次に、本発明の木質燃料燃焼装置の実施形態の一例について、図1乃至図8を参照して説明する。本実施形態の木質燃料燃焼装置は、図1に示すように、暖房装置や融雪装置等の温水負荷Lに温水を供給するボイラ1である。また、図2に示すように、ボイラハウジング2内には燃料である木質ペレット3を収納しバーナ部5に供給する燃料供給部4と、木質ペレット3を燃焼させるバーナ部5と、バーナ部5から発生する可燃性ガスの燃焼が行われる燃焼室6と、燃焼により発生した熱と温水との熱交換を行う熱交換部7と、排ガスを外部に排出する排気部8とが設けられている。
燃料供給部4は、木質ペレット3を収納する燃料タンク9と、燃料タンク9の底部に設けられた導出口9aから木質ペレット3を搬送する燃料搬送スクリュー10と、燃料搬送スクリュー10を回転させる燃料搬送モータ11と、燃料搬送スクリュー10の先端から落下する木質ペレット3をバーナ部5に導く供給パイプ12とからなる。燃料搬送モータ11は、後述するコントローラ42により0段(低速)、1段(中速)、2段(高速)の3段階の回転数により運転が行われる。燃料タンク9の天面には開閉自在の天蓋9bが設けられ、この天蓋9bには外部燃料接続口9cが設けられている。この外部燃料接続口9cには、外部燃料タンク13から外部燃料搬送モータ14を用いて燃料を供給する外部燃料供給パイプ15が接続されている。
バーナ部5は、図2,3に示すように、円筒状で円周方向に揺動自在のバーナ本体16と、バーナ本体16の外周を間隔を存して囲み内部を温水が通過するバーナ外筒部17と、バーナ本体16の中央部に設けられた蓄熱体18と、バーナ本体16を揺動させる揺動モータ19と、バーナ本体16及びバーナ外筒部17の内部に燃焼用の空気を供給する給気ファン20及び給気ダクト21と、木質ペレット3に点火を行う点火ヒータ22(着火手段)とを備えている。本実施形態においては、バーナ部5は後方(図2において左側)に向けて約5゜の角度で下方に傾斜した状態でボイラハウジング2内に固定されている。
バーナ本体16は図3,4に示すように、後方が開放され、前方は前蓋部16aにより一部が覆われた円筒状であり、前蓋部16aの中央から前方に向けて揺動モータ19に接続される揺動軸16bが設けられている。前蓋部16aは、図4に示すように、バーナ本体16が揺動された際に、供給パイプ12との干渉を避けるための略半円状の第1逃げ窓16cと、点火ヒータ22との干渉を避けるための円弧状の第2逃げ窓16dとを備えている。また、前蓋部16aの表面には、バーナ本体16の揺動幅を決める為のスイッチステー16eが前方に向けて突出して設けられている。
また、前蓋部16aの内部には、図3に示すように後方に向けて案内ローラ16fが突出して設けられており、この案内ローラ16fが後述するバーナリング24cの案内部24hに案内されるようになっている。また、バーナ本体16の後方部分は、外周部がバーナ外筒部17に設けられた軸支部17aに摺動自在に支持されている。また、バーナ本体16の外周面とバーナ外筒部17の内周面との間には空気通路23が設けられている。
バーナ本体16には、表裏を貫通する空気取入孔16gが多数設けられている。この空気取入孔16gは、バーナ本体16の揺動幅に応じてその大きさと数とを定めている。バーナ本体16が揺動されていない位置を基本位置とし、バーナ本体16を最大幅で揺動した際に最下部となる線からさらに所定角度反揺動方向にある線を揺動幅線16hとする。本実施形態では、基本位置において一対の揺動幅線16hよりも下方に設けられた空気取入孔16gの数を、その上方に設けられた空気取入孔16gの数よりも約3倍ほど多くしている。また、一対の揺動幅線16hよりも下方に設けられた空気取入孔16gの径を約3.5mmにしているのに対し、一対の揺動幅線16hよりも上方に設けられた空気取入孔16gの径を約2.5mmにしている。
