JP2007154041A - 熱硬化性樹脂組成物およびこれを発泡、硬化させた熱硬化性樹脂発泡体 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびこれを発泡、硬化させた熱硬化性樹脂発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】車両の箱形などの閉断面部材等の構造部材を重量増を少なく補強し、剛性、強度向上を行うことのできる熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化樹脂および平均太さ9nm〜1μmの繊維状充填材の合計体積部100vol%に対し、前記繊維状充填材の体積部が2vol%を超えて35vol%未満であることを特徴とする熱硬化性樹脂発泡体用の未発泡、未硬化の熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な熱硬化性樹脂発泡体用の未発泡、未硬化の熱硬化性樹脂組成物およびこれを発泡させ硬化させることにより構造部材の補強、特に閉断面部材の剛性向上に用いられる熱硬化性樹脂発泡体に関する。さらに詳しくは、特定形状、機械特性を有する繊維状充填材を用いた熱硬化性樹脂組成物およびこれを発泡させ硬化させることにより構造部材の補強、特に箱型部材の剛性向上に用いられる熱硬化性樹脂発泡体に関するものであり、自動車、船、飛行機、二輪車、自転車、産業用機械、などの構造部材の剛性向上に好適に適用される。
一般に、構造部材は走行安定性や乗り心地、騒音・振動性能の面から車体各部の骨格が強固に作り上げられている。従来の車体骨格は、箱形、丸型などの閉断面構造で種々の断面形状に作製されているが、化石燃料の枯渇や大気環境の観点による燃費向上という社会的要請や、性能向上のため、車体重量を軽減すべく、いずれも板厚が薄い構造となっている。そこで、その板厚が薄い構造の剛性を補うため金属製の補強材が用いられているのが一般的である。
この一方、該閉断面の内部に硬質ウレタン発泡体を充填することにより車体剛性を向上した自動車の車体構造も一般的に用いられている。かかる発泡体の充填は、壁面座屈の抑制効果が高く、箱形部材の剛性を著しく向上するため、金属製補強材による部材の補強方法と比較して、重量を大幅に増大させることなく、剛性の向上が図れる。なお、樹脂発泡充填材としては、ウレタン系樹脂発泡充填材の他に、オレフィン系樹脂発泡充填材(日本シーカ社製、シーカラストマー240)やエポキシ系樹脂発泡充填材(イイダ産業製、OROTEX815)等があり、いずれも自動車車体塗装工程において発泡/充填するタイプである。
こうした車体剛性向上に適するように樹脂発泡充填材を更に改良するものとして、特許文献1には、保管性に優れ、発泡セルの均一性が良好で、接着力を発揮できる樹脂発泡充填材及びこれを用いた箱型部材の剛性向上方法として、特定のエポキシ基含有オレフィン樹脂を用い、これをビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤、発泡剤及び充填剤と所定割合で配合し、また、塗装処理の焼き付け工程で発泡を行う方法がある。
また、特許文献2には、ガラスマットに発泡性ポリウレタン樹脂組成物を型内で含浸せしめて、硬化させ、特定の形状を有する方法がある。
さらに、特許文献3には、発泡ポリウレタンを粘土鉱物で補強する手法があり、粘土鉱物をインターカレーションで、より薄い層状にする方法の記載がある。
また、成形樹脂材料の剛性を補う手法として、ガラス繊維、炭素繊維のチョップド繊維を分散させる手法が一般的にある。
特開2000−85618号公報(段落「0029」) 特開平9−169390号公報 特開2003−335831号公報(段落「0022」)
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、無機系充填剤として、例えば、炭酸カルシウム、クルク、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、シラスバルーンといった、粒子状の充填材を補強材として用いるという構成になっている。そのため、特許文献1の目的である保管性に優れ、発泡セルの均一性が良好で、優れた接着力を発揮できるものの、剛性補強効果の点での改良は特段行われておらず、こうした剛性補強効果についても更なる改良が望まれている。即ち、本発明者が鋭意検討した結果、本願発明の繊維状のものと比較した場合には、剛性補強効果が不十分であることがわかった。
また、特許文献2に記載の発明では、ガラスマットにポリウレタンを含浸させ発泡させる手法であるため、発泡倍率が小さく、閉断面の充填が十分に行えないという問題があった。
さらに、特許文献3に記載の発明では、発泡ポリウレタンに1〜20wt%の1nm〜500nm程度の粘土鉱物で補強するか、あるいは粘土鉱物はインターカレーションで薄い層状にしてもよいという構成になっていた。即ち、補強材である粘土鉱物は、粒状、層状であり、サイズが小さいため、補強効果が小さいという問題があった。また、比重が大きいため、多く入れると組成物の比重が大きくなるという問題があった。
