JP2007166133A - 無線タグ - Google Patents

Abstract

【課題】 導電性の物質や水分を含む物質に貼付可能で、かつ小型の無線タグを提供する。
【解決手段】 波長の１／２以下のループ状のアンテナ部１１０を採用し、かつアンテナ近傍に反射板１２０とセラミック部１２１をはじめとする誘電体部材を基材１１２と垂直に配して、通信特性を良好にする。
【選択図】 図１

Description

本発明は、少なくとも1つのＩＣチップ、及びアンテナを有し、データを無線で通信することが可能な無線タグに関するものである。

情報を記憶出来るＩＣとアンテナからなる無線タグは、電波によって、リーダライタと呼ばれる無線機とデータを送受信することができる。このような無線タグは、例えば特許文献１などに示されている。そのうち特に、電波の周波数として３００ＭＨｚ以上を使用し、内部に電源を持たない無線タグは、リーダライタとの通信可能距離が長く、価格も比較的廉価であることから、バーコードの置き換え用途などに考えられている。このような無線タグは、特許文献２などに示されている。

無線タグ内部に電源を持たない場合は、リーダライタからの電波を、ＩＣ内部のダイオードやコンデンサにより直流に変換して電圧を得る方式が採られる。無線タグ内部に電源を持つ場合は、ボタン型電池やフィルム状電池、大容量のコンデンサなどがＩＣ駆動用電源として用いられる。

無線タグと、リーダライタとの通信に使用される電波は、送信電力が大きいほど、無線タグとリーダライタとの通信距離が長くなる。また、通信の周波数が低いほど、空気中の伝播損失が小さいため、通信距離は長くなる。ところが、使用出来る電波の周波数とその出力レベルに関しては、国ごとに定められた規制値があり、それぞれの国で定められた規制値のなかで、最大の効果が得られるような周波数、送信電力が選ばれ、無線タグとリーダライタとの通信系が設計される。

無線タグは、物品に貼付されたり、ひもで物品に繋がれたりして、物品に付設され、物品の在庫管理や入出荷の履歴管理等の用途に供される。ＩＣチップには、データとして識別番号や入出荷の履歴情報などが記録される。

また、近年、無線タグ識別番号の改ざんが困難であることを利用して、高額商品の真贋判定に用いる、履歴情報を利用してリサイクル管理に用いる等の用途に供されることもある。

ところが、導電性の物質や水分を含む物質に無線タグを貼る場合、導電性物質や水分に電磁波のエネルギーを吸収されてしまい、読み取り不能となることがある。一般的に、この対策としては、無線タグと、貼付する導電性の物質や水分を含む物質との間に間隙が出来るように、樹脂などからなるスペーサを挟み込み、電磁波の吸収の影響を小さくする。通信距離を劣化させないことを考えた場合、このスペーサの厚みはたとえば２．４５ＧHｚ帯では３ｍｍ程度必要となり、９５０MHｚでは１０ｍｍ程度必要になる。この厚みのため、スペーサを有する無線タグは、全体として可撓性が失われ、貼付位置が制限される。

図１５は、従来例による無線タグを示す説明図である。無線タグ３００は、基板３１２上にＩＣチップ３１３とアンテナ３１０が実装されてなり、基板３１２のＩＣチップ３１３とアンテナ３１０搭載面の裏面には、スペーサ３５０および反射板３２０が設けられている。この無線タグ３００を直接もしくは必要に応じてケース（図示せず）に封入し、反射板３２０側を、物品に貼り付ける。

反射板３２０は、反射手段として設けられ、電波をアンテナ３１０に向かって反射することにより電池の搭載なしに通信距離を伸ばすことに貢献している。また、貼付対象物品が金属体もしくは、貼付対象物品近傍に金属体がある場合であっても電磁干渉が生ぜず安定してアンテナに電波を送出できる。

しかしながら、上記構成の無線タグは、スペーサ分の厚みが不可欠であり、小型化が困難であった。また、小型化が困難な故に、貼付する物品の形状や貼付場所が限定され、実用に供し得ないという問題があった。

