レンズ14により光検出器15により検出される。これにより、2次元の蛍光画像が取得される。
本実施形態に係る対物レンズ5および顕微鏡装置1によれば、細径先端部18の先端にミラー21が配置されているので、細径先端部18を挿入した体内管腔Bの内壁面に容易に焦点を配置して画像を取得することができる。すなわち、体内管腔B内に挿入された細径先端部18の長手方向の前方には、体内管腔Bの空洞が配置されているのみで、有効な蛍光画像を取得することが困難であるが、本実施形態によれば、体内管腔Bに細径先端部18を挿入するだけで、内壁面に焦点を合わせて鮮明な画像を取得することができる。
また、本実施形態によれば、光ファイバ12の端面12aが、対物レンズ5の細径先端部18前方の焦点位置Pと共役な位置関係に配置されたピンホールとして機能するので、被写界深度が制限され、共焦点状の鮮明な画像を取得することができる。そして、対物レンズ5内に液体レンズ20が配置されているので、該液体レンズ20に加える電圧を調節することにより、細径先端部18を移動させることなく、その半径方向に沿って焦点位置Pを調節することができる。その結果、体内管腔Bの内壁面の深さ方向に配置される観察部位を鮮明にかつ安定的に観察することができる。
特に、対物レンズ5内に配置する液体レンズ20を採用することにより、対物レンズ5を大型化させることなく、簡易に焦点合わせを行うことができる。
本実施形態に係る顕微鏡装置1を用いて体内管腔B内の画像を取得するには、実験動物Aの体内管腔Bの観察領域の奥側まで細径先端部18を挿入し(ステップS1)、顕微鏡装置1を作動させる。液体レンズ20の作動により、発光部位に焦点を合わせ(ステップS2)、集光された蛍光Fを撮影する(ステップS3)。これにより、焦点面の配置されている深さ位置における所定の範囲内の2次元蛍光画像が取得される。
そして、実験動物Aの体内管腔Bに対して、対物レンズ5を長手方向に抜き出す方向に相対的に移動させつつ上記ステップ(S2,S3)を繰り返すことにより、体内管腔Bの長さ方向に沿う2次元蛍光画像を取得することができる。体内管腔Bと対物レンズ5とを長手方向に相対的に移動させる方法としては、固定ステージ(図示略)に実験動物Aを固定し、対物レンズ5を長手方向に移動させる方法や、固定された対物レンズ5に対して可動ステージに固定された実験動物Aを移動させる方法が考えられる。
また、実験動物Aの体内管腔Bに対して、対物レンズ5を周方向に相対的に回転させつつ上記ステップ(S2,S3)を繰り返すことにより、体内管腔Bの周方向に沿う2次元蛍光画像を取得することができる。体内管腔Bと対物レンズ5とを周方向に相対的に回転させる方法としては、固定ステージ(図示略)に実験動物Aを固定し、対物レンズ5を長手軸回りに回転させる方法や、固定された対物レンズ5に対して可動ステージに固定された実験動物Aを対物レンズ5の長手軸回りに回転させる方法が考えられる。
さらに、体内管腔Bの長さ方向および周方向の各位置において、液体レンズ20の作動により、焦点面を体内管腔Bの内壁面から深さ方向に移動させつつ上記ステップ(S2,S3)を繰り返すことにより、体内管腔Bの深さ方向に沿う2次元蛍光画像を取得することができる。そして、これらの2次元蛍光画像を合成することにより、3次元的な蛍光画像を構築することが可能となる。
なお、本実施形態に係る対物レンズ5においては、液体レンズ20をリレーレンズ19の間に配置した場合を例示したが、これに代えて、図3に示されるように、液体レンズ20の位置は任意に設定してよい。
また、本実施形態に係る顕微鏡装置1においては、対物レンズ5に液体レンズ20を備える場合について説明したが、これに代えて、図4〜図6に示されるように顕微鏡本体4内に液体レンズを配置してもよい。
図4は、液体レンズ20をダイクロイックミラー11とガルバノミラー8aとの間に配置した例であり、光走査部8による走査の影響を受けない略平行光の位置に配置されることで、比較的小型の液体レンズ20により焦点位置Pを移動させることができる。