さらにまた、ガラス繊維、炭素繊維を発泡樹脂に入れ、発泡させる場合、これら繊維は太さ7μm以上、長さ200μm前後以上と大きいため、十分な量を入れると発泡を阻害するという問題があった。また、発泡セルの壁に適切に入らないため、十分な補強効果が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、構造部材を重量増を少なく補強し、剛性、強度向上を行うことのできる、未発泡の熱硬化性樹脂組成物およびこれを発泡、硬化させてなる熱硬化性樹脂発泡体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、未硬化の熱硬化樹脂に、通常の補強用途に使用するガラス繊維や炭素繊維より径が極めて細く、ヤング率、強度が高い繊維状充填材を添加した熱硬化性樹脂組成物を作製し、発泡、硬化させると、従来の同様な発泡充填材を超える高い圧縮剛性、強度をもち、より軽量の発泡体が得られることを見出した。そして、この熱硬化性樹脂組成物を当該閉断面に充填、あるいは閉断面組み立て前に入れておき、閉断面内で、発泡、硬化させることで、従来の同様な発泡充填材を使用した場合を超える高い剛性を持ち、かつ軽量な閉断面部材を得ることができることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、熱硬化樹脂および平均太さ9nm〜1μmの繊維状充填材の合計体積部100vol%に対し、前記繊維状充填材の体積部が2vol%を超えて35vol%未満であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物により達成されるものである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、充填材を繊維状とし、寸法を平均太さ9nm〜1μmとすることで、熱硬化性樹脂発泡体を形成する際に発泡を阻害せず、また熱硬化性樹脂発泡体に高い圧縮剛性補強効果を付与することができる。かかる高い圧縮剛性補強効果は、図1に示すように、本発明の熱硬化樹脂組成物を発泡、硬化させて形成される熱硬化性樹脂発泡体11において、上記平均太さを有する繊維状充填材13が適切に発泡セル15壁面に配向することで発現するものと考える。ただし、本発明は、当該作用機序(メカニズム)に何ら制約されるものではない。なお、図中の符号17は、熱硬化樹脂を表す。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化樹脂および平均太さ9nm〜1μmの繊維状充填材の合計体積部100vol%に対し、前記繊維状充填材の体積部が2vol%を超えて35vol%未満であること(他方の前記熱硬化樹脂の体積部は65vol%以上98vol%未満となる。)を特徴とするものである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いることのできる熱硬性樹脂としては、特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などから適宜選択することができる。民生の汎用輸送機器に用いるには、充填、発泡の工程が容易なエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いることのできる発泡方法としては、樹脂系材料(主に、熱硬化樹脂)に応じ適切なものを適宜選択することができる。閉断面構造部材の剛性向上のためには、発泡倍率が、1.5倍〜20倍、好ましくは2〜10倍になるよう、種類、量を調整する。発泡倍率1倍、つまり発泡させなくとも剛性、強度は得られるが、発泡させることにより、上述したように繊維状充填材が発泡セルの壁内に沿い発泡セルを取り囲むように効果的に配向し発泡セルを補強するため、発泡体の方が効率的に補強が行える。発泡しない場合は、繊維状充填材の配向がランダムになるため、向上代が発泡体の場合より低い。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、更に必要に応じて、発泡剤を含んでいてもよい。ここで、発泡剤を任意成分としたのは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を発泡させる手法として、化学反応でCOを発生させる方法、バブリング、減圧、COなどの超臨界流体を用いる方法などがあり、発砲剤を含まないでも熱硬化性樹脂発泡体を成形する手法があるためである。