さらに、スペーサは、可撓性に乏しいために、曲面を有する物品に貼付し難く、仮に貼付しても剥離し易いため、同様に、実用に供し得ないことが多かった。

特許２５５３６４１号公報 特開２００２−２９８１０６号公報

本発明の技術的課題は、導電性の物質や水分を含む物質に貼付可能で、かつ小型の無線タグを供することにある。

本発明は、導電性の物質や水分を含む物質に貼付しても通信特性が劣化することなく、小型化を実現するために、帯状の１／２波長ダイポールアンテナではなく、ループ状のアンテナを採用し、かつアンテナ近傍に導電体を配して、通信特性を良好にする。

すなわち、本発明は、基材上に、少なくとも１以上のＩＣチップとアンテナを有する無線タグであって、前記アンテナは１ターンのループアンテナであり、該ループアンテナのループの長さは、無線周波数の波長の１／２以下である。また、該ループアンテナの近傍に、該ループアンテナが形成されている基材とほぼ直交する面に導電体を配することにより、該導電体が反射板として機能して、導電性の物質や水分を含む物質に貼付しても特性の劣化が小さい。

また、該ループアンテナのループの長さを、無線周波数の波長の１／２以下としたのは、アンテナ部全体を従来の１／２波長ダイポールアンテナを用いた場合よりも小型化するためであり、前記アンテナが形成された基板を、セラミック部材をはじめとする比誘電率の高い材質からなる部材で挟み込むことにより実現する。比誘電率の高い部材をアンテナ近傍に配すると波長短縮効果により、アンテナ長を短く設計することができ、アンテナ部全体を小型化することができる。

本発明によれば、基材上に少なくとも１以上のＩＣチップとアンテナを有する無線タグであって、前記アンテナは１ターンのループアンテナであり、該ループアンテナのループの長さは、無線周波数の波長の１／２以下であり、前記ループアンテナの近傍に、前記基材と垂直となるよう導電体を配してなることを特徴とする無線タグが得られる。

本発明によれば、前記ＩＣチップとアンテナを有する基材を誘電体部材で被覆してなることを特徴とする無線タグが得られる。

本発明により、導電性の物質や水分を含む物質に貼付しても特性の劣化が小さく、かつ小型である無線タグの提供が可能となった。

また、小型化が実現できたことにより、物品への貼付面積も少なくなり、貼付すべき物品の形状による、貼付場所の制限が少なくなった。

すなわち、従来の無線タグは、金属などの導電性物質や、水分を含む物質からなる物品には、使用する事は出来ず、専用の無線タグを貼付する事になるが、貼付対象物において、無線タグを貼付することができる面積は一般に限られている。特に、金属に貼付する事のできる無線タグは、比較的厚みのある樹脂などから構成されており、可撓性のない場合も多く、曲面などにも貼付不可能な場合も多い。一方、本発明による無線タグは、面積が小さいことにより、曲面や突起を含む平面などにも貼付可能となる。

本発明による無線タグは、基材上に１以上のＩＣチップと、該ＩＣチップと電気的に接続されたアンテナを有する。アンテナは、ループの長さが無線周波数の波長の１／２以下であるループアンテナである。また、該ループアンテナの近傍に、前記アンテナを形成してなる基材にほぼ垂直に導電体を配する。この導電体は、ループアンテナにとって反射板として機能するので、これ以降は、反射板と称する。

また、アンテナを小型化して、無線タグ全体を小型化するためには、ＩＣチップとアンテナが搭載された基材を比誘電率の高い部材、すなわちジルコニアなどのセラミック部材や樹脂製部材などで挟み込むもしくは樹脂を充填するまたは一体成型するなどして被覆するのがよい。

本発明による無線タグのアンテナは、例えばガラスエポキシ基板やＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、ポリイミド等の樹脂や紙からなる基材上に、銅やアルミ、銀等の導電体を用いて、エッチング手法、印刷等の一般的なアンテナ形成手段により形成する。また、アンテナとＩＣチップは、ワイヤボンディングやフリップチップ実装等の一般的な実装技術により電気的に接続する。

