JP2007162176A - 中空糸及び燃料電池用加湿器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温時における加湿耐久性と耐溶出性に優れ、例えば燃料電池用加湿器に好適に使用することができる中空糸を提供する。
【解決手段】ポリサルホンから成る基材と、ポリビニルピロリドンから成る親水性剤と、上記基材に架橋された酸化防止剤を含む中空糸である。上記基材と酸化防止剤との架橋鎖が中空糸の内壁側に偏在している。中空糸の肉厚の内壁側10%以内に、架橋されている酸化防止剤の90%以上が集中している。酸化防止剤はフェノール系化合物が好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】ポリサルホンから成る基材と、ポリビニルピロリドンから成る親水性剤と、上記基材に架橋された酸化防止剤を含む中空糸である。上記基材と酸化防止剤との架橋鎖が中空糸の内壁側に偏在している。中空糸の肉厚の内壁側10%以内に、架橋されている酸化防止剤の90%以上が集中している。酸化防止剤はフェノール系化合物が好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、高温における加湿耐久性と耐溶出性に優れた中空糸と、このような中空糸を用いた燃料電池用加湿器に関するものである。
家庭用の浄水器や、人工腎臓など医療用途に使用される中空糸としては、ポリスルホン系樹脂を基材とし、ポリビニルピロリドンを親水性成分として使用し、乾燥によるポリビニルピロリドンの分解抑制手段として、乾燥時に低酸素濃度雰囲気下で処理することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、例えばスルホン酸基を有するフッ素樹脂系イオン交換膜のような高分子電解質膜(PEM)を電解質として用いる固体高分子形燃料電池(PEFC)においては、水素イオン透過性を確保するために、当該高分子イオン交換膜を常に十分な保湿状態に保持しておく必要があり、このような燃料電池用加湿器に使用される中空糸においては、その使用環境が、上記浄水器や医療用途での使用環境よりも大幅に高温側にシフトすることになるため、上記のような浄水器や医療用のものを使用すると、ポリビニルピロリドンの分解によるよる透水性能低下が大きくなるという問題がある。
また、燃料電池用加湿器においては、燃料電池に送付する空気中に不純物が含まれると、燃料電池の寿命低下を惹き起こす可能性があるため、中空糸材料からの酸化防止剤などに起因するイオンの溶出を抑制する必要がある。すなわち、燃料電池用加湿器に使用する中空糸には、高温での加湿性能の劣化が少なく、しかも溶出性が低い材料を使用することが必要となる。
なお、固体高分子形燃料電池に用いられる加湿器は、所定長さに切断した多数の中空糸を束ね、両端部分において隣接する中空糸同士の隙間を樹脂で封止すると共に、各中空糸の中空部内を開放した状態で、ケース内に収納した構造を有している。
そして、上記加湿器の使用法の一例として、各中空糸の外壁側面には、スタックから排出された湿潤空気が供給される一方、中空部内には、乾燥した高温の空気(スイープガス)が送給されることから、排出空気に含まれる水分のみが中空糸側面の微細孔を透過してスイープガスに混合され、加湿空気となって燃料電池スタックに供給されるようになっている。
そして、上記加湿器の使用法の一例として、各中空糸の外壁側面には、スタックから排出された湿潤空気が供給される一方、中空部内には、乾燥した高温の空気(スイープガス)が送給されることから、排出空気に含まれる水分のみが中空糸側面の微細孔を透過してスイープガスに混合され、加湿空気となって燃料電池スタックに供給されるようになっている。
一方、シラン架橋ポリエチレン管において、熱水による酸化防止剤の溶出を抑制して、管の化学劣化防止機能の低下を防止するために、シラン変性ポリエチレンと、ポリブテン−1に酸化防止剤を含有させたマスターバッチとを混和して成る樹脂組成物を押出成形した後、シラノール縮合触媒の存在下で架橋させることが提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−353142号公報
特開平9−208766号公報
しかしながら、上記架橋ポリエチレン管における酸化防止剤の溶出抑制技術をポリスルホンを基材とする中空糸に応用したとしても、酸化防止剤を基材ポリマーに単純に架橋しただけでは、酸化防止剤が中空糸膜中にランダムに存在することになるため、酸化防止剤が希薄な部位でポリビニルピロリドンの酸化分解が生じ、酸化による性能低下を必ずしも有効に防止することができないという問題がある。
また、ポリビニルピロリドンに直接架橋させることによって当該ポリビニルピロリドンの酸化分解を抑制することができなくはないが、この場合には酸化防止剤が水分吸着の障壁となるため、中空糸の透水性能が低下してしまうという問題点がある。
本発明は、従来の浄水器や医療用の中空糸を燃料電池用加湿器に使用した場合における上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高温時における加湿耐久性と耐溶出性に優れ、燃料電池用の加湿器を始めとする各種機器に好適に使用することができる中空糸と、このような中空糸を適用した燃料電池用加湿器を提供することにある。
