JP2007153736A - 安定化ジルコニア繊維製造方法、および、安定化ジルコニア繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ経済的であって、繊維幅や繊維長、または、表面の微細構造を制御可能な安定化ジルコニア繊維製造方法を提供すること。
【解決手段】ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液に安定化ジルコニア用添加剤を混合し、当該コロイド溶液と濡れ性のよい基板上で乾燥し、乾燥して得られたジルコニア繊維を500℃〜1400℃の温度で焼結させ、添加剤をジルコニア繊維中に固溶させることを特徴とする。
【選択図】図8
【解決手段】ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液に安定化ジルコニア用添加剤を混合し、当該コロイド溶液と濡れ性のよい基板上で乾燥し、乾燥して得られたジルコニア繊維を500℃〜1400℃の温度で焼結させ、添加剤をジルコニア繊維中に固溶させることを特徴とする。
【選択図】図8
Description
本発明は、安定化ジルコニア繊維製造方法、および、安定化ジルコニア繊維、に関し、特に、ジルコニア粒子が単分散したコロイド溶液を用いる安定化ジルコニア繊維製造方法、その方法により製造された安定化ジルコニア繊維に関する。
従来よりジルコニア(ZrO2、二酸化ジルコニウム)、特に安定化ジルコニアは、高温で高強度、高靱性であるという構造材としての性質と、燃料電池などの酸素イオン伝導性を利用した機能材としての性質を持ち合わせ、さまざまな先端技術に適用されている。
しかしながら、従来のジルコニア、特に、安定化ジルコニアは、溶融法、すなわち溶融させて引き伸ばし繊維状にすることができたが、その融点が2700℃と高温であるため、非常に製造原価が高くなるという問題点があった。また、製造された繊維は、その表面が滑らかで有効比表面積が小さく、たとえば酸素イオン濃度を測定する場合には、感度を高められないという問題点もあった。また、ゾルゲル法による安定化ジルコニア繊維の製造方法も知られているが、1400℃程度以上の高温かつ高圧で製造するため、同様の問題点があった。
すなわち、これまでの製造方法では、製造原価が高いという問題点のほか、いずれも、有効比表面積が小さいことに起因して機能材としての特性が十分に引き出せないという問題点があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、簡便かつ経済的であって、繊維幅や繊維長、または、表面の微細構造を制御可能な安定化ジルコニア繊維製造方法を提供することを目的とする。
また、有効比表面積の大きな安定化ジルコニア繊維を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明者は、鋭意研究の結果次の発明に想到した。
請求項1に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法は、ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液に安定化ジルコニア用添加剤を混合し、当該コロイド溶液と濡れ性のよい基板上で乾燥し、乾燥して得られたジルコニア繊維を500℃〜1400℃の温度で焼結させ、添加剤をジルコニア繊維中に固溶させることを特徴とする。
すなわち、請求項1にかかる発明では、溶液の乾燥工程(すなわち、溶媒の蒸発工程)によりコロイド溶液の濃度を高めるにつれ、粒子が基板表面に整然と密に充填していき、ジルコニア粒子の緻密な充填層が形成される。このとき、液面の降下にともなって、液面より上部の基板では粒子の充填層に等間隔で平行な亀裂が進展し繊維が形成される。したがって、乾燥温度や基板長などにより繊維幅や繊維長を調整可能となる。加えて、ジルコニア粒子の表面に添加剤を付着させているので焼結により安定化ジルコニアの繊維が得られる。また、得られた安定化ジルコニアの繊維は、X線回折に基づけば約500℃程度以上の焼結温度で形成されることが明瞭に確認された。したがって、従来の溶融法やゾルゲル法より遙かに低温で安定化ジルコニア繊維を製造可能となり、安価にジルコニア繊維を提供可能となる。また、焼結により繊維強度が向上する。高温で焼結するほど繊維強度が向上する一方、マイクロポア構造ないしメソポア構造が消失し、有効比表面積が小さくなる。また、セラミックスの一般的な傾向として粒径が小さいほど強度が高く、各種特性が良好であるという傾向にある。以上から、構造材としての機能を優先させる場合には比較的高温で、機能材としての機能を優先させる場合には比較的低温で焼結させればよい。すなわち、本発明は、焼結温度により構造制御が可能になるともいえる。例えば、マイクロポア構造またはメソポア構造を有し有効比表面積が大きな繊維は、酸素イオン電導性が大きく、感度の高い酸素濃度センサーや効率の良い燃料電池への応用が可能であるため、このようなジルコニア繊維を簡便かつ経済的に製造できる。
