JP2007144414A - 中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中空糸の物理的強力を維持したまま、分画性能の優れたポリスルホン系中空糸膜を提供する。
【解決手段】
ポリスルホン系ポリマーおよびビニルピロリドン系の親水性高分子を含む製膜原液を口金から吐出して中空糸膜を製造するに際し、該製膜原液にポリグリコール類を0.1〜1wt%の割合で添加して、濾液中に含まれるβミクログロブリン量を原液中に含まれているβミクログロブリン量で除して得られる回収率が70%以上であり、かつ、濾液中に含まれるアルブミン量を原液中に含まれているアルブミン量で除して得られる回収率が5×10−4%以下である中空糸膜とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、臨床現場でプロテーム解析を行う際に必要な臨床検体(ヒト血清の成分を含む溶液)の前処理に好適に使用することができる中空糸膜およびその製造方法に関する。
近年、ポストゲノム研究として、プロテオーム解析研究(プロテオミクス)が注目され始めた。遺伝子産物であるタンパク質は遺伝子よりも疾患の病態に直接リンクしていると考えられることから、タンパク質を網羅的に調べるプロテオーム解析の研究成果は診断と治療に広く応用できると期待されている。しかも、ゲノム解析では発見できなかった病因タンパク質や疾患関連因子を多く発見できる可能性が高い。
プロテオーム解析研究が進展しだしたことには、質量分析装置(mass spectrometer: MS)による高速構造分析が可能となってきたことが大きく影響している。たとえば、MALDI-TOF-MS (matrix assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry) 等の実用化によって、ポリペプチドのハイスルースループット超微量分析が可能となり、従来検出し得なかった微量タンパク質までもが同定可能となり、疾患関連因子の探索に強力なツールとなってきている。
ところで、プロテオーム解析の臨床応用の第一目的は、疾患によって誘導あるいは消失するバイオマーカータンパク質の発見である。バイオマーカータンパク質は、病態に関連して挙動するため、診断のマーカーとなり得るほか、創薬ターゲットとなる可能性も高い。すなわち、プロテオーム解析の成果は、特定遺伝子よりも診断マーカーや創薬ターゲットとなる可能性が高いため、ポストゲノム時代の診断と治療の切り札技術となり、同定されたバイオマーカーは患者の薬剤応答性評価や副作用発現予測という直接的に患者が享受しえる利益につながることから、いわゆるテーラーメード医療の推進に大きな役割を果たすといえる。
しかしながら、臨床研究にプロテオーム解析を導入する場合には、血清や尿などの検体を大量かつ迅速、確実に解析することが求められている。しかも個々の検体は微量で貴重なために高分解能・高感度・高機能測定を迅速に行う必要がある。そのため、超高感度でハイスループットの特性を有する質量分析装置が急速に改良されてきてはいるものの、プロテオーム解析を臨床現場で簡便かつ迅速に実施できる状況には、まだない。
すなわち、一般的な血清学的検査でプロテオーム解析するには、病因関連の微量成分検出の妨害となる分子量6万以上の高分子成分を除外し、分子量1.5万未満のタンパク質を出来るだけ回収することがまず必須となる。したがって、質量分析にかける前に検体のタンパク質を分画し精製することが必要となる。しかしながら、この前処理には数日かかるのが実態であり、さらに前処理の操作は煩雑で経験も必要とされる。
さらに、血液や尿などに含まれるタンパク質は、多様なために分画精製が容易でないといった問題もある。たとえば、ヒト・タンパク質は10万種以上とも推定されているが、血清中に含まれるタンパク質だけでも約1万種類にものぼるといわれ、タンパク質総量としての血清中濃度は約60〜80mg/mLである。そして、ヒト血清中の高含量のタンパク質は、アルブミン(分子量66kDa)、免疫グロブリン(150〜190kDa)、トランスフェリン(80kDa)、ハプトグロビン(>85kDa)、リポタンパク質(数100kDa)等であり、いずれも1mg/mLを超える程度に大量に存在する。一方、病態のバイオマーカーや病因関連因子と考えられているペプチドホルモン、インターロイキン、サイトカイン等の生理活性タンパク質の多くは、1ng/mL未満という極微量にしか存在せず。その含有量比は高分子の高含量成分に比べて、実にnanoからpicoレベルである。また、タンパク質の大きさという点では、タンパク質全種類の約70%が分子量6万(60kDa)以下であり、上記の極微量なバイオマーカータンパク質はいずれもこの領域に含まれる場合がほとんどである(例えば非特許文献1)。したがって、これらを分離膜によって分離精製することは容易ではない。
分離膜を用いて上記のようなタンパク質の分画精製を行うためには、分離膜の孔径を均一化して分画特性をシャープにすることが必要で、そのためには、相分離反応にて分離膜の孔を形成するにあたり、ポリマー濃度を変更したり、製膜原液中に含まれる親水性高分子の添加量を変更する方法がある。また、その他の方法として原液に多種多様な物質を添加する方法も提案されている。
