JP2007160227A - 触媒反応器および反応法。 - Google Patents

触媒反応器および反応法。 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な手法で形成できる、微小反応空間を有する触媒反応器を提供する。
【解決手段】反応流体の入口5、および、反応流体の出口6を有し、かつ、微小反応流路3を有する流通式の不均一系触媒反応器であって、表面に相当直径10〜2000μmの微小溝からなる流路を有する流路プレート1の流路形成面と、表面に膜厚10〜2000μmの薄膜状触媒4を固定化した触媒プレート2の薄膜状触媒面とを互いに密着させて反応空間を形成してなる触媒反応器において、該触媒プレートが、該流路プレートの流路を覆うに十分の広さで深さ10〜2000μmの凹部を有し、圧縮固定化された薄膜状触媒にて該凹部が埋められてなるものとする。
【効果】微小反応空間における触媒の固定化を簡便に実施することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、微小反応空間を有する固定床流通式触媒反応器に関するものである。
近年、マイクロ反応器、すなわち、マイクロメートルオーダー(数μm〜数千μm)の微小反応空間を用いた反応器についての研究が盛んに行われてきている。それらの研究の中には、固体触媒反応を実施するためのマイクロ反応器の例も、いくつか報告されている。
マイクロ反応器を固体触媒反応に適用することで、用いる触媒の量は極めて少なくすることができる。また、微小反応空間では、物質および熱の輸送に要する時間が短縮できることから、拡散現象を用いる混合や熱交換に有利である。しかしながら、微小反応空間を形成する手法については、幾つかの報告例があるにとどまり、未だその設計論は確立されてない。
例えば、非特許文献1には、アルミニウム基板上の微細な溝の表面を陽極酸化により多孔質化したのちパラジウム触媒を担持することで、マイクロ触媒反応器を形成した例が紹介されている。また、非特許文献2には、ステンレス鋼基板上の微細な溝の表面へゼオライト触媒を成膜することで、マイクロ触媒反応器を形成した例が紹介されている。
しかしながら、これらの触媒反応器を形成する際には、触媒を固定化する方法が煩雑であり、数多くの工程を経る必要がある、触媒の種類によってプロセスが異なる、などの問題点があった。また、これらの方法のように、いったん触媒を固定化してしまうと、触媒の性能が劣化した場合に触媒膜のみを交換することは困難と思われる。触媒を交換するに当たっては、高価なマイクロ加工を施した基板自体を取り替える必要があり、コスト面で大きな問題である。
これらに対し、より簡便な方法で触媒を固定化する技術も幾つか開発されている。特許文献1には、触媒微粉末をキャリアガスとともに微小ノズルから吹き付け、マイクロ流路内の壁面へ固定化する方法が記載されている。この方法では、触媒の成膜操作は比較的容易に行うことができるが、固定化した触媒の交換については記載されていない。またこの方法では、触媒薄膜における膜厚の精度や再現性が悪く、膜厚の計測においても煩雑な作業を要するものと思われる。特許文献2には、事前に薄板状の触媒を合成し、マイクロ流路内へ装入する方法が記載されている。この方法では、触媒膜の交換を容易に実施することが可能だが、この方法でも、触媒薄膜の膜厚の高精度化や再現、寸法計測において比較的困難さが伴うものと思われる。また、薄板状の触媒の合成は、一般的な粉末状の触媒に適用することは難しい。
また、固定床流通式触媒反応器の簡便な作成方法として、球状触媒の充填方式も考えられるが、一般的な粉末状の触媒に適用するには、造粒や分級の工程が必要である。また触媒反応に使用する際には、圧力損失が大きい、触媒の劣化が生じやすいなどの問題点がある。
特開2003-245562号公報 特表2005-169213号公報 Ind. Eng. Chem. Res., vol.35(1996), pp.4412-4416 Microporous and Mesoporous Materials, vol.42(2001), pp.157-175
