JP2007150505A - 遠隔制御システム、被遠隔制御装置、及び、被遠隔制御装置の設定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数の制御対象を遠隔操作する場合の混乱対策を講じた遠隔制御システム、被遠隔制御装置、及び、被遠隔制御装置の設定方法を提供する。
【解決手段】 ID設定スイッチ4cによって選択されたパルス系列(第1〜第nパルス系列のいずれか)で変調された光ビーム15を任意のロボットに向けて照射する。これにより、該ロボットが、当該パルス系列の光ビームによって形成される輝度領域のみに追従し得るように設定される。このため、該ロボットは、他の輝度領域に追従しなくなる。
【選択図】 図2
【解決手段】 ID設定スイッチ4cによって選択されたパルス系列(第1〜第nパルス系列のいずれか)で変調された光ビーム15を任意のロボットに向けて照射する。これにより、該ロボットが、当該パルス系列の光ビームによって形成される輝度領域のみに追従し得るように設定される。このため、該ロボットは、他の輝度領域に追従しなくなる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、たとえば、自走型ロボットなどの被遠隔制御装置を遠隔操作する遠隔制御システム、被遠隔制御装置、及び、被遠隔制御装置の設定方法に関する。
本件発明者らは先に、光を利用して陸上移動体の移動方向を離れた場所から操作できる光コントロールシステムに関する技術「ロボットに対する操作対象の教示方法およびその装置ならびにロボット」を提案している(下記の特許文献1参照)。
この既提案技術は、自走型のロボットの遠隔操作に関するものであり、ロボットは、遠隔制御装置である光線発射装置から発射された光ビーム(特定の幅に収束された光)が照射された領域を撮像することにより、これを追いかけるというものである。
この既提案技術によれば、ロボットの移動方向先の床面上にビーム光線を照射するだけで、その方向に簡単にロボットを導くことができる。このため、操縦者(操作者)の立場から移動方向の把握が容易であり、無線方式などの既存コントロールシステムのような完熟訓練を必要とすることなく、誰でもすぐに使いこなすことができるという格別の利点が得られる。
しかしながら、上記の既提案技術にあっては、一対の光線発射装置と操作対象(ロボット)とが存在する環境を想定しているため、複数の光線発射装置で各々個別の操作対象を遠隔操作する場合には、以下の“混乱”が生じるという問題点がある。
すなわち、上記の既提案技術では、光線発射装置から発射された光ビームを床面上に照射することにより、ロボットがその床面上の輝度領域を認識し、これを追いかけるように自ら移動する。しかし、たとえば、複数の光線発射装置(便宜的にリモコンA、Bと称する)を用いて、それぞれ個別の操作対象(便宜的にロボットa、bと称する)を遠隔操作する場合、ロボットa、bの撮像エリアに所定値以上の輝度領域の重複部分(図1の符号12参照)を生じることがあり得る。このような場合、仮にその重複部分にリモコンA、Bから光ビームを照射すると、ロボットa、bは、たとえば、より輝度の高い領域を追いかけるため、リモコンとロボットの正しい組み合わせの遠隔操作ができなくなことがある。これは、上記の既提案技術におけるロボットA、Bは、単に床面上の輝度領域を追いかける機能しかないからである。
したがって、上記既提案技術においては、複数台のリモコンで各々個別の対象物を遠隔操作する場合に、途中でリモコンとロボットの組み合わせが入れ替わってしまう可能性があり、遠隔操作の“混乱”を生じるという問題点がある。
そこで、本発明は、複数の制御対象を遠隔操作する場合の混乱対策を講じた遠隔制御システム、被遠隔制御装置、及び、被遠隔制御装置の設定方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、光ビームを発射する発射手段を備えた遠隔制御装置と、光検知手段を備え、前記発射手段より発射された光ビームにより形成された輝度領域が前記光検知手段により検知されると、その検知状態に基づいて動作制御される被遠隔制御装置とからなる遠隔制御システムにおいて、前記遠隔制御装置は、被遠隔制御装置を特定するための情報を任意に設定する情報設定手段と、この情報設定手段によって任意に設定された情報に基づいて変調された光ビームを発射するよう前記発射手段を制御する制御手段とを更に備え、前記被遠隔制御装置は、前記制御手段により制御され発射された光ビームを受光する受光手段と、この受光手段によって受光された光ビームを復調して前記情報を取得する情報取得手段と、この情報取得手段によって前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定手段とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、前記被遠隔制御装置を特定するための情報とは、夫々異なるパターンで形成されたパルス系列であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、光検知手段を備え、この光検知手段により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御される被遠隔制御装置であって、外部から前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光手段と、この受光手段によって受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得手段と、この情報取得手段によって前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定手段とを備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記請求項3記載の発明において、前記遠隔制御装置を特定するための情報とは、夫々異なるパターンで形成されたパルス系列であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、光検知部を備え、この光検知部により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御される被遠隔制御装置の設定方法であって、外部から前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