JP2007145052A - ブレーキパッドの制動性能の低下を推定する車輌 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレーキパッドの温度上昇をブレーキパッドの制動性能低下の観点からより実効的に把握する。
【解決手段】ブレーキパッドにより摩擦制動される車輪を備えた車輌に於いて、ブレーキパッドの制動性能の低下からブレーキパッドの温度上昇を推定する。一例として、車輌の運転開始後に制動油圧が所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったときブレーキパッドの制動性能を検定し、その後ブレーキパッドの制動性能を該検定結果に対比させることによりブレーキパッドの制動性能の低下を判断する。
【選択図】図2
【解決手段】ブレーキパッドにより摩擦制動される車輪を備えた車輌に於いて、ブレーキパッドの制動性能の低下からブレーキパッドの温度上昇を推定する。一例として、車輌の運転開始後に制動油圧が所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったときブレーキパッドの制動性能を検定し、その後ブレーキパッドの制動性能を該検定結果に対比させることによりブレーキパッドの制動性能の低下を判断する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ブレーキパッドにより摩擦制動される車輪を備えた自動車等の車輌に係り、特にブレーキパッドの温度上昇による制動性能の低下を推定することに係わる。
下記の特許文献1には、走行用モータによる回生制動と液圧ブレーキ装置による摩擦制動とにより制動されるようになった車輌に於いて、液圧ブレーキ装置のブレーキパッドの温度を推定し、ブレーキペダルの踏み込み量に基づいて設定される目標制動力を、推定されたブレーキパッド温度に基づいて回生制動と摩擦制動とに配分することが記載されている。この場合、ブレーキパッドの温度は、ブレーキパッドに於ける発熱量を車輌の減速度と車速の積に比例するとしてその時間的積分値を算出し、それに基づく温度上昇に比例して放熱が生ずるものとして推定されている。
特開2005-14692
車輪を摩擦により制動する自動車等の車輌のブレーキパッドは、車輌の運行中ブレーキを作動させる度合が高くなるにつれてその温度が上昇し、それがある温度以上に上昇すると、制動性能は図6に示す如く急激に低下してくる。図6に於いて、Kbは後程図2のフローチャートのステップ180について説明されている通り、ブレーキパッドの制動性能を示す指標であり、Tbはブレーキパッドの温度である。車輌に於いてブレーキパッドの温度上昇が問題となるのは、このように制動性能が急激に低下するところまで温度が上昇することであり、換言すれば、ブレーキパッドの温度が何度になったかではなく、制動性能がどこまで落ちたかである。
本発明は、ブレーキパッドの温度上昇をブレーキパッドの制動性能低下の観点からより実効的に把握することを課題としている。
上記の課題を解決するものとして、本発明は、ブレーキパッドにより摩擦制動される車輪を備えた車輌にして、ブレーキパッドの制動性能の低下からブレーキパッドの温度上昇を推定するようになっていることを特徴とする車輌を提案するものである。
この場合、車輌は、その運転開始後に制動油圧が所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったときブレーキパッドの制動性能を検定し、その後ブレーキパッドの制動性能を該検定結果に対比させることによりブレーキパッドの制動性能の低下を判断するようになっていてよい。
前記のブレーキパッド制動性能の検定は制動油圧が第一の所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったとき更に制動油圧が該所定偏差内にて一定となっている状態が第二の所定期間にわたって続くとき該制動油圧と車速の積と該第二の所定期間内に於ける車輌の運動エネルギの低減量との対応関係を特定するものであってよい。
前記第二の所定期間内の車速は該第二の所定期間の開始時の車速と該第二の所定期間の終了時の車速の平均値とされてよい。
前記検定結果に対するその後のブレーキパッドの制動性能の対比は制動油圧が第三の所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったとき更に制動油圧が該所定偏差内にて一定となっている状態が第四の所定期間にわたって続くとき該制動油圧と車速の積と該第四の所定期間内に於ける車輌の運動エネルギの低減量との対応関係を前記検定の対応関係と比較するものであってよい。
