JP2007139514A - Wdm信号モニタ - Google Patents

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義広 三瓶
Yasuyuki Suzuki
泰幸 鈴木
Shin Kamei
伸 亀井
Mamoru Arihara
守 在原
Hiroaki Kamiya
宏昭 神谷
Shuhei Okada
修平 岡田
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Abstract

【課題】少ないフォトダイオードで、光信号の測定を行なうことができるWDM信号モニタを実現することにある。
【解決手段】波長分割多重された光信号の測定を行なうWDM信号モニタに改良を加えたものである。本装置は、フォトダイオードが所定の方向に複数個配置され、光信号を所定の方向に波長分散して、各光信号あたり2素子のフォトダイオードで受光する分光器と、分光器からの出力される2素子を組とした測定データから、光信号の波長または光パワーの少なくとも一方を演算する演算部とを設けたことを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、WDM(wavelength division multiplexing:波長分割多重)された光信号それぞれの測定を行なうWDM信号モニタに関し、詳しくは、少ないフォトダイオードで、光信号の測定を行なうことができるWDM信号モニタに関するものである。
光ファイバによって光信号を伝送する光通信方式の一種に、WDM通信がある。このWDM通信とは、波長の異なる複数の光信号を1本の光ファイバによって伝送する通信方式である。また、波長の異なる複数の光信号のことをWDM信号とも呼ぶ。そして、WDM信号それぞれの光信号は、例えば短波側から1チャネル、2チャネルと数えられることが多い。
近年、伝送容量の拡大に伴ってWDM信号の高密度な多重化が進み、各チャネルの光信号レベル(光パワー)、ピーク波長(光信号の中心波長)、光SNR等が重要な測定パラメータになっている。そして、これらのパラメータを監視することは、WDM信号の品質を維持する上で不可欠である。
WDM信号モニタは、波長分散素子(例えば、回折格子)を用いてWDM信号を含む被測定光を波長ごとに分光し、任意の波長幅に存在する光パワーを求め、この求めた光パワーから、前述のパラメータの測定を行う装置である。また、WDM信号モニタには、光通信システムの一部にインライン形式で組み込み常時監視できるように、例えば小型の分光器を用いて構成されるものがあり、回折格子からの波長ごとの被測定光をアレイ型検出器(例えば、フォトダイオードアレイ)で検出する(例えば、特許文献1〜3参照)。
ここで、図4は、フォトダイオードアレイの受光面上に収束した被測定光および被測定光のスペクトラムを示した図である。図4において、複数のフォトダイオードPDが、所定の方向に沿って配置される。ここで、配置される方向をx軸とする。また、図4中には、一例として、3個の光信号を図示している。
なお、光ファイバによって伝送される被測定光中の光信号それぞれは線スペクトルだが、分光器の応答特性によって、フォトダイオードアレイ上に形成される各光信号の光スポットは、光パワーがガウシアン分布となる楕円状または円形状になる。光スポットとは、各光信号の光ピークパワーに対して、1/e倍の光パワーとなる部分のことであり、光スポットの中心から円周までの距離(x軸方向)が、光スポットの半径ωになる。そして、この光スポットは、フォトダイオダイオードPDのピッチrよりも広く(例えば、3素子以上)設定される。
また、各フォトダイオードPDには、あらかじめ波長が割り付けられ、被測定光が回折格子によって波長ごとに分光されて、フォトダイオードアレイ面上にて収束する位置と対応している。
そして、分光器の後段に設けられる演算部が、フォトダイオードアレイの各フォトダイオードPDから出力されるサンプリングデータから光信号のスペクトラムを再現し、光パワー、中心波長を求める。
例えば、演算部が、ピークとなる出力値をもつサンプリングデータを検出し、検出したピークに対応するフォトダイオードPDの出力値のデータPn、このフォトダイオードを挟むフォトダイオードPDのデータをPn−1,Pn+1からガウス分布を求める。ここで、式(1)は、ピーク近傍のフォトダイオードPD3素子のデータからガウス分布g(x)を求める式である。
Figure 2007139514
ここで、Bは、定数であり、rは、フォトダイオードPDのピッチであり、Δxは、ピーク値となるフォトダイオードPDの中心と光スポットのずれ量であり、ωは、光スポットの半径である。そして、Δxは式(2)、ωは式(3)で求める。
Figure 2007139514
Figure 2007139514
このような式(1)〜式(3)によって、演算部が、各光信号に対応するフォトダイオードPD3素子のデータから、光信号それぞれのスペクトラムを再現し、光パワー、波長等を求める。
ここで、図5は、フォトダイオードPDの3素子のデータをガウス分布g(x)に当てはめて、もとのスペクトラムを再現した図である。ここで、ピークに最も近いフォトダイオードPDを基準(x=0)とし、フォトダイオードPDのピッチをr=50[μm]にしている。
特許第3230565号 特許第3275282号 特許第3580407号
このような式(1)〜式(3)によって、サンプリングデータからもとのスペクトラムの形状を再現させるためには、1チャネルあたり少なくともフォトダイオードPD3素子のデータが必要となる。
一方、WDM信号は、変調されたレーザ光であり、そのスペクトラムは比較的狭い。従って、スペクトラムの形状を再現し、各光信号の中心波長、光パワーを正確に測定するためには、適正な間隔でサンプリングする必要があり、必然的にピッチrの狭いフォトダイオードアレイが必要となる。
しかしながら、WDM信号の高密度な多重化が進み、WDM信号数(つまり、チャネル数)が多くなると、それに伴い、よりフォトダイオードPDの高密度化(ピッチrの極小化)、フォトダイオードPDの素子数の増加によって大規模なフォトダイオードアレイが必要になるという問題があった。さらに、フォトダイオードPDからの出力を順に読み出すための挿引時間および演算時間等に時間がかかり、高速な測定が難しくなるという問題もあった。そして、高密度・大規模なフォトダイオードアレイは、製造する際の歩留まりが悪く、コスト高になるという問題もあった。
そこで本発明の目的は、少ないフォトダイオードで、光信号の測定を行なうことができるWDM信号モニタを実現することにある。
請求項1記載の発明は、
波長分割多重された光信号の測定を行なうWDM信号モニタにおいて、
フォトダイオードが所定の方向に複数個配置され、前記光信号を前記所定の方向に波長分散して、各光信号あたり2素子のフォトダイオードで受光する分光器と、
前記分光器のフォトダイオードから出力される2素子を組とした測定データから、前記光信号の波長または光パワーの少なくとも一方を演算する演算部と
を設けたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
フォトダイオードは、前記所定の方向に対する幅が、フォトダイオードの受光面上で形成される前記光信号の光スポットの直径よりも大きいことを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、
前記分光器に入射する光信号は、あらかじめ波長が定められた波長分割多重信号であることを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、
分光器は、前記組としたフォトダイオードの2素子にまたがって光スポットを形成することを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、
演算部は、前記組とした測定データの出力値の違いから、前記光信号の波長を求めることを特徴とするものである。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、
演算部は、
前記フォトダイオードまたは組としたフォトダイオード間の不感帯部の少なくとも一方に割り付けた波長を記憶する記憶手段と、
前記組とした測定データの出力値の違いから、基準位置からのずれ量を求め、このずれ量を波長に換算するシフト量演算手段と、
このシフト量演算手段の求めた波長および前記記憶手段の割り付けた波長から前記光信号の波長を求める波長演算手段と
を設けたことを特徴とするものである。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、
演算部は、前記組としたフォトダイオード間の不感帯部に照射される光パワーを求め、求めた光パワーで前記組としたフォトダイオードからの測定データを補正することを特徴とするものである。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、
演算部は、
基準位置からのずれ量と前記組としたフォトダイオード間の不感帯部に照射される光パワーとの関係を記憶する記憶手段と、
前記組とした測定データの出力値の違いから、基準位置からのずれ量を求めるシフト量演算手段と、
このシフト量演算手段の求めたずれ量に対応する不感帯部の光パワーを前記記憶手段から読み出し、前記組としたフォトダイオードからの測定データを補正するパワー演算手段と
を設けたことを特徴とするものである。
本発明によれば、分光器が、測定対象の光信号を、1チャネルあたり2素子のフォトダイオードで受光し、演算部が、組とした2素子のフォトダイオードからの測定データで、光信号の波長または光パワーを演算するので、WDM信号が高密度に多重化されたとしても、フォトダイオードの素子数を従来のように大幅に増やす必要が無い。これにより、少ないフォトダイオードで、光信号の測定を行なうことができ、フォトダイオードの挿引時間および演算時間を抑え、高速な測定を行なうことができる。また、従来のように、フォトダイオードのピッチ、幅を狭くする必要ないので、製造する際の歩留まりもよくなり、コストを抑えることができる。
以下図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施例を示した構成図である。図1において、分光器10はポリクロメータ型であり、WDM信号を含む被測定光100が入力され、この被測定光100を測定してサンプリングデータである測定データを出力する。
分光器10は、光ファイバ11、コリメーティングレンズ12、波長分散素子である回折格子13、フォーカシングレンズ14、フォトダイオードアレイモジュール(以下PDMと略す)15から構成される。
光ファイバ11は、被測定光100を分光器10に入射する伝送路である。コリメーティングレンズ12は、光ファイバ11の出射口に対向して設置され、光ファイバ11から出射された被測定光100を平行光にして出射する。
回折格子13は、コリメーティングレンズ12からの出射光を所望の角度に回折するため、コリメーティングレンズ12に対して傾けて設置してある。また、回折格子13は、被測定光100を波長ごと異なる角度に分光して出射する。フォーカシングレンズ14は、回折格子13からの出射光の光路上に設置され、出射光を収束させる。
PDM15は、被測定光100が収束する位置に設置される。PDM15は、短冊状または点状の受光素子であるフォトダイオードPD(1)〜PD(N)が所定の方向に複数個配置されたフォトダイオードアレイが設けられている。なお、Nは、自然数であり、(WDM信号のチャネル数)×2≦Nである。このフォトダイオードPD(1)〜PD(N)は、入射した被測定光100の光パワーに応じた電流(光電流)が生ずる。PDM15は、フォトダイオードPD(1)〜PD(N)の光電流を電圧に変換した測定データを順番に、例えば短波長側のフォトダイオードPD(1)から出力する。
また、各フォトダイオードPD(1)〜PD(N)には、あらかじめ波長が割り付けられている。波長の割り付けは、被測定光100が回折格子13によってフォトダイオードPD(1)〜PD(N)の配列方向に波長ごとに波長分散されて、フォトダイオードアレイにて収束する位置と対応している。そして、通信の標準を制定する国際的な組織であるITU(International Telecommunications Union:国際通信連合)によって決められたチャネルの光信号に対し、1チャネルあたり2素子のフォトダイオードPD(1)〜PD(N)で受光するように調整される。
具体的には、各フォトダイオードPD(1)〜PD(N)の幅をΔpとし、フォトダイオードPD(1)〜PD(N)間の不感帯部の幅をΔqとすれば、(Δq)<(光スポットの直径(2ω))<(Δp)とするのがよい。
例えば、Δp:Δq=7:1程度であれば、Δp/(2・ω)=1.0〜1.4程度にするとよい。そして、ITUグリッドが、100[GHz](約0.8[nm])間隔であれば、フォトダイオードPD(1)〜PD(N)の1ピッチが、50[GHz](約0.4[nm])となるようにレンズ12、14の焦点距離を調整して割り当てる。
さらに、1チャネル目の光信号の光スポット(フォトダイオードの受光面上で形成される光スポット)の中心が、フォトダイオードPD(1)とPD(2)の間の不感帯部、2チャネル目の光スポットの中心が、フォトダイオードPD(3)とPD(4)の間の不感帯部、以降同様に、jチャネル目の光スポットの中心が、フォトダイオードPD(2×j−1)とフォトダイオードPD(2×j)の不感帯部にくるように光ファイバ11、レンズ12、14、回折格子13、PDM15等の調整する。つまり、2素子のフォトダイオードPD(2×j−1)、PD(2×j)にまたがって光信号が照射され、2素子のフォトダイオードPD(2×j−1)、PD(2×j)を一組として1個の光信号を受光し、出力する。なお、各チャネルの光スポットの中心が、不感帯部の中心部(フォトダイオードPD(1)〜PD(N)が配列される方向)に調整するのがよい。
ここで、図2は、フォトダイオードPD(1)〜PD(N)の一部での波長割付の一例を示した図である。図2において、フォトダイオードPD(1)〜PD(N)が、並ぶ方向をx軸として、4素子のフォトダイオードPD(k−1)〜PD(k+2)を図示している。ここで、k=2×jである。フォトダイオードPD(k−1)〜PD(k+2)それぞれの中心部(X軸方向)が、λk−1〜λk+2に割り当てられ、フォトダイオードPD(k−1)〜PD(k+2)間の不感帯部それぞれの中心部(X軸方向)が、λ’k−1〜λ’k+1となる。
なお、分光器10のうち、被測定光をフォトダイオードPD(1)〜PD(N)が配列される方向に波長分散させて、PDA15上に収束させる部分(光ファイバ11、レンズ12、14、回折格子13)は、分散光学系と呼ばれ、波長分散された被測定光を受光するPDM15は、光検出部とも呼ばれる。
演算部20は、記憶手段21、シフト量演算手段22、波長演算手段23、パワー演算手段24を有し、分光器10の測定データから光信号それぞれのピーク波長、光パワーを演算する。
記憶手段21は、組となったフォトダイオードからの出力値の対数比とずれ量Δxとの関係を示す傾きm、フォトダイオードアレイ上の線分散(dx/dλ)、ずれ量Δxと光パワーの補正値p(Δx)、各チャネルの光信号とフォトダイオードPD(1)〜PD(N)との対応関係を記憶する。また、記憶手段21は、フォトダイオードPD(1)〜PD(N)、フォトダイオードPD(1)〜PD(N)間の不感帯部の割り付け波長を記憶する。
シフト量演算手段22は、分光器10から組とした測定データが入力され、記憶手段21の傾きm、線分散、割り付け波長から、基準位置からのずれ量Δ、このずれ量Δxに対応する波長Δλを求める。
波長演算手段23は、シフト量演算手段22の求めた波長Δλと、記憶手段21の割付波長から光信号の中心波長を求める。
パワー演算手段24は、シフト量演算手段22の求めたずれ量Δxに対応する不感帯部の光パワーの補正値p(Δx)を記憶手段21から読み出し、組としたフォトダイオードの測定データを補正用の光パワーp(Δx)で補正する。
このような装置の動作を説明する。まず、分光器10が、測定データを演算部20に出力するまでの動作を説明する。
被測定光100は、ITUグリッドで周波数間隔(波長間隔)が定められた複数個の光信号が多重化されている。光ファイバ11から出射された被測定光100が、コリメーティングレンズ12によって平行光となり、回折格子13に入射する。そして、被測定光100が、回折格子13によって波長ごとに分光される。回折格子13によって分光された被測定光100が、フォーカシングレンズ14によってPDM15のフォトダイオードアレイの受光面上に収束するが、収束する位置は被測定光100の波長に対応してずれる。
そして、各フォトダイオードPD(1)〜PD(N)で生じた光電流は、短波長側のPD(1)から順に出力される。PDM15の図示しない変換部は、PD(1)〜PD(N)から出力された光電流を電圧に変換する。またこの電圧に変換された信号はアナログ信号なので、変換部はこのアナログ信号をデジタル信号に変換し、測定データとして演算部20に出力する。このように、測定データはPD(1)〜PD(N)によってサンプリングされたサンプリングデータとなっている。
図3は、フォトダイオードアレイの受光面上に収束した被測定光および被測定光のスペクトラムを示した図である。ここで、図2と同一のものは同一符号を付し、説明を省略する。図3において、jチャネル目の光信号のうち、フォトダイオードPD(k−1)、フォトダイオードPD(k)それぞれに照射される光パワーをPk−1、Pkとし、フォトダイオードPD(k−1)、PD(k)間の不感帯部に照射される光パワーをP’k−1/kとする。なお、説明を簡単にするため、PDM15から出力されるフォトダイオードPD(k−1)、フォトダイオードPD(k)の測定データの出力値もPk−1、Pkとする。ここで、Δxは、不感帯部のX軸方向の中心位置を基準位置として、この基準位置に対する光スポットの中心位置のX軸方向のずれ量であり、図2に比較して光信号の波長間隔が狭くなっている例を図示している。
続いて、演算部20の動作を説明する。なお、一例として、図3に示すjチャネル目の光信号の中心波長、光パワーを求める例で説明する。
まず、演算部20が、記憶手段21に記憶されている各チャネルの光信号とフォトダイオードPD(1)〜PD(N)との対応関係より、分光器10からの組とした測定データPk−1、Pkがj番目のチャネルの光信号のものであることを判断する。
そして、シフト量演算手段21が、jチャネル目の光信号のずれ量Δx等を演算するが、分光器10から出力される測定データのうち、組としたフォトダイオードPD(k−1)、PD(k)の出力値Pk−1、Pkは、各フォトダイオードPD(k−1)、PD(k)で積分された光パワーとなり、照射位置のずれ量(Δx)により、光パワーの大小関係が変化する。
被測定光がレーザ光の場合、分光された被測定光に含まれる光信号のスペクトラム形状は、ガウス分布で近似できる。従って、ガウス形状の光信号を部分的に積分したフォトダイオードPD(k−1)、PD(k)の測定データPk−1、Pkも、当然に、ガウス分布で近似できる。従って、フォトダイオードPD(k−1)、PD(k)の出力値Pk−1、Pkの対数比(ln(pk/pk−1))とずれ量Δxとの関係は、下記の式(4)で近似される。
Figure 2007139514
式(4)の傾きmは、予め分光器10の特性として製造時や校正時に実測、または分散光学系の特性、フォトダイオードPD(1)〜PD(N)のピッチ等から理論的に求め、記憶手段21に格納しておく。
また、距離Δxを波長Δλに換算する場合、フォトダイオードアレイ上での線分散(dx/dλ)は、回折格子13の格子定数、レンズ12、14の焦点距離等から既知の値なので、線分散の逆数(逆線分散)とΔxとの積から式(5)によって求まる。
Figure 2007139514
以上より、演算部20のシフト量演算部22が、記憶手段21の傾きmを読み出して、分光器10からのフォトダイオードPD(k−1)、PD(k)の測定データPk−1、Pkおよび傾きmとによって、式(4)を変形した下記の式(6)で基準位置からのずれ量Δxを求める。
Figure 2007139514
さらに、シフト量演算手段22が、求めたずれ量Δxと、記憶手段21の線分散を用いて式(5)によってずれ量Δxを波長Δλに変換する。
そして、波長演算手段23が、シフト量演算手段22が求めた波長Δλ、記憶手段21のjチャネル目の光信号に対応する不感帯部の波長λ’k−1/kから、下記の式(7)によって、jチャネル目の光信号の中心波長λsigを求める。
Figure 2007139514
次に、パワー演算手段24が、光パワーを求める動作を説明する。図3から明らかなようにjチャネル目の光信号の全光パワー(以下、トータルパワー)は、下記の式(8)であらわされる。
Figure 2007139514
ここで、不感帯部の光パワーP’k−1/kは、スペクトラムの形状(ガウス分布)、不感帯部の幅ΔqおよびトータルパワーPsigで決定され、ずれ量Δxに依存する。従って、下記式(9)に示すように、不感帯部の光パワーP’k−1/kは、求める光信号のトータルパワーPsigで規格化された値p(Δx)で表される。
Figure 2007139514
Figure 2007139514
つまり、ずれ量Δxの関数として光パワーの補正値p(Δx)の値を、予め実測、または理論的に求めて記憶手段21に格納しておく。また、式(9)は、式(8)によって、下記の式(10)で表される。
Figure 2007139514
以上より、パワー演算手段24が、ずれ量Δxに対応するパワーの補正値p(Δx)を記憶手段21から読み出し、読み出したp(Δx)および組としたフォトダイオードPD(k−1)、PD(k)の測定データPk−1、Pkによって、式(10)からトータルパワーPsigを求める。
jチャネル目以外の光信号も同様に、シフト量演算手段22が、各チャネルの光信号のずれ量Δx、このずれ量に対応した波長Δλを求め、波長演算手段23が、各チャネルの光信号の波長を求め、パワー演算手段24が、各チャネルの光信号のトータルパワーを求める。
ここで、記憶手段21に予め記憶させるp(Δx)を求める方法について説明する。
jチャネル目の光信号に対するスペクトラム形状をf(x)、上述のように不感帯部の幅をΔqとすると、下記の式(11)が成り立つ。
Figure 2007139514
ただし、f(x)は、式(12)に示すようにトータルパワーが1で規格化されているものとする。
Figure 2007139514
さらに、f(x)がガウス分布で近似できる場合、積分した結果であるp(Δx)そのものもガウス分布で近似できるので、式(11)は、式(13)で示せる。
Figure 2007139514
ここで、Aは定数である。そして、式(13)より、実測した測定データ、または理論的にA,ω’を求めることにより、Δxに対するp(Δx)が予め求められ、パワー演算手段24が、組の測定データPk−1、Pkをp(Δx)によって補正して、トータルパワーPsigを求める。
なお、Aについては、例えば、Δx=0として台形公式によって容易に求めることができ、ω’については、Δq<ωであれば下記の近似式(14)が成り立ち、ω’が求まる。
Figure 2007139514
このように、分光器10の分散光学系を調整して、測定する光信号を、1チャネルあたり2素子のフォトダイオードで受光し、演算部20が、組とした2素子のフォトダイオードからの測定データで、光信号の波長または光パワーを演算するので、WDM信号が高密度に多重化されたとしても、フォトダイオードの素子数を従来のように大幅に増やす必要が無い。これにより、少ないフォトダイオードで、光信号の測定を行なうことができ、フォトダイオードの挿引時間および演算時間を抑え、高速な測定を行なうことができる。また、従来のように、フォトダイオードのピッチ、幅を狭くする必要ないので、製造する際の歩留まりもよくなり、コストを抑えることができる。
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、以下に示すようなものでもよい。
不感帯部にも波長を割り付ける構成を示したが、不感帯部には波長を割り付けずに、組としたフォトダイオードPD(k−1)、PD(k)に割り付けた波長λk−1、λkから、シフト量演算手段22が、λ’k−1/kに対応する波長((λk−1+λk)/2)を求めてもよい。逆に、不感帯部にのみ波長を割り付け、シフト量演算手段22が、不感帯部に割り付けた波長から、各フォトダイオードPD(k−1)、PD(k)の割り付け波長λk−1、λkを求めてもよい。
また、分散光学系に、レンズ12、14を用いる構成を示したが、放物面鏡を用いてもよく、回折格子の代わりに波長分散素子にファイバーグレーティング、プリズム等を用いてもよい。
また、光スポットのビーム半径ωは、光信号のピーク値に対して、1/e倍の光パワーとなる部分における光スポットの中心から円周までの距離(x軸方向)としたが、光信号のスペクトラム形状がガウス分布ならば、ビーム半径ωを、半値全幅(FWHM:full width half maximum)としてもよい。
また、ITUグリッドを、100[GHz]間隔とする構成を示したが、どのような間隔であってもよい。
そして、光信号の波長および光パワーの両方を求める構成を示したが、いずれか一方だけを求めてもよい。
本発明の一実施例を示した構成図である。 図1に示す装置のフォトダイオードの一部での波長割付の一例を示した図である 図1に示す装置のフォトダイオードアレイの受光面上に収束した被測定光および被測定光のスペクトラムを示した図である 従来のWDM信号モニタのフォトダイオードアレイの受光面上に収束した被測定光および被測定光のスペクトラムを示した図である。 フォトダイオード3素子のデータをガウス分布g(x)に当てはめて、もとのