JP2007147546A - ペブルベッド燃料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 単純な球形の型窪を有するモールドを用いて黒鉛マトリックス密度や微小粒子の分布が均一である良質のペブルベッド燃料を製造すること。
【解決手段】 オーバーコート粒子と黒鉛マトリックスとの混合物Mが充填される型窪10Cを有する弾性のモールド10を加圧してペブルベッド燃料を製造するが、モールド10は、球形の型窪10Cと正六面の外表面10Sを有し、このモールド10の外表面10Sの一部である複数の外表面10S1と10S2、10S3と10S4、10S5と10S6を順次加圧しつつすべての外表面を加圧、圧縮してペブルベッド燃料を製造する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、高温ガス炉用ペブルベッド燃料の製造方法に関し、特にオーバーコート粒子と黒鉛マトリックスとの混合物を圧縮する工程を改良したペブルベッド燃料の製造方法に関するものである。
高温ガス炉燃料は、一般に、直径が0.5〜1.0mmの被覆燃料粒子、これらの集団である燃料要素及び燃料体から構成されている。被覆燃料粒子は、直径が0.2〜0.6mmの燃料核に低密度炭素、高密度等方性炭素、炭化ケイ素等を多重被覆して形成された微小粒子であり、燃料要素は、これらの被覆粒子集団を黒鉛粉末と焼結材を含む黒鉛マトリックスにより固めて形成され、ペブルベッド燃料は、燃料要素そのものが燃料体としての機能を有している。
ペプルベッド燃料の直径は、約60mmであるが、被覆粒子は、直径が50mmの黒鉛マトリックスに分散して配置されており、ペブルベッド燃料の外周部は、被覆燃料粒子を充填していない厚さ5mmの無燃料領域である。
ペブルベッド燃料は、一般に、次のような工程で製造される。
(1)燃料核に低密度炭素層、高密度等方性炭素層、炭化ケイ素層等を多重に被覆して被覆燃料粒子を形成し、これに黒鉛粉末を被覆してオーバーコート粒子を形成する。
(2)黒鉛マトリックス(黒鉛粉末と粘結剤との混合物)とオーバーコート粒子とを混合した状態でシリコンゴム製の弾性モールド内部に充填した後に、モールドを圧縮成形してコアを形成する。
(3)このコアに無燃料領域を付着させた状態でシリコンゴム製のモールドに充填し、このモールドを圧縮成形してグリーンペブルベッド燃料を形成する。
(4)最後に、このグリーンペブルベッド燃料の表面を研削した後、熱処理してペブルベッド燃料とする。
このペブルベッド燃料を高温ガス炉に装荷して燃焼させる場合に、微小粒子が偏在して分布していると、局所的な温度上昇が生ずるために、所定の性能を満足することができないし、ペブルベッド燃料の黒鉛マトリックス密度に偏りがあると、燃料要素自体の機械的強度が低下するので、黒鉛マトリックス密度や微小粒子の分布は均一であることが望ましい。
従来技術のペブルベッド燃料の製造方法では、図6に示すように、円柱状のゴム製モールド10Aが用いられ、黒鉛マトリックスとオーバーコート粒子の混合物Mをこの円柱状のゴム製モールド10A内に充填した後、この円柱形状のゴム製モールド10Aを金属製の筒40に入れてモールド10Aが水平な半径方向に変形するのを拘束した状態で図示しないダイス内に装填し上下から図示しないパンチによって等方圧加圧してペブルベッド燃料を製造している。この等方圧加圧は、冷間又は熱間のいずれかで行われる。
しかし、この従来技術の製造方法は、次のような問題点がある。
(1)モールドは、上下のみから圧縮するので、縦方向の圧下率が大きくなる傾向にあり、予めモールド内の球状型窪を縦方向に長く伸ばしたものにする必要があるため、モールドは、これに対応するように設計する必要があり、設計が面倒である。
(2)理想的な等方圧加圧法は、湿式冷間等方圧加圧法であるが、この方法は、ゴム製モールドを液体中に浸漬する必要があるため、プレスから取り出し後に、ゴム製モールドの外表面に付着した液体が製品に付着しないように処理しなければならないが、その処理が困難である。
本発明が解決しようとする課題は、単純な球形の型窪を有するモールドを用いて黒鉛マトリックス密度や微小粒子の分布が均一である良質のペブルベッド燃料を面倒な処理を必要とすることなく製造することができる方法を提供することにある。
本発明の課題解決手段は、オーバーコート粒子と黒鉛マトリックスが充填される型窪を有する弾性のモールドを加圧してペブルベッド燃料を製造する方法において、モールドは、球形の型窪と正六面の外表面を有し、このモールドの複数の外表面毎に順次加圧しつつすべての外表面を加圧し圧縮することを特徴とするペブルベッド燃料の製造方法を提供することにある。
本発明の課題解決手段において、モールドの加圧を圧下率が次第に大きくなるように段階的に行い、またモールドは、プレス内で向きを変えつつ外表面を順次加圧するのが好ましく、モールドは、2組の相対する外表面を複数の方向から同時に加圧することができる。更に、モールドの外表面の隅部が面取りされていてもよい。