本発明の目的は、従来技術における上記したような問題点を解決し、簡便な手法で形成できる、微小反応空間を有する触媒反応器を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、2種類の平板を互いに密着させることによって、微小反応空間を有する触媒反応器を簡便に形成でき、かつ、一般的に入手可能な粉末状触媒の圧縮成形法によって、寸法の精度・再現性の良い薄膜状触媒を微小反応空間へ容易に固定化できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、少なくとも1つの反応流体の入口、および、少なくとも1つの反応流体の出口を有し、かつ、少なくとも1つの微小反応空間を有する流通式の不均一系触媒反応器であって、(ア)表面に相当直径10〜2000μmの微小溝からなる流路を有する流路プレートの流路形成面と、(イ)表面に膜厚10〜2000μmの薄膜状触媒を固定化した触媒プレートの薄膜状触媒面とを互いに密着させて反応空間を形成してなる触媒反応器において、該触媒プレートが、該流路プレートの流路を覆うに十分の広さで深さ10〜2000μmの凹部を有し、圧縮固定化された薄膜状触媒にて該凹部が埋められてなるものであることを特徴とする触媒反応器である。
本発明においては、前記触媒プレートが、中央部分に貫通孔を有する枠板、枠板の貫通孔に挿入され、枠板より厚さが10〜2000μm薄い押し駒およびこれらを流路プレートに固定する抑え板から構成されるものであって、前記薄膜状触媒が、該枠板とその貫通孔に挿入された押し駒との厚み差により形成される凹部に固定化されたものであること、また、前記薄膜状触媒が、粉末状のゼオライト触媒を圧縮固定化したものである触媒反応器である。
また、本発明は、上記の触媒反応器へ、反応流体として反応基質を含む流体を導入することを特徴とする触媒反応法であり、前記反応流体が、反応基質および酸化剤を含む流体であること、前記反応基質および酸化剤を含む流体が液体である触媒反応法である。
本発明の触媒反応器では、薄膜状触媒の固定化および交換を極めて簡便に実施でき、良好な反応空間を維持した触媒反応の実施ができるものである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
が、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
本発明の触媒反応器を適宜、添付の図面を用いて説明する。
図1および図7は、本発明の触媒反応器の断面模式図の例である。図1では、微小な凹部3(流路)を有する平板(流路プレート1)を1枚と、薄膜状触媒4を圧縮成型法によって固定化した平板(触媒プレート2)を1枚とから構成される。図7では、微小な凹部3(流路)を両面に形成した平板(流路プレート1)を1枚と、その両面の微小な凹部3(流路)に接するように薄膜状触媒4を圧縮成形法によって固定化した平板(触媒プレート2)を2枚とから構成される。
図2、5および6は、本発明の触媒反応器の流路プレート1の例である。
図2において、1つの反応流体の入口(5)、1つの渦巻き状の微小反応流路(3)、および、1つの反応流体の出口(6)を有する。
図5において、中心で交わる放射線状に8本の微小反応流路(3)形成し、その流路の外周囲部でそれぞれ2本をつなぎ、そのつなぎ流路の中央に反応流体の流入口として貫通孔(5)を合計で4穴、また、8本の微小反応流路(3)の交点に流出口として貫通孔(6)を形成したものである。
また、図6は、図7に用いることを目的としたものであって、2重の渦巻き状の微小反応流路(3)を両面に形成し、その流路3の一方の端(11)が反応流体の入口(5)または出口(6)とつながり、反対側の端に反対面に形成した流路3の端に導通する貫通孔(10)を形成したものである。
本発明において、微小反応流路3の相当直径は、10〜2000μm、好ましくは、200〜1000μmの寸法とする。なお、微小反応流路の相当直径とは、微小反応流路を反応流体の進行方向に垂直な断面で切断した場合について、4×S(断面積)×L(周の長さ)で定義される値である。相当直径が2000μmを超えると微小反応器を用いることによる高い除熱効率の確保、およびそれに伴う反応成績の向上を充分に得ることができない。また、相当直径が10μm未満では反応流体の流通抵抗が大きくなり過ぎ、処理効率が低下する。
上記に例示したように、流路プレートにおける微小反応流路3の形状に制限はなく、直線状流路であっても、曲線状流路であってもよい。また、微小反応流路3の流れ方向に垂直な断面の形状にも特に制限はない。微小反応流路3の断面形状が四角形であってもよいし、三角形や半円形であってもよい。また、2以上の流路に分岐させた構造を有する微小反応流路を用いても良いし、2以上の流路を合流させた構造を有する微小反応流路を用いてもよい。用いられるプレートの材質に特に制限はないが、反応溶液に対する耐食性のある材質が使用でき、ステンレス鋼、フッ素樹脂が例示される。
図3は、本発明の触媒プレート2の一例である。
本触媒プレート2は、平行度の高い平板製である、押し駒2a、枠板2bおよび押さえ板2cによって構成される。押し駒2aのプレート面に平行な断面の形状は、枠板2bの貫通孔8のプレート面に平行な断面の形状と一致させる。それらの形状は、好ましくは、押し駒2aを円柱形状とし、枠板2bを円筒形状とする。押し駒2aのプレート面に垂直な方向の高さ(厚みH1)は、枠板2bのプレート面に垂直な方向の高さ(厚みH2)よりも少しだけ低く(薄く)する。
たとえば、枠板2bの厚みをH2=10.0mm、押し駒2aの厚みをH1=9.5mmとする。押し駒2aのプレート面に平行な断面の大きさは、枠板2bの貫通孔8のプレート面に平行な断面の大きさとほぼ一致させるが、わずかに押し駒2aの大きさを小さくすることで、枠板2bの内部へ押し駒2aを挿入できるようにする。
用いられるプレートの材質に特に制限はないが、反応溶液に対する耐食性のある材質が使用でき、ステンレス鋼、フッ素樹脂が例示される。
図4は、触媒プレートの形成手順を例示する模式図である。
押さえ板2cの上に枠板2bを置き、枠板2bの貫通孔8の底部に、所望の触媒粉末9を所定量均一に敷き詰め、押し駒2aを貫通孔8に挿入したのちに、プレート垂直方向から押し駒をプレスし、粉末状触媒を圧縮することによって薄膜状触媒4を成型する。
この薄膜状触媒4のプレートに垂直な方向の高さ(薄膜の厚み)は、10〜2000μm、好ましくは、200〜1000μmの寸法とする。枠板2bの厚み(H2)と押し駒2aの厚み(H1)との寸法差(H2−H1)を定めることにより、成型後の触媒薄膜4の厚み変化させることができる。たとえば、枠板2bの厚みをH2=10.0mm、押し駒2aの厚みをH1=9.5mmとし、圧縮後の厚みがこれに見合う触媒粉末を均一に孔底に敷きつめることで、H2−H1=500μmの厚みを持つ触媒薄膜4が、枠板2bの貫通孔8の内側面に固定化されるかたちで、成型できる。触媒薄膜の厚みが2000μmを超えると触媒薄膜からの除熱がうまく行われないため好ましくない。また、触媒薄膜の厚みが10μmを下回ると、触媒薄膜の保持性が悪化してしまう。
上記に説明した流路プレート1と触媒プレート2とを、溝状の反応流路3と薄膜状の触媒4とが互いに接する向きに配置することによって、微小反応空間を形成する。流路プレート1と触媒プレート2とは、通常、ボルト用貫通孔7を通したボルトおよびナットにより締めつけて密着させる。このため、予め固定用の貫通孔を形成したものとし、また、ボルト、ナットによる締めつけで、反応流体の漏れなどがない構成とするために、プレートは高い平行度、高い表面平滑性(鏡面)に仕上げたものとする。流路プレート1と触媒プレート2とを接着してしまうと、触媒反応器内部の触媒薄膜4の取り外しが困難となってしまうため、好ましくない。
また、流路プレート1と触媒プレート2を複数枚、交互に重ねることによって、微小反応空間の数を増やすこともできる。この場合には、形成した複数の微小反応空間を並列および/または直列に接続するための流路を形成したものとする。
上記に説明した本触媒反応器に用いる触媒などについて説明する。
本発明の触媒プレート2は、通常、粉末状の固体触媒を圧縮し固定化して用いる。この方法が適用できるものであれば、触媒の種類に制限はなく、目的の触媒反応に応じて選定する。金属触媒であっても、金属酸化物触媒であってもよい。特に、ゼオライト触媒が例示される。また、触媒を粉末状の担体へ担持した固体触媒を用いてもよい。担体の種類に制限はなく、無機化合物であっても、有機化合物であってもよい。シリカ担体、アルミナ担体、ゼオライト担体、カーボン担体、ポリマー担体などが例示される。なお、担体粉末に触媒を担持した後に圧縮成形による固定化を行ってもよいし、担体粉末のみを圧縮成形にて固定化し触媒反応器を組み立てた後に微小反応流路に触媒担持用溶液を通液して触媒を担持してもよい。