前記検定が行われた後ドアが開かれたときには、ドアが閉じられた後、制動油圧が所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったときブレーキパッドの制動性能を再度検定し、その後ブレーキパッドの制動性能を該再検定結果に対比させることによりブレーキパッドの制動性能の低下を判断するようになっていてよい。
車輌は更に回生制動を行う回生制動手段を有し、ブレーキパッドの制動性能の低下に応じてブレーキパッドによる摩擦制動の一部を回生制動に置き換えるようになっていてよい。
上記の如く、ブレーキパッドにより摩擦制動される車輪を備えた車輌に於いて、ブレーキパッドの制動性能の低下からブレーキパッドの温度上昇を推定するようになっていれば、ブレーキパッドの温度上昇によりブレーキパッドの制動性能が低下する問題を、問題となる現象の側からより的確に把握することができる。
この場合、車輌の運転開始後に制動油圧が所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったときブレーキパッドの制動性能を検定し、その後ブレーキパッドの制動性能を該検定結果に対比させることによりブレーキパッドの制動性能の低下を判断するようになっていれば、各個別の車輌について、その設計の違いや生産過程に於ける製造誤差等の如何にかかわらず、ブレーキパッドの制動性能の低下を確実に把握することができる。
前記のブレーキパッド制動性能の検定が、制動油圧が第一の所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったとき更に制動油圧が該所定偏差内にて一定となっている状態が第二の所定期間にわたって続くとき該制動油圧と車速の積と該第二の所定期間内に於ける車輌の運動エネルギの低減量との対応関係を特定するものであれば、ブレーキパッドによる車輌の摩擦制動がほぼ一様な状態にて行われている期間を選んでブレーキパッド制動性能の検定を行うことができ、検定の精度を高めることができる。この場合、前記第二の所定期間内の車速が該第二の所定期間の開始時の車速と該第二の所定期間の終了時の車速の平均値とされれば、検定の合理性をより高めることができる。
前記検定結果に対するその後のブレーキパッドの制動性能の対比が、制動油圧が第三の所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったとき更に制動油圧が該所定偏差内にて一定となっている状態が第四の所定期間にわたって続くとき該制動油圧と車速の積と該第四の所定期間内に於ける車輌の運動エネルギの低減量との対応関係を前記検定の対応関係と比較するものであれば、ブレーキパッドによる車輌の摩擦制動がほぼ一様な状態にて行われている期間を選んでブレーキパッド制動性能を検定結果と比較することができる。
前記検定が行われた後ドアが開かれたときには、ドアが閉じられた後、制動油圧が所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったときブレーキパッドの制動性能を再度検定し、その後ブレーキパッドの制動性能を該再検定結果に対比させることによりブレーキパッドの制動性能の低下を判断するようになっていれば、車輌の運転の途中に乗員の数が変化し、或は積み荷の増減があり、車輌の総合質量が変化したときにも、綜合質量の変化に合わせてブレーキパッドの制動性能の検定をし直し、乗員数や積み荷の変化による車輌総合質量の変化により誤差を生ずることなくブレーキパッドの制動性能の低下を的確に把握することができる。
車輌が更に回生制動を行う回生制動手段を有し、ブレーキパッドの制動性能の低下に応じてブレーキパッドによる摩擦制動の一部を回生制動に置き換えるようになっていれば、ブレーキパッド制動性能が低下したときにはそれを回生制動により補い、ブレーキパッドの制動性能が更に低下することを回避することができる。
図1は、本発明による車輌の本発明に係る構成の例を解図的に示す図である。但し、本発明は、かかる車輌に於いて、車輌の制動状態に基づいてブレーキパッドの制動性能の低下を把握し、またそれに基づいて摩擦制動の一部を回生制動に置き換える制御を行うソフトウエア的事項であり、図1に現われているハードウェア的構成自体は公知のものである。
