JP2007144383A - 一酸化炭素除去材料とその製造方法、及び一酸化炭素除去装置 - Google Patents

一酸化炭素除去材料とその製造方法、及び一酸化炭素除去装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基材表面に気体処理材料を安定的に担持でき、且つ一酸化炭素除去性能に優れた一酸化炭素除去材料を提供する。
【解決手段】基材(64)には、バインダ(63)を介して一酸化炭素を分解するための気体処理材料(61,62)が担持される。この一酸化炭素除去材料では、バインダ(63)と気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量比率が1%以上25%以下となるように調整される。
【選択図】図7

Description

本発明は、空気中の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去材料と、該一酸化炭素除去材料を有する一酸化炭素除去装置と、上記一酸化炭素除去材料の製造方法に関するものである。
従来より、石油ストーブの使用時や喫煙時における空気の不完全燃焼により生成する一酸化炭素が問題視されている。なお、一酸化炭素は、人体の血液中のヘモグロビンと結合して人体の組織内機能を麻痺させる、あるいは停止させる猛毒物質である。したがって、例えば建築基準法、ビル管理法、あるいは大気汚染防止法等によって一酸化炭素の濃度規制が図られている。
このような背景を受けて、一酸化炭素を除去するための種々の一酸化炭素除去材料が提案されている。例えば、特許文献1には、たばこの煙中の一酸化炭素を除去するフィルタが開示されている。このフィルタには、一酸化炭素の酸化分解能を有する気体処理材料がバインダを介して担持されている。上記気体処理材料としては、酸化チタン等の光触媒や、プラチナ等が用いられている。上記バインダとしては、コロイダルシリカ等のシリカ系セラミック成分等が用いられている。
特開平9−140370号公報
上記特許文献1に開示されているような、いわゆる一酸化炭素除去材料では、フィルタ等の基材に気体処理材料を担持させるためにバインダを用いている。ところが、このバインダを過剰に用いると、気体処理材料の表面がバインダで覆われるため、一酸化炭素と気体処理材料との接触効率が低下し、この一酸化炭素除去材料における一酸化炭素除去効率の低下を招く恐れがある。一方、上記バインダが不足すると、基材に気体処理材料を安定的に担持させることができない恐れもある。
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、基材表面に気体処理材料を安定的に担持でき、且つ一酸化炭素除去性能に優れた一酸化炭素除去材料を提供することである。
第1の発明は、空気中の一酸化炭素を除去するための気体処理材料(61,62)と、シリカ系セラミック成分を含むバインダ(63)と、該バインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持される基材(64)とを備えた一酸化炭素除去材料を前提としている。そして、この一酸化炭素除去材料は、上記バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量の比率が、1%以上25%以下であることを特徴とするものである。
第1の発明では、基材(64)にバインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持されることで、一酸化炭素除去材料が構成される。空気中の一酸化炭素は、上記基材(64)に担持された気体処理材料(61,62)に吸着あるいは酸化分解され、この一酸化炭素が除去される。
ここで、本発明では、基材(64)に気体処理材料(61,62)を安定的に担持させ、且つ気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)で覆われない程度に、バインダ(63)の配合比率が調整される。具体的には、バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量の比率(バインダ率)を1%以上とすると、基材(64)に気体処理材料(61,62)が安定して担持される。一方、上記バインダ率を25%以下とすると、気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)で覆われてしまうことが抑制される。
第2の発明は、空気中の一酸化炭素を除去するための気体処理材料(61,62)と、酸化アルミニウム成分を含むバインダ(63)と、該バインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持される基材(64)とを備えた一酸化炭素除去材料を前提としている。そして、この一酸化炭素除去材料は、上記バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量の比率が、1%以上25%以下であることを特徴とするものである。
第2の発明では、第1の発明と異なり、バインダ(63)として酸化アルミニウム成分を含むバインダが用いられる。そして、本発明では、基材(64)に気体処理材料(61,62)を安定的に担持させ、且つ気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)で覆われない程度に、バインダ(63)の配合比率が調整される。具体的には、上記バインダ率を1%以上とすると、基材(64)に気体処理材料(61,62)が安定して担持される。一方、このバインダ率を25%以下とすると、気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)で覆われてしまうことが抑制される。
第3の発明は、第1又は第2の発明の一酸化炭素除去材料において、上記バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量が全体重量に対して1%以上30%以下となるように水分量を調整したスラリー状の原液に、上記基材(64)を浸けることで、バインダ(63)を介して基材(64)に気体処理材料(61,62)を担持して成ることを特徴とするものである。
第3の発明では、水分とバインダ(63)と気体処理材料(61,62)とが混合したスラリー状の原液中に、基材(64)が浸積されることで、基材(64)の表面にバインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持される。ここで、本発明では、上記スラリー状の原液の全重量に対するバインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量の比率(スラリー濃度)が1%以上30%以下となるように原液の水分調整がなされる。その結果、原液中の固形分濃度、粘性、固形分の分散具合が好適となり、気体処理材料(61,62)が基材(64)に対して安定且つ高密度に担持される。
第4の発明は、第1の発明の一酸化炭素除去材料において、上記バインダ(63)に含まれるシリカ系セラミック成分は、コロイダルシリカであることを特徴とするものである。
第4の発明では、バインダ(63)のシリカ系セラミック成分として密着性、耐食性に優れたコロイダルシリカが用いられる。
第5の発明は、第4の発明の一酸化炭素除去材料において、上記コロイダルシリカの粒径が、1nm以上1000nm以下であることを特徴とするものである。
第5の発明では、コロイダルシリカの粒径を1nm以上1000nm以下とすることで基材(64)及び気体処理材料(61,62)に対するバインダ(63)の密着性、耐食性が更に増す。
第6の発明は、第1又は第2の発明の一酸化炭素除去材料において、上記気体処理材料が、酸化アルミニウム(61)及びパラジウム(62)を含んでいることを特徴とするものである。
第5の発明では、一酸化炭素を除去するための気体処理材料として、酸化アルミニウム(61)及びパラジウム(62)が用いられる。上記酸化アルミニウム(61)は、パラジウム(62)よりも一般的に粒径が大きく、酸化アルミニウム(61)の表面には微小粒径のパラジウム(62)が担持される。その結果、パラジウム(62)の比表面積が増大するので、パラジウムと一酸化炭素の接触効率も増大する。また、酸化アルミニウム(61)の触媒作用によって、パラジウム(62)による一酸化炭素の分解速度が増す。その結果、一酸化炭素は、この気体処理材料によって効果的に除去される。
第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1の発明の一酸化炭素除去材料(18)と、該一酸化炭素除去材料(18)が配置されるとともに空気が流れる空気通路(15)とを備える一酸化炭素除去装置を特定するものである。
第7の発明では、第1から第6の発明の一酸化炭素除去材料(18)が空気通路(15)に設けられる。この一酸化炭素除去装置で処理される空気は、空気通路(15)を流れる際、一酸化炭素除去材料(18)の近傍を流通する。その結果、空気中の一酸化炭素は、一酸化炭素除去材料(18)によって除去され、この空気の清浄化が行われる。
第8の発明は、第7の発明の一酸化炭素除去装置において、上記空気通路(15)には、一対の電極(41,42)の間でストリーマ放電を行う放電手段(40)が上記一酸化炭素除去材料(18)の上流側に設けられていることを特徴とするものである。
第8の発明では、一酸化炭素除去材料(18)の上流側に放電手段(40)が配置される。放電手段(40)では、一対の電極(41,42)に電圧が印加されることで、両電極(41,42)の間でストリーマ放電が行われる。その結果、放電手段(40)の近傍では、活性種(高速電子、ラジカル、励起分子等)が生成する。空気中に含まれる一酸化炭素は、この活性種によって酸化され、この一酸化炭素が除去される。
また、放電手段(40)で生成した活性種が空気と共に一酸化炭素除去材料(18)の近傍を流れると、この活性種が気体処理材料(61,62)を活性化するので、気体処理材料(61,62)による一酸化炭素の酸化分解速度が更に増す。
第9の発明は、空気中の一酸化炭素を除去するための気体処理材料(61,62)と、シリカ系セラミック成分を含むバインダ(63)と、水分とを混合してスラリー状の原液を得る調整行程と、上記スラリー状の原液に基材(64)を浸けることで、基材(64)にバインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持された一酸化炭素除去材料を得る担持行程とを備える一酸化炭素除去材料の製造方法を前提としている。そして、この一酸化炭素除去材料の製造方法は、上記調整行程において、バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量比率を1%以上25%以下とすることを特徴とするものである。
第9の発明では、第1の発明に係る一酸化炭素除去材料を得るために、調整行程と担持行程とが行われる。上記調整行程では、バインダ率が1%以上25%以下に調整されるので、基材(64)には、気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)で覆われない程度で、安定的に気体処理材料(61,62)が担持される。
第10の発明は、空気中の一酸化炭素を除去するための気体処理材料(61,62)と、酸化アルミニウム成分を含むバインダ(63)と、水分とを混合してスラリー状の原液を得る調整行程と、上記スラリー状の原液に基材(64)を浸けることで、基材(64)にバインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持させる担持行程とを備える一酸化炭素除去材料の製造方法を前提としている。そして、この一酸化炭素除去材料の製造方法は、上記調整行程において、バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量比率を1%以上25%以下とすることを特徴とするものである。
第10の発明では、バインダ(63)として酸化アルミニウムが用いられる一酸化炭素除去材料について、第2の発明に係る一酸化炭素除去材料を得るために、調整行程と担持行程とが行われる。上記調整行程では、バインダ率が1%以上25%以下に調整されるので、基材(64)には、気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)で覆われない程度で、安定的に気体処理材料(61,62)が担持される。
第11の発明は、第9又は第10の発明において、上記調整行程では、気体処理材料(61,62)の等電点pHと原液のpHとの差の絶対値を2.0以上とすることを特徴とするものである。
第11の発明では、調整行程において、スラリー状の原液のpHと気体処理材料(61,62)の等電点との差の絶対値が2.0以上となるように原液の配合調整がなされる。このように、気体処理材料(61,62)の等電点pH(ゼータ電位がゼロとなるpH)を原液のpHから所定範囲離すと、気体処理材料(61,62)の粒子間の反発力が大きくなり、気体処理材料(61,62)の分散性が良好となる。
第12の発明は、第9又は第10の発明において、上記調整行程では、気体処理材料(61,62)の等電点pHと原液のpHとの差の絶対値を2.0未満とすることを特徴とするものである。
第12の発明では、調整行程において、スラリー状の原液のpHと気体処理材料(61,62)の等電点との差の絶対値が2.0未満となるように原液の配合調整がなされる。このように、気体処理材料(61,62)の等電点pHを原液のpHから近づけると、気体処理材料(61,62)の粒子間の斥力が大きくなり、互いの粒子が凝集する。その結果、担持行程時において、基材(64)の表面における気体処理材料(61,62)の成膜速度が増大する。
第1及び第2の発明では、バインダ率を1%以上25%以下の範囲に調整して一酸化炭素除去材料(18)を構成するようにしている。このため、基材(64)に気体処理材料(61,62)を確実に担持させることができる。また、気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)で覆われてしまうことを抑制できるので、気体処理材料(61,62)と空気中の一酸化炭素を効果的に接触させることができ、この一酸化炭素除去材料(18)による一酸化炭素除去効率を高めることができる。即ち、バインダ(63)の配合比率を最適な範囲内とすることで、基材(64)の表面に気体処理材料(61,62)を安定的に担持でき、且つ一酸化炭素除去性能に優れた一酸化炭素除去材料を提供することができる。
特に、第2の発明では、バインダ(63)に酸化アルミニウム成分が含まれているため、酸化アルミニウムの触媒作用によって、一酸化炭素の分解効率の向上を図ることができる。
また、第3の発明では、原液中のスラリー濃度を1%以上30%以下に調整するようにしたので、基材(64)に気体処理材料(61,62)を安定且つ高密度に担持させることができる。従って、この一酸化炭素除去材料による一酸化炭素除去性能の向上、及び耐用年数の長期化を図ることができる。
また、第4の発明によれば、バインダ(63)としてコロイダルシリカを用いることで、基材(64)及び気体処理材料(61,62)に対してバインダ(63)の密着性が向上し、基材(64)に気体処理材料(61,62)を一層安定的に担持させることができる。更に、コロイダルシリカは、耐食性にも優れるので、長期間の使用に伴い基材(64)から気体処理材料(61,62)が剥がれ落ちてしまうことを回避できる。
特に、第5の発明によれば、上記コロイダルシリカの粒径を1nm以上1000nm以下の範囲としたので、バインダ(63)の密着性・耐食性が更に向上し、第3の発明の効果が顕著となる。
また、第6の発明では、気体処理材料として酸化アルミニウム(61)及びパラジウム(62)を用いるようにしたので、気体処理材料による一酸化炭素の分解効率を効果的に高めることができる。また、上記パラジウム(62)は、一酸化炭素を選択的に吸着する特性を有するので、空気中に他の成分(アンモニア、硫黄系臭気等)が含まれている場合にも、これらの成分はほとんどパラジウム(62)に吸着されない。このため、気体処理材料(61,62)による他の有害成分や臭気成分等の吸着に起因して一酸化炭素の吸着能が低下してしまうのを回避できる。従って、この一酸化炭素除去材料によって、空気中の一酸化炭素を一層確実に除去することができる。
第7の発明では、第1から第6の発明の一酸化炭素除去材料を一酸化炭素除去装置に利用することができる。
特に、第8の発明では、上記一酸化炭素除去材料と、ストリーマ放電を組み合わせることで、空気中の一酸化炭素を一層確実に除去することができる。また、ストリーマ放電によって発生した活性種により、気体処理材料(61,62)による一酸化炭素の酸化分解速度を促進させることができ、この一酸化炭素除去装置の一酸化炭素除去性能を効果的に高めることができる。
第9及び第10の発明では、上記第1の発明及び第2の発明の一酸化炭素除去材料を具体的に得ることができる。
特に、第11の発明によれば、調整行程時において、原液のpHを気体処理材料(61,62)の等電点pHから離すようにしているので、気体処理材料(61,62)の分散性が高まり、基材(64)の表面に気体処理材料(61,62)を均一に担持させることができる。従って、この一酸化炭素除去材料による一酸化炭素除去性能の向上を図ることができる。
一方、第12の発明によれば、調整行程時において、原液のpHを気体処理材料(61,62)の等電点pHから近づけるようにしているので、気体処理材料(61,62)の凝集性が高まり、基材(64)における気体処理材料(61,62)の成膜速度を早めることができる。従って、この一酸化炭素除去材料の製造時間の短縮化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態に係る一酸化炭素除去装置は、一般家庭や小規模店舗等で用いられる空気浄化装置(10)を構成するものである。この空気浄化装置(10)は、室内空気中の一酸化炭素やその他の臭気成分を除去し、室内空間を清浄化する。
<空気浄化装置の全体構成>
まず、空気浄化装置(10)の全体構成について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、図1は空気浄化装置(10)の分解斜視図であり、図2は空気浄化装置(10)の内部を上方から視た図である。
空気浄化装置(10)は、一端が開放された箱形のケーシング(11)と、該ケーシング(11)の開放端面に装着される前面カバー(12)とを備えている。上記ケーシング(11)の前面寄りの左右側面及び上面、さらに上記前面カバー(12)の中央部には、室内空気が導入される空気吸込口(13)が形成されている。一方、ケーシング(11)の天板の背面側寄りには、室内空気が流出する空気吹出口(14)が形成されている。
