JP2007152375A - 内燃機関ピストンの製造方法、鍛造装置および内燃機関ピストン鍛造品 - Google Patents

内燃機関ピストンの製造方法、鍛造装置および内燃機関ピストン鍛造品 Download PDF

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Abstract

【課題】切断品(素材)歩留まりを低下させることなく、追加の加工コストを必要としないで、天井部肉厚を所望の公差以内にすることのできる内燃機関ピストンの製造方法を提供する。
【解決手段】天井部32、ピンボス部33およびスカート部34を有する内燃機関ピストン31を製造する内燃機関ピストンの製造方法において、体積バラツキを有する切断品21を素材としてピンボス部33とスカート部34とを前方押出し密閉鍛造工法によって成形する際に、スカート部34先端に余肉部34aを設けるとともに、この余肉部34aに主成形方向と反対方向に背圧を加え、背圧を付与する背圧付与開始位置Paを余肉部切断予定位置Pbよりも上方とし、背圧を付与する背圧ストロークSの、開始点を背圧付与開始位置Paとし、終点を体積が最大の切断品21の余肉部34a先端以内にする。
【選択図】図7

Description

この発明は、素材である切断品、例えば、アルミニウム合金を鍛造して内燃機関ピストンを製造する内燃機関ピストンの製造方法、内燃機関ピストンを鍛造する鍛造装置および内燃機関ピストン鍛造品に関するものである。
アルミニウム合金を鍛造して内燃機関ピストンを製造する方法については、鍛造中の素材の塑性流動状態を改善し、パイピングの発生を抑えて外観の良好な型鍛造品を安定的に提供することを目的とし、凹部を含む上面とその反対側の面に厚肉部を有するアルミニウム合金鍛造製品を製造する方法において、厚肉部の外郭を成形する金型と凹部を含む上面を成形する金型とを組み合わせた金型を用い、凹部を含む上面となる面の潤滑剤の塗布量が0.027mg/mm2以下である鍛造用素材を塑性流動させて厚肉部を形成するアルミニウム合金鍛造製品の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−53468号公報
ここで、アルミニウム合金を素材とした鍛造においては、素材が充分な延性を有することから1回の鍛造成形で金型内へ充満させることが一般的である。上金型と下金型とを嵌合させて作った密閉空間で素材を加圧鍛造する場合、素材の偏肉を回避するため、素材の外径と鍛造品の外径とは、金型へのセット、取り出しが可能なクリアランス分(一般的には0.5mm〜1mm程度。)だけ小さい径に設定される。
一方、精密切断技術が進歩してきており、丸棒材から切断して得られる鍛造素材としての切断品厚さの公差は、±0.3mm程度まで小さくなってきている。
ところで、上記した密閉鍛造工法においては、切断品の厚さバラツキがそのまま鍛造品体積、例えば、肉厚寸法に影響してしまい、さらに、鍛造条件上のバラツキ(鍛造機の下死点位置バラツキ、素材の温度バラツキ、金型の温度バラツキなど。)が加味され、成形品の寸法精度を±0.3mm以内のバラツキに制御することも難しかった。
しかし、内燃機関ピストンとして要求される鍛造品は、使用上において重量バラツキを嫌う製品であること、内燃機関の燃焼温度の高温化に伴って天井部への強度要求が厳しくなっていることなどの背景から、内燃機関ピストンとして要求される鍛造品の天井部肉厚の公差は、±0.15mm以下に抑制することが求められている。こうした要求に応えるためには、切断品のバラツキを±0.10mm以下に抑制する必要があるが、切断品の工程管理だけでは達成されていなかった。
このため、切断品を重量計、厚さ計などで選別して寸法バラツキが±0.10mm以内のものだけを使用したり、切断品を厚めに切断し、機械加工(旋盤加工、フライス加工など。)工程を追加して機械加工精度によって±0.10mm以内の寸法精度を達成したりする方法などが取られてきた。また、選別する場合、成形不良品が多数発生し、歩留まりが悪いという問題があり、機械加工工程を追加する場合は、切削代分の歩留まり低下の上、加工費がかかり、コスト高が問題となっていた。
一方で、成形品の端部の形状の張を改善する工法として、背圧鍛造工法がある。この背圧鍛造工法は、例えば、スクロールの羽根の高さを均一に充満させるために用いられており、鍛造時に鍛造素材(切断品)の先端面に鍛造方向と逆向きの荷重を加えながら鍛造素材を圧下することで、荷重が伝わりにくい鍛造素材先端部も高精度で成形することを可能とする手法である(例えば、特許文献2参照。)。