本発明者らは、上記課題の解決に向けて、酸化防止剤や架橋剤の種類、架橋方法などについて鋭意検討を繰り返した結果、高湿度空気と接する中空糸の外壁面側に較べて、大幅に高温の乾燥空気と接する中空糸の内壁面側に架橋鎖を集中させることによって、ポリビニルピロリドンへの水分吸着を阻害することなく、ポリビニルピロリドンの酸化分解を最小限に抑制することができ、もって上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の中空糸は、ポリスルホン(PSU)から成る基材と、ポリビニルピロリドン(PVP)から成る親水性剤と、上記基材に架橋されている酸化防止剤を含有するものであって、上記基材と酸化防止剤との架橋鎖が上記中空糸の内壁側に偏在していることを特徴としている。
また、本発明の燃料電池用加湿器においては、本発明の上記中空糸が使用されていることを特徴としている。
本発明によれば、酸化防止剤が基材であるポリスルホンに架橋されているので、ポリビニルピロリドンによる親水性を確保して、高温時における加湿性を発揮すると共に、架橋構造となっていることによって、成分の溶出を効果的に防止することができる。さらに、高温に曝されて酸化され易い中空糸の内面側に架橋鎖が偏在し、酸化防止剤が集中しているので、ポリビニルピロリドンの酸化分解をより効果的に防止することができ、長期に亘って加湿耐久性を得ることができる。
そして、本発明の中空糸は、上記のように高温時における加湿耐久性及び耐溶出性に優れたものであるからして、燃料電池用の加湿器に特に好適に使用することができ、当該中空糸を適用した燃料電池用加湿器においては、その性能を長期に亘って発揮することができる。
以下、本発明の中空糸について、その製造方法や各種数値の限定理由などと共に、さらに詳細に説明する。なお、当該明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を意味するものとする。
本発明の中空糸は、ポリスルホンから成る基材と、ポリビニルピロリドンから成る親水性剤と、酸化防止剤を含み、上記基材と酸化防止剤との間を架橋する架橋鎖が当該中空糸の内壁側に偏在していることを特徴とするものであるが、具体的には、図1に模式的に示すように、当該中空糸の肉厚の内壁側10%以内の範囲に架橋されている酸化防止剤の90%以上が集中しているようにすることが望ましい。
これは、内壁側10%の範囲内における架橋されている酸化防止剤の量が含有されている全酸化防止剤の90%に満たない場合には、ポリビニルピロリドンの酸化劣化、分解の進行が早くなるため、加湿耐久性の低下、イオン溶出性が大となる傾向があることによる。
これは、内壁側10%の範囲内における架橋されている酸化防止剤の量が含有されている全酸化防止剤の90%に満たない場合には、ポリビニルピロリドンの酸化劣化、分解の進行が早くなるため、加湿耐久性の低下、イオン溶出性が大となる傾向があることによる。
なお、図中において、ジグザグ上の折れ線は基材:ポリスルホン、二重線は親水性剤:ポリビニルピロリドン、△は酸化防止剤をそれぞれ示すものである。
また、酸化防止剤としては、特に限定されることはなく、高温環境下において、より安定した酸化防止機能を発揮できることから、フェノール系の酸化防止剤や、1つの架橋部における酸化防止範囲を大きくすることができることから、酸化防止機能を有する官能基、例えば水酸基や、3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシフェニル基、2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル基などを2つ以上有するものを使用することが望ましい。
ここで、フェノール系の酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−o−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールなどを挙げることができ、酸化防止機能を有する官能基を2つ以上有する酸化防止剤としては、例えば、2,2´−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)・1,1,3−トリス(2−2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどを挙げることができる。
さらには、2つ以上の酸化防止機能官能基を有するフェノール系酸化防止剤である、例えば、4,4´−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを用いることがより望ましい。
また、ポリスルホンから成る基材に、上記のような酸化防止剤を架橋するための架橋剤についても、特に限定されることはなく、未反応架橋剤の溶出性の観点から、有機過酸化物系の架橋剤を用いることが望ましい。
このような有機過酸化物系の架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド、α−α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3などを挙げることができる。
このような有機過酸化物系の架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド、α−α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3などを挙げることができる。
すなわち、上記以外の架橋方法としては、紫外線架橋や、硫黄系の架橋剤(加硫剤)を用いることが考えられるが、このうち硫黄系架橋剤を使用した場合には、当該中空糸の燃料電池用加湿器への適用を考慮すると、未反応架橋剤の溶出によって、燃料電池の発電性能が低下する懸念がある。
一方、紫外線架橋を適用した場合には、酸化防止剤自体が紫外線によって酸化してしまうため、酸化防止効果が得られなくなるため、好ましくない。
一方、紫外線架橋を適用した場合には、酸化防止剤自体が紫外線によって酸化してしまうため、酸化防止効果が得られなくなるため、好ましくない。
さらに、本発明の中空糸におけるポリスルホン含有量に対するポリビニルピロリドンの含有比率(PVP/PSU)を質量比で5〜20%の範囲とすることと共に、上記ポリスルホン含有量に対する酸化防止剤の含有比率(酸化防止剤/PSU)を質量比で0.5〜1.5%の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
すなわち、ポリスルホンに対するポリビニルピロリドンの成分比率(PVP/PSU)が5%未満の時には、中空糸への水分吸着性が十分に得られず、水分透過性能の点で好ましくなく、逆に20%を超えると、中空糸の母材強度が低下し、所望の強度が確保できなくなる可能性があることによる。
また、ポリスルホン含有量に対する酸化防止剤の含有比率(酸化防止剤/PSU)が0.5%未満の場合には、酸化防止効果が十分に得られなくなる傾向があり、耐熱寿命の点で好ましくない。一方、1.5%を超えると、紡糸原液の調整時に酸化防止剤が析出する可能性があり、紡糸性の点で好ましくないことによる。
次に、本発明の中空糸の製造方法について簡単に説明する。
まず、紡糸原液の配合比については、例えば、ポリスルホン(基材):15〜25重量部、ポリビニルピロリドン(親水性剤):10〜20重量部、酸化防止剤:3〜8重量部、架橋剤:2〜4重量部、有機性溶媒:52〜63重量部の範囲とすることが望ましい。
ここで、親水性剤であるポリビニルピロリドン(PVP)の上記配合量については、その配合比が10重量部に満たない場合には、親水性能が低下し、所期の透水性能を得ることができなくなる傾向がある一方、20重量部を超えて配合したとしても、透水性能がそれ以上変化しないことによる。
また、上記酸化防止剤の配合量については、それが8重量部を超えても、酸化に対する防止・抑制効果がそれ以上向上せず、逆に3重量部を割ると、中空糸内面における酸化防止剤の濃度を高めることができず、ポリビニルピロリドン(PVP)の酸化分解を抑制することができなくなる可能性があることによる。
当該中空糸の紡糸に際しては、二重環状ノズルを用い、該ノズルに芯液としてジメチルアセトアミドなどの水溶性有機溶剤を流しながら、上記紡糸原液を吐出させる。
このとき、吐出された糸状の未凝固原液を一旦5cm程度の長さに亘って空気中を通過させたのち、質量比で40〜60%程度の濃度に調整した上記水溶性有機溶剤の水溶液から成る50℃程度の凝固液中に導き、当該凝固液中で凝固させ、これによって中空糸が得られる。
このとき、吐出された糸状の未凝固原液を一旦5cm程度の長さに亘って空気中を通過させたのち、質量比で40〜60%程度の濃度に調整した上記水溶性有機溶剤の水溶液から成る50℃程度の凝固液中に導き、当該凝固液中で凝固させ、これによって中空糸が得られる。
次に、得られた中空糸の中空部内に、130〜140℃程度の乾燥空気を1〜3時間流すことによって、酸化防止剤のポリスルホン(基材)への架橋を行なう。
また、ポリビニルピロリドン(親水性剤)には、親水部に水分が吸着していて、酸化防止剤の架橋鎖が近づき難くなるため、酸化防止剤は基材であるポリサルホンに選択的に架橋されることになる。
最後に、架橋処理を終えた中空糸に対して、90℃程度の温水中での流水洗浄を3〜4時間程度施し、これによって中空糸中に残存している溶剤を除去する。
本発明の中空糸は、上記したように、高温使用に際しても透水耐久性及び耐溶出性に優れたものであるからして、燃料電池用加湿器を始めとして、蒸気滅菌装置など、種々の装置に適用することが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されることはない。
(実施例1)
化学式1に示すポリスルホン(アモコ社製 P−3500)を基材として20重量部、化学式2に示すポリビニルピロリドン(BASF社製 K−90)を親水性剤として15重量部、化学式3に示す4,4´−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)をフェノール系酸化防止剤として5重量部、α−α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンを有機過酸化物系架橋剤として3重量部、ジメチルアセトアミドを水溶性有機溶剤として57重量部を混合溶解することにより、紡糸原液を調整した。
