JP2007162572A - 電動圧縮機 - Google Patents

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【課題】液圧縮の発生を抑制、回避することのできる液圧縮防止機能を備えた電動圧縮機を提供する。また、圧縮機の機械的強度の設定を従来よりも低くすることの可能な液圧縮防止機能付き電動圧縮機を提供することも課題とする。
【解決手段】冷凍回路に設けられる電動モータを内蔵した電動圧縮機(ハイブリッド圧縮機を含む)であって、起動信号を出力する手段と、出力された信号に基づいて、モータの回転子を回転させることなくモータの巻き線を発熱させることが可能な電流をモータに通電する手段とを有することを特徴とする電動圧縮機。
【選択図】図2

Description

本発明は、電動圧縮機に関し、特に、冷凍回路、中でも車両用空調装置の冷凍回路に設けられる電動圧縮機に関する。
冷凍回路に、電動モータを内蔵した電動圧縮機が用いられることがある。本願において、電動圧縮機とは、駆動源として単に電動モータを内蔵した電動圧縮機に加え、外部駆動源(例えば、車両走行用のエンジンや車両走行用の電動モータ)により駆動される第1圧縮機構と、内蔵電動モータにより駆動される第2圧縮機構とを、一体的に組み込んだハイブリッド圧縮機(例えば、特許文献1)を含む概念である。冷凍回路に設けられる圧縮機においては、長時間放置後、または低温時圧縮機運転停止時に、冷媒が液体状態になり圧縮機内に溜まることがある。ハイブリッド圧縮機においても同様に液冷媒が圧縮機内に溜まり、現状では液冷媒が溜まったままの状態でも空調装置をオンにすれば圧縮機はそのまま起動し液圧縮を起こす。特に車両エンジン等の外部より得る動力源で駆動する圧縮機構を起動する場合、高回転のままクラッチをつなぐのが一般的であるので、液圧縮を起こした際の負荷が大変高くなる。したがって、通常、圧縮機は、液圧縮を想定し通常運転ではかからないような高負荷に耐え得る設計となっているのが現状である。
圧縮機において液凝縮が生じると、特に圧縮機を起動する際に液体状態の冷媒が圧縮され不快な音を生じることがある。また、液圧縮による高負荷に対処するために、圧縮機部材の強度を増す必要が生じるとともに、液圧縮を行なうために高トルクが必要となることから回転駆動力を発生する電動モータ、または圧縮機に外部からの回転駆動力を伝達するクラッチにも高トルクが必要とされ、その結果、圧縮機およびその周辺の機器の高価格化を招くという問題もある。
特開2004−278389号公報
そこで本発明の課題は、液圧縮の発生を抑制、回避することのできる液圧縮防止機能を備えた電動圧縮機を提供することである。また、圧縮機の機械的強度の設定を従来よりも低くすることの可能な液圧縮防止機能付き電動圧縮機を提供することも課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電動圧縮機は、冷凍回路に設けられる電動モータを内蔵した電動圧縮機であって、起動信号を出力する手段と、出力された信号に基づいて、モータの回転子を回転させることなくモータの巻き線を発熱させることが可能な電流をモータに通電する手段とを有することを特徴とするものからなる。
前述したように、本発明に係る電動圧縮機は、駆動源として単に電動モータを内蔵した電動圧縮機に加え、外部駆動源(例えば、車両走行用のエンジンや車両走行用の電動モータ)により駆動される第1圧縮機構と内蔵電動モータにより駆動される第2圧縮機構とを備えたハイブリッド圧縮機を含む概念である。
また、内蔵される上記電動モータとしては、例えばDCブラシレスモータを用いることができる。
そして例えば、このモータの一相に、通常運転時に流される運転電流とは異なる電流(通常運転時よりは弱い電流)が流される構成とすることができる。
上記モータへの通電のオン、オフ制御は、例えば、外部センサ(例えば、車両に搭載されている外気温度センサ)からの信号に基づいて行われる構成とすることができる。より具体的には、例えば、外気温度センサより信号を受け、あらかじめ外気温度に対応して設定された時間だけ、タイマによって通電を行ない、設定時間が経過した時点で通電を止め、圧縮機の通常の運転を開始するようにする。