国際公開第WO01/77398号パンフレット
この発明は、上記した課題を解決するためになされたもので、切断品(素材)歩留まりを低下させることなく、追加の加工コストを必要としないで、天井部肉厚を所望の公差以内にすることのできる内燃機関ピストンの製造方法、内燃機関ピストンを鍛造する鍛造装置および内燃機関ピストン鍛造品を提供するものである。
この発明は、以下のような発明である。
(1)天井部、ピンボス部およびスカート部を有する内燃機関ピストンを製造する内燃機関ピストンの製造方法において、体積バラツキを有する切断品を素材としてピンボス部とスカート部とを前方押出し密閉鍛造工法によって成形する際に、ピンボス部先端のノックアウト部および/またはスカート部先端に余肉部を設けるとともに、この余肉部に主成形方向と反対方向に背圧を加え、背圧を付与する背圧付与開始位置を余肉部切断予定位置よりも上方とし、背圧を付与する背圧ストロークの、開始点を背圧付与開始位置とし、終点を体積が最大の切断品の余肉部先端以内にしたことを特徴とする内燃機関ピストンの製造方法。
(2)切断品の寸法バラツキが公差±0.3mmで、背圧ストロークの終点を開始点から10mm〜30mmに設定したことを特徴とする(1)に記載の内燃機関ピストンの製造方法。
(3)背圧付与開始位置を余肉部切断予定位置よりも10mm以内の上方に設定したことを特徴とする(1)または(2)に記載の内燃機関ピストンの製造方法。
(4)背圧を1kg/mm2〜10kg/mm2の範囲にしたことを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載の内燃機関ピストンの製造方法。
(5)鍛造後の成形品のノックアウト部および/またはスカート部先端の余肉部を機械加工によって除去することを特徴とする(1)から(4)のいずれか1つに記載の内燃機関ピストンの製造方法。
(6)背圧発生手段を、ガスクッション、ばね、油圧シリンダーのいずれか1つ、または、それらの2つ以上の組み合わせにしたことを特徴とする(1)から(5)のいずれか1つに記載の内燃機関ピストンの製造方法。
(7)(1)から(6)のいずれか1つに記載の内燃機関ピストンの製造方法に用いる鍛造装置であって、成形荷重および/または鍛造ストロークをモニターすることによって成形不良品の発生を検知する成形不良品検知手段を備えていることを特徴とする鍛造装置。
(8)(1)から(6)のいずれか1つに記載の内燃機関ピストンの製造方法を用いて、天井部肉厚の公差を±0.15mm以内にしたことを特徴とする内燃機関ピストン鍛造品。
上記した発明によれば、内燃機関ピストンを密閉鍛造工法で鍛造する際に、切削代付加の許容される部位(スカート部先端、ピンボス部先端のノックアウト部)に、成形過程の途中で主成形方向と反対方向の背圧を生じさせることにより、切断品の体積が規定値の中心値よりも大きい場合は、背圧ストローク範囲内で余肉部へメタルが過多分だけ流入することになり、切断品の体積バラツキは余肉部体積の増分として吸収され、また、切断品の体積が少ない場合は、背圧ストローク範囲内で余肉部へのメタルの流入が少なくなり、切断品の体積バラツキは余肉部体積の減分として吸収される。この作用により、切断品が厚さバラツキを有していても、鍛造ピストンの天井部肉厚が一定、すなわち、小さな公差範囲に保たれる。そして、背圧は、ガスクッション、ばね、油圧シリンダーのいずれか1つ、または、それらの2つ以上の組み合わせた背圧発生手段を金型内に配置して発生させることができる。背圧を付与することにより、成形時のスカート部先端の欠肉を防止する効果も得られる。
スカート部先端やピンボス部先端のノックアウト部は、後の機械加工工程における加工基準座などに通常加工されるものであるので、この発明で設けた余肉部の削除に当たっては追加の加工コストを必要としない。
ピンボス部先端のノックアウト部および/またはスカート部先端に背圧を付与しない従来工法では、ノックアウト部および/またはスカート部先端が自由端となり、その自由端部分の背圧が0kg/mm2であるので、鍛造機のプレスの下死点は「空振り」状態になる。そのため、下死点の位置は制動がかからない状態になるので、下死点の位置は一定に定まらず、繰り返し運転した場合に下死点位置はばらつくことになる。