なお、基板には容器内側表面も含むものとする。したがって、容器とコロイド溶液の濡れ性が良好な場合は、容器と別体の基板を用いない態様とすることも可能である。また、安定化ジルコニア粒子とは、室温で正方晶または立方晶の結晶型をとる粒子をいう。
また、請求項2に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法は、請求項1に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法において、安定化ジルコニア用添加剤が、Caイオン、Mgイオン、Yイオン、または、Ceイオン含み、混合後の溶液がコロイド溶液の状態を保つ添加剤であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法は、請求項1または2に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法において、基板を平板とし、これを水平から傾けてコロイド溶液中に載置してコロイド溶液の分散媒を蒸発させていくことによりジルコニア繊維を製造することを特徴とする。
すなわち、請求項3にかかる発明では、ジルコニア粒子の積層を簡便に制御可能となる。詳細には、平板の傾きにより層の厚みを制御でき、繊維幅が調整可能となる。また、平板を長くすることにより繊維の長さを自由に決定でき、平板の幅を広くすることにより繊維の本数を自由に増減できる。したがって、請求項3にかかる発明によれば、繊維幅や繊維長を調整可能であって、均質な繊維をより簡便かつ経済的に製造する方法が提供可能となる。
また、請求項4に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法は、請求項1、2または3に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法において、ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液は、二塩化酸化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、または、硫酸ジルコニウムを加水分解反応させて得たものであることを特徴とする。
すなわち、請求項4にかかる発明では、形状や大きさの整ったジルコニア粒子の単分散コロイド溶液を簡便に得ることができ、均質な充填層を得ることができる。したがって、請求項4にかかる発明によれば、高強度で均質なジルコニア繊維をより簡便かつ経済的に製造する方法が提供可能となる。なお、これに限らず、ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液がジルコニアの無機塩を加水分解反応させて得られるものであれば、どのような原料化合物を用いても良い。
また、請求項5に記載の安定化ジルコニア繊維は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の安定化ジルコニア繊維製造方法により製造されたことを特徴とする。
すなわち、請求項5にかかる発明では、工業的に量産可能な安定化ジルコニア繊維を提供することができる。特に、安定化ジルコニアの酸素イオン電導性に着目すれば、新たな形態の燃料電池素材を製造することが可能となるし、また、微少かつ高強度な酸素濃度センサーを製造することも可能となる。また、ナノテクノロジーで利用可能な微小工具も作出可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、簡便かつ経済的であって、繊維幅や繊維長、または、表面の微細構造を制御可能な安定化ジルコニア繊維製造方法を提供することができた。また、有効比表面積の大きな安定化ジルコニア繊維を提供することができた。
