JP2007144511A - 鋳物製造用構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性に優れ、複雑で且つ肉厚の薄い構造を可能とする鋳物製造用構造体を提供する。
【解決手段】平均粒径が70μm以下である鱗状黒鉛、無機繊維、有機繊維及び熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳物の製造時に用いられる鋳型等の構造体及び該構造体の製造方法、並びに該構造体を用いた鋳物の製造方法に関する。
鋳物は、一般に、木型や金型などをもとに鋳物砂で内部にキャビティを有する鋳型を形成するとともに、必要に応じて該キャビティ内に中子を配した後、該キャビティに溶湯を供給して製造されている。
木型、金型の製造は、加工に熟練を要し高価な設備も必要で、高価で重い等の欠点と共に廃棄処理の問題も生じ、量産の鋳物のほかには使用が困難である。また、鋳物砂を用いた砂型は、通常の砂にバインダーを添加し、硬化させて形状を保持させているため、砂の再利用には再生処理工程が必須となる。また、再生処理の際にダストなどの廃棄物が発生するなどの問題も生じている。加えて、中子を砂型で製造する場合、上記課題に加え中子自身の質量のため取り扱いに難があり、さらには、鋳込み時の強度保持と鋳込み後の中子除去性という相反する性能が要求される。
軽量化、加工性、廃材問題を解決する手段として、鋳型に用いる部材を、紙等の有機繊維物で成形するものが知られており、中でも、成形性や形状保持性等に優れるものとして、有機繊維、無機繊維及び熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体(下記特許文献1参照)が開示されている。また、有機繊維、無機繊維及び熱硬化性樹脂に、更に無機粒子を含有する鋳物製造用構造体(下記特許文献2参照)が開示されている。
特開2004−181472号公報 特開2005−153003号公報
特許文献1、2のような技術によって、中空形状や複雑な立体形状の構造体を得ることができるが、精密な鋳物を得る要求から、更に複雑形状で、肉厚の薄い構造体を得る技術が求められている。
本発明の課題は、さらに成形性に優れ、複雑で且つ肉厚の薄い構造を可能とする鋳物製造用構造体を提供することにある。
本発明は、平均粒径が70μm以下である鱗状黒鉛、無機繊維、有機繊維及び熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体に関する。
また、本発明は、上記本発明の鋳物製造用構造体の製造方法であって、前記鱗状黒鉛、前記無機繊維及び前記有機繊維を少なくとも含む原料スラリーを用いた抄造工程を具備する鋳物製造用構造体の製造方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の鋳物製造用構造体を用いる鋳物の製造方法に関する。
本発明によれば、成形性に優れる鋳物製造用構造体が提供される。
本発明の鋳物製造用構造体は、有機繊維、無機繊維、平均粒径が70μm以下である鱗状黒鉛(以下本発明の鱗状黒鉛と言う。)及び熱硬化性樹脂を含有するものである。
前記有機繊維、前記無機繊維、前記本発明の鱗状黒鉛及び前記熱硬化性樹脂の配合比は、前記有機繊維/前記無機繊維/前記本発明の鱗状黒鉛/前記熱硬化性樹脂=2〜70/1〜70/10〜90/5〜70(質量比率)、さらには2〜50/2〜50/20〜85/5〜50(質量比率)特には2〜30/2〜30/30〜80/5〜40(質量比率)であることが好ましい。
前記有機繊維の鋳物製造用構造体における含有量は、添加による効果が十分に発現する観点、並びに構造体の成形性及び鋳込み後の構造体の除去性に優れる観点から、2質量%以上が好ましく、鋳込み時のガス発生量を低減して鋳物の表面欠陥の発生を抑制する観点、並びに構造体の耐熱性及び鋳物の形状保持性に優れる観点から、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。これらのことから、前記有機繊維の鋳物製造用構造体における比率は、2〜70質量%が好ましく、2〜50質量%がより好ましく、2〜30質量%が更に好ましい。
また、前記無機繊維の鋳物製造用構造体における含有量は、構造体の耐熱性低下に伴う熱収縮を抑制して鋳物の形状保持性を向上させる観点、ガスの発生量を抑制する観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、構造体の成形性及び鋳込み後の構造体の除去性に優れる観点から、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。これらのことから、前記無機繊維の鋳物製造用構造体における比率は、1〜70質量%が好ましく、2〜50質量%がより好ましく、2〜30質量%が更に好ましい。
さらに、前記本発明の鱗状黒鉛の鋳物製造用構造体における含有量は、添加による効果が十分に発現する観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。構造体の成形性、鋳物の形状保持性に優れる観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。これらのことから、前記本発明の鱗状黒鉛の鋳物製造用構造体における比率は、10〜90質量%が好ましく、20〜85質量%がより好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。