しかし、(1)の発明によれば、ノックアウト部および/またはスカート部先端に一定要件の背圧を付与することにより、ノックアウト部および/またはスカート部先端が自由端である場合に比べて下死点位置を正確に安定させることができるので、内燃機関ピストンの天井部肉厚の精度が向上する。
また、背圧付与開始位置(背圧待機位置)を余肉部切断予定位置(ピストン加工仕上げ面位置)よりも上に設定しているので、成形形状のダレを防止する背圧の効果を充分に得ることができる。
(2)の発明によれば、切断品の体積バラツキを、体積の増減で吸収するのに十分な余肉部を設けることができ、かつ、その余肉部の切削除去が容易に可能なものとなる。その結果、切断品のバラツキによる天井部肉厚のバラツキを排除でき、さらに、余肉部の切削除去が容易に可能なため、後工程の工数を低減でき、精度が良好でコストの安い内燃機関ピストンを製造することができる。
(3)の発明によれば、背圧付与開始位置(背圧待機位置)を余肉部切断予定位置(ピストン加工仕上げ面位置)よりも上に設定しているが、それを10mm以内に抑えることで、鍛造の巻き込みの発生を抑えることができる。この範囲に背圧付与開始位置を設定することにより、成形形状のダレの発生を効果的に抑制し、かつ、鍛造巻き込みの発生を防止できる。
ところで、背圧が小さすぎると、成形形状のダレの発生の抑制が不十分になり、かつ、下死点位置の精度を一定範囲に抑えることが困難になる。また、背圧が大きくなり過ぎると、切断品体積が過多の場合、過剰な体積は余肉部に吸収されず、成形品の天井部肉厚が厚くなり、不良品が発生する恐れがある。
しかし、(4)の発明によれば、背圧を1kg/mm2〜10kg/mm2の範囲に設定したので、成形形状のダレの発生を抑制しつつ下死点の位置精度を一定範囲に抑えることができることにより、天井部肉厚を一定の範囲に抑えた内燃機関ピストンが得られる。
(5)の発明によれば、発生した余肉部を除去することにより、製品機能に不必要な部位が除去されるので、製品重量が一定になると同時に切断品のバラツキが排除された内燃機関ピストンが容易に得られる。
(6)の発明によれば、ガスクッションはコンパクトに金型内に配置でき、ばねはコンパクトに金型内に配置できるとともに、高温にも耐えることができ、油圧シリンダーは、配管や油圧ポンプなどの油圧装置が必要であるが、油圧の制御が可能となり、背圧のパターンを最適なものに設定できる。
(7)の発明によれば、鍛造装置で用いる内燃機関ピストンの製造方法では、成形荷重や鍛造ストロークへの切断品バラツキの影響を排除しているので、成形荷重や鍛造ストロークの変化が鍛造条件のバラツキと直結するため、不良品の発生を成形荷重や鍛造ストロークの異常値から判別しやすく、有効に成形品を選別でき、不良品の流出を防止できる。
(8)の発明によれば、天井部肉厚の公差を±0.15mm以内にしたので、製品重量バラツキが小さく、ピストン往復運動時の慣性力バラツキが小さくなり、また、取り付けるコンロッドの負荷バラツキが小さくなることにより、安全率を下げて設計でき、コンロッドの軽量化に貢献できる。
図1は鍛造ピストン製品を下側から見た外観斜視図、図2は鍛造ピストン製品を上側から見た外観斜視図、図3は金型の一例の、上金型が上死点(鍛造機のストロークの最上位置)に位置する状態を示す構成図、図4は切断品の体積が規定値の中心値よりも大きい場合の、金型の成形下死点(鍛造機のストロークの最下位置)の説明図、図5(a),(b)は図4の成形品をスカート部で断面にした説明図および図4の成形品をピンボス部で断面にした説明図、図6は切断品の体積が規定値の中心値よりも小さい場合の、金型の成形下死点の説明図、図7は鍛造ピストン製品のスカート部先端の位置、背圧ストローク、背圧付与開始位置などの説明図、図8は実施例で用いた切断品の厚さを全数測定した結果をヒストグラム化した図である。
なお、図3、図4および図6は、便宜的に鍛造ピストン製品である内燃機関ピストンのスカート部を含む断面図で示している。
そして、図3における、背圧をガスクッションから鍛造ピストン製品へ伝達する背圧ピンの位置は、背圧が負荷され(加えられ)始める位置を示しており、背圧付与開始位置(背圧待機位置)と言う。