例えば、樹脂系材料(熱硬化樹脂)としてエポキシ樹脂を用いる場合、発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソプチロニトリルのようなアゾ化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミンのようなニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシベンゼンスルホニルヒドラジドのようなスルホヒドラジド化合物が挙げられる。これらの発泡剤は1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これら発泡剤の中で、特にアゾジカルボンアミドが好適である。
尚、上述した有機系熱分解型発泡剤を用いる場合には、通常、発泡適正温度を制御するために発泡助剤として、酸化亜鉛(亜鉛華)、硝酸亜鉛、フタル酸鉛、炭酸鉛、三塩基性リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の無機塩、亜鉛脂肪酸石けん、鉛脂肪酸石けん、カドミウム脂肪酸石けん等の金属石けん、ホウ酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸等の酸類、尿素、ピウレア、エタノールアミン、グリコール、グリセリン等の内から1種類以上のものを混合して使用することができる。
樹脂系材料(熱硬性樹脂)としてポリウレタン樹脂を用いる場合、発泡剤としては、水、メチレンクロライド、フロン、シクロペンタン等の炭化水素系発泡剤など、通常使用されている化学的発泡剤でも、物理的発泡剤のいずれであっても差し支えない。フロンの発泡剤としては、CFC−11、CFC−12等のクロロフルオロカーボン類や、HCFC−141b等のハイドロクロロフルオロカーボン類や、HFC−134a等のハイドロフルオロカーボン類などが挙げられる。好ましくは、環境上の理由から、水や炭化水素系発泡剤などの非フロンの発泡剤である。
なお、上記に例示した発泡剤では、熱硬化樹脂として、民生の汎用輸送機器に用いる際に充填、発泡工程が容易である点で好適なエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を用いる場合に適した発泡剤ついての具体例を列挙したものである。ただし、本発明では、これらに制限されるものではない。即ち、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂以外の熱硬化樹脂を用いる場合においても、それぞれの熱硬化樹脂に適した各種発泡剤の中から適宜選択して用いればよい。
この発泡剤の配合量は、熱硬化樹脂100重量部に対して0.5〜50重量部の範囲が好適であり、より好ましくは0.5〜20重量部の範囲である。発泡剤の配合量が0.5重量部未満では、発泡が不十分となり、また、50重量部を越えると発泡の制御が効かず、安定した機械特性が得られない。ただし、本発明では、必ずしもこの範囲に制限されるものではなく、発泡剤の配合量が上記範囲を外れる場合であっても、所望の発泡効果を達成し得る場合には、本発明の技術範囲に含まれるものとする。
なお、発泡剤の大きさや、形状は、特に制限されるものではなく、必要に応じて適宜決定すればよい。すなわち、通常、配合する発泡剤の発泡倍率がわかっているため、適当な気泡サイズにするには、どの程度の大きさの発泡剤を用いればよいか容易に求められる為である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いることのできる繊維状充填材の材質については、特に限定するものではないが、細径炭素繊維、カーボンナノチューブやナノファイバー、窒化ホウ素やアルミナなど金属酸化物などのセラミックナノチューブやナノファイバー、金、銀、NbSe、TaSなどの金属ナノファイバー、などを選択することができる。
ここで、繊維状充填材とは、顕微鏡下でアスペクト比=長さ/太さの比が3を越えるものをいう。ここでいう繊維状充填材の太さは、繊維状充填材の長軸方向(繊維長さ方向)に垂直な面の断面形状が、円形の場合には、直径(繊維径)とし、楕円形のように扁平している場合には、長径(最大径)とする。また、カーボンナノチューブのような中空形状の場合、繊維状充填材の太さは、最外チューブの外径(直径ないし長径)をいうものとする。
繊維状充填材の寸法は、通常の繊維強化樹脂材料に用いられるガラス繊維、炭素繊維は、径が6μm以上と太く、発泡を阻害し、また、発泡が均一にならないため、発泡体の補強には適さない。本発明では、平均太さ9nm〜1μmとすることで、発泡を阻害せず、かつ、繊維状充填材が適切に発泡セル壁面に配向するためか、従来技術より、高い圧縮剛性補強効果を発揮することができる。
繊維状充填材の平均太さ(繊維径)が9nm未満だと、混練、及び発泡成形時に繊維状充填材が折れ曲がり、十分な補強効果を発揮できない場合がある。特に内部が中空なチューブ形状の繊維状充填材の場合、曲げ剛性が不足するためか、該繊維状充填材を熱硬化樹脂に混練する時、及び発泡成形時に該繊維状充填材が折れ曲がり、十分な補強効果を発揮できない場合がある。一方、繊維状充填材の平均太さ(繊維径)が1μmを超えると、発泡を阻害しやすくなり始め、また、発泡セル壁面に適切に配向しないようになるため、発泡体には不適切である。