光ステップと、この受光ステップにて受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得ステップと、この情報取得ステップにて前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定ステップとからなることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、光検知部により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御されるコンピュータを、前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光手段、この受光手段によって受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得手段、この情報取得手段によって前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定手段として機能させることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、前記被遠隔制御装置を特定するための情報とは、夫々異なるパターンで形成されたパルス系列であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、光検知手段を備え、この光検知手段により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御される被遠隔制御装置であって、外部から前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光手段と、この受光手段によって受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得手段と、この情報取得手段によって前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定手段とを備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記請求項3記載の発明において、前記遠隔制御装置を特定するための情報とは、夫々異なるパターンで形成されたパルス系列であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、光検知部を備え、この光検知部により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御される被遠隔制御装置の設定方法であって、外部から前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光ステップと、この受光ステップにて受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得ステップと、この情報取得ステップにて前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定ステップとからなることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、光検知部により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御されるコンピュータを、前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光手段、この受光手段によって受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得手段、この情報取得手段によって前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定手段として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、遠隔制御装置は、複数記憶された被遠隔制御装置を特定するための情報より任意に設定し、設定された情報に基づいて変調された光ビームを発射する一方、被遠隔制御装置は、この発射された光ビームを受光し、復調して情報を取得すると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定するので、被遠隔制御装置は、予め受光していない情報で変調された輝度領域を検知しても遠隔制御されなくなる。したがって、複数の遠隔操作対象を遠隔操作する場合の混乱対策を講じることができる。
以下、本発明の実施形態を、遠隔操作されるロボットへの適用を例にして、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
図1は、実施形態の使用状態を示す図である。この図には、たとえば、3人の操作者(操縦者)1〜3と、それらの操作者1〜3が手持ちしている3台の遠隔制御装置4〜6と、それらの遠隔制御装置4〜6からの光ビームによる輝度領域に追従しながら自律的に床面を移動する物体としての3台の自走型ロボット(以下、ロボットと称す)7〜9とが示されている。
ここで、遠隔制御装置4〜6とロボット7〜9の正しい組み合わせを、説明の便宜上、「遠隔制御装置4とロボット7」、「遠隔制御装置5とロボット8」、「遠隔制御装置6とロボット9」とする。
図中の上方に描かれている操作者1は、かかる組み合わせ設定を行っている最中であり、他の操作者2、3は、組み合わせ設定完了後の遠隔制御装置5、6を用いて、それぞれ対応するロボット8、9の遠隔操作を行っている最中である。
後で詳しく説明するが、遠隔制御装置とロボットとの組み合わせ設定は、ロボット7〜9の特定部位(たとえば、頭部)に取り付けられた「設定用受光部23」に向けて、各ロボット7〜9を特定付けるための情報として、遠隔制御装置4〜6からのユニークなパルス系列で変調された光ビームを発射することにより行われる。たとえば、図中の上方に描かれている操作者1は、第1パルス系列で変調された光ビームを、遠隔制御装置4からロボット7の頭に取り付けられた設定用受光部23に向けて発射し、上記の組み合わせ設定を行っている。また、操作者2は、すでに同様の手順で、第2パルス系列で変調された光ビームを、遠隔制御装置5からロボット8の頭に取り付けられた設定用受光部23に向けて発射し、上記の組み合わせ設定を完了しており、さらに、操作者3も、すでに同様の手順で、第3パルス系列で変調された光ビームを、遠隔制御装置6からロボット9の頭に取り付けられた設定用受光部23に向けて発射し、上記の組み合わせ設定を完了している。
