JP2007154217A - 電気分解セル及びそれを用いた電気分解方法 - Google Patents

電気分解セル及びそれを用いた電気分解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気分解により生じた気体を電極表面から速やかに取り除くことが可能な電気分解セル、及びそれを用いた電気分解方法を提供すること。
【解決手段】液体流路10の幅方向両端に、当該流路を挟んで任意の領域で接触し当該流路に流液する電解液18と気液界面を形成させるための2つの気体流路12を配設する。そして、このような構成の液体流路10及び/又は気体流路12の内壁の少なくとも一部を構成するように、一対の電極16が配設されている。そして一対の電極16を、少なくとも一部が電解液18と接触し、且つ電解液18の接触領域全域が液体流路10及び気体流路12の境界から100μm以内(好ましくは50μm以内)に位置するように配設する。これにより、電気分解により発生した気体14を、速やかに電極16から気体流路12に分離することが可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、電解液の電気分解を生じさせることが可能な電気分解セル、及びそれを用いた電気分解方法に関する。
電気分解反応を行なう際、一対の電極間距離を近づけることにより、電気抵抗が低減され無駄なジュール熱の発生を抑制できるので消費電力が軽減されると考えられる。ところが、電気分解により気体が発生する反応においては、一対の電極間を近づけることにより発生する気体が電極に付着し、電流が流れにくくなり電力消費の軽減効果が減じられたり、電圧変動が大きくなったり、生成ガス量が減少するという問題があった。また、電極間を近づけることにより、陽極と陰極で発生した気体が混合しやすくなり、好ましくない。混合防止の目的で隔壁を設けると、電気抵抗が上昇するのでできれば無いほうがよい。
例えば、水の電気分解により発生する水素は、エネルギー有効利用の観点から注目されている。つまり、電力の豊富な地域や時間において、水を電気分解し水素として貯蔵し、電力が必要な地域や時間に供給することが考えられている。さらに詳しく説明すれば、大都市から離れた大河流域の大型ダムで製造された豊富な電力で、水の電気分解で水素を製造し、パイプラインにより工場や大都市に供給したり、化学物質の原料として消費したり、水素自動車や燃料電池の燃料としたりすることが可能である。また、電力需要の少ない深夜に余剰電力を用いて水の電気分解を行い水素として貯蔵し、電力需要の高まる時間に貯蔵した水素を燃料電池やガスタービンなどの燃料として電力を製造し供給することも可能である。
一方、水の電気分解により発生する酸素は、多くの産業上の利用や、医療用途などがある。
水の電気分解装置に関しては、数多くの報告がある(例えば、特許文献1〜3参照)。特に、特許文献3には、陽極室と陰極室を備え、固体電解液膜を隔膜として用いる、酸素・水素発生装置の水電解装置に用いる気液分離装置が報告されている。しかしながら、気液分離装置は電解セルの外部に設けられ、電極間距離を短くした場合の電極間に滞留する気体に関しては、何ら効果を発揮することはできない。
ところで、マイクロ流路内で気液分離する方法として、親水性表面を持つ深い液体チャンネルに沿って、疎水性表面を持つ浅い気体チャンネルを用いる方法が、特許文献4に報告されている。
特開平9−176885号公報 特開平8−333694号公報 特開平8−144078号公報 特開2005−169386号公報
上記特許文献4に開示されているマイクロ流路内で気液分離する方法は、マイクロ流路内で気液分離する方法として好適である。しかしながら、この構造を液体に混入した気体の分離や、気液抽出への応用は示されているが、電気分解反応への応用の記述はなく、もちろん、電気分解により生じた気体が付着した電極から当該気体を除去することに関しては一切述べられていないのが現状である。
電気分解反応において、電気分解により生じた気体が電極に付着したままであると、電極による電気分解能が低下するといった問題があり、改善が望まれている。
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、電気分解により生じた気体を電極表面から速やかに取り除くことが可能な電気分解セル、及びそれを用いた電気分解方法を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の電気分解セルは、
電解液が流液する液体流路と、
前記液体流路で流液する電解液と気液界面を形成するための気体流路と、
前記電解液の電気分解を起こすための一対の電極であって、前記電解液と接触し、且つ前記電解液との接触領域全域が前記液体流路及び前記気体流路の境界から100μm以内に位置する一対の電極と、
を具備することを特徴としている。
本発明の電気分解セルでは、電解液の電気分解により生じた気体が電極に付着しても、電解液との接触領域全域が前記液体流路及び前記気体流路の境界から上記範囲内に位置することで、電極に付着した気体が気液界面と接触するため、電気分解により生じた気体を電極表面から速やかに取り除くことを可能となる。
本発明の電気分解セルにおいては、前記気体流路が前記液体流路よりも深さが浅い場合、前記気体流路内壁における前記電解液に対する接触角が90°以上である、ことがよい。一方、前記気体流路が前記液体流路よりも深さが深い場合、前記液体流路内壁における前記電解液に対する接触角が90°以下である、ことがよい。
本発明の電気分解セルにおいて、前記一対の電極の幅は、100μm以下であることがよい。また、前記電気分解の反応が、水が酸素と水素に分解される反応であることがよい。
一方、本発明の電気分解方法は、上記本発明の電気分解セルを用い、前記一対の電極により前記電解液を電気分解する、ことを特徴としている。
本発明によれば、電気分解により生じた気体を電極表面から速やかに取り除くことが可能な電気分解セル、及びそれを用いた電気分解方法を提供することができる。
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面における平面図では、わかり易いように、流路、電極などの内部構造も実線で描いている。
図1は、実施形態に係る電気分解セルを示す平面図である。図2は、実施形態に係る電気分解セルを示す断面図である。図3は、実施形態に係る電気分解セルにおける電極位置を示す部分拡大断面図である。図4は、他の実施形態に係る電気分解セルを示す断面図である。なお、図2〜4は、図1のA−A断面図に相当する断面図である。
実施形態に係る電気分解セルは、図1〜2に示すように、電解液18が流液する液体流路10を有している。当該液体流路10の一端には、電解液18を導入する導入口10Aが連通しており、他端には電解液18を排出する排出口10Bが連通している。
液体流路10の幅方向両端には、当該流路を挟んで任意の領域で接触し当該流路に流液する電解液18と気液界面を形成させるための2つの気体流路12が配設されている。気体流路12は、電解液18の電気分解により生じた気体14を排出するためのものである。この気体流路12は、図2に示すように、液体流路10よりも深さを浅く構成している。また、この気体流路12は、図4に示すように、液体流路10よりも深さを深く構成してもよい。ここで、流路深さとは流路の厚みを示す。そして、気体流路12には、気体排出用流路12Aを介して排出口12Bが連通している。
ここで、電解液18と気体14との気液界面は、必ずしも液体流路10と気体流路12との境界20と同一面で形成されるわけではないが、おおよそ、境界20近傍で当該境界20が形成する面に対して直交方向に沿った距離で当該境界面から気体流路12側15μm以内(好ましくは10μ以内)の位置に形成される。