図1に示す車輌は、左右の後輪が駆動される4輪車であり、これらの4輪により懸架された図には示されていない車体には、それ自身種々の態様にて公知の駆動装置、制動装置、電子制御装置(ECU)が組み込まれている。尚、操舵装置は本発明には特に関係ないので省略されている。
駆動装置には、内燃機関の如き動力源と、変速装置と、アクセルペダルが含まれており、動力源の出力は運転者によるアクセルペダルの踏込みと電子制御装置からの制御指令に応じて制御されるようになっている。
制動装置には、マスタシリンダと、油圧制御弁を備えた油圧回路と、ブレーキペダルが含まれており、運転者によるブレーキペダルの踏み込みに応じて4輪を同時に制動することの他に、電子制御装置からの制御指令に応じて左右の前輪および左右の後輪を個別に制動することができるようになっている。
電子制御装置は、その主要部がマイクロコンピュータにより構成されたものであり、マイクロコンピュータによる制御演算機能の一部として、本発明に関係する制動制御部とブレーキパッド制動性能推定部と駆動制御部が含まれている。電子制御装置には、車速センサより車速を示す信号、制動油圧センサより制動油圧を示す信号、ドア開閉センサよりドアの開閉を示す信号が供給される他、必要に応じてその他の種々の情報を示す信号が供給されるようになっている。電子制御装置はこれらの入力信号とマイクロコンピュータに予め装填された制御プログラムに従って種々の制御演算を行い、特にブレーキパッド制動性能推定部によりブレーキパッド制動性能の低下を推定により監視し、それが生じたときには制動制御部と駆動制御部とを作動させてブレーキパッドによる摩擦制動の一部を回生制動に置き換える制御を行う。
図2は、上記の如き構成を有する車輌に於いて本発明により行われるブレーキパッド制動性能の低下の推定とそれに基づく摩擦制動の一部の回生制動への置き換え制御を一つの実施の形態ついて示すフローチャートである。かかるフローチャートに沿った制御は、車輌のイグニションスイッチが閉じられる等の車輌運行開始操作により開始され、車輌の運行中数10〜数100ミリセカンドの周期にて繰り返されてよい。
制御が開始されると、ステップ10にて図1のドア開閉センサからの信号によりドアが開かれているか否かが判断される。答がイエス(Y)であれば、制御はステップ20へ進み、フラグF1が0にリセットされる。答がノー(N)であれば、制御はステップ10をバイパスしてステップ30へ進む。但し、フラグF1はこの種のフラグの常として、制御の開始時には一度0にリセットされるので、運転者が運転席に着席し、ドアを閉めてからエンジンを始動するという正常な車輌の運行開始を行ったときには、制御開始の直後の第1回のフローは、ドアが閉じていることによりステップ10の答がノーとなってステップ10がバイパスされたときにも、フラグF1は0となっている。フラグF1は制御が後述のステップ190に至ったとき1にセットされるものである。ステップ20は、車輌がエンジンをかけたままで一時停止または一時駐車され、ドアが開かれたときには、乗員数が変わったり積み荷の出し入れが行われる可能性があることに鑑み、車輌運行の途中で乗員数や積み荷の変化があったときには、それに対応してブレーキパッド制動性能の検定をやり直すべく、F1を0にリセットするためのものである。尚、ドア開閉センサはトランクルームの開閉も検出するようになっていてもよい。
次いで、ステップ30に於いて、フラグF1が1であるか否かが判断される。答がノーのときには、制御はステップ40へ進む。答がイエスであれば、制御は後述のステップ200へ進む。
ステップを40に於いては、車速Vがある所定値Vo以上であるか否かが判断される。Voの値は、車速がそれ以下であるときには以下の制御処理を行うには適さないような或る比較的小さな車速値である。答がノーであれば、制御はステップ50へ進み、フラグF1および後述のフラグF2が0にリセットされ、また後述のカウント値nが0にリセットされ、制御はステップ10の前に戻る。
ステップ40の答がイエスであれば、制御はステップ60へ進み、マスタシリンダ油圧Pmがある所定値Pmo値以上であるか否かが判断される。Pmoの値も、マスタシリンダ油圧がそれ以下であるときには以下の制御処理を行うには適さないような或る比較的小さな油圧値である。答がノーであれば、制御はステップ50へ進む。答がイエスであれば、制御はステップ70へ進む。
ステップ70に於いては、後述のステップ100にてカウントされるフロー実行回数を計数するカウント値nを指標として、今回のフローに於けるマスタシリンダ油圧P(n)が前回のフローに於けるマスタシリンダ油圧P(n-1)より或る所定の小さな偏差ΔP以上に大きいか否かが判断される。尚、初回のフローに於いてはP(n-1)はまだ存在しないので、適当な初期値が使用されればよい。答がイエスであれば、即ち、マスタシリンダ油圧がある程度以上の増加速度にて増加していると推定されるときには、制御はステップを50へ向かう。答がノーであれば、制御はステップ80へ進む。