例えば特許文献1のように製膜原液中にアルコール系を添加し、マクロボイドを消滅させた膜を作製する方法や、特許文献2のように注入液に無機塩を添加することによって中空糸内表面に核化を必然的に起こし、均一な孔を作製する方法などがある。しかしながら、特許文献1の方法はアルコール系の添加によりポリスルホンの凝集を遅くする効果はあるが、マクロボイドの消失まで至らなかった。特許文献2の方法は無機塩が相分離の核化を促進し、ポリスルホンの凝集が速くなる効果は認められるが、分画性能を大きく改善させる効果は低かった。
また、特許文献3のようにポリスルホンの貧溶媒としてポリエチレングリコール添加し、中空糸膜中に1%以上のポリエチレングリコールを残しつつ、分画特性の優れた膜を提供する方法もある。しかしながら、この方法は中空糸膜の生体適合性等には着目しているが、中空糸の製膜性や物理的強度が低下してしまい、現実的でないものであった。そのうえ、凝集速度を遅くするために膜孔径が大きくなり、中空糸膜からアルブミンが漏洩しやすいことがわかった。
なお、血液や尿などから高分子量のタンパク質を分離・除去する手段としては、高速液体クロマトグラフィー(liquid chromatography: LC) や二次元電気泳動(2 dimensional-polyacrylamide gel electrophoresis: 2D-PAGE) もあるが、これら、LCや2D-PAGEの作業も結局のところ1〜2日を要するものである。そのため、できるだけ短時間に分析結果がほしいという医療現場での診断や治療のためには実用性に乏しいといわざるを得ない。
また、血液や尿などから主としてアルブミンを除去するために、ブルー色素などのアフィニティーリガンドを固定化した担体(非特許文献2)、高分子量成分を遠心分離ろ過によって分画する遠心管形式の装置(製品化されている。)、電気泳動原理によって分画する方法(非特許文献3)、Cohnのエタノール沈澱などの伝統的な沈殿法やクロマトグラフィーによって分画する方法(非特許文献4)なども開示されている。しかし、これらは、いずれも分離性能が十分でなかったり、微量試料には不適当であったり、あるいは質量分析等に障害となる薬剤が混入したりするなどの問題点がある。特に、アルブミンをターゲットとして吸着だけで除外する方法は、アルブミンは除去できても免疫グロブリンなどの他の6万以上の高分子成分を除去する事は困難である。
アンダーソン・NL(Anderson NL),アンダーソン・NG( Anderson NG)著,「ザ・ヒューマン・プラズマ・プロテオーム:ヒストリー・キャラクター・アンド・ダイアグノスティック・プロスペクツ (The human plasma proteome: history, character, and diagnostic prospects)」,モレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス(Molecular & Cellular Proteomics),(米国),ザ・アメリカン・ソサエティー・フォー・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー・インコーポレーテッド(The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc.),2002年,第1巻,p845-867. 細胞工学別冊,「バイオ実験イラストレイテッド5」, 秀潤社, 2001年 N. Ahmed et al., Proteomics, On-line版, 2003年06月23日 日本生化学会編,「新生化学実験講座(第1巻)タンパク質(1)分離・精製・性質」, 東京化学同人, 1990年 特開平3−196823号公報 特開平11−253771号公報 特許第3117575号公報
本発明は、上記従来技術の欠点を解消しようとするものであり、アルブミンもしくはそれと同等程度の分子量のタンパク質を高度に除去することができる中空糸膜および製造方法を提供することを目的とするものである。特に、現実的に使用可能な強度を維持したまま、上記のような分画性能に優れた中空糸膜およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するための本発明は、下記の(1)〜(8)の構成を特徴とするものである。
(1)βミクログロブリンを2000〜4000ng/mlの範囲内の濃度で含み、かつ、アルブミンを15000〜40000μg/mlの範囲内の濃度で含むヒト血清を原液として濾過したときの、濾液中に含まれていたβミクログロブリン量を原液中に含まれていたβミクログロブリン量で除して得られた回収率が70%以上であり、かつ、濾液中に含まれていたアルブミン量を原液中に含まれていたアルブミン量で除して得られた回収率が5×10−4%以下であることを特徴とする中空糸膜
(2)破断強度が5.9N/mm以上で、かつ、伸度が50%以上であることを特徴とする上記(1)記載の中空糸膜。
(3)外径が260〜300μmで、かつ、内径が180〜220μmであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の中空糸膜。