ケーシング(11)内には、空気吸込口(13)から空気吹出口(14)までに亘って室内空気が流れる空気通路(15)が形成されている。この空気通路(15)には、室内空気の流れの上流側から下流側に向かって順に、プレフィルタ(16)、イオン化部(30)、ストリーマ放電部(40)、静電フィルタ(17)、触媒フィルタ(18)、及びファン(19)が配置されている。また、ケーシング(11)の後部下側寄りには、上記イオン化部(30)及びストリーマ放電部(40)の電源(21)が設けられている。
<プレフィルタ及びイオン化部の構成>
プレフィルタ(16)は、室内空気中に含まれる比較的大きな塵埃を捕集するフィルタである。イオン化部(30)は、プレフィルタ(16)を通過した比較的小さな塵埃を帯電させ、この塵埃を後述の静電フィルタ(17)で捕集するものである。このイオン化部(30)は、「コ」の字型の水平断面が左右方向に連なる形状の波形部材(50)の前面側に設けられている。具体的に、波形部材(50)の前面側には、該波形部材(50)によって区画される複数の柱状の空間が形成されており、この空間が前側開放部(51)を構成している。そして、各前側開放部(51)に上記イオン化部(30)がそれぞれ設けられている。
各イオン化部(30)は、それぞれイオン化線(31)と電極板(32)とで構成されている。イオン化線(31)は、前側開放部(51)の水平方向における内部中央に位置し、波形部材(50)の上端から下端に亘って張架されている。一方、電極板(32)は、前側開放部(51)の左右内壁によって構成されており、イオン化線(31)と平行な状態となっている。そして、上記電源(21)からイオン化部(30)に電圧が印加されると、各イオン化線(31)と、各イオン化線(31)に対応する各電極板(32)との間では、塵埃を帯電させるためのコロナ放電が行われる。
<ストリーマ放電部の構成>
ストリーマ放電部(40)は、波形部材(50)の後面側に設けられている。具体的に、波形部材(50)の後面側には、該波形部材(50)によって区画される複数の柱状の空間が形成されている。この空間のうち水平方向の断面積が広い2つの空間が後側開放部(52)を構成している。そして、これら2つの後側開放部(52)に上記ストリーマ放電部(40)がそれぞれ設けられている。また、ストリーマ放電部(40)の要部を上方から視た図3に示すように、後側開放部(52)には、水平断面が「コ」の字型で、波形部材(50)の上下方向に亘って延在する第1絶縁カバー(53)が設けられている。この第1絶縁カバー(53)には、前側に開放空間が形成されている。そして、ストリーマ放電部(40)は、波形部材(50)の後側面と上記第1絶縁カバー(53)の内側面とによって内包されている。なお、第1絶縁カバー(53)を構成する3つの壁面には、それぞれ複数の空気流通口(54)が形成されており、室内空気がストリーマ放電部(40)の近傍を流通可能となっている。
ストリーマ放電部(40)には、複数の電極対(41,42)が設けられている。各電極対(41,42)は、ストリーマ放電の基端となる複数の放電電極(41)と、ストリーマ放電の終端となる複数の対向電極(42)とで構成されている。
放電電極(41)は、図4(放電電極の要部拡大斜視図)に示すように、水平断面が「コ」の字型で上下方向に延在する電極保持部材(43)に支持されている。具体的に、電極保持部材(43)の所定の部位には、前方に向かって屈曲形成された複数の支持板(44)が形成されている。そして、線状ないし棒状の放電電極(41)は、該放電電極(41)を挟み込むようにしてかしめられた支持板(44)の先端部によって支持されている。以上のようにして、放電電極(41)の両端部は、支持板(44)から上下方向に突出した状態となっている。なお、本実施形態において、上記放電電極(41)は、線径が約0.2mmのタングステン線で構成されている。
対向電極(42)は、図3に示すように、波形部材(50)の後側開放部(52)を形成する内壁のうち、上記放電電極(41)の前方に位置する支持面(55)に形成されている。具体的に、支持面(55)には、放電電極(41)に近い順に、上記対向電極(42)及びアース電極(23)が積層されている。対向電極(42)は、上下方向に延在する板状に形成されている。この対向電極(42)には、所定の位置に第2絶縁カバー(56)が設けられている。そして、対向電極(42)は、放電電極(41)の先端部に対峙する面が露出された状態となっている。上記アース電極(23)は、ストリーマ放電によって対向電極(42)を流れた後の電流が流れる通電板を構成している。
ストリーマ放電部(40)の要部を側方から視た図である図5に示すように、上記放電電極(41)と対向電極(42)とは実質的に平行な姿勢となっている。また、対向電極(42)と上記電極保持部材(43)との間には、図示しないスペーサーが介設されている。このスペーサーは、本実施形態において、絶縁性の碍子で構成されている。そして、放電電極(41)の先端部から対向電極(42)までの間の距離が上記スペーサーによって一定間隔に保持されている。なお、本実施形態において、両電極(41,42)の間の距離は4.0±0.3mmとなっている。
以上のような構成のストリーマ放電部(40)は、電源(21)から各電極対(41,42)に電圧が印加されることで、各電極対(41,42)の間でストリーマ放電を行う放電手段を構成している。
<静電フィルタの構成>
静電フィルタ(17)は、ストリーマ放電部(40)の下流側に配置されている。この静電フィルタ(17)は、水平断面が波形状に屈曲して形成された、いわゆるプリーツフィルタで構成されている。また、静電フィルタ(17)は、上流側の面が上記イオン化部(30)によって帯電された比較的小さな塵埃を捕集する集塵面を構成する一方、下流側の面には光触媒(光半導体)が担持されている。この光触媒は、ストリーマ放電部(40)によるストリーマ放電によって生成される活性種(高速電子、ラジカル、励起分子等)によって更に活性化され、室内空気中の一酸化炭素等の有害成分や臭気成分の除去速度を増大させる。なお、この光触媒は、例えば二酸化チタンや酸化亜鉛、あるいはタングステン酸化物や硫化カドミウム等が用いられる。