ステップ80に於いては、今回のフローに於けるマスタシリンダ油圧P(n)が前回のフローに於けるマスタシリンダ油圧P(n-1)より或る所定の小さな偏差ΔP以上に小さいか否かが判断される。答がイエスであれば、即ち、マスタシリンダ油圧がある程度以上の速度にて低下していると推定されるときには、制御はステップを50へ向かう。答がノーであれば、制御はステップ90へ進む。
ステップ90に於いては、フラグF2が1であるか否かが判断される。フラグF2は制御が後述のステップ130に至ったとき1にセットされるものであり、それ迄は制御開始時に0にリセットされたままであるか、ステップ50にて0にリセットされた状態にあるので、答はノーであり、制御はステップ100へ進む。
ステップ100に於いては、カウント値nが制御開始時、またはステップ50、または後述のステップ190或は210にて0にリセットされた状態から出発して、1だけカウントアップされる。次いで、制御はステップ110へ進み、カウント値nが或る所定の第一のカウント値n1を越えたか否かが判断される。答がノーである間、制御はステップ40の前に戻るが、車速VがVo以上であり、マスタシリンダ油圧PmがPmo以上であり、マスタシリンダ油圧が±ΔPの偏差内にて一定となっている状態が或る所定期間続くと、カウント値nはn1を越え、ステップ110の答はイエスとなる。n1の値は、これに、制御がステップ40、60〜110を通って循環する周期を掛ければ、マスタシリンダ油圧が±ΔPの偏差内にて一定となっている状態を確認するに適した期間となるような或る適当なカウント値である。ステップ110の答がイエスとなれば、制御はステップ120へ進む。
ステップ120に於いては、そのときの車速VがVsとして記憶され、次いで制御はステップ130へ進み、フラグF2が1にセットされる。
次いで、制御はステップ140へ進み、カウント値nのカウントアップが続けられる。次いで、ステップ150に於いて、カウント値nがn1より更に大きい或る所定の第二のカウント値n2を越えたか否かが判断される。答がノーである間、制御はステップ40の前に戻り、ステップ40以下の制御が繰り返される。ただ、これ以後の制御に於いては、フラグF2が今や1にセットされていることから、ステップ90に至った制御は、これよりステップ100〜130をバイパスしてステップ140へ進むようになる。このとき引き続いてV>Vo、Pm>Pmoの条件が成立しており、またマスタシリンダ油圧Pmも±ΔP内の偏差で一定した状態が続いていると、やがてステップ150の答はノーからイエスに転ずる。n2の値は、n2−n1の値に制御がステップ40、60〜90、140を通って循環する周期を掛ければ、マスタシリンダ油圧が±ΔPの偏差内にて一定となっている状態を再度確認するに適した期間となるような或る適当なカウント値である。ステップ150の答がイエスになると、制御はステップを160へ進む。
ステップ160に於いては、そのときの車速VがVeとして記憶される。そしてまた、制御はステップ70へ進み、そのときのマスタシリンダ油圧PmがPmcとして記憶される。
続くステップ180に於いては、上記のステップ120が実行された時点よりステップ160が実行された時点までの期間中にブレーキパッドにより車輪が制動されたことによる制動エネルギEbが
Eb=Kb・(n2−n1)τPmc・(Vs+Ve)/2
として計算される。ここで、τはnがn1よりn2までカウントアップされるときの1カウント当たりの周期であり、Kbは制動エネルギがマスタシリンダ油圧の大きさと、その間の平均車速と、その間の経過時間とに比例するとしたときの比例係数であり、ブレーキパッドの制動性能を示す指標である。但し、Kbの値は未知である。そして更に、乗員や積み荷を含む車輌の質量をMとし、上記のステップ120が実行された時点よりステップ160が実行された時点までの期間中に於ける車輌の運動エネルギの低減量Ewが
Ew=M(Vs2−Ve2)/2
として計算される。ここでも、Mの値は未知であり、また乗員や積み荷の変化に応じて変化する値である。そして、Eb=Ewより、Kb/Mの値が
Kb/M=(Vs2−Ve2)/{(n2−n1)τPmc・(Vs+Ve)}
として算出される。このKb/Mの値がこの車輌の現在の乗員および積み荷の積載状態に対するブレーキパッドの制動性能を示す指標である。