この気液界面の形成には、界面張力差を利用する。つまり、図2に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが浅い場合、気体流路12内壁が電解液18に対する接触角が90°以上であると、電解液18が気体流路12に入り込まない状況を作り出し、気液界面を形成することができる。
また、図4に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが深い場合、液体流路10内壁が電解液18に対する接触角が90°以下であると、電解液18が気体流路12に入り込まない状況を作り出し、気液界面を形成することができる。
さらに詳しく説明すれば、電解液18の圧力が、電解液18が気体流路12に侵入するのに必要な圧力を上回らなければ、電解液18は気体流路12に侵入することが出来ず、液体流路10及び気体流路12の境界20近傍に気液界面を形成することが可能となる。
ここで、図2に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが浅い場合、電解液18が気体流路12に侵入するのに必要な圧力は、次のヤング−ラプラスの式により求められる。
式1:△P=2γ[sin(θ−90°)/r]
(式中、△Pは気体流路12に侵入するのに必要な圧力(Pa)、γは電解液18の界面張力(N/m)、θは気体流路12内壁の電解液18に対する接触角(°)、rは気体流路12の深さ(m)
また、同様に、図4に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが深い場合、電解液18が気体流路12に侵入するのに必要な圧力は、次のヤング−ラプラスの式により求められる。
式2:△P=2γcos(θ)/r
(式中、△Pは気体流路12に侵入するのに必要な圧力(Pa)、γは電解液18の界面張力(N/m)、θは液体流路10内壁の電解液18に対する接触角(°)、rは気体流路12の深さ(m)
つまり、電解液18と気体の圧力差が、ヤング−ラプラスの式から求められる圧力を上回らない条件が、電解液18が気体流路12に侵入しない条件ということになる。
また、図2に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが浅い場合、(式1)より明らかなように、気体流路12内壁の電解液18に対する接触角が90°未満では、電解液18が気体流路12に侵入する圧力は負になり、電解液18が気体流路12に侵入することになるので、気体流路12内壁の電解液18に対する接触角が90°以上であることがよいことがわかる。
反対に、図4に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが深い場合、(式2)から明らかなように、液体流路10内壁の電解液18に対する接触角が90°を超えると、電解液18が気体流路12に侵入する圧力は負になり、電解液18が気体流路12に侵入することになるので、液体流路10内壁の電解液18に対する接触角が90°以下であることがよいことがわかる。
なお、電解液18と気体14の圧力差は、ブルドン式圧力計、沈鐘式圧力計、リング式圧力計、分銅式圧力計、ダイヤフラムと歪みゲージが一体化した半導体圧力センサなどにより実測して求めてもよいし、流体の圧力損失は、層流の場合、次のハーゲン−ポアズイユの式からも計算できる。
式:△P=2μvlL/S
(上記式中、ΔPは流路長さLでの電解液の圧力損失(Pa)、μは電解液の粘度(Pa・sec)、vは電解液の流速(m/sec)、lは流路の周長(m)、Lは流路の長さ(m)、Sは流路の断面積(m)を表す)
また、図2に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが浅い場合、気体流路12内壁の電解液18に対する接触角は90°以上が好ましいが、110°以上がさらに好ましく、120°以上がとりわけ好ましい。この接触角の上限は、幾何的に可能な180°である。このような接触角を満たすためには、気体流路12を構成する部材(基板)として電解液18に対する接触角が90°以上の素材を用いても良く、素材の接触角が90°未満であっても表面処理することにより、接触角を90°以上にすることができれば使用することができる。
ここで言う表面処理方法についても特に限定されないが、例えば、市販のテフロン(登録商標)やシリコーンを用いた撥水スプレーによる処理、テトラフロオロメタン、テトラフロオロエタンなどのフッ素系ガスを用いたプラズマ処理、オクタデシルシランなどを用いて化学修飾する処理などが挙げられ、気体流路12を形成する基板の素材や電解液18の性質に応じて適宜選択することができる。また、電解液18に対する接触角が90°以上である気体流路12の部材の表面に、微細な凹凸をつけることで接触角を高める工夫をしても良い。
具体的に、例えば、電解液18が水溶液であれば、基板の素材としてテフロン(登録商標)なら表面処理することなく、電解液との接触角90°以上が得られる。また、例えば、基板の素材としてアクリル、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチップには、テトラフロオロメタンなどフッ素系ガスを用いるプラズマ処理を適用することができる。また、基板の素材としてガラス、石英、シリコンなどには、オクタデシルシランなどを用いる化学修飾法を適用することができる。また、基板の素材としてプラチナ、ステンレススチール、ニッケルなどの金属には、テフロン(登録商標)コート剤による処理を適用することができる。
一方、図4に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが深い場合、液体流路10内壁の電解液18に対する接触角は90°以下が好ましいが、70°以下がさらに好ましく、30°以下がとりわけ好ましい。なお、この接触角の下限は、幾何的に可能な0°である。このような接触角を満たすためには、液体流路10を構成する部材(基板)として電解液18に対する接触角が90°以下の素材を用いても良く、素材の接触角が90°を越えていても表面処理することにより、接触角を90°以下にすることができれば使用することができる。
ここで言う表面処理方法についても特に限定されないが、液体流路10を構成する部材(基板)の素材や電解液の性質に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、電解液18が水溶液であれば、基板の素材としてガラスや酸化チタンなら表面処理することなく、電解液18に対する接触角90°以下が得られ、また、基板の素材としてアクリルやポリカーボネートなどのプラスチックは、酸素ガスを用いたプラズマ処理や、UVオゾン処理、などで親水化することが可能である。また、電解液18に対する接触角が90°以下である気体流路12の部材の表面に、表面に微細な凹凸をつけて接触角を下げる工夫をしても良い。
ここで、電解液18に対する接触角は、静止した状態の液滴と基板の接触角を測定する液滴法で測定した。測定には、協和界面科学株式会社製「接触角計CA−X型」を用いて、液滴と基板との断面の接点2ヶ所と液滴の頂点をコンピューター画面に入力して求める「3点クリック法」で行なった。また、液滴は、協和界面科学株式会社製「オートディスペンサAD−21型」を用いて、1.8μLの液滴体積になるよう設定した。
また、図4に示すように、気体流路12が液体流路10よりも深さが深い場合、液体流路10の深さは50μm以下が好ましく、30μm以下が好ましく、15μm以下がとりわけ好ましい。なお、加工精度の観点から、下限は0.1μmである。気体流路12の深さが50μm以下であると、発生した気体14は液体流路10に存在し難くなり、容易に気体流路12に取り除かれる。反対に、液体流路の深さが50μmを超えると、発生した気体14が液体流路10に入り込みやすく、気体流路12に取り除くのが難しくなることがある。
