JP2007141555A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】セパレータ板のランド部下の温度をセパレータ板のチャネル部下の温度と同等になるようにして、ランド部下の触媒層を有効に活用してフラッディングを抑制し、コンパクト化と高性能化を図ることができる燃料電池を提供する。
【解決手段】固体高分子膜から成る電解質膜5と、電解質膜5の一方の面に配置された燃料極6と、電解質膜の他方の面に配置された空気極7を有し、燃料極6と空気極7は、それぞれ触媒層とガス拡散層を有し、各ガス拡散層11,13には、ランド部40,41を有するセパレータ板3,4が配置されている燃料電池1であり、セパレータ板11,13のランド部40,41とガス拡散層11,13の間には、導電性を有しセパレータ板の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する部位100,101が配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池に関し、特にセパレータ板のランド部下の温度をセパレータ板のチャネル部下の温度と同等になるようにしてランド部下の触媒層を有効に活用できる燃料電池に関するものである。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子膜から成る電解質層を一対の電極で挟んだ構造を有し、一対の電極のうちの燃料極(アノード)に水素を含有する燃料ガスを供給すると共に、一対の電極のうちの空気極(カソード)に酸素を含有する酸化ガスを供給し、各電極の電解質層側の面で下記式の電気化学反応を生じさせて、電極から電気エネルギーを取り出す。
燃料極反応:H → 2H + 2e…(1)
空気極反応:2H + 2e + (1/2)O → HO …(2)
燃料極に対する燃料ガスの供給方法としては、水素貯蔵装置から純水素である燃料ガスを直接供給する方法や、水素を含有する燃料を改質してこれを燃料ガスとして供給する方法が知られている。
この水素貯蔵装置としては、高圧ガスタンク、液化水素タンク及び水素吸蔵合金タンク等があり、水素を含有する燃料としては、天然ガス、メタノール及びガソリン等がある。他方、空気極に供給する酸化ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
固体高分子型燃料電池では、電解質層を保湿状態にしておく必要があり、電解質層の性能を充分に引き出して発電効率を向上させるためには、電解質層の水分量を最適に保つ必要がある。このため、固体高分子型燃料電池では、燃料極に導入する燃料ガス及び空気極に導入する空気に対して、予め充分な加湿を行っている。
ところで、固体高分子型燃料電池では、上述した電気化学反応の進行に伴って空気極側で水が生じる。この生成水は、空気極に供給している酸化ガス中に気化し、酸化ガスとともに燃料電池外に排出されるのである。しかし、生成量が多いときやガス流路中に部分的に温度が低い領域があると、空気極を構成するガス拡散層内で水蒸気が凝縮して同ガス拡散層内に水が滞留してしまうことがある。
燃料極側では、電気化学反応による生成水は存在しないが、先述の如く導入する燃料ガスに予め加湿を行っているので、燃料ガスの消費とともにガス量が減少すると、燃料ガス中の水蒸気が燃料極を構成するガス拡散層内で凝縮して同ガス拡散層内に水が滞留してしまうことがある。
上記のようにガス拡散層内に水が滞留すると、ガス拡散層の空孔が水で塞がれて燃料ガスの拡散や空気の拡散が阻害される、いわゆるフラッディング現象(水つまり)が生じ、燃料電池の発電出力性能が低下することがあった。
従来の燃料電池のセルの構造では、空気極のガス拡散層の厚さが燃料極のガス拡散層の厚さよりも薄く設定されることによって空気極での発熱を有効に抑えることにより、使用中の燃料電池の出力の低下を防ぐことが提案されている。この空気極のガス拡散層にはセパレータ板が配置されており、セパレータ板のランド部間には、酸化ガスが通るチャネル部が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−185904号公報
ところが、上記した従来の燃料電池の構造の空気極のガス拡散層では、空気極側のセパレータ板のランド部の温度が、セパレータ板のチャネル部の温度よりも低く、ランド部に接するガス拡散層の部分には、液水が形成されて滞留し易い。この液水の滞留の影響により、ランド部に接するガス拡散層下の触媒層が有効に活用されない。このように触媒層が有効に活用されないと、ランド部下の触媒層に酸素が供給されずに、高電流密度条件におけるフラッディングを抑制することができないという問題点があった。
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたものであって、セパレータ板のランド部下の温度をセパレータ板のチャネル部下の温度と同等になるようにして、ランド部下の触媒層を有効に活用してフラッディングを抑制することができる燃料電池を提供することを目的としている。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、セパレータ板のランド部とガス拡散層の間に、導電性を有しセパレータ板の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する部位が配置されることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の燃料電池は、固体高分子膜から成る電解質膜と、上記電解質膜の一方の面に配置された燃料極と、上記電解質膜の他方の面に配置された空気極を有し、上記燃料極と上記空気極は、それぞれ触媒層とガス拡散層を有し、各上記ガス拡散層には、ランド部を有するセパレータ板が配置されている燃料電池であって、上記セパレータ板の上記ランド部と上記ガス拡散層の間には、導電性を有し上記セパレータ板の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する部位が配置されていることを特徴とする。
本発明の燃料電池は、好ましくは上記部位は、多孔体で形成されている。この場合には、
多孔体の空隙(空気)の低熱伝導特性を積極的に用いることができ、多孔体の部位を配置することで、セパレータ板のみの構造に比較して、必然的に熱抵抗は増加する。
本発明の燃料電池は、好ましくは上記部位は、上記セパレータ板の上記ランド部に表面処理を施すことで多孔体が一体的に形成されている。この場合には、ランド部に対して、あらかじめ用意した付加部位を後工程で付加する場合に比べて、部品点数の削減が可能である。
本発明の燃料電池は、好ましくは上記多孔体には撥水処理が施されている。この場合には、チャネル部内の液水やガス拡散層の表面の液水、又はランド部下のガス拡散層に堆積した液水が、付加した部位に侵入するのを抑制することができる。
本発明の燃料電池は、好ましくは上記多孔体の気孔径は、上記ガス拡散層の気孔径と比較して小さく設定されている。この場合には、液水が付加した部位に侵入するのをさらに抑制することができる。
本発明の燃料電池は、好ましくは上記多孔体は、上記ランド部と上記ランド部の間のチャネル部の内壁に沿って形成されており、上記ランド部における上記多孔体の上記ガス拡散層に接する第1部分の厚みが、上記チャネル部の内壁に沿って形成された上記多孔体の第2部分の厚みに比べて、大きく設定されている。この場合には、仮にチャネル部内に液水が多く存在してたとしても、チャネル部の内壁の全周囲にわたって設けた付加した部位の存在により、付加した部位を経由して空気極側では酸素拡散、燃料極側ではプロトンの拡散が可能であり、所定電圧の維持と向上が図れる。
本発明によれば、セパレータ板のランド部とガス拡散層の間には、導電性を有しセパレータ板の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する部位が配置されることにより、セパレータ板のランド部下の温度をセパレータ板のチャネル部下の温度と同等になるようにして、ランド部下の触媒層を有効に活用してフラッディングを抑制することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の燃料電池の好ましい実施形態を示している。図2は、図1の燃料電池1の断面構造例を示している。
図1の燃料電池1は、固体高分子型燃料電池であり、セル2とセパレータ板3,4から構成されている。セル2は、固体高分子型燃料電池を構成する発電要素である。図1と図2に示す燃料電池1は、任意に複数個スタックすることで、スタック構造体を構成することができる。
セル2は、平板状の単位セルあるいはセル板とも呼ぶことができ、固体高分子の電解質膜5と、燃料極6と、空気極7により構成されている。
燃料極6は、触媒層10とガス拡散層11を積層することで構成されている。空気極7は、触媒層12とガス拡散層13を積層することで構成されている。燃料極6側の触媒層10と、空気極7側の触媒層12との間には、電解質膜5が挟まれている。
電解質膜5は、湿潤状態において良好なイオン伝導性を示し、燃料極6と空気極7の間でプロトンを移動させるイオン交換膜として機能する。
燃料極6の触媒層10と空気極7の触媒層12は、電解質膜5の一方の面側と他方の面側にそれぞれ配置されている。
燃料極6のガス拡散層11は、供給される水素ガス、プロトンを触媒層10に供給する機能を有し、
空気極7のガス拡散層13は、供給される空気を触媒層12に供給する機能を有する。ガス拡散層11は、発電反応により生じる電荷を外部回路に移動させ、ガス拡散層13は、水等を外部に放出する。ガス拡散層11,13は、電子伝導性を有する多孔体で作られており、例えばカーボンペーパで作られている。
