JP2007147375A - 実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法と余寿命予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】任意の応力分布下にある構造材料の腐食環境との接触表面における微小な表面き裂の発生、合体、進展により検出可能な寸法の表面き裂が形成されるまでの過程とその後のき裂の進展と合体により大き裂が形成されるまでの過程を予測する方法と、予測結果に基づいて余寿命を予測する方法を提供しようとする。【解決手段】構造材料の実験室加速試験および実構造物環境における小型試験片において微小な表面き裂の発生、合体、進展挙動に関するデータを取得する。これらのデータをインプットデータとして、実構造物における応力腐蝕割れたる、微小な表面き裂の発生を確率過程として、合体および進展を確定過程としてコンピュータシミュレーションを行う。シミュレーションの結果、限界表面き裂に達するまでのSCC寿命が統計量として得られるので、実構造物の現時点からの余寿命を予測する。【選択図】図2

Description

本発明は、発電プラントなどの構造材料における応力腐食割れによる微小な表面き裂の発生、合体、進展の挙動を予測する実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法とその実構造物における寿命または現時点からの余寿命(以下「余寿命」という)を予測する余寿命予測方法に関する。
発電プラントなどの機器および構造物(以下「実構造物」ともいう)の損傷、破壊は人命にかかわるとともに多大な経済的損失を招くことから、これらの実構造物の健全性、信頼性の確保は重要な課題である。また、既に長年使用してきた構造物をさらに有効に利用するため、安全に長い期間使用する技術の開発が望まれている。
経年劣化という観点からは、低応力、腐食環境下で徐々に進行する応力腐食割れ(以下「SCC」とも言う)対策が特に重要となっている。SCCは材料、環境および応力の組合せにより生ずる極めて複雑な破壊現象であり、その挙動を学術的に解明するための詳細な研究と実際の発電プラントなどの構造材料のSCC挙動、余寿命を予測する手法の開発が行われている。SCC挙動を解明するための研究は、実験室レベルで、加速環境下で試験を行い、腐食ピットの発生、ピットからの微小な表面き裂の発生、微小な表面き裂の合体による進展性表面き裂の形成、表面き裂の進展と合体による大き裂の形成などの挙動が明らかにされている。
一方、発電プラントなどの構造物におけるSCC挙動と余寿命評価は、特許文献1にあるように、機器および実構造物中に負荷をかけた金属試験片を入れ、実構造物環境でのSCC挙動を採取するとともに、実験室レベルでの加速試験を行い、実構造物環境でのSCCデータと加速試験データから、実構造物環境での未来のSCC挙動を予測し、余寿命を評価する方法が提案されている。また、特許文献2にあるように、実構造物中から材料を切出し、SCC感受性について試験を行い、余寿命を評価する方法が提案されている。これらに開示されているように、実際の構造物のSCC挙動、余寿命評価法として既に提案されている方法は、比較的大きくなった検出可能なき裂(数mm〜10数mm)を捉え、その後のき裂進展挙動により余寿命を予測しようとするものであり、微小な表面き裂の発生および合体により検出可能な表面き裂が形成されるまでの過程は考慮されていない。
非特許文献1に見るように、SCCにおける微小なき裂の発生から合体、進展により大き裂にいたる確率過程を考慮したシミュレーション方法が提案されている。しかし、これは、一様応力場の貫通き裂を仮定し、合体条件、進展条件も特定の実験結果に基づいており、実験室レベルの実験の再現シミュレーションにとどまっており、実構造物環境のSCC挙動を予測できるまでには至っていない。
上記のように、これまでの実際の機器および構造物におけるSCC挙動、余寿命の予測方法においては、SCCにおける検出可能な表面き裂が形成されるまでの微小な表面き裂の発生、合体および進展の過程が考慮されておらず、合理性、信頼性が充分ではなく、そのために過度に安全側の評価とせざるを得なかった。また、微小なき裂の発生過程、合体、進展を考慮したシミュレーションによる方法も、実際の機器および構造物に適用し得るようには至っていない。
特開平05−297181公報 特開平11−173970公報 (Y.-Z. Wang et al., The behaviour of multiple stress corrosion cracks in a Mn-Cr and Ni-Cr-M0-V steel: III Monte Carlo simulation, Corrosion Science, Vol. 37, No. 11 (1995), pp. 1705-1720)