Eb=Kb・(n2−n1)τPmc・(Vs+Ve)/2
として計算される。ここで、τはnがn1よりn2までカウントアップされるときの1カウント当たりの周期であり、Kbは制動エネルギがマスタシリンダ油圧の大きさと、その間の平均車速と、その間の経過時間とに比例するとしたときの比例係数であり、ブレーキパッドの制動性能を示す指標である。但し、Kbの値は未知である。そして更に、乗員や積み荷を含む車輌の質量をMとし、上記のステップ120が実行された時点よりステップ160が実行された時点までの期間中に於ける車輌の運動エネルギの低減量Ewが
Ew=M(Vs2−Ve2)/2
として計算される。ここでも、Mの値は未知であり、また乗員や積み荷の変化に応じて変化する値である。そして、Eb=Ewより、Kb/Mの値が
Kb/M=(Vs2−Ve2)/{(n2−n1)τPmc・(Vs+Ve)}
として算出される。このKb/Mの値がこの車輌の現在の乗員および積み荷の積載状態に対するブレーキパッドの制動性能を示す指標である。
こうして、車輌の運転が開始されて最初にマスタシリンダ油圧がほぼ一定に保たれている期間を選んでブレーキパッドの制動性能の検定が行われる。この場合、マスタシリンダ油圧がほぼ一定に保たれている期間についての「ほぼ一定に保たれている期間」という条件、即ちステップ70および80に於けるΔPの大きさおよび周期τに基づくカウント値n1およびn2の選定、が適当に行われれば、車輌運転開始後の比較的早い時期であってまだブレーキパッドの温度がブレーキパッドの制動性能に低下をきたす温度まで上昇していない間にブレーキパッドの制動性能を検定することができる。
制御がステップ180に至り、検定が終了したときには、ステップ190に於いてフラグF1が1にセットされる。またこのときフラグF2およびカウント値nは0にセットされる。この後、制御はステップ30よりステップへ200進むようになる。しかし、一度検定が終了し、F1が1にセットされても、車輌運行の途中で、即ちエンジンをかけたままで、ドアが開かれると、ステップ10の答がノーからイエスに転じるので、検定はやり直されることとなる。
ステップ200に於いては、ステップ40に於けると同様に車速Vが所定値Vo以上であるか否か、即ち、今度は上記の検定に基づくブレーキパッドの制動性能の低下の監視を行うにあたって車速が十分であるか否かが判断される。答がノーであれば、制御はステップ210へ進み、後述のフラグF3およびカウント値nがリセットされてこの回制御は終了する。答がイエスであれば、制御はステップ220へ進む。
ステップ220に於いては、ステップ60に於けると同様にマスタシリンダ油圧Pmが所定値Pmo以上であるか否か、即ち、検定に基づくブレーキパッドの制動性能の低下の監視を行うにあたってマスタシリンダ油圧が十分であるか否かが判断される。答がイエスであれば、制御はステップ230へ進む。
ステップ230に於いては、ステップ70に於けると同様に今回のフローに於けるマスタシリンダ油圧P(n)が前回のフローに於けるマスタシリンダ油圧P(n-1)より或る所定の小さな偏差ΔP以上に大きいか否かが判断される。この場合にも、制御が最初にこのステップに至ったときには、nは既に0にリセットされているので、初回のフローに於いてはP(n-1)はまだ存在せず、適当な初期値が使用されればよい。答がイエスであれば、制御はステップを210へ向かう。答がノーであれば、制御はステップ240へ進む。
ステップ240に於いては、今回のフローに於けるマスタシリンダ油圧P(n)が前回のフローに於けるマスタシリンダ油圧P(n-1)より或る所定の小さな偏差ΔP以上に小さいか否かが判断される。答がイエスであれば、制御はステップを210へ向かう。答がノーであれば、制御はステップ250へ進む。
ステップ250に於いては、フラグF3が1であるか否かが判断される。フラグF3は制御が後述のステップ290に至ったとき1にセットされるものであり、それ迄は制御開始時に0にリセットされたままであるか、ステップ210にて0にリセットされているので、答はノーであり、制御はステップ260へ進む。