このように、本実施形態では、基本位置においてバーナ本体16の一対の揺動幅線16hよりも下方から導入される空気量をその上方から導入される空気量よりも多くしている。これは、バーナ本体16を揺動させながら燃焼させる際に、木質ペレット3及び燃焼灰の下方から多くの空気を送り、木質ペレット3の燃焼を円滑にすると共に、空気の力により木質ペレット3及び燃焼灰をバーナ本体16の後方へ搬送しやすくするためである。また、バーナ本体16の後端部近傍には、円周方向に貫通孔を多数設けた2次空気取入孔16iが設けられている。
ここで、揺動幅線16hをバーナ本体16を最大幅で揺動した際に最下部となる線からさらに所定角度反揺動方向にある線とするのは、バーナ本体16内を移動する木質ペレット3は、バーナ本体16の最下部となる線からさらに転がって移動するので、この転がった木質ペレット3にも燃焼用の空気を供給するためである。本実施形態では、この反揺動方向への角度を25゜としている。従って、一対の揺動幅線16h間の角度は、揺動角度の130゜と合わせて180゜となる。
バーナ本体16の内部にはバーナフランジ組立体24が設けられている。このバーナフランジ組立体24は、図5に示すように、供給パイプ12及び後述する点火ヒータ22のヒータハウジング22aに固定される円形トレー状のバーナフランジ24aと、バーナフランジ24aにバーナステー24bを介して取り付けられたバーナリング24cと、供給パイプ12の開口部を覆う燃料フラップ24dとを有している。バーナフランジ24aとバーナリング24cは、供給パイプ12及びヒータハウジング22aを介してボイラハウジング2に固定されているので、バーナ本体16が揺動しても揺動しないようになっている。また、バーナフランジ24aには表裏を貫通し、供給パイプ12の先端部が固定される燃料供給孔24eと、ヒータハウジング22aの先端部が固定される点火用孔24fが設けられている。また、バーナフランジ24aには、表裏を貫通し、給気ダクト21からバーナ本体16内に燃焼用の空気を導入する貫通孔24gが複数設けられている。
また、バーナリング24cの内周には案内ローラ16fを案内する案内部24hが設けられており、バーナ本体16が揺動すると、バーナ本体16に取り付けられた案内ローラ16fがバーナリング24cの案内部24hに案内されて揺動するようになっている。燃料フラップ24dは、木質ペレット3が供給パイプ12から供給された際にその重さによって開くようになっている。
バーナ本体16の内部に設けられた蓄熱体18は、図3に示すように、セラミック製で円筒形状となっている。この蓄熱体18は、蓄熱体ステー18aによってバーナ本体16の内部に位置決め固定されている。また、バーナ本体16の内周面には、内径方向に突出し軸方向に向けて延設されたガイドステー16j(突条)が複数箇所に設けられている。このガイドステー16jは、本実施形態では金属製の角棒を用いており、バーナ本体16が揺動した際に、木質ペレット3がこのガイドステー16jを乗り越えて移動可能な高さと形状を有している。具体的には、本実施形態では、幅が約5mm、高さが10mm、15mm、20mmの3種類で、長さがバーナ本体16の全長の約1/3程度となっている。また、本実施形態では、このガイドステー16jを軸方向及び円周方向にそれぞれずらして設けている。
バーナ外筒部17は、図3に示すように、2重構造の円筒体で内部が空洞になっており、下方に設けられた温水入口17bと、上方に設けられた温水出口17cとを有しており、温水入口17bからは温水負荷Lからの還流温水が導入され、バーナ外筒部17の内部でバーナ本体16の燃焼熱を吸収して温水出口17cから温水が導出される。温水出口17cから導出された温水は、図3に示す接続配管25aによって熱交換部7の下方から熱交換部7内に導入される。