本発明は、実際の機器及び構造物に見られるような任意の応力分布下にある構造材料の腐食環境との接触表面における微小な表面き裂の発生、合体、進展により検出可能な寸法の表面き裂が形成されるまでの過程とその後の表面き裂進展と合体により大き裂が形成されるまでの過程をコンピュータシミュレーションにより予測する方法と予測結果に基づいて余寿命を予測する方法を提供しようとするものである。
すなわち請求項1記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、実構造物環境における表面き裂の発生を確率過程とし、表面き裂の合体および進展を確定過程とするアルゴリズムによって、実構造物の応力腐食割れの挙動を予測することを特徴として成るものである。
また請求項2記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、前記要件に加え、前記アルゴリズムでは、実構造物の解析領域における応力分布を考慮することを特徴として成るものである。
また請求項3記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、前記要件に加え、前記アルゴリズムでは、表面き裂の発生時間は、表面き裂発生可能数と累積確率分布に基づく乱数により割り当てることを特徴として成るものである。
また請求項4記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項3の要件に加え、前記累積確率分布は、加速試験や実構造物環境下の試験片により得られたデータに基づき得ることを特徴として成るものである。
また請求項5記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、前記要件に加え、前記アルゴリズムでは、表面き裂の発生位置は一様分布の乱数により、表面き裂長さは正規分布の乱数によるものとしたことを特徴として成るものである。
また請求項6記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、前記要件に加え、前記アルゴリズムでは、近隣の表面き裂との先端間距離が臨界距離内となった表面き裂同士は合体させるとしたことを特徴として成るものである。
また請求項7記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項6の要件に加え、前記臨界距離は、合体領域半径rcとして、
(但し、KIA は各き裂の表面部での応力拡大係数、σysは材料の降伏応力、kは材料および環境に依存する係数である。)
で与えられることを特徴として成るものである。
また請求項8記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項6の要件に加え、前記合体後の表面き裂のき裂長さは合体前の2個の表面き裂を含んだ長さ寸法とし、き裂深さは2個の表面き裂の内のより深い方の深さ寸法としたことを特徴として成るものである。
また請求項9記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項6乃至8の要件に加え、幾つかの表面き裂同士が臨界距離内にあるとき、多数の表面き裂間の相互作用を考慮した表面き裂同士が合体するとしたことを特徴として成るものである。
また請求項10記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項9の要件に加え、前記多数の表面き裂間の相互作用を考慮した表面き裂同士とは、表面き裂同士が合体する条件を満たす全ての表面き裂の組について先端間距離dを計算し、これを該当する表面き裂同士でつくる合体領域半径rcで除した値d/rcが最も小さい表面き裂同士であるとしたことを特徴として成るものである。
また請求項11記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項5乃至10の要件に加え、表面き裂の発生、合体、及び進展により応力解放された応力解放域内には、次の表面き裂の発生、合体、又は進展はできないとしたことを特徴として成るものである。
また請求項12記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項11の要件に加え、前記応力解放域内とは、当該表面き裂のき裂長さを直径とする円内としたことを特徴として成るものである。
また請求項13記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項5乃至12の要件に加え、前記アルゴリズムでは、表面き裂の合体および進展は、直前の表面き裂発生からの時間Δtの間において、当該時間Δtを細分割して逐次進行させるとしたことを特徴として成るものである。
