JP2007139562A - 周長測定装置及び周長測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で、精度良く周長を測定可能な周長測定装置及び周長測定方法を提供する。
【解決手段】一対の円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bに張架された無端ベルト12の種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数と、環境温度と、環境湿度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、周長測定結果を補正するので、簡易な構成で、温度変動や湿度変動に依存せず、精度良く無端ベルトの周長を測定することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、周長測定装置及び周長測定方法に係り、特に、無端ベルトの周長を測定する周長測定装置及び周長測定方法に関する。
従来から、無端ベルトの周長を測定する周長測定装置として、一対の支柱に無端ベルトを掛渡し、無端ベルトを張架した状態で、一対の支柱間の距離を求め、求めた一対の支柱間の距離に基づいて無端ベルトの周長を測定する装置が知られている。
また、無端ベルトの幅方向の任意の位置について、内周長を測定する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−286405号公報 特開平5―231856号公報
膜厚の測定対象となる無端ベルトは、材質に応じて特有の熱線膨張係数や吸湿線膨張係数を示すことが知られている。このため、精度良く周長を測定するためには、常に同一環境温度及び環境湿度下において周長の測定を行わなければならないという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、精度良く、無端ベルトの周長を測定可能な周長測定装置及び周長測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の周長測定装置は、無端ベルトの種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を予め記憶する記憶手段と、一対の張架部材によって張架された無端ベルトの周長を測定する周長測定手段と、装置本体の環境温度を測定する温度測定手段と、装置本体の環境湿度を測定する湿度測定手段と、前記一対の張架部材によって張架された無端ベルトの種別を示す種別情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された種別情報に対応する前記熱線膨張係数及び前記吸湿線膨張係数を前記記憶手段から読み出し、読み出した該熱線膨張係数及び該吸湿線膨張係数と、前記温度測定手段によって測定された環境温度と、前記湿度測定手段によって測定された環境湿度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、前記周長測定手段による測定結果を補正する補正手段と、を備えている。
本発明の周長測定装置は、無端ベルトの種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を予め記憶する記憶手段を備えている。無端ベルトの熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数は、無端ベルトの材質により異なる熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を示す。記憶手段は、異なる熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を有する無端ベルト毎に分類した種別毎に対応する、熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を予め記憶する。
周長測定手段は、一対の張架部材によって張架された無端ベルトの周長を測定する。無端ベルトの周長の測定は、無端ベルトを一対の張架部材によって弛みのない状態となるような程度の加重で張架した状態において行われることが好ましい。温度測定手段は、装置本体の環境温度を測定し、湿度測定手段は、装置本体の環境湿度を測定する。
取得手段によって、一対の張架部材によって張架された状態にある無端ベルトの種別を示す種別情報が取得されると、補正手段は、取得手段によって取得された種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を記憶手段から読み出し、読み出した熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数と、温度測定手段によって測定された環境温度と、湿度測定手段によって測定された環境湿度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、周長測定手段による測定結果を補正する。
このように、本発明の周長測定装置では、一対の張架部材によって張架された状態にある無端ベルトの種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数と、装置本体の環境温度と、装置本体の環境湿度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、周長測定結果を補正するので、簡易な構成で、温度変動や湿度変動に依存せず、精度良く無端ベルトの周長を測定することができる。
また、本発明の周長測定装置は、無端ベルトの種別を示す種別情報と、該無端ベルトの種別に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を入力するための入力手段を備えることができる。
入力手段から無端ベルトの種別を示す種別情報と、該無端ベルトの種別に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数が入力されると、入力された種別情報と、熱線膨張係数と、吸湿線膨張係数と、を対応づけて記憶手段に記憶する。このようにすれば、新たな種類の無端ベルトの種別を示す種別情報と、熱線膨張係数と、吸湿線膨張係数を記憶手段に記憶することができ、任意の種類の無端ベルトの周長を精度良く測定することができる。
なお、下記周長測定方法によって、簡易な構成で、温度変動や湿度変動に依存せず、精度良く無端ベルトの周長を測定することができる。具体的には、一対の張架部材によって張架された無端ベルトの周長を測定する周長測定方法であって、無端ベルトの種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を予め記憶し、前記一対の張架部材によって張架された無端ベルトの周長を測定し、環境温度及び環境湿度を測定し、前記一対の前記張架部材によって張架された無端ベルトの種別を示す種別情報を取得し、取得した前記種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を読み出し、読み出した該熱線膨張係数及び該吸湿線膨張係数と、測定した前記環境湿度と、測定した前記環境温度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、周長測定結果を補正する。
本発明の周長測定装置によれば、一対の張架部材によって張架された無端ベルトの種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数と、装置本体の環境温度と、装置本体の環境湿度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように周長測定結果を補正するので、簡易な構成で精度良く無端ベルトの周長を測定することができる、という効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の周長測定装置10は、周長測定対象となる無端ベルト12を張架するための円柱状ロール14A及び円柱状ロール14B、モータリトラクタ42、周長測定装置10内の環境温度を測定するための温度測定部32、周長測定装置10内の環境湿度を測定するための湿度測定部30、各種情報を装置外部へ出力する出力部38、張力検出部46、及び装置外部から各種情報を取得するための入力部40を含んで構成されている。
モータリトラクタ42、張力検出部46、湿度測定部30、温度測定部32、出力部38、及び入力部40は、制御部34に信号授受可能に接続されている。
円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bは、無端ベルト12の内周面に配置され、無端ベルト12を張架方向(図1中矢印22A)に架け渡すことが可能となるように、互いに平行に所定間隔をもって配設されている。
図2に示すように、円柱状ロール14Aの軸方向両端部各々は、自動調芯ベアリング16を備えた軸受18によって回転自在に支持されており、円柱状ロール14Aは、自動調芯ベアリング16の中心を支点として調芯可能に設けられている。軸受18は、周長測定装置10の図示を省略する筐体に支持されている。
一対の軸受18各々は、一対のレール24上に載置されたリニアガイド26上に着脱可能に固定されている。一対のレール24は、円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bが互いに近接する方向、及び離間する方向の双方向へ、円柱状ロール14Aが移動可能となるように延設されている。
このため、一対の軸受18によって支持されている円柱状ロール14Aは、円柱状ロール14Bと互いに軸方向に平行となるように維持されたまま、互いに近接する方向または離間される方向へと移動可能に設けられている。
円柱状ロール14Bの軸方向両端部もまた、各々軸受20(図1参照)によって回転自在に支持されている。円柱状ロール14Bの軸方向両端部を支持する一対の軸受20は、各々支持基板22を介して、周長測定装置10の図示を省略する筐体に支持されている。なお、軸受20もまた、自動調芯ベアリング(図示省略)を備えるようにしてもよい。
円柱状ロール14Aを支持する一対の軸受18の少なくとも一方は、円柱状ロール14A及びリニアガイド26から着脱可能に設けられている。同様に円柱状ロール14B各々を支持する一対の軸受20の少なくとも一方は、円柱状ロール14B及び図示を省略する筐体から着脱可能に設けられている。
このように、円柱状ロール14Aを支持する一対の軸受18の少なくとも一方、及び円柱状ロール14Bを支持する一対の軸受20の少なくとも一方を、各々円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bから着脱可能に設けることにより、無端ベルト12を円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bに架け渡すことができるように構成されている。
円柱状ロール14Aの近傍には、無端ベルト12が円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bに架け渡されたことを検知するための検知センサ13が設けられている。検知センサ13は、制御部34と信号授受可能に接続されている。
張力検出部46は、円柱状ロール14Aと円柱状ロール14Bとに架け渡された無端ベルト12に加わる張力を検出し、検出結果を制御部34へ出力する。張力検出部46としては、例えば、張力を検出するための圧力センサを含んで構成されるようにすればよい。この圧力センサを、円柱状ロール14Aの外周面上の、無端ベルト12の張架方向端部に相当する位置に設け、この圧力センサによって、無端ベルト12から円柱状ロール14Aの軸方向(張架方向と同一)に作用する圧力に応じた信号を制御部34に出力するようにすればよい。
モータリトラクタ42は、円柱状ロール14Aと円柱状ロール14Bとに架け渡された無端ベルト12を、無端ベルト12の張架方向に張架する。モータリトラクタ42には、一端がロール58を介して一対の軸受け18の双方に固着されたピアノ線等のワイヤ56を巻き取るためのスプール(図示省略)、スプールをワイヤ56の巻取方向または反巻取方向に回転駆動させるためのモータ(図示省略)を含んで構成されている。なお、図示を省略するスプールは、複数のギア(図示省略)を介してモータ(図示省略)に機械的に接続されている。
また、モータリトラクタ42は、ワイヤ56のスプール(図示省略)への巻取量に応じた信号を出力するための回転角センサ等のセンサ44を含んで構成されている。本実施の形態では、センサ44は、一対の円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bの張架方向両端部間の長さが所定距離(図1中長さa)(以下、基準距離という)であるときの巻取量を「巻き取り量ゼロ」であるとした、ワイヤ56の巻取量及び反巻取量を制御部34へ出力するものとして説明する。
具体的には、円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bによって、測定対象となる無端ベルト12が所定の張力で張架されたときに、円柱状ロール14Bの位置が、一対の円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bの張架方向両端部間の長さが所定距離(図1中長さa)である状態における位置より長さc(図1中c表記参照)(以下、変位量という)だけ近接する方向に位置するときには、センサ44は、長さcを示す情報を制御部34へ出力する。
出力部38は、制御部34によって補正された(詳細後述)、無端ベルト12の周長補正結果を、周長測定装置10の外部へ提示する。出力部38の一例には、LCD、CRT、及び有機EL等の表示装置や、プリンタ等の印刷装置や、外部装置とデータ授受を行うためのネットワーク通信ポート等の通信装置等がある。
入力部40は、周長測定装置10に対して各種操作指示や、無端ベルト12の種類、該無端ベルト12の種類に応じた熱線膨張係数、吸湿線膨張係数を入力するときに、ユーザによって操作指示される。入力部40の位置例には、キーボードやタッチパネル等がある。なお、入力部40として、外部装置とデータ授受を行うための通信部装置を設け、パーソナルコンピュータなどの外部装置からネットワークや通信回線を介して、各種情報を取得するようにしてもよい。
制御部34は、周長測定装置10に含まれる各種機器を制御し、メモリ36を含んで構成されている。メモリ36は、測定対象となる無端ベルト12の種類に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を予め記憶すると共に、後述する図3に示す処理ルーチンを予め記憶する。また、メモリ36は、各種データを記憶する。
なお、周長測定装置10が、本発明の周長測定装置に相当し、円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bが本発明の一対の張架部材に相当し、無端ベルト12が本発明の無端ベルトに相当する。また、湿度測定部30が、本発明の周長測定装置10の湿度測定手段に相当し、温度測定部32が本発明の温度測定手段に相当し、入力部40が本発明の入力手段に相当する。また、メモリ36が、本発明の周長測定装置の記憶手段に相当し、制御部34が本発明の周長測定装置の補正手段に相当する。