金型11は、成形品である内燃機関ピストン31のヘッド面32aにバルブリセス32bを成形するバルブリセス成形部12aと、このバルブリセス成形部12aの中心に位置し、ヘッド面32aに突出部32cを形成する凹部12bとを備えた上金型12と、この上金型12のバルブリセス成形部12a側が挿入され、内燃機関ピストン31を成形する成形凹部13aが設けられた下金型13と、この下金型13に接して下側に配置された受圧板14と、成形された内燃機関ピストン31を下金型13から排出させるノックアウトピン(図示省略)と、下金型13に設けられた成形凹部13aの、内燃機関ピストン31のスカート部34を成形する部分に下側から所定長突入する背圧ピン16と、この背圧ピン16を支持するガスクッション17と、受圧板14に接して下側に配置され、ガスクッション17を支持するガスクッションホルダー18とで構成されている。
そして、金型11は、鍛造機に取り付けられる金型ホルダーとガイドポスト、上プレート、下プレートなどからなるダイセット(図示省略)に取り付けられ、保持されている。
なお、ガスクッション17は、ガスの弾性をばねに置き換えて図示されている。
成形品である内燃機関ピストン31は、ヘッド面32aに凹部であるバルブリセス32bおよび突出部32cを有する天井部32と、この天井部32のヘッド面32aと反対側に連なるピンボス部33、スカート部34と、ピンボス部33の左右端とスカート部34の左右端とを連結、接続するリブ35とで構成されている。
そして、ピンボス部33の先端には、ノックアウト部33aが設けられている。
また、スカート部34には、先端に余肉部34aが設けられている。
図5において、Tは天井部肉厚を示す。
図7において、Paは背圧付与開始位置(背圧待機位置)、Pbは余肉部切断予定位置(ピストン加工仕上げ面位置)、Sは背圧ストローク、Seは背圧ストロークエンド(背圧ピン16が底突きとなる位置)、Spは切削代設定位置(余肉部設定位置)を示す。
次に、内燃機関ピストン31の製造について説明する。
まず、図3に示すように、下金型13の成形凹部13a内に切断品(素材)21が投入される。切断品21は、連続鋳造棒、押出棒などを所定の長さになるように切断機で切断したものである。切断は従来公知の方法を用いることができ、その場合、切断品21の厚さバラツキは規定値の中心値±0.1mmで選別すると、10%〜20%がその範囲外となるバラツキを有している。切断品21の寸法バラツキは公差で±0.3mmである。
次に、図4に示すように、上金型12が下降して鍛造機の荷重が切断品21に付与されることによってメタルフローが起こり、メタルフローによる圧力が背圧よりも高くなると、流入したメタルに押されて背圧ピン16は下降を開始する。
そして、図4の下死点(鍛造機のストロークエンドで最も下降した位置。)において、切断品21の体積が規定値の中心値よりも大きい場合は、背圧ピン16が背圧ストロークエンドSeまで過多のメタルによって押し込まれるため、スカート部34先端の余肉部34aが大きくなっている(図5(a)参照)。
また、切断品21の体積が規定値の中心値よりも小さい場合は、図6に示すように、スカート部34先端へのメタル流量が少なくなるため、スカート部34先端の余肉部34aの長さが短くなり、背圧ストロークSに余裕が残っている。
上記例においては、切断品21の体積バラツキは、余肉部34aへの流れ込み量に置き換わって調整されるため、成形品である内燃機関ピストン31の寸法バラツキから切断品21の体積バラツキの影響が排除されているので、所望の天井部肉厚Tの公差±0.15mmを達成できる。さらに、成形品の寸法バラツキは鍛造上の条件(鍛造機の下死点精度、切断品21の温度バラツキ、金型11の温度バラツキなど。)によるバラツキのみの影響を受けることになるので、これらの影響を抑えることにより、天井部肉厚Tの公差をさらに小さくすることができる。
スカート部34先端にのみ余肉部34aを設ける場合について説明したが、ピンボス部33先端のノックアウト部33aに、または、スカート部34先端およびノックアウト部33aに同様の機構を組み込むことによって余肉部33b,34a(余肉部33bは、図5に二点鎖線で図示されている。)を設け、切断品21の重量バラツキを余肉部33b,34aの体積増減として吸収することができる。
また、背圧付与開始位置(背圧待機位置)Paを余肉部切断予定位置(ピストン加工仕上げ面位置)Pbよりも上に設定する。背圧付与開始位置Paは、余肉部切断予定位置Pbから10mm以内であることが好ましい。背圧付与開始位置Paがこれよりも高いと、背圧ピン16にメタルが食い込み、メタルフローの乱れを起こし、鍛造欠陥を発生させる恐れがある。背圧付与開始位置Paを余肉部切断予定位置Pbよりも下に設定すると、切断品21の体積が規定値よりも小さい場合、欠肉によって機械加工後に鍛造肌が残るので、不良品となる。