また請求項14記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項1の要件に加え、前記アルゴリズムは、実構造物の解析領域と該解析領域における応力分布を設定するステップ1と、各応力領域および全領域における発生可能表面き裂数を得るステップ2と、各応力領域で発生可能な全ての表面き裂数に対する発生時間を各応力領域の累積確率分布に基づく乱数により割り当てて全領域で発生可能な全ての表面き裂数の発生時間を決定するステップ3と、表面き裂の発生は割り当てられた表面き裂発生時間の短いものから順に該当の応力領域に生じ得るとして、そのき裂発生位置はその応力領域内の一様乱数により、そのき裂長さは正規乱数により割り当てるステップ4と、き裂発生位置が応力解放域内であった場合には、当該表面き裂は発生できなかったものとして、次の表面き裂発生について前記ステップ4へ戻るステップ5と、き裂発生位置が応力解放域外であった場所には、当該表面き裂を発生させるとともに直前の表面き裂発生からの時間Δtを計算するステップ6と、応力解放域外において近隣の表面き裂との先端間距離が臨界距離内になったときは、近隣の表面き裂と合体させるステップ7と、合体が進んで進展性表面き裂長さに達した表面き裂を表面き裂進展特性に基づいて時間Δtに相当する分だけ進展させるステップ8とを有していることを特徴として成るものである。
また請求項15記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法は、請求項14の要件に加え、前記ステップ7の合体では、合体後の表面き裂のき裂長さは合体前の2個の表面き裂を含んだ長さ寸法とし、き裂深さは2個の表面き裂の内のより深い方の深さ寸法としたことを特徴として成るものである。
また請求項16の余寿命予測方法は、請求項1乃至15記載の応力腐蝕割れ挙動予測方法を多数回繰り返して、その統計的特性から限界き裂長さに達するまでの余寿命を推定することを特徴として成るものである。
本発明によれば、発電プラントなどの腐食環境下にある実構造物の応力腐食割れ挙動および余寿命を、精度よく予測することができるのである。特に、請求項1記載の発明によれば、微小な表面き裂の発生段階からの挙動をよく予測することができる。
請求項2記載の発明によれば、実構造物の実際の応力分布を反映した挙動として予測することができる。
請求項3記載の発明によれば、微小な表面き裂の発生段階における発生時間を実際に沿う挙動として予測することができる。
請求項4記載の発明によれば、実構造物の構造材料、応力分布、環境の実体を反映した挙動として予測することができる。
請求項5記載の発明によれば、微小な表面き裂の発生段階におけるき裂の発生形状を実際に沿う挙動として予測することができる。
請求項6記載の発明によれば、表面き裂の合体条件を考慮した挙動として予測することができる。
請求項7記載の発明によれば、表面き裂の合体段階における合体を、実構造物の構造材料、応力分布、環境の実体を反映した挙動として予測することができる。
請求項8記載の発明によれば、表面き裂の合体段階における合体を、より実際に沿う挙動として予測することができる。特に、この発明によれば、貫通き裂を仮定した場合とは顕著に異なる挙動として予測することができる。
請求項9記載の発明によれば、表面き裂の合体段階における合体を、多数のき裂が近接する場合の挙動として予測することができる。
請求項10記載の発明によれば、表面き裂の合体段階における合体を、多数のき裂が近接する場合の挙動としてよりよく予測することができる。
請求項11記載の発明によれば、表面き裂の発生、合体、進展により当該き裂の近辺は応力解放されるということを考慮した挙動として予測することができる。
請求項12記載の発明によれば、表面き裂の発生、合体、進展により応力解放域を実際に即しつつ簡単に表現するので、応力解放を考慮した挙動を合理的な所要時間で予測することができる。
請求項13記載の発明によれば、表面き裂の合体および進展をより精度の高い挙動として予測することができる。
請求項14記載の発明によれば、実構造物における応力分布を反映するとともに表面き裂の発生、合体、進展の各過程を考慮した挙動として予測することができる。
請求項15記載の発明によれば、実構造物における応力分布を反映するとともに表面き裂の発生、合体、進展の各過程を考慮した挙動として予測するのであるが、表面き裂の合体段階における合体をより実際に沿う挙動として、貫通き裂を仮定した場合とは顕著に異なる挙動として予測することができる。
請求項16記載の発明によれば、実構造物における応力分布を反映するとともに表面き裂の発生、合体、進展の各過程を考慮した挙動として予測した結果並びにその統計学的な値として、より実際に即した余寿命を予測することができる。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法をも含むものである。