また、バーナ外筒部17の前方部分はトレイ状の給気ダクト21により覆われている。この給気ダクト21には、給気ファン20と点火ヒータ22と一対のマイクロスイッチ26(スイッチ手段)とが取り付けられている。また、バーナ本体16の揺動軸16bは給気ダクト21の中央部を貫通して前方に延設され、揺動モータ19に接続されている。
給気ファン20は給気ダクト21内に燃焼用の空気を供給するものであり、本実施形態では後述するコントローラ42により0段(低回転)、1段(中回転)、2段(高回転)の3段階の回転数により運転が行われる。点火ヒータ22は、図3に示すように円筒状のヒータハウジング22a内に円柱状の発熱体22bを設けた構成となっている。ヒータハウジング22aには、給気ダクト21の内部に開口する点火吸気口22cが設けられている。マイクロスイッチ26は、図2に示すように、スイッチアーム26aが給気ダクト21の内部に延設されており、バーナ本体16が揺動した際にその前蓋部16aに取り付けられたスイッチステー16eによってONにされるように位置決め固定されている。
バーナ部5は、上述したバーナ本体16とバーナフランジ組立体24とバーナ外筒部17と給気ダクト21等が組み合わされて形成されており、本実施形態では、バーナ本体16は揺動軸16bを中心として約130゜揺動するように形成されている。このバーナ本体16の揺動角度は、図6に示すように、バーナ本体16の前蓋部16aに装着されるスイッチステー16e及び給気ダクト21に装着されるマイクロスイッチ26を取り付ける位置によって定められる。尚、図6においては、供給パイプ12の図示を省略している。
バーナ本体16の揺動によって一方のスイッチステー16eにより一方のマイクロスイッチ26がONになると、後述するコントローラ42によって揺動モータ19の回動方向が逆転されるようになっている。そして、バーナ本体16が逆方向に揺動して他方のスイッチステー16eによって他方のマイクロスイッチ26がONになると、コントローラ42によって揺動モータ19の回動方向が再度逆転されるようになっている。また、バーナ本体16は、コントローラ42によって0段(低速)、1段(中速)、及び2段(高速)の3段階の回転数により運転が行われる。例えば、この段数は、0段時が0.2rpm、1段時が0.6rpm、2段時が1.0rpm等に設定されている。
燃焼室6は、図2に示すように、バーナ本体16の後端部が燃焼室6内に向けて開口しており、バーナ本体16内で発生した可燃性ガスがバーナ本体16の2次空気取入孔16iから供給される2次空気によって完全燃焼する空間である。燃焼室6の内部は耐火材6aにより覆われている。また、燃焼室6の底部には、バーナ本体16から排出される灰を受ける灰トレー6aが設けられている。また、灰トレー6aは、ボイラハウジング2に設けられた灰出し扉2aから外部に取り出すことができるようになっている。
熱交換部7は、全体が円柱状であり、内部に燃焼室6からの排気ガスが通過する熱交換パイプ7aが複数設けられている。この熱交換パイプ7aの内部には、熱交換パイプ7a内を通過する排気ガスの滞留時間を長くすると共に排気ガスに含まれる灰を取り除くためのバッフル板7bが設けられている。バッフル板7bは、熱交換パイプ7aの略半分の面積を有する半円状の板が上下方向に交互に並べられて形成されている。また、バッフル板7bは、図2に示すように、連結部材7cによってそれぞれ連結されると共に、後述する排気部8の排気室8a内に設けられたクランク棒8dに回動自在に吊設されている。
また、熱交換部7の上方には接続配管25bが接続されており、熱交換部7によって加熱された温水が循環ポンプ28によって温水負荷Lに供給される。また、熱交換部7の下方には接続配管25aが接続されており、バーナ外筒部17により加熱された温水が熱交換部7内に導入される。