組み合わせ設定完了後の操作者2、3は、遠隔制御装置5、6を用いて、それぞれロボット8、9を操作しているが、たとえば、図示のように、ロボット8、9の検出対象範囲10、11に重複エリア(ハッチング部分)12が生じていた場合で、且つ、その重複エリア12に遠隔制御装置5、6からの輝度領域13、14が位置していたとしても、ロボット8、9は、間違った輝度領域(ロボット8にあっては輝度領域14、ロボット9にあっては輝度領域13)に追従することはない。
上記のように、各々の遠隔制御装置4〜6からは、それぞれユニークなパルス系列(第1パルス系列〜第3パルス系列)で変調された光ビームが照射され、且つ、それぞれのロボット7〜9は、上記の組み合わせ設定により、特定のパルス系列(上記の例によればロボット7は第1パルス系列、ロボット8は第2パルス系列、ロボット9は第3パルス系列)で変調された光ビームにしか反応しないようになっているからである。
このため、複数台の遠隔制御装置4〜6で各々個別の対象物(ロボット7〜9)を遠隔操作する場合の上記重複エリア12における“混乱”を回避することができる。
ここで、ユニークなパルス系列(第1パルス系列〜第3パルス系列)とは、たとえば、“1110100”、“1110010”・・・・のような信号“0”と“1”とからなる7ビットの符号列である。以下、特に限定しないが、説明の便宜上、“1110100”を第1パルス系列とし、“1110010”を第2パルス系列とする。これらのパルス系列で、遠隔制御装置とロボットの組み合わせを定義する。したがって、n種類のパルス系列(第1〜第nパルス系列)で、トータルnセットの遠隔制御装置とロボットの混在操作が可能になる。また、上記のパルス系列は、例えば、そのまま出力されれば、ロボットの前進コマンドとなり、論理反転されて出力されれば、ロボットの後退コマンドとなる。
図2は、遠隔制御装置4〜6の外観図及び内部構成図である。遠隔制御装置4〜6はいずれも同一の構成を有しているため、ここでは代表として遠隔制御装置4の構成を説明する。遠隔制御装置4は、手持ちに適した形状(たとえば、円筒状、ペンシル型又はその他の形状)を有するケース4a、バッテリ4b、ID設定スイッチ4c、後退スイッチ4d、前進スイッチ4e、電子基板4f、発光部4g(たとえば、赤外線や可視光線などの発光素子)及び光学レンズ4hなどによって構成されており、電子基板4fには、n個のパルス系列発生部(第1パルス系列発生部4i、第2パルス系列発生部4j、・・・・、第nパルス系列発生部4k)と、n個の論理反転素子(第1論理反転素子4m、第2論理反転素子4n、・・・・、第n論理反転素子4p)と、ドライバ部4qとが実装されている。
バッテリ4bの電圧(直流電圧EV)は、ID設定スイッチ4cのn個の接点P1〜Pnを介してn個のパルス系列発生部4i〜4kに供給されるようになっており、ID設定スイッチ4cのn個の接点P1〜Pnは、ID設定スイッチ4cのn個の押しボタンB1〜Bnの択一的な押し上げ動作に応答して、いずれか一つの接点がオンになるようになっている。
たとえば、今、ID設定スイッチ4cのn番目の押しボタンBnが押し上げ操作されているものとすると、ID設定スイッチ4cのn番目の接点Pnがオンになり、この接点Pnを介してn番目のパルス系列発生部(第nパルス系列発生部4k)だけにバッテリ4bの電圧EVが供給される。
このため、この第nパルス系列発生部4kだけが動作してユニークなパルス系列(第nパルス系列)を発生する。この第nパルス系列は、前進スイッチ4eの接点Peに加えられると共に、論理反転素子4pを介して後退スイッチ4dの接点Pdにも加えられており、たとえば、この状態で前進スイッチ4eを押し下げ操作すると、前進スイッチ4eの接点Peを介してドライバ部4qに第nパルス系列が供給される。あるいは、前進スイッチ4eの代わりに、後退スイッチ4dを押し下げ操作すると、この後退スイッチ4dの接点Pdを介してドライバ部4qに第nパルス系列の論理反転信号が供給される。
n個のパルス系列発生部(第1パルス系列発生部4i、第2パルス系列発生部4j、・・・・、第nパルス系列発生部4k)はその動作期間中において、各々異なる系列、すなわち、既述のとおり、ユニークな系列の第1〜第nパルス系列を発生する。これらの第1〜第nパルス系列は、互いの相関性が低く、しかも、周囲の外乱光とも相関しない適切なパルス系列である。
第1〜第nパルス系列のデューティ比は、好ましくは、たとえば、50%又はそれに近い値に設定されており、第1〜第nパルス系列の一周期長をTXとすると、第1〜第nパルス系列のオン期間(一論理期間)とオフ期間(他論理期間)の長さはいずれもTXのほぼ半分(TX/2)になる。
ドライバ部4qはその動作期間中において、バッテリ4bの電圧EVをIDスイッチ4cで選択されたパルス系列発生部(たとえば、図示の場合は第nパルス系列発生部4k)からの第nパルス系列で変調して発光部4gのドライブ電圧DVを生成し、そのドライブ電圧DVで発光部4gを駆動する。
ドライブ電圧DVは、それぞれTX/2の長さでEV(オン期間)と0V(オフ期間)を繰り返し、その繰り返しの1サイクルをTXとする変調電圧である。
したがって、発光部4gは、ドライブ電圧DVがEV(オン期間)にある間には高輝度発光状態となり、ドライブ電圧DVが0V(オフ期間)にある間には非発光(消灯)状態となるから、結局、前進スイッチ4e又は後退スイッチ4dを押し下げ操作している間、所定の周期(TX/2)でオンオフする細く絞り込まれた光ビーム15が光学レンズ4hを通して発射されることになる。
なお、上記の非発光状態は“消灯状態”(完全なオフ状態)のみを意味しない。若干の明るさを持っていてもよい(疑似オフ状態)。上記高輝度発光状態のときよりも明らかに暗い状態(低輝度発光状態)であればよい。
図3は、ロボット7〜9の具体的な外観例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は左側面図である。ロボット7〜9はいずれも同一の構成を有しているため、ここでは代表としてロボット7の構成を説明する。
ロボット7は、本体16と、この本体16の上面に固定的に取り付けられた受光ユニット17とから構成されている。