またさらに、前記熱硬化性樹脂の鋳物製造用構造体における含有量は、鋳物の表面の平滑性を得る観点、構造体の強度や形状保持性を向上する観点から、5質量%以上が好ましく、構造体の成型性を向上する観点、及びガス発生量を低減して鋳物の表面欠陥を抑制する観点から、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。これらのことから、前記熱硬化性樹脂の鋳物製造用構造体における比率は、5〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、5〜40質量%が更に好ましい。
本発明は、平均粒径が70μm以下である鱗状黒鉛を使用する点に特徴があり、このことよって、鋳物製造用構造体の成形性が向上し、複雑な立体形状でしかも寸法精度の優れた鋳物製造用構造体を製造することができる。本発明の効果が発現する理由は明らかではないが、鋳物製造用構造体の中間体である抄造体が成形に適した何らかの嵩密度、均一性あるいは平滑性などを有しているものと推察される。
前記有機繊維は、主として鋳物製造用構造体において鋳造に用いられる前の状態ではその骨格をなし、鋳物製造用構造体の成形性を向上させる成分である。また、鋳造に用いられたときには溶融金属の熱によってその一部若しくは全部が燃焼し、鋳物製造後の鋳物製造用構造体の内部に空隙を形成して鋳物製造用構造体の除去性を向上させる成分である。
前記有機繊維としては、紙繊維、フィブリル化した合成繊維、再生繊維(例えば、レーヨン繊維)等の繊維が挙げられる。有機繊維は、これらを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、特に、抄造により多様な形態に成形できるほか、脱水後と乾燥後に十分な強度が得られる点から紙繊維を用いることが好ましい。
前記紙繊維としては、木材パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ、竹やわらその他の非木材パルプが挙げられる。紙繊維は、これらのバージンパルプ若しくは古紙パルプを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。紙繊維は、入手の容易性、環境保護、製造費用の低減等の点から、特に古紙パルプが好ましい。
前記有機繊維は、鋳物製造用構造体の成形性、表面平滑性、耐衝撃性を考慮すると、平均繊維長が0.3〜2.0mm、特に0.5〜1.5mmであるものが好ましい。
前記無機繊維は、主として鋳物製造用構造体において鋳造に用いられる前の状態ではその骨格をなし、鋳造に用いられたときには溶融金属の熱によって燃焼せずにその形状を維持する成分である。特に、鋳物製造用構造体が溶融金属の熱によって熱分解して生じる熱収縮を抑える成分である。
前記無機繊維としては、炭素繊維、ロックウール等の人造鉱物繊維、セラミック繊維、天然鉱物繊維が挙げられる。無機繊維は、これらを単独で又は二以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、鋳物製造用構造体の熱分解に伴う収縮を効果的に抑える点から高温でも高強度を有するピッチ系やポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましく、特にPAN系の炭素繊維が好ましい。これら炭素繊維は、ロックウール等の人造鉱物繊維、セラミック繊維、天然鉱物繊維等の無機繊維と組み合わせて使用することができる。
前記無機繊維は、鋳物製造用構造体を抄造して脱水する場合の脱水性、鋳物製造用構造体の成形性、均一性の観点から平均繊維長が0.2〜10mm、特に0.5〜8mmであるものが好ましい。
前記無機繊維は、鋳物製造用構造体の熱分解に伴う熱収縮を効果的に抑える機能を有している。
前記本発明の鱗状黒鉛は、構造体の成形性を更に向上させる観点から、鱗状黒鉛の平均粒径は、70μm以下であり、好ましくは65μm以下であり、より好ましくは60μm以下の鱗状黒鉛である。鱗状黒鉛は、球状黒鉛、土状黒鉛に比べて構造体の強度を付与する点で優れるものである。鱗状黒鉛の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、抄造工程に於ける抄造性の観点から、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。かかる観点から、本発明の鱗状黒鉛の平均粒径は、好ましくは5〜70μmであり、より好ましくは10〜65μmであり、更に好ましくは10〜60μmである。
ここで、鱗状黒鉛の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA-920)を用いて測定された体積累積50%の平均粒子径である。分析条件は下記の通りである。
・測定方法:フロー法
・屈折率:1.50(メタノールに対する相対屈折率)
・分散媒:メタノール
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・試料濃度:2mg/100cc
さらに、構造体の成形性を更に向上させる観点から、本発明の鱗状黒鉛の平均結晶子サイズは、24nm以上が好ましく、より好ましくは26nm以上であり、更に好ましくは28nm以上の鱗状黒鉛である。鱗状黒鉛の平均結晶子サイズの上限は、特に限定されるものではないが、抄造工程に於ける抄造性の観点から、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは150nm以下である。かかる観点から、本発明の鱗状黒鉛の平均結晶子サイズは、好ましくは24〜200nmであり、より好ましくは26〜200nmであり、更に好ましくは28〜150nmである。
ここで、鱗状黒鉛の平均結晶子サイズは、X線回折分析装置((株)リガク製 MultiFlex)を用いて測定されたものである。分析条件は下記の通りである。