排気部8は、熱交換部7の上方に設けられた排気室8aと、排気室8aの側方に設けられた灰トラップ部8bと、排気ガスをボイラ1の外部に排出する排気ファン8cとを備えている。この排気ファン8cは、給気ファン20と同様に後述するコントローラ42により0段(低回転)、1段(中回転)、2段(高回転)の3段階の回転数により運転が行われる。本実施形態では、排気ファン8cは、排気室8a、燃焼室6、バーナ本体16及びバーナ外筒部17内が常に負圧となるように、各段数で給気ファン20の空気供給量よりも多い空気を排出するものとなっている。灰トラップ部8bは、排気室8aからの排気ガスが排気ファン8cによって吸い出された際に、衝突板(図示せず)に排気ガスを衝突させ、排気ガス中の粉塵等の粒子を落下させる。また、クランク棒8dには、図2に示すようにハンドル8eが設けられており、このハンドル8eを回転させることによりクランク棒8dに連結部材7cによって連結されたバッフル板7bが上下動し、バッフル板7bに付着した灰を下方に落とすことができる。
尚、本実施形態においては、ボイラハウジング2、燃料タンク9、バーナ本体16、バーナ外筒部17、給気ダクト21、熱交換部7、排気部8等の部材は、ステンレス鋼を用いて形成されている。
次に、本実施形態のボイラ1に設けられた各種センサについて説明する。まず、排気ファン8cの排気通路にはバーナ部5の燃焼状態を検知する切替サーモスタット31が設けられている。この切替サーモスタット31は、バーナ部5で木質ペレット3が燃焼して排気部8から排気される排気ガスの温度に応じてON/OFFが行われ、バーナ部5で燃焼が行われているか否かを検知する。
また、燃料タンク9には、燃料タンク9内の木質ペレット3の量が補充を要する量となったことを検知する残量検知センサ32と、燃料タンク9内に木質ペレット3が満充填されたことを検知する満量検知センサ33とが設けられている。接続配管25bには、接続配管25b内の温水の流れを検知するフロースイッチ34と、接続配管25b内の温水の温度を検出する湯温センサ35と、接続配管25bの過熱状態を検知する温水過熱サーモスタット36とが設けられている。
供給パイプ12には何らかの原因により供給パイプ12にバーナ部5からの逆火が生じた場合に当該逆火を検知する逆火検知サーモスタット37が設けられている。給気ダクト21にはバーナ部5の過熱状態を検知するバーナ過熱サーモスタット38が設けられている。その他、熱交換部7内の温水の水位を検知する水位検知センサ39、燃焼室6の過熱を検知し断熱材を保護する断熱材保護サーモスタット40、バーナ部5の上方位置のボイラハウジング2に取り付けられた対振自動消火センサ41が設けられている。
次に、本実施形態のボイラ1の制御を行うコントローラ42(制御手段)と各機器との関係について図7のブロック図を参照して説明する。コントローラ42は、マイコン、ROM、或いはRAM等の電子部品とこれらに記憶されているプログラム等により構成されている。また、コントローラ42は、ボイラ1の外部に設けられたリモコン43に接続されており、使用者により設定された運転条件によりボイラ1内の各機器の制御を行っている。また、コントローラ42は、給気ファン20、排気ファン8c、揺動モータ19、燃料搬送モータ11、点火ヒータ22、循環ポンプ28にそれぞれ接続されている。また、コントローラ42は、切替サーモスタット31、フロースイッチ34、マイクロスイッチ26等の各センサ及びスイッチ類にも接続されている。
次に、本実施形態のボイラ1の作動について、図8を参照して説明する。リモコン43の運転スイッチ43aがOFFの状態では、燃料搬送モータ11等の機器は運転されていないが、燃料タンク9の満量検知センサ33によって燃料タンク9内の木質ペレット3が満充填されていないことを検知したときは、コントローラ42は外部燃料搬送モータ14を作動させ、外部燃料供給パイプ15を介して外部燃料タンク13から木質ペレット3を補充する(S1)。