ステップ260に於いては、カウント値nがステップ190または210にて0にリセットされた状態から出発して、1だけカウントアップされる。次いで、制御はステップ270へ進み、カウント値nが或る所定の第三のカウント値n3を越えたか否かが判断される。答がノーである間、制御はステップ200の前に戻るが、車速VがVo以上であり、マスタシリンダ油圧PmがPmo以上であり、マスタシリンダ油圧が±ΔPの偏差内にて一定となっている状態が或る所定期間続くと、カウント値nはn3を越え、ステップ270の答はイエスとなる。n3の値は、これに、制御がステップ200、220〜270を通って循環する周期を掛ければ、マスタシリンダ油圧が±ΔPの偏差内にて一定となっている状態を確認するに適した期間となるような或る適当なカウント値である。ステップ270の答がイエスとなれば、制御はステップ280へ進む。
ステップ280に於いては、そのときの車速VがVsとして記憶され、次いで制御はステップ290へ進み、フラグF3が1にセットされる。
次いで、制御はステップ300へ進み、カウント値nのカウントアップが続けられる。次いで、ステップ310に於いて、カウント値nがn3より更に大きい或る所定の第四のカウント値n4を越えたか否かが判断される。答がノーである間、制御はステップ200の前に戻り、ステップ200以下の制御が繰り返される。ただ、これ以後の制御に於いては、フラグF3が今や1にセットされていることから、ステップ250に至った制御は、これよりステップ260〜290をバイパスしてステップ300へ進むようになる。このとき引き続いてV>Vo、Pm>Pmoの条件が成立しており、またマスタシリンダ油圧Pmも±ΔP内の偏差で一定した状態が続いていると、やがてステップ310の答はノーからイエスに転ずる。n4の値は、n4−n3の値に制御がステップ200、220〜250、300を通って循環する周期を掛ければ、マスタシリンダ油圧が±ΔPの偏差内にて一定となっている状態を再度確認するに適した期間となるような或る適当なカウント値である。ステップ310の答がイエスになると、制御はステップを320へ進む。
ステップ320に於いては、そのときの車速VがVeとして記憶される。そしてまた、制御はステップ330へ進み、そのときのマスタシリンダ油圧PmがPmcとして記憶される。
続くステップ340に於いては、ステップ180に於いて用いられたMの値と、ステップ280、320、330にて記憶されたVs、Ve、Pmcと、n3およびn4の値に基づき、ステップ180に於けると同じ式によりKb/Mの値がKb’/Mとして以下の通り算出をされる。
Kb’/M=(Vs2−Ve2)/{(n4−n3)τPmc・(Vs+Ve)}
このKb’/Mの値が、ステップ180に於ける検定後にドアが開かれることなく継続する車輌運転中に於けるその後のブレーキパッドの制動性能をステップ180にて検定されたKb/Mの値に対比して示す指標である。
Kb’/M=(Vs2−Ve2)/{(n4−n3)τPmc・(Vs+Ve)}
このKb’/Mの値が、ステップ180に於ける検定後にドアが開かれることなく継続する車輌運転中に於けるその後のブレーキパッドの制動性能をステップ180にて検定されたKb/Mの値に対比して示す指標である。
次いで、ステップ350に於いて、Kbに対するKb'の比βが算出される。Kb'/Kbは上に算出されたKb/Mに対するKb’/Mの比として算出される。次いで、ステップ360にて、βが或る所定の限界値βc(例えば、0.7〜0.9のような値)以下に下がったか否かが判断される。βcの値は比率Kb'/Kbがこの値以下に低下したときには、ブレーキパッドの温度がかなり上昇しており、ブレーキパッドによる摩擦制動の一部を回生制動に置き換える等の何らかの対策が取られるのが好ましいと判断されるような値である。
そこで、ここに示す例では、ステップ360の答がイエスのときには、制御はステップ370へ進み、Kb'/Kbの比βに応じてブレーキパッドによる摩擦制動の一部を低減し、それを回生制動に置き換えるべく、ブレーキ油圧を低減させる低減幅ΔPがβの関数値fp(β)として算出される。この関数値は図3に例示した如きマップを参照して求められてよい。
次いで、制御はステップ380へ進み、ブレーキ油圧がΔP低減されることによる制動力の低減を回生制動により賄うとして、その増分ΔFrbの値が関数frb(ΔP)の値として求められる。この関数値も図4に例示した如きマップを参照して求められてよい。
次いで、制御はステップ390へ進み、回生制動力の増分ΔFrbを発生させるために必要なスロットル開度の低減量Δθthが関数fth(ΔFrb)の値として算出される。これもまた図5に例示した如きマップを参照してその時の変速段に応じて求められてよい。
次いで、制御はステップ400へ進み、現在のスロットル開度θthよりΔθthを差し引いた値が正であるか否か、即ち、Δθthだけのスロットル開度の低減が可能であるか否かが判断される。そして、答がイエスであれば、制御はステップ410へ進み、Δθthだけのスロットル開度の低減が行われる。一方、答がノーであり、即ち、最早Δθthだけのスロットル開度の低減ができないときには、制御はステップ420へ進み、変速段を下げるシフトダウンが行われる。