・分析方法
(1)試料を乳鉢で粉砕し、粉末を得る。
(2)X線回折用ガラスホルダーに圧着する。
(3)下記分析条件に示す条件にてX線回折分析を行う。
・分析条件
管球 :Cu 40kV、40mA
ゴニオメーター:広角ゴニオメーター
SCAN :3°〜90°、2°/min(0.02°/0.6sec)
スリット :DS1°、SS1°、RS0.3mm
計算式 :Scherrerの式 D=Kλ/βcosθ
(D:結晶子サイズ、K=0.9、λ:X線の波長(Å)、β:半価幅、θ:回折角(°))
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、常温強度及び熱間強度を維持させると共に、鋳物の表面粗度を向上させるために必要な成分であり、塗型剤を塗布した砂型と同等の表面平滑性が得られ、塗型剤を使用しなくても良いほどである。従来のアルコール系塗型剤等使用時の着火乾燥が困難な有機繊維等を含有する本発明の鋳物製造用構造体に重要な性能である。
斯かる性能を有する前記熱硬化性樹脂には、特に、可燃ガスの発生が少なく、燃焼抑制効果があり、熱分解(炭化)後における残炭率が25%以上と高く、鋳造時に炭素皮膜を形成するために良好な鋳肌を得ることができる点からフェノール系樹脂を用いることが好ましい。なお、残炭率は、示査熱分析により還元雰囲気下(窒素雰囲気下)にて1000℃に加熱後の残留質量により求めることができる。
前記フェノール樹脂としては、ノボラックフェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂、ビスフェノールAやビスフェノールFのフェノール樹脂、尿素、メラミン、エポキシなどで変成した変性フェノール樹脂等が挙げられるが、好ましくはノボラックフェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂、ビスフェノールAのレゾール樹脂又はこれらの変性樹脂である。
熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂中、前記ノボラックフェノール樹脂を使用した場合に必要となる硬化剤は、水に溶け易いため、湿式抄造による場合には特に成形体の脱水後に塗工することが好ましい。前記硬化剤には、ヘキサメチレンテトラミン等を用いることが好ましい。
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられ、好ましくはフェノール又はo-クレゾールのノボラック型エポキシ樹脂である。また、該エポキシ樹脂の硬化剤としては、アミン、酸無水物、フェノールノボラック等が挙げられ、好ましくはフェノールノボラックである。更に必要に応じてトリフェニルフォスフィン等の硬化触媒を用いることができる。
前記フラン樹脂としては、フルフリルアルコールを主原料とする樹脂が挙げられ、ホルムアルデヒドや尿素等で変性されていてもよい。また、該フラン樹脂の硬化剤としては、キシレンスルホン酸、硫酸、リン酸等の酸性化合物が用いられる。
前記熱硬化性樹脂は、単独で又は二以上を選択して用いることもでき、さらにはアクリル系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂等と併用することもできる。特に、本発明の鋳物製造用構造体を中空中子に適用する場合には、熱硬化性樹脂(特に残炭率が15%以上、特には25%以上)を使用することで、高い熱間強度が得られ、中空中子としての機能を十分に発揮できる。
前記熱硬化性樹脂は、前記有機繊維、前記無機繊維又は前記無機粒子にコーティングしたり、粉末化又は乳化して原料スラリー中に添加したりし、抄造後乾燥成形したときに前記有機繊維、前記無機繊維及び前記無機粒子を結合させるもの、成形体の抄造後に含浸させ、乾燥又は硬化させることで鋳物製造用構造体の強度を高め、鋳込み時に溶融金属の熱によって炭化させて強度を維持するものなど、その後の鋳込み時の溶融金属の熱によって炭化して炭素皮膜を形成し、鋳物製造用構造体の強度の維持と鋳物の表面平滑性の向上に寄与し得るものであれば含有させる形態はいずれでもよい。
本発明の鋳物製造用構造体は、前記有機繊維、前記無機繊維、前記本発明の鱗状黒鉛及び前記熱硬化性樹脂に加えて、構造体の成形性を向上させる観点から、熱膨張性粒子を含有することが好ましい。
本発明の鋳物製造用構造体中の熱膨張性粒子の含有量は、前記有機繊維、前記無機繊維、前記本発明の鱗状黒鉛及び前記熱硬化性樹脂の総質量に対し、0.5〜10質量%が好ましく、更に1〜5質量%がより好ましい。熱膨張性粒子を斯かる範囲で含んでいると膨張による成形精度への悪影響を抑えた上で添加効果が十分に得られる。また、不必要な膨張を防ぐための冷却時間をとらずに済むので、高い生産性を維持することができる。
前記熱膨張性粒子としては、熱可塑性樹脂の殻壁に、気化して膨張する膨張剤を内包したマイクロカプセルが好ましい。該マイクロカプセルは、80〜200℃で加熱すると、直径が好ましくは3〜5倍、体積が好ましくは50〜100倍に膨張する平均粒径が好ましくは5〜80μm、より好ましくは5〜60μm、更に好ましくは20〜50μmの粒子が好ましい。
ここで、熱膨張性粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA-920)を用いて測定された体積累積50%の平均粒子径である。分析条件は下記の通りである。
・測定方法:フロー法
・屈折率:熱膨張性粒子によって変動(LA-920添付のマニュアル参照)
・分散媒:イオン交換水+ヘキサメタリン酸ナトリウム0.1%混合