使用者がリモコン43の運転スイッチ43aをONにすると、コントローラ42は、循環ポンプ28をONにしてボイラ1と温水負荷Lとの間の温水を循環させる(S2)。そして、フロースイッチ34がONになり(S3)、接続配管25b内の温水の循環が確認されると、コントローラ42はプリパージ処理を行う(S4)。プリパージ処理では、給気ファン20及び排気ファン8cが0段で運転を開始する。このとき、給気ファン20の給気量よりも排気ファン8cの排気量の方が多いため、バーナ部5の内部、燃焼室6の内部、排気室8aの内部は常に負圧に保たれる。
プリパージ処理が所定時間行われた後(本実施形態では10秒)、コントローラ42は第1点火処理を行う(S5)。この第1点火処理は、点火ヒータ22をONにすると共に、燃料搬送モータ11を0段で運転させる。燃料搬送モータ11が運転を開始すると、燃料搬送スクリュー10によって木質ペレット3が搬送され、燃料搬送スクリュー10の先端から供給パイプ12内に木質ペレット3が落下する。供給パイプ12内に落下した木質ペレット3は、供給パイプ12の先端部を覆っている燃料フラップ24dに衝突する。燃料フラップ24dは、上端部が揺動自在となっており、供給パイプ12内に木質ペレット3が落下すると、その木質ペレット3の重さにより開き、木質ペレット3がバーナ本体16の内部の点火ヒータ22の近傍に落下するようになっている。そして、コントローラ42は、所定時間経過後(本実施形態では180秒)、燃料搬送モータ11をOFFにする(S6)。
点火ヒータ22には、給気ファン20からの空気が点火吸気口22cを介して供給され、発熱体22bにより熱せられてバーナ本体16内に供給される。その空気の温度は約800℃である。このように、点火ヒータ22により熱せられた空気がバーナ本体16内に供給されると、その熱せられた空気の熱と発熱体22bの輻射熱により点火ヒータ22の近傍に落下した木質ペレット3が熱せられ、着火が行われる。
予備燃焼運転では、給気ファン20及び排気ファン8cを1段で運転し、燃料搬送モータ11を0段で運転する(S7)。この予備燃焼運転により、バーナ本体16内で点火された木質ペレット3に、さらに新たな木質ペレット3を供給して徐々に燃焼を拡大させ、安定した燃焼状態を確保している。
次に、コントローラ42は、切替サーモスタット31からの信号により、バーナ本体16内で着火が行われたか否かを予備燃焼運転中の所定時間(本実施形態では480秒)内でチェックする(S8)。コントローラ42は、切替サーモスタット31がONになれば着火が行われたことが確認できるため(S8でYES)次の強制燃焼運転を行う(S9)。一方、実際に着火が行われておらず、切替サーモスタット31がONにならない場合は(S8でNO)、予備燃焼を所定時間行った後、第1強制ポスト運転に移行する(S12)。
強制燃焼運転では、コントローラ42は、点火ヒータ22をOFFにし、給気ファン20及び排気ファン8cを1段、燃料搬送モータ11を1段で運転すると共に、揺動モータ19を0段で運転する。この強制燃焼運転により、バーナ本体16上に供給された木質ペレット3を揺動させてバーナ本体16内での燃焼面積を広げ、安定した燃焼を行えるようにしている。
次に、コントローラ42は、強制燃焼運転を所定時間(本実施形態では300秒)行った後、切替サーモスタット31がOFFにならなければ本燃焼運転に移行する(S8でNO)。このとき、切替サーモスタット31が何らかの原因でOFFになれば(S8でYES)、着火が正常に行われなかったものとして後述する第1強制ポスト運転を行う(S12)。
本燃焼運転では、給気ファン20、排気ファン8c、燃料搬送モータ11及び揺動モータ19をリモコン43による設定温度に合わせて段数制御する。例えば、リモコン43の設定温度と湯温センサ35との差が小さい場合、給気ファン20、排気ファン8c、揺動モータ19及び燃料搬送モータ11をそれぞれ0段で作動させる。また、リモコン43の設定温度と湯温センサ35との差が中ぐらいの場合は各機器をそれぞれ1段で作動させ、リモコン43の設定温度と湯温センサ35との差が大きい場合は各機器をそれぞれ2段で作動させる。