(4)ポリスルホン系ポリマーおよびビニルピロリドン系の親水性高分子を含む製膜原液を口金から吐出して中空糸膜を製造するに際し、該製膜原液にポリグリコール類を0.1〜1wt%の割合で添加することを特徴とする中空糸膜の製造方法。
(5)ポリスルホン系ポリマーおよびビニルピロリドン系の親水性高分子を含む製膜原液を口金から吐出して中空糸膜を製造するに際し、該製膜原液にポリグリコール類を0.1〜1wt%の割合で添加し、製膜時の該製膜原液の粘度を2Pa・s〜8Pa・sとすることを特徴とする中空糸膜の製造方法。
(6)前記ポリグリコール類として、重量平均分子量が200〜600の範囲内のポリエチレングリコールを用いることを特徴とする上記(4)または(5)記載の中空糸膜の製造方法。
(7)前記ビニルピロリドン系の親水性高分子がポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記(4)〜(6)いずれかに記載の中空糸膜の製造方法。
(8)上記(1)〜(3)いずれかに記載の中空糸膜もしくは上記(4)〜(7)いずれかに記載の方法で製造された中空糸膜を内蔵したことを特徴とする中空糸膜モジュール。
(9)血液、血漿、または血清を処理するためのものであることを特徴とする上記(8)記載の中空糸膜モジュール。
本発明によれば、現実的に使用可能な強度を維持したままの、分画性能に優れた中空糸膜とすることができ、アルブミンもしくはそれと同等程度の分子量のものを高度に除去することができる。
本発明の中空糸膜は、βミクログロブリンを2000〜4000ng/mlの範囲内の濃度で含み、かつ、アルブミンを15000〜40000μg/mlの範囲内の濃度で含むヒト血清を原液として濾過したときの、濾液中に含まれていたβミクログロブリン量を原液中に含まれていたβミクログロブリン量で除して得られた回収率が70%以上であり、かつ、濾液中に含まれていたアルブミン量を原液中に含まれていたアルブミン量で除して得られた回収率が5×10−4%以下である。
回収率の測定にあたっては、中空糸膜に原液を0.48ml/minで供給すると同時にリン酸緩衝液(PBS水溶液)を0.6ml/minの流量で供給する。また、中空糸膜からは0.6ml/minで濾液を取り出す。そして、濾液中に含まれていたβミクログロブリン量もしくはアルブミン量を、原液中に含まれていたβミクログロブリン量もしくはアルブミン量で除して得られる値に100を乗じたものを本発明における回収率とする。
このような本発明の中空糸膜は、たとえば、ポリスルホン系ポリマーおよびビニルピロリドン系の親水性高分子を含む製膜原液を口金から吐出して中空糸膜を製造するに際し、製膜原液にポリグリコール類を0.1〜1wt%の割合で添加することで得られる。
ポリスルホン系ポリマーに対して相溶性の高いポリグリコール類を添加することで、相分離反応速度を遅くする効果があると考えられる。そのため、ポリスルホン系ポリマーがより均一に相分離反応してから凝固工程にはいることになり、膜の細孔径がより均一になると考えられる。しかし、ポリグリコール類を1wt%超入れると、ポリスルホンの凝集が遅くなりすぎるため、中空糸膜孔径が大きくなりアルブミンが漏洩しやすく、さらに中空糸膜の物理的強力を得ることが難しくなる。一方、ポリグリコール類の添加率が0.1wt%を下回るほどであると、製膜原液におけるポリグリコール類の分散性が悪くなり、膜の細孔径が不均一になり易い。
そして、製膜原液の粘性は製膜時における大切な要素であり、本発明において製膜時の製膜原液の粘度は2〜8Pa・sであることが好ましい。製膜原液にポリグリコール類を添加すると増粘効果をもたらし製膜時の安定性が上昇するが、一方で、添加量が多くなりすぎると粘度が高くなりすぎて製膜困難に陥る。したがって、使用可能な強度を維持したまま分画性能に優れた中空糸を安定して得るために、製膜原液の粘度が上記の範囲内になるようにポリグリコール類を0.1〜1wt%の範囲内の割合で添加することが好ましい。
ポリグリコール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、これらの共重合体、又はこれらのエステル、アミン、エーテル、アセタール誘導体などを用いることができ、中でも、重量平均分子量が200〜600のポリエチレングリコールが好ましい。
たとえば重量平均分子量が1,000程度にもなるポリエチレングリコールは通常固体として存在する。そのため、製膜するにはポリスルホン系ポリマーとポリエチレングリコール両者の良溶媒が必要になる。しかしながら、これら2つのポリマー共通の良溶媒は難しく、たいていの場合ポリエチレングリコールが製膜原液を白濁化させる方向で働いてしまう。そして、製膜原液が白濁するということはポリスルホン系ポリマーが固化しはじめていることであり、配管や口金が詰まり、圧力があがってしまって紡糸を継続することが困難になるということである。そのためポリエチレングリコールの重量平均分子量は、融点の低い200〜600が好ましい。
重量平均分子量が200〜600のポリエチレングリコールは、融点が低く、通常液体で存在するので、ポリスルホン系ポリマーの貧溶媒として働く。したがって、水を貧溶媒として用いた場合よりもポリスルホン系ポリマーの凝集速度を遅くする効果がある。
