JP4963499B2 - 動電学的マイクロポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、少量の液体をくみ上げる手段に関し、より具体的には、可動固体部品を含まないマイクロポンプ、すなわち動電学的効果の使用に基づくマイクロポンプに関する。
極性液体−固体誘電体間の界面上での電気二重層の形成作用を用いた動電学的(電気浸透)マイクロポンプ[非特許文献1(先行技術文献1)、非特許文献2(先行技術文献2)、特許文献1(先行技術文献3)、非特許文献3(先行技術文献4)]が知られている。発達した接点表面を有する、極性液体に接触した高多孔質体に外部電界を印加すると、電気二重層の静止(壁)部分に対してその可動(拡散)部分のわずかな移動が発生する。この結果、液体が外部電界に平行に強制変位される。このようなマイクロポンプにはいくつかの制約がある。最も重要な制約は、くみ上げられる溶液の電気分解である。これによって、溶液の化学組成が変化しうる。公知のマイクロポンプの別の欠点は、多孔質体に直接接触する気泡の形成である。これによって、液体のくみ上げの低下または停止にさえ至ることもある[非特許文献3(先行技術文献4)]。
これらの欠点は、互いに反対の極性に帯電された細孔面を有する2つの多孔質体を使用し、これらの多孔質体の一方が陰極から陽極に液体をくみ上げるために機能し、他方が陽極から陰極にくみ上げるために機能する動電学的マイクロポンプ[特許文献2(先行技術文献5)]においては解消される。さらに、これらの多孔質体のそれぞれには、マイクロポンプの外側の一方の電極のみが隣接し、マイクロポンプの内部に共通の流れを生じさせるようにこれらの多孔質体が接続される。この装置の欠点は、多孔質材料の選択が困難である点、またはそれぞれの表面の改造が困難である点、および装置が高コストである点である。この公知のマイクロポンプは、液体のくみ上げが気泡によって妨害される可能性を完全に解消するため、および電気分解によるくみ上げられた液体の化学組成の変化を防止するために、二次電極および塩橋の使用をさらに必要とする。これらの措置を施すと、小型装置の開発の可能性が制約される。
前記欠点は、酸化還元電位値が低く、電極上での水または他の基体形成成分の電気分解を抑制できるという特徴を有する緩衝物質(たとえば、ヒドロキノン)をくみ上げられた液体に微量追加して運転される動電学的マイクロポンプ[非特許文献4(先行技術文献6]]においても克服される。ただし、この装置の欠点は、くみ上げられた液体を緩衝物質によって「汚染」する必要がある点である。
前記の何れの欠点もないマイクロポンプが[非特許文献5(先行技術文献7)]に記載されている。このマイクロポンプは、金属白金に接触させた導電性高分子ゲルを電極として用いる。この装置においては、電気分解による気体の形成の代わりに、高分子ゲル内の有機物質の化学的転位が発生する。この装置の欠点は、前記電極によって得られる電流密度が低いため、装置の用途が分析用マイクロチップを使用する化学分析目的に限られることである。
前記の何れの欠点もない別の動電学的マイクロポンプが特許[特許文献3(先行技術文献8)]に記載されている。この装置は、非導電性材料で構成された中空の円筒形筐体を備える。この筐体には、DC電源に接続された陽極および陰極電極が取り付けられる。発達した内面を有する高多孔質セラミック体が電極間に配置される。各電極と高多孔質体との間には、陽イオン交換膜が、対応する電極の直近に配置される。筐体の壁には、くみ上げられた液体を流すための複数のチャネルが作られる。これらのチャネルは、高多孔質体の両端部と陽イオン交換膜との間に延在する。両電極は、銀−塩化銀電極である。
マルチチャネル構造、すなわち高多孔質セラミック体、に基づくこの動電学的マイクロポンプは、本発明によるマイクロポンプに最も近い。
ただし、この公知の装置には、いくつかの欠点がある。
同種の単極膜(たとえば、陽イオン交換膜)を陽極および陰極電極と共に使用すると、くみ上げられた液体がイオン不純物から保護されない。このような不純物として、電極から前記液体に混入するものが挙げられる。この原因は、陰極および陽極間に一対の同一イオン交換膜を備える電気化学システムは、使用される電極の種類に関係なく、必ずイオンを透過させるので、一定の電荷が一方の電極に向かって移動するという事実による。陽イオン交換膜の場合、このシステムは陰極側に移動する陽イオンを透過させる。
前記公知の装置は、二次電極、すなわち、電気分解プロセスの防止に役立つ銀−塩化銀電極、をさらに使用する。ただし、上記を鑑みて、このような電極の使用は、くみ上げられた液体内で電気分解が発生しない場合でも、電極システムのイオン成分の連続的形成に至り、これらのイオン成分がくみ上げられた液体に導入される。特に、銀−塩化銀電極の場合は、銀イオンが陽極電極上に永久的に形成され、陰極電極へと移動されるほか、塩素イオンが陰極電極上に永久的に形成される。さらに、陰極電極とこれに隣接する陽イオン交換膜との間の領域に、溶解しにくい化合物、すなわち結晶体状の塩化銀、が形成される。マイクロポンプの性能特性を一定に維持するには、これらを連続的に除去する必要がある。さらに、銀イオンが陽極電極に隣接する陽イオン交換膜を通じてくみ上げられた液体に侵入した後、銀イオンに加え、くみ上げられた液体のすべての陽イオン成分、たとえば水からの水素イオン、がさらなる陽イオンの陰極電極への移動に関与しうる。さらに、水酸化銀および酸化銀(II)および他の化合物がくみ上げられた液体内に形成され、くみ上げられた液体の化学汚染を引き起こすばかりでなく、マルチチャネル構造を塞ぐことによってマイクロポンプの機能を妨げることもある。
公知のマイクロポンプにおいては、二次電極の使用を回避し、代わりに一次電極を使用する試みは成功していない。その理由は、この場合も、2つの同一単極膜がくみ上げられる媒質をすべてのイオン不純物から保護しないからである。さらに、くみ上げられた液体内での電気分解プロセスに伴う問題が発生する。
さらに、銀−塩化銀電極の使用は、他の二次電極の使用と同じく、許容電流密度を低下させ、結果としてポンプの生産性低下をもたらす(二次電極は、通常は分析目的に使用され、電気エネルギーの供給には用いられない)。したがって、同じ生産性を達成するには、マイクロポンプの大型化が必要であり、コストの上昇が伴う。
米国特許第6,770,183号明細書 米国特許第6,287,440号明細書 米国特許第3,923,426号明細書 A. Manz, C. S. Effenhauser, N. Burggraf, D. J. Harrison, K. Seiler, K Fluri, Electroosmotic pumping and electrophoretic separations for miniaturized chemical analysis systems, J. Micromech. Microeng., 1994, V.4, pp. 257−265 Chuan−Hua Chen, Juan Santiago, A Planara Electroosmotic Micropump, J. Electromechanical Systems, 2002, V.11. No.6, pp.672−683 Oliver Geschke, Hanning Klank, Pieter Telleman, Microsystem Engineering of Lab−on−a−chip Devices, Willey−VCH Verlag GmbH & Co.KGaA, Weinheim, 2004, pp.46−50 M. Moini, P. Cao, A. J. Bard, Hydroquinone as a Buffer Additive for suppression of bubbles formed by Electrochemical oxidation, Anal. Chemistry, 1999, V.71, pp.1658−1661 Y. Takamura, H. Onoda, H. Inokuchi, S. Adachi, A. Oki, Y. Horiike, Low voltage electroosmosis pump for stand−alone microfluidic devices, Electrophoresis, 2003, 24, pp.185−192
本発明の目的は、外来成分の導入またはくみ上げられた液体の本来の成分の変更によるくみ上げられた液体の化学組成の変化を回避するという技術的成果を達成することである。本発明により達成される別の技術的成果は、マイクロポンプの生産性の向上およびマイクロポンプのサイズおよびコストの低減のために一次電極の使用を可能にすることである。
さらなる技術的成果は、本発明の特有の特徴およびさまざまな実施態様に関する以下の説明から明らかになるであろう。