反射板は、ＩＣチップとアンテナが実装された基材と、樹脂などにより一体モールド成型されるのが好ましい。また、あらかじめＩＣチップとアンテナが実装された基材のみを樹脂で挟み込んで金属板添付部分を含む全体を成型し、その後金属板を貼付するのも好ましい。

以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。

（実施例１）
図１は、本発明の無線タグを示す透過斜視図である。図２は、図１に示した本発明の無線タグの断面図（図１の正面から背面方向断面）である。

無線タグ１００は、アンテナ部１１０、反射板１２０、セラミック部１２１、接着部１２２からなっている。無線タグ１００の外形寸法は、縦７ｍｍ、横７ｍｍ、高さ７ｍｍである。アンテナ部１１０は、ポリイミドからなる基材１１２上に、導電体として主成分が銀からなる導電ペーストを印刷してアンテナ１１１を形成し、ＩＣチップ１１３をフリップチップ実装し、アンテナ１１１と電気的に接続した。アンテナ部１１０の１辺の長さは約５ｍｍである。

セラミック部１２１の材質はジルコニアであり、接着部１２２を介してアンテナ部１１０をセラミック部１２１で挟み込み固着する。接着部１２２はエポキシ接着剤である。ジルコニアの比誘電率は４０前後と高いので、波長短縮効果によりアンテナのサイズを小さくすることができる。反射板１２０は銅からなる金属板であり両面テープ１２４を介して、セラミック部に付設されている。さらに、反射板１２０の他の面には両面テープ１２５が付設されているため、無線タグ１００を任意の場所に貼付することができる。

図３は、本発明の実施例を示し、無線タグ１００単体のアンテナインピーダンス特性を示す。また、図４は、本発明の実施例を示し、ＩＣチップ１１３のインピーダンス特性を示す。

アンテナのインピーダンスのうち抵抗分をＲａ、リアクタンス分をＸａ、ＩＣチップのインピーダンスのうち抵抗分をＲｉ、リアクタンス分をＸｉとしたとき、アンテナとＩＣチップの整合条件は、Ｒａ＝Ｒｉ，Ｘａ＝−Ｘｉである。ここで、図３と図４を比較する。アンテナ１１０が小さいためＲａが小さいものの、２．４５ＧＨｚ帯においてＸａ＝４０、Ｘｉ＝−４０となっており、比較的良く整合が取れていることがわかる。

図５は、上記状態における無線タグ１００のアンテナ放射特性を示す。最大で−５ｄＢｉの絶対利得が得られていることがわかる。

図６は、本発明の実施例を示す図で、図６（ａ）は正面図、図６（ｂ）は側面図である。無線タグ１００を金属製の缶１３０に貼付した状態を示す。図７は、本発明の実施例を示し、図６におけるアンテナインピーダンス特性を示す。同様に、図８は、本発明の実施例を示し、図６における放射特性を示す。なお、ＩＣチップのインピーダンス特性は図４と同じである。

図７に示すとおり、金属製の缶１３０に貼付しても、図３に示す単体でのインピーダンスから大きな変化はない。さらに図８から、放射特性は最大で−１ｄＢｉの絶対利得が得られており、無線タグ１００単体の時より良い値となることがわかる。

また、リーダライタでの読み取り距離は、無線タグ１００単体の場合１０ｃｍであったが、無線タグ１００を缶１３０に貼付した場合１７ｃｍであった。

図９は、本発明の実施例を示す図で、無線タグ１００を内部が水で満たされたＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）ボトル１４０に貼付した状態を示す。この状態に於ける通信距離は、無線タグ１００をＰＥＴボトル１４０の側面に貼付した場合が１６ｃｍ、ＰＥＴボトル１４０の底面に貼付した場合が１１ｃｍであり、いずれの場合でも、単体での通信距離を上回る良好な結果となった。