ポリスルホン系ポリマーとしてはベンゼン環部分を修飾したものを用いることもできるが、非修飾のポリスルホンが好ましい。また、製膜原液におけるポリスルホン系ポリマーの濃度としては、最終的に上記特性を有する中空糸膜を製造できれば良いが、通常13〜25wt%であることが好ましく、さらには15〜20wt%であることが望ましい。13wt%未満では中空糸膜として十分の強度を得ることが難しい。また、25wt%を超えると強度は非常に高くなるが、ポリスルホン生成時に生じたダイマーが増えるため、製膜原液が白濁し、連続製膜が困難になり易い。
本発明において、ビニルピロリドン系の親水性高分子としては、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンまたはこれらの誘導体などを、単体もしくは混合して用いることが好ましい。
親水性高分子は、その重量平均分子量が高いほど水濡れ性を向上させる効果が有り、少量の添加で水濡れ性を向上することができる。中空糸膜の水濡れ性が高いほど生体適合性、血液抗凝固性が良い。したがって、重量平均分子量が100万以上のものを用いることが望ましい。一方、親水性高分子を製膜原液に多量に添加すると製膜原液の粘度が急激に増加し、製膜が困難になる。また、必要以上の親水性高分子は溶出物の原因となるので、後段の中空糸膜洗浄工程で洗浄を強化することが必要となる。したがって親水性高分子の添加量は製膜原液に対して1〜10wt%が好ましい。
このように、中空糸膜の水濡れ性は主として親水性高分子によって向上させ、中空糸膜の分画特性は主としてポリグリコール類の添加によって向上させる。
溶媒としては、ポリスルホン系ポリマーやポリグリコール類を溶解するものであり、さらに添加する親水性高分子をも溶解するものが用いられる。このことから、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどが候補として挙げられるが、特に、安価で使いやすさという点から、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましく用いられる。
上述したような構成の製膜原液を芯液と同時に2重スリット管構造の口金から同時に吐出させ、たとえば乾湿式法を用いて中空糸膜を成形し、凝固工程、水洗工程、保湿工程、巻き取り工程を一貫作業として製膜する。
この時、用いられる芯液としては、たとえば製膜原液に用いた溶媒と水との水溶液を用いる。溶媒の比率が高くなると、凝固が遅くなり、水の比率が高くなると凝固が早くなる。したがって、所望する中空糸膜の細孔径を得られるような凝固速度に制御するために芯液濃度を調整すればよいが、紡糸性という点も加味すると、溶媒を10〜80wt%にコントロールする事が好ましい。
なお、乾湿式法とは、一定の温度に保温された口金から製膜原液が吐出され、凝固浴と呼ばれる槽に導かれて中空糸膜を形成するにあたり、口金から凝固浴に導かれるまでの間に乾式部と言われる気体中を通過することを特徴とする製膜方法である。この乾式部によって、吐出された製膜原液が相分離反応を起こす場所であるため、短いと中空糸膜に孔をあけることができず、長いと凝固までの不安定な時間が必要なため、糸切れや、糸揺れの要因となる。そのため乾式長は、紡糸速度によっても変わるが、通常10cm〜50cmが好ましい。
乾式部では、中空糸膜の細孔孔の大きさをコントロールために、加湿、または調湿空気を送り込んで、強制的に相分離を行わせてもよい。
凝固工程を終えた中空糸膜は水洗工程でポリグリコール類と親水性高分子が洗浄される。水洗工程の温度は低温だと水洗効率が悪く、高温だと必要量の親水性高分子さえも洗浄してしまう。その為、40℃〜80℃で洗浄する事が好ましい。
水洗後は、膜の孔径を保持するためにグリセリンで中空糸膜を置換し、保湿状態を保ったまま、中空糸膜を巻き取る。
上記方法で製膜された中空糸膜は分画特性に優れたものとなり、アルブミンもしくはそれと同等程度の分子量のものを高度に除去することができる。また、強度も高く、安定した製膜が可能である。
そして、本発明において、中空糸膜は、破断強度が5.9N/mm以上で、かつ、伸度が50%以上であることが好ましい。破断強度、伸度は連続製膜時の安定性に関係しており、高くなればなるほど連続紡糸性が良くなり、生産効率が上昇する。一方、破断強度が5.9N/mm未満の場合は、中空糸膜の走糸性や巻き取り、製膜後の組み込み工程などが困難になりやすい。その為、破断強度は5.9N/mmが好ましい。また、伸度が50%未満の場合も、製膜工程や巻き取り工程時のローラーテンションの影響を受けやすい為、糸切れなどの問題が発生しやすい。
破断強度、伸度を上記のように高めるためには、中空糸膜の孔径を均一にすることが必要である。具体的には、上述したように、製膜原液に添加するポリグリコール類の添加量、さらにはその種類を主として変更し、相分離による膜孔径の形成速度を制御すればよい。細孔径の均一な膜は、血清等、被処理液の流れが分散され、膜全体で処理が行われるので、分画性能がシャープになる。そして、孔径に偏りがなければ、引っ張り時の力が分散されため、破断強度、伸度ともに高い膜となる