ここで、液体流路10の流路長さは特に限定されず、反応液濃度、反応液流量、電流密度、電流効率などを考慮し適宜設計してよい。
また、液体流路10に電解液18を導入するための導入口10Aは、図示しないが、外部より流路内に流体を導入するための供給手段と接続されていてもよい。また、流路内に小型のポンプなどの供給手段を内蔵させてもよい。外部より液体流路10に電解液18を導入するための供給手段は、特に限定されるものではないが、例えば、種々のポンプや、圧送する方法、重力差を利用する方法、高圧に圧縮された容器から供給する方法、などを用いることができる。ポンプとして具体例を示すとすれば、1)シリンダー内の流体をピストンで押し込めるシリンジポンプ、2)ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプといったピストンやプランジャーなどの往復運動を利用して圧力を高める往復式ポンプ、3)ギアポンプやペリスタポンプといった歯車やローラーを回転し、流体を空隙に閉じ込めて押し動かして輸送する回転式ポンプ、4)ボリュートポンプや、デフューザポンプといった、流体を回転羽根で回転しその遠心力によって圧力を高める遠心式ポンプや、その他一般的に知られているポンプなどが挙げられる。
また、液体流路10の水力相当直径は、1μm以上2000μm以下が好ましく、10μm以上1000μm以下がさらに好ましい。液体流路10の水力相当直径が10μm以下では、圧力損失が甚だ大きくなると共に、処理量も著しく少なくなることがあるため好ましくなく、2000μm以上では温度制御が困難になるため副生成物が増加することがあるので好ましくない。ここで言う水力相当直径とは、(流路断面積×4÷濡れ辺長)で表すことができる。
なお、電解液18の前処理方法や後処理方法は、特に限定されないが、液体流路10と同様の水力相当直径の流路を使って、行なってもよい。
このような構成の液体流路10及び/又は気体流路12の内壁の少なくとも一部を構成するように、一対の電極16が配設されている。一対の電極16の露出部16Aが液体流路10及び/又は気体流路12の内壁の少なくとも一部を構成している。また、図示しないが、セルには一対の電極16のそれぞれと電気的に接続し、外部電源と接続される端子も配設されている。
そして、一対の電極16は、少なくとも一部が電解液18と接触し、且つ電解液18の接触領域全域が液体流路10及び気体流路12の境界から100μm以内(好ましくは50μm以内)に位置するように配設される。これにより、電気分解により発生した気体14を、速やかに電極16から気体流路12に分離することが可能となる。
ここで、気体14を分離するメカニズム、即ち電極16で発生し付着した気体14を電極16から気体流路12へ分離するメカニズムは、気泡と気泡が近づいていくと、ある時点で一つの気泡に合一が起こる現象は良く知られているが、この現象を応用したものである。つまり、電極16で発生した気泡のそばに、電解液18と気体14との気液界面があれば、気泡は気液界面に接したときに合一することになり、電気分解セル外部に抜き取ることが可能となる。このような考えで電気分解セルを設計し実験したところ、電極16で発生した気体14は発生した直後は小さい気泡となり電極16に付着しているが、発生した電極16近傍に気液界面があり発生した気泡が接触すれば、気体14(気泡)は気体流路12側に引き込まれることが明らかになった。
詳しく検討した結果、電極16は、電解液18と接触し、且つ電解液18との接触領域全域が液体流路10及び気体流路12の境界20から100μm以内(好ましくは50μm以内)に設置すると、電気分解により生じた気体14を電極16表面から速やかに取り除くことが可能となることが明らかとなった。
ここで、「電解液18との接触領域全域が液体流路10及び気体流路12の境界20から所定範囲以内に位置する」とは、液体流路10の電解液流液方向と直交に電気分解セルを切断したとき、その断面において、液体流路10及び気体流路12の境界20のうち電極16に最も近い部位から、電極16の電解液接触領域のうち液体流路10及び気体流路12の境界20に最も遠い部位までの距離が、所定範囲内にあることを意味する。
また、電極16は、少なくとも電解液に接触していなければ電気分解を起こすことはできないのは自明であるが、その電解液接触領域が液体流路10及び気体流路12の境界20から上記範囲を超えて離れていると、電気分解により発生した気体が気液界面に接触し難くなり、気泡が大きくなり気液界面に接触するまでに時間が掛かったり、気体流路12に吸収されず液体流路を流れたりするようになる。このため、上記範囲内に電解液接触領域全域が存在することが必要である。
一方、電極16は、電解液18の電気分解反応を生じさせなければならないため、電解液18と接触しなければならないが、気体流路12側のみに電極16が位置する場合、電極16の少なくとも一部が液体流路10及び気体流路12の境界20から15μm以内(好ましくは10μm以内)に位置することが好ましく、より好ましくは10μm以内に位置することである。これは、おおよそ、気液界面が境界20近傍で当該境界20が形成する面に対して直交方向に沿った距離で当該境界面から気体流路12側15μm以内に形成されるためである。この範囲内に電極16の少なくとも1部を位置させることで、気液界面が電極の一部にかかり電解液との接触領域を持つこととなる。
ここで、気体流路12側のみに電極16が位置する場合における「電極16の少なくとも一部が液体流路10及び気体流路12の境界20から所定範囲内に位置する」とは、液体流路10の電解液流液方向と直交に電気分解セルを切断したとき、その断面において液体流路10及び気体流路12の境界20のうち電極16に最も近い部位から、電極16のうち液体流路10及び気体流路12の境界20に最も近い部位までの距離が、所定範囲内にあることを意味する。
以上をまとめると、図3に示すように、電極16は、気体流路12側のみに位置する場合、電極16の少なくとも1部が電解液18と接触する必要があるため、電極16の少なくとも一部が液体流路10及び気体流路12の境界20から15μm以内位置することが必要であり、点線で描いた電極16−1のように15μmを超えて位置すると電解液18と接触しなくなる。
一方、電極16は、液体流路10側のみに位置する場合、電解液18との接触領域全域が液体流路10及び気体流路12の境界20から100μm以内(好ましくは50μm以内)に位置(点線で描いた電極16−2、電極16−3の位置)することが必要であり、点線で描いた電極16−4のように100μmを超えて位置すると付着した気体14が速やかに気体流路12へ分離されなくなる。
なお、電極16が、液体流路10及び気体流路12の境界20をまたがるように配置される場合、上記各条件を満たす必要がある。
よって、本実施形態では、一対の電極16は、少なくとも一部が電解液18と接触し、且つ電解液18の接触領域全域が液体流路10及び気体流路12の境界から100μm以内(好ましくは50μm以内)に位置するように配設されることが必要である。
電極16の幅は、100μm以下が好ましく、50μm以下がさらに好ましく、10μm以下がとりわけ好ましい。なお、微細加工の限界の点から電極16幅の下限は0.1μmである。電極16の幅とは、液体流路10の電解液流液方向と直交に電気分解セルを切断したとき、その断面において電極16と電解液18が接する面の最大距離を言う。具体的には、例えば、板状の電極16端面が電解液接触領域に相当する場合、その板状体の厚みを示し、円筒形或いは円柱形のワイヤーなら直径を指す。電極16の幅は、電極16に付着する気泡の直径とよく相関しており、電極16表面以外に付着する面がなければ、電極幅の約2〜3倍の直径の気泡が付着することが、電極16表面の観察から明らかになった。また、電極16幅が狭いほど、高い電流密度で電気分解しても気泡を抜き取ることができた。これは、気泡が小さい時点で、気体流路12に取り込まれるためと考えられる。