補強効果は、上記熱硬化樹脂および上記繊維状充填材の合計体積部100vol%に対し、上記繊維状充填材の体積部は2vol%より多く入れないと十分に発揮し得ない。一方、繊維状充填材の体積部が35vol%以上と多く入れると発泡を阻害し始め、閉断面への充填が適切に制御できなくなる。そのため、上記繊維状充填材の体積部は、2vol%を超えて35vol%未満が適切である。好ましくは2vol%を超えて30vol%以下、より好ましくは5〜30vol%であることが適切である。
また、十分な剛性付与を行うためには、繊維状充填材の平均アスペクト比が低いと、十分な補強効果を発揮できない場合がある。したがって、繊維状充填材の平均アスペクト比(=繊維長さ/太さ)は60以上であることが好ましいが、10000を超える場合であっても剛性向上が望めないため、長い分が無駄になる。そのため、繊維状充填材の平均アスペクト比は60〜10000であることが好ましい。
また、繊維状充填材の平均長さは、太さと前記アスペクト比を考慮すると600nm以上必要である。600nm以上ないとアスペクト比が稼げず補強効果が低下する。一方、100μmを超えると発泡セル壁にうまく配向しないためか、補強効果が下がり始めるため、100μm以下が望ましい。
さらに、繊維状充填材自体の剛性が低いと、剛性補強効果が低く、多くの量を入れる必要があり、発泡を阻害する。少ない量で高い補強効果を挙げるためには、繊維状充填材に高い剛性が必要である。しかしながら、本発明の範囲の細い繊維状充填材の物性(剛性)を適切に測定する手段は十分に確立されておらず、原子間力顕微鏡(AFM)などで測定されつつあるが、当該測定技術が確立されているとは言い難い。なお、実施例で用いたカーボンナノチューブやカーボンナノファイバでは、AFMを用いて物性(剛性)を測定することができる。繊維状充填材の組成、構造から、分子動力学法などを用いると繊維状充填材自体の剛性を理論的に計算することができるが、構造欠陥などは考慮し難い。少なくとも、本発明の検討結果から複合材料の複合則より予測すると、ヤング率で100GPa以上あれば、十分な剛性を得ることができ、高い補強効果を見込むことができる。そのため、少なくとも、理論計算によるヤング率(理論曲げ弾性率)が100GPa以上である繊維状充填材であることが望ましい。複合材料の複合則からは、複合則(Rule of Mixture;ROM)値という複合材料の理論特性値が予測できる。複合則とは、弾性率や強度などの特性xについて、強化材(本発明では、繊維状充填材)とマトリックス(母材;本発明では熱硬化樹脂)の特性値をそれぞれxf、xm、強化材(繊維状充填材)とマトリックス(熱硬化樹脂)の体積含有率をVf、Vmとしたとき、複合材料としての特性値の理論値Xcが次式で与えられるというものである。
Figure 2007154041
さらに、繊維状充填材の比重が大きいと、比重が1.1程度しかない熱硬化樹脂材料に混ぜる場合、熱硬化性樹脂組成物、ひいては熱硬化性樹脂発泡体の比重が重くなり、軽量化の効果が小さくなる。セラミック系、金属系の繊維状充填材は比重が3を超えるものが多いが、本発明でさらに軽量なものを得るためには、繊維状充填材の比重が2以下であることが好ましい。また、比重が高い繊維状充填材を用いる場合、硬化前の熱硬化樹脂の粘度が低いと繊維状充填材が沈降してしまい、繊維状充填材の偏りが発生する場合がある。それを防ぐためには、やはり、比重が2以下であることが好ましい。比重が2以下のもの(例えば、カーボンナノチューブ)を用いることにより、当該繊維状充填材の熱硬化樹脂(マトリックス)への分散性向上、密着性が向上し、補強効果が向上する。
上記を考慮していくと、カーボンナノチューブは比重が1.8程度であり、繊維状充填材としてカーボンナノチューブが好ましい例として、挙げられる。例えば、カーボンナノチューブでは、グラフェン層1枚の場合のヤング率が980GPaと計算されており、グラフェン層の層間は0.33nmと求められている。本発明の検討の中では、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブとされるものでは、効果が低く、10nm程度以上の太さで、5層以上のグラフェン層があるものでは、曲がり難く、有効な補強効果が向上していたことから、計算上の曲げ剛性(ヤング率×断面二次モーメント)が、2×10−23Nmであれば、十分な補強効果が得られる。このためには、太さ9nmの場合は、10層のグラフェン層が必要である。太さ10nm以上では、5層以上のグラフェン層が必要である。太さ8nm以下になると、この剛性を満たせない。