さらに、中空糸膜は、モジュール化したときの充填膜面積を大きくするには、内径は大きくするものの外径は小さくするのがよく、また、強度を高めるためには膜厚が厚いほうがよいものの、一方で分画性能を高めるためには膜厚が薄いほうがよい。そこで、これらのことをバランスよく満足するために、本発明の中空糸膜においては、外径が260〜300μmで、かつ、内径が180〜220μmであることが好ましい。なお、このような膜寸法にするためには、口金のスリット幅と製膜原液、芯液の吐出量とを適宜制御すればよい。
以上のように、本発明によれば、ヒトアルブミンもしくはそれと同等程度の分子量のものを高度に除去することができる分画性能に優れた中空糸膜となり、また、現実的に使用可能な強度を維持したままの、連続紡糸性に優れた中空糸膜となる。したがって、ヒト血清や尿など、βミクログロブリンとアルブミンとを含む生体成分含有溶液濾過して両者を分離するためなどに好適に用いることができる。具体的には、血液処理モジュールの透析器や血清、血漿処理等の血液浄化膜、タンパク質分画膜などとして好適に用いられる。
得られた中空糸膜をモジュール化するためには、上記方法で中空糸膜を巻き取った後、中空糸膜を束ねて筒体に挿入し、中空糸膜束の端部をウレタンにてポッティングして筒体に固定する。たとえば、体外循環を行う人工腎臓用モジュールの場合、上記寸法の中空糸膜を1万本程度使用し、ヒト血清やヒト血漿を処理する場合は上記寸法の中空糸膜を100本程度使用する。用途によって、モジュールにおける総膜面積や有効長(実際の濾過に供される膜のモジュール軸方向長さ)を変更すればよい。
次に実施例に基づき本発明を説明する。用いた測定方法は以下の通りである。
(1)製膜原液粘度測定
φ30、長さ200mmのガラス管に製膜原液を流し込み、30℃で保温を行う。該ガラス管は上端から60mmのところに線を書き、10mm間隔で線を書いておく。一番上の線から70mmのところまで線を書く。ガラス管に流し込んだ製膜原液の中央部にφ1のSUS硬球を落とす。該落球が70mm落ちる時間を測定し、10mmあたりの平均時間を算出する。さらに、下記の計算式から製膜原液の粘度を算出した。
粘度(Pa・s)=(((d(ρo−ρ)g×t)/18×l)×(1−2.104(d/D)+2.09(d/D)−0.95(d/D)))/10
ここで、dはSUS硬球の直径(cm)、ρoはSUS硬球の密度(g/cm)、ρは製膜原液の密度(g/cm)、gは重力加速度(cm/s)、tは標線間の落下時間時間(s)、lは標線間の距離(cm)、Dはガラス管の直径(cm)を意味する。
(2)透水性能測定
プラスチック管に中空糸膜を100本通して両端を接着剤で固定した有効長0.1mのプラスチック管モジュールを作成(以下、中空糸膜モジュール)し、中空糸膜内側に水圧1.3×10Paをかけ、外側に流出してくる単位時間あたりの濾過量を測定した。透水性能は下記の式で算出した。
透水性能(m/m/s/Pa)=QW/(T×A×P)
ここで、QWは濾過量(m/s)、Tは処理時間(s)、Pは圧力(Pa)、Aは総膜面積(m)(中空糸内表面積換算)を意味する。
(3)デキストランふるい係数測定
図1に示す中空糸膜モジュール10のBi側から後述するデキストラン溶液11を流速3×10−4/sで流し、F側から1.2×10−5/sで濾液を取り出しながら、1時間の循環濾過を行った。一時間後、Bo側から流れ出るデキストラン溶液の濃縮液とF側から流れ出る濾液を15分間採取した。また、このサンプリング開始5分後にデキストラン溶液の原液をBi側から5ml採取した。
これらのデキストラン溶液を東ソー社製GPC(HLC−8220GPC)装置で同社製TSK−GEL(G3000PWXL)カラムを使用し、FLOW RATE1.0ml、カラム温度40℃での条件で処理し、その結果得られた示差屈折率からデキストランの重量平均分子量を求めた。
なお、デキストラン溶液の原液は、FULKA社製、重量平均分子量〜1200〔No.31394〕、〜6000〔No.31388〕、15000〜20000〔No.31387〕、〜40000〔No.31389〕、〜60000〔31397〕、〜200000〔No.31398〕をそれぞれ0.5mg/mlになるように作成した。溶質全体では3.0mg/mlにした。
ふるい係数は以下の式で求めた。
デキストランふるい係数(%)=(2×C)×100/(CBi+CBo
ここで、CF=濾液濃度、CBi=原液濃度、CBBo=濃縮液濃度とした。
(4)中空糸膜の破断強度および伸度の測定
テンシロン(ORIENTEC社製RTM−100)を用いて、試料長50mmの中空糸膜を引っ張り速度8.3×10−4m/sで引っ張った。この時、破断した時の強力を中空氏膜の断面積で除した値を破断強度とし、最初の試料長を破断したときの試料長で割ったものに100をかけた数値を伸度とした。
(5)ヒト血清回収実験
ヒト血清(SIGMA社 H1388)を3000rpm、15分の条件にて遠心処理を行い沈殿物を取り除いた後0.45μmのフィルター処理を行った。以下、該処理を行った血清をヒト血清とする。該ヒト血清中の、ヒト血清アルブミン(分子量:67,000)をAlbumin, Human, ELISA Quantitation Kit (BETHYL社)で、ヒトβ2ミクログロブリン(分子量:11,500)の濃度をグラザイムβ2-Microglobulin-ELISA TESET(和光純薬)でそれぞれ測定し、アルブミン濃度が15000〜40000μg/mlの範囲内で、かつ、β2ミクログロブリの濃度が2000〜4000ng/mlの範囲内のヒト血清を使用した。