そこで、本発明のSCCに対する実構造物の余寿命予測方法の概略流れ図を、図1に示す。本発明余寿命予測方法では、まず、構造材料の実験室での加速試験および実構造物環境での小型試験片における微小な表面き裂の発生、合体、進展の挙動に関するデータを取得する。そして、これらのデータをインプットデータとして、実構造物におけるSCC表面き裂の発生、合体、進展の確率過程と確定過程を考慮したコンピュータシミュレーションを行う。このコンピュータシミュレーションには本発明実構造物の応力腐食割れ挙動予測方法を用いるが、本発明余寿命予測方法では、このコンピュータシミュレーションを何度か繰り返すことで、限界表面き裂に達するまでのSCC寿命が統計量として得られるので、実構造物の余寿命を予測できることとなる。
ここで、SCC環境にある構造材料では、まず、平滑表面に多数の非進展性の微小な表面き裂が発生し、近接して発生した他の微小表面き裂と合体する。そして、この合体した表面き裂がある臨界長さになると、以降は、定常的なき裂進展を開始する。この微小な表面き裂の発生過程は発生時間、発生位置、き裂長さに関して確率過程であり、き裂の合体および進展は確定過程であるから、SCC挙動の定量的評価には確率論的アプローチと確定論的アプローチの導入が必須である。故に、本発明実構造物の応力腐食割れ挙動予測方法は、微小な表面き裂の発生は、発生時間、発生位置、き裂長さの各確率過程に基づいてランダムに生じ、き裂の合体と進展は破壊力学の概念に基づいて確定的に起こるものとしたモンテカルロ法によるコンピュータシミュレーションであることに特徴がある。次に、そのコンピュータシミュレーションのアルゴリズムを、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
Step1:まず、解析すべき領域と該解析領域における応力分布を設定する。実構造物中の部材(構造材料)の受ける応力分布は、残留応力も含めて、本来は滑らかに変化するが、ここでは、説明を簡単にするため、例えば、図3に示すような階段状に変化する応力分布を考える。すなわち、各応力領域の面積をA1,・・・,Anとする。
Step2:発生する表面き裂は、表面長さ2a、深さb、アスペクト比b/a=αの半楕円表面き裂とし、き裂の表面寸法は結晶粒オーダーで、き裂は引張応力方向にほぼ垂直に発生すると考える。従って、図4に示すように、1結晶領域に1個の微小な表面き裂が発生可能となるので、各応力領域および全領域(解析領域)における発生可能表面き裂数は次の数式2と数式3により与えられる。
Step3:表面き裂の発生は時間tにおける表面き裂発生の累積確率分布Fi(t)により記述される。Fi(t)は応力に依存する関数であるので、図3の各応力領域の累積確率分布は異なる関数により記述されることとなる。各応力領域のNkmax個の表面き裂に対する発生時間が各応力領域の累積確率分布に基づく乱数により割り当てられ、Nmax個の表面き裂に対する発生時間が各決定される。
Step4:表面き裂の発生は、Step3により割り当てられた発生時間の短い表面き裂から順に生じ、また、その対応する応力領域内でのき裂発生位置(表面き裂中心のx,y座標)はその応力領域内の一様乱数により、さらに、き裂長さは正規乱数により決定される。
Step5:既に存在する表面き裂の上下は応力解放により表面き裂の発生しにくい場所となるので、表面き裂発生位置が図5(a)に示すような場所、すなわち応力解放域内となった場合には、新たな表面き裂は発生できないものとして、Step4に戻って、次の発生時間の表面き裂について、き裂発生位置、き裂長さに対する新しい乱数に基づく割り当てが行われる。なお、応力解放域は、例えば、き裂長さを直径とする円内などとして設定することができる。
Step6:表面き裂の発生が可能となった場合、直前のき裂発生時間からの間隔時間Δtが計算され、次のStep7およびStep8でΔt時間における表面き裂の合体および進展が計算されることとなる。
Step7:き裂の合体については、表面き裂の両先端に応力集中が起きることを考慮する。すなわち、表面き裂の先端に応力拡大係数によって記述される活性化領域を考慮し、1つの表面き裂の右側(左側)先端と他の表面き裂の左側(右側)先端が近づくと、表面き裂の合体が生ずるとする。ここで、図6に示すように、断面半楕円状となる表面き裂の応力拡大係数は、き裂の表面部、最深部において、次の数式4により各評価される。
但し、FA,FBは、修正係数でアスペクト比の関数であり、例えば、図7で与えられる。両表面き裂が合体するための表面き裂先端間の臨界距離は、両表面き裂の応力拡大係数により与えられる。例えば、図8に示すように、表面き裂先端の円形の活性化領域を考えると、Crack1の右側先端の円形領域にCrack2の左側先端が入った場合に合体が生じ、合体領域の臨界半径は次の数式1で表される。