粉末状の固体触媒または担体の粒径に関しては、成型した後に自重によって崩れない程度の形状保持性(自己保持性)を有すればよい。この点から粒子径は、その最大径が予定の触媒薄膜4の厚さよりも小さければ使用できる。また、触媒薄膜4の流路側表面の平滑度、流路相互間の反応流体の漏れの防止との観点からみると、より小さいものがより平滑度が高く、漏れの無いものとできる。これらの観点から、通常は、平均粒径が1μm以下のものが好ましい。
また、粉末状の固体触媒または担体の量は、触媒プレート1の触媒薄膜4の固定空間(凹部)の体積(大きさ)によって定まり、加圧成形した後に、押し駒2aの上面と枠板2bの上面の位置が一致する量を用いる。
本発明の触媒反応の方法を用いて、種々の触媒反応を実施することができる。
反応流体として反応基質を含む流体を触媒反応器の流入口5から導入し、微小反応空間を通過させ、流出口6から導出させることによって、触媒反応を行う。
反応流体は、反応基質のほかに、反応剤や希釈剤、反応助剤が適宜、含まれていてもよい。反応基質として用いる化学物質には特に制限はなく、有機化合物であっても、無機化合物であってもよい。
また、反応流体は、気体であってもよいし、液体であってもよい。また、気液混相流や液液多相流であってもよい。
反応流体の搬送方法には、従来から知られている手法が利用でき、流入口と流出口の圧力差による方法が例示される。例えば、液送の場合、圧力条件は、大気圧をゼロとしたゲージ圧力で、3MPa以下が好ましい。圧力条件が高すぎると、プレート間から反応流体の漏れが生じる可能性があり、好ましくない。
また、本発明の触媒反応の方法においては、適宜、反応流体の温度を制御する。
温度の制御方法としては、本発明の触媒反応器を温度制御されたオイルバス等の媒体槽中に浸けてもよいし、触媒反応器に電気ヒーターや熱媒流路プレートを取り付けてもよい。また温度の計測方法として、温度センサー挿入用プレートを取り付けてもよい。
本発明の触媒反応の方法により実施する触媒反応の種類に制限はないが、なかでも、大きな反応熱を伴う反応に好適に使用できる。例えば、反応剤として酸化剤を用いた酸化反応が好ましい使用例である。酸化剤として用いる化学物質には特に制限はなく、過酸化物が例示される。過酸化物は、有機過酸化物であっても、無機過酸化物であっても良い。
以上である本発明では、通常、粉末状の触媒を加圧固定化を反応器部材である触媒プレートに直接行うことから、精度の高い触媒プレートが作製でき、また、加圧固定化にて自己保持性が保てるものであれば、使用可能であることから、広い範囲の粉末触媒に適用可能であり、通常の反応器の場合には触媒の強度の向上などのために成形助剤が必要な場合でも、成形助剤は不必要か極めて少量でよく、助剤の影響のない反応の実施が可能となる。
これらから、触媒そのものの性能試験などにも好適に使用できる。また、一般に、小型反応器では、反応熱を効率的に除去が可能であり、より精密な温度制御が可能で、また、反応時間(反応器内滞留時間)も狭い範囲で制御できる。これらから、目的の反応生成物の選択率や収率が向上し、触媒劣化を防止し、さらに、高い安全性を維持したものとでき、例えば、通常では困難であったような高温、高濃度領域などで反応を実施することができる。
次に、本発明を実施例によって、さらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
実施例1
触媒反応器として、図2〜4に示す触媒反応器を製作した。
流路プレート1(直径64mm、厚み10mm、材質はステンレス鋼SUS-316)は、流路幅1000μm、流路深さ400μm、流路長さ113mmの微小な凹状溝3(流路の形状は渦巻き状、流路の断面形状は長方形)、および、反応流体の流入口および流出口として、内径1mmの貫通孔それぞれ1穴形成してなり、流路プレートの流路側の面には鏡面加工を施したものである。
触媒プレート2(材質はステンレス鋼SUS-316)は、押し駒2a(直径32mm、厚み9.5mm)、枠板2b(外径64mm、内径32mm、厚み10.0mm)および押さえ板2c(直径64mm、厚み10mm)によって構成した。なお、押し駒2aが、枠板2bの孔に出し入れ自在なように調製した。枠板2bの両面および押さえ板2cの成型時触媒面には鏡面加工を施した。