一方、使用者によりリモコン43の運転スイッチ43aがOFFにされると、第1強制ポスト運転が行われる(S12)。この第1強制ポスト運転では、コントローラ42は、燃料搬送モータ11がOFFにすると共に、給気ファン20と排気ファン8cと揺動モータ19とをそれぞれ2段にして運転を行う。この第1強制ポスト運転においては、燃料である木質ペレット3の供給を停止すると共に、バーナ本体16の内部に存在する木質ペレット3の燃焼を促進させ、ボイラ1の停止後にバーナ本体16上に木質ペレット3が残存しないようにしている。本実施形態では、この第1強制ポスト運転を300秒行う。
次に、コントローラ42は、第2強制ポスト運転を行う(S13)。この第2強制ポスト運転では、給気ファン20と排気ファン8cと揺動モータ19とをそれぞれ1段にして運転を行う。この第2強制ポスト運転においても、第1強制ポスト運転に引き続きバーナ本体16上の木質ペレット3の燃焼を促進させる。
次に、コントローラ42は、ポストパージ運転を行う(S14)。このポストパージ運転では、給気ファン20と排気ファン8cと揺動モータ19とをそれぞれ0段にして運転を行う。このポストパージ運転においては、第1及び第2強制ポスト運転によって木質ペレット3が燃焼され灰となっているので、当該燃焼灰を揺動モータ19によるバーナ本体16の揺動と給気ファン20による送気によりバーナ本体16から灰トレー6aに移動させる。
本実施形態のボイラ1においては、燃料タンク9に設けられている残量検知センサ32によって燃料タンク9内の燃料が減少したことを検知すると、コントローラ42は、外部燃料搬送モータ14を稼働させて燃料タンク9内に外部から木質ペレット3を補充する。外部燃料搬送モータ14によって燃料タンク9内に木質ペレット3が補充され、燃料タンク9の満量検知センサ33により木質ペレット3が検出されると、コントローラ42は外部燃料搬送モータ14の作動を停止させる。
次に、本燃焼運転時におけるバーナ部5の作動について説明する。燃料搬送モータ11によって燃料タンク9内の木質ペレット3が供給パイプ12内に供給されると、木質ペレット3が供給パイプ12内を落下して燃料フラップ24dに衝突し、その自重によって燃料フラップ24dを開いてバーナ本体16の先端部近傍に落下する。バーナ本体16内では既に木質ペレット3が燃焼しているため、その火炎によって新たに供給された木質ペレット3も燃焼を始める。
燃料フラップ24dは、このように供給パイプ12から木質ペレット3が落下してきた際に開いて木質ペレット3をバーナ本体16内に落下させるが、何らかの原因によりバーナ本体16内が正圧になった場合、この燃料フラップ24dが供給パイプ12の先端を閉じてバーナ本体16内の空気が供給パイプ12及びそれにつながる燃料搬送スクリュー10及び燃料タンク9には及ばないようにしている。また、仮に燃料フラップ24dと供給パイプ12の先端部との間に異物が挟まってバーナ本体16内の熱せられた空気が供給パイプ12内に進入した場合は、逆火検知サーモスタット37により検知されてバーナ部5での燃焼が停止されるようになっている。
本燃焼運転時は、バーナ本体16が揺動モータ19によって揺動されているため、バーナ本体16上の木質ペレット3は、バーナ本体16の内周面を転がりながら燃焼する。その際、木質ペレット3の一部は、ガイドステー16jによってバーナ本体16の揺動に伴って上昇し、ガイドステー16jを乗り越えてバーナ本体16の下方位置に落下する。また、バーナ本体16の揺動によって木質ペレット3の燃焼灰もバーナ本体16の内周面上を転がっている。