上記の技術的成果を達成するために、本発明による動電学的マイクロポンプは、複数の貫通マイクロチャネルを有する、非導電性材料で作られたマルチチャネル構造を備える。各マイクロチャネルの流入口および流出口は、マルチチャネル構造の流入口端部および流出口端部を形成する。マルチチャネル構造の各端部は、電極セクションに隣接する。これらの電極セクションの一方は陽極電極を収容し、他方は陰極電極を収容する。陽極および陰極電極は、外部電流源の対応する極に接続されるように設計される。各電極セクションには、電極セクション内に配置された電極とマルチチャネル構造の端部との間に、イオン交換膜が取り付けられる。これらのイオン交換膜は、各電極セクションを2つの室に分割する。各イオン交換膜の一方の側の室は、マルチチャネル構造の端部に連通し、各イオン交換膜の他方の側の室は、前記陽極および陰極電極を収容する。マルチチャネル構造の端部に連通する両電極セクションの室は、くみ上げられた液体が流れるように設計される。これらの室の一方は、流入チャネルを有し、他方はくみ上げられた液体のための流出チャネルを有する。陽極および陰極電極を収容する室は、電荷移動用補助媒質で満たされるように設計される。前記イオン交換膜の一方は単極であり、他方は両極である。単極イオン交換膜の種類は、最も近い電極の極性に対応し、両極イオン交換膜は最も近い電極に、この電極の極性に対応する側面を向けて、対向する。
言い換えると、単極イオン交換膜が陰イオン交換膜である場合は、陽極電極を収容した電極セクションにこのイオン交換膜を配置する必要がある。この場合、両極イオン交換膜は、陰極電極を収容した電極セクションに、その陽イオン交換側を陰極電極側に向けて取り付ける必要がある。したがって、単極イオン交換膜が陽イオン交換膜の場合は、陰極電極を収容した電極セクションにこのイオン交換膜を設置する必要がある。この場合、両極イオン交換膜は、陽極電極を収容した電極セクションに、その陰イオン交換側を陽極電極に向けて取り付ける必要がある。
本発明による動電学的マイクロポンプおよび特許文献[8]による最も近い従来技術のマイクロポンプは、どちらも共通に、陽極および陰極電極の間に配置された、外部電流源への接続に役立つマルチチャネル構造と、前記各電極とマルチチャネル構造の各端部との間に配置されるイオン交換膜と、マルチチャネル構造の各端部とイオン交換膜との間の空間にくみ上げられた液体を流すための流入チャネルおよび流出チャネルとを有する。
同一のイオン交換膜(すなわち、どちらも陽イオン交換膜である単極膜)を用いた最も近い従来技術の公知のマイクロポンプと異なり、本発明の動電学的マイクロポンプにおいては、マルチチャネル構造の各端部と各電極との間に取り付けられるイオン交換膜は互いに異なる。一方は、単極ではなく、両極であり、他方の(単極)イオン交換膜の種類は、最も近い電極の極性によって決まる。したがって、[8]による公知のマイクロポンプと異なり、陽イオン交換膜が陽極電極の近くに設置されることは決してない。両極イオン交換膜の存在以外の特有の特徴は、この膜を特定の方向に向ける必要がある点である。すなわち、最も近い電極に、この電極の極性に対応する側面を向ける必要がある。陽極および陰極電極は、本発明の動電学的マイクロポンプのマルチチャネル構造の各端部に隣接して電極セクションを構成する構造要素に配置される。各電極セクションは、単極または両極イオン交換膜によって2つの室に分割される。各セクションの一方の室は、マルチチャネル構造の端部に隣接する。この室は、くみ上げられた液体を通過させるために使用され、くみ上げられた液体の流入(流出)用のチャネルを有する。各電極セクションの各イオン交換膜の他方の側には、第2の室が位置する。これらの室を両電極セクションに形成する理由は、上記の公知の装置と異なり、イオン交換膜を電極の近くに設置しないという事実による。これらの室は、マイクロポンプの動作中、電極とこれに最も近いイオン交換膜との間での電荷の移動を助ける補助媒質で満たされるように設計される。
異なるイオン交換膜、すなわち単極および両極膜、を対にして使用すると、陽イオン交換膜(または両極膜のカチオナイト側)が陰極電極に隣接し、陰イオン交換膜(または両極膜のアニオナイト側)が陽極電極に隣接する条件において、両極膜が水を水素イオンと水酸基イオンとに分解するためにのみ設計されおり、イオンの移動のためには設計されていないことをさらに考慮すると、これらの電極の近くで発生するプロセスを、マルチチャネル構造内で発生するプロセスから完全に分離できるようになる。ただし、前記水素イオンおよび水酸基イオンが均衡して移動されるため、媒質の電気的中立性が維持される。これによって、くみ上げられた液体の汚染の可能性が排除される
このような膜システムの使用と、電極セクション内の電荷の移動および電気分解生成物の除去または中和を保証する補助媒質用の室がイオン交換膜と対応する電極との間に存在するという構造上の特徴とによって、くみ上げられた液体の化学組成の変化の可能性を排除することも可能になる。
さらに、この特徴により、許容電流密度の高い単純な一次電極の使用が可能になるので、マイクロポンプの生産性の向上およびマイクロポンプのサイズおよびコストの低減が可能になる。
イオン交換膜の組み合わせの前記選択および電極に対する各イオン交換膜の配置によって、電気二重層内で過剰な正電荷または負電荷を有する液体を、前記過剰な電荷が正か負かに応じて、陽極電極セクションから陰極電極セクションへの方向に、またはこの反対方向に、くみ上げることが可能となる。
このマルチチャネル構造は、特許文献[8]による最も近い従来技術の動電学的マイクロポンプと同様に、高多孔質体でもよい。ただし、本発明によるマイクロポンプは、非導電性材料で作られた、複数の平行マイクロチャネルを形成する複数のエンドツーエンド毛細管を有するポリキャピラリカラム体の形態のマルチチャネル構造を備えることが好ましい。
マルチチャネル構造のこの実施態様は、その他の条件が等しければ、マイクロポンプの最高の生産性を保証する。この理由は、平行チャネルの場合、各チャネル内の電気二重層によって形成される電界の合計が最大の絶対値を有するからである。また、毛管カラムは、高多孔質体に比べ、チャネルの長さおよび横断寸法の広がりをより小さくできるため、マイクロポンプの生産性に好影響を及ぼす。
本発明によるマイクロポンプは、前記各イオン交換膜の片側または両側に配置されるナノ濾過または逆浸透用の気圧膜をさらに備えてもよい。
気圧膜の使用により、複数の電解質溶液を含有する液体の揚送効率が向上し、補助媒質のイオン成分がイオン交換膜に到達せず、後者の化学的「汚染」が防止される。
電荷移動用の補助媒質は、具体的には、くみ上げられた液体と同一の液体でもよい。
これによって、装置の操作が単純化される。
電荷移動用の補助媒質は、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含む複数の物質の混合物の溶液、懸濁液、またはペーストでもよい。
電荷移動用補助媒質をこのような組成にすると、陽極および陰極電極上でのガス発生プロセスを防止できる。また、後者の場合、すなわち、この媒質が懸濁液またはペーストの形態である場合は、補助媒質の電荷移動効率が向上する。
電荷移動用補助媒質は、対応する電極の材料中に存在する元素を含む少なくとも1つの電解質の溶液でもよい。
この実施態様は、電荷移動用補助媒質で満たされた、陰極電極が配置された室内でのガス状生成物の形成を防止するために適している。
さらに、電荷移動用補助媒質は、粒状のイオン交換材料でもよい。
この実施態様は、くみ上げられた液体へのイオン性溶質および気泡の浸入を防止できる。
上記の種類の電荷移動用補助媒質は、ナノ濾過または逆浸透用の気圧膜を含まないマイクロポンプにも、気圧膜を含むマイクロポンプにも使用可能であり、上記の具体的ケースの何れの構成とも組み合わせることができる。
電荷移動用補助媒質が上記何れの種類であっても、正電位の作用下でこの媒質中に溶解しない材料で陽極電極を作ってもよい。
この実施態様では、陽極電極を、その特性を変化させずに、長期間使用できる。
電荷移動用補助媒質が粒状イオン交換材料の場合は、正電位の作用下でこの媒質中に溶解しうる材料で陽極電極を作ってもよい。
これは、電荷移動用補助媒質で満たされた、陽極電極が配置された室内でのガス状生成物の形成を防止するために適している。
陰極電極の材料中に含まれる元素を含有する少なくとも1つの電解質の溶液または粒状イオン交換材料を電荷移動用補助媒質として使用する場合は、負電位への暴露時に電荷移動用補助媒質の成分がその上に堆積する材料で陰極電極を作ってもよい。
この実施態様は、電荷移動用補助媒質で満たされた、陰極電極が配置された室内でのガス状生成物の生成を防止するために適している。
本発明を図面によって例示する。
図1による実施形態において、本発明の動電学的マイクロポンプは、相互に接続された2つの管状部品101、102を備える中空の円筒形筐体と、端部壁(105、106)によって外部に対して閉じられた2つの円筒形電極セクション、すなわち陽極セクション103および陰極セクション104、とを有する。筐体の管状部品101、102は、スリーブ107によって相互に接続され、さらに軸継手ナット108、109によって陽極103および陰極104セクションに接続される。
筐体および両セクションの前記のすべての要素は非導電性材料、たとえばプラスチック、で作られる。適したプラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、プレキシグラス、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、等が挙げられる。
筐体内には、ガラス、水晶、または他の誘電体材料で作られたポリキャピラリカラム体110の形態のマルチチャネル構造が取り付けられる。ポリキャピラリカラムは、1ミクロンから数百ミクロンまでの範囲内の断面を有する同一サイズの平行するエンドツーエンド(end−to−end)毛細管(マイクロチャネル)を数十万個備えてなる。