図5は、液体レンズ20を結像レンズ10と対物レンズ5との間の顕微鏡本体4内に配置した例である。図6は、液体レンズ20を瞳投影レンズ9と結像レンズ10との間の配置した例である。
また、本実施形態に係る顕微鏡装置1および対物レンズ5においては、図7に示されるように、対物レンズ5の細径先端部18の先端の半径方向外方に、少なくとも焦点位置P近傍に配置される透明部材22を備えていてもよい。透明部材22は、ミラー21により偏向されたレーザ光Lの走査範囲よりも広い範囲にわたって設けられている。
このようにすることで、透明部材22を体内管腔Bの内壁面に押し当てて、内壁面を平坦化させることができ、内壁面への焦点合わせを容易にすることができる。また、透明部材22を内壁面に押し当てることで、対物レンズ5の細径先端部18を体内管腔Bに対して位置決めすることができ、変動の少ない安定した蛍光画像を取得することができるという利点がある。なお、透明部材22は、少なくとも、ミラー21により偏向されたレーザ光Lが照射される範囲に配置されていれば足りるが、全周にわたって設けられていてもよい。
また、細径先端部18の体内管腔Bへの位置決めのための透明部材22に代えて、図8に示されるように、細径先端部18の周囲にバルーン23を配置することとしてもよい。このようにすることで、細径先端部18を体内管腔B内に挿入した状態でバルーン23を膨張させることにより、細径先端部18を体内管腔Bに対して半径方向に位置決めすることができる。
また、図8に示されるように、細径先端部18の周囲に配置されるバルーン23を、それぞれ独立して膨張・収縮可能な複数のバルーン23により構成することにより、一方のバルーン23を膨張させ、他のバルーン23を収縮させることで、体内管腔Bに対する細径先端部18の半径方向の位置決めを行いながら、その半径方向位置を調節することができる。
したがって、焦点位置P側のバルーン23と細径先端部18を挟んで逆側のバルーン23とを膨張あるいは収縮させることにより、焦点位置Pを移動させることができる。その結果、顕微鏡本体4内あるいは対物レンズ5内に液体レンズのような焦点位置調節手段が不要となり、バルーン23により焦点位置調節を行うことができる。なお、周方向に配列される独立して膨張・収縮可能なバルーン23の数は任意でよい。また、バルーン23として、マルチルーメンチューブのように、複数の隔壁により周方向に区画された複数の圧力室を有するものを採用してもよい。また、バルーン23内に供給する流体としては、水、油等の液体、空気等の気体のいずれでもよい。
また、図9に示されるように、細径先端部18の周囲に円筒状の透明部材22を配置し、該透明部材22と細径先端部18との間にバルーン23を配置することとしてもよい。このようにすることで、透明部材22によって体内管腔Bの内壁面を平坦化させて観察容易性を向上するとともに、バルーン23の膨張・収縮の程度を周方向に異ならせることにより、透明部材22と細径先端部18との半径方向の相対位置を変化させ、焦点位置Pを移動させることができる。
また、本実施形態においては、体内管腔B内の周方向に複数位置を観察する場合に、図10に示されるように、体内管腔Bと細径先端部18とを細径先端部18の長手軸回りに相対回転させることとしている。この場合、細径先端部18の先端に配置されたミラー21のみを回転させてもよいし、細径先端部18のみを回転させてもよいし、対物レンズ5全体を回転させてもよい。また、顕微鏡本体4および対物レンズ5を一体的に回転させてもよい。
また、図11に示されるように、偏向部材として円錐ミラー24を配置することとしてもよい。このようにすることで、細径先端部と体内管腔とを相対回転させることなく、周方向全周にわたる体内管腔の内壁面の蛍光画像を取得することができる。