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・試料濃度:2mg/100cc
該マイクロカプセルの殻壁を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はこれらの組み合わせが挙げられる。前記殻壁に内包される膨張剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、石油エーテル等の低沸点の有機溶剤が挙げられる。
本実施形態の鋳物製造用構造体には、前記有機繊維、前記無機繊維、前記前記本発明の鱗状黒鉛及び前記熱硬化性樹脂に加えて、必要に応じ、本発明の鱗状黒鉛以外の無機粒子、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン樹脂等の紙力強化材、ポリアクリルアミド系等の凝集剤、着色剤等の他の成分を適宜の割合で添加することができる。
本発明の鱗状黒鉛以外の無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ムライト、マグネシア、ジルコニア、雲母、黒鉛、黒曜石等の耐火度800〜4000℃の無機粒子が挙げられ、耐熱性、構造体成型時の離型性の点からは黒鉛が好ましい。これらの無機粒子は単独で又は二種以上を併用しても良い。
ここで、無機粒子の耐火度は、ゼーゲルコーンを用いた測定方法(JIS R2204)で測定される。
無機粒子の平均粒子径は200μm以下のものを用いることが好ましく、上記熱膨張性粒子と同様の測定法で求めることができる。
本実施形態の鋳物製造用構造体は、表面粗度(Ra)が20μm以下、特には3〜15μm、更には5〜10μm以下とするのが好ましい。斯かる表面粗度とすることで、得られる鋳物の表面の平滑性をより優れたものとすることができる。ここで、表面粗度は、市販の測定装置で測定することができ、例えば、表面粗度(Ra)は、実施例に記載の測定法により測定することができる。
本実施形態の鋳物製造用構造体の厚さは、その用いられる部分に応じて適宜設定することができるが、少なくとも溶融金属と接する部分における厚さが、0.2〜5mm、特に0.4〜2mmであることが好ましい。厚さが0.2mm以上であれば、鋳物砂を充填して造型するときに要する十分な強度が得られ、鋳物製造用構造体、特に、中子等の構造体の形状機能が維持できるので好ましい。また、厚さが5mm以下であれば、鋳込み時のガス発生量が低減されて鋳物の表面欠陥も発生しにくくなるほか、成形時間も短縮でき、製造費を低減できるので好ましい。尚、ここで構造体の厚さは、市販の測定装置であるマイクロメーターにより測定することができる。
本実施形態の鋳物製造用構造体は、鋳造に用いられる前の状態において、抗折強度が5MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましい。
本実施形態の鋳物製造用構造体は、水を分散媒とした原料スラリーを用いた抄造工程を経て製造したときには、鋳込み時のガス発生量を極力抑える点から、鋳造に用いられる前の状態において、含水率(質量含水率)が10%以下、特には8%以下であることが好ましい。
本実施形態の鋳物製造用構造体は、軽量性と、造型作業や二次加工のし易さの点でから、鋳造に用いられる前の状態において、その比重が1.0以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。
本実施形態の鋳物製造用構造体は、内面に鋳物製品形状のキャビティーを有する主型、その主型に入れて使用する中子、或いは湯道などの注湯系部材等に適用することができるが、本発明の鋳物製造用構造体が表面平滑性に優れており、良好な鋳肌の鋳物を得ることができるため、主型や中子への適用が好ましい。
本実施形態の鋳物製造用構造体を鋳物の製造に用いると、従来のように、主型の周りに充填する鋳物砂、中空中子にバックアップの目的で充填する鋳物砂を必ずしもバインダーで硬化させる必要がないので、鋳物砂の再生が容易となる利点も生じる。
次に、本発明の鋳物製造用構造体の製造方法を、その好ましい実施形態として上述した実施形態の鋳物製造用構造体の製造方法に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の鋳物製造用構造体の製造方法を実施するための製造装置の一実施形態を模式的に示したものである。これらの図において、符号1は製造装置を示している。
図1に示すように、製造装置1は、開口部の周縁部にフランジ部111を有する半筒状の鋳物製造用構造体11(図10参照)を製造するものであり、原料スラリーを供給する原料供給手段2と、原料供給手段2から供給される原料スラリーから湿潤状態の抄造体(中間体)を抄造する抄造手段3と、抄造された抄造体を乾燥成形する乾燥成形手段4とを備えている。なお、二つの同形の半筒状の鋳物製造用構造体11が合体されてキャビティが形成される。
尚、抄造体(乾燥成形前の構造体)の表面粗度(Ra)は、成形性向上の観点から、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μmである。下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm以上である。かかる観点から、抄造体の表面粗度(Ra)は、好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは5〜80μmである。表面粗度(Ra)は、実施例に記載の測定法により測定することができる。
原料供給手段2は、注入枠20と、この注入枠20を上下動させる上下動機構21と、注入枠20内に原料スラリーを供給するスラリー供給管22とを備えている。スラリー供給管22にはバルブ23が配設されている。