一方、給気ファン20から送風された空気は、まず給気ダクト21内に案内される。給気ファン20から送風され、給気ダクト21内に案内された空気は、バーナ本体16の外周面とバーナ外筒部17の内周面との間に設けられた空気通路23に案内され、バーナ本体16に設けられた空気取入孔16gからバーナ本体16の内部に導入される。このように、空気取入孔16gから導入された空気は、木質ペレット3の燃焼に利用される。
また、給気ダクト21に供給された空気の一部は、バーナ本体16の前蓋部16aに設けられた第1逃げ窓16c及び第2逃げ窓16dを介して前蓋部16aとバーナフランジ組立体24との間に進入する。すると、バーナフランジ組立体24にも表裏を貫通する貫通孔24gが設けられているため、給気ファン20から導入された空気の一部がバーナフランジ組立体24を介してバーナ本体16の内部に供給される。
このように、バーナ本体16内には、給気ファン20から送風される空気が空気取入孔16gから導入されているため、燃焼室6に向けて空気の流れが生じている。従って、バーナ本体16の揺動によりその内部を転がる木質ペレット3とその燃焼灰は、給気ファン20からの送風によって徐々にバーナ本体16の後方、即ち燃焼室6側へと搬送される。また、木質ペレット3が転がり転倒することにより、未燃部分が表面に露出して燃焼用空気に触れやすくなり、燃焼を促進することができる。また、本実施形態では、バーナ部5が後方に向けて約5゜の角度で下方に傾斜しているため、さらに木質ペレット3及びその燃焼灰がバーナ本体16の後方へ搬送されやすくなっている。
また、バーナ本体16内に供給された木質ペレット3は、燃焼しながらバーナ本体16の後方に移動する。また、同時に木質ペレット3の燃焼灰もバーナ本体16の後方に移動する。バーナ本体16の後方では、2次空気取入孔16iから導入された空気により燃焼しきれていない木質ペレット3の燃焼が促進されると共に、燃焼灰が導入された空気により巻き上げられて後方に移動される。そして、燃焼灰はバーナ本体16の後方且つ下方に設けられた灰トレー6a内に落下して回収される。このとき、木質ペレット3からヤニが発生した場合であっても、当該ヤニには周囲に燃焼灰が付着するため、バーナ本体16の内周面に付着せずに燃焼灰と共に灰トレー6aに回収される。
本実施形態においては、空気取入孔16gは導入される空気量が木質ペレット3の完全燃焼に必要な空気量よりも少なくなるようにしているため、バーナ本体16の前方部分では木質ペレット3はいわゆるおきび燃焼となっている。従って、本実施形態においては、バーナ本体16の前方部分で木質ペレット3が徐々に燃えながらその燃焼によって可燃性ガスが発生する。
そして、バーナ本体16の後方部分には2次空気取入孔16iが設けられており、木質ペレット3の燃焼により発生した可燃性ガスを完全燃焼させることができる量の空気が導入されるので、バーナ本体16の後方部分から燃焼室6内部にかけて可燃性ガスの完全燃焼が行われる。
本実施形態では、バーナ本体16は円筒状であるが、単に一方向に回転するものではなく、基本位置を中心に円周方向に揺動するものとなっている。単に一方向に回転する場合は、バーナ本体16に設ける空気取入孔16gは周方向に均一に設けなければ、燃焼状態を均一に保つことができない。これに対し、バーナ本体16が揺動するものであれば、バーナ本体16上で木質ペレット3が燃焼する領域に多くの空気取入孔16gを設け、木質ペレット3が燃焼しない領域には必要に応じて空気取入孔16gを設ければよい。従って、木質ペレット3の種類に応じて空気取入孔16gの大きさと数と配置とを任意に設定することができ、過剰空気を抑制することにより熱効率を向上させることができる。
また、バーナ本体16内で木質ペレット3が燃焼することにより、その燃焼熱が蓄熱体18により蓄熱される。従って、木質ペレット3の品質のばらつきによりバーナ本体16内の燃焼温度が変動しても蓄熱体18に蓄えられた熱によってバーナ本体16内の温度が高温度で安定する。