陽極103および陰極104セクションには、それぞれ陽極電極117および陰極電極118が取り付けられるほか、単極イオン交換膜111および両極イオン交換膜112も取り付けられる。電流源の対応する極への陽極および陰極電極の接続は、図1および他の図において記号「+」および「−」で示されている。それぞれのセクションにおいて、膜111、112は、各セクションを2つの室に分割する隔壁を形成する。各イオン交換膜とこの膜に最も近いポリキャピラリカラム体110の流入口端部141および流出口端部142との間の空間は、くみ上げられた液体流動用の室(113、114)を構成し、各イオン交換膜とこの膜に最も近い陽極セクション103および陰極セクション104の端部壁(105、106)との間の空間は、電荷移動用補助媒質で満たされる室(115、116)を構成する。陽極117および陰極118電極は、電荷移動用補助媒質で満たされる室115、116に配置される。この場合、単極イオン交換膜111は陰イオン交換膜であり、両極イオン交換膜112は、そのカチオナイト側が陰極電極118に対向する(図1および以降の図においては、アニオナイト膜および両極膜のアニオナイト側を記号「A」の反復で示し、両極膜のカチオナイト側を記号「C」の反復で示す)。陽極電極117は、陽極電位への暴露時に電荷移動用補助媒質中に溶け出ない材料、たとえば白金または黒鉛、で作られる。
陽極103および陰極104セクションは、くみ上げられた液体流動用の室113、114の側面に設けられたニップル119、120を具備する。ニップルの開口部121、122を貫通する軸方向は、くみ上げられた液体の流入および流出用ためのチャネルを画成する(液体の移動方向を矢印で示す)。ポリキャピラリカラム体110は、ニップル119、120の開口部121、122を閉塞しないように挿入される。陽極103および陰極104セクションの電荷移動用補助媒質で満たされる室115、116の側面に、気体排出用の穴125、126が設けられる。
筐体の管状部品101、102の各端部および隣接する陽極103および陰極104セクションの各端部は、互いに接合されたときの嵌め合いを保証する構成になっている。ポリキャピラリカラム体110にしっかりと嵌り、筐体の管状部品101、102を陽極103および陰極104セクションに接合する領域に取り付けられるゴムまたはシリコーン製シールリング123、124は、装置の気密性を保証し、ポリキャピラリカラム体からの漏れを防止するために役立つ。
膜111、112と陽極103および陰極104セクションの壁との間に空間は一切ない。これによって、アニオナイト膜111を通る陰イオンの移動および水分子の移動を除き、これらの膜のそれぞれによって分割されている隣接する室間の漏れが防止される。
マルチチャネルポリキャピラリ構造は、上記の実施形態および他の実施形態によるとポリキャピラリカラム体の形態をとるが、たとえば特許文献[9〜11]に記載されている技術によって作成してもよい。また、特許文献[12]に記載されているポリキャピラリクロマトカラム製造用プロセスを用いることも可能である。このプロセスは、マイクロチャネルの横断寸法の広がりが小さいことが保証されるので、他の条件が同じであれば、広がりの縮小によってマイクロポンプの生産性にプラスの効果があるので好ましい。これは、マルチチャネル構造の個々のマイクロチャネルが細いほど、より太い場合に比べ、マイクロチャネルの流出口の圧力が高くなるためである。マルチチャネル構造の流出口端部での合計圧力の均等化は、微細な逆流の形成と、個々のチャネルがより太い場合の揚送率の低下を伴う。
図2に断面で示す動電学的マイクロポンプは、図1に示すマイクロポンプと同様であるが、カチオナイトイオン交換膜227が陰極セクション204に取り付けられ、両極イオン交換膜212が陽極セクション203に、そのアニオナイト側を陽極電極217に向けて、取り付けられている点が異なる。この図および以降の図において、カチオナイト膜を示すために、記号「C」の反復を用いる。
図2には、上記の参照符号のほか、以下の参照符号が使用されている。
201、202−筐体の管状部品、
205、206−陽極および陰極セクションの端部壁、
207−筐体の管状部品の接続用スリーブ、
208、209−筐体の管状部品を陽極および陰極セクションに接続するための軸継手ナット、
210−ポリキャピラリカラム体の形態をとるマルチチャネル構造、
213、214−くみ上げられた液体流動用の室、
215、216−電荷移動用補助媒質で満たされた室、
218−陰極電極、
219、220−ニップル(流出口および流入口)、
221、222−くみ上げられた液体の流出および流入用のニップル開口部、
223、224−環状シールパッド、
225、226−気体排出用の陽極および陰極セクションの壁の穴、
241、242−マルチチャネル構造の流入口端部および流出口端部。
図1および図2によるマイクロポンプの室115、116および215、216を満たすために用いられる補助媒質は、くみ上げられた液体と同一の液体である。
図3に断面で示す動電学的マイクロポンプは、図1および図2に示すマイクロポンプと同様であるが、ナノ濾過および逆浸透用の気圧膜327、328が陽極セクション303および陰極セクション304にさらに設けられている点が異なる。この図および以降の図においては、気圧膜を示すために、記号「B」の反復を使用する。この気圧膜は、くみ上げられた液体流動用の室313、314に最も近い、イオン交換膜311、312の側面に隣接する。
図3には、上で指定した参照符号以外に、以下の参照符号が使用されている。
301、302−筐体の管状部品、
305、306−陽極および陰極セクションの端部壁、
307−筐体の管状部品の接続用スリーブ、
308、309−筐体の管状部品を陽極および陰極セクションに接続するための軸継手ナット、
310−ポリキャピラリカラム体の形態をとるマルチチャネル構造、
315、316−電荷移動用補助媒質で満たされた室、
317、318−陽極および陰極電極、
319、320−ニップル(流入口および流出口)、
321、322−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
323、324−環状シールパッド、
325、326−陽極および陰極セクションの壁の気体排出用の穴、
341、342−マルチチャネル構造の流入および流出口端部。
図3によるマイクロポンプは、先行する2つの図によるマイクロポンプと同様、くみ上げられた液体と同一の液体が電荷移動用補助媒質として用いられる。室315、316は、この液体で満たされる。
図4に示す動電学的マイクロポンプの実施形態の特別な特徴は、室415、416が電荷移動用補助媒質で満たされ、気体流出用の開口部のない密封された陽極403および陰極404セクションに配置されることである。気圧膜429、430は、イオン交換膜411(陰イオン交換)および412(両極)の、前記室415、416に対向する側に隣接する。
図4には、上で指定した参照符号以外に、以下の参照符号が使用されている。
401、402−筐体の管状部品、
405、406−陽極および陰極セクションの端部壁、
407−筐体の管状部品の接続用スリーブ、
408、409−筐体の管状部品を陽極および陰極セクションに接続するための軸継手ナット、
410−ポリキャピラリカラム体の形態をとるマルチチャネル構造、
413、414−くみ上げられた液体流動用の室、
417、418−陽極および陰極電極、
419、420−ニップル(流入口および流出口)、
421、422−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
423、424−環状シールパッド、
441、442−マルチチャネル構造の流入および流出口端部。
図4に示すマイクロポンプにおいては、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物の溶液を電荷移動用補助媒質として使用してもよい。たとえば、補助媒質は、第二および第一鉄の混合物の酸性溶液でもよく、あるいは過マンガン酸カリウムおよびマンガン酸カリウムの混合物の塩基性溶液でもよい。
図4に示すマイクロポンプにおいては、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物の懸濁液またはペーストを電荷移動用補助媒質として用いることもできる。たとえば、補助媒質は、第一鉄塩および第二鉄塩の混合物、コバルトおよびコバルト塩、過マンガン酸カリウムおよびマンガン酸カリウムの混合物、過マンガン酸カリウムおよび二酸化マンガンの混合物、マンガン酸カリウムおよび二酸化マンガンの混合物、酸化形態がそれぞれ異なる複数のクロム塩の混合物、等でもよい。
図4による動電学的マイクロポンプのすべての実施形態において、陽極セクション403の室415内の電荷移動用補助媒質の特別な特徴は、1つの元素の酸化レベルが異なる複数の化合物の混合物中に還元形態の1つの元素の含有量が過剰である点である。
図4による動電学的マイクロポンプのすべての実施形態において、陰極セクション404の室416内の電荷移動用補助媒質の特別な特徴は、1つの元素の酸化レベルが異なる複数の化合物の混合物中に酸化形態の1つの元素の化合物の含有量が過剰である点である。
したがって、両方の室415、416内の電荷移動用補助媒質は、これらのどのケースにおいても、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物を含むという同じ条件を満たす。