本体16は、左右一対の前輪18L、18R(添え字の“L”は左、“R”は右を示す。以下同様。)と一つの後輪19とを備えており、図示の例では、前方二輪、後方一輪の三輪方式で前進運動及び左右旋回運動を行うようになっている。すなわち、左右の前輪18L、18Rは、それぞれ左右のモータ20L、20Rによって個別に駆動され、また、後輪19は、回転フリーの従動輪であって、しかも、アーム21によってその従動方向が自由に変化するように本体16に取り付けられており、左右のモータ20L、20Rを同量回転させることにより前進又は後退を、また、左右のモータ20L、20Rを差動回転させる(回転量に差を付ける)ことにより左右への旋回を行うようになっている。
受光ユニット17の前面には、横方向に配列された三つの自律走行用受光部22L、22C、22Rが実装されており、また、受光ユニット17の上面には、設定用受光部23が設けられている。自律走行用受光部22L、22C、22R(添え字の“C”は中央を示す。)は、所定値以上の輝度領域として床面や路面等の物以外の操作対象からの反射光(図1の輝度領域13、14参照)を検知し捕捉するものであり、また、設定用受光部23は遠隔制御装置とロボットの組み合わせ設定を行う際に使用されるものである。
図4は、ロボット7の内部システム構成図である。この図において、制御部24は、受光ユニット17の三つの自律走行用受光部22L、22C、22Rにより検知され、取り出された出力信号(PdR、PdC、PdL)を取り込み、それら三つの信号(PdR、PdC、PdL)に基づいて前記反射光(図1の輝度領域13、14参照)にて得られる輝度領域の方向を検知状態として判定し、その方向にロボット7を自走させるための制御値を演算する。
尚、本実施の形態では、自律走行用受光部22L、22C、22Rによって反射光を捕捉するケースについて述べるが、光を検知する素子を複数並べた構造であれば、例えばCCDのような撮像素子であってもよい。
尚、本実施の形態では、自律走行用受光部22L、22C、22Rによって反射光を捕捉するケースについて述べるが、光を検知する素子を複数並べた構造であれば、例えばCCDのような撮像素子であってもよい。
制御部24は、受光ユニット17の設定用受光部23から取り出された出力信号(PdS1、または、PdS2)を取り込み、その出力信号に基づいて、対象となる遠隔制御装置の組み合わせ設定を行うと共に、その設定情報に従って、前記反射光(図1の輝度領域13、14参照)のうちで自分を対象にした操作信号のみを弁別するという処理を実行する。
上記の制御値(反射光の方向にロボット7を自走させるための制御値)は、たとえば、ロボット7が、前進、停止、左旋回または右旋回の各々の運動を行うものとすると、これら四つの運動状態は2ビットの情報で表すことができるため、ここでは、「00=停止」「11=前進」、「01=左旋回」、「10=右旋回」とすることにし、上位ビットを左駆動信号DLに、また、下位ビットを右駆動信号DRとして、それぞれを右モータ20R用の駆動部25R(以下「右輪駆動部25R」という。)及び左モータ20L用の駆動部25L(以下「左輪駆動部25L」という。)に入力することにする。
図5は、右輪駆動部25R(または左輪駆動部25L)の構成図である。以下、代表して右輪駆動部25Rの構成を説明するが、左輪駆動部25Lの構成も同一である。右輪駆動部25Rは、切換部26からの制御によって接点が切り替わる二つのスイッチ素子27、28と、スイッチ素子27、28の接点がA位置(またはC位置)にあるときにモータ20Rに対して直流電圧を供給するバッテリ29と、スイッチ素子27、28の接点がB位置にあるときにモータ20Rの起電力を消費して回生制動をかける負荷素子30とを備える。
なお、モータ20Rは、スイッチ素子27、28の接点がA位置にある時に一方向に回転(以下「正転」という。)し、右前輪18Rは、この正転により前進方向に回転するものとする。ちなみに、スイッチ素子27、28の接点をC位置にすると、バッテリ29の極性が入れ替わってモータ20Rに与えられるようになっている。この場合、モータ20Rは逆転し、右前輪18Rは、この逆転により後進方向に回転する。
右輪駆動部25Rの切換部26には、右駆動信号DRが入力されており、この右駆動信号DRは、「00=停止」「11=前進」、「01=左旋回」及び「10=右旋回」のそれぞれの下位ビットである。すなわち、DRの論理値は、停止制御時と右旋回制御時で「0」、前進制御時と左旋回制御時で「1」になるので、右輪駆動部25Rの切換部26は、DR=1のときにスイッチ素子27、28の接点をA位置にし、DR=0のときに同接点をB位置にする。
同様に、左輪駆動部25Lの切換部26には、左駆動信号DLが入力されており、この左駆動信号DLは、「00=停止」「11=前進」、「01=左旋回」及び「10=右旋回」のそれぞれの上位ビットである。すなわち、DLの論理値は、停止制御時と左旋回制御時で「0」、前進制御時と右旋回制御時で「1」になるので、左輪駆動部25Lの切換部26は、DL=1のときにスイッチ素子27、28の接点をA位置にし、DL=0のときに同接点をB位置にする。
したがって、制御部24から出力される制御値(「DL,DR」)が「00=停止」である場合は、右前輪18R駆動用のモータ20Rは回生制動をかけて回転を止め、左前輪18L駆動用のモータ20Lも回生制動をかけて回転を止めるから、ロボット7はその場で「停止」する。
また、同制御値(「DL,DR」)が「01=左旋回」である場合は、右前輪18R駆動用のモータ20Rは正転し、左前輪18L駆動用のモータ20Lは回生制動をかけて回転を止めるから、ロボット7はその場で「左旋回」する。
また、同制御値(「DL,DR」)が「10=右旋回」である場合は、右前輪18R駆動用のモータ20Rは回生制動をかけて回転を止め、左前輪18L駆動用のモータ20Lは正転するから、ロボット7はその場で「右旋回」する。
図6は、制御部24の構成図である。制御部24は、制御プログラムを実行するCPU31と、制御プログラムを格納するROM32と、CPU31にワークエリア(制御プログラムの実行エリア)を提供するRAM33と、受光ユニット7の三つの自律走行用受光部22L、22C、22Rから取り出された出力信号(PdR、PdC、PdL)をディジタル信号に変換して取り込むと共に、受光ユニット7の設定用受光部23から取り出された出力信号(PdS1、または、PdS2)をディジタル信号に変換して取り込む入力インターフェース(図ではI/Fと称す。)34と、制御値(DL,DR)を出力する出力インターフェース35と、これら各部を接続するバス36とを備えている。