電極16の形状は、特に限定されない。ワイヤー状でも、板状でも、薄膜状でもよい。本実施形態では、断面L状の板状体を適用している。また、電極16の設置形態は、特に限定されず、本実施形態では、流路の内壁の一部を構成するように設置しているが、例えば、一対の電極16の間に絶縁性スペーサーを挟んで設置してもよい。
電極16の作製方法は特に限定されない。好ましい方法として、ワイヤー状の導電体を液体流路10と気体流路12の境界20上或いはその近傍に沿うように設置したり、板状(或いは薄膜状)の導電体を液体流路10と気体流路12の境界20上或いはその近傍に配置したりしてもよい。なお、薄膜状の導電体を電極16として用いる場合は、電極形状にくり貫いた薄板のマスクを被せたり、フォトレジストを使ったりしてから、金属を蒸着やスパッタリング技術を用いて形成する方法が挙げられる。本実施形態では、断面L状の板状体からなる導電体をその一端面(電極基板24から露出する電極16の露出部16A)が流路内壁の一部を構成するように、液体流路10と気体流路12の境界20近傍に沿うよう配置している。
電極16の素材は、通電すれば特に限定されない。例えば、パラジウム、プラチナ、ロジウム、イリジウム、ニッケル、金、タングステン、ニオブ、カドニウム、マンガン、タリウム、鉛、水銀などの金属や合金、グラッシーカーボン、分光分析級黒鉛、熱分解黒鉛、炭素クロスなどの炭素素材やそれらの粉末をキシレンワックス、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、ヌジョールなどに分散させたものなどを使用することができる。また、上記金属を蒸着やスパッタを用いて付着させる際には、基板との付着性を向上させるために、下地としてクロムやチタンなどの薄膜を付着させてもよい。また、炭素は、金属電極の表面に炭素粉末を接着性のある素材に分散させたペーストを塗布しても良く、同様に金属電極の表面に炭化水素化合物を塗布し、減圧下で熱分解させて熱分解黒鉛としてもよい。
電極16の表面には、金属めっきなどの手法を施し、電極表面を広げる工夫をしても良く、特に触媒活性の高い白金黒やパラジウム黒などを付着させてもよい。
電解液18は、電極により電気化学反応を生じさせる媒体である。電気化学反応は、気体14が発生する反応であれば特に限定されない。例えば、アルコール類の還元反応により水素を発生する反応や、カルボン酸類の酸化反応により二酸化炭素を発生する反応、水の電気分解により水素と酸素を発生させる反応や、塩化物イオンを含む水溶液の電気分解により水素と塩素を発生させる反応などが挙げられる。それらの中でも、水は表面張力が高いので、本発明の構造を用いれば比較的容易に気液界面を作り出すことができるので、水溶液を用いた反応は好ましく、水の電気分解により水素と酸素を発生させる反応がさらに好ましい。
また、電気化学反応としては、支持電解質を用いた電気化学反応でもよい。その種類や使用量は、反応溶液に溶解し導電性を持たせることができれば特に限定されない。支持電解質は溶媒中でイオンとして働くので、イオン化しやすいアニオンとカチオンで組み合わされた塩や酸やアルカリである。カチオンとしては、水素イオンや、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ(n−プロピル)アンモニウムイオン、テトラ(i−プロピル)アンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウムイオンなどの第4級アルキルアンモニウムなどが挙げられる。アニオンとしては、Cl、Br、Iなどのハロゲンイオンや、水酸基イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、BF 、PF 、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−1−プロパンスルホニル)イミド、ビス(1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロ−1−ブタンスルホニル)イミド、各種スルホン酸イオンなどが挙げられる。
本実施形態に係る電気分解セルは、例えば、各流路となる溝が形成された流路基板22と、電極16が表面に配設されたり、埋め込まれた電極基板24とで構成している。
流路基板22は、例えば、エッチングや機械加工などによって流路となる溝などを形成することで作製することができる。
電極基板24は、例えば、基板に溝を形成し当該溝にワイヤや板状の導電体を埋め込むことで作製したり、基板に蒸着やスパッタにより薄膜状の導電体を堆積させて作製することができる。本実施形態では、電極基板24は、開口26Aが設けられた開口基板26と、当該開口基板26の開口26Aに電極16を介して嵌め込まれるように設けられた凸部28Aを有する凸状基板28と、を、開口基板26の開口26A内周部に断面L字状の電極16の端面(電極基板24から露出する電極16の露出部16A)と凸部28A上面が露出するように、基板間に断面L字状の電極16を介して積層している。
そして、流路に相当する溝、露出した電極側を対向させるように、熱圧着、熱融着など加熱し圧力を掛ける方法や、ねじを使って締め付ける方法や、接着剤による接着により、流路基板22と電極基板24とを貼り合わせることで、電気分解セルを得ることができる。
なお、流路基板22及び電極基板24の素材は、少なくとも表面が絶縁性であることが好ましい。電気分解セルに電極16を組み込むため、電極16間の絶縁性を確保するためである。一方、シリコンや金属など導電性材料であっても表面を絶縁化処理したものであれば使用することができる。
以上説明した本実施形態に係る電気分解セルでは、電解液18の電気分解により生じた気体14が電極16に付着しても、電解液18の接触領域全域が液体流路10及び気体流路12の境界20から上記範囲内に位置しているので、電極16に付着した気体14が気液界面と接触するため、電気分解により生じた気体14を電極16表面から速やかに取り除くことを可能となる。
これにより、例えば、電極16間の距離を小さくすることが可能であり、電極16への気体14付着面積や付着時間を抑制することが可能となり電気分解の際の電圧が安定したり、電極の消耗が抑制できたりする。また、両極で気体14が発生する電気分解の場合は、気体14の混合を抑制するための隔壁が不要になるなどの効果がある。
なお、本発明は、上記本実施形態に係る電気分解セルの構造に限られるわけではなく、他の形態、例えば、図9〜図12に示す形態などにも適宜適用することができる。また、電気分解処理能力を高める目的のため、同一基板上に本発明の電気分解セルを並列させてもよく、また基板を複数枚重ねて使用することもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1−1)
以下のようにして、図5及び図6に示す電気分解セルを作製した。なお、図5は、実施例1−1で作製した電気分解セルを示す平面図である。図6は、図5の1−1断面図である。
1)流路基板22としてのポリカーボネート板(30mm×70mm,2mmt)を機械加工し、断面が矩形となるように、液体流路10と液体流路10を挟んで2本の気体流路12となる溝を形成した。液体流路10の寸法は、幅1.0mm、深さ500μm、電極16にかかる長さ(電極と接触する長さ)は20mmであった。また、気体流路12の寸法は、幅1.0mm、深さ100μm、電極16にかかる長さは20mmであった。このようにして、気体流路12が液体流路よりも深さが浅い流路基板22を得た。