（実施例２）
図１０は、本発明による無線タグの実施例を示す透過斜視図である。さらに、図１１は、本発明を示す図で、図１０に示した無線タグ２００の断面図（図１０の正面から背面方向断面）である。無線タグ２００の外形寸法は、縦１５ｍｍ、横１５ｍｍ、高さ１２ｍｍである。アンテナ部２１０は、ガラスエポキシからなる基材１１２上に、エッチングによって銅からなるアンテナ２１１を形成し、ＩＣチップ２１３をワイヤボンディング実装し、アンテナ２１１と電気的に接続した。アンテナ２１１の１辺の長さは約１０ｍｍである。反射板２２０は鉄製の網を使用し、アンテナ部２１０とともに、ＡＢＳからなる成型樹脂２２３によって一体成型した。

図１２は、本発明の無線タグを示す図で、付設手段としてネジ２２６を設けた状態を示す。無線タグ２００の、リーダライタでの読み取り距離は、単体の場合３０ｃｍであったが、金属製筐体をもつデスクトップコンピュータに貼付したときは４５ｃｍであった。

（比較例）
図１３は、従来技術による無線タグを示す斜視図であり、比較例として作製した。無線タグ３００は、ＰＥＴ製の基材３１２上に、アルミニウムをエッチングして形成されたアンテナ３１１とＩＣチップ２１３をフリップチップ実装で接合してなる。図１４は、比較例を示す図で、無線タグ３００を金属体に貼付したときの放射特性を示す。

無線タグ３００単体では、アンテナの絶対利得０ｄＢｉであったが、金属体に貼付することにより、インピーダンスが整合しなくなる。すなわち、アンテナの放射性能自体が劣化することにより、絶対利得は−３１ｄＢｉまで劣化する。リーダライタとの通信距離は、単体で２０ｃｍであったが、金属体に貼付した場合は、２ｍｍ程度となった。

なお、従来技術としては、図１５に示したようなスペーサを有する無線タグも提案されているが、前述のとおり、可とう性を有さないために小型の金属缶に貼付することができないために、比較実験には採用しなかった。

以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれることは勿論である。

本発明の無線タグを用いることにより、一般商品等の流通管理、販売管理、在庫管理、利用状況管理に代表される多様な物品の管理において、管理する物品の材質や使用環境等に適したシステムを簡便に構築することができる。

本発明の無線タグを示す透過斜視図。 図１に示した本発明の無線タグの断面図。 本発明の実施例によるアンテナインピーダンスを示す図。 本発明の実施例によるＩＣチップのインピーダンスを示す図。 本発明の実施例による放射特性を示す図。 本発明の実施例を示す図で、図６（ａ）は正面図、図６（ｂ）は側面図。 本発明の実施例によるアンテナインピーダンスを示す図。 本発明の実施例による放射特性を示す図。 本発明の実施例を示す図。 本発明の無線タグを示す透過斜視図。 図１０に示した本発明の無線タグの断面図。 本発明の無線タグを示す図。 比較例の無線タグを示す斜視図。 比較例による放射特性を示す図。 従来例による無線タグを示す説明図。

符号の説明

１００，２００，３００ 無線タグ
１１０，２１０，３１０ アンテナ部
１１１，２１１，３１１ アンテナ
１１２，２１２，３１２ 基材
１１３，２１３，３１３ ＩＣチップ
１２０，２２０，３２０ 反射板
１２１ セラミック部
１２２ 接着部
１２４，１２５ 両面テープ
１３０ 缶
１４０ ＰＥＴボトル
２２３ 成型樹脂
２２６ ネジ
３５０ スペーサ

Claims (2)

1. 基材上に少なくとも１以上のＩＣチップとアンテナを有する無線タグであって、前記アンテナは１ターンのループアンテナであり、該ループアンテナのループの長さは、無線周波数の波長の１／２以下であり、前記ループアンテナの近傍に、前記基材と垂直となるよう導電体を配してなることを特徴とする無線タグ。
2. 前記ＩＣチップとアンテナを有する基材を誘電体部材で被覆してなることを特徴とする請求項１記載の無線タグ。

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