<触媒フィルタの構成>
触媒フィルタ(18)は、本発明の一酸化炭素除去材料を構成するものであり、静電フィルタ(17)の下流側に配置されている。この触媒フィルタ(18)は、コルゲート状、あるいはハニカム状の基材(64)の表面にバインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持されて構成されている(図6参照)。
本実施形態では、上記バインダ(63)として1nm以上1000nm以下の平均粒子径を有するコロイダルシリカ(シリカ含有量20重量%)を用いている。このコロイダルシリカの粒径は特に10nm以上20nm以下が好ましい。また、バインダ(63)としては、コロイダルシリカ以外のシリカ系セラミック成分を含むものを用いてもよい。
また、本実施形態では、上記気体処理材料として、95重量%の酸化アルミニウム(61)と、5重量%のパラジウム(62)との混合材料を用いている。図6に示すように、酸化アルミニウム(61)と比較してパラジウム(62)は小径の粒子であり、酸化アルミニウム(61)の表面にパラジウム(62)が担持されている。なお、酸化アルミニウムやパラジウム以外の気体処理材料としては、金、銀、銅、ロジウム、オスニウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、カドミウム、亜鉛、チタン、アルミニウムのうち少なくとも一種の金属元素を含む材料や、活性炭やゼオライト等の他の吸着剤を用いるようにしても良い。また、上記気体処理材料の1次粒子径は、2nm以上500nm以下の範囲が好適であり、更には1nm以上25nm以下であることが一層好ましい。
<触媒フィルタの製造方法>
触媒フィルタ(18)は、粉末状のバインダ(63)及び気体処理材料(61,62)と、水分とがホモジナイザーによって混合されたスラリー状の原液を配合する調整行程と、調整行程後の原液に基材(64)を浸積する担持行程とを経て製造される。
調整行程では、バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量比率(バインダ濃度)が1%以上25%以下の範囲となるよう原液の配合比が調整される。更に、このスラリー状の原液は、原液の全体重量に対するバインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量の比率(スラリー濃度)が1%以上30%以下の範囲となるように配合比が調整される。
また、調整行程では、上記スラリー状の原液のpHが、気体処理材料(61,62)の等電点に対して±2以上(好ましくは±3以上)となる。つまり、原液のpHを気体処理材料(61,62)の等電点(ゼータ電位がゼロとなるpH)から離すと、気体処理材料(61,62)の粒子間の反発力が大きくなり、気体処理材料(61,62)の分散性が良好となる。その結果、基材(64)に対して気体処理材料(61,62)を均一に付着させることができる。
ここで、原液のpHを気体処理材料(61,62)の等電点から離すためには、気体処理材料(61,62)の等電点に対して±2以上のpHを有するバインダ(63)を用いるのが簡便であるが、原液中のpHをpH調整剤等で適宜調整して上述のpHの範囲とするようにしても良い。
また逆に、調整行程においては、スラリー状の原液のpHを、気体処理材料(61,62)の等電点に対して±2未満(好ましくは±1未満)としても良い。つまり、原液のpHを気体処理材料(61,62)の等電点に近づけると、気体処理材料(61,62)の粒子間の斥力が大きくなり、気体処理材料(61,62)が凝集し易くなる。その結果、基材(64)を原液に浸積した際の基材(64)の表面における気体処理材料(61,62)の成膜速度が早くなる。従って、このようにすると、この一酸化炭素除去材料(18)の製造時間の短縮化を図ることができる。
なお、上記気体処理材料(61,62)の等電点は、スラリー化した気体処理材料(61,62)のゼータ電位を、酸(例えばN-HCL)又はアルカリ(N-KOH)等でpHを振りながら振動電位法等で測定し、pHとゼータ電位との関係をプロットして得た近似曲線から容易に求めることができる。
担持行程では、調整後のスラリー状の原液に基材(64)が浸積される。その結果、基材(64)の表面に原液が付着して気体処理材料(61,62)を含む塗膜が形成される。この基材(64)を空気中120℃で乾燥・焼成することで、基材(64)にバインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持された一酸化炭素除去材料(触媒フィルタ)(18)が得られる。
<一酸化炭素除去材料の性能評価試験>
以上のような一酸化炭素除去材料(18)について、原液の配合比と一酸化炭素除去材料の性能との関係について検討した。
図7は、原液のバインダ率と、基材(64)に対する気体処理材料(61,62)の付着強度並びにCO除去性能の関係について検討した結果である。この試験では、スラリー濃度が17%と一定である一方、バインダ率がそれぞれ異なる原液を用いて、6種類の試料(試料1〜試料6)を作製した。
まず、バインダ率を0.5%とした試料1では、基材(64)に対してバインダ(63)が充分付着せず、気体処理材料(61,62)を基材(64)に担持することができなかった。また、バインダ率を1.0%とした試料2及びバインダ率を10%とした試料3では、基材(64)の表面に気体処理材料(61,62)を担持できたものの、その担持量が少量であった。一方、更にバインダ率を高くした試料4から試料6については、基材(64)の表面に充分な量の気体処理材料(61,62)を安定的に担持させることができた。