化学式1に示すポリスルホン(アモコ社製 P−3500)を基材として20重量部、化学式2に示すポリビニルピロリドン(BASF社製 K−90)を親水性剤として15重量部、化学式3に示す4,4´−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)をフェノール系酸化防止剤として5重量部、α−α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンを有機過酸化物系架橋剤として3重量部、ジメチルアセトアミドを水溶性有機溶剤として57重量部を混合溶解することにより、紡糸原液を調整した。
次に、二重環状ノズルに芯液としてジメチルアセトアミドを流しながら、上記により調整した紡糸原液を吐出させ、5cmの長さに亘って空気中を一旦通過させた後、水とジメチルアセトアミドを質量比で50:50に調整した50℃の凝固液中に導くことによって凝固させ、中空糸を得た。
得られた中空糸の中空部内に、130℃の乾燥空気を3時間流すことによって、酸化防止剤のポリスルホン(基材)への架橋を行なった。
そして、架橋処理後の中空糸を90℃の温水中で3時間流水洗浄し、これによって中空糸中の溶剤を除去した。
そして、架橋処理後の中空糸を90℃の温水中で3時間流水洗浄し、これによって中空糸中の溶剤を除去した。
(実施例2)
酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを5重量部使用したこと以外は、上記実施例1と同様の紡糸原液を調整し、この紡糸原液を用いて、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例に係わる中空糸を得た。
酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを5重量部使用したこと以外は、上記実施例1と同様の紡糸原液を調整し、この紡糸原液を用いて、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例に係わる中空糸を得た。
(比較例1)
有機過酸化物系架橋剤であるα−α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンを配合から除いたこと以外は、上記実施例1と同様の紡糸原液を調整し、この紡糸原液を用いて、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該比較例に係わる中空糸を得た。
有機過酸化物系架橋剤であるα−α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンを配合から除いたこと以外は、上記実施例1と同様の紡糸原液を調整し、この紡糸原液を用いて、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該比較例に係わる中空糸を得た。
(比較例2)
上記実施例1で調整した紡糸原液を用いて、同様の中空糸を紡糸した後、中空部内に高温の乾燥空気を流す架橋処理を行なうことなく、同様の流水洗浄のみを施すことによって、当該比較例に係わる中空糸を得た。
上記実施例1で調整した紡糸原液を用いて、同様の中空糸を紡糸した後、中空部内に高温の乾燥空気を流す架橋処理を行なうことなく、同様の流水洗浄のみを施すことによって、当該比較例に係わる中空糸を得た。
(比較例3)
上記実施例1で調整した原液を紡糸するに際して、芯液と凝固液を同一の液(水:ジメチルアセトアミド=50:50の溶液)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該比較例に係わる酸化防止剤の偏在のない中空糸を得た。
上記実施例1で調整した原液を紡糸するに際して、芯液と凝固液を同一の液(水:ジメチルアセトアミド=50:50の溶液)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該比較例に係わる酸化防止剤の偏在のない中空糸を得た。
(性能評価)
上記実施例及び比較例によって得られたそれぞれの中空糸について、酸化防止剤の架橋構造の有無や、内壁面側10%以内の位置における酸化防止剤の偏在比率、さらには中空糸に含まれる(PVP/PSU)や(酸化防止剤/PSU)の成分比率を測定した。
そして、これら中空糸の製造直後と耐久試験後について、加湿性能を調査すると共に、高温の純水中に浸漬した場合の成分の溶出性について評価した。これらの結果を表1に示す。
上記実施例及び比較例によって得られたそれぞれの中空糸について、酸化防止剤の架橋構造の有無や、内壁面側10%以内の位置における酸化防止剤の偏在比率、さらには中空糸に含まれる(PVP/PSU)や(酸化防止剤/PSU)の成分比率を測定した。
そして、これら中空糸の製造直後と耐久試験後について、加湿性能を調査すると共に、高温の純水中に浸漬した場合の成分の溶出性について評価した。これらの結果を表1に示す。
なお、各性能の評価方法は、以下の要領による。
(1)酸化防止剤の架橋構造有無
非架橋品(架橋剤あり−熱処理なし)と架橋処理品についてFT−IR、NMRの測定を行い、官能基の有無、結合状態の変化により、架橋状態であることを確認した。
(1)酸化防止剤の架橋構造有無
非架橋品(架橋剤あり−熱処理なし)と架橋処理品についてFT−IR、NMRの測定を行い、官能基の有無、結合状態の変化により、架橋状態であることを確認した。
(2)酸化防止剤の偏在状態、全体量における含有比率