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液を用意し、この溶液濃度を高めるにつれジルコニア粒子が整然と規則的配列をもって凝集していく作用を発見したことを契機としてなされたものである。本発明者は、上記発見に基づき、鋭意検討の結果、第一に、コロイド溶液と濡れ性の良い表面に整然と密に粒子を積層させること、第二に、コロイド溶液の乾燥(コロイド溶液中の分散媒の蒸発)により略均等な太さ(正確には略均等な縦幅横幅)で積層体に亀裂を生じさせ長さ方向に繊維成長をさせること、第三に、適正な焼結温度で繊維強度を向上させ、場合により安定化ジルコニア繊維を得ること、を着想し、これらの着想により、本願目的を達成する発明をなしたものである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液を用意し、この溶液濃度を高めるにつれジルコニア粒子が整然と規則的配列をもって凝集していく作用を発見したことを契機としてなされたものである。本発明者は、上記発見に基づき、鋭意検討の結果、第一に、コロイド溶液と濡れ性の良い表面に整然と密に粒子を積層させること、第二に、コロイド溶液の乾燥(コロイド溶液中の分散媒の蒸発)により略均等な太さ(正確には略均等な縦幅横幅)で積層体に亀裂を生じさせ長さ方向に繊維成長をさせること、第三に、適正な焼結温度で繊維強度を向上させ、場合により安定化ジルコニア繊維を得ること、を着想し、これらの着想により、本願目的を達成する発明をなしたものである。
ジルコニア繊維を得るためには、まず、ジルコニアの単分散ナノ粒子のコロイド溶液を用意する。コロイド溶液は、ジルコニウムアルコキシド(Zr(OR)4)の加水分解反応により得ることができる。反応溶液の濃度、反応溶液の温度、反応触媒の濃度、反応時間を調整することにより、1nm〜300nm程度のいずれかに平均粒径をもつ単分散ジルコニア粒子のコロイド溶液が得られる。Rとしては、R=i−Pr(イソプロピル),R=n−Bu(ブチル)が好ましい。
なお、後述の実施例では、ジルコニウムアルコキシドを用いて単分散ジルコニア粒子を得る態様を説明するが、このアルコキシド分解法に限ることなく、単分散のジルコニアが得られるのであれば、種々の原料および方法を採用できる。たとえば、原料を、二塩化酸化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、または、硫酸ジルコニウムとし、これを加水分解反応させて単分散ジルコニア粒子を得てもよい。このほか、強制型加水分解法、均一沈殿法、液相還元析出法、逆ミセル法(マイクロエマルジョン法)、晶析ストリッピング法などにより得ても良い。
ここで、単分散とは、形状や大きさといった所定の特徴量の偏差が極めて小さなことを意味する。換言すれば、形状や大きさが揃っていることを意味する。しかしながら、本願では、必ずしも特徴量のピークが唯一集中している態様に限らないものとする。たとえば、ジルコニア粒子が略球形である場合には、大きな粒子の隙間にちょうど充填する小さな粒子を用意して、2つのピークをもつ単分散コロイド溶液を用いてもよいものとする。複数ピークをもつ単分散粒子のコロイド溶液により、充填層の充填率を高めることができる。
なお、単分散であれば、ジルコニア粒子は安定化ジルコニア粒子であることを何ら妨げない。単分散ジルコニア粒子が純粋なジルコニア粒子である場合に安定化ジルコニア繊維を得たい場合には、この溶液に安定化ジルコニア用添加剤を混合すればよい。安定化ジルコニア用添加剤は、Caイオン、Mgイオン、Yイオン、または、Ceイオン含み、混合後の溶液がコロイド溶液の状態を保つ添加剤であればよく、たとえば、YCl3を、コロイド溶液に数mol添加する方法が挙げられる。
また、コロイド溶液中の単分散粒子は、複数種存在していてもよい。たとえば、シリカゲル粒子、ゼオライト、活性炭などの多孔質体とジルコニア粒子とが混合されたコロイド溶液であっても良い。これにより、製造された繊維の酸素イオン伝導性を向上させることが可能となる。なお、上述したように、それぞれの粒径は異なっていても良いものとする。なお、複数種の単分散粒子は、良好に充填しあう形状または大きさのものを用いるものとする。
つぎに、コロイド溶液を用いてジルコニア繊維を作出する。まず、単分散ジルコニア粒子のコロイド液を所定の濃度に調整する。濃度は、たとえば、0.2wt%〜3.0wt%程度のいずれかに調製すればよい。つぎに、コロイド溶液中に基板を載置する。最後に、所定温度で分散媒を蒸発させる。これらの工程を経ることにより、基板上に等間隔に繊維状のジルコニアの凝集体が形成される。繊維は、再度水に入れて攪拌しても、分解したり崩壊したりすることはない程度の強度を有する。
基板とコロイド溶液は濡れ性の良いことが好ましく、たとえば、分散媒が水の場合にはガラス基板、分散媒がアルコールの場合にはガラス基板やプラスチック基板(ポリプロピレンなど)を用いることが好ましい。なお、濡れ性とは、溶液の基板に対しての濡れが良好であることを意味し、現象論的には、液滴が基板上で「はじかない」ことをいう。濡れ性がよいとは、殆どの場合、表面張力が大きくない関係ということができる。このほか、基板としては、金属基板、サファイヤ基板、などを挙げることができる。