一方、各試料におけるCO除去率(%)(各試料についてのCO分解速度/気体処理材料のみでCOを除去した場合の理想的なCO分解速度)については、試料2(バインダ率1.0%)において、COを若干量除去することができ、更にバインダ率を高くした試料3(バインダ率10%)及び試料4(バインダ率13%)については、特に高いCO除去性能が観察された。更に、バインダ率を高くした試料5(バインダ率25%)は、試料3や試料4よりもCO除去性能が低く、試料6(バインダ率30%)では、ほとんどCOを除去することができなかった。これは、試料5及び試料6では、気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)に覆われ、一酸化炭素と気体処理材料(61,62)との接触効率が低下したためと推察できる。以上の試験結果を総合的に視ると、原液のバインダ率としては、1%以上25%以下の範囲が好ましく、更には10%以上13%以下の範囲がより好ましい。
図8は、原液のスラリー濃度と、基材(64)に対する気体処理材料(61,62)の付着強度並びにCO除去性能の関係について検討した結果である。この試験では、バインダ率が13%と一定である一方、スラリー濃度がそれぞれ異なる原液を用いて、6種類の試料(試料7〜試料12)を作製した。
まず、スラリー濃度を0.5%とした試料7では、基材(64)に対してバインダ(63)が充分付着せず、気体処理材料(61,62)を基材(64)に担持することができなかった。また、スラリー濃度を1.0%とした試料8では、基材(64)の表面に気体処理材料(61,62)を担持できたものの、その担持量が少量であった。一方、更にスラリー濃度を高くした試料9〜試料10については、基材(64)の表面に充分な量の気体処理材料(61,62)を安定的に担持させることができた。また、更にスラリー濃度を高くした試料11では、基材(64)の表面に形成されるバインダ(63)の膜厚が厚く成りすぎて、この膜が気体処理材料(61,62)と共に剥がれ落ちてしまう現象が生じた。この現象は、更にスラリー濃度を高くした試料12において顕著となった。
一方、各試料におけるCO除去率(%)については、試料8〜試料11について、COを有る程度除去することができ、特に試料9及び試料10については、高いCO除去性能が観察された。以上の試験結果を総合的に見ると、原液のスラリー濃度としては、1%以上30%以下の範囲が好ましく、更には10%以上17%以下の範囲がより好ましい。
−運転動作−
次に、上述した空気浄化装置(10)の運転動作について説明する。
図1に示すように、空気浄化装置(10)の運転が始まると、ファン(19)が起動し、室内空気がケーシング(11)内の空気通路(15)を流通する。また、イオン化部(30)及びストリーマ放電部(40)へは、電源(21)からそれぞれ高電圧が印加される。
ケーシング(11)内に導入された室内空気は、まずプレフィルタ(16)を通過する。プレフィルタ(16)では、室内空気中の比較的大きな塵埃が除去される。その後、室内空気は、イオン化部(30)及びストリーマ放電部(40)へと流れる。イオン化部(30)では、イオン化線(31)と電極板(32)との間でのコロナ放電により室内空気中の比較的小さな塵埃が帯電する。このようにして帯電した塵埃は、室内空気が静電フィルタ(17)を通過する際、この静電フィルタ(17)の上流側の集塵面に捕集される。
一方、ストリーマ放電部(40)では、放電電極(41)と対向電極(42)との間でのストリーマ放電により低温プラズマが発生している。そして、この低温プラズマの生成に伴い、高速電子、ラジカル、励起分子等の活性種が発生する。この活性種は、室内空気と接触して室内空気中の一酸化炭素等の有害成分や臭気成分を除去する。
その後、室内空気は、静電フィルタ(17)を通過する。静電フィルタ(17)では、その集塵面において上述のように塵埃が捕集される。また、静電フィルタ(17)の下流側の面に担持される光触媒は、上記活性種によって活性化され、室内空気中の一酸化炭素等の有害成分や臭気成分が更に除去される。その後、比較的低濃度の一酸化炭素を含む室内空気は触媒フィルタ(18)を流通する。その結果、室内空気と一酸化炭素除去材料(18)とが接触する。
一酸化炭素除去材料(18)では、図6に示すように、空気中の一酸化炭素が主としてパラジウム(62)の表面に吸着される。その結果、パラジウム(62)の表面上で一酸化炭素が濃縮される。更に、パラジウム(62)は、濃縮された一酸化炭素を酸化分解する。その結果、一酸化炭素は二酸化炭素へと酸化される。この際、気体処理材料(61,62)は、ストリーマ放電部(40)で生成した活性種によって更に活性化されるため、空気中の一酸化炭素が効果的に酸化分解される。以上のようにして一酸化炭素や他の臭気成分等が除去された室内空気は、ファン(19)へと取り込まれ、空気吹出口(14)から室内へ供給される。
−実施形態の効果−
上記実施形態では、気体処理材料(61,62)及びバインダ(63)の総重量に対するバインダ(63)の重量比率(バインダ率)を1%以上25%以下の範囲に調整して一酸化炭素除去材料を構成するようにしている。このように、バインダ率を1%以上とすることで、基材(64)に気体処理材料(61,62)を担持させることができる。特に、バインダ率を13%以上とすれば、基材(64)に気体処理材料(61,62)を安定且つ強固に担持させることができ、この一酸化炭素除去材料の耐用年数の長期化を図ることができる。
一方、バインダ(63)の重量比率を25%以下に規制とすることで、気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)で覆われてしまうことを抑制できる。従って、気体処理材料(61,62)と空気中の一酸化炭素の接触効率が増大するので、一酸化炭素の除去性能の向上を図ることができる。更に、バインダ率を10%以上13%以下の範囲とすることで、この一酸化炭素除去材料の一酸化炭素除去能力を最大限に発揮させることができる。
また、原液のスラリー濃度を1%以上30%以下に調整すると、基材(64)に気体処理材料(61,62)を高密度且つ安定的に担持させることができる。特に、原液のスラリー濃度を10%以上17%以下の範囲とすることで、基材(64)の表面の気体処理材料(61,62)の密度が増し、一酸化炭素を効果的に除去することができる。
また、上記実施形態の空気浄化装置では、一酸化炭素除去材料となる触媒フィルタ(18)と、ストリーマ放電とを組み合わせて空気の清浄化を行うようにしている。従って、ストリーマ放電で生じる活性種、及び触媒フィルタ(18)のCO酸化能やCO吸着能を利用して、空気中の一酸化炭素を確実に除去することができる。特に、ストリーマ放電によって発生した活性種により、気体処理材料(61,62)による一酸化炭素の酸化分解速度を促進させることができるので、空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができる。