いずれの場合にも、次いで、制御はステップ430へ進み、ブレーキ油圧PiがΔPだけ低減される。
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
Claims (7)
- ブレーキパッドにより摩擦制動される車輪を備えた車輌にして、ブレーキパッドの制動性能の低下からブレーキパッドの温度上昇を推定するようになっていることを特徴とする車輌。
- 車輌の運転開始後に制動油圧が所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったときブレーキパッドの制動性能を検定し、その後ブレーキパッドの制動性能を該検定結果に対比させることによりブレーキパッドの制動性能の低下を判断するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車輌。
- 前記のブレーキパッド制動性能の検定は制動油圧が第一の所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったとき更に制動油圧が該所定偏差内にて一定となっている状態が第二の所定期間にわたって続くとき該制動油圧と車速の積と該第二の所定期間内に於ける車輌の運動エネルギの低減量との対応関係を特定するものであることを特徴とする請求項2に記載の車輌。
- 前記第二の所定期間内の車速は該第二の所定期間の開始時の車速と該第二の所定期間の終了時の車速の平均値とされることを特徴とする請求項3に記載の車輌。
- 前記検定結果に対するその後のブレーキパッドの制動性能の対比は制動油圧が第三の所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったとき更に制動油圧が該所定偏差内にて一定となっている状態が第四の所定期間にわたって続くとき該制動油圧と車速の積と該第四の所定期間内に於ける車輌の運動エネルギの低減量との対応関係を前記検定の対応関係と比較するものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の車輌。
- 前記検定が行われた後ドアが開かれたときには、ドアが閉じられた後、制動油圧が所定期間にわたって所定の偏差内にて一定となったときブレーキパッドの制動性能を再度検定し、その後ブレーキパッドの制動性能を該再検定結果に対比させることによりブレーキパッドの制動性能の低下を判断するようになっていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の車輌。
- 車輌は更に回生制動を行う回生制動手段を有し、ブレーキパッドの制動性能の低下に応じてブレーキパッドにより摩擦制動の一部を回生制動に置き換えるようになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車輌。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005338419A JP2007145052A (ja) | 2005-11-24 | 2005-11-24 | ブレーキパッドの制動性能の低下を推定する車輌 |
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JP2005338419A JP2007145052A (ja) | 2005-11-24 | 2005-11-24 | ブレーキパッドの制動性能の低下を推定する車輌 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010104086A (ja) * | 2008-10-21 | 2010-05-06 | Mitsubishi Motors Corp | 電気自動車の回生制御装置 |
JPWO2013103019A1 (ja) * | 2012-01-06 | 2015-05-11 | キャピィ インク | キャプチャ提供方法及びプログラム |
-
2005
- 2005-11-24 JP JP2005338419A patent/JP2007145052A/ja active Pending
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