図7は、制御部24で実行される駆動制御処理のフローチャートを示す図である。このフローチャートでは、まず、受光ユニット7の三つの自律走行用受光部22L、22C、22Rについて、前回出力された出力信号(PdR’、PdC’、PdL’)と今回出力される出力信号(PdR、PdC、PdL)との変化量(ΔPdL、ΔPdC、ΔPdR)を演算する(ステップS1)。
次に、ΔPdL、ΔPdC及びΔPdLの最大値を求め、その最大値と所定のしきい値SL1とを比較する(ステップS2)。なお、フローチャート中の「Max( )」は、( )内の引数で渡された複数の値のうち最大値を戻り値とする汎用関数である。
今、Max(ΔPdL、ΔPdC、ΔPdR)の戻り値がしきい値SL1を超えない場合、受光ユニット7の三つの自律走行用受光部22L、22C、22Rから取り出された出力信号(PdR、PdC、PdL)は、いずれも小さな値であり、床面などからの反射光を捕捉していないので、停止用の制御値(「00」)を発生し(ステップS3)、その下位ビット(0)をDRとして右輪駆動部25Rに出力すると共に、その上位ビット(0)をDLとして左輪駆動部25Lに出力する。
一方、Max(ΔPdL、ΔPdC、ΔPdR)の戻り値がしきい値SL1を超えている場合は、受光ユニット7の三つの自律走行用受光部22L、22C、22Rから取り出された出力信号(PdR、PdC、PdL)のいずれかが大きな値であり、床面などからの反射光を捕捉している状態であるので、その捕捉方向を判定するために、どの信号が最大値を示したかを特定するための処理を実行する(ステップS4、ステップS5、ステップS8、ステップS9)。
この処理では、まず、ステップS4で、変化量(ΔPdL、ΔPdC、ΔPdR)の最大値を所定値(便宜的に100)として他の二つの値を同所定値で正規化し、それらの正規化値を再びΔPdL、ΔPdC、ΔPdRにセットする。そして、ステップS5で正規化後のΔPdL、ΔPdC、ΔPdRの最大値を求め、ΔPdLが最大値であれば、反射光の捕捉方向はロボット7の進行方向に対して左側であり、または、ΔPdRが最大値であれば、反射光の捕捉方向はロボット7の進行方向に対して右側であると判断する。したがって、ΔPdLが最大値である場合は、左旋回用の制御値(「01」)を発生し(ステップS6)、その下位ビット(1)をDRとして右輪駆動部25Rに出力すると共に、その上位ビット(0)をDLとして左輪駆動部25Lに出力する。または、ΔPdRが最大値である場合は、右旋回用の制御値(「10」)を発生し(ステップS7)、その下位ビット(0)をDRとして右輪駆動部25Rに出力すると共に、その上位ビット(1)をDLとして左輪駆動部25Lに出力する。
これにより、ロボット7は、自分の進行方向に対して左側に反射光を捕捉した場合は左旋回し、右側に反射光を捕捉した場合は右旋回する結果、その旋回運動によって、反射光(すなわち図1の輝度領域13、14)を追いかけながら進路を動的に変えて進むという運動作用が得られる。
ここで、ΔPdCが最大値である場合は、反射光の捕捉方向はロボット7の進行方向にあるから、そのまま、前進用の制御値(「11」)を発生(ステップS10)してもよいが、自律走行用受光部22L、22C、22R(特に中央の受光センサ15C)の感度特性を考慮すると、ΔPdCとΔPdRの差(ΔPdC−ΔPdR)およびΔPdCとΔPdLの差(ΔPdC−ΔPdL)を演算し、それらの差値がいずれも所定のしきい値SL2を超えて大きい場合にのみ、前進用の制御値(「11」)を発生(ステップS10)し、その下位ビット(1)をDRとして右輪駆動部25Rに出力すると共に、その上位ビット(1)をDLとして左輪駆動部25Lに出力することが望ましい。
尚、CCDのような撮像素子を使用する場合、出力信号(PdR、PdC、PdL)の判断の仕方としては、撮像領域を左右方向に3分割し、どの領域で反射光の領域を強く捉えたかで判断させるのが望ましい。
尚、ステップS3、S6、S7、及び、S10にて制御値を出力すると、今回の出力信号(PdR、PdC、PdL)を前回の出力信号(PdR’、PdC’、PdL’)としてRAM33に格納し、ステップS1に戻る。
図8は、自律走行用受光部22L、22C、22R及び設定用受光部23のブロック図である。(a)に示すように、自律走行用受光部22L、22C、22Rは、それぞれ同一の構成を有しており、たとえば、自律走行用受光部22Lを例にして説明すると、この自律走行用受光部22Lは、フォトダイオード37、プリアンプ38、BPF39、増幅器40、A/Dコンバータ41、駆動信号処理部42を備え、また、(b)に示すように、設定用受光部23も、フォトダイオード43、プリアンプ44、BPF45、増幅器46、A/Dコンバータ47、符号設定判定部48を備える。
自律走行用受光部22L、22C、22Rの駆動信号処理部42は、21サンプルFIFOバッファ42aと、相関度判定器42bと、フィルタ設定手段42cとを含み、また、設定用受光部23の符号設定判定部48は、21サンプルFIFOバッファ48aと、第1相関度判定器48b1と第2相関度判定器48b2とを含む。
本実施形態においては説明の便宜上、具体的なケースとして、第1〜第7パルス系列を7ビットの符号列とし、1KHzの副搬送波周波数(1ビット分の周期=1/1KHz=1ms)で変調されるものとするとともに、ロボット側のA/Dコンバータ41、47のサンプリング速度を、その3倍の3KHzとすることにする。つまり、一つの符号の1周期長を7msとし、その一周期の長さ(7×3=21サンプル)に対応した大きさのFIFOバッファ(すなわち、21サンプルFIFOバッファ42b、48a)を備えるものとする。
本実施形態では、変調の速度は数kHz程度なので、このままのサンプリング性能でも、符号長が数十ビットになったとしても実操作上影響を受けることはあまりない。本実施形態では、ロボットの前進コマンドと後退コマンドに第1〜第nパルス系列と、その反転パターン(図2の論理反転素子4m〜4pで反転されたパルス系列)パルス系列を割り付けることにする。もちろん、別の符号割り付けとしてより符号の種類が確保できる場合には、互いに相関しない符号を割り付ければよいので、1つのコマンドセットが必ず正論理と負論理の2つのパターンのみになるわけではない。
なお、自律走行用受光部22L、22C、22RのBPF39と、設定用受光部23のBPF45は、直流や高調波及び低調波などの不要帯域をカットするためバンドバスフィルタである。これらのBPF39、45は、後段の相関度判定器42b、48bをマッチドフィルタとしているため、ビット波形の形状を維持する目的で入れられているものである。