<一酸化炭素除去材料の変形例>
上述した実施形態の触媒フィルタ(18)は、バインダ(63)としてコロイダルシリカを用いている。しかしながら、このバインダ(63)として酸化アルミニウム成分を含むバインダを用いるようにしてもよい。この酸化アルミニウムの平均粒子径は、10nm以上20nm以下が好ましく、その結晶形はベーマイトが好ましい。また、この酸化アルミニウムの比表面積は、130m2/g以上270m2/g以下が好ましい。
具体的に、この変形例の触媒フィルタ(18)は、バインダ(63)としてアルミナゾルが用いられる。このアルミナゾルは、安定剤としては硝酸が用いられ、その比重は1.17以上1.21以下の範囲である。また、このアルミナゾルの粘度は、1.0Pa・s以上25Pa・s(20℃)以下の範囲である。また、アルミナゾル以外のバインダ(63)としてコロイダルアルミナを用いるようにしてもよい。
一方、気体処理材料としては、上述した実施形態と同様、酸化アルミニウム(61)及びパラジウム(62)が用いられる。なお、気体処理材料として用いられる酸化アルミニウムの平均粒子径は7μmとなっており、バインダ(63)としてのアルミナゾル中に含まれる酸化アルミニウムの平均粒子径よりも大きいものとなっている。また、この気体処理材料として、金、銀、銅、ロジウム、オスニウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、カドミウム、亜鉛、チタン、アルミニウムのうち少なくとも一種の金属元素を含む材料や、活性炭やゼオライト等の他の吸着剤を用いるようにしても良い。
そして、変形例の触媒フィルタ(18)は、上記実施形態と同様の調整行程及び担持行程によって製造される。ここで、調整行程では、バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量比率(バインダ濃度)が1%以上25%以下の範囲となるよう原液の配合比が調整される。更に、このスラリー状の原液は、原液の全体重量に対するバインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量の比率(スラリー濃度)が1%以上30%以下の範囲となるように配合比が調整される。また、この調整行程では、上記実施形態と同様、上記スラリー状の原液のpHが、気体処理材料(61,62)の等電点に基づいて調節される。
以上のようにアルミナゾルをバインダ(63)とした一酸化炭素除去材料(18)について、原液の配合比と一酸化炭素除去材料の性能との関係について検討した。
図9は、原液のバインダ率と、基材(64)に対する気体処理材料(61,62)の付着強度並びにCO除去性能の関係について検討した結果である。この試験では、スラリー濃度が2%と一定である一方、バインダ率がそれぞれ異なる原液を用いて、6種類の試料(試料1〜試料6)を作製した。
まず、バインダ率を0.5%とした試料1では、基材(64)に対してバインダ(63)が充分付着せず、気体処理材料(61,62)を基材(64)に担持することができなかった。また、バインダ率を1.0%とした試料2及びバインダ率を10%とした試料3では、基材(64)の表面に気体処理材料(61,62)を担持できたものの、その担持量が少量であった。一方、更にバインダ率を高くした試料4から試料6については、基材(64)の表面に充分な量の気体処理材料(61,62)を安定的に担持させることができた。
一方、各試料におけるCO除去率(%)(各試料についてのCO分解速度/気体処理材料のみでCOを除去した場合の理想的なCO分解速度)については、試料2(バインダ率1.0%)において、COを若干量除去することができ、更にバインダ率を高くした試料3(バインダ率10%)及び試料4(バインダ率13%)については、特に高いCO除去性能が観察された。更に、バインダ率を高くした試料5(バインダ率25%)は、試料3や試料4よりもCO除去性能が低く、試料6(バインダ率30%)では、ほとんどCOを除去することができなかった。これは、試料5及び試料6では、気体処理材料(61,62)の表面がバインダ(63)に覆われ、一酸化炭素と気体処理材料(61,62)との接触効率が低下したためと推察できる。以上の試験結果を総合的に視ると、原液のバインダ率としては、1%以上25%以下の範囲が好ましく、更には10%以上13%以下の範囲がより好ましい。
図10は、原液のスラリー濃度と、基材(64)に対する気体処理材料(61,62)の付着強度並びにCO除去性能の関係について検討した結果である。この試験では、バインダ率が13%と一定である一方、スラリー濃度がそれぞれ異なる原液を用いて、6種類の試料(試料7〜試料12)を作製した。
まず、スラリー濃度を0.1%とした試料7では、基材(64)に対してバインダ(63)が充分付着せず、気体処理材料(61,62)を基材(64)に担持することができなかった。また、スラリー濃度を0.5%とした試料8では、基材(64)の表面に気体処理材料(61,62)を担持できたものの、その担持量が少量であった。一方、更にスラリー濃度を高くした試料9〜試料10については、基材(64)の表面に充分な量の気体処理材料(61,62)を安定的に担持させることができた。また、更にスラリー濃度を高くした試料11では、基材(64)の表面に形成されるバインダ(63)の膜厚が厚く成りすぎて、この膜が気体処理材料(61,62)と共に剥がれ落ちてしまう現象が生じた。この現象は、更にスラリー濃度を高くした試料12において顕著となった。
一方、各試料におけるCO除去率(%)については、試料8〜試料11について、COを有る程度除去することができ、特に試料9及び試料10については、高いCO除去性能が観察された。以上の試験結果を総合的に見ると、原液のスラリー濃度としては、1%以上30%以下の範囲が好ましく、特に1%以上2%以下の範囲が好ましい。
<その他の実施形態>