本発明の繊維状充填材には、ナノチューブ、ナノファイバが含まれるが、これらの中には、通常のガラス繊維や炭素繊維と同様に真っ直ぐな繊維に近いものとして、例えば、アーク放電法で作成したカーボンナノチューブのように比較的直線円筒に近いものがある。逆に通常のガラス繊維や炭素繊維と異なり真っ直ぐな繊維ではなく、例えば、CVD法で作製した大抵の多層カーボンナノチューブのように、元々曲がりがあるものがある。この曲がりが大きいと、発泡セル壁面にかかる圧縮荷重や引っ張り荷重に対し、力のモーメント(曲げモーメント)が大きく働いて、繊維状充填材の実質の剛性が低下するため、比較的低い力で曲がったり、曲がった部分がまっすぐになろうとする。そのため、直線的な繊維状充填材と比較し繊維状充填材1本の見かけ剛性が低く、熱硬化性樹脂組成物を発泡、硬化させて得られる熱硬化性樹脂発泡体の剛性、強度の向上代が小さい。このため、繊維状充填材全体の曲がりが小さいもの、例えば、アーク放電法で作成したカーボンナノチューブのように比較的直線円筒に近いものが、効果が高く好ましい。また、繊維状充填材の壁面にうねりがあると、同様に繊維状充填材を伸び縮みさせる剛性が低下するため、壁面の直線性が高いものが好ましい。これらのことから、曲がった部分の曲率半径が、繊維状充填材の平均太さの20倍以上であることが好ましい。
繊維状充填材は、そのまま混練して用いても良いが、表面を硫酸/硝酸からなる混酸や、酸素プラズマ、電子線などで酸化処理したり、また、酸化処理後、カップリング剤などで処理して用いてもよい。こうして繊維状充填材の表面を酸化処理したり、当該酸化処理後、カップリング剤などで処理して用いることにより、硬化前の熱硬化樹脂への分散性が向上する。また、硬化後の繊維状充填材と樹脂との密着強度が上がる(密着性が向上する)ためか、剛性、強度を改善し補強効果を向上することができる。上記カップリング剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、その他有機系の材料から選択することができる。また、酸化処理の方法も、上記に例示した酸化処理方法に何ら制限されるものではない。
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、発泡、硬化後に優れた剛性を発揮することのできる、いわば未硬化の熱硬化性樹脂組成物であり、上述した熱硬化樹脂、平均太さ9nm〜1μmの繊維状充填材及び発泡剤を含むものであればよい。さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の作用効果を有効に発現し得る範囲内であれば、製品(部品)に求められる要求性能を有効に発現させることができるように、必要に応じて、適当な各種添加剤などが適量配合されていてもよいことは言うまでもない。こうした添加剤としては、例えば、上記した発泡助剤、熱硬化樹脂用硬化剤(例えば、熱硬化樹脂に応じて適宜選択すればよく、例えば、エポキシ樹脂では、ジシアンジアミド硬化剤、アミン系硬化剤、脂環式酸無水物系硬化剤、ノボラック型フェノール樹脂硬化剤など;ウレタン樹脂では、ポリイソシアネート硬化剤など;従来公知の各種硬化剤が利用できる。)、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤、離型剤(例えば、シリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、染料(例えば、ニトロシン等)、顔科(例えば、硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤(発光性ないし蛍光性の染料や顔料も含む)、添加剤添着液(例えば、シリコンオイル等)、及び結晶核剤(例えば、タルク、カオリン等)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。さらに、上記に規定する以外の各種充填材や熱硬化樹脂以外の各種樹脂(形態は問わず、後述するような樹脂粒子であってもよい)、溶剤ないし分散剤等を更に含んでいてもよい。
さらに、本発明では、既に提案されている車体剛性向上に適するように未発泡の熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂発泡体(樹脂発泡充填材)に関する技術を適宜組み合わせて利用してもよい。特に充填材以外の発泡剤、熱硬化樹脂、更には他の添加剤や樹脂などによる改良技術において、こうした改良技術で用いられている既存の無機系や有機系充填材に代えて本発明の繊維状充填材を用いることで、双方の作用効果を具備したものを提供することができる。例えば、本出願人が既に提案している特開2000−85618号公報(特許文献1)に記載の発明と組み合わせもよい。詳しくは、特開2000−85618号公報に記載の発明である、下記一般式1
Figure 2007154041