図5に断面で示す動電学的マイクロポンプは、図4に示すマイクロポンプと同様であるが、陽極503および陰極504セクションのそれぞれにおいて、2つの気圧膜(527、529、および528、530)がイオン交換膜511(アニオナイト)および512(両極)の両側面に隣接して配置されている点が異なる。
図5には、上で指定した参照符号以外に、以下の参照符号が使用されている。
501、502−筐体の管状部品、
505、506−陽極および陰極セクションの端部壁、
507−筐体の管状部品の接続用スリーブ、
508、509−筐体の管状部品を陽極および陰極セクションに接続するための軸継手ナット、
510−ポリキャピラリカラム体の形態をとるマルチチャネル構造、
513、514−くみ上げられた液体流動用の室、
515、516−電荷移動用補助媒質で満たされた室、
517、518−陽極および陰極電極、
519、520−ニップル(流入口および流出口)、
521、522−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
523、524−環状シールパッド、
541、542−マルチチャネル構造の流入および流出口端部。
図6に断面で示す動電学的マイクロポンプの実施形態は、図4に示すマイクロポンプの実施形態に近いが、以下の特徴を有する。
−気圧膜を備えていない、
−粒状イオン交換材料が、陽極603および陰極604セクションの室615、616を満たす電荷移動用補助媒質として用いられている、
−陽極電極617は、正電位の作用下で電荷移動用補助媒質に溶け出しうる材料で作られる、
−陰極電極618は、電荷移動用補助媒質の成分が負電位の作用下でその上に堆積する材料で作られる。
図6には、上で指定した参照符号以外に、以下の参照符号が使用されている。
601、602−筐体の管状部品、
605、606−陽極および陰極セクションの端部壁、
607−筐体の管状部品の接続用スリーブ、
608、609−筐体の管状部品を陽極および陰極セクションに接続するための軸継手ナット、
610−ポリキャピラリカラム体の形態をとるマルチチャネル構造、
611、612−アニオナイトおよび両極イオン交換膜
613、614−くみ上げられた液体流動用の室、
619、620−ニップル(流入口および流出口に対応)、
621、622−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
623、624−環状シールパッド、
631、632、および633、634、635−陽極および陰極セクションの対応する室を満たす電荷移動用補助媒質として用いられる粒状イオン交換材料の層(詳細は以下を参照)、
641、642−マルチチャネル構造の流入および流出口端部。
図6に示すマイクロポンプにおいては、粒状イオン交換材料として、たとえばカチオナイト、特に、スルホン基を含むカチオナイト、カルボン酸またはホスホン酸カチオナイトを使用してもよく、陽極および陰極電極の材料として、良好な導電性を有する金属、たとえば銅、銀、亜鉛、ニッケル、等を使用してもよい。カチオナイトは、電荷移動用補助媒質で満たされた室内にいくつかの層を形成する。陽極セクション603の室615内の陽極電極617に隣接するカチオナイト層631、および陰極セクション604の室616内の中間層634は、対応する金属形態でカチオナイトを含む。陽極セクション604の室615内で、アニオナイトイオン交換膜611に隣接するカチオナイト層632および陰極セクション604の室616内で、両極イオン交換膜812と陰極電極616とに隣接する周辺層633および635は、水素の形態のカチオナイトである。
図7に断面で示す動電学的マイクロポンプは、図6に示すマイクロポンプと同様であるが、ナノ濾過または逆浸透用の気圧膜727、728がイオン交換膜711、712の近くに設けられている点が異なる。これらの気圧膜は、ポリキャピラリカラム体710の対応する端部に対向する、イオン交換膜の側面に配置される。
図7には、上記の参照符号のほか、以下の参照符号が使用されている。
701、702−筐体の管状部品、
703、704−陽極および陰極セクション、
705、706−陽極および陰極セクションの端部壁、
707−筐体の管状部品の接続用スリーブ、
708、709−筐体の管状部品を陽極および陰極セクションに接続するための軸継手ナット、
713、714−くみ上げられた液体流動用の室、
715、716−電荷移動用補助媒質で満たされた室、
717、718−陽極および陰極電極、
719、720−ニップル(流入口および流出口)、
721、722−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
723、724−環状シールパッド、
731、732、および733、734、735−陽極および陰極セクション内で電荷移動用補助媒質で満たされた室内の粒状イオン交換材料の層であり、上記のように図6に示す対応する層と同様、
741、742−マルチチャネル構造の流入および流出口端部。
本発明によるマイクロポンプは、図8に示すように作ることもできる。この実施形態は、マイクロポンプを担持する構造としての筐体がない点が先行する各図による実施形態と異なる。この実施形態において、陽極803および陰極804セクションは、ポリキャピラリカラム体810の流入口端部841および流出口端部842に直接固定される(たとえば、流入口端部841および流出口端部842に接着してもよい)。より良好な機械的強度を実現するために、たとえば特許文献[11]、[12]に記載されている方法によって、ポリキャピラリカラムに保護被膜を設けてもよい。この場合、ポリキャピラリカラムの断面を必ずしも円形にする必要はなく、陽極および陰極セクションを円筒形にする必要もない。図8によるマイクロポンプは、筐体がない点と、筐体の部品間の接続用要素および筐体の部品と両電極セクションとの接続用要素がない点とを除けば、図4によるマイクロポンプと同様である。図1〜図3、および図5〜図7によるマイクロポンプも同様の構成で作製しうる。
図8には、上で指定した参照符号以外に、以下の参照符号が使用されている。
805、806−陽極および陰極セクションの端部壁、
811、812−アニオナイトおよび両極イオン交換膜、
813、814−くみ上げられた液体流動用の室、
815、816−電荷移動用補助媒質で満たされた室、
817、818−陽極および陰極電極、
819、820−ニップル(流入口および流出口)、
821、822−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
829、830−ナノ濾過または逆浸透用の気圧膜、
841、842−マルチチャネル構造の流入および流出口端部(ポリキャピラリカラム体)。
図1による動電学的マイクロポンプは、以下のように動作する。
ポリキャピラリカラム体110の形態に作られたマルチチャネル構造のガラスまたは水晶がマルチチャネル構造の各マイクロチャネル内の水または水溶液に接触すると、固体−液体界面に(すなわち、マイクロチャネルの壁に)電気二重層が形成される。この電気二重層の図が図9に示されている。指定された条件下において、固体の内面は通常は過剰な負の電荷を帯びる。これは、その活性中心がOHイオンまたは他の陰イオンを上記溶液から吸収した結果、および/またはHイオンまたは他の陽イオンを溶液中に脱着させた結果である。固体表面上の過剰な負の電荷は、陽イオンによって、たとえば溶液または固体からの陽子によって、中和される。前記陽子のうち、いわゆるシュテルン層に属する部分は、強く吸収されるので、マイクロチャネル内部の液体の移動によって転位されないこともある。固体物の表面におけるシュテルン層の陽電位は、図9では「φ」で示されている。この層は、固体物の表面における負電荷の層と共に、電気二重層の内部938を形成する。過剰な負電荷を中和するために必要な残りの陽子は、拡散層またはデバイ層、すなわち電気二重層の外部939を形成する。実際には、拡散層に属する陽子(および溶液からの正に帯電した他のイオン)の合計量が、マイクロチャネル内部を動く液体によって転位されうる。電気二重層の可動部と不動部との間のすべり接触境界上の電位(いわゆるゼータ電位)は、図9では「ξ」で示されている。電気二重層の外側の電位の値はゼロである。すなわち、マイクロチャネル内部の残りの液体は、電気的に中立であり、負および正の電荷の数は相互に等しい。これらの陽イオンおよび陰イオンは、図9には示されていない。
したがって、マイクロチャネル内の液体の可動部分のみ(すなわち、すべり接触境界内の液体のみ)を考えると、液体は、図9に示されているように、過剰な陽電荷を有する。この陽電荷は主にマイクロチャネルの内壁近くに集中している。マルチチャネル構造の両端部間の電位差の作用下で、陽イオンは陰極電極118に向かって移動し、陰イオンは陽極電極117に向かって移動する。両電極においては、次の半反応により、ガス状水素の放出を伴う陽子の放出と、ガス状酸素の放出を伴う等量の水酸基イオンの放出が発生する。
陰極電極において、
4H+4e→2H↑、
陽極電極において、
4OH−4e→O↑+2H
水の分離を考慮すると、4HO=4OH+4H
プロセス全体では、
2HO=2H↑+O↑。