ここで、無端ベルト12の種類とは、無端ベルトを、熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数の異なる無端ベルト毎に分類した、各分類を示している。すなわち、種類毎に異なる熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数が示される。
なお、この熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数は、材質によって異なり、測定対象となる無端ベルト12の種類に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数は、無端ベルト12の周長を周長測定装置10によって測定する前に、予め計測され、入力部40を介して取得されてメモリ36に記憶される。
この熱線膨張係数の測定は、下記方法によって行われる。
熱線膨張係数の測定は、具体的には、JIS K7197に準拠し、熱機械分析(TMA)法を用いて測定する。熱線膨張係数の測定は、測定対象となる無端ベルト12の周方向(プロセス方向、MD方向ともいう)を長手方向とする3mm×15mmの長方形状の試験片を用意し、実際に試験可能な試料寸法(実行長ともいう)を10mmとする。
このような試験片について、昇温速度5℃/minとし、荷重2.0gの条件下で10℃から100℃まで昇温し、1℃辺りの無端ベルト12の伸び率(TMA曲線の、加熱による収縮や融解による急激な膨張が生じる前の直線部分の傾きを試験片実行長で除した値)を測定した。同一種類の無端ベルト12を一本につき試験片3個について測定した上記伸び率の平均値を、熱線膨張係数として求めた。
なお、上記荷重は、無端ベルト12の周長を測定する時の荷重とは異なるが、熱線膨張係数を求めるときの無端ベルト12の伸びそのものは、上記荷重によるものではなく熱によるものであるため、周長を測定するときの荷重とは異なっていても、TMA曲線により求められる熱線膨張率と、無端ベルト12の周長測定時の温度変化率とは良い対応が取れる。
なお、TMA測定を行う装置上の制約で室温以下の測定が不可能な環境にある場合には、室温から加熱を開始するようにしてもよい。また、TMA測定の測定開始前には、無端ベルト12中に吸着されている水を除去する必要があるが、完全に除去することが出来なかった場合には、TMA曲線の加熱による収縮や融解による急激な膨張が生じる前の直線部分の傾きを用いて熱線膨張係数を算出するものとする。
また、吸湿線膨張係数の測定は、下記方法によって行われる。
吸湿線膨張係数の測定は、測定対象となる無端ベルト12の周方向(プロセス方向、MD方向ともいう)を長手方向とする25.4mm×210mmの長方形状の試験片を用意し、実際に試験可能な試料寸法(実行長ともいう)を149mmとする。
吸湿線膨張係数の測定は、このような試験片について、試験片の長手方向に2.3Nの荷重をかけ、環境温度35℃で、相対湿度20%RHと85%RHの環境下に各々24時間ずつ保持させたときの試料長さをマイクロメータで測定し、これを3回繰り返すことによって行った。
吸湿線膨張係数は、下記式(1)に基づいて、1%RH辺りの試験片の長さの変化率(変化量率=変化量/149mm/65%RH)として算出することができる。
[式1]
吸湿線膨張係数=LH−LL/(Lref×(H2−H1)) 式(1)
上記式(1)中、各記号は各々下記を示している。
LH:35℃85RH%での試験片の長さ
LL:35℃20RH%での試験片の長さ
Lref:実行長
H1:吸湿線膨張係数を求める低湿度側相対湿度(RH%)
H2:吸湿線膨張係数を求める高湿度側相対湿度(RH%)
本実施の形態では、メモリ36には、例えば、無端ベルトとして、ポリイミドを主成分とするある特定の無端ベルト12の種類を種類Aとし、種類Aを示す情報に対応づけて、上記測定方法によって該種類Aの無端ベルトを測定することによって得られた熱線膨張係数19ppm/℃を示す情報、及び上記測定方法によって測定された吸湿線膨張係数23ppm/%RHを示す情報が対応づけて記憶されているものとする。
また、メモリ36には、他の種類の無端ベルトとして、例えば、種類B(ポリアミドイミドを主成分とする)を示す情報に対応づけて、上記測定方法によって測定された熱線膨張係数36ppm/℃を示す情報、及び上記測定方法によって測定された吸湿線膨張係数64ppm/%RHを示す情報が対応づけて記憶されているものとする。
次に、周長測定装置10の制御部34で実行される処理を説明する。
制御部34では、所定時間毎に図3に示す処理ルーチンが実行されて、ステップ100へ進む。
ステップ100では、入力部40から測定開始指示を示す信号が入力されたか否かを判断し、肯定されるとステップ102へ進み、否定されるとステップ118へ進む。
ステップ118では、ベルト種別に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数の登録指示を示す情報が入力されたか否かを判別し、否定されると上記ステップ100へ戻り、否定されるとステップ120へ進む。