一方、透水性能測定を行った中空糸膜モジュールの中空糸膜内側にヒト血清を流すために、図2に示すように、中空糸膜モジュール20のヒト血清入口側(以下Bi側)と中空糸膜モジュールのヒト血清出口側(以下Bo側)とをチューブにより接続し、ヒト血清循環回路を構成しておいた。ヒト血清循環回路の途中には、Bo側からBi側までの部分に、サンプリングポート、循環させることなく溶液を廃棄するためのバルブ、溶液循環回路に溶液を流入させることができる流入路、原液を循環させるポンプ、サンプリングポートをこの順に設けた。また中空糸膜モジュールの濾過側(以下F側)には、チューブを接続し、濾過を行うためのポンプ、濾液のサンプリングポートを順に設けた。また、流入路を通じて、中空糸膜モジュールに対してPBS(日本製薬社製ダルベッコPBS(−))水溶液(以下、この水溶液を単に「PBS」という。)を充填しておいた。
次に、Bi側からBo側にかけて循環流量が3ml/minとなるように濾過を行い、F側から濾過流量0.6ml/minの流速で濾液を取り出した。このとき、Bi側から上記ヒト血清4ml(図2中、22)を流量0.48ml/minで供給した。また、上記循環流量が保たれるように、Bi側からPBS水溶液(図2中、21)も供給した。濾過中、中空糸膜モジュールのBo側の溶液は、ヒト血清循環回路の途中にある溶液を廃棄するためのバルブを切り替えることにより、戻さずに廃棄した。そのままヒト血清注入開始から120分間循環させた。
循環終了後、中空糸膜モジュール内部に残った血清処理液を回収した。この血清処理液中の、ヒト血清アルブミン(分子量:69,000)の質量をAlbumin, Human, ELISA Quantitation Kit (BETHYL社)で、ヒトβ2ミクログロブリン(分子量:11,500)の質量をグラザイムβ2-Microglobulin-EIA TESET(和光純薬)でそれぞれ測定し、回収された濾液量から濾液中に含まれるアルブミンとβ2ミクログロブリンの質量を求めた。以下実施例において、「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリエチレングリコール(Wako社製 分子量200)0.5部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド76部、水0.5部に加え、90℃で加熱溶解した。30℃で製膜原液の粘度を測定すると、5.1Pa・sだった。この原液を表面温度30℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド20部、水80部からなる溶液を同時に吐出させ、内径200μm、膜厚40μmの中空糸膜を形成させた後、350mmの乾式部を通過させ、30℃の凝固浴(ジメチルアセトアミド10部)、40℃の水洗工程、40℃のグリセリン付与工程を通過させた後、カセにて巻き取った。100本の中空糸膜を、モジュールケースに組み込みポッティング後、透水性能を測定すると、4.2×10−10/m/s/Paだった。さらに該モジュールのデキストランふるい係数は図3の通りである。中空糸の破断強度は7.1N/mm、伸度は75.2%だった。
さらに、該中空糸膜モジュールにヒト血清を2時間循環させ、回収液のヒトβ2ミクログロブリン、ヒト血清アルブミン濃度を測定し、回収率を求めたところ、それぞれ86%、3.7×10−4%であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリエチレングリコール(Wako社製 分子量600)0.5部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド76部、水0.5部に加え、90℃で加熱溶解した。30℃で製膜原液の粘度を測定すると、7.0Pa・sだった。この原液を表面温度30℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド20部、水80部からなる溶液を同時に吐出させ、内径200μm、膜厚40μmの中空糸膜を形成させた後、350mmの乾式部を通過させ、30℃の凝固浴(ジメチルアセトアミド10部)、40℃の水洗工程、40℃のグリセリン付与工程を通過させた後、カセにて巻き取った。100本の中空糸膜を、モジュールケースに組み込みポッティング後、透水性能を測定すると8.7×10−10/m/s/Paだった。さらに該モジュールのデキストランふるい係数は図4通りである。中空糸の破断強度は6.1N/mm、伸度は59.3%だった。