抄造手段3は、いわゆる雄型の形態を有する抄造型30を備えている。抄造型30は、抄造する抄造体の形状に対応した抄造部300を有している。抄造部300には、その表面において開口する気液流通路301(図2参照)が内部に設けられており、この気液流通路301には吸引ポンプ302に通じる排出管303が接続されている。排出管303にはバルブ304が配設されている。抄造部300の表面には抄造ネット305が配されている。
図1〜図3に示すように、乾燥成形手段4は、雌型40及び雄型41を備えている。雌型40及び雄型41が互いに突き合わせられたとき、これらの型間には、成形する鋳物製造用構造体の外形形状に対応した空隙(クリアランス)が形成される。雌型40は、得られる鋳物製造用構造体11の外形形状に対応した凹状の成形部400を有している。雌型40は前記成形部400を加熱するヒーター(加熱手段)401を備えている。雌型40は上下動手段402によって上下動する。雌型40には、成形部400において開口する気液流通路(図示せず)が内部に設けられている。この気液流通路には、吸引ポンプ及びコンプレッサ(ともに図示せず)に通じる流通管403が接続されている。流通管403にはバルブ404が配設されている。雄型41は、得られる鋳物製造用構造体11の内面形状に対応した凸状の成形部410を有している。雄型41の成形部410には、その表面において開口する気液流通路411(図3参照)が内部に設けられており、この気液流通路411には吸引ポンプ412に通じる排出管413が接続されている。排出管413にはバルブ414が配設されている。図には示していないが、成形部410の内部には、成形部410を加熱するヒーター(加熱手段)が配されている。成形部400及び410の表面は、フッ素樹脂により表面がコーティングされていることが望ましい。
製造装置1は、前記抄造型30及び雄型41をガイド50に沿って所定位置に移動させる移動手段(図示せず)を備えている。また、製造装置1は、上記各手段と接続されてこれら各手段を後述するような手順に従って作動させるシーケンサーを備えた制御手段(図示せず)を備えている。
次に、上記製造装置1を用いた鋳物製造用構造体の製造方法を、図4〜図10を参照しながら説明する。なお、これらの図中、符号10は抄造体、11は鋳物製造用構造体を示している。
本実施形態の製造方法では、前記有機繊維、前記無機繊維、前記本発明の鱗状黒鉛及び前記熱硬化性樹脂を前記所定配合比で含む原料スラリーを調製し、該原料スラリーを用いた湿式抄造法によって所定形状の成形体を抄造し、脱水、乾燥して鋳物製造用構造体を製造する。
前記原料スラリーの分散媒としては、水、白水の他、エタノール、メタノール等の溶剤等が挙げられ、これらの中でも抄造・脱水の安定性、品質の安定性、費用、取り扱い易さ等の点から特に水が好ましい。
前記原料スラリーにおける前記分散媒に対する前記各繊維及び本発明の鱗状黒鉛の合計の割合は、0.1〜3質量%、特に0.5〜2質量%であることが好ましい。原料スラリー中の前記繊維及び本発明の鱗状黒鉛の合計割合が多すぎると肉厚むらが生じやすくなる。特に中空品の場合には内面の表面性が悪くなる場合がある。逆に、少なすぎると局所的な薄肉部が発生する場合がある。
前記原料スラリーには、必要に応じて、前記紙力強化材、前記凝集剤、防腐剤等の添加剤を適宜の割合で添加することができる。
そして調製した原料スラリーから湿潤状態の抄造体10(図8参照)を抄造する。
抄造体10の抄造工程(以下、実施形態の抄造工程1という)では、図4に示したように、上下動機構21によって注入枠20が下げられ、バルブ23が開き、スラリー供給管22を通じて原料スラリーが注入枠20内に供給される。原料スラリーの供給量が所定量に達すると、バルブ23が閉じて原料スラリーの供給が停止される。そして、バルブ304が開き、気液流通路301及び排出管303を介して吸引ポンプ302によって原料スラリーの液体分が吸引されるとともに、固形分が抄造ネット305の表面に堆積されて湿潤状態の抄造体10が形成される。抄造体10中の液体含有率は、抄造体10のハンドリング性、抄造体10が雌型40と雄型41に挟まれてプレスされる際の繊維の流動による抄造体10の変形(プレスによりある程度は変形する方がよい)を考慮すると、抄造体10中の固形分100質量部に対して液体分を50〜300質量部とするのが好ましく、70〜200質量部とするのがより好ましい。該液体含有率は、吸引ポンプ302を通じた液体成分の吸引により調整され、所定の液体含有率になったところで吸引が停止される。
抄造体10の抄造が終了すると、図5に示したように、上下動機構21によって注入枠20が引き上げられ、前記移動手段によって抄造型30がガイド50に沿って雌型40の下方に移される。このようにして、図8に示すように、開口部の周縁部にフランジ部101を有し、フランジ部101と周壁部102との間に角部103を有する抄造体10が抄造される。
次に、雌型40が上下動機構402によって下げられ、抄造型30と突き合わされる。そして、雌型40における流通管403を通じて抄造体10が成形面400側に吸着された後、上下動機構402によって雌型40が引き上げられ、抄造型30から雌型40に抄造体10が受け渡される。雌型40はその後図6に示す雄型41との乾燥成形位置に移される。