ステップ118の判断は、入力部40を介して、無端ベルト12の種類を示す情報と、熱線膨張係数を示す情報と、吸湿線膨張係数を示す情報と、を含む登録指示情報が入力されたか否かを判別することによって判断可能である。
ステップ120では、上記ステップ118で入力された登録指示情報に含まれる、無端ベルト12の種類を示す情報と、熱線膨張係数を示す情報と、吸湿線膨張係数を示す情報と、を対応づけてメモリ36に記憶した後に、本ルーチンを終了する。
なお、既に同一情報の無端ベルトを示す情報がメモリ36に記憶されている場合には、ステップ118で肯定された後に、吸湿線膨張係数及び熱線膨張係数を上書きするか否かを示す情報を出力部38に出力した後に、入力部40を介して上書き指示を示す信号が入力されると、既に記憶されている上記ステップ118で入力された無端ベルトの種類を示す情報に対応づけて、上記ステップ118で入力された吸湿線膨張係数及び熱線膨張係数を示す情報を記憶するようにし、上書きしないことを示す信号が入力されると、既に記憶されている無端ベルトの種類を示す情報とは異なる名称を自動的に作成して、新たに作成したこの名称を示す情報に対応づけて、上記ステップ118で入力された吸湿線膨張係数及び熱線膨張係数を示す情報を記憶するようにすればよい。
一方、上記ステップ100で肯定されると、ステップ102へ進み、ベルト種別を示す情報が入力されるまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ104へ進む。
ステップ102の判断は、例えば、上記ステップ100の判断前に出力部38に測定開始指示を行うためのボタン表示等を行い、該ボタンがユーザによって操作指示された後に、周長測定対象として周長測定装置10に搭載された無端ベルト12のベルト種別の入力を促す情報を出力部38に表示するようにする。そして、ユーザによって入力部40が操作されてベルト種別の操作入力がなされたときに、操作入力されたベルト種別を示す情報が制御部34に入力されるようにし、この情報の入力を判別することによって判断するようにすればよい。
上記ステップ102の処理によって、周長測定装置10に周長測定対象となる無端ベルトとして張架された無端ベルト12の種別が入力される。
次のステップ104では、上記ステップ102で入力されたベルト種別を示す情報が、メモリ36に記憶されているか否かを判別し、否定されると、ステップ106へ進み、測定対象となる無端ベルト12の種類と、該種類の無端ベルトの熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数の登録を促す情報を出力部38に表示した後に、上記ステップ100へ戻る。
一方、上記ステップ104で肯定されると、ステップ108へ進み、一対の円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bに架け渡された無端ベルト12を所定の張力(荷重)で張架する。
ステップ108の処理では、張力検出部46から入力された信号に基づいて、所定の張力で無端ベルト12が張架された状態となるまで、モータリトラクタ42を駆動してワイヤ56の巻取または反巻取を行うようにモータリトラクタ42を制御する。これによって、所定の張力で測定対象となる無端ベルト12が張架された状態となる。
次のステップ110では、湿度測定部30からの入力信号及び温度測定部32からの入力信号を読み取ることにより、周長測定装置10内の環境温度及び環境湿度を読み取る。
次のステップ112では、上記モータリトラクタ42のセンサ44から入力された巻取量または反巻取量を示す信号に基づいて、無端ベルト12の周長を算出する。
無端ベルトの周長は、下記式(2)によって算出される。
[式2]
L=2(a―c―b)+πb 式(2)
上記式(2)中、Lは、無端ベルト12の周長を示し、aは、基準長さ(一対の円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bの張架方向両端部間の長さが所定の基準となる距離であるときの該張架方向両端部間の長さ)を示し、cは、変位量(基準長さからの変位量、すなわち反巻取量)している。また、bは、円柱状ロール14B及び円柱状ロール14Aの直径を示している。
なお、本実施の形態では、円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bの直径は同一であるものとして説明する。また、変位量cは、巻取量を示す場合には、マイナス値によって示され、反巻取量を示す場合には、プラス値によって示されるものとする。また、変位量cは、センサ44から入力された反巻取量または巻取量によって求めることができる。
次のステップ114では、上記ステップ102で入力されたベルト種別に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数をメモリ36から読取り、読み取った熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数に基づいて、上記ステップ112で算出した無端ベルト12の周長算出結果を、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、補正する。本実施の形態では、基準温度は22℃であり、基準湿度は55%であるものとして説明するが、このような環境に限られるものではない。