ここで、KIAは各表面き裂の表面部での応力拡大係数、σysは材料の降伏応力、kは材料および環境に依存する係数であり、実験あるいは従来の文献等を考慮して求まる。
いくつかの表面き裂同士が上記の合体条件を満たす場合には、図9に示すように、条件を満たす全ての組について先端間距離dを計算し、これを該当する表面き裂同士でつくる合体領域半径rcで除した値d/rcが最も小さい表面き裂同士を合体させることとする。これにより、先端間距離が短くて大きな表面き裂同士であるほど合体しやすいことになる。
表面き裂の合体によりできる新たな表面き裂を図10に示す。合体によりできた表面き裂の表面寸法は合体前の2個の表面き裂を含んだ長さ、深さ寸法は2個の表面き裂の内より深い方の深さ寸法とした。したがって、表面き裂の合体によりアスペクト比b/aの小さい表面き裂になる。実は、この点が貫通き裂の場合と顕著に異なる。すなわち、アスペクト比が小さくなるということは、図7の曲線からも分かるように、き裂表面部での応力拡大係数KIAの修正係数であるところのFAが小さくなることを意味し、結果、貫通き裂の場合のシミュレーションのように、き裂が長くなればなるほど合体し易くなって、瞬く間にき裂が進展しまうという、現実とは掛け離れた挙動予測してしまうことを回避し、より現実に合致した挙動予測を行えるということに通ずるのである。
Step8:その後、合体により進展性表面き裂長さに達した表面き裂は、種々の文献等でも紹介されている通り、き裂進展特性(da/dt-KI関係)に基づいて定常進展を開始するので、進展性表面き裂長さに達した全ての表面き裂に対して、表面き裂の進展量が計算される。この際、表面き裂の表面方向での表面き裂進展量は前述した表面部での応力拡大係数KIA、深さ方向の表面き裂進展量は同じく最深部での応力拡大係数KIBを用いて計算される。
なお、Step7およびStep8において、表面き裂の合体と進展は既に存在する表面き裂による応力解放の影響を受けるので、図5(b)、(c)に示すように、応力解放域内にある表面き裂とは合体せず、その応力解放域の中へは進展しないものとした。また、Δt時間におけるき裂の合体と進展は、Δtをある時間間隔に細分割してStep7とStep8を繰返すことにより逐次進行するように計算するのが予測精度を上げる点で好ましいが、逆に、その分だけ余計に計算時間を要することとなるので、妥当な時間間隔に細分割してこれを行うのが良い。
Step9:図2に示したフローチャートでは、最大表面き裂長さが設定した限界表面き裂長さに達するまで、Step4からStep8が新しい表面き裂の発生に対して繰返されるものとしている。尤も、本発明実構造物の応力腐食割れ予測方法においては、必ずしも、最大表面き裂長さが設定した限界表面き裂長さに達するまで繰り返す必要はなく、求めている挙動が把握できればそれで良く、逆に、き裂の発生も、合体も、進展も、何れも進行しないデッドロックの時点まで繰り返しても良いものである。
Step10:最大表面き裂長さが設定した臨界長さに達すると、時間経過に対する表面き裂の分布、各表面き裂の表面寸法、深さ寸法を出力してシミュレーションを終了する。なお、同様にして、その他の挙動の情報を出力して良いこと勿論である。
一回のシミュレーションで求める挙動が把握できればそれで良いが、本シミュレーションを新たな乱数にて繰り返すことにより、設定されたSCC条件下でのSCC挙動の統計的特性を予測できることになる。例えば、15回のシミュレーションを行い、ある限界表面き裂長さを設定すると、図11に示すように、時間に対して限界表面き裂長さに達する事象(SCC寿命)の累積確率を確率紙にプロットすることにより、限界表面き裂長さに達するまでの余寿命を統計量として推定できることなる。
以上の通り、本発明実構造物の応力腐食割れ挙動予測方法は、微小な表面き裂の発生可能数を設定し、表面き裂発生時間に対して表面き裂発生の累積確率分布に基づく乱数を用いることを可能にしていること、シミュレーション領域内の応力分布を考慮していること、表面き裂の発生、合体、進展を考慮していることを特徴としており、これにより、実構造物における構造材料の実時間に対するSCC挙動のシミュレーションを可能にしている。
また、実構造物の応力腐食割れ挙動予測の結果に影響を及ぼす設定条件としては、表面き裂発生の累積確率分布、応力拡大係数の評価、表面き裂の合体条件、進展性表面き裂の臨界長さ、表面き裂の進展特性が考えられるが、この内、応力拡大係数の評価、表面き裂の合体条件、進展性表面き裂の臨界長さ、表面き裂の進展特性は公表されている多くの文献より利用できる。しかし、検出可能な表面き裂のデータは公表されているものの、結晶粒オーダーの微小な表面き裂発生の累積確率分布に関して利用できるデータは見当たらない。