ガス拡散層11,13は、図2に示すように、マイクロポーラス層15とサブストレート16を有している。マイクロポーラス層15は触媒層10,12側にそれぞれ配置され、サブストレート16はセパレータ板3,4側にそれぞれ配置されている。
燃料極6の触媒層10と空気極7の触媒層12は、多孔膜であって例えばイオン交換樹脂粒子と、触媒を担持した炭素粒子から構成される。触媒層10,12のイオン交換樹脂粒子は、触媒を担持した炭素粒子と固体高分子から成る電解質膜5を電気的に接続させる。燃料極6の触媒層10は、プロトン透過性を有し、空気極7の触媒層12は、酸素透過性を有する。
次に、セパレータ板3,4について説明する。
図2に燃料電池1の積層構造例を詳しく示しているが、図2に示すセパレータ板3,4は、金属又はセラミックスで作られていて、セパレータとも呼ぶことができ、燃料極6側のセパレータ板3はアノードバイポーラプレートであり、空気極7側のセパレータ板4はカソードバイポーラプレートである。燃料極6側のセパレータ板3は、複数のガス流路20を有し、空気極7側のセパレータ板4は、複数のガス流路21を有している。
複数のガス流路20、21は図1と図2において垂直方向に沿って平行に形成され、図示例では断面矩形状のチャネル部30、31をそれぞれ有する。複数のガス流路20には、燃料ガスである水素ガスあるいは改質ガスが供給される。複数のガス流路21には、酸化ガスあるいは酸素が供給される。
図2に示すように、セパレータ板3,4の外面にはクーラント60、61がそれぞれ配置されている。
燃料電池1が複数個スタックされた状態では、燃料電池1の燃料極6側のクーラント60と、隣接する燃料電池1の空気極7側のクーラント61の間には、冷却液が循環される。
図2に示す複数のチャネル部30は、隣接するランド部40,40の間に形成され、同様にして複数のチャネル部31は、隣接するランド部41,41の間に形成されている。ランド部40,41は矩形状の断面を有しており、ランド部はリブとも呼ぶことができる。
ランド部40の先端の平坦面部分70とガス拡散層11の間には、付加部位100が付加されている。この付加部位100は、導電性を有しておりセパレータ板3の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する。
同様にして、ランド部41の先端の平坦面部分71とガス拡散層13の間には、付加部位101が付加されている。この付加部位101は、導電性を有しておりセパレータ板4の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する。
付加部位100,101は、ソリッド(中実体)又はより好ましくは多孔体である。
空気極7の付加部位101を多孔体で形成することにより、図2の矢印で示すように、酸素をチャネル部31からこの付加部位101とガス拡散層13を経て空気極7の触媒層12へ拡散をするための経路が拡大できるので、空気極7における酸素拡散特性の向上が図れる。セパレータ板4のランド部41に対して、空隙を有する多孔体の付加部位101を設けたことで、多孔体の空隙(空気)の低熱伝導特性により、セパレータ板4のみの構造に比較して、必然的に熱抵抗は増加する。
また、燃料極6の付加部位100を多孔体で形成することにより、図2の矢印で示すように、プロトンをチャネル部30からこの付加部位100とガス拡散層11を経て燃料極7の触媒層10へ拡散をするための経路が拡大できるので、空気極7におけるプロトン拡散特性の向上が図れる。
セパレータ板3のランド部40に対して、空隙を有する多孔体の付加部位100を設けたことで、多孔体の空隙(空気)の低熱伝導特性を積極的に用いることができ、セパレータ板3のみの構造に比較して、必然的に熱抵抗は増加する。
このため、図2に示すクーラント61からセパレータ板4の残部91とチャネル部31を経て触媒層12までの部分L2の熱抵抗と、クーラント61からセパレータ板4のランド部41と付加部位101を経て触媒層10までの部分L1の熱抵抗は、できる限り近づけるか、又は同じにすることができる。
同様に、図2に示すクーラント60からセパレータ板3の残部90とチャネル部30を経て触媒層10までの部分L2の熱抵抗と、クーラント60からセパレータ板3のランド部40と付加部位100を経て触媒層10までの部分L1の熱抵抗は、できる限り近づけるか、又は同じにすることができる。
また、セパレータ板3,4のランド部40,41の先端部分に対して例えばエッチングなどの表面処理を施すことで、多孔体の付加部位100,101を一体的に形成することができる。この場合には、ランド部40,41の平坦面部分70,71に対して、あらかじめ用意した付加部位100,101をそれぞれ後工程で付加する場合に比べて、部品点数の削減が可能である。