乾燥に際しては、分散媒もしくはコロイド溶液の沸点以下で適宜温度を設定可能である。沸点以下であっても、対流が激しいと基板上に粒子が配列しにくくなるので、たとえば、容器を直接熱しないなどの注意を払う。各種条件を設定することにより、基板上に、幅が数十μm〜数百μm、厚みが数μm〜百数十μm、長さはたとえば1cm〜10cm程度の繊維であって、形態面および性質面で略均質な繊維が形成される。特に、本発明では、繊維長さは基板長さに依存するので、繊維長さを任意に決定できるという特徴を有する。一方、繊維の幅は、粒径を大きくしたり溶液濃度を濃くしたり乾燥温度を低くしたりすることにより、広げることができる。また、繊維の厚みは基板の傾きによっても調整できる。
最後に、得られたジルコニア繊維を焼結し、繊維強度を向上させるとともに繊維の表面ストラクチャの制御をおこなう。また、安定化ジルコニア用添加剤を含んだコロイド溶液を用いた場合には、焼結工程により、安定化ジルコニア繊維を確実に得ることができる。なお、繊維強度を向上させたい場合には温度は高めに設定するのが好ましく、有効比表面積を維持したい場合には温度は低めに設定するのが好ましい。
焼結温度は、強度の観点からは100℃以上が好ましい。また、安定化ジルコニアを得る場合には、焼結温度が500℃程度以上であれば、X線回折で正方晶または立方晶が明瞭に観測される。
なお、多孔質体を添加した繊維の場合には、その粒径や添加量により、適宜、100℃以上の焼結温度を採用することができる。
なお、本実施の形態では、コロイド溶液は懸濁液である場合を前提としたが、使用の態様によっては乳濁液を用いてもよい。
〔実施例1〕
実施例1は、二酸化チタン繊維の製造技術の手法を用い、二酸化ジルコニウム(ZrO2、ジルコニア)繊維を提供する例を説明する。二酸化ジルコニウム繊維は、二酸化ジルコニウム粒子を単分散させたコロイド溶液を、当該コロイド溶液と濡れ性のよい基板上で乾燥することにより製造できた。このとき、乾燥して得られた二酸化ジルコニウム繊維を焼結させると、強度が向上した。得られたジルコニア繊維は、たとえば、酸素センサーのプローブに応用ができる。また、燃料電池にも適用できる。
実施例1は、二酸化チタン繊維の製造技術の手法を用い、二酸化ジルコニウム(ZrO2、ジルコニア)繊維を提供する例を説明する。二酸化ジルコニウム繊維は、二酸化ジルコニウム粒子を単分散させたコロイド溶液を、当該コロイド溶液と濡れ性のよい基板上で乾燥することにより製造できた。このとき、乾燥して得られた二酸化ジルコニウム繊維を焼結させると、強度が向上した。得られたジルコニア繊維は、たとえば、酸素センサーのプローブに応用ができる。また、燃料電池にも適用できる。
より具体的に説明する。まず、Zr(OBu)4を加水分解し、実施例4で使用する単分散ジルコニア粒子を調製した。詳細には、まず、Zr(OBu)4のエタノール溶液に、塩酸のエタノール希釈液を触媒として添加し、かき混ぜた。塩酸のエタノール希釈液を添加した場合には、反応溶液は数分で白濁し、ジルコニア粒子が生成した。溶液を24時間放置し、ジルコニア粒子をエタノールを用いて遠心分離によって数度洗浄した。洗浄により、未反応のZr(OBu)4や塩酸などの不純物を除去した。洗浄後、ジルコニア粒子をエタノールに再分散させた。
このときの実験条件は、以下である。
Zr(OBu)4 =0.01mol
H2O =0.1mol
HCl =4.0×10−5mol
EtOH =200ml
反応温度 :25℃±1℃
Zr(OBu)4 =0.01mol
H2O =0.1mol
HCl =4.0×10−5mol
EtOH =200ml
反応温度 :25℃±1℃
得られたジルコニア粒子は平均粒径が116nmであり、標準偏差は21nm、変動係数CVは、19%であり、単分散粒子であることが確認できた。なお、粒度分布を図1に示す。
なお、触媒としてHCl濃度が、2.0×10−5mol未満であると、ジルコニア粒子は数分で沈殿してしまった。一方、HCl濃度が、8.0×10−5molの場合は、粒子がほとんど形成されず、反応溶液は淡い白色の状態であった。
つぎに、ジルコニア繊維を、内径1.5cmのホウケイ酸ガラス製の試験管内で作出した。このとき、単分散ジルコニア粒子の懸濁液をエタノールで0.1wt%〜0.3wt%に希釈して超音波処理し、この懸濁液を乾燥器で68℃〜88℃の雰囲下で乾燥させた。試験管内の変化の様子を図2に示す。なお、2.0wt%の懸濁液を78℃で乾燥させて得られた繊維の写真を図3に示す。図中の升目は1cm四方を示している。また、1.0wt%の懸濁液を78℃で乾燥させて得られた繊維のSEM写真を図4に示す。このうち、図4(a)は、繊維の先端部分の外観を示した写真である。また、図4(b)は、試験管の壁面側の外観を示した写真である。また、図4(c)は、乾燥時に亀裂が進展した側の外観を示した写真である。なお、電子顕微鏡には、走査型顕微鏡(SEM;HITACHI,S−2500CX)を用いた。