(式中のl及びmは、繰り返し単位数を示す)で表される構造を有するエポキシ基含有オレフィン樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合物100重量部と、エポキシ樹脂用熱活性型硬化剤3〜30重量部と、熱分解型有機系発泡剤0.5〜15重量部と、無機充填剤50〜200重量部とを含有する発泡充填材(未発泡の熱硬化性樹脂組成物)において、該無機充填材に変えて、本発明の平均太さ9nm〜1μmの繊維状充填材を所望の体積部となるように配合し、該発泡剤を熱硬化樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂が該当する。エポキシ樹脂用熱活性型硬化剤は含まない)に対して所望の重量部の範囲内で配合するようにしてもよい。また、後述する比較例1に示すように、平均粒径が0.2〜0.3μmの範囲にある樹脂粒子と、熱硬化樹脂(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)と、硬化剤と、有機系発泡剤に、補強充填剤として無機充填剤(炭酸カルシウム)とからなる発泡充填材(未発泡の熱硬化性樹脂組成物)において、該無機充填材に変えて、本発明の平均太さ9nm〜1μmの繊維状充填材を所望の体積部となるように配合し、該発泡剤を熱硬化樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)に対して所望の重量部の範囲内で配合するようにしてもよい(実施例1〜6参照)。なお、後述する比較例1に示す平均粒径が0.2〜0.3μmの範囲にある樹脂粒子は、耐衝撃性を改良するために入れるものである(詳しくは、特開平9−316169号公報の「車体補強用エポキシ樹脂系組成物およびその組成物を用いた車体の補強方法」参照のこと。)。ただし、本発明は、これらに何ら制限されるものではなく、他の改良技術と幅広く組み合わせて用いることができるものである。
また、本発明の熱硬化性樹脂発泡体は、上述した本発明の熱硬化樹脂組成物を発泡させ硬化させることを特徴とするものである。これにより、熱硬化性樹脂発泡体を形成する際に発泡を阻害せず、また熱硬化性樹脂発泡体に高い圧縮剛性補強効果を付与することができる。かかる高い圧縮剛性補強効果は、図1に示すように、本発明の熱硬化樹脂組成物を発泡、硬化させて形成される熱硬化性樹脂発泡体11において、上記平均太さを有する繊維状充填材13が適切に発泡セル15壁面に配向することで発現するものと考える。ただし、本発明は、当該作用機序(メカニズム)に何ら制約されるものではない。なお、図中の符号17は、熱硬化樹脂を表す。また、繊維状充填材13では、従来の無機充填材23よりも低比重かつ高剛性の材料が選択できる為、それらの材料の選択で、従来以上の補強効果(剛性、強度等)を、少ない充填量で達成できる。なお、図2は、従来の無機充填材23を用いた熱硬化樹脂組成物を発泡させ硬化させた熱硬化性樹脂発泡体を模式図である。図2に示すように、従来の熱硬化樹脂組成物を発泡、硬化させて形成される熱硬化性樹脂発泡体21では、炭酸カルシウムやモンモリロナイト等の粒状(略球状)の無機充填材23が適切に発泡セル25壁面に配向することはないので、高い圧縮剛性補強効果を発現することはできないものといえる。なお、図中の符号27は、熱硬化樹脂を表す。
本発明の熱硬化性樹脂発泡体は、上述した本発明の熱硬化樹脂組成物が、1.5〜20倍、好ましくは2〜10倍に発泡させ硬化されてなるのが望ましい。更には構造部材の補強に用いてなるのが望ましい。上記熱硬化樹脂組成物を1.5〜20倍に発泡させることで、繊維状充填材が効果的に発泡セル壁面に配向し、適切な剛性、強度を付与できるようになる。発泡倍率が20倍を超えても、本発明の効果はあるが、20倍を超えるようになると、熱硬化性樹脂発泡体自体の剛性が低下し、次に示す本発明の適用例には適さない場合が多くなる。
また、本発明の熱硬化性樹脂発泡体は、上述した本発明の熱硬化樹脂組成物を発泡させ硬化させることにより構造部材の補強に用いてなるのが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂発泡体による補強を適用し得る構造部材としては、特に制限されるものではなく、従来公知の各種構造部材に適用し得るものであり、例えば、自動車、船、飛行機、二輪車、自転車、産業用機械、などの構造部材の剛性向上に好適に適用される。なかでも、走行安定性や乗り心地、騒音・振動性能の面から、自動車の車体各部の骨格として、箱形、丸型などの閉断面構造で種々の断面形状に作製されてなる構造部材に好適に利用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(評価方法)
発泡体の評価は、実施例1〜7及び比較例1〜6の発泡体を以下に説明する手順にて成形し、下記の評価方法により剛性を評価した。
断面寸法(内部寸法)が20mm×20mm、高さ12cmの角パイプ(板厚1.5mmの鋼板の内面側にテフロン含有塗料を塗布、コーティングした中空の角管)に熱硬化性樹脂組成物を入れ、発泡させる。得られた発泡成形体(熱硬化性樹脂発泡体)を抜き出し、15×15×15mmの立方体を切り出す。この立方体(熱硬化性樹脂発泡体のサンプル)を用い、圧縮弾性率を求め、従来技術である比較例1、6のそれを1とし、比較を行った。表1、2に比較結果を示す。
また、カーボンナノチューブの太さ・曲率半径、長さはそれぞれ、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)を用い測定した。