また、背圧ストロークSは、開始点を背圧付与開始位置Paとし、終点を体積が最大の切断品21の余肉部34a先端以内とする。例えば、背圧ストロークSの終点を開始点から10mm〜30mmに設定するのが好ましい。背圧ストロークSが短過ぎる(例えば、10mm未満である。)と、切断品21の厚さバラツキによる体積バラツキを余肉部34aの体積増減として吸収ができず、寸法不良を発生する恐れがある。背圧ストロークSが長過ぎる(例えば、30mmを超える。)と、鍛造品に対して後工程で実施される機械加工工程において、一度の加工で切削できず、追加の加工コストが生じることになる。内燃機関ピストン31においては、後工程の機械加工工程で加工基準の座として使用するためにスカート部34先端およびノックアウト部33aの余肉は切削加工されるため、これらの部位に背圧を付与して余肉部34a,33bを形成することが好ましい。
付与する背圧は、1kg/mm2〜10kg/mm2の間であることが好ましい。背圧が小さ過ぎる(例えば、1kg/mm2未満。)であると、スカート部34先端のダレが大きくなり、特に、切断品21の体積が規定値の中心値よりも小さい場合、欠肉不良となる。また、背圧が大き過ぎる(例えば、10kg/mm2を超える。)と、スカート部34先端へのメタルフローを抑制し過ぎるため、切断品21の体積が規定値の中心値よりも大きい場合、特に、天井部肉厚Tが厚くなり、±0.15mmの公差に入らなくなる恐れがある。
これらの背圧を応用しても鍛造条件のバラツキを抑制することはできないので、鍛造条件(鍛造機の下死点位置精度、切断品21の温度バラツキ、金型11の温度バラツキなど。)の影響は結果として成形荷重の上昇や下死点位置の上昇につながるため、成形荷重および/または鍛造ストローク(下死点位置)を成形不良品検知手段でモニターすることにより、さらに天井部肉厚Tの精度を向上させることができる。例えば、鍛造条件をモニターしていて管理範囲を超えて鍛造成形された鍛造品をマーキングして選別することで、天井部肉厚Tの精度が向上したものだけを得ることができる。鍛造後の製品排出装置に、振り分けシュートを設置することで分別も可能となる。また、成形不良品検知手段における成形荷重および/または鍛造ストロークのモニター値に基づいて鍛造条件にフィードバックをかけ、さらに精度を向上させたり、不良率を下げることができる。
以下、実施例にしたがって説明する。
直径が80mmで、長さが5000mmのアルミニウム合金連続鋳造棒を丸ノコ切断機にて、切断を実施した。鍛造製品体積から逆算して得られた切断品(素材)の体積を満たす厚さとして規定値の中心値19.5mmを狙って切断を実施し、20000枚の素材を得た。切断品の厚さを全数測定したところ、図6のヒストグラムに示すように、±0.3mmの公差内であった。
得られた素材を使用して、図1に示した内燃機関ピストン31を図3に示した金型11を用いて、鍛造試作を行った。
鍛造装置の下部構造(機構)を交換することにより、背圧ストロークおよび背圧の大きさを変化させて試作を行った。背圧ストロークおよび背圧付与開始位置(背圧待機位置)については、スカート部先端のピストン加工仕上げ面位置(切削加工仕上げ寸法位置)を基準にして試験を行った。
背圧ストローク、背圧待機位置(背圧付与開始位置)、面位置(ピストン加工仕上げ面位置)を表1に示すように変化させて実施例1〜実施例9および比較例1〜比較例4を、背圧を5kg/mm2の一定にして試験をしたところ、表1に示す結果となった。
Figure 2007152375
また、背圧についても、表2に示すように変化させて実施例10〜実施例13および比較例5、比較例6を、背圧ストローク20mm、背圧待機位置を面位置よりも5mm上にして試験をしたところ、表2に示す結果となった。
Figure 2007152375
鍛造条件は、素材(ワーク)温度を420℃とし、金型温度を300℃とし、成形荷重を400t〜450tとし、下死点位置設定値を495mmの一定にした。
鍛造品の天井部肉厚は5.0mm±0.15mmで規定されており、この範囲が合格品である。
各試験条件での鍛造品の天井部肉厚を測定して、不良率を測定した。不良項目については、スカート部先端の欠肉発生の有無、天井部肉厚の規格外れの有無、スカート部先端の巻き込みの有無に分類して、不良率を計算した。