そこで、微小な表面き裂発生の累積確率分布を決定するためには、実験室レベルの加速試験により、累積確率分布に及ぼす環境、応力の影響を明らかにし、実際の構造材料が受ける条件に対応する累積確率分布を推定する方法が考えられる。さらに、図12に示すような応力分布を段階的に変えることのできる小型の多段応力試験片1を、図13に示すような負荷装置に装着したものを多数、実構造物内に設置し、これをある時間経過後に取り出して、多段応力試験片1中に発生している微小な表面き裂数を計測することにより、図14に示すような確率紙にプロットすることで、実構造物環境における各応力下での累積確率分布を決定できる。勿論、このようなデータを既に保有するときには、それを利用すればよい。なお、負荷装置において、2は多段応力試験片1の下端を固定するとともにジグ本体を構成する負荷ジグ台座(下)、3はジグ本体を構成する負荷ジグ台座(上)、4は上下の台座を繋いでジグ本体を構成する支柱、5は多段応力試験片1の上端を固定して、これに負荷を加える負荷ボルト9に連結する連結具、6は負荷ボルト9および連結具5を介して多段応力試験片1に負荷を加える負荷バネ、7はバネ受け座、8は負荷ボルト9の締め付け長さを変えて負荷バネ6による多段応力試験片1への負荷を調節可能な負荷ナットである。
以下に、具体的な数値で行った本発明の実施例を図示に基づいて説明する。構造材料としては平均結晶粒径0.1mmのSUS304で、実験室レベルの定ひずみ曲げはり(CBB)による加速SCC試験を想定して、一様な引張応力(σ=437MPa)下の10mm×10mmの正方形領域に対して前述のアルゴリズムに基づくシミュレーションを行った。
図15は、微小き裂発生の累積確率分布で、次の数式5による指数分布を仮定している。
この例では、解析領域10mm×10mmで平均結晶面積0.01mm2なので、微小な表面き裂発生可能数は10000個となる。したがって、10000個の微小な表面き裂に対して各き裂発生時間をこの指数分布に従う乱数により割り当て、時間の短い表面き裂から発生させた。き裂発生位置(x,y)は、x,yのそれぞれに対して区間0〜10mmの一様乱数により、表面き裂長さ2aは、平均長さ0.1mm、標準偏差0.02mmの正規乱数により決定した。勿論、一様乱数や正規乱数によるのではなく、実際の現象に基づく確率分布に基づく乱数を用いても良いものである。表面き裂の合体条件は、数式1においてk=0.5とした。進展性表面き裂の臨界長さに対しては、SCC表面き裂進展の下限界値をKISCC=5MPa√mとし、この値を超えたとき進展し始めるものとした。また、表面き裂進展速度は、図16に示す表面き裂進展特性に従うものとし、このような条件の下で15回のシミュレーションを行った。
図17は、各経過時間における表面での表面き裂分布を示す。100時間を経過した時点では、表面き裂の合体はほとんどなく、微小な表面き裂が一様に分布しているだけである。300時間が経過すると、表面き裂数が増加し、表面き裂同士の合体やき裂進展によって大きく成長したき裂がいくつか観察できるようになる。500時間を経過すると、成長した表面き裂の数がさらに増え、その中でいくつかの表面き裂は5mmを越える大きさになっている様子がわかる。
図18は、表面き裂数と経過時間の関係を示したものである。図中には指数分布に基づいて計算される結果も示してある。表面き裂数は、表面き裂発生初期は発生した表面き裂数に等しく、指数分布による結果と一致しているが、時間の経過とともに、表面き裂の合体や、大きなき裂によるき裂発生不可能な領域が形成されるため、飽和する傾向にあるのがわかる。
図19は、最大表面き裂長さと経過時間の関係を示したものである。潜伏期間の後、微小な表面き裂の合体による進展性表面き裂の形成期間があり、KISCCに達した後は、表面き裂は進展と合体により徐々に成長している。表面き裂の成長には進展と合体が寄与しているので、単一表面き裂に対して進展速度から予測される結果より、速い速度で成長することがわかる。
図20は、最大表面き裂深さと経過時間の関係を示したものである。き裂深さ方向にはき裂の合体は生じないので、表面き裂最深部の応力拡大係数と表面き裂進展特性から評価され、結果のばらつきは、微小な表面き裂の合体による進展性表面き裂の形成期間のばらつきに依存している。
図21は、最大深さをもつ表面き裂のアスペクト比と経過時間の関係を示したものである。表面き裂のアスペクト比は、微小な表面き裂の発生段階での1から、時間の経過とともに表面き裂が大きくなるにしたがって、0.2〜0.4に低下する。これは実際に見られるSCC表面き裂の特徴をよく予測している。