多孔体の付加部位100,101には、例えばフッ素系の樹脂を用いて撥水処理を施すことが好ましい。フッ素系の樹脂としては、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を採用できる。この場合には、チャネル部30,31内の液水やガス拡散層11,13の表面の液水、又はランド部40,41下のガス拡散層11,13に堆積した液水が、付加部位100,101に侵入するのを抑制することができる。
多孔体の付加部位100,101の気孔径は、ガス拡散層11,13の気孔径と比較して小さくするのが好ましい。この場合には、液水が付加部位100,101に侵入するのを抑制する効果をさらに向上することができる。
上述した付加部位を一体形成すること、付加部位の撥水処理、及び付加部位の気孔径の選択は、任意に組み合わせて採用することができる。
図2に示す本実施形態の燃料電池1の構造と、図4に示す比較例の燃料電池400の構造を比較することにより、図2に示す付加部位100,101がランド部40,41にそれぞれ配置されたことによる違いを説明する。
図4に示す比較例では、セパレータ板250のランド部260の先端面がガス拡散層280の表面に対して直接接しており、付加部位は存在しない。比較例では、ランド部260下の触媒層320からランド部260を経てクーラント310に至るまでの部分D1の熱抵抗と、チャネル部290下の触媒層320からチャネル部290と残部330を経てクーラント310に至るまでの部分D2の熱抵抗が異なる。
具体的には、チャネル部290のガス(空気)の熱伝達は、ランド部260の熱伝導と比較して熱抵抗が大きい。発電時におけるランド部260下のガス拡散層280の温度は、チャネル部290下のガス拡散層280の温度と比較して低くなっている。このため、空気極の触媒層320からの水蒸気凝縮による多くの液水300が、ガス拡散層280に堆積してしまうことになる。図4では、ランド部260下に堆積した液水300が、チャネル部290下に堆積した液水350よりも多いことを示している。その結果、チャネル部290から空気極の触媒層320への酸素拡散が抑制されて、発電出力電圧が低下してしまう。
これに対して、図2に示す実施形態では、比較例のような問題は生じることがない。すなわち、ランド部40の平坦面部分70とガス拡散層11の間には、付加部位100が付加されている。この付加部位100は、導電性を有しておりセパレータ板3の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する。同様にして、ランド部41の平坦面部分71とガス拡散層13の間には、付加部位101が付加されている。付加部位101は、導電性を有しておりセパレータ板4の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する。
このことから、空気極7のランド部41下の触媒層12からガス拡散層13と付加部位101とランド部41を経てクーラント61に至るまでの部分L1の熱抵抗を、付加部位101の存在により増加させることができる。同様に、燃料極6のランド部40下の触媒層10からガス拡散層11と付加部位100とランド部40を経てクーラント60に至るまでの部分L1の熱抵抗を、付加部位100の存在により増加させることができる。
したがって、空気極7のランド部41下のガス拡散層13の温度は、チャネル部31下のガス拡散層13の温度と同等か又はそれ以上の温度になる。同様にして、燃料極6のランド部40下のガス拡散層11の温度は、チャネル部30下のガス拡散層11の温度と同等か又はそれ以上の温度になる。
その結果、空気極7のランド部41下のガス拡散層13と燃料極6のランド部40下のガス拡散層11では、水蒸気凝縮による液水200の堆積は抑制される。チャネル部31からのガス拡散層13を経て空気極7の触媒層12へ酸素を拡散するための多孔の空隙部が、付加部位101の存在により維持されるので、高電流密度まで所定の電圧が確保される。
また、チャネル部30からガス拡散層11を経て燃料極6の触媒層10へプロトンを拡散するための多孔の空隙部が、付加部位100の存在により維持されるので、高電流密度まで所定の電圧が確保される。
次に、図3は本発明の好ましい別の実施形態を示している。図3に示す実施形態の燃料電池1が、図2に示す燃料電池1と異なるのは、次の点であり、その他の要素については同じであるので、同じ符号を記してその説明を用いることにする。
図3に示す実施形態で特徴的なのは、付加部位100がランド部40の平坦面部分70だけでなく、チャネル部30の内周部分に沿って形成され、付加部位101がランド部41の平坦面部分71だけでなく、チャネル部31の内周部分に沿って形成されていることである。しかも、平坦面部分70側の付加部位100,101の厚みE1が、チャネル部30,31の内壁部分に形成された付加部位100,101の厚みE2に比べて、大きく設定されている。