燃焼室6内での燃焼によりその排気ガスは高温となった状態で熱交換部7に導かれる。熱交換部7では、高温の排気ガスが熱交換パイプ7a内を通って排気室8aに導かれる。このとき、熱交換パイプ7a内ではバッフル板7bによって排気ガスの流れに抵抗が生じるため、高温の排気ガスが熱交換パイプ7a内に滞留する時間が長くなる。熱交換パイプ7aの外周面は温水が流れているため、排気ガスの熱がこの温水に熱交換され、熱せられた温水が循環ポンプ28によって温水負荷Lまで搬送される。
このとき、熱交換パイプ7a内でバッフル板7bに衝突した排気中の灰はバッフル板7bに付着するが、例えば、定期点検等の際に作業者がハンドル8eを回転させることにより、クランク棒8dに連結部材7cで連結されたバッフル板7bを上下動させ、バッフル板7bの表面に付着した灰を下方に落下させればよい。この下方に落下した灰は、灰トレー6aによって回収されるようになっている。
そして、熱交換パイプ7aにおいて熱せられた温水は、温水負荷Lにおいて燃焼熱が利用され、循環ポンプ28によってバーナ外筒部17に戻される。バーナ外筒部17では、その内部に設けられたバーナ本体16の燃焼により発生した熱によってバーナ外筒部17内の温水が加熱される。このように、本実施形態のボイラ1では、熱交換部7による熱交換のみならず、バーナ部5においても燃焼熱を利用しているため、木質ペレット3の持つ熱量を有効に利用することができる。また、バーナ外筒部17が温水により冷却されるため、バーナ部5の過熱が防止される。
また、バーナ本体16は、その前方部分が案内ローラ16fを介してバーナフランジ組立体24の案内部24hによって案内され、その後方部分がバーナ外筒部17に設けられた軸支部17aによって案内されるので、バーナ本体16の揺動によって軸方向とは直角方向に力が生じた場合であっても、揺動軸16bには大きな力は加わらない。このため、揺動軸16b及び揺動モータ19の負担を軽減することができる。
尚、上記実施形態においては、バーナ本体16について円筒状のものを例にして説明したが、これに限らず、揺動手段による揺動によって木質燃料を移動させながら燃焼させることができる形状であればよい。例えば、上記実施形態のバーナ本体16の上方部分が軸方向に切り取られたような形状としてもよい。また、バーナ部5の傾斜角度を5゜としているが、これに限らず、0゜から10゜としてもよく、特に3゜から6゜とすることが好ましい。また、上記実施形態では、バーナ本体16の揺動角度を130゜としているが、これに限らず、90゜から180゜としてもよい。
また、上記実施形態では、揺動手段として、揺動モータ19とスイッチステー16eとマイクロスイッチ26とを用いた例を示したが、これに限らず、バーナ本体16を揺動させる手段であればバーナ本体16の回動角度をロータリーエンコーダ等により検知してその揺動された角度により揺動方向を逆転させることもできる。また、自動車のワイパーに用いられているようなリンク機構によって一方向に回転するモータの運動をバーナ本体の揺動運動に変換しても良い。揺動手段としては、その他にバーナ本体を揺動させるために公知の他の手段を利用しても良い。
また、上記実施形態においては、ガイドステー16jを棒部材を用いて形成しているが、これに限らず、板状の部材を曲げ加工して形成しても良く、バーナ本体16を加工して円周部を内方に突出させて形成しても良い。また、蓄熱体18はセラミック製のものを使用しているが、これに限らず、金属等の他の素材により形成しても良い。
1…ボイラ(木質燃料燃焼装置)、3…木質ペレット(木質燃料)、4…燃料供給部(燃料供給手段)、6b…灰トレー(灰収納容器)、16…バーナ本体、19…揺動モータ(揺動手段)、20…給気ファン(給気手段)、22…点火ヒータ(着火手段)、43…コントローラ(制御手段)。