本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置の全体構成を模式的を示す図である。 図1の顕微鏡装置の対物レンズを模式的に示す拡大図である。 図2の対物レンズの変形例を模式的に示す拡大図である。 図1の顕微鏡装置の第1の変形例を模式的に示す図である。 図1の顕微鏡装置の第2の変形例を模式的に示す図である。 図1の顕微鏡装置の第3の変形例を模式的に示す図である。 図2の対物レンズの先端に透明部材を配置した変形例を模式的に示す拡大図である。 図2の対物レンズの細径先端部にバルーンを配置した変形例を模式的に示す拡大図である。 図2の対物レンズの先端に配置した透明部材と細径先端部との間にバルーンを配置した変形例を模式的に示す拡大図である。 図2の対物レンズの細径先端部を部分的に示す拡大図である。 図2の対物レンズの細径先端部に設けた偏向部材の変形例を示す拡大図である。
符号の説明
A 実験動物
B 体内管腔
F 蛍光(戻り光)
L レーザ光(光)
P 焦点位置
1 顕微鏡装置
2 光源
5 対物レンズ
8 光走査部
12a 端部(ピンホール)
15 光検出器
18 細径先端部
20 液体レンズ(焦点位置調節手段)
21 ミラー(偏向部材)
22 透明部材
23 バルーン(アクチュエータ:固定手段)
24 円錐ミラー(偏向部材)

Claims (15)

  1. 体内管腔内に挿入される細径先端部を有する対物レンズであって、
    長手軸に交差する方向に光軸を屈曲させて、細径先端部の半径方向外方に焦点を配置する偏向部材と、前記焦点の位置を半径方向に変位させる焦点位置調節手段とを備える対物レンズ。
  2. 前記焦点位置調節手段が、レンズの焦点距離を変更することで焦点調節を行う請求項1に記載の対物レンズ。
  3. 前記焦点位置調節手段が、液体レンズからなる請求項1に記載の対物レンズ。
  4. 前記細径先端部の半径方向外方に、少なくとも焦点位置近傍に配置される透明部材を備える請求項1に記載の対物レンズ。
  5. 前記焦点位置調節手段が、前記透明部材と細径先端部との間に配置され、両者の距離を変化させるアクチュエータからなる請求項4に記載の対物レンズ。
  6. 前記細径先端部の周囲に配置され、体内管腔壁面に対して細径先端部を固定する固定手段を備える請求項1に記載の対物レンズ。
  7. 前記固定手段がバルーンからなる請求項6に記載の対物レンズ。
  8. 前記バルーンが、周方向に複数に分割され、それぞれ独立に膨張収縮可能に設けられている請求項7に記載の対物レンズ。
  9. 前記偏向部材を前記細径先端部の長手軸回りに回転させる回転機構を備える請求項1から請求項8のいずれかに記載の対物レンズ。
  10. 前記偏向部材が、円錐ミラーからなる請求項1から請求項8のいずれかに記載の対物レンズ。
  11. 光源と、該光源からの光を2次元的に走査する光走査部と、該光走査部により走査された光を体内管腔に照射し、体内管腔から戻る戻り光を集光する対物レンズと、該対物レンズにより集光され、光走査部を介して戻る戻り光を検出する光検出器とを備え、
    前記対物レンズが、体内管腔内に挿入される細径先端部を有するとともに、長手軸に交差する方向に光軸を屈曲させて、細径先端部の半径方向外方に焦点を配置する偏向部材とを備え、
    前記光源から前記偏向部材までのいずれかの光軸上に、前記焦点の位置を半径方向に変位させる焦点位置調節手段を備える顕微鏡装置。
  12. 前記焦点位置調節手段が、レンズの焦点距離を変更することで焦点調節を行う請求項11に記載の顕微鏡装置。
  13. 前記光検出器の前段に配される前記焦点と共役な結像位置にピンホールを備える請求項11または請求項12に記載の顕微鏡装置。
  14. 半径方向外方に焦点を配置した対物レンズの細径先端部を、特定部位が発光するよう調製された実験動物の体内管腔内に挿入する挿入ステップと、
    体内管腔内壁の発光部位に焦点を合わせる焦点位置調節ステップと、
    焦点が合わせられた発光部位を撮影する撮影ステップとを含み、
    前記焦点位置調節ステップから撮影ステップまでを、体内管腔内において前記細径先端部を移動させながら繰り返す顕微鏡観察方法。
  15. 前記焦点位置調節ステップと前記撮影ステップとの間に、細径先端部の半径方向に焦点位置を移動させるステップをさらに含む請求項14に記載の顕微鏡観察方法。
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