等量の陰イオンおよび陽イオンが反対方向に移動されることは明らかである。ただし、マイクロチャネルの内部で移動されたイオンの分布は不均一である。すべり接触境界内部の過剰な正電荷と電気二重層とは、常に一定である(外部の長手方向の磁界の影響下で、瞬間的には、二重層の拡散部分が陰極電極118側に分子寸法に匹敵する距離だけ移動する点のみが異なる)。つまり、壁の近くでは、主として陽イオンの移動が発生する。摩擦力により、移動される水和陽イオンは自由な水分子も運び去るので、結果として壁に隣接する水塊全体が陰極電極側に変位する。マイクロチャネルの中心部では、状況はこの逆になるはずである。ただし、二重層の拡散部分の横断寸法は、マイクロチャネルの直径に比べると余りにも小さいので、陽極電極117側に移動される過剰な負電荷の密度は無視できるものであり、匹敵する水塊が陽極電極側に変位することはない。
図1に示す装置の動作中は、以下のプロセスが発生する。
1)補助媒質用の室115内の陰イオン(たとえば、OH)の陽極電極117側への移動、
2)陰イオンの陰イオン交換膜111経由での移動、
3)陽極電極117上でのOHイオンの放出と、これに伴うガス状酸素の放出、
4)補助媒質用の室116内の陽イオン(たとえば、H)の陰極電極118側への移動、
5)両極膜112のアニオナイト側による等量のOHイオンの発生および陽極電極117側への移動、
6)マルチチャネル構造110から運び出された陽子と、両極膜112によって発生された水酸基イオンとの間の中和反応:H+OH=HO、
7)両極膜112のカチオナイト側による等量のHイオンの発生および陰極電極118側への移動、
8)陰極電極118上での陽子の放出と、これに伴うガス状水素の放出。
したがって、図1に示す動電学的マイクロポンプの動作中は、液体(水または水溶液)がくみ上げられ、移動された水分子の小部分がファラデーの法則に従って電極上で分解され、移動された電荷の量に相当する量の酸素および水素が放出される。
本装置の動作を特色付ける特徴は以下の点である。
−陰極および陽極電極がくみ上げられた液体に直接接触しない、
−水溶液中の水の含有量が一定である、
−くみ上げられた液体用の室が膜で隔離されているため、電極上で放電中に発生する気泡がこの室に入り込めない。
電極が陰イオン交換膜および両極膜によってマルチチャネル構造の端部141、142から分離されていない場合は、次の結果が生じうる。すなわち、気泡の形成、気泡によるくみ上げの妨害またはくみ上げプロセスの安定性の妨害、または水溶液成分の電極上での酸化または還元、およびその結果として、くみ上げられる溶液の酸性化またはアルカリ化が発生しうる。
図10は、図1によるマイクロポンプの電極上のDC電圧に応じて変化する蒸留水の揚送率(曲線1051)、および濃度の異なる複数の塩化ナトリウム溶液(30mg/l−曲線1052、および50mg/l−曲線1053)の揚送率を示す。マルチチャネル構造(ポリキャピラリカラム体)の長さは30mm、その外径は10mm、個々のチャネルの直径は10ミクロン、およびチャネルの数は400,000である。この図は、溶解塩の濃度が高いほど液体の揚送率が下がることを示す。これは、塩の濃度の上昇に伴い、電気二重層の形成、すなわちマイクロポンプにおける液体のくみ上げに関与しないイオンによって移動される電流が増えるという事実による。
図2に示す実施形態による動電学的マイクロポンプは、上記のマイクロポンプと同様に動作するが、ただし、液体は陰極セクション204から陽極セクション203へとくみ上げされる。このマイクロポンプは、すべての層の電荷の符号が図9に示す符号の逆になったケースに相当する。これが可能になるのは、たとえば、水または水溶液がポリアミドまたはポリイミンなどのプラスチック材料で作られたマルチチャネル構造の表面に接触する場合である。
図3による動電学的マイクロポンプの動作は、図1に示すマイクロポンプの動作とまったく同じであるが、この装置に使用されている気圧膜327、328は、水酸基イオンに加え、他のあらゆる陰イオンの陰イオン交換膜311への移動、さらには陽極電極317への移動を防止するか、または実質的に減らし、陽子に加え、あらゆる陽イオンの両極膜312および陰極電極318への移動を防止するか、または実質的に減らす。このマイクロポンプの機能の特別な特徴は、高濃度の食塩水の形態の液体の高くみ上げ速度を維持できる点、および電極でのヒドロキソニウムおよび水酸基以外の陽イオンまたは陰イオンの放出を防止できる点である。
これによって、陽極および/または陰極セクション、すなわちくみ上げられた液体用の室313および314、における媒質のpH値の変化を回避できる。
図4による動電学的マイクロポンプの特別な特徴は、マイクロポンプの動作プロセス中にガス状生成物が形成されない点である。陽極セクション403および陰極セクション404は密封され、電荷移動用補助媒質で満たされる室415、416は、このような媒質として少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物の溶液または懸濁液またはペーストを収容する。たとえば、酸化レベル(II)、(III)の可溶性鉄塩の混合物を電荷移動用補助媒質として使用してもよい。特に、硫酸鉄(II)および硫酸鉄(III)の混合物を使用すると、電極で酸素および水素が遊離しない。電気化学ポテンシャルの絶対値が低い場合は、次の電気化学的酸化および還元プロセスが発生する。
陰極電極において(還元プロセス)、
Fe(SO+2H+2e⇒2FeSO+HSO
陽極電極において(酸化プロセス)、
2FeSO+HSO+2OH−2e⇒Fe(SO+2HO。
前記動電学的マイクロポンプの動作の結果は、液体のくみ上げに加え、陰極セクションにおける電荷移動用補助媒質への第一鉄化合物の混入と、陽極セクションにおける第二鉄化合物の混入である。
電荷移動用補助媒質として、たとえば酸化レベル(IV)、(VI)、および(VII)のマンガン化合物の混合物の懸濁液も使用しうる。特に、過マンガン酸カリ、マンガン酸カリウム、および二酸化マンガンの混合物を使用すると、電極において次の電気化学的酸化および還元プロセスが発生する。
陰極電極において(還元プロセス)、
2KMnO+4H+4e⇒KMnO+MnO+2HO、
陽極電極において(酸化プロセス)、
K2MnO+MnO+4OH−4e⇒2KMnO+2HO。
この動電学的マイクロポンプの動作の結果は、液体のくみ上げに加え、陰極セクションの室416における電荷移動用補助媒質への酸化レベルIVおよびVIの複数のマンガン化合物の混入、および陽極セクションの室415における酸化レベルVIIのマンガン化合物の混入である。
図4によるマイクロポンプの動作のすべての変形において、気圧膜429、430は、電荷移動用補助媒質の成分によるイオン交換膜411、412の汚染を防止する。
マイクロポンプの1作動サイクルに対応する一定期間の経過後、すなわち、還元形態のマンガン化合物(酸化レベルIVおよびVI)が陽極セクションで使い果たされ、同時に等量の酸化形態(酸化レベルVII)のマンガン化合物が陰極セクションで使い果たされると、マイクロポンプは動作を停止する。
その動作容量を回復するには、電荷移動用補助媒質で満たされた陽極および陰極セクションの室を相互に交換するだけでよい。このような交換を可能にするために、陽極および陰極電極セクションは取り外し可能になっており、電荷移動用の補助液体で満たされた室を取り外すための装備がなされている。1作動サイクルの持続時間(補助媒質用の2つの室の交換間隔)は、電荷移動用補助媒質中の活性成分の量(これらの成分の濃度および体積)によって決まる。
このような実施形態の電極室を有するマイクロポンプの一例が図11に示されている。このマイクロポンプは、図8に図示のものと同様、筐体なしに作られている。くみ上げられた液体流動用の室1114および補助媒質用の室1116に対応する、陰極セクションの部品1135および1136には、ネジ接続部1137が存在する。密封性を保証するために、適切なシール(本図面には不図示)をこの接続部に設けてもよい。陰極セクションの部品を取り外すには、補助媒質用の室1116および陰極電極1118を収容するこのセクションの部品1136(部品1136は、図11による陰極セクションの右側の部品)のネジを緩めるだけでよい。すると、両極膜1112および気圧膜1130は、くみ上げられた液体流動用の室1114を含む陰極セクションの左側部分1135(図11による)に残る。陽極セクションの部品1138、1139およびネジ接続部1140は、類似の設計および機能を有する。陽極セクションを分離すると、アニオナイト膜1111および気圧膜1129は、くみ上げられた液体流動用の室1113を含む陽極セクションの右側(図11による)部分1138に残る。したがって、部品1138および1139間および1135および1136間の分離後に室1115、1116を補助媒質と共に交換するとき、イオン交換膜1111、1112は元の場所に残る。さらに、気圧膜1129、1130もそれぞれの元の場所に残る。
図11には、上記の参照符号のほか、以下の参照符号が使用されている。
1105、1106−陽極および陰極セクションの端部壁、
1110−ポリキャピラリカラム体の形態をとるマルチチャネル構造、
1117−陽極電極、
1119、1120−ニップル(流出口および流入口)、
1121、1122−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
1141、1142−マルチチャネル構造の流入および流出口端部(ポリキャピラリカラム体)。
補助媒質用の室の交換の各段階が図12に模式的に示されている。この図には、以下の参照符号が使用されている。
1210−ポリキャピラリカラム体の形態をとるマルチチャネル構造、