図22は、SCC寿命を最大表面き裂長さ5mmとした場合と、最大表面き裂深さ1mmとした場合の2種類において、SCC寿命の累積確率を指数分布確率紙にプロットしたものである。これらのプロットが直線関係を示すことから、限界表面き裂長さに達するまでのSCC寿命F(t)も、指数分布によって表されることがわかる。
限界き裂長さを最大き裂長さ5mmとした場合
限界き裂深さを最大き裂深さ1mmとした場合
以上のシミュレーション結果は、図2に示したフローにおけるStep3以降のある一様応力下での領域について行ったものとなるが、これまでに実験あるいは実構造物において観察される応力腐蝕割れ挙動の特徴をよく再現している。したがって、実構造物における応力分布のある領域について行う場合には、同フローにおけるStep1とStep2を行った上で、上記を行えば、応力分布を考慮した応力腐蝕割れ挙動の特徴を再現することになる。つまり、本シミュレーションアルゴリズムによれば、実構造物における解析しようとする領域での構造材料に掛かる応力分布等の条件を入力データとして用いるならば、実構造物における応力腐蝕割れ挙動の予測、さらには、使用開始時からの寿命および既に使用中であれば現時点からの余寿命を予測できることは明らかである。
本発明のSCCに対する実構造物の余寿命予測方法の概略流れ図である。 本発明の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法を実施する際のコンピュータシミュレーションのフローチャートである。 応力分布を有する解析領域を模式的に示す説明図である。 微小表面き裂発生可能数について模式的に示す説明図である。 既存の表面き裂の影響である応力解放域に関し、(a)表面き裂発生に及ぼす影響、(b)表面き裂合体に及ぼす影響、(c)表面き裂進展に及ぼす影響につき、各模式的に示す説明図である。 表面き裂とその応力拡大係数について模式的に示す説明図である。 表面き裂における応力拡大係数の修正係数とアスペクト比の関係を示す特性図である。 2個の表面き裂が合体する領域について模式的に示す説明図である。 いくつかの表面き裂が合体条件を満たすときの相互関係について模式的に示す説明図である。 合体前の2個の表面き裂の状態(a)と合体後の表面き裂の状態(b)を模式的に示す説明図である。 シミュレーション結果に基づいて余寿命を予測できることを模式的に示す説明図である。 微小な表面き裂発生の累積確率分布を得るための試験用の多段応力試験片の正面図である。 微小な表面き裂発生の累積確率分布を得るために用いる試験用定荷重引張負荷ジグの正面図である。 多段応力試験片のSCC試験により表面き裂発生の累積確率分布を決定することを模式的に示す説明図である。 指数分布となる表面き裂発生の累積確率分布を示す特性図である。 応力腐蝕割れの表面き裂の進展特性を示す特性図である。 (a)100時間経過後、(b)300時間経過後、(c)500時間経過後のシミュレーション結果として得られた表面き裂の分布例を示す解析領域の平面図である。 表面き裂数と経過時間の関係を示す特性図である。 最大表面き裂長さと経過時間の関係を示す特性図である。 最大表面き裂深さと経過時間の関係を示す特性図である。 最大深さをもつ表面き裂のアスペクト比と経過時間の関係を示す特性図である。 限界表面き裂長さを最大表面き裂長さ5mmとした場合と、最大深さ1mmとした場合の応力腐蝕割れ寿命の累積確率分布を示す特性図である。
符号の説明
1 多段応力試験片 2 負荷ジグ台座(下) 3 負荷ジグ台座(上) 4 支柱 5 連結具 6 負荷バネ 7 バネ受け座 8 負荷ナット 9 負荷ボルト

Claims (16)

  1. 実構造物環境における表面き裂の発生を確率過程とし、表面き裂の合体および進展を確定過程とするアルゴリズムによって、実構造物の応力腐食割れの挙動を予測することを特徴とする実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  2. 前記アルゴリズムでは、実構造物の解析領域における応力分布を考慮することを特徴とする請求項1記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  3. 前記アルゴリズムでは、表面き裂の発生時間は、表面き裂発生可能数と累積確率分布に基づく乱数により割り当てることを特徴とする請求項1又は2記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  4. 前記累積確率分布は、加速試験や実構造物環境下の試験片により得られたデータに基づき得ることを特徴とする請求項3記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  5. 前記アルゴリズムでは、表面き裂の発生位置は一様分布の乱数により、表面き裂長さは正規分布の乱数によるものとしたことを特徴とする請求項1乃至4記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  6. 前記アルゴリズムでは、近隣の表面き裂との先端間距離が臨界距離内となった表面き裂同士は合体させるとしたことを特徴とする請求項1乃至5記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  7. 前記臨界距離は、合体領域半径rcとして、