別途、ケイ酸テトラエチル、チタン酸テトラエチル、水酸化テトラプロピルアンモニウムの混合水溶液100mL(それぞれのモル比は100:2:36)を60℃で3時間撹拌した後、テフロン(登録商標)内筒付きのステンレス鋼製オートクレーブに移して175℃の水熱条件下で3日間撹拌し、得られた粉末を濾別水洗後、550℃で6時間焼成することにより、チタノシリケート触媒TS−1粉末を得た。なお、本製造法は米国特許4410501号に記載の方法に準じたものである。
上記で合成したチタノシリケート触媒TS−1粉末 330mgを図3に示す手順で挟み込み、油圧プレス機を用いた圧縮成型(18MPa、室温、3分間)によって、チタノシリケート触媒TS−1薄膜(直径32mm、厚み500μm)を枠板2bの貫通孔8の内側面に固定化した。固定化した薄膜を、別途試験したところ、プレートを上下反転させたとしても、過度の加重や衝撃を与えない限り、自重や押し駒2aの重みによって崩れることはなく、その後の取り扱いに充分な強度を保有していた。また逆に、固定化した薄膜に対して意図的に不均等な加重を加える(例えば薄膜中心部を指先で突く)ことによって、薄膜を割って取り外すこともできた。
チタノシリケート触媒TS−1薄膜を固定化した触媒プレートに過度の加重が加わらないように注意しながら、流路プレートの微小反応流路側の面と触媒プレートの薄膜状触媒側の面とが互いに接する向きに配置し、ボルトおよびナットを用いて両プレートを締め付け密着させた。
流入口より、プランジャーポンプ(島津製作所製LC−20AD)を用いて水を送液したところ(体積流量3mL/min、吐出圧力1.3MPa)、プレート接触面からの液漏れは観察されなかった。また、流出口より、触媒粉末の流出も生じなかった。
実施例2
図5に平面図を示す流路プレートを用いて、触媒反応器を製作した。
流路プレート1(直径64mm、厚み10mm、材質はステンレス鋼SUS-316)は、流路幅1000μm、流路深さ800μm、流路長さ20mmの微小な凹状溝3(流路の断面形状は長方形)を中心で交わる放射線状に8本形成し、また、反応流体の流入口として内径1mmの貫通孔を4穴、および流出口として内径1mmの貫通孔を1穴形成し、流路プレートの流路側の面には鏡面加工を施した。
そのほかは、実施例1と同様にして作製した。
実施例3
図6に平面図を示す流路プレートを用いて、図7に断面の模式図を示す触媒反応器を製作した。
流路プレート1(直径64mm、厚み10mm、材質はステンレス鋼SUS-316)は、流路幅1000μm、流路深さ1600μm、流路長さ402mmの微小な凹状溝3(流路の断面形状は長方形)を2重の渦巻き状として、その両面に形成し、両面に鏡面加工を施した。また、2つの微小反応流路を接続する流路として内径1mmの貫通孔を1穴形成した。
触媒プレートは、反応流体の流入口として内径1mmの貫通孔を1穴形成した以外は実施例1と同様にして作製したものを1枚と、反応流体の流出口として内径1mmの貫通孔を1穴形成した以外は実施例1と同様にして作製したものを1枚と、計2枚用意した。上述した両面に微小反応流路を有する1枚の流路プレートを、反応流体の入口または出口への接続位置11が正しい位置に合うようにして2枚の触媒プレートで挟み込み、ボルトおよびナットを用いて3枚のプレートを締め付け密着させた。
実施例4
実施例1に記載の方法で製作した触媒反応器を用いて酸化反応を実施した。
反応流体の流入口5および流出口6に、配管チューブを接続し、これを60℃の恒温槽に浸漬した。フェノール(0.16mol/L)と過酸化水素(0.29mol/L)の混合水溶液をプランジャーポンプ(島津製作所製LC−20AD)を用いて送液し、酸化反応を実施した(微小反応流路内の滞留時間は30秒)。
送液開始より5分後に、流出口からの流出液をHPLC(逆相、内部標準法)にて分析したところ、反応生成物としてカテコールおよびヒドロキノンが得られたほか、副生成物として極微量のベンゾキノンが検出された。フェノールの転化率は35.5%、ヒドロキノンの収率は26.6%、カテコールの収率は8.9%、ベンゾキノンの収率は0.1%以下、であった。
また、送液開始より120分後に、流出口からの流出液を分析したところ、フェノールの転化率は36.3%、ヒドロキノンの収率は26.9%、カテコールの収率は9.4%、ベンゾキノンの収率は0.1%以下、であった。(反応成績が、定常的に維持できていることがわかる。)
比較例1(フラスコとの比較)