この場合には、仮に図3に例示するように、仮にチャネル部31内に液水200Aが多く存在していたとしても、チャネル部31の内壁の全周囲にわたって設けた付加部位101の存在により、図3の矢印Yで例示するように、付加部位101を経由して酸素拡散が可能であり、所定電圧の維持と向上が図れる。
仮にチャネル部30内に液水200Aが多く存在していたとしても、チャネル部30の全周にわたって付加部位100が設けられていることにより、図3の矢印Yで例示するように、プロトンは付加部位100を経由してガス拡散層11に拡散して触媒層10に達することが可能であり、所定電圧の維持と向上が図れる。
以上説明したように、本発明の実施形態では、セパレータ板のランド部とガス拡散層の間に、導電性を有していてセパレータ板の熱伝導率よりも小さな熱伝導率の部位をランド部に付加している。その付加部位は好ましくは多孔体としており、その気孔径はガス拡散層の気孔径よりも小さく、付加部位は好ましくは撥水処理を施すことにより、ランド部の熱抵抗を積極的に増加させることができる。
このために、ランド部下のガス拡散層の温度は、チャネル部下のガス拡散層の温度と同等かそれ以上の温度となる。
その結果、ランド部下のガス拡散層における水蒸気凝縮による液水の堆積は抑制され、チャネル部から例えば空気極側の触媒層への酸素拡散のための多孔空隙部が維持されるので、高電流密度まで所定の電圧が確保され、セルの発電出力性能が向上し、燃料電池の高性能化が図れる。
セルの発電出力性能が向上するので、同じ発電出力性能を確保するためならば燃料電池のコンパクト化が図れる。また、個々の燃料電池のコンパクト化が図れることから、複数の燃料電池をスタックすることでスタック構造体を構成した場合に、スタック構造体のコンパクト化が図れる。大きさの観点からは、個々の燃料電池のコンパクト化が図れるので、燃料電池のサイズを小さくしないならは、スタック構造体の発電出力性能を上げることができ、スタック構造体の高性能化が図れる。
本発明は、上記実施形態に限定されずに、種々の変形が可能である。例えば、セパレータ板3,4のチャネル部30,31の断面形状は、長方形や正方形に限らず、半円形や多角形であってもかまわない。
本発明の燃料電池の好ましい実施形態を示す図である。 図1の一部を拡大して示す断面図である。 本発明の燃料電池の別の好ましい実施形態を示す図である。 比較例を示す図である。
符号の説明
1 燃料電池
2 セル
3,4 セパレータ板
5 電解質膜
6 燃料極
7 空気極
10 触媒層
11 ガス拡散層
12 触媒層
13 ガス拡散層
30 チャネル部
31 チャネル部
40 ランド部
41 ランド部
100 付加部位(部位)
101 付加部位(部位)
200 液水

Claims (6)

  1. 固体高分子膜から成る電解質膜と、上記電解質膜の一方の面に配置された燃料極と、上記電解質膜の他方の面に配置された空気極を有し、上記燃料極と上記空気極は、それぞれ触媒層とガス拡散層を有し、各上記ガス拡散層には、ランド部を有するセパレータ板が配置されている燃料電池であって、
    上記セパレータ板の上記ランド部と上記ガス拡散層の間には、導電性を有し上記セパレータ板の熱伝導率よりも小さな熱伝導率を有する部位が配置されていることを特徴とする燃料電池。
  2. 上記部位は、多孔体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 上記セパレータ板の上記ランド部に表面処理を施すことで多孔体が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池。
  4. 上記多孔体には、撥水処理が施されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池。
  5. 上記多孔体の気孔径は、上記ガス拡散層の気孔径と比較して小さく設定されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つの項に記載の燃料電池。
  6. 上記多孔体は、上記ランド部と上記ランド部の間のチャネル部の内壁に沿って形成されており、上記ランド部における上記多孔体の上記ガス拡散層に接する第1部分の厚みが、上記チャネル部の内壁に沿って形成された上記多孔体の第2部分の厚みに比べて、大きく設定されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10713915B2 (en) 2008-10-24 2020-07-14 Ilumisys, Inc. Integration of LED lighting control with emergency notification systems

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