上記一酸化炭素除去材料(18)のバインダとして、酸化アルミニウム成分とシリカ系セラミック成分との双方を含むバインダ(63)を用いるようにしても良い。この場合にも、バインダ率を1%以上25%以下の範囲とし、また、スラリー濃度を1%以上30%以下の範囲とすることで、基材(64)に気体処理材料(61,62)を安定的に担持でき、且つCO除去性能に優れた一酸化炭素除去材料(18)を得ることができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、空気中の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去材料、及びこの一酸化炭素除去材料を有する一酸化炭素除去装置について有用である。
実施形態に係る空気浄化装置の全体構成を示す斜視図である。 空気浄化装置の内部を上流側から視た図である。 ストリーマ放電部の水平断面図である。 ストリーマ放電部の拡大斜視図である。 ストリーマ放電部を側方から視た図である。 一酸化炭素除去材料を模式的に示す構成図である。 バインダ率と一酸化炭素除去材料の性能との関係についての性能評価試験の結果を示す表である。 スラリー濃度と一酸化炭素除去材料の性能との関係についての性能評価試験の結果を示す表である。 変形例の一酸化炭素除去材料におけるバインダ率と性能との関係についての性能評価試験の結果を示す表である。 変形例の一酸化炭素除去材料におけるバインダ率と性能との関係についての性能評価試験の結果を示す表である。
符号の説明
10 空気浄化装置(一酸化炭素除去装置)
15 空気通路
18 触媒フィルタ(一酸化炭素除去材料)
40 ストリーマ放電部(放電手段)
41 放電電極(電極)
42 対向電極(電極)
61 酸化アルミニウム(気体処理材料)
62 パラジウム(気体処理材料)
63 コロイダルシリカ、アルミナゾル(バインダ)
64 基材

Claims (12)

  1. 空気中の一酸化炭素を除去するための気体処理材料(61,62)と、シリカ系セラミック成分を含むバインダ(63)と、該バインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持される基材(64)とを備えた一酸化炭素除去材料であって、
    上記バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量の比率が、1%以上25%以下であることを特徴とする一酸化炭素除去材料。
  2. 空気中の一酸化炭素を除去するための気体処理材料(61,62)と、酸化アルミニウム成分を含むバインダ(63)と、該バインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持される基材(64)とを備えた一酸化炭素除去材料であって、
    上記バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量の比率が、1%以上25%以下であることを特徴とする一酸化炭素除去材料。
  3. 請求項1又は2において、
    上記バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量が全体重量に対して1%以上30%以下となるように水分量を調整したスラリー状の原液に上記基材(64)を浸けることで、バインダ(63)を介して基材(64)に気体処理材料(61,62)を担持して成ることを特徴とする一酸化炭素除去材料。
  4. 請求項1において、
    上記バインダ(63)に含まれるシリカ系セラミック成分は、コロイダルシリカであることを特徴とする一酸化炭素除去材料。
  5. 請求項4において、
    上記コロイダルシリカの粒径が、1nm以上1000nm以下であることを特徴とする一酸化炭素除去材料。
  6. 請求項1又は2において、
    上記気体処理材料は、酸化アルミニウム(61)及びパラジウム(62)を含んでいることを特徴とする一酸化炭素除去材料。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1の一酸化炭素除去材料(18)と、該一酸化炭素除去材料(18)が配置されるとともに空気が流れる空気通路(15)とを備える一酸化炭素除去装置。
  8. 請求項7において、
    上記空気通路(15)には、一対の電極(41,42)の間でストリーマ放電を行う放電手段(40)が上記一酸化炭素除去材料(18)の上流側に設けられていることを特徴とする一酸化炭素除去装置。
  9. 空気中の一酸化炭素を除去するための気体処理材料(61,62)と、シリカ系セラミック成分を含むバインダ(63)と、水分とを混合してスラリー状の原液を得る調整行程と、
    上記スラリー状の原液に基材(64)を浸けることで、基材(64)にバインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持させる担持行程とを備える一酸化炭素除去材料の製造方法であって、
    上記調整行程では、バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量比率を1%以上25%以下とすることを特徴とする一酸化炭素除去材料の製造方法。
  10. 空気中の一酸化炭素を除去するための気体処理材料(61,62)と、酸化アルミニウム成分を含むバインダ(63)と、水分とを混合してスラリー状の原液を得る調整行程と、
    上記スラリー状の原液に基材(64)を浸けることで、基材(64)にバインダ(63)を介して気体処理材料(61,62)が担持させる担持行程とを備える一酸化炭素除去材料の製造方法であって、
    上記調整行程では、バインダ(63)及び気体処理材料(61,62)の総重量に対するバインダ(63)の重量比率を1%以上25%以下とすることを特徴とする一酸化炭素除去材料の製造方法。
  11. 請求項9又は10において、
    上記調整行程では、気体処理材料(61,62)の等電点pHと原液のpHとの差の絶対値を2.0以上とすることを特徴とする一酸化炭素除去材料の製造方法。
  12. 請求項9又は10において、
    上記調整行程では、気体処理材料(61,62)の等電点pHと原液のpHとの差の絶対値を2.0未満とすることを特徴とする一酸化炭素除去材料の製造方法。
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