回分式反応器(ガラス製4つ口ナスフラスコ)に、フェノール(0.16mol/L)と過酸化水素(0.29mol/L)の混合水溶液100g、および実施例1に記載したと同様にして合成したチタノシリケート触媒TS−1粉末 0.02gを入れ、60℃の恒温槽に浸漬して酸化反応を実施した。2時間反応した後の反応液を分析したところ、フェノールの転化率は4.4%、ヒドロキノンの収率は2.8%、カテコールの収率は1.6%、ベンゾキノンの収率は0.1%以下、であった。
実施例4(反応時間30秒)と比較して反応率は極めて低いことがわかる。(フラスコでは触媒と反応液との接触効率が低いためと推測される。)
比較例2(球状触媒充填方式との比較)
管状反応器(内径2.1mm、長さ150mm、材質はステンレス鋼SUS−316)に、実施例1に記載したと同様にして合成したチタノシリケート触媒TS−1粉末を造粒した後、粒子径500〜600μmになるよう分級したものを充填し、触媒充填式の微小反応器を作成した。
フェノール(0.16mol/L)と過酸化水素(0.29mol/L)の混合水溶液をプランジャーポンプ(島津製作所製LC−20AD)を用いて送液し、60℃の恒温槽に浸漬した触媒反応器内で酸化反応を実施した(空塔時間は30秒)。送液開始より5分後に、流出口からの流出液を分析したところ、フェノールの転化率は48.4%、ヒドロキノンの収率は30.3%、カテコールの収率は18.1%、ベンゾキノンの収率は0.1%以下、であった。
また、送液開始より120分後に、流出口からの流出液を分析したところ、フェノールの転化率は22.5%、ヒドロキノンの収率は14.4%、カテコールの収率は7.7%、ベンゾキノンの収率は0.5%、であった。
実施例4と比較して初期(送液開始より5分後)の反応率は高いが、その成績は時間の経過に従って低下しており、送液開始120分後には実施例3の反応率を下回っていることがわかる。(触媒の失活が起こっていると推測される。)また、逐次的な副生成物(ベンゾキノン)も検出されており、目的生成物(ヒドロキノン、カテコール)の選択率低下が生じている。
本発明の触媒反応器の一例の断面模式図。 本発明の触媒反応器の流路プレートの一例の平面図。 本発明の触媒反応器の触媒プレートの一例の平面図。 本発明の触媒反応器の触媒プレートの組立手順図の模式図。 本発明の触媒反応器の流路プレートの一例の平面図。 本発明の触媒反応器の流路プレートの一例の平面図。 本発明の触媒反応器の一例の断面模式図。
符号の説明
1 流路プレート
2 触媒プレート
2a 押し駒
2b 枠板
2c 押さえ板
3 微小反応流路
4 薄膜状触媒
5 反応流体の入口
6 反応流体の出口
7 ボルト用貫通孔
8 触媒圧縮成形用貫通孔
9 触媒粉末
10 微小反応流路を接続するための流路
11 反応流体の入口または出口への接続位置

Claims (6)

  1. 少なくとも1つの反応流体の入口、および、少なくとも1つの反応流体の出口を有し、かつ、少なくとも1つの微小反応空間を有する流通式の不均一系触媒反応器であって、(ア)表面に相当直径10〜2000μmの微小溝からなる流路を有する流路プレートの流路形成面と、(イ)表面に膜厚10〜2000μmの薄膜状触媒を固定化した触媒プレートの薄膜状触媒面とを互いに密着させて反応空間を形成してなる触媒反応器において、該触媒プレートが、該流路プレートの流路を覆うに十分の広さで深さ10〜2000μmの凹部を有し、圧縮固定化された薄膜状触媒にて該凹部が埋められてなるものであることを特徴とする触媒反応器。
  2. 前記触媒プレートが、中央部分に貫通孔を有する枠板、枠板の貫通孔に挿入され、枠板より厚さが10〜2000μm薄い押し駒およびこれらを流路プレートに固定する抑え板から構成されるものであって、前記薄膜状触媒が、該枠板とその貫通孔に挿入された押し駒との厚み差により形成される凹部に固定化されたものである請求項1記載の触媒反応器。
  3. 前記薄膜状触媒が、粉末状のゼオライト触媒を圧縮固定化したものである請求項1または2記載の触媒反応器。
  4. 請求項1に記載の触媒反応器へ、反応流体として反応基質を含む流体を導入することを特徴とする触媒反応法。
  5. 前記反応流体が、反応基質および酸化剤を含む流体である請求項4記載の触媒反応法。
  6. 前記反応基質および酸化剤を含む流体が液体である請求項4記載の触媒反応法。
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