さらに、該中空糸膜モジュールにヒト血清を2時間循環させ、回収液のヒトβ2ミクログロブリン、ヒト血清アルブミン濃度を測定し、回収率を求めたところ、それぞれ92%、4.2×10−4%であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリエチレングリコール(Wako社製 分子量200)5部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド71.5部、水0.5部に加え、90℃で加熱溶解した。30℃で製膜原液の粘度を測定すると、11.2Pa・sだった。この原液を表面温度30℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド20部、水80部からなる溶液を同時に吐出させ、内径200μm、膜厚40μmの中空糸膜を形成させた後、350mmの乾式部を通過させ、30℃の凝固浴(ジメチルアセトアミド10部)、40℃の水洗工程、40℃のグリセリン付与工程を通過させた後、カセにて巻き取った。100本の中空糸膜を、モジュールケースに組み込みポッティング後、透水性能を測定すると6.3×10−10/m/s/Paだった。さらに該モジュールのデキストランふるい係数は図3の通りである。中空糸の破断強度は5.0N/mm、伸度は39.8%だった。
さらに、該中空糸膜モジュールにヒト血清を2時間循環させ、回収液のヒトβ2ミクログロブリン、ヒト血清アルブミン濃度を測定し、回収率を求めたところ、それぞれ99%、9.0%であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリエチレングリコール(Wako社製 分子量600)5部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド71.5部、水0.5部に加え、90℃で加熱溶解した。30℃で製膜原液の粘度を測定すると、10.6Pa・sだった。この原液を表面温度30℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド20部、水80部からなる溶液を同時に吐出させ、内径200μm、膜厚40μmの中空糸膜を形成させた後、350mmの乾式部を通過させ、30℃の凝固浴(ジメチルアセトアミド10部)、40℃の水洗工程、40℃のグリセリン付与工程を通過させた後、カセにて巻き取った。100本の中空糸膜を、モジュールケースに組み込みポッティング後、透水性能を測定すると4.2×10−10/m/s/Paだった。さらに該モジュールのデキストランふるい係数は図4通りである。中空糸の破断強度は5.5N/mm、伸度は39.6%だった。
さらに、該中空糸膜モジュールにヒト血清を2時間循環させ、回収液のヒトβ2ミクログロブリン、ヒト血清アルブミン濃度を測定し、回収率を求めたところ、それぞれ98%、5.8%であった。結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリエチレングリコール(Wako社製 分子量200)10部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド66.5部、水0.5部に加え、90℃で加熱溶解した。30℃で製膜原液の粘度を測定すると、16.4Pa・sだった。この原液を表面温度30℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド20部、水80部からなる溶液を同時に吐出させ、内径200μm、膜厚40μmの中空糸膜を形成させた後、350mmの乾式部を通過させ、30℃の凝固浴(ジメチルアセトアミド10部)、40℃の水洗工程、40℃のグリセリン付与工程を通過させた後、カセにて巻き取った。100本の中空糸膜を、モジュールケースに組み込みポッティング後、透水性能を測定すると4.2×10−10/m/s/Paだった。さらに該モジュールのデキストランふるい係数は図3の通りである。中空糸の破断強度は3.9N/mm、伸度は39.6%だった。
さらに、該中空糸膜モジュールにヒト血清を2時間循環させ、回収液のヒトβ2ミクログロブリン、ヒト血清アルブミン濃度を測定し、回収率を求めたところ、それぞれ99%、20.8%であった。結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリエチレングリコール(Wako社製 分子量600)10部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド66.5部、水0.5部に加え、90℃で加熱溶解した。30℃で製膜原液の粘度を測定すると、18.7Pa・sだった。この原液を表面温度30℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド20部、水80部からなる溶液を同時に吐出させ、内径200μm、膜厚40μmの中空糸膜を形成させた後、350mmの乾式部を通過させ、30℃の凝固浴(ジメチルアセトアミド10部)、40℃の水洗工程、40℃のグリセリン付与工程を通過させた後、カセにて巻き取った。100本の中空糸膜を、モジュールケースに組み込みポッティング後、透水性能を測定すると7.5×10−10/m/s/Paだった。さらに該モジュールのデキストランふるい係数は図4通りである。中空糸の破断強度は4.1N/mm、伸度は34.3%だった。
さらに、該中空糸膜モジュールにヒト血清を2時間循環させ、回収液のヒトβ2ミクログロブリン、ヒト血清アルブミン濃度を測定し、回収率を求めたところ、それぞれ99%、30.8%であった。結果を表1に示す。