2)電極基板24の開口基板26としてのポリカーボネート板(30mm×70mm,1mmt)を機械加工し、当該開口基板26としてのポリカーボネート板と凸状基板28としてのポリカーボネート板に加工した凸部28Aが収まる形状の開口26Aを形成した。開口26Aの寸法は、幅1.02mm、長さ20mmであった。
3)電極基板24の凸状基板28としてのアクリル板(ポリメチルメタクリレート)板(30mm×70mm,2mmt)を機械加工し、幅1mm、長さ20mm、高さ1mmの凸部28Aを形成した
4)厚さ10μmのプラチナ箔を加工し、末端部を折り曲げ、断面L字状の電極16とし、これを開口基板26と凸状基板28との間に挟みこみ、開口基板26の開口26A内周部に断面L字状の電極16の端面と凸部28A上面が露出するように、重ね合わせ隙間を接着剤で埋めたて接着した。接着剤が硬化した後、表面を研磨し凹凸を10μm以下に加工した。このようにして一対の電極16を有する電極基板24を作製した。
5)流路基板22を、テトラフルオロメタンを用いたプラズマ処理をした。また、同様に、電極基板24を、液体流路10内壁を構成する面をポリイミドテープでマスキングした後、テトラフルオロメタンを用いたプラズマ処理をした。プラズマ処理条件は、各基板をカソードにセットし、テトラフルオロメタン流量50sccm、真空度150mTorr、パワー密度1.78W/cm、30秒間処理した。このときの、処理面(流路基板22の流路となる溝内壁と電極基板24の液体流路10内壁を構成する面以外の領域)の使用する電解液18に対する接触角は、125°であった。
6)電極基板24を、液体流路10内壁を構成する面以外にポリイミドテープでマスキングした後、酸素を用いたプラズマ処理をした。プラズマ処理条件は、基板をアノードにセットし、酸素流量50sccm、真空度150mTorr、パワー密度1.27W/cm、5分間処理した。このときの、処理面(電極基板24の液体流路10内壁を構成する面)の使用する電解液18に対する接触角は、15°であった。
7)流路基板22と電極基板24とを、電極16の露出部16Aの位置を正確に合わせて重ね合わせた。これらを厚さ10mmのアクリル板を加工した2枚の冶具で挟み込み、ねじを用いて締め付け、流路から電解液18が漏れないようにした。電極16の露出部16Aはその一辺が気体流路12と液体流路10の境界20上に位置して気体流路12側に10μm延在するように配置されていた。このようにしてセルを得た。
作製したセルに対し、シリンジポンプを用いて0.01Nの希硫酸を導入口10Aより液体流路10へ供給した。10mL/minの流量で供給しても、希硫酸は液体流路10から気体流路12に漏れることなく、また、液体流路10と気体流路12の境界20近傍で気液界面が形成されていることが、顕微鏡による観察により確認した。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け200μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12の気体14と合体し消滅する様子が確認できた。このときの電極16に付着した気泡の直径は、20〜30μmまで成長してから消滅した。電流を300μAまで上げて、上記と同様の条件で実験したところ、電極16で発生した気泡は、気体流路12に吸い込まれ気液分離することが出来た。このときの電流密度は、150mA/cmであった。
(比較例1−1)
電極基板24における電極16の露出部16Aの位置を基板面と平行にずらし、気体流路12と液体流路10の境界20から、気体流路12側に100μm離した以外は、実施例1−1と同様に実験した。電解液18として0.01Nの希硫酸を、液体流路10に供給したが、希硫酸が電極16の位置まで到達せず接しなかったので、電気分解をすることが出来なかった。
(比較例1−2)
電極基板24における電極16の露出部16Aの位置を基板面と平行にずらし、電極16の位置を、気体流路12と液体流路10の境界20から、液体流路10側に115μm離した以外は、実施例1−1と同様に実験した。なお、電極16の露出部16A全面が電解液接触領域となっており、その領域が境界20から100μmを越えて位置していた。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、電極間に電圧を掛け300μAで定電流電解した。両電極から生じた気体14は、電極に付着したまま大きくなり、気体流路12に分離することができなかった。
(実施例1−2)
電極基板24における電極16の露出部16Aの位置を基板面と平行にずらし、電極16の位置を、気体流路12と液体流路10の境界20から、液体流路10側に100μm離した以外は、実施例1−1と同様に実験した。なお、電極16の露出部16A全面が電解液接触領域となっており、その全領域が境界20から100μm以内に位置していた。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、電極間に電圧を掛け300μAで定電流電解した。両電極から生じた気体14は、電極に付着したまま大きくなり、実施例1−1に比べて時間は掛かったが速やかに気体流路12に分離することができた。
(実施例1−3)
電極基板24における電極16の露出部16Aの位置を基板面と平行にずらし、電極16の位置を、気体流路12と液体流路10の境界20から、液体流路10側に50μm離した以外は、実施例1−1と同様に実験した。なお、電極16の露出部16A全面が電解液接触領域となっており、その全領域が境界20から50μm以内に位置していた。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、電極間に電圧を掛け300μAで定電流電解した。両電極から生じた気体14は、電極に付着したまま大きくなり、実施例1−1に比べて時間は掛かったが実施例1−2よりも速やかに気体流路12に分離することができた。
(実施例1−4)
厚さ10μmのプラチナ箔の替わりに厚さ50μmのプラチナ箔を用い、電極基板24の開口基板26の開口26Aの幅をプラチナ箔の厚さに合わせて広くした以外は、実施例1−1と同様に電気分解セルを作製し実験した。なお、電極16の露出部16Aをその一辺が気体流路12と液体流路10の境界20上に位置して液体流路10側に50μm延在するように配置させた。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12側に吸い込まれるように消滅する様子が確認できた。このときの電極16に付着した気泡の直径は、100〜150μmで気体流路12に吸い込まれた。電流を900μAまで上げて、上記と同様の条件で実験したが、電極16で発生した気泡は、気体流路内の気体14と合一し、気泡を分離することが出来た。このときの電流密度は、90mA/cmであった。
(実施例1−5)
厚さ10μmのプラチナ箔の替わりに厚さ100μmのプラチナ板を用い、電極基板24の開口基板26の開口26Aの幅をプラチナ板の厚さに合わせて広くした以外は、実施例1−1と同様に電気分解セルを作製し実験した。なお、電極16の露出部16Aをその一辺が気体流路12と液体流路10の境界20上に位置して液体流路10側に100μm延在するように配置させた。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12側に吸い込まれるように消滅する様子が確認できた。このときの電極16に付着した気泡の直径は、200〜300μmで気体流路12に吸い込まれた。電流を1.4mAまで上げて、上記と同様の条件で実験したが、電極16で発生した気泡は、気体流路12内の気体14と合一し、気泡を分離することが出来た。このときの電流密度は、70mA/cmであった。