1217、1218−室の交換前は陽極と陰極であり、室の交換後は陰極と陽極になる電極、
1235、1236−陰極セクションの2つの部品(室の交換前)であり、くみ上げられた液体用の室を備える第1の部分と、電荷移動用補助媒質を有する室を備える第2の部分、
1238、1239−陽極セクションの2つの部品(室の交換前)であり、くみ上げられた液体用の室を備える第1の部分と、電荷移動用補助媒質を有する室を備える第2の部分。
図12には、交換される陰極および陽極セクションの部品1236および1239がそれぞれ異なる網掛けで示されている。
交換プロセスの段階(1)〜(7)は、以下のとおりである。
(1)マイクロポンプを直立させ、外部電流源からの切り離しとくみ上げられた液体の源および消費側からの切り離しとを行う(十分な長さの可撓性接続ホースの場合、後者は不要である)。
(2)図面の下方に示されている、補助媒質と電極1218とを有する室を備えた部品1236を、複数の直線矢印で示されているように取り外す。環状矢印は、マイクロポンプの上下を逆にすることを示す(次の段階を参照のこと)。
(3)部品1236が切り離されたマイクロポンプの上下を逆にする。この結果、部品1238および1239がどちらも下になる。
(4)図面の下方に示されている、補助媒質と電極1217とを有する室を備えた部品1239を、複数の直線矢印で示されるように取り外す。弓形矢印は、部品1236を部品1238に接続しうること、すなわち、部品1239の代わりに取り付けうることを示す(次の段階を参照のこと)。
(5)補助媒質と電極1218とを有する室を備えた部品1236を部品1238に接続する、すなわち部品1239の代わりに取り付ける。環状矢印は、マイクロポンプの上下を逆にしうることを示す(次の段階を参照のこと)。
(6)部品1236が最上部にくるように、部品1236が接続されたマイクロポンプの上下を逆にする。複数の直線矢印は、部品1239を部品1235に接続しうることを示す(次の段階を参照のこと)。
(7)補助媒質と電極1217とを有する室を備えた部品1239を部品1235に接続する。すなわち部品1236の代わりに取り付ける。
これで、上記ステップによる操作の結果として、補助媒質を有する室と電極とをそれぞれ備えた部品1236および1239が交換される。次に、マイクロポンプを外部電流源に再び接続し、さらにくみ上げられた液体の源および消費側に再び接続してもよい(くみ上げられた液体の源および消費側を切り離した場合)。これによって、くみ上げられた液体の流入および流出用の同じチャネルを以前と同様に使用することができる。これは、それぞれ対応する向きの矢印によって示されている。したがって、前記外部電流源の正極は、この図面の上方に示されている電極1218に接続する必要があり、負極は、この図面の下方に示されている電極1217に接続する必要がある。すなわち、室の交換後は、電極の位置も変わり、それぞれの極が逆になる。以前は陽極であった電極1217は陰極になり、以前は陰極であった電極1218は陽極になる。
図5による動電学的マイクロポンプの動作は、図4に示されているマイクロポンプの動作と同様である。ただし、この装置に追加されている気圧膜527、528は、水酸基イオンに加え、あらゆる陰イオンのくみ上げられた液体から陰イオン交換膜511側への移動を防止するか、または実質的に減らし、陽子に加え、あらゆる陽イオンの両極膜512側への移動を防止するか、または実質的に減らす。このマイクロポンプの動作の特別な特徴は、高濃度の食塩水の形態の液体の高揚送率を維持できる点である。
図6による動電学的マイクロポンプは、以下の動作上の特徴を有する。ガス状生成物を形成する代わりに、陽極電極617の材料が溶解し、金属イオンが形成される。この金属イオンは、補助媒質用の気密室615を満たす水素形態のカチオナイトと反応する。同時に、補助媒質用の気密室616を満たすカチオナイトから溶液中に金属イオンが移動し、陰極電極618に堆積する。
陽極電極617および陰極電極618が金属銅で作られた、図6に示すマイクロポンプの動作中、水素形態のカチオナイトが陽極セクション603の補助媒質用の室615に充填され、一部が水素形態、一部が銅形態であるカチオナイトが陰極セクション604の補助媒質用の室616に充填される。このマイクロポンプにおいては、以下のプロセスが発生する。
1)マルチチャネル構造610内の陰イオン(たとえば、OH)の陽極電極側への移動、
2)水酸基イオンの陰イオン交換膜611経由での補助媒質用の室615への移動、
3)陽極電位への暴露時に半反応による銅陽極電極617の溶解:Cu→Cu2++2e、
4)生じた銅イオンのH形態のカチオナイトとの反応、およびこの反応による銅形態のカチオナイトの形成:Cu2++2R−H=R−Cu+2H
5)陽子のH形態のカチオナイト層経由での陰極電極側への移動、およびこれらの陽子と陰イオン交換膜611(上記項目2を参照)経由で移動された水酸基イオンとの反応:H+OH=HO、
6)マルチチャネル構造610内の陽子の陰極電極618側への移動、
7)両極膜612のアニオナイト側による等量のOHイオンの生成、およびこれらのOHイオンの陽極電極617側への移動、
8)マルチチャネル構造610から運び出された陽子と両極膜612によって生成された水酸基イオンとの間での、反応H+OH=HOによる中和反応、
9)両極膜612のカチオナイト側による等量のHイオンの生成、およびこれらのHイオンの補助媒質用の室614に配置されたH形態のカチオナイト層経由での陰極618側へ移動、
10)水素イオンと銅形態のカチオナイトとの、反応R−Cu+2H=Cu2++2R−Hによる反応、
11)半反応Cu2++2e→Cuによる銅イオンの放出、および陰極電極618上への堆積。
したがって、図6に示す動電学的マイクロポンプの動作中、得られる結果は、液体のくみ上げ(水または水溶液)、陽極電極617の部分的溶解、および等量の銅の陰極電極618への堆積を含む。
マイクロポンプの1作動サイクルに対応する一定期間の経過後、すなわち室615内のカチオナイト層631および632間の境界が陰イオン交換膜611まで移動した後、マイクロポンプは動作を停止する。その動作容量を回復するために、陽極および陰極セクションの補助媒質用のマイクロポンプ室を、上記および図11および図12に図示のように交換する必要がある。1作動サイクルの持続時間(室の2回の交換間)は、陽極および陰極セクションの補助媒質用の室に充填されるカチオナイトの量によって決まる。
このケース、および上記のすべてのケースにおいて、室の交換後に発生する各プロセスは、前のサイクルの各プロセスに似ている。
図13は、電極上のDC電圧に応じて異なる図6によるマイクロポンプの蒸留水の揚送率を示す。マルチチャネル構造(ポリキャピラリカラム体)の長さは30mm、その外径は9.6mm、個々のチャネルの直径は10ミクロン、およびチャネルの数は360,000である。この図から分かるように、制御された最小揚送率として10マイクロリットル/分台に到達することができる。
図7に示す動電学的マイクロポンプの動作は、図6による上記のマイクロポンプの動作と同様である。違いは、高濃度溶液のより高い揚送率が達成される点と、イオン交換膜711、712への、ヒドロキソニウムイオンおよび水酸基イオンに加え、溶液の成分の到達が防止される点である。これは、ナノ濾過または逆浸透用の気圧膜727、728が、その側面をポリキャピラリカラム体710の対応する端部741、742に対向させて、イオン交換膜の近くに配置されている事実による。
図1〜図8に示されている本発明の電気マイクロポンプの上記のすべての具体的実施形態において、一次電極の使用は必須ではない。二次電極の使用も可能である。図14は、図6による実施形態と同様のマイクロポンプの実施形態を示す。ただし、このマイクロポンプは、図8に示すマイクロポンプと同じように筐体がなく、銀−塩化銀陽極1417および陰極1418電極を具備している。
陽極セクション1403の補助媒質の室1415はカチオナイトを表す粒状イオン交換材料で満たされ、陰極セクション1404の室1416はアニオナイトを表すイオン交換材料で満たされている。
図14には、上記の参照符号のほか、以下の参照符号が使用されている。
1405、1406−陽極および陰極セクションの端部壁、
1410−ポリキャピラリカラム体の形態をとるマルチチャネル構造、
1411、1412−アニオナイトおよび両極イオン交換膜
1413、1414−くみ上げられた液体流動用の室、
1419、1420−ニップル(流入口および流出口)、
1421、1422−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
1441、1442−マルチチャネル構造の流入および流出口端部(ポリキャピラリカラム体)。
このマイクロポンプの動作中、以下のプロセスが発生する。
1)陽極電極1417上での銀イオンの形成:Ag−e→Ag
2)銀−塩化銀電極1417からの銀イオンの放出、およびこれらの銀イオンと陽極セクション1403の室1415内のアニオナイトとの反応:R−HAg=R−Ag
3)水酸イオンの陰イオン交換膜1411経由での移動、
4)プロセス2で形成された水素イオンと水酸基イオンとの反応による水の形成:H+OH=HO、
5)マルチチャネル構造1410内の陽子の陰極電極1418側への移動、
6)両極膜1412のアニオナイト側による等量のOHイオンの生成、
7)マルチチャネル構造1410から運び出された陽子と、両極膜1412によって生成された水酸基イオンとの間での、反応HO=H+OHによる中和反応、