この発明により、複雑形状の鍛造製品の製造が安定して可能となった。また、製品の不良率を10分の1に低減できた。切断品を厚さまたは重量などによって選別する工程を省略でき、機械加工などによる精度調整の工程をも省略して、天井部肉厚が公差±0.15mm以内の製品を得ることができ、低コストの鍛造ピストンの製造が可能となった。天井部肉厚の寸法公差を鍛造用素材の体積バラツキの影響がある場合に比較して30%の精度向上が達成できた。
鍛造ピストン製品を下側から見た外観斜視図である。 鍛造ピストン製品を上側から見た外観斜視図である。 金型の一例の、上金型が上死点に位置する状態を示す構成図である。 切断品の体積が規定値の中心値よりも大きい場合の、金型の成形下死点の説明図である。 (a),(b)は図4の成形品をスカート部で断面にした説明図および図4の成形品をピンボス部で断面にした説明図である。 切断品の体積が規定値の中心値よりも小さい場合の、金型の成形下死点の説明図である。 鍛造ピストン製品のスカート部先端の位置、背圧ストローク、背圧付与開始位置などの説明図である。 実施例で用いた切断品の厚さを全数測定した結果をヒストグラム化した図である。
符号の説明
11 金型
12 上金型
12a バルブリセス成形部
12b 凹部
13 下金型
13a 成形凹部
14 受圧板
16 背圧ピン
17 ガスクッション(背圧発生手段)
18 ガスクッションホルダー
21 切断品(素材)
31 内燃機関ピストン(成形品)
32 天井部
32a ヘッド面
32b バルブリセス
32c 突出部
33 ピンボス部
33a ノックアウト部
33b 余肉部
34 スカート部
34a 余肉部
35 リブ
Pa 背圧付与開始位置(背圧待機位置)
Pb 余肉部切断予定位置(ピストン加工仕上げ面位置)
S 背圧ストローク
Se 背圧ストロークエンド
Sp 切削代設定位置(余肉部設定位置)
T 天井部肉厚

Claims (8)

  1. 天井部、ピンボス部およびスカート部を有する内燃機関ピストンを製造する内燃機関ピストンの製造方法において、
    体積バラツキを有する切断品を素材としてピンボス部とスカート部とを前方押出し密閉鍛造工法によって成形する際に、ピンボス部先端のノックアウト部および/またはスカート部先端に余肉部を設けるとともに、この余肉部に主成形方向と反対方向に背圧を加え、
    背圧を付与する背圧付与開始位置を余肉部切断予定位置よりも上方とし、
    背圧を付与する背圧ストロークの、開始点を背圧付与開始位置とし、終点を体積が最大の切断品の余肉部先端以内にした、
    ことを特徴とする内燃機関ピストンの製造方法。
  2. 切断品の寸法バラツキが公差±0.3mmで、
    背圧ストロークの終点を開始点から10mm〜30mmに設定した、
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関ピストンの製造方法。
  3. 背圧付与開始位置を余肉部切断予定位置よりも10mm以内の上方に設定した、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関ピストンの製造方法。
  4. 背圧を1kg/mm2〜10kg/mm2の範囲にした、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関ピストンの製造方法。
  5. 鍛造後の成形品のノックアウト部および/またはスカート部先端の余肉部を機械加工によって除去する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関ピストンの製造方法。
  6. 背圧発生手段を、ガスクッション、ばね、油圧シリンダーのいずれか1つ、または、それらの2つ以上の組み合わせにした、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関ピストンの製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関ピストンの製造方法に用いる鍛造装置であって、
    成形荷重および/または鍛造ストロークをモニターすることによって成形不良品の発生を検知する成形不良品検知手段を備えている、
    ことを特徴とする鍛造装置。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関ピストンの製造方法を用いて、天井部肉厚の公差を±0.15mm以内にした、
    ことを特徴とする内燃機関ピストン鍛造品。
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