    (但し、KIA は各き裂の表面部での応力拡大係数、σysは材料の降伏応力、kは材料および環境に依存する係数である。)
    で与えられることを特徴とする請求項6記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  8. 前記合体後の表面き裂のき裂長さは合体前の2個の表面き裂を含んだ長さ寸法とし、き裂深さは2個の表面き裂の内のより深い方の深さ寸法としたことを特徴とする請求項6記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  9. 幾つかの表面き裂同士が臨界距離内にあるとき、多数の表面き裂間の相互作用を考慮した表面き裂同士が合体するとしたことを特徴とする請求項6乃至8記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  10. 前記多数の表面き裂間の相互作用を考慮した表面き裂同士とは、表面き裂同士が合体する条件を満たす全ての表面き裂の組について先端間距離dを計算し、これを該当する表面き裂同士でつくる合体領域半径rcで除した値d/rcが最も小さい表面き裂同士であるとしたことを特徴とする請求項9記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  11. 前記アルゴリズムでは、表面き裂の発生、合体、及び進展により応力解放された応力解放域内には、次の表面き裂の発生、合体、又は進展はできないとしたことを特徴とする請求項5乃至10記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  12. 前記応力解放域内とは、当該表面き裂のき裂長さを直径とする円内としたことを特徴とする請求項11記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  13. 前記アルゴリズムでは、表面き裂の合体および進展は、直前の表面き裂発生からの時間Δtの間において、当該時間Δtを細分割して逐次進行させるとしたことを特徴とする請求項5乃至12記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  14. 前記アルゴリズムは、実構造物の解析領域と該解析領域における応力分布を設定するステップ1と、各応力領域および全領域における発生可能表面き裂数を得るステップ2と、各応力領域で発生可能な全ての表面き裂数に対する発生時間を各応力領域の累積確率分布に基づく乱数により割り当てて全領域で発生可能な全ての表面き裂数の発生時間を決定するステップ3と、表面き裂の発生は割り当てられた表面き裂発生時間の短いものから順に該当の応力領域に生じ得るとして、そのき裂発生位置はその応力領域内の一様乱数により、そのき裂長さは正規乱数により割り当てるステップ4と、き裂発生位置が応力解放域内であった場合には、当該表面き裂は発生できなかったものとして、次の表面き裂発生について前記ステップ4へ戻るステップ5と、き裂発生位置が応力解放域外であった場所には、当該表面き裂を発生させるとともに直前の表面き裂発生からの時間Δtを計算するステップ6と、応力解放域外において近隣の表面き裂との先端間距離が臨界距離内になったときは、近隣の表面き裂と合体させるステップ7と、合体が進んで進展性表面き裂長さに達した表面き裂を表面き裂進展特性に基づいて時間Δtに相当する分だけ進展させるステップ8とを有していることを特徴とする請求項1記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  15. 前記ステップ7の合体では、合体後の表面き裂のき裂長さは合体前の2個の表面き裂を含んだ長さ寸法とし、き裂深さは2個の表面き裂の内のより深い方の深さ寸法としたことを特徴とする請求項14記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。
  16. 請求項1乃至15記載の応力腐蝕割れ挙動予測方法を多数回繰り返して、その統計的特性から限界き裂長さに達するまでの余寿命を推定する余寿命予測方法。
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