8)両極膜1412のカチオナイト側による等量のHイオンの生成、
9)陰極電極1418上での塩素イオンの形成:AgCl+e=Ag+Cl
10)陰極電極による塩素イオンの放出、
11)水素イオンおよび塩素イオンのアニオナイトとの反応:R−OH+H+Cl=R−Cl+HO。
したがって、図14に示す動電学的マイクロポンプの動作中の結果は以下のとおりである。
−液体のくみ上げ、
−Ag形態のカチオナイトの形成、
−Cl形態のアニオナイトの形成。
お分かりのように、二次電極を使用した場合に発生するプロセスは、対称的ではない。したがって、イオナイトの消耗後に陽極および陰極セクションの補助媒質用の室1415、1416の交換は不可能である。したがって、図11による実施形態のように陽極および陰極セクションを分離可能にする必要はない。二次電極を使用することの欠点として、許容電流密度が低いことも挙げられる。
上記のように、ポリキャピラリカラム体の形態のマルチチャネル構造の製造が好ましいが、必須というわけではない。図15および図17は、マルチチャネル構造が異なるマイクロポンプの例を示す。
図15によるマイクロポンプにおいては、マルチチャネル構造は、粉末状材料1544で満たされた容器1543であり、くみ上げられた液体が透過しうる端部面1541、1642を有する。
粉末状材料のための容器の一実施形態が図16に示されている。この容器は中空の円筒1661であり、この円筒に気密に螺着される取り外し可能なカバー1662、1663を有する(カバー1663は取り外された位置に示されている)。マイクロ濾過膜1666、1667がこれらのカバー内に配置される(膜1666は容器の組み立て完了時に占める位置に示されており、膜1667は中間位置に示されている)。容器の組み立て完了時にマイクロ濾過膜に(膜1666については図16に図示のように)緊密に嵌るカバー1662、1663の端部壁は、マルチチャネル構造の各端部を形成する。図15において、これらはそれぞれ1541、1542で示されている。ゴムまたはシリコーン製リングガスケット1664、1665は、容器組み立て後の容器の密封性を保証する。容器の中空円筒部1661およびカバー1662、1663は、非導電性材料で作られる。この非導電性材料としては、プラスチックが好ましく、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、プレキシグラス、テフロン(登録商標)、カプロロン(kaprolon)、等が挙げられる。
直径0.5〜1mmの複数の穴1668が容器カバー1662、1663の端部壁に均等にあけられる。マイクロ濾過膜1666、1667に必要な透過性は、使用する粉末の粒径による。たとえば、5.5ミクロン超から10ミクロンまでの粒径の場合は、ミリポア(Millipore)社製の5ミクロン幅の開口部を有するポリアセテート膜の使用が適するであろう。
容器1543(図15)に充填される粉末状材料は、無機性または有機性の非導電性材料である(セラミック、ガラス、水晶、ポリ塩化ビニル、ポリアセテート、等)。
この場合のマルチチャネル構造は、次のように組み立てられる。
−これらのカバーの一方を中空円筒部1661に螺着する(たとえば、図16に示すようなカバー1662)、
−これらのマイクロ濾過膜の一方を、得られた容器の底に配置する(たとえば、図16に示すような膜1666)、
−得られた容器に粉末状材料の水性懸濁液を、沈降物を落ち着かせ、過剰な液体を流出することによって、高密度に装填する、
−湿った粉末の層を第2のマイクロ濾過膜で覆い、第2のカバーをしっかりと螺着する。
図17によるマイクロポンプにおいては、マルチチャネル構造は、粉末状材料を焼結することによって得られた多孔質体1745である。このような材料として、珪酸塩、アルミノ珪酸塩、リン酸塩、およびチタン酸鉛セラミックのほか、金属酸化物の混合物を含有するセラミックを使用してもよい。
多孔質体の側面を、重合性シーラントの層、好ましくはシリコーン系重合性シーラントの層、で覆う。
図15および図17に示すマイクロポンプは、その他のすべての点においては、図6に示すマイクロポンプと似ている(ただし、筐体がない。この点に関しては、図8に示すマイクロポンプに似ている)。
図15および図17においては、上記の参照符号に加え、以下の参照符号が使用されている。
1503、1703、および1504、1704−陽極および陰極セクション、
1505、1705、および1506、1706−陽極および陰極セクションの端部壁、
1511、1711、および1512、1712−アニオナイトおよび両極イオン交換膜、
1513、1514、1713、1714−くみ上げられた液体流動用の室、
1515、1516、1715、1716−電荷移動用補助媒質で満たされた室、
1517、1717、および1518、1718−陽極および陰極電極、
1519、1719、および1520、1720−ニップル(流入口および流出口)、
1521、1721、および1522、1722−くみ上げられた液体の流入および流出用のニップル開口部、
1531、1532、1731、1732、および1533、1534、1535、1733、1734、1735−図6および上記の対応する層に似た、陽極および陰極セクション内の電荷移動用補助媒質で満たされた室内の粒状イオン交換材料の層、
1741および1742−マルチチャネル構造の流入および流出口端部。
本発明による動電学的マイクロポンプのすべての具体的実施形態において、陽極および陰極電極が接続される外部電流源は必ずしもDC電源である必要はない。単極電源、たとえば交流の片波または両波整流後の脈動電流源、の使用で十分である。極性が一定で形状が異なるパルスの電源でもよい。さらに、極性が一定でない出力電圧を有する電源も使用しうる。重要な点は、電源の出力極間の電位差が特定の記号のDC成分(経時的平均値)を有し、これに応じて、陽極および陰極電極への接続用の極が選択されることだけである。
本発明による動電学的マイクロポンプは、連続的に動作するマイクロディスペンサ、すなわち液体を制御された率でくみ上げするための小型装置の開発に使用され得る。化学的および生物学的微量分析のほか、特に所定のスケジュールに従った動物およびヒトへの投与のための薬物の微量投与のためにも使用され得る。
Figure 0004963499
図1および図2は、くみ上げられた液体と同一の液体によって満たされた補助媒質用の室と、ポリキャピラリカラム体の形態のマルチチャネル構造とを有する、電気二重層内で過剰な正または負の電荷を形成する液体をくみ上げするための動電学的マイクロポンプの例示的実施形態を示す。 図1および図2は、くみ上げられた液体と同一の液体によって満たされた補助媒質用の室と、ポリキャピラリカラム体の形態のマルチチャネル構造とを有する、電気二重層内で過剰な正または負の電荷を形成する液体をくみ上げするための動電学的マイクロポンプの例示的実施形態を示す。 図3は、ポリキャピラリカラム体の各端部に対向するイオン交換膜の側面に配置されたナノ濾過または逆浸透用の気圧膜をさらに備える、図2による導電学的マイクロポンプの実施形態を示す。 図4は、対応する各電極に対向するイオン交換膜の側面に配置されたナノ濾過または逆浸透用の気圧膜をさらに備える、図2による動電学的マイクロポンプの実施形態を示す。 図5は、イオン交換膜の両側に配置されたナノ濾過または逆浸透用の気圧膜をさらに備える、図2による動電学的マイクロポンプの実施形態を示す。 図6は、電荷移動用補助媒質として使用される粒状イオン交換材料を有する動電学的マイクロポンプの一実施形態を示す。 図7は、ナノ濾過または逆浸透用の気圧膜をさらに備える、図6による動電学的マイクロポンプの実施形態を示す。 図8は、筐体がなく、ポリキャピラリカラム体の形態のマルチチャネル構造を有するマイクロポンプの一実施形態を示す。 図9は、マルチチャネル構造の各マイクロチャネル内に形成された電気二重層の図を示す。 図10は、図1によるマイクロポンプの電極上のDC電流に対する各種液体の揚送率を示す曲線を示す。 図11は、分離可能な電極セクションを有するマイクロポンプの一実施形態を示す。 図12は、図11によるマイクロポンプの作動サイクル完了後に補助媒質用の室を交換する工程を示す。 図13は、図6によるマイクロポンプの電極の電圧に対する蒸留水の揚送率を示す曲線を示す。 図14は、二次電極を有する導電学的マイクロポンプの一実施形態を示す。 図15〜図17は、ポリキャピラリカラム体の形態をとらないマルチチャネル構造を有する動電学的マイクロポンプの実施形態を示す。 図15〜図17は、ポリキャピラリカラム体の形態をとらないマルチチャネル構造を有する動電学的マイクロポンプの実施形態を示す。 図15〜図17は、ポリキャピラリカラム体の形態をとらないマルチチャネル構造を有する動電学的マイクロポンプの実施形態を示す。

Claims (30)

  1. マルチチャネル構造を備えた動電学的マイクロポンプであって、該マルチチャネル構造は、非導電性材料で構成され、複数のエンドツーエンドマイクロチャネルを有し、複数のマイクロチャネルの流入口および流出口が該マルチチャネル構造の流入口端部およ流出口端部を形成し、該流入口端部および流出口端部のそれぞれが電極セクションに隣接し、これらの電極セクションのうちの一方は陽極電極を収容し、他方は陰極電極を収容し、該電極セクションのそれぞれにおいて、そこに取り付けられた該電極と該マルチチャネル構造の該端部との間にイオン交換膜が取り付けられており、