(実施例1−6)
流路基板22と電極基板24に、テトラフルオロメタンを用いたプラズマ処理を施さなかった点以外は、実施例1−1と同様にして実験した。このプラズマ処理非処理面(流路基板22の流路となる溝内壁と電極基板24の液体流路10内壁を構成する面以外の領域)の使用する電解液18に対する接触角は、85°であった。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12側に吸い込まれるように消滅する様子が確認できた。しかし、気液界面は不安定で、しばらくすると電解液18が気体流路12に侵入し、気泡を分離することができなくなった。
(実施例1−7)
電極基板24に、酸素を用いたプラズマ処理を施さなかった点以外は、実施例1−1と同様にして実験した。このプラズマ処理非処理面(電極基板24の液体流路10内壁を構成する面)の使用する電解液18に対する接触角は、65°であった。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12側に吸い込まれるように消滅する様子が確認できた。しかし、しばらくすると、発生した気体14が液体流路10の底面(電極基板24の液体流路10を構成する面)に付着して、気泡を分離できなかった。
(比較例1−3)
厚さ10μmのプラチナ箔の替わりに厚さ200μmのプラチナ板を用い、電極基板24の開口基板26の開口26Aの幅をプラチナ板の厚さに合わせて広くした以外は、実施例1−1と同様に電気分解セルを作製し実験した。なお、電極16の露出部16Aをその一辺が気体流路12と液体流路10の境界20上に位置して液体流路10側に200μm延在するように配置させた。このため、電極16の露出部16A全面が電解液接触領域となっており、その領域のうち境界20から100μmを越えて位置する領域が存在していた。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、電極16に付着したまま大きくなり、電極16上部の面(液体流路10内壁)に接するようになり、気体流路12に分離することができなかった。
(実施例2−1)
以下のようにして、図7及び図8に示す電気分解セルを作製した。なお、図7は、実施例2−1で作製した電気分解セルを示す平面図である。図8は、図7の2−2断面図である。
1)流路基板22としてのアクリル板(30mm×70mm,2mmt)を機械加工し、断面が矩形となるように、液体流路10と液体流路10を挟んで2本の気体流路12となる溝を形成した。液体流路10の寸法は、幅1.0mm、深さ10μm、電極16にかかる長さは20mmであった。また、気体流路12の寸法は、幅1.0mm、深さ500μm、電極16にかかる長さは20mmであった。このようにして、気体流路12が液体流路よりも深さが深い流路基板22を得た。
2)電極基板24の開口基板26としてのアクリル板(30mm×70mm,1mmt)を機械加工し、当該開口基板26としてのポリカーボネート板と凸状基板28としてのポリカーボネート板に加工した凸部28Aが収まる形状の開口26Aを形成した。開口26Aの寸法は、幅1.02mm、長さ20mmであった。
3)電極基板24の凸状基板28としてのアクリル板(30mm×70mm,2mmt)を機械加工し、幅1mm、長さ20mm、高さ1mmの凸部28Aを形成した。
4)厚さ10μmのプラチナ箔を加工し、末端部を折り曲げ、断面L字状の電極16とし、これを開口基板26と凸状基板28との間に挟みこみ、開口基板26の開口26A内周部に断面L字状の電極16の端面と凸部28A上面が露出するように、重ね合わせ隙間を接着剤で埋めたて接着した。接着剤が硬化した後、表面を研磨し凹凸を10μm以下に加工した。このようにして一対の電極16を有する電極基板24を作製した。
5)流路基板22及び電極基板24を、酸素を用いたプラズマ処理をした。プラズマ処理条件は、ポリカーボネート板をアノードにセットし、酸素流量50sccm、真空度150mTorr、パワー密度1.27W/cm、5分間処理した。このときの、処理面(流路基板22の流路となる溝内壁と電極基板24の各流路を構成する全面)の使用する電解液18に対する接触角は、15°であった。
6)流路基板22と電極基板24とを、電極16の露出部16Aの位置を正確に合わせて重ね合わせた。これらを厚さ10mmのアクリル板を加工した2枚の冶具で挟み込み、ねじを用いて締め付け、流路から電解液18が漏れないようにした。電極16の露出部16Aはその一辺が気体流路12と液体流路10の境界20上に位置して気体流路12側に10μm延在するように配置されていた。このようにしてセルを得た。
作製したセルに対し、シリンジポンプを用いて0.01Nの希硫酸を導入口10Aより液体流路10へ供給した。10mL/minの流量で供給しても、希硫酸は液体流路10から気体流路12に漏れることなく、また、液体流路10と気体流路12の境界20近傍で気液界面が形成されていることが、顕微鏡による観察により確認した。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け200μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12の気体14と合体し消滅する様子が確認できた。このときの電極16に付着した気泡の直径は、20〜30μmまで成長してから消滅した。電流を300μAまで上げて、上記と同様の条件で実験したところ、電極16で発生した気泡は、気体流路12に吸い込まれ気液分離することが出来た。このときの電流密度は、150mA/cmであった。
(実施例2−2)
液体流路10の深さを50μmにした以外は、実施例2−1と同様に電気分解セルを作製し実験した。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸をシリンジポンプを用いて流路に供給し、電極16間に電圧を掛け200μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、速やかに気体流路12の気体14と合体し消滅する様子が確認できた。電流を500μAまで上げて、上記と同様の条件で実験したところ、電極16で発生した気泡は、気体流路12に吸い込まれ気液分離することが出来た。このときの電流密度は、250mA/cmであった。
(実施例2−3)
液体流路10の深さを100μmにした以外は、実施例2−1と同様に電気分解セルを作製し実験した。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸をシリンジポンプを用いて流路に供給し、電極16間に電圧を掛け200μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体は、速やかに気体流路12の気体14と合体し消滅する様子が確認できた。しかし、しばらくすると、両電極16から生じた気体14は、一部気体流路12の気体14と合体し消滅する様子が確認できたが、大部分は液体流路上で合一し大きくなり、気体流路12に引き抜かれることはなかった。
(実施例2−4)
厚さ10μmのプラチナ箔の替わりに厚さ50μmのプラチナ箔を用い、電極基板24の開口基板26の開口26Aの幅をプラチナ箔の厚さに合わせて広くした以外は、実施例2−1と同様に電気分解セルを作製し実験した。なお、電極16の露出部16Aをその一辺が気体流路12と液体流路10の境界20上に位置して液体流路10側に50μm延在するように配置させた。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を、シリンジポンプを用いて流路に供給し、電極間に電圧を掛け200μAで定電流電解した。両電極から生じた気体14は、速やかに気体流路12の気体14と合体し消滅する様子が確認できた。電流を100μAまで上げて、上記と同様の条件で実験したところ、電極で発生した気泡は、気体流路12に吸い込まれ気液分離することが出来た。このときの電流密度は、10mA/cmであった。