次に、抄造体を成形型内で加熱して乾燥成形する。乾燥工程では、図6に示したように、雌型(成形型)40が上下動機構402によって下げられ、所定温度に加熱された雄型(成形型)41と突き合わされ、これらの雄雌型の間で抄造体10がプレス成形される。このとき、前記原料スラリー中に熱膨張性粒子を含む場合は、前記熱膨張性粒子が膨張されながら乾燥成形が進行し、加熱乾燥が行われた鋳物製造用構造体が得られる。前記熱膨張性粒子が膨張されながら乾燥成形が進行する事で、図9に示したように、成形品の転写性が向上し、鋳物製造用構造体11におけるフランジ部111と周壁部112との交点に形成される角部113の頂点が尖鋭となる。また、雌型(成形型)40と雄型(成形型)41の突き合せでは十分なプレス効果が得られにくい鋳物製造用構造体11における壁面部114、115等(図10(a)参照。)においても表面の平滑性に優れた鋳物製造用構造体を得る事が出来る。
雌型40と雄型41の温度(金型温度)は、製造する鋳物製造用構造体に応じて適宜設定されるが、抄造体10の焦げ付き防止等を考慮すると、100〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。雌型40と雄型41によるプレス成形の圧力は、肉厚部を確実に押し潰すこと等を考慮すると、0.2MPa〜10MPaが好ましく、0.5MPa〜5MPaがより好ましい。ただし、プレス成形の圧力は、鋳物製造用構造体を構成する材料の種類、強度等で大きく変化することもあり得る。
乾燥成形の際は、バルブ414が開いており、抄造体10の水分は、気液流通路411(図3参照)及び排出管413を介して吸引ポンプ412によって吸引されて外部に排出される。その一方で、上下動機構21によって注入枠20が下げられ、抄造型30の抄造部301が再び注入枠20に内包される。そして、前記抄造工程と同様にして抄造体が新たに抄造される。
乾燥成形工程が終了すると、流通管403からの吸引が前記コンプレッサによる空気噴射に切り替えられ、図7に示したように、上下動機構402によって雌型40が引き上げられる。そして、吸引ポンプ412による吸引が停止された後、雄型41側に残った鋳物製造用構造体11を雄型41から取り外し、鋳物製造用構造体11の製造を完了する。また、上下動機構41によって注入枠20が引き上げられ、抄造工程を終えた新たな抄造体は、その後加熱工程に移される。本実施形態の製造方法では、このような抄造、乾燥成形の工程が繰り返し行われる。
このようにして製造された鋳物製造用構造体11は、図10(a)に示すように、フランジ部111同士を対向させて突き合わせた場合に、図10(b)に示すように、互いの角部113の頂点が尖鋭なので、例えば該鋳物製造用構造体を2つ突き合わせて鋳物製造用鋳型とし、そのキャビティ内に溶湯を供給して鋳物を製造する場合、図10(b)から明らかなように、当該角部どうしの突き合わせ部分には実質的に隙間が形成されないので、得られる鋳物にバリが生じない。
得られた鋳物製造用構造体には、強度を向上させるために必要に応じて、コロイダルシリカ、エチルシリケート、水ガラス等を部分的又は全体に含浸させ、コーティングすることができる。
このようにして得られる鋳物製造用構造体は、有機繊維、無機繊維、本発明の鱗状黒鉛粒子及び熱硬化性樹脂の各成分がむらなく均一に分散しているため、熱収縮に伴うひび割れ等の発生が抑えられ、高い熱間強度が得られ、表面の平滑性にも優れている。
また、鋳物製造用構造体は、予め150〜300℃、特には150〜250℃で熱処理を行い、熱硬化性樹脂の硬化を進めることが好ましい。このような熱処理を行うことで、より優れた形状保持性を有する鋳物製造用構造体が得られる。特に、鋳物の材質や形状によりガス欠陥の発生が懸念される場合にも好適である。斯かる熱処理による熱硬化性樹脂の硬化度は、下記の熱硬化性樹脂のアセトン不溶分量で30%以上、特には80%以上とすることが好ましい。
前記熱硬化性樹脂の不溶分量は、具体的には、次のように求められる。すなわち、前記鋳物製造用構造体から試料約5gを採取し、ミルで粉砕して質量(a)を精秤する。この粉砕試料をアセトンとともに容器に加えて十分に振とうさせた後、常温で放置する。次いで、前記容器に前記粉砕試料が残らないようにして、該粉砕試料をろ紙(質量(c))で十分にろ過し、ろ過した該粉砕試料を該ろ紙とともに乾燥してそれら(粉砕試料及びろ紙)の質量(b)を精秤する。そして、得られた各質量(a)〜(c)及び前記粉砕試料中の前記熱硬化性樹脂以外の成分の理論質量(d)に基づいて、下記式から前記熱硬化性樹脂の不溶分量(%)を求める。
不溶分量%=100−(a−(b−c))×100/(a−d)
次に、本発明の鋳物の製造方法を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
本実施形態の製造方法では、上述のようにして得られた所定の鋳物製造用構造体を鋳物砂内の所定位置に埋設して造型する。鋳物砂には、従来からこの種の鋳物の製造に用いられている通常のものを特に制限なく用いることができる。なお、鋳物砂はバインダーで硬化させなくてもよいが、必要に応じて硬化させてもよい。鋳物製造用構造体が中空中子の場合には中子内に鋳物砂の充填は不要であるが、充填することもできる。
そして、注湯口から溶融金属を注ぎ入れ、鋳込みを行う。このとき、前記無機繊維及び熱硬化性樹脂によって熱間強度が維持され、鋳物製造用構造体の熱分解に伴う熱収縮が抑えられるため、各鋳物製造用構造体にひび割れが生じたり、鋳物製造用構造体自体が破損したりすることもほとんどなく、溶融金属の鋳物用構造体への差込みや鋳物砂などの付着もほとんど生じることがない。
鋳込みを終えた後、所定の温度まで冷却し、鋳枠を解体して鋳物砂を取り除き、さらにブラスト処理によって鋳物製造用構造体を取り除いて鋳物を露呈させる。この時、前記有機繊維が熱分解しているため、鋳物製造用構造体の除去処理は容易である。その後必要に応じて鋳物にトリミング処理等の後処理を施して鋳物の製造を完了する。