また、上記モータへの通電のオン、オフ制御は、例えば、モータの巻き線(例えば、固定子の巻き線)の温度に基づいて行うように構成することもできる。より具体的には、例えば、固定子の巻き線温度によって、電流の流れが変化するため、電流の流れ方から巻き線の温度を割り出し、巻き線が設定したある一定温度になった時点で通電を止め、 圧縮機の通常の運転を開始するようにする。安全制御のためなどで、 圧縮機の温度を測定するセンサが既にあれば、それを利用することも可能である。
さらに、上記モータへの通電を、あらかじめ定められた一定時間行うように構成することもできる。より具体的には、例えば、通電時間をあらかじめ所定の時間に決めておき、必ずあるその一定時間通電して暖気を行った後、圧縮機の通常の運転を開始するようにする。
このような本発明に係る電動圧縮機は、特に車両用空調装置の冷凍回路に設けられて好適なものである。
このように、本発明に係る電動圧縮機においては、液圧縮防止のための構成として、圧縮機に内蔵された駆動源用の電動モータと、起動信号としての車両の使用準備信号もしくは空調装置使用の信号を出力する手段と、その出力された準備信号に基づいて(例えば、該信号を検出して)電動モータに所定時間定常電流(つまり、モータの回転子を回転させることなくモータの巻き線を発熱させることが可能な弱い電流)、もしくは該定常電流に近い作用をする周波数の低い電流を通電する通電手段が備えられており、この通電により、圧縮機を実際に回転駆動することなく、温める(暖気する)ことができる。これによって、液冷媒の発生、滞留を抑制、回避し、液圧縮を防止する。
本発明に係る電動圧縮機によれば、圧縮機内に溜まった液冷媒を圧縮機の通常運転のための起動前に気化させることが可能になり、液圧縮の発生を抑制、回避することができる。また、液圧縮を回避することにより、液圧縮による大きな負荷が発生しなくなるので、圧縮機の寿命、信頼性を改善できる。さらに、液圧縮を回避することにより、液圧縮時の不快な圧縮音を発生させることなく圧縮機の運転を行うことができる。また、液圧縮による高負荷に対処するために圧縮機部材の強化や、電動機やクラッチの高トルク化の必要性が無くなり、コストダウンをはかることができる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の適用対象となる電動圧縮機の一実施態様を示しており、とくに、ハイブリッド圧縮機の場合の一例を示している。図2は、図1のハイブリッド圧縮機に対して、本発明における定常電流通電制御を行うための概略構成を例示している。
図1に示したハイブリッド圧縮機1は、スクロール型の圧縮機からなり、第1圧縮機構2と第2圧縮機構3とを備えている。第1圧縮機構2は、固定スクロール10と、固定スクロール10とかみ合って複数対の作動空間(流体ポケット)12を形成する可動スクロール11と、可動スクロール11に係合して可動スクロール11を旋回運動させる駆動軸13と、外部駆動源としての車両走行用の原動機(図示略)からの駆動力がベルトを介して伝達されるプーリ14と駆動軸13との間の駆動力伝達をオン、オフする電磁クラッチ15と、可動スクロール11の自転を阻止するボールカップリング16と、ケーシング17に形成された吸入ポート18とを備えている。吸入ポート18から吸入通路19を通して吸入室20へと吸入された被圧縮ガス(たとえば、冷媒ガス)は、作動空間12内に取り込まれ、作動空間12が体積を減少させつつ固定スクロール10の中心へ向けて移動されることにより、作動空間12内の冷媒ガスが圧縮される。固定スクロール10の中央部には吐出穴21が形成されており、圧縮された冷媒ガスは吐出穴21、吐出通路22、吐出ポート23を介して外部冷媒回路の高圧側へ流出される。