このように、モールドを複数の方向から順次加圧、圧縮すると、すべての方向の圧下率がほぼ等しくなるので、球形の型窪でも均一な黒鉛マトリックス密度と微小粒子の均一な分布を得ることができ、従ってモールドの型窪の設計が容易となり、種々の寸法の製品を容易に得ることができる。
また、モールドを液体中に浸漬する必要がなく、理想に近い等方的な圧縮成形を行うことができ、液体が製品に付着することがないように処理する必要がなく作業性が向上する。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1に示すように、本発明に係わるペブルベッド燃料の製造方法は、オーバーコート粒子と黒鉛マトリックスとの混合物Mが充填される型窪10Cを有するシリコンゴムの如き弾性材料から作られたモールド10をダイス20内でパンチ30U、30Dによって加圧してペブルベッド燃料を製造することにある。
本発明に用いられるモールド10は、図2に示すように、球形の型窪10Cと正六面の外表面10Sとを有し、本発明は、このモールド10の外表面10Sの一部である複数の外表面を加圧位置に向けて順次位置換えしつつ加圧、圧縮し、この操作を繰り返してすべての外表面を加圧、圧縮することにある。図示の形態では、モールド10は、上下の2つのモールド半部10U、10Dから成っており、これらのモールド半部10U、10Dは、上下対称的に同じ寸法を有して形成され、これらの上下のモールド半部10U、10Dが接合されて正六面の外表面10Sを形成している。従って、モールド10の型窪10Cも各モールド半部10U、10D毎にそれぞれ符号10CU、10CDで示すように半球状に形成されている。
このように、モールド10は、正六面の外表面を有すると、モールド10を2つの相対する外表面を加圧方向に向けて位置させることができ、従って2つの相対する外表面の3つの組み合わせを有する。
本発明の方法を図1及び図3を参照して詳細に述べると、先ず、図2のモールド半部10U、10Dの型窪10CU、10CDの間に、オーバーコート粒子と黒鉛マトリックスとの混合物Mを装填した後、これらのモールド半部10U、10Dを接合して閉じ、このモールド10を正六面の1つの相対する外表面10S1、10S2(図3参照)が加圧面となるようにダイス20にセットする。
次いで、ダイス20に上下のパンチ30U、30Dを上下から挿入してモールド10の相対する外表面10S1、10S2を加圧する。その後、パンチ30U、30Dを抜き出して次の相対する外表面10S3、10S4が加圧面となるようにダイス20内に向きを換えてセットし、これらの外表面10S3、10S4をパンチ30U、30Dで加圧し、またパンチ30U、30Dを抜き出して最後の相対する外表面10S5、10S6が加圧面となるようにダイス20内に向きを換えてセットし、これらの外表面10S5、10S6をパンチ30U、30Dで加圧する。
上記のように、モールド10を位置換えしつつモールド10の相対する2つの外表面10Sを順次加圧面として加圧、圧縮する操作を最終的な所望の圧下率になるまで所定の回数繰り返す。混合物Mが所定の圧下率まで加圧された後、モールド10をダイス20から取り出し、モールド10から成型品(ペブルベッド型燃料となるべき球形燃料)を取り出す。
この段階的な加圧によるモールド10の圧下率は、徐々に大きくしていくことが望ましい。即ち、初期の加圧・圧縮工程では規定寸法の成型体を得るために必要となる圧下率の数分の一程度とし、加圧・圧縮を繰り返すにつれて圧下率が徐々に大きくなり、最終の加圧・圧縮工程で所望の圧下率で圧縮する。このようにすると、加圧・圧縮後の成型品のマトリックス密度等の偏りを最小限にすることができる。
図6を参照して既に述べたように、従来技術の製造方法では、1つの相対する外表面に対してのみ上下の一方向から加圧、圧縮するので、ゴム製のモールド10Aを用いて等方的に圧縮しようとしても、ダイス又はパンチとモールドとの摩擦によってモールド10Aの変形が拘束される。即ち、圧縮初期に最初にモールドがダイスと接触した箇所で摩擦によってモールドの変形が拘束されたり、パンチと接触しているモールド外表面の変形量は、他のモールド外表面に比較して小さくなったりすることが予想される。その結果、成型品のマトリックス密度に偏りが生じる。これに対して、本発明のように、モールド10に向きを異にして多方向から繰り返し圧縮荷重を負荷すると、従来の一方向から加圧、圧縮した場合に見られるマトリックス密度の偏りが相殺され、マトリックス密度が均一である良質の成型品を得ることができる。