(比較例5)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド76部、水1部に加え、90℃で加熱溶解した。30℃で製膜原液の粘度を測定すると、8.3Pa・sだった。この原液を表面温度30℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド20部、水80部からなる溶液を同時に吐出させ、内径200μm、膜厚40μmの中空糸膜を形成させた後、350mmの乾式部を通過させ、30℃の凝固浴(ジメチルアセトアミド10部)、40℃の水洗工程、40℃のグリセリン付与工程を通過させた後、カセにて巻き取った。100本の中空糸膜を、モジュールケースに組み込みポッティング後、透水性能を測定すると1.6×10−10/m/s/Paだった。さらに該モジュールのデキストランふるい係数は図5の通りである。中空糸の破断強度は8.3N/mm、伸度は69.1%だった。
さらに、該中空糸膜モジュールにヒト血清を2時間循環させ、回収液のヒトβ2ミクログロブリン、ヒト血清アルブミン濃度を測定し、回収率を求めたところ、それぞれ40%、15.4×10−4%であった。結果を表1に示す。
(比較例6)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリエチレングリコール(Wako社製 分子量20K)5部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド66.5部、水0.5部に加え、90℃で加熱溶解した。この時、原液は白濁して、ゲル状態になり製膜を行うことができなかった。
(比較例7)
ポリスルホン(ソルベー社 Udel−P3500、低ダイマーグレード)18部、ポリエチレングリコール(Wako社製 分子量20K)0.5部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90 重量平均分子量120万)5部をジメチルアセトアミド76部、水0.5部に加え、90℃で加熱溶解した。この時、原液には白色物の沈殿が発生し、均一に溶解した製膜を得られなかった。30℃で製膜原液の粘度を測定すると、9.2Pa・sだった。
製膜原液は得られたが、沈殿が発生していることから製膜にはいたらなかった。
Figure 2007144414
中空糸膜モジュールのデキストランふるい係数測定の概略構成図である 中空糸膜モジュールのヒト血清循環実験の概略構成図である。 分子量200のポリエチレングリコールを添加した時に得られた中空糸膜モジュールのデキストランふるい係数を示す図である。 分子量600のポリエチレングリコールを添加した時に得られた中空糸膜モジュールのデキストランふるい係数を示す図である。 比較例5で得られた中空糸膜モジュールのデキストランふるい係数を示す図である。
符号の説明
10 中空糸膜モジュール
11 デキストラン溶液
20 中空糸膜モジュール
21 PBS水溶液
22 ヒト血清

Claims (9)

  1. βミクログロブリンを2000〜4000ng/mlの範囲内の濃度で含み、かつ、アルブミンを15000〜40000μg/mlの範囲内の濃度で含むヒト血清を原液として濾過したときの、濾液中に含まれていたβミクログロブリン量を原液中に含まれていたβミクログロブリン量で除して得られた回収率が70%以上であり、かつ、濾液中に含まれていたアルブミン量を原液中に含まれていたアルブミン量で除して得られた回収率が5×10−4%以下であることを特徴とする中空糸膜。
  2. 破断強度が5.9N/mm以上で、かつ、伸度が50%以上であることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜。
  3. 外径が260〜300μmで、かつ、内径が180〜220μmであることを特徴とする請求項1または2記載の中空糸膜。
  4. ポリスルホン系ポリマーおよびビニルピロリドン系の親水性高分子を含む製膜原液を口金から吐出して中空糸膜を製造するに際し、該製膜原液にポリグリコール類を0.1〜1wt%の割合で添加することを特徴とする中空糸膜の製造方法。
  5. ポリスルホン系ポリマーおよびビニルピロリドン系の親水性高分子を含む製膜原液を口金から吐出して中空糸膜を製造するに際し、該製膜原液にポリグリコール類を0.1〜1wt%の割合で添加し、製膜時の該製膜原液の粘度を2Pa・s〜8Pa・sとすることを特徴とする中空糸膜の製造方法。
  6. 前記ポリグリコール類として、重量平均分子量が200〜600の範囲内のポリエチレングリコールを用いることを特徴とする請求項4または5記載の中空糸膜の製造方法。
  7. 前記ビニルピロリドン系の親水性高分子がポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4〜6いずれかに記載の中空糸膜の製造方法。
  8. 請求項1〜3いずれかに記載の中空糸膜もしくは請求項4〜7いずれかに記載の方法で製造された中空糸膜を内蔵したことを特徴とする中空糸膜モジュール。
  9. 血液、血漿、または血清を処理するためのものであることを特徴とする請求項8記載の中空糸膜モジュール。
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