ステップ114の処理では、下記式(3)によって基準温度で測定された周長となるように補正するための温度補正値を算出する。
[式3]
T’=(t―T)×g 式(3)
上記式(3)中、T’は、温度補正値を示し、tは、基準温度(本実施の形態では22℃)を示し、Tは周長測定時の環境温度(上記ステップ110で読み取った環境温度)を示し、gは、上記ステップ102で入力された無端ベルトの種別に応じた熱線膨張係数を示している。
また、下記式(4)によって基準湿度で測定された周長となるように補正するための湿度補正値を算出する。
[式4]
E’=(e―E)×f 式(4)
上記式(4)中、E’は、湿度補正値を示し、eは基準湿度(本実施の形態では55%)を示し、Eは周長測定時の環境湿度(上記ステップ110で読取った環境湿度)を示し、fは、上記ステップ102で入力された無端ベルトの種別に応じた吸湿線膨張係数を示している。
上記式(3)及び式(4)で算出された温度補正値T’及び湿度補正値E’に基づいて、上記ステップ112で算出された無端ベルト12の周長算出結果を、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように下記式(5)により補正する。
[式5]
Lh=L+L×(T’+E’) 式(5)
上記式(5)中、Lhは、補正された周長を示し、Lは、上記ステップ112の処理によって算出された周長を示す。
次のステップ116では、上記ステップ114で補正した周長を示す情報を、出力部38に出力した後に、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本発明の周長測定装置10によれば、一対の円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bによって張架された状態にある無端ベルト12の種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数と、環境温度と、環境湿度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、周長測定結果を補正するので、常に基準温度及び基準湿度の環境下における測定結果となるように周長を測定することができ、簡易な構成で、温度変動や湿度変動に依存せず、精度良く無端ベルトの周長を測定することができる。
なお、本実施の形態では、温度及び湿度の測定は、無端ベルト12の周長測定時に実行する場合を説明したが、無端ベルト12の種類によっては、環境条件の変動に応じた温度変化や吸湿状態の変化が緩やかである場合があるため、周長測定対象となる無端ベルト12が数時間以上保持されている環境下における温度及び湿度を測定するようにし、該温度及び湿度の測定結果を入力部40から入力するようにして、この測定結果に基づいて無端ベルト12の周長測定結果を補正するようにしてもよい。
このようにすれば、環境条件の変動に対して、温度変化や吸湿状態の変化が穏やかに追従するような性質を有する無端ベルト12の周長を測定する場合についても、精度良く無端ベルト12の周長を測定することができる。
[試験例]
以下の無端ベルトについて、本発明の周長測定装置10によって周長を測定した。
無端ベルトとして、ポリアミド酸のNMP溶液(固形分濃度:20質量%)(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジアニリン)とカーボンブラック(スペシャルブラック4A Degussa社製)を湿式ジェトミル分散機(ジーナス製:GeanusPY)で分散処理(150MPa、5回分散機を通過させて分散)し、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。これをステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物、カーボンブラック凝集物を取り除いた。更に、攪拌しながら真空脱泡を15分間行い、最終的な塗布用溶液を作製した。
次に、円筒状金型(外径365.90mm、長さ500mm、肉厚20mmのアルミニウム製円筒)を用意し、その表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、300℃で1時間、焼き付け処理した。
一方、フロートとして、外径400mm、高さ30mmとし、最上部内径366.5mm、下端部内径380mmとなるように内壁を傾斜状にしたステンレス製の中空状リングを作製した。このフロートを溶液槽(内径550mm、高さ600mm)に浮かべた後、フロートを動かないよう固定し、金型長手方向を垂直にしてその中に1000mm/minの速度で挿入し、得られたカーボンブラックを分散したポリアミド酸溶液に浸漬した。次いでフロートの固定を解除し、250mm/minの速度で金型を引き上げた。溶液の粘度が高いので、引き上げ途中ではフロートが金型に接触することはなく、金型に濡れ膜厚が約500μmのポリイミド前駆体塗膜が形成された。