    該イオン交換膜の一方が単極であり、他方が両極であり、該単極イオン交換膜の種類が該隣接する電極の極性に対応し、該両極イオン交換膜は、該隣接する電極に、極性が対応する側面を該電極に対応させて、対向し、イオン交換膜は、イオン交換膜が取り付けられた電極セクションを2つの室に分割し、各電極セクションに対して、該2つの室のうちの一方は、該マルチチャネル構造のそれぞれの端部に連通するイオン交換膜の一方の側に位置し、該2つの室のうちの他方は、該イオン交換膜の他方の側に位置し、該マルチチャネル構造の該流入口端部と連通する室は、該くみ上げられた液体の流入用開口部を有し、該マルチチャネル構造の該流出口端部と連通する室は、該くみ上げられた液体の流出用開口部を有し、各イオン交換膜の他方の側に位置する室は、該陽極電極および陰極電極をそれぞれ収容し、電荷移動用補助媒質で満たされていることを特徴とする、動電学的マイクロポンプ。
  2. 請求項1に記載のマイクロポンプであって、前記陽極電極および前記陰極電極が一次電極であることを特徴とするマイクロポンプ。
  3. 請求項1または2に記載のマイクロポンプであって、前記両極イオン交換膜および前記単極イオン交換膜のそれぞれの片側または両側に配置されたナノ濾過または逆浸透用の気圧膜をさらに備えることを特徴とするマイクロポンプ。
  4. 請求項1または2に記載のマイクロポンプであって、前記マルチチャネル構造が、複数の平行チャネルを形成する複数のエンドツーエンド毛細管を有する一片のポリキャピラリカラムの形態で構成されていることを特徴とするマイクロポンプ。
  5. 請求項4に記載のマイクロポンプであって、前記両極イオン交換膜および前記単極イオン交換膜のそれぞれの片側または両側に配置されたナノ濾過または逆浸透用の気圧膜をさらに備えることを特徴とするマイクロポンプ。
  6. 請求項1に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として前記くみ上げられた液体と同一の液体を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  7. 請求項1に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物の溶液、懸濁液、またはペーストを収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  8. 請求項1に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、該室に配置される前記電極が構成される材料に含まれる元素を含有する少なくとも1つの電解質の溶液を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  9. 請求項1に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、粒状イオン交換材料を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  10. 請求項2に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、前記くみ上げられた液体と同一の液体を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  11. 請求項2に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物の溶液、懸濁液、またはペーストを収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  12. 請求項2に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、該室に配置される前記電極が構成される材料に含まれる元素を含有する少なくとも1つの電解質の溶液を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  13. 請求項2に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、粒状イオン交換材料を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  14. 請求項3に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として前記くみ上げられた液体と同一の液体を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  15. 請求項3に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物の溶液、懸濁液、またはペーストを収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  16. 請求項3に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、該室に配置される前記電極が構成される材料に含まれる元素を含有する少なくとも1つの電解質の溶液を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  17. 請求項3に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、粒状イオン交換材料を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  18. 請求項4に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として前記くみ上げられた液体と同一の液体を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  19. 請求項4に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物の溶液、懸濁液、またはペーストを収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  20. 請求項4に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、前記室に配置される前記電極の材料に含まれる元素を含有する少なくとも1つの電解質の溶液を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  21. 請求項4に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、粒状イオン交換材料を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  22. 請求項5に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、前記くみ上げられた液体と同一の液体を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  23. 請求項5に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、少なくとも1つの化学元素を異なる酸化レベルで含有する複数の物質の混合物の溶液、懸濁液、またはペーストを収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  24. 請求項5に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、該室に配置される前記電極が構成される材料に含まれる元素を含有する少なくとも1つの電解質の溶液を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  25. 請求項5に記載のマイクロポンプであって、電荷移動用補助媒質で満たされた前記室が、そのような媒質として、粒状イオン交換材料を収容することを特徴とするマイクロポンプ。
  26. 請求項9、13、17、21、25の何れか1項に記載のマイクロポンプであって、前記陽極電極が、正電位の作用下で前記補助媒質中に溶解可能な材料で構成されていることを特徴とするマイクロポンプ。
  27. 請求項26に記載のマイクロポンプであって、前記陰極電極が、負電位の作用下で前記補助媒質の成分がその上に堆積する材料で構成されていることを特徴とするマイクロポンプ。
  28. 請求項6〜25の何れか1項に記載のマイクロポンプであって、前記陽極電極が、正電位の作用下で前記補助媒質中に溶解しない材料で構成されていることを特徴とするマイクロポンプ。
  29. 請求項8、9、12、13、16、17、20、21、24、25の何れか1項に記載のマイクロポンプであって、前記陰極電極が、負電位の作用下で前記補助媒質の成分がその上に堆積する材料で構成されていることを特徴とするマイクロポンプ。
  30. 請求項29に記載のマイクロポンプであって、前記陽極電極が、正電位の作用下で前記補助媒質中に溶解しない材料で構成されていることを特徴とするマイクロポンプ。
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