(実施例2−5)
流路基板22と電極基板24に、酸素を用いたプラズマ処理を施さなかった点以外は、実施例2−1と同様にして実験した。このプラズマ処理非処理面(流路基板22の流路となる溝内壁と電極基板24の液体流路10内壁を構成する面の領域)の使用する電解液18に対する接触角は、85°であった。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け100μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12側に吸い込まれるように消滅する様子が確認できた。しかし、気液界面は不安定で、しばらくすると電解液18が気体流路12に侵入し、気泡を分離することができなくなった。
(実施例2−6)
流路基板22と電極基板24に、酸素を用いたプラズマ処理を施さず、替わりにテトラフルオロメタンを用いたプラズマ処理を施した点以外は、実施例2−1と同様にして実験した。プラズマ処理条件は、各基板をアノードにセットし、テトラフルオロメタン流量50sccm、真空度150mTorr、パワー密度1.27W/cm、90秒間処理した。このプラズマ処理面(流路基板22の流路となる溝内壁と電極基板24の液体流路10内壁を構成する面の領域)の使用する電解液18に対する接触角は、95°であった。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を1μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け100μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12側に吸い込まれるように消滅する様子が確認できた。しかし、気液界面は不安定で、しばらくすると電解液18が気体流路12に侵入し、気泡を分離することができなくなった。
また、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給したところ、気液界面を形成することができず、電解液18が気体流路12に侵入してしまった。
(実施例3−1)
以下のようにして、図9及び図10に示す電気分解セルを作製した。なお、図9は、実施例3−1で作製した電気分解セルを示す平面図である。図10は、図9の3−3断面図である。
1)流路基板22としてのポリカーボネート板(30mm×70mm、厚さ2mm)を機械加工し、断面が矩形となるように、液体流路10と液体流路10を挟んで2本の気体流路12となる溝を形成した。液体流路10の寸法は、幅1.4mm、深さ500μm、電極16にかかる長さは30mmであった。また、気体流路12の寸法は、幅1.0mm、深さ100μm、電極16にかかる長さは30mmであった。このようにして、気体流路12が液体流路10よりも深さが浅い流路基板22を得た。
2)電極基板24としてのポリカーボネート板(30mm×70mm、厚さ2mm)も機械加工し、プラチナワイヤーからなる電極16が収まる形状の溝24Aを形成した。溝24Aの寸法は、幅100μm、深さ100μm、電極16にかかる長さは30mmであった。また、プラチナワイヤーからなる電極16の収まる溝24Aは、上記の1)で作製した液体流路10と気体流路12の境界20が中央となるようにした形成した。プラチナワイヤーからなる電極16は、直径100μmのものを用い、電極16を溝に収めつつ、溝24Aの両端に空けた貫通孔から露出して端子30とし、これを電源と接続した。このようにして、電極基板24を得た。
3)流路基板22と電極基板24を、テトラフルオロメタンを用いたプラズマ処理をした。プラズマ処理条件は、基板をカソードにセットし、テトラフルオロメタン流量50sccm、真空度150mTorr、パワー密度1.78W/cm、30秒間処理した。このときの、処理面(流路基板22の流路となる溝内壁と電極基板24の各流路を構成する全面)の使用する電解液18に対する接触角は、125°であった。
4)流路基板22と電極基板24とを、電極16の露出部16Aの位置を正確に合わせて重ね合わせた。これらを厚さ10mmのアクリル板を加工した2枚の冶具で挟み込み、ねじを用いて締め付け、流路から電解液18が漏れないようにした。電極16の露出部16Aはその中央が気体流路12と液体流路10の境界20上に位置するように配置されていた。このようにしてセルを得た。
作製したセルに対し、シリンジポンプを用いて0.01Nの希硫酸を導入口10Aより液体流路10へ供給した。10mL/minの流量で供給しても、希硫酸は液体流路10から気体流路12に漏れることなく、また、液体流路10と気体流路12の境界20近傍で気液界面が形成されていることが、顕微鏡による観察により確認した。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12の気体14と合体し消滅する様子が確認できた。このときの電極16に付着した気泡の直径は、20〜30μmまで成長してから消滅した。電流を2.0mAまで上げて、上記と同様の条件で実験したところ、電極16で発生した気泡は、気体流路12に吸い込まれ気液分離することが出来た。しかしながら、電流を3.0mAまで上げて、上記と同様の条件で実験したところ、電極で発生した気泡は液体流路に付着し大きくなり、ついには液体流路を流れるようになり、気体流路12に吸収できないものが発生するようになった。
(実施例3−2)
流路基板22及び電極基板24としてのポリカーボネート板をアクリル板に変更した以外は、実施例3−1と同様にして実験した。なお、アクリル板に対してテトラフルオロメタンを用いたプラズマ処理面(流路基板22の流路となる溝内壁と電極基板24の各流路内壁を構成する面)の使用する電解液18に対する接触角は、110°であった。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、電極間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極から生じた気体14は、最初は電極に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12側に吸い込まれるように消滅する様子が確認できた。このときの電極に付着した気泡の直径は、平均200〜300μmまで成長してから、気体流路12内の気体14と合一し、気泡を分離することが出来た。
(比較例3−1)
電極基板24におけるワイヤーからなる電極16の位置を基板面と平行にずらし、電極16の中心を気体流路12と液体流路10の境界20から、気体流路12側に150μm離した以外は、実施例3−1と同様に実験した。電解液18として0.01Nの希硫酸を、液体流路10に供給したが、希硫酸が電極16の位置まで到達せず接しなかったので、電気分解をすることが出来なかった。
(比較例3−2)
電極基板24におけるワイヤーからなる電極16の位置を基板面と平行にずらし、電極16の中心を気体流路12と液体流路10の境界20から、液体流路10側に150μm離した以外は、実施例3−1と同様に実験した。なお、電極16の露出部16A全面が電解液接触領域となっており、その領域が境界20から100μmを越えて位置していた。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、電極間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。電極16で発生した気泡は、液体流路10に付着したり、液体流路10を流れたりして、気体流路12に吸い込まれず、気液分離することは出来なかった。