酸化防止剤の偏在状態については、FT−IRにより、酸化防止剤と母材に固有の官能基のピーク強度を測定し、この測定値に基づいて、既知の含有比率で均等に作成したものから求めた検量線によって定量する。これを断面方向に10等分して測定し、それぞれの部位における比率を求める。これらの値に基づいて、内壁側10%における酸化防止剤比率、PSU全体に対する酸化防止剤量を求める。
酸化防止剤の偏在状態については、FT−IRにより、酸化防止剤と母材に固有の官能基のピーク強度を測定し、この測定値に基づいて、既知の含有比率で均等に作成したものから求めた検量線によって定量する。これを断面方向に10等分して測定し、それぞれの部位における比率を求める。これらの値に基づいて、内壁側10%における酸化防止剤比率、PSU全体に対する酸化防止剤量を求める。
(3)PVPの成分比率
中空糸をPVPが溶解する溶剤(ジメチルアセトアミド等)に溶かし、溶解前後の重量からPVP含有量を算出する。
中空糸をPVPが溶解する溶剤(ジメチルアセトアミド等)に溶かし、溶解前後の重量からPVP含有量を算出する。
(4)加湿性能
中空糸の内部と外部をポッティングなどにより隔てておき、中空糸内部に乾燥空気を流すと共に、中空糸外部に加湿空気を流し、このときの乾燥空気及び加湿空気の入り口、出口部における温度、湿度、圧力、流量を測定し、透過係数として算出する。また、130℃×200時間の耐久処理を行ったものについても、同様に透過係数を算出する。
中空糸の内部と外部をポッティングなどにより隔てておき、中空糸内部に乾燥空気を流すと共に、中空糸外部に加湿空気を流し、このときの乾燥空気及び加湿空気の入り口、出口部における温度、湿度、圧力、流量を測定し、透過係数として算出する。また、130℃×200時間の耐久処理を行ったものについても、同様に透過係数を算出する。
(5)溶出性
中空糸と純水を容器に入れ、90℃×168時間の処理を行い、処理前後の導電率の測定値に基づいて、溶出性を評価する。なお、当該溶出性については、実施例1の溶出量を「100」とした時の相対値で示している。
中空糸と純水を容器に入れ、90℃×168時間の処理を行い、処理前後の導電率の測定値に基づいて、溶出性を評価する。なお、当該溶出性については、実施例1の溶出量を「100」とした時の相対値で示している。
表1の結果から明らかなように、本発明の中空糸においては、高温耐久使用後の加湿性能保持率が従来のものと較べて約20%向上することが確認され、溶出性についても、従来に較べて低くなることが確認できた。
これに対して、比較例1においては、紡糸原液中に酸化防止剤が配合されていないことから、高温使用時におけるポリビニルピロリドンの分解を避けることができず、耐久後の純水透過性が低下すると共に、分解生成物の溶出によって溶出性も高くなっている。
さらに、比較例2においては、酸化防止剤が配合されているものの、架橋処理がなされていないことから、耐久後の純水透過性が酸化防止剤の溶出のために低下した。また、酸化防止剤、ポリビニルピロリドンの分解生成物の溶出によって、溶出性も高くなる結果となった。
さらに、比較例2においては、酸化防止剤が配合されているものの、架橋処理がなされていないことから、耐久後の純水透過性が酸化防止剤の溶出のために低下した。また、酸化防止剤、ポリビニルピロリドンの分解生成物の溶出によって、溶出性も高くなる結果となった。
Claims (8)
- ポリスルホンから成る基材と、ポリビニルピロリドンから成る親水性剤と、上記基材に架橋されている酸化防止剤を含み、上記基材と酸化防止剤との架橋鎖が上記中空糸の内壁側に偏在していることを特徴とする中空糸。
- 上記中空糸の肉厚の内壁側10%以内に、架橋されている酸化防止剤の90%以上が集中していることを特徴とする請求項1に記載の中空糸。
- 上記酸化防止剤がフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の中空糸。
- 上記酸化防止剤が酸化防止機能を有する官能基を2つ以上有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の中空糸。
- 上記基材に酸化防止剤が有機過酸化物系架橋剤によって架橋されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の中空糸。
- ポリスルホンに対するポリビニルピロリドンの成分比率が質量比で5〜20%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の中空糸。
- ポリスルホンに対する酸化防止剤の成分比率が質量比で0.5〜1.5%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の中空糸。
- 請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の中空糸を用いたことを特徴とする燃料電池用加湿器。
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2005
- 2005-12-15 JP JP2005361695A patent/JP2007162176A/ja active Pending
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