塗膜が形成された金型を250rpmで回転させながら、60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱した。更に、焼成温度(300℃)まで昇温して、1時間30分間そのまま保持してイミド転化を行った。常温まで自然冷却を行い、金型より脱型し所望のポリイミドベルトを得た。
得られたポリイミドベルトを、無端ベルト12として、本発明の周長測定装置10に搭載した。具体的には、このポリイミドベルトを一対の円柱状ロール14A及び円柱状ロール14Bに張架し、上記図3に示す処理ルーチンを実行した。
なお、本試験例では、基準温度を22℃とし、基準湿度を55%RHとした。
また、このポリイミドベルトについて、上述の熱線膨張係数の測定方法、及び上述の吸湿線膨張係数の測定方法に基づいて、熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を測定した測定結果(熱線膨張係数:19ppm/℃、吸湿線膨張係数:23ppm/%RH)各々を示す情報を、入力部40の操作指示によって入力し、周長測定前にメモリ36に記憶した。
上記図3に示す処理ルーチンを実行し、基準温度及び基準湿度の環境下(温度測定部32による温度測定結果が22℃であり、湿度測定部30による湿度測定結果が55%RHである環境下)において、上記ステップ112の処理によって算出された周長測定値は1147.80mmであった。
また、上記図3に示す処理ルーチンを、表1に示すように、環境温度30℃環境湿度70%RH、環境温度15℃環境湿度35%RH、環境温度25℃環境湿度60%RH、環境温度20℃環境湿度30%RH、及び環境温度13℃環境湿度25%RH各々の環境下で実行し、周長を測定するとともに、周長測定結果を基準温度及び基準湿度の環境下、すなわち22℃55%RHの環境下で測定した周長となるように補正した。
結果を表1に示す。
Figure 2007139562
表1に示されるように、表1に示される各温度及び各湿度において測定された補正無しの周長測定結果(表1中、補正無し周長)には、環境温度や環境湿度の変動に応じたばらつきがみられる。
一方、表1に示されるように、基準温度及び基準環境下で測定された周長となるように補正された後の周長(表1中、補正後周長)は、環境温度や環境湿度の変動によるばらつきが少なく、また基準温度及び基準湿度の環境下で測定された周長1147.80mmと略同一の値を示していることが分かる。
本発明の周長測定装置を示す模式図である。 本発明の周長測定装置の一対の円柱状ロールの内の一方の周辺を示す模式図である。 本発明の周長測定装置の制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10 周長測定装置
12 無端ベルト
14A、14B 円柱状ロール
30 湿度測定部
32 温度測定部
34 制御部
36 メモリ
40 入力部

Claims (2)

  1. 無端ベルトの種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を予め記憶する記憶手段と、
    一対の張架部材によって張架された無端ベルトの周長を測定する周長測定手段と、
    装置本体の環境温度を測定する温度測定手段と、
    装置本体の環境湿度を測定する湿度測定手段と、
    前記一対の張架部材によって張架された無端ベルトの種別を示す種別情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段によって取得された種別情報に対応する前記熱線膨張係数及び前記吸湿線膨張係数を前記記憶手段から読み出し、読み出した該熱線膨張係数及び該吸湿線膨張係数と、前記温度測定手段によって測定された環境温度と、前記湿度測定手段によって測定された環境湿度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、前記周長測定手段による測定結果を補正する補正手段と、
    を備えた周長測定装置。
  2. 一対の張架部材によって張架された無端ベルトの周長を測定する周長測定方法であって、
    無端ベルトの種別を示す種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を予め記憶し、
    前記一対の張架部材によって張架された無端ベルトの周長を測定し、
    環境温度及び環境湿度を測定し、
    前記一対の前記張架部材によって張架された無端ベルトの種別を示す種別情報を取得し、
    取得した前記種別情報に対応する熱線膨張係数及び吸湿線膨張係数を読み出し、読み出した該熱線膨張係数及び該吸湿線膨張係数と、測定した前記環境湿度と、測定した前記環境温度と、に基づいて、予め定められた基準温度及び基準湿度下において測定された周長となるように、周長測定結果を補正する、
    周長測定方法。
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