つぎに、調製条件が繊維幅に与える影響を懸濁液濃度と乾燥温度について調べた。乾燥温度が78℃の場合、懸濁液濃度が、1.0wt%、2.0wt%、3.0wt%のとき、平均繊維幅、変動係数CVは、それぞれ、71μm、90μm、151μm、および、18%、16%、20%であり、繊維幅は比較的均一であることが確認できた。図5に、懸濁液濃度と繊維幅の関係を示す。繊維幅は、懸濁液濃度の増加と共に広くなる傾向があることが分かった。
図6は、乾燥温度が繊維幅に与える影響を示した図である。濃度2.0wt%の懸濁液の場合、乾燥温度を68℃、78℃、88℃としたとき、平均繊維幅は、それぞれ104μm、90μm、74μmであった。このことより、繊維幅は乾燥温度が高くなると減少する傾向があることが分かる。
つぎに、得られたジルコニア繊維を200℃〜1400℃の温度で一時間焼結させた。結晶型測定には、X線回折装置(XRD;Rigaku,RINT−2000)を用いた。図7は、ジルコニア繊維の室温でのXRDパタンを焼成温度毎に示した図である。図示したように、焼結温度が400℃程度で正方晶形が観測されているが、これは準安定と考えられ、1000℃以上の焼結温度では、結晶型は単斜晶形であることが確認できた。
得られたジルコニア繊維は、その構造材としての特性を利用して、たとえば、繊維強化材料の部材や、マイクロマシーンの部品として用いることができる。
つぎに、安定化ジルコニア繊維の製造について説明する。前述の実験条件により得られた単分散ジルコニア粒子をエタノールを用いて遠心分離によって数度洗浄し、その後、ジルコニア粒子をエタノールに再分散させ、この溶液に、YCl3をY2O3換算でジルコニア(ZrO2)に対して、3mol%、5mol%、8mol%、10mol%添加した。乾燥温度を78℃として、繊維の作出をおこなった。得られた繊維を、400℃〜1400℃の間で1時間焼結した。結晶型が室温で正方晶あるいは立方晶であれば安定化ジルコニアであるので、これをX線回折装置により確認した。
図8〜図11は、Y2O3換算でジルコニアに対して、それぞれ、3mol%、5mol%、8mol%、10mol%添加して作出したジルコニア繊維を400℃〜1400℃で焼結し、室温での結晶型を調べた図である。3mol%の添加の場合は、正方晶の安定化ジルコニアが得られており、5mol%、8mol%、10mol%添加の場合には、立方晶の安定化ジルコニアが得られていることが確認できた。なお、各図において、As−preparedとは、78℃で乾燥させただけのジルコニア繊維の室温での回折パタンを示している。
得られたジルコニア繊維は、その機能材としての特性を利用して、たとえば、小型高感度センサー材料として用いることができる。
Claims (5)
- ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液に安定化ジルコニア用添加剤を混合し、当該コロイド溶液と濡れ性のよい基板上で乾燥し、乾燥して得られたジルコニア繊維を500℃〜1400℃の温度で焼結させ、添加剤をジルコニア繊維中に固溶させることを特徴とする安定化ジルコニア繊維製造方法。
- 前記安定化ジルコニア用添加剤は、Caイオン、Mgイオン、Yイオン、または、Ceイオン含み、混合後の溶液がコロイド溶液の状態を保つ添加剤であることを特徴とする請求項1に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法。
- 基板を平板とし、これを水平から傾けてコロイド溶液中に載置してコロイド溶液の分散媒を蒸発させていくことによりジルコニア繊維を製造することを特徴とする請求項1または2に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法。
- ジルコニア粒子を単分散させたコロイド溶液は、二塩化酸化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、または、硫酸ジルコニウムを加水分解反応させて得たものであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の安定化ジルコニア繊維製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一つに記載の安定化ジルコニア繊維製造方法により製造されたことを特徴とする安定化ジルコニア繊維。
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