(実施例3−3)
テトラフルオロメタンを用いたプラズマ処理を行なわなかった点以外は、実施例3−2と同様にして電気分解セルを作製した。流路基板22(アクリル板)及び電極基板24(アクリル板)における非処理面(流路基板22の流路となる溝内壁と電極基板24の各流路を構成する面)の使用する電解液18に対する接触角は、65°であった。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、電極間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極から生じた気体14は、最初は電極に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12側に吸い込まれるように消滅する様子が確認できた。しかし、しばらくすると、発生した気体14は液体流路10を流れ、気液分離することは出来なかった。
(実施例4)
以下のようにして、図11及び図12に示す電気分解セルを作製した。なお、図11は、実施例4で作製した電気分解セルを示す平面図である。図12は、図11の4−4断面図である。
流路基板22としてのポリカーボネート板(30mm×70mm、厚さ2mm)を機械加工し、断面が矩形となるように、液体流路10と液体流路10を挟んで2本の気体流路12となる溝を形成した。液体流路10の寸法は、幅200μm、深さ500μm、電極16にかかる長さは20mmであった。また、気体流路12の寸法は、幅1.0mm、深さ100μm、電極16にかかる長さは20mmであった。このようにして、気体流路12が液体流路10よりも深さが浅い流路基板22を得た。
2)電極基板24としてのポリカーボネート板(30mm×70mm、厚さ2mm)も機械加工し、厚さ100μmのプラチナ板からなる電極16が収まる形状の窪み24Bを形成した。窪み24Bの寸法は、幅10mm、長さ20mm、深さ100μmであった。また、プラチナ板からなる電極16の収まる窪み24Bは2箇所作っている。そして、電極16の端面(露出部16A)と窪み24B側壁とが10μmの間隙24Cを有し、且つ電極16の端面(露出部16A)が液体流路10と気体流路12の境界20上に位置するように、窪み24Bに収めた。
3)流路基板22に、テトラフルオロメタンを用いたプラズマ処理をした。プラズマ処理条件は、基板をカソードにセットし、テトラフルオロメタン流量50sccm、真空度150mTorr、パワー密度1.78W/cm、30秒間処理した。このときの、処理面(流路基板22の流路となる溝内壁)の使用する電解液18に対する接触角は、125°であった。
4)電極基板24の窪み24Bに収める前のプラチナ板からなる電極表面にフッ素樹脂コーティング剤(耐熱TFEコート ファインケミカルジャパン社製)をスプレーコートし、加熱硬化(175℃,1時間)させた。この処理面(電極16表面)の使用する電解液18に対する接触角は、119°であった。但し、電解液18と接触する電極16端面(露出部16A)を紙やすりで研磨し、フッ素樹脂コートを削り取り電極16を露出させた。
5)流路基板22と電極基板24とを、電極16の露出部16Aの位置を正確に合わせて重ね合わせた。これらを厚さ10mmのアクリル板を加工した2枚の冶具で挟み込み、ねじを用いて締め付け、流路から電解液18が漏れないようにした。電極16の端面(露出部16A)は気体流路12と液体流路10の境界20上に位置するように配置されていた。このようにしてセルを得た。
なお、研磨し導電性のあるプラチナ板からなる電極16の端面(露出部16A)と窪み24B側壁との間には10μmの間隙24Cを設けたため、間隙24Cにも電解液18が流液し、電極16の端面(露出部16A)は電解液18と接触しており、電気分解が生じることができる。
作製したセルに対し、シリンジポンプを用いて0.01Nの希硫酸を導入口10Aより液体流路10へ供給した。180mL/minの流量で供給しても、希硫酸は液体流路10から気体流路12に漏れることなく、また、液体流路10と気体流路12の境界20近傍で気液界面が形成されていることが、顕微鏡による観察により確認した。
そして、電解液18として0.01Nの希硫酸を10μL/minの流量でシリンジポンプを用いて供給しながら、一対の電極16間に電圧を掛け500μAで定電流電解した。両電極16から生じた気体14は、最初は電極16に付着するが、気液界面に接触すると速やかに気体流路12の気体14と合体し消滅する様子が確認できた。このときの電極16に付着した気泡の直径は、20〜30μmまで成長してから消滅した。電流を5.0mAまで上げて、上記と同様の条件で実験したところ、電極16で発生した気泡は、気体流路12に吸い込まれ気液分離することが出来た。
なお、上記いずれの実施例も、水の電気分解反応により、酸素と水素に分解され、それぞれ回収することができた。また、本実施例では、水の電気分解反応を生じさせるための物質として硫酸を用いた例を示したが、硫酸に限られず、他の物質であってもよい。
実施形態に係る電気分解セルを示す平面図である。 実施形態に係る電気分解セルを示す断面図である。 実施形態に係る電気分解セルにおける電極位置を示す部分拡大断面図である。 他の実施形態に係る電気分解セルを示す断面図である。 実施例1−1で作製した電気分解セルを示す平面図である。 図5の1−1断面図である。 実施例2−1で作製した電気分解セルを示す平面図である。 図7の2−2断面図である。 実施例3−1で作製した電気分解セルを示す平面図である。 図9の3−3断面図である。 実施例4で作製した電気分解セルを示す平面図である。 図11の4−4断面図である。
符号の説明
10 液体流路
10A 導入口
10B 排出口
12 気体流路
12A 気体排出用流路
12B 排出口
14 気体
16 電極
16A 露出部
18 電解液
20 液体流路及び気体流路の境界
22 流路基板
24 電極基板
24A 溝
24B 窪み
24C 間隙
26 開口基板
26A 開口
28 凸状基板
28A 凸部
30 端子

Claims (6)

  1. 電解液が流液する液体流路と、
    前記液体流路で流液する電解液と気液界面を形成するための気体流路と、
    前記電解液の電気分解を起こすための一対の電極であって、少なくとも一部が前記電解液と接触し、且つ前記電解液との接触領域全域が前記液体流路及び前記気体流路の境界から100μm以内に位置する一対の電極と、
    を具備することを特徴とする電気分解セル。
  2. 前記気体流路が前記液体流路よりも深さが浅く、前記気体流路内壁における前記電解液に対する接触角が90°以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気分解セル。
  3. 前記気体流路が前記液体流路よりも深さが深く、前記液体流路内壁における前記電解液に対する接触角が90°以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気分解セル。
  4. 前記一対の電極の幅は、100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電気分解セル。
  5. 前記電気分解の反応が、水が酸素と水素に分解される反応であることを特徴とする請求項1に記載の電気分解セル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載した電気分解セルを用い、前記一対の電極により前記電解液を電気分解する、ことを特徴とする電気分解方法。
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