図9(a)は、自律走行用受光部22L、22C、22RのA/Dコンバータ41の出力波形図である。この図に示すように、A/Dコンバータ41のA/D変換結果は、BPF39で直流を含む低域成分と不要な高周波成分が捨てられ、正負の変動値となる。検出条件は、環境にもよるが符号拡散変調の性質上、検知されるフォトダイオード37のダイナミックレンジに対して数%の変動幅が確保できるような、照射面(床、地面など)であれば、たいていの場合は問題ない。
図示したように、ビットの周期に対して3倍の周期でサンプリングするので、3つのサンプリング点のうち、1つ以上は必ずビット振幅値の最も安定した場所で取得することができる。もちろん、2倍のサンプリング周期でも問題はないが、どのような位相でもビットパターン変調波形の遷移時点を含まないようにする観点から、本実施形態では3倍のサンプリング周期とした。
図9(b)は、設定用受光部23の符号設定判定部48の各符号に応じた相関の評価出力1(PdS1)と評価出力2(PdS2)とを得ている状態を示す図である。符号設定判定部48はA/Dコンバータ47のA/D変換結果から特定符号との相関を見てピークを判定する。第1相関判定器48b1、第2相関判定器48b2は夫々、サンプリング、フィルタリング、A/D変換され、21サンプルFIFOバッファ48aを経由して入力された値を時々刻々FIFO入力し、逐次符号セットの2つの符号に応じたフィルタリングパラメータで並列に評価する。
サンプリング周期は、1つのビットに対して3倍であるので、1つずつサンプリングデータを入れながら、3つごとに飛び飛びのタップ位置の値を引き出して、そのマッチドフィルタ計算結果(評価出力1、2)を第1相関判定器48b1、第2相関判定器48b1に逐次出力する。
図10は、評価出力1と評価出力2の変化例を示す図である。この変化例は、設定用受光部23に符号セット1の「前進コマンド」(例:“1110100”)が受光されて設定状態に入った場合のときのものである。この図において、判定スレッシュは、先に説明した符号の相互相関の関係で、ピークFIFO周期中の最大ピーク値で明示的に判別することが可能であり、本実施形態ではそのようなスレッシュ値が設定されるとするが、相互の光強度の関係や量子化ビット数などによる誤差が関係する場合には、図示のような単純なスレッシュではなく、急峻なピークが1つだけになるなどの数学的性質を併用した判定スレッシュであってもよい。
評価出力1は、バッファの周期分の中のいずれかでスレッシュを越えるピークを持つ。一方、評価出力2も相互相関の程度だけ多少変動はするが、スレッシュ以下にすることができるため、それに影響されないスレッシュ設定とする。このようにして、特定のセットナンバーの光が照射されていることが判別できる。以上のようにして、適宜設定用受光部23からの出力信号を判定することにより、自律走行用受光部22L/C/Rの相関判定器の対象符号が任意の時点で設定変更されることがあるにしても、実際には設定用受光部23の出力信号に起因して動作することはまれであり、通常、自律走行用受光部22L/C/Rは一定の設定符号で自機の着目する組み合わせ信号に従った駆動制御が行われる。
図11は、22L/C/Rの各ユニット中の相関度判定機42bが対応した光を検出しているときの状態を示す図である。図において、a〜gは、制御部24から設定される復調パラメータである。この復調パラメータa〜gは、1または−1の値を取る。
この評価出力の算出方法では、FIFOに順次入れる形になるので、いったん検出符号が決定すると、光源のクロックと、対象ロボットのクロックに多少の精度のずれがある場合、たとえば、21サンプルで1つの符号パターンのはずであるが、210サンプル目に、サンプルされる波形として1つ、ずれるような場合でも、スレッシュ以上のピークを必ず検出することができ、符号の決定後は、ピーク検出に基づいてのみモータ制御の状態管理トリガとしており、ピークの周期については、特に同期管理していないので、相互のクロックずれを許容できる。
図12は、ロボット7で処理されるフローチャートである。同図において(a)はロボット7において自律走行用受光部22L、22C、及び、22Rにて受光された結果処理される駆動タスクであり、(b)は設定用受光部23にて受光された結果処理される符号設定タスクである。これら二つのタスクは並列実行されるものとする。
まず、図12(a)の駆動タスクから説明する。この駆動タスクでは、自律走行用受光部22L、22C、及び、22Rにて受光され、その結果出力された出力信号PdR、PdC、PdLに基づいてロボット7が駆動する。すなわち、各回路部についての初期設定を行った後(ステップS21)、遠隔制御装置4〜6から出力される光ビームにより形成される輝度領域、すなわちスポット光を自律走行用受光部22L、22C、22Rで夫々受光し、その受光の結果得られた値を取り出す(ステップS22)。そしてその値にしたがって、図7にて詳述した処理を行って駆動制御を行う(ステップS23)。これらの一連の処理を繰り返す。
次に、図12(b)の符号設定タスクを説明する。まず、所要の初期設定(ステップS31)を行った後、設定用受光部23からの出力信号PdS1、PdS2を読み込み、それら出力信号PdS1、PdS2に基づく値群を取り出す(ステップS32)。そして出力信号PdS1、PdS2のいずれか一方が所定のスレッシュを越えているか否かを判定する(ステップS33)。
そして、出力信号PdS1、PdS2のいずれか一方がスレッシュを越えていると判定した場合(ステップS33でYes)には、符号設定の開始であると判断して、スレッシュを越えている出力信号を検出符号として仮決定(ステップS34)し、CPU31内に設けられた3秒タイマーをスタートする(ステップS35)。次に、再度設定用受光部23からの出力信号を取り出し(ステップS36)、その出力信号が所定のスレッシュを越えているか否かを判定する(ステップS37)。
出力信号がスレッシュを越えていると判定した場合(ステップS37でYes)には、さらにその出力信号が、ステップS24で仮決定した検出符号と同じか否か判断し(ステップS38)、同じである場合は(ステップS38でYes)、タイマーリセットを行い(ステップS39)、自律走行用受光部22L、22C、22Rのフィルタ設定手段42cに復調パラメータ(図11のa〜g参照)を設定する(ステップS40)。