本実施形態の鋳物の製造方法は、前記有機繊維、前記無機繊維、前記本発明の鱗状黒鉛及び前記熱硬化性樹脂を含む鋳物製造用構造体を用いるので、前記無機繊維及び熱硬化性樹脂によって熱間強度が維持することができ、寸法精度や表面の平滑性に優れる鋳物を製造することができる。また、前記有機繊維などの熱分解によって鋳物構造体の内部に空隙を形成して鋳込み後の当該鋳物製造溶構造体の除去を容易に行うことができるので、従来に比べて廃棄物処理を簡便に行うことができるほか、その廃棄物の発生量も大幅に抑えることができる。また、鋳物砂をバインダーで硬化させる必要がないため、鋳物砂の再生処理も簡便なものとなる。
本発明は上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
本発明の鋳物製造用構造体は、前記実施形態のように、立体的な中空形状の鋳物製造用構造体を形成する上では、湿式抄造法によって成形体を抄造し、脱水、乾燥成形工程を経て鋳物製造用構造体を製造することが好ましいが、前記原料スラリーを抄紙してシート状の成形体を形成し、これを紙管として巻き上げて鋳物製造用構造体を製造することもできる。
また、乾燥成形後に最終的な形状に対応した鋳物製造用構造体が得られるように製造することが好ましいが、乾燥後に得られた成形体を切断して分割し、分割された部品どうしを嵌合や螺合等で連結できる形態で製造することもできる。この場合、予め端部や分割部分に嵌合や螺合部を有する形態で成形しておくことが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
〔実施例1〕
<原料スラリーの調製>
下記配合成分を水に分散させて約1%(水に対し、鱗状黒鉛、無機繊維、有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計質量が1質量%)のスラリーを調製した。
〔原料スラリーの配合〕
鱗状黒鉛:BP8083(Bogala Graphite Lanka Limited、平均粒径56μm)
無機繊維:PAN炭素繊維(東レ(株)製、商品名「トレカチョップ」、繊維長:3mm、収縮率:0.1%)
有機繊維:紙繊維(新聞古紙、平均繊維長1mm)
熱硬化性樹脂:フェノール樹脂(エア・ウォーター・ベルパール(株)製「S890」)
成分質量配合率(%):鱗状黒鉛/無機繊維/有機繊維/熱硬化性樹脂=80/4/4/12
分散媒:水
〔鱗状黒鉛の平均粒径測定〕
鱗状黒鉛の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて測定された体積累積50%の平均粒子径である。
・測定方法:フロー法
・屈折率:1.50(メタノールに対する相対屈折率)
・分散媒:メタノール
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・試料濃度:2mg/100cc
〔抄造体の抄造〕
上記原料スラリー、及び抄造型(該抄造型の形状は、図2に示された形状とほぼ同じ)を用い、前述の実施形態の抄造工程1のようにして抄造体を抄造した。そして、肉厚は1mm〜3mmの抄造体を得た。
〔鋳物製造用構造体の乾燥成形〕
得られた抄造体を、外形形状に対応した1mmのクリアランスを有し、成形面にフッ素樹脂コートを施した成形型内に配置し、下記条件で乾燥成形し、鋳物製造用構造体を作製した。
プレス成形圧力:3.8MPa
乾燥型温度:200℃
〔鋳物製造用構造体の成形性の評価〕
鋳物製造用構造体図10の壁面部114壁面部に於ける穴開きの発生状況、また116×印で示した、114壁面部4面の計12点の肉厚をマイクロメーターにて測定し、その成形性を下記三段階によって評価した。結果を表1に示す。
◎:穴開きは発生せず、且つ、肉厚1mm以下の部分が存在しない。
○:穴開きは発生しないが、肉厚1mm以下の部分が存在する。
×:穴開きが発生している。
〔実施例2〕
鱗状黒鉛を#285(中国青島閣▲キン▼石墨制品有限公司、平均粒径47μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。成形性を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
鱗状黒鉛を#185(穆林▲エイ▼盛石墨廠、平均粒径80μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。成形性を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
鱗状黒鉛を土状黒鉛(平均粒径30μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。成形性を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2007144511
表1に示すように、実施例1及び2では、鋳物製造用構造体壁面部の穴開きは発生しなかった。これに対し、比較例1及び2では、鋳物製造用構造体は成形できるものの、成形性が悪かった。
尚、鱗状黒鉛の平均結晶子サイズ(前記記載の測定法による)は、実施例1では33nmであり、実施例2では24nmである。これに対し、比較例1では23nmである(比較例2では土状黒鉛なので測定せず。)。
〔実施例3〕
<原料スラリーの調製>
下記配合成分を水に分散させて約1%(水に対し、鱗状黒鉛、無機繊維、有機繊維熱硬化性樹脂及び熱膨張性粒子の合計質量が1質量%)のスラリーを調製した。
〔原料スラリーの配合〕
鱗状黒鉛:BP8083(平均粒子径56μm、実施例1と同様のものを使用。)