(比較例1)
n−ブチルアクリレート47重量部を炭素数12〜18のソジウムアルキルフェート1.0重量部を乳化剤として、過硫酸カリウム触媒0.1重量部を添加して、水150重量部中で重合温度70℃にて180分間攪拌して乳化重合を行い、ポリn−ブチルアクリレートのコア部微粒子分散重合液を製造した。続いて、この重合液にメチルメタクリレート47重量部を180分間を要して連続的に添加してコア部粒子表面にシェル部を形成するコア/シェル乳化重合を行った。
前記メチルメタクリレートの重合が約50%に達した時点で、メタクリル酸5重量部および架橋剤としてテトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)0.5重量部を連続的に添加して、共重合を完成させた。
重合後のラテックスに水酸化カリウム1重量%水溶液で室温にて2重量部を添加して、30分間攪拌した。次いで、この溶液を150℃の熱風を用いて噴霧乾燥して平均粒径が0.2〜0.3μmの範囲にある樹脂粒子を得た。
このようにして得られた樹脂粒子 計100重量部と、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂200重量部、硬化剤のジシアンジアミド16重量部、有機系発泡剤のアゾジカルボンアミド16重量部、合わせて332重量部を100重量部としてそれに、補強充填剤として無機系充填剤の炭酸カルシウム(CaCO;アスペクト比1〜3)を、表1に表わす割合でプラネタリーミキサーを用いて室温で混合し、エポキシ系樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を調製した。このとき、このエポキシ系樹脂組成物を、前記角柱パイプ角柱に流し込み、温度が160℃の熱風型乾燥炉に20分間放置して、該エポキシ系樹脂組成物を発泡させた。
(実施例1〜3)
比較例1において、補強充填材である炭酸カルシウムを含まない組成物に対しSESResearch社製MWNT(多層カーボンナノチューブ;以下、MWNTlと称す。これは、アーク放電法で作製したものであり、平均太さ12nm、平均長さ約2000nm、グラフェン層は5〜20層、平均アスペクト比160、曲率半径/太さ20以上である。)を表1の割合(vol%、比重1.8で計算)でプラネタリーミキサーを用いて混合し、比較例1と同様に発泡させた。
(実施例4)
比較例1において、補強充填材である炭酸カルシウムを含まない組成物に対し昭和電工製の気相法炭素繊維VGCF(気相法により合成された高結晶性のカーボンナノファイバ;平均太さ150nm、平均長さ10μm、平均アスペクト比66、曲率半径/太さ10以上)を表1の割合(vol%、比重1.8で計算)でプラネタリーミキサーを用いて混合し、比較例1と同様に発泡させた。
(実施例5)
実施例2において、MWNTlに、Plasma Finish社V15−Gの低温プラズマ処理試験機を用い、酸素ガス流量100ml/min、出力50Wで40min処理をした後、東レ・ダウコーニング・シリコーン製シランカップリング剤SH6040を入れ攪拌し反応させる。その後、60℃で1時間乾燥後、表1の割合(vol%、比重1.8で計算)でプラネクリーミキサーを用いて混合し、比較例1と同様に発泡させた。
(実施例6)
実施例2において、繊維状充填材として、Nanocyl社製MWNT(多層カーボンナノチューブ;以下、MWNT2と称す。Nanocyl社Thin Multi−Wall Carbon Nanotubes。これは、CVD法で作製したものであり、平均太さ15nm、平均長さ15μm、平均アスペクト比100、曲率半径/太さ4以上)を表1の割合(vol%、比重1.8で計算)でプラネクリーミキサーを用いて混合し、比較例1と同様に発泡させた。
(比較例2〜3)
比較例1において、補強充填材である炭酸カルシウムを含まない組成物に対しMWNTlを表1の割合(vol%、比重1.8で計算)でプラネクリーミキサーを用いて混合し、比較例1と同様に発泡させた。
なお、比較例3では、発泡不十分(発泡倍率1.3倍)のため、15×15×15mmの立方体を切り出すことができず、その為、圧縮弾性率を求めることができなかったので、下記表1の「圧縮弾性率の比」の欄には「発泡不十分」と記した。
(比較例4)
比較例1において、補強充填材である炭酸カルシウムを含まない組成物に対しNanocyl社製DWNT(二層カーボンナノチューブ;以下、DWNTと称す。これは、CVD法で作製したものであり、平均太さ5nm、平均長さ10μm、平均アスペクト比2000、曲率半径/太さ20以上)を表1の割合(vol%、比重1.8で計算)でプラネタリーミキサーを用いて混合し、比較例1と同様に発泡させた。
(比較例5)
比較例1において、補強充填材である炭酸カルシウムを含まない組成物に対し、東邦テナックスUM63フィラメント(平均繊維径4μm)を2mmに切断後、粉砕し、平均長さ160μmの繊維を得た(平均アスヘクト比40)。これを表1の割合でプラネタリーミキサーを用いて混合し、比較例1と同様に発泡させた。