一方、出力信号がスレッシュを越えていないと判定した場合(ステップS37でNo)、あるいは、出力信号がスレッシュを越えていても、仮決定された検出符号と一致しない場合(ステップS38でNo)、ステップS41で3秒タイマーにより3秒が経過したか否か、すなわち、タイムアップしたか否かを判断し、タイムアップしていない場合(ステップS41でNo)は、再度ステップS26からの処理を繰り返す。また、タイムアップした場合(ステップS41でYes)は、3秒タイマーをリセットし(ステップS42)、ステップS32からの処理に戻る。また、ステップS33において出力信号がスレッシュを越えていないと判定した場合(ステップS33でNo)も、ステップS32からの処理に戻る。
このように、本実施形態では、設定用受光部23を備え、この設定用受光部23で遠隔制御装置4〜6の何れかからの光ビームを受光することにより、光ビームを発射した遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定するので、予め受光していない情報で変調された輝度領域を検知しても遠隔制御されなくなる。したがって、複数の遠隔操作対象物を遠隔操作する場合の混乱対策を講じることができる。
図13は、ロボットや自動車等の操作対象を複数の遠隔制御装置で遠隔操作する場合の一例を示す図である。この図に示すように、操作者49、50は、それぞれ遠隔制御装置51、52を持ちながら、複数の操作対象の内の特定の操作対象をコントロールしている。
たとえば、一の操作者49がロボット53を操作し、二の操作者50が模型自動車54を操作する場合は、事前に一の操作者49の遠隔制御装置51で特定のパルス系列(たとえば、第1パルス系列)を選択した上、その遠隔制御装置51からの光ビーム(第1パルス系列で変調された光ビーム)をロボット53の設定用受光部23に照射して遠隔制御装置51とロボット53との組み合わせを設定しておけばよい。
同様に、二の操作者50の遠隔制御装置52で特定のパルス系列(たとえば、第2パルス系列)を選択した上、その遠隔制御装置52からの光ビーム(第2パルス系列で変調された光ビーム)を模型自動車54の設定用受光部23に照射して遠隔制御装置52と模型自動車54との組み合わせを設定しておけばよい。
このようにしておくと、それ以降、ロボット53は遠隔制御装置51からの光ビーム(第1パルス系列で変調された光ビーム)にのみ反応するようになり、他の光ビーム、たとえば、遠隔制御装置52からの光ビーム(第2パルス系列で変調された光ビーム)には反応しなくなる。
同様に、模型自動車54は遠隔制御装置52からの光ビーム(第2パルス系列で変調された光ビーム)にのみ反応するようになり、他の光ビーム、たとえば、遠隔制御装置51からの光ビーム(第1パルス系列で変調された光ビーム)には反応しなくなる。
したがって、遠隔制御装置と操作対象との組み合わせを常に適切に維持し続けることができ、複数の操作対象を遠隔制御装置でコントロールする場合の冒頭で述べた“混乱”を回避することができる。
なお、以上の実施形態では、相互に相関度の低い符号パターン(第1〜第nパルス系列)を用いたが、本発明の本質は、任意の時点で、任意の制御光源が、遠隔から照射操作だけで、対象ロボットの受信パラメータを変更できることなので、第1実施形態で変調する拡散符号の割付としていたものを、周波数の割付として、コマンド割付およびセットわけを行う構成としてもよい。
この場合は、相関度出力にあたるものは、照射光の変調周波数を検出する処理ブロックとなり、各受光信号処理部の出力は、それに基づいてパラメータ設定された狭帯域のバンドパスフィルタの振幅強度となる。
または、フォトダイオードを複数もち、それらのフォトダイオードを色フィルタで分けるようにしてもよい。通常の遠隔制御装置操作の色を赤、設定用の色を緑などにすればよい。
このようにすると、設定用受光部23への直接照射ではなく、通常の検出範囲に設定用の色の変調信号を照射するだけで、所望の組み合わせ設定を行うことが可能になり、設定用受光部23を不要にすることができる。
図14は、ロボット7の変形例を示す図である。上記の実施形態のロボット7と、この変形例のロボット7´との相違は、受光ユニット17の両側面と後面にも受光センサ55〜57を備えた点にある。これらの受光センサ55〜57は、次に説明する固定光源に対応するためのものである。
図15は、ロボット7´の制御環境を示す図である。この図において、複数のロボット7´は、周囲を壁58〜61で囲まれたエリア62の中を自律的に移動するようになっている。壁58〜61には、それぞれ符号コマンド用の光源63〜66が取り付けられており、たとえば、複数のロボット7´の前方に位置する壁61に取り付けられた光源66は、「前進」コマンドのパルス系列で点滅しているものとする。
このような場合、各ロボット7´は各自の場所から自律的に光源66に向かって前進する。光源66は、各ロボット7´が近接すると、自動的にロボット7´の受光センサ55〜57の感知エリアからはずれように設置されており、光源66に十分近づくと各ロボット7´はその場で停止する。
ここで、各ロボット7´を、たとえば、光源63の方向に一斉に移動させたい場合には、エリア62の上部から当てた照明67の符号コマンドを切り替える。このようにすると、各ロボット7´は、一斉に光源63に向けて自律走行する。
これによれば、ロボット7´に複雑な座標移動プログラムを組んだり、周囲の誘導光源の動的制御を行うことなく、上部から照らす照明67などに重畳する信号を制御するだけで、非常に簡便な構成で複数のロボット7´の誘導が可能になる。
なお、上記の各実施形態では、複数のフォトダイオードにより、各ロボット自身で誘導光検出−コマンド判定していたため、変調が同一のものだと、ひとつのフォトダイオードの検出領域が広いために干渉してしまう問題があり、相互の光源は変調レベルで相互の干渉がおきないように設定する必要がある。
しかし、フォトダイオードの代わりに、CCD/CMOSなどの2次元センサーを用いれば、これらの2次元センサーの空間弁別性が高いため、各ビームスポットのデータをそれぞれ弁別、復号した上で、どの検出光源領域に従えばよいかを決定することができる。
図16は、フォトダイオードの代わりに、CCD/CMOSなどの2次元センサを用いたロボット68、69を示す図である。この図において、ロボット68、69の受光ユニット17の前面には、前記の実施形態のフォトダイオードの代わりに、CCD/CMOSなどの2次元センサ70、71が設けられている。