無機繊維:PAN炭素繊維(東レ(株)製、商品名「トレカチョップ」、繊維長:3mm、収縮率:0.1%)
有機繊維:紙繊維(新聞古紙、平均繊維長1mm)
熱硬化性樹脂:フェノール樹脂(エア・ウォーター・ベルパール(株)製「S890」)
熱膨張性粒子:熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬(株)製、商品名「マツモトマイクロスフェアーF-105D」)
成分質量配合率(%):鱗状黒鉛/無機繊維/有機繊維/熱硬化性樹脂/熱膨張性粒子=76/4/4/12/4
分散媒:水
〔鱗状黒鉛の平均粒径測定〕
前記実施例1と同様の方法により測定。
〔抄造体の抄造〕
前記実施例1と同様の方法により、肉厚1mm〜3mmの抄造体を得た。
〔鋳物製造用構造体の乾燥成形〕
前記実施例1と同様の方法により、鋳物製造用構造体を作製した。
〔鋳物製造用構造体の成形性の評価〕
前記実施例1と同様の方法により、成形性を評価した。結果を表2に示す。
〔実施例4〕
鱗状黒鉛を#285(中国青島閣▲キン▼石墨制品有限公司、平均粒径47μm、実施例2と同じもの)に変更した以外は、実施例3と同様にして鋳物製造用構造体を得た。実施例3と同様にして成形性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2007144511
表2で示すように、実施例3及び4では、鋳物製造用構造体壁面部の穴開きは発生しなかった。さらに、実施例3及び4のように熱膨張性粒子を含有させることで、上記実施例1及び2のように熱膨張性粒子が含有されていない場合よりも、さらに肉厚変動が少なく、乾燥型の形状が寸法精度良く転写されていた。
〔実施例5及び実施例6〕
実施例1及び2の抄造体について、抄造体表面の粗さを評価した。すなわち、実施例1及び2で抄造した抄造体表面の算術平均粗さRaを非接触式レーザ(KEYENCE製、センサヘッド LB−080、アンプユニット LB−1100)で測定した。結果を表3に示す。なお、算術平均粗さRaはJIS B0601(2001)に従って測定した。
Figure 2007144511
表3で示すように、実施例5は、実施例6に比較して抄造体表面の算術平均粗さRaが更に低くなる。すなわち平均結晶子サイズが大きい方が、抄造体が平滑に抄造されていた。
尚、抄造体の算術平均粗さが低いほど、抄造体をプレス成形する時に、抄造体と成形型との干渉(引っかかり)が低減される結果、成形性向上(穴開き発生抑制、肉厚の均一化)に寄与すると考えられる。従って、より複雑な構造体になればなるほど、平均結晶子サイズが大きい方が、成形性向上(穴開き発生抑制、肉厚の均一化)に優れると考えられる。
本発明の鋳物製造用構造体の製造方法を実施するための製造装置の一実施形態を模式的に示す部分断面図である。 本発明の抄造型の一実施形態を模式的に示す一部を破断視した斜視図である。 同製造装置の乾燥成形手段の備える雄型を模式的に示す斜視図である。 本発明の鋳物製造用構造体の製造方法の一実施形態における抄造工程を模式的に示す図である。 本発明の鋳物製造用構造体の製造方法の一実施形態における抄造工程終了後における抄造体の移行工程を模式的に示す図である。 本発明の鋳物製造用構造体の製造方法の一実施形態における乾燥成形工程を模式的に示す図である。 本発明の鋳物製造用構造体の製造方法の一実施形態における乾燥成形工程終了後の脱型状態を模式的に示す図である。 本発明の鋳物製造用構造体の製造方法で抄造される抄造体の一例を示す斜視図である。 本発明の鋳物製造用構造体の一実施形態の乾燥成形後における角部の拡大断面図である。 本発明の鋳物製造用構造体の製造方法で製造される成形体の一例を示す図であり、(a)は二つの成形体を突き合わせている状態を示す図、(b)は突き合わされた成形体の角部どうしの拡大図である。
符号の説明
1 成形体の製造装置
2 原料供給手段
3 抄造手段
30 抄造型
300 抄造部
308 溝
4 乾燥成形手段
40 雌型
41 雄型
10 抄造体
101 フランジ部
102 周壁部
103 角部
11 鋳物製造用構造体
111 フランジ部
112 周壁部
113 角部
114 壁面部
115 壁面部
116 壁面部肉厚測定部

Claims (7)

  1. 平均粒径が70μm以下である鱗状黒鉛、無機繊維、有機繊維及び熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体。
  2. 前記有機繊維、前記無機繊維、前記鱗状黒鉛及び前記熱硬化性樹脂の配合比が、前記有機繊維/前記無機繊維/前記鱗状黒鉛/前記熱硬化性樹脂=2〜70/1〜70/10〜90/5〜70(質量比率)である請求項1記載の鋳物製造用構造体。
  3. 更に、熱膨張性粒子を含有する請求項1又は2記載の鋳物製造用構造体。
  4. 前記熱膨張性粒子を、前記鱗状黒鉛、前記無機繊維、前記有機繊維及び前記熱硬化性樹脂の総質量に対し、0.5〜10質量%含有する請求項3記載の鋳物製造用構造体。
  5. 少なくとも溶融金属と接する部分における厚さが0.2〜5mmである請求項1〜4の何れかに記載の鋳物製造用構造体。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の鋳物製造用構造体の製造方法であって、前記鱗状黒鉛、前記無機繊維及び前記有機繊維を少なくとも含む原料スラリーを用いた抄造工程を具備する鋳物製造用構造体の製造方法。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の鋳物製造用構造体を用いる鋳物の製造方法。
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