(比較例6)
50℃で30秒間熱処理したポリウレタン・フォーム・レジンInstapak RB(シールドエアー・ジャパン社製)100重量部に、有機アミン化したナノスケール粘土鉱物(モンモリロナイト;繊維状ではなく、平均粒子径6μm、平均アスペクト比1〜600の平板状をした充填材)であるCloisite R30B(Southern Clay Products,Inc.製)12重量部を添加し、23℃雰囲気下、10分間攪拌混合し液体Aを作成した。ここで得られた液体A112重量部と、ポリメチレン・ポリフエニル・ポリイソシアネートInstapak RA(シールドエアー・ジャパン社製)100重量部とを手で攪拌混合して、前述の方法によりポリウレタン発泡体を作成した。
(実施例7)
50℃で30秒間熱処理したポリウレタン・フォーム・レジンInstapak RB(シールドエアー・ジャパン社製)100重量部に、MWNT2を12重量部添加し、23℃雰囲気下、10分間攪拌混合し液体Bを作成した。ここで得られた液体B112重量部と、ポリメチレン・ポリフエニル・ポリイソシアネートInstapak RA(シールドエアー・ジャパン社製)100重量部とを手で攪拌混合して、前述の方法によりポリウレタン発泡体を作成した。
Figure 2007154041
Figure 2007154041
表1、2中の比較例1、6の充填材は、略球状、平板状をしているため、平均太さの欄に平均粒径を記した。従って表中の比較例1、6の充填材の平均長さ、曲率半径/平均太さの欄は空欄(−)とした。
表1中の実施例5の充填材では、酸化処理後、更にカップリング剤で処理したものを用いた。
表1、2中の充填材、熱硬化樹脂の配合量(vol%)は、これらの合計体積部100vol%に対する、充填材、熱硬化樹脂の体積部を値である。
表1、2中の発泡剤の配合量(重量部)は、熱硬化樹脂100重量部に対する値である。
表1中の比較例3では、発泡不十分のため、15×15×15mmの立方体を切り出すことができなかった為、圧縮弾性率を求めることができなかったので、圧縮弾性率の比の欄には「発泡不十分」と記した。
本発明の熱硬化性樹脂発泡体であって、繊維状充填材が発泡セル壁に効果的に配向した様子を表した模式図である。 従来の熱硬化性樹脂発泡体であって、粒状(略球状)の無機充填材では発泡セル壁への配向が認められない様子を表した模式図である。
符号の説明
11 本発明の熱硬化性樹脂発泡体、
13 繊維状充填材、
15 発泡セル、
17 熱硬化樹脂、
21 従来の熱硬化性樹脂発泡体、
13 粒状(略球状)の無機充填材、
25 発泡セル、
27 熱硬化樹脂。

Claims (12)

  1. 熱硬化樹脂および平均太さ9nm〜1μmの繊維状充填材の合計体積部100vol%に対し、前記繊維状充填材の体積部が2vol%を超えて35vol%未満であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 発泡剤が、前記熱硬化樹脂100重量部に対し0.5〜50重量部含まれていることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記繊維状充填材の平均アスペクト比(=繊維長さ/太さ)が、60〜10000である請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記繊維状充填材の平均長さが、600nm〜100μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記繊維状充填材の理論計算によるヤング率が、100GPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 前記繊維状充填材の比重が、2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 前記繊維状充填材が、5層以上のグラフェン層からなるカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 前記繊維状充填材の曲がった部分の曲率半径が、繊維状充填材の平均太さの20倍以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 前記繊維状充填材の表面が、酸化処理されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9に記載の熱硬化樹脂組成物を発泡させ硬化させてなることを特徴とする熱硬化性樹脂発泡体。
  11. 請求項1〜9に記載の熱硬化樹脂組成物を発泡させ硬化させることにより構造部材の補強に用いてなることを特徴とする熱硬化性樹脂発泡体。
  12. 前記熱硬化樹脂組成物が、1.5〜20倍に発泡させ硬化されてなるものである請求項10または11に記載の熱硬化性樹脂発泡体。
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