操作者72、73が所持する遠隔制御装置74、75の光源は同一の変調、位相を用いて、内容が異なるデータパケットを送出するようにしている。あらかじめ、設定用受光手段に「前進」データパケットを照射して、対象光源を検出させるのは、前記の実施形態と同様である。
図17は、データパケットの一例を示す図である。ここで、ロボット68では、2次元センサ70の取得画像の時系列を処理して、データ複合とその位置が結果が得られていく。パケットのスタート位置の時間的なタイミングは任意にずれるが説明の簡略化のため省略する。この結果によると、ロボット68は遠隔制御装置74(の光源2)で制御される設定とされるので、データパケットの光源1の検出結果は無視されて、光源2の照射位置に着目する。したがって、位置としてL(左)領域にデータパケットが検出されていて、「後退」コマンドであるので、ロボット68は、光源2が後退しながら中央領域で検出となるよう、旋回しながら、光源2のスポットから後退動作をすることになる。
このように、フォトダイオードの代わりに、CCD/CMOSなどの2次元センサ70、71を用いれば、これらの2次元センサ70、71の空間弁別性がフォトダイオードに比べて高いため、各ビームスポットのデータ弁別性能をより一層向上することができ、複数の操作対象が混在する環境における遠隔制御装置と操作対象との組み合わせの混乱問題を回避できる。
4 遠隔制御装置
4c ID設定スイッチ(情報設定手段)
4g 発光部(発射手段)
4q ドライバ部(制御手段)
5 遠隔制御装置
6 遠隔制御装置
7 ロボット(被遠隔制御装置)
8 ロボット(被遠隔制御装置)
9 ロボット(被遠隔制御装置)
13 輝度領域
14 輝度領域
22C 自律走行用受光部(光検知手段、光検知部)
22L 自律走行用受光部(光検知手段、光検知部)
22R 自律走行用受光部(光検知手段、光検知部)
23 設定用受光部(受光手段)
31 CPU(情報取得手段、設定手段)
42c フィルタ設定手段(設定手段)
43 フォトダイオード(受光手段)
48 符号設定判定部(情報取得手段)
4c ID設定スイッチ(情報設定手段)
4g 発光部(発射手段)
4q ドライバ部(制御手段)
5 遠隔制御装置
6 遠隔制御装置
7 ロボット(被遠隔制御装置)
8 ロボット(被遠隔制御装置)
9 ロボット(被遠隔制御装置)
13 輝度領域
14 輝度領域
22C 自律走行用受光部(光検知手段、光検知部)
22L 自律走行用受光部(光検知手段、光検知部)
22R 自律走行用受光部(光検知手段、光検知部)
23 設定用受光部(受光手段)
31 CPU(情報取得手段、設定手段)
42c フィルタ設定手段(設定手段)
43 フォトダイオード(受光手段)
48 符号設定判定部(情報取得手段)
Claims (6)
- 光ビームを発射する発射手段を備えた遠隔制御装置と、光検知手段を備え、前記発射手段より発射された光ビームにより形成された輝度領域が前記光検知手段により検知されると、その検知状態に基づいて動作制御される被遠隔制御装置とからなる遠隔制御システムにおいて、
前記遠隔制御装置は、
被遠隔制御装置を特定するための情報を任意に設定する情報設定手段と、
この情報設定手段によって任意に設定された情報に基づいて変調された光ビームを発射するよう前記発射手段を制御する制御手段とを更に備え、
前記被遠隔制御装置は、
前記制御手段により制御され発射された光ビームを受光する受光手段と、
この受光手段によって受光された光ビームを復調して前記情報を取得する情報取得手段と、
この情報取得手段によって前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定手段と
を備えることを特徴とする遠隔制御システム。 - 前記被遠隔制御装置を特定するための情報とは、夫々異なるパターンで形成されたパルス系列であることを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御システム。
- 光検知手段を備え、この光検知手段により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御される被遠隔制御装置であって、
外部から前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光手段と、
この受光手段によって受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得手段と、
この情報取得手段によって前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定手段と
を備えることを特徴とする被遠隔制御装置。 - 前記遠隔制御装置を特定するための情報とは、夫々異なるパターンで形成されたパルス系列であることを特徴とする請求項3に記載の被遠隔制御装置。
- 光検知部を備え、この光検知部により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御される被遠隔制御装置の設定方法であって、
外部から前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光ステップと、
この受光ステップにて受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得ステップと、
この情報取得ステップにて前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定ステップと
からなることを特徴とする設定方法。 - 光検知部により輝度領域が検知されると、その検知状態に基づいて制御されるコンピュータを、
前記輝度領域を形成する光ビームを受光する受光手段、
この受光手段によって受光された光ビームを復調し、遠隔制御装置を特定するための情報を取得する情報取得手段、
この情報取得手段によって前記情報が取得されると、前記遠隔制御装置を被遠隔操作対象として設定する設定手段
として機能させる設定プログラム。
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JP2009012668A (ja) * | 2007-07-06 | 2009-01-22 | Sharp Corp | コントローラおよびそれを用いた移動ロボットシステム |
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