一方、第2圧縮機構3は、固定スクロール30と、固定スクロール30とかみ合って複数対の作動空間(流体ポケット)32を形成する可動スクロール31と、可動スクロール31に係合して可動スクロール31を旋回運動させる駆動軸33と、可動スクロール31の自転を阻止するボールカップリング34とを備えている。この第2圧縮機構3の駆動軸33を駆動するために、電動モータ35が内蔵されている。電動モータ35は、例えば三相交流電動モータからなる。電動モータ35は、駆動軸33に固定された回転子36と、モータコイル部を備えた固定子(ステータ)37とを有しており、固定子37は、ステータハウジング38に、または圧縮機ハウジングの一部として形成されたステータハウジング38に固定されるとともに、電動モータ35全体がステータハウジング38内に収納されている。電動モータ35へは、給電部50を介して給電される。この第2圧縮機構3においては、吸入ポート18から第1圧縮機構2の吸入室20へと吸入された被圧縮ガス(たとえば、冷媒ガス)が、連通路39を通して第2圧縮機構3の吸入室40および電動モータ35部分に吸入され、吸入室40に吸入されたガスは作動空間32内に取り込まれ、作動空間32が体積を減少させつつ固定スクロール30の中心へ向けて移動されることにより、作動空間32内の冷媒ガスが圧縮される。固定スクロール30の中央部には吐出穴41が形成されており、圧縮された冷媒ガスは吐出穴41、吐出通路42を介して外部冷媒回路の高圧側へ流出される。
第1圧縮機構2の固定スクロール10と第2圧縮機構3の固定スクロール30とは背中合わせに配設されており、かつ、両固定スクロール10、30は一体化された固定スクロール部材43として形成されている。この例では、この固定スクロール部材43に連通路39が形成されている。
ハイブリッド圧縮機1の第1圧縮機構2のみが稼働される場合には、第2圧縮機構3を駆動する電動モータ35には電力は供給されず、電動モータ35は回転しない。従って第2圧縮機構3は作動しない。ハイブリッド圧縮機1が電動モータ35のみにより駆動される場合には、電動モータ35がオンされて回転し、電動モータ35の回転が第2圧縮機構3の駆動軸33へ伝達され、駆動軸33により可動スクロール31が旋回駆動される。このとき、第1圧縮機構2の電磁クラッチ15には通電されず、第1駆動源としての車両用原動機の回転は第1圧縮機構2へは伝達されない。従って第1圧縮機構2は作動しない。両圧縮機構2、3が同時駆動される場合には、車両用原動機からの駆動力が第1圧縮機構2の可動スクロール11に伝達されるとともに、電動モータ35がオンされてその駆動力が第2圧縮機構3の可動スクロール31に伝達される。
このように構成されたハイブリッド圧縮機1において、通常の空調運転時(通常の圧縮機運転時)には、冷房負荷等に応じて、第1圧縮機構2、第2圧縮機構3の切り替えや同時運転の制御が行われる。例えば、車室内側で大きな冷房能力を必要としない軽負荷状態では、容量の小さいモータ側単独運転又は、モータ側に対し容量の大きい外部駆動源側が低回転かつモータ運転する同時運転モードで運転される。モータ運転は、例えば、専用の駆動制御回路から指令に基づき、モータに高電圧部からのパルス電圧をduty制御印加することにより、回転数を制御し運転される。モータ巻き線部は抵抗をもっており、抵抗に電流が流れることになり、モータ巻き線部では発熱する。冷媒がモータ巻き線部を通過する、或いは、モータ巻き線部からステータハウジング側へ伝熱し、ステータハウジングから大気等への放熱により、モータ巻き線部が冷却されることになる。モータ巻き線部の温度は、前述の発熱量と放熱量のバランスに依存し決定される。
このような構成を有するハイブリッド圧縮機1に対して、例えば、図2に示すような本発明によるモータ巻き線部の発熱機構が設けられる。起動信号60としては、例えば車両のエンジン起動信号や空調装置の起動信号を用いることができ、出力された信号を例えばインバータ61で検出すると、例えば圧縮機1に内蔵された三相交流電動モータ35の三相のうちある一相に、通常運転時に流れる三相交流電流とは異なる、回転磁界を発生させないような直流電流もしくは周波数の低い電流(定常電流62)が通電手段により所定時間通電されるようになっており、電動モータ35の回転子を回転させることなく電動モータ35の巻き線を発熱させる。この発熱により、冷媒の気化が促進され、圧縮機1の通常運転のための起動時における液圧縮の発生が抑制、回避されることとなる。
なお、前述したように、上記通電を止め圧縮機1の通常運転を開始するタイミングの制御方法としては、例えば次のような手法を挙げることができる。
(1)車両側に搭載されている外気温度センサより信号を受け、あらかじめ外気温度に対応して設定された時間だけ、タイマによって通電を行ない、設定時間が経過した時点で通電を止め、圧縮機1を運転し始める。
(2)固定子の巻き線温度によって電流の流れが変化するため、電流の流れ方から巻き線温度を割り出し、巻き線が設定したある一定温度になった時点で通電を止め、 圧縮機1を運転し始める。安全制御のためなどで、 圧縮機1の温度を測定するセンサが既にある場合には、それを利用することも可能である。
(3)通電時間をあらかじめ決めておき、必ずある一定時間暖気を行った後で圧縮機1の運転を開始する。
本発明に係る電動圧縮機は、とくに車両用空調装置の冷凍回路に設けられる圧縮機として好適である。
本発明の適用対象である電動圧縮機(ハイブリッド圧縮機)の一例を示す縦断面図である。 図1の電動圧縮機に本発明を適用した場合の一例を示す、圧縮機および電気回路の概略構成図である。
符号の説明
1 ハイブリッド圧縮機
2 第1圧縮機構
3 第2圧縮機構
10 固定スクロール
11 可動スクロール
13 駆動軸
14 プーリ
15 電磁クラッチ
16 ボールカップリング
18 吸入ポート
19 吸入通路
20 吸入室
21 吐出穴
22 吐出通路
23 吐出ポート
30 固定スクロール
31 可動スクロール
33 駆動軸
34 ボールカップリング
35 電動モータ
36 回転子
37 モータコイル部(ステータ)
38 ステータハウジング
39 第1の連通路
40 吸入室
41 吐出穴
42 吐出通路
43 固定スクロール部材
50 給電部
60 起動信号
61 インバータ
62 定常電流

Claims (8)

  1. 冷凍回路に設けられる電動モータを内蔵した電動圧縮機であって、起動信号を出力する手段と、出力された信号に基づいて、モータの回転子を回転させることなくモータの巻き線を発熱させることが可能な電流をモータに通電する手段とを有することを特徴とする電動圧縮機。
  2. 外部駆動源により駆動される第1圧縮機構と内蔵電動モータにより駆動される第2圧縮機構とを備えたハイブリッド圧縮機からなる、請求項1に記載の電動圧縮機。
  3. 電動モータがDCブラシレスモータからなる、請求項1または2に記載の電動圧縮機。
  4. モータの一相に、通常運転時に流される運転電流とは異なる電流が流される、請求項3に記載の電動圧縮機。
  5. 前記モータへの通電のオン、オフ制御が、外部センサからの信号に基づいて行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の電動圧縮機。
  6. 前記モータへの通電のオン、オフ制御が、モータの巻き線の温度に基づいて行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の電動圧縮機。
  7. 前記モータへの通電が、あらかじめ定められた一定時間行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の電動圧縮機。
  8. 車両用空調装置の冷凍回路に設けられるものである、請求項1〜7のいずれかに記載の電動圧縮機。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010106807A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Denso Corp 電動圧縮機およびヒートポンプシステム並びにヒートポンプシステムの制御方法
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