上記の実施の形態では、一回の加圧・圧縮が垂直な一方向のみであったが、図4に示すように、ダイス20が左右の水平方向のパンチ30L、30Rが挿入することができる開口を有し、2組の相対する外表面10S1乃至10S4にパンチ30U、30D、30L、30Rを同時に加圧する多方向の加圧、圧縮を施してもよく、また図5に示すように、モールド10の正六面の外表面の隅部を面取りして、図4と同様に多方向の加圧、圧縮を行ってもよい。
また、上記実施の形態では、圧縮成型すべき材料として黒鉛マトリックスとオーバーコート粒子の混合物を用いたが、オーバーコート粒子の表面に黒鉛粉末を付着したものを用いてもよい。
本発明の一実施例を述べると、モールド10は、図2に示すように、シリコンゴム製の正六面体とし、この正六面体の一辺の長さは、130mm、型窪の内径は、80mmとした。パンチ30U、30Dは、鋼製で一辺が130mmの正方形断面形状を有し、汎用プレスに取り付けた。ダイス20も鋼製であり、同様に一辺が130mmの正方形水平断面を有し、汎用プレスに取り付けた。
モールド10の内部に黒鉛粉末とオーバーコート粒子との混合物Mを充填した後、このモールド10をダイス20に収納し、パンチ30U、30Dにより上下方向からモールド10を加圧、圧縮した。一回圧縮する毎に、モールド10をダイス20から取り出し、モールド10を順次2つの異なる方向に90度回転させて再びダイス20内に収納し、同様の操作でモールド10を加圧、圧縮した。モールド10の圧下率は、各操作毎に2%づつ増カロさせた。このようにして得られた成型品(球形燃料)は、均一なマトリックス密度を有していたことが確認された。なお、モールド10、ダイス20、パンチ30U、30Dの寸法は、成型すべきペブルベッド型燃料の外径に応じて変更されるのはもちろんである。
本発明によれば、ペブルベッド燃料の材料を充填したモールドを複数の異なる方向から順次加圧、圧縮するので、すべての方向の圧下率がほぼ等しくなるように成型することができ、従って球形の型窪でも均一な黒鉛マトリックス密度と微小粒子の均一な分布を得ることができ、モールドの型窪の設計が容易となり、種々の寸法の製品を容易に得ることができ、産業上の利用性が向上する。
本発明のペブルベッド燃料の製造方法の1つの実施の形態を説明するためこの方法に用いられるモールドとダイスとパンチとの関係を示す垂直断面図である。 本発明の方法に用いられるモールドの分解斜視図である。 本発明の方法によってモールドを加圧、圧縮する順序を説明するためのモールドの斜視図である。 本発明の方法の他の実施の形態を説明するためのモールドとダイスとパンチとの関係を示す垂直断面図である。 本発明の方法の更に他の実施の形態を説明するためのモールドとダイスとパンチとの関係を示す垂直断面図である。 従来技術によるペブルベッド燃料の製造方法を説明するためこの方法に用いられるモールドの斜視図である。
符号の説明
10、10A モールド
10S、10S1乃至10S6 外表面
10U、10D モールド半部
10C 型窪
10CU、10CD 型窪半部
20 ダイス
30U、30D、30L、30R パンチ
M 黒鉛マトリックスとオーバーコート粒子との混合物






































Claims (5)

  1. オーバーコート粒子と黒鉛マトリックスが充填される型窪を有する弾性のモールドを加圧してペブルベッド燃料を製造する方法において、前記モールドは、球形の型窪と正六面の外表面を有し、前記モールドの複数の外表面毎に順次加圧しつつすべての外表面を加圧、圧縮することを特徴とするペブルベッド燃料の製造方法。
  2. 請求項1に記載のペブルベッド燃料の製造方法であって、前記モールドの加圧を圧下率が次第に大きくなるように段階的に行うことを特徴とするペブルベッド燃料の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のペブルベッド燃料の製造方法であって、前記モールドは、プレス内で向きを変えつつ外表面を順次加圧することを特徴とするペブルベッド燃料の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のペブルベッド燃料の製造方法であって、前記モールドは、2組の相対する複数の外表面を同時に加圧することを特徴とするペブルベッド燃料の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のペブルベッド燃料の製造方法であって、前記モールドの外表面の隅部が面取りされていることを特徴とするペブルベッド燃料の製造方法。





























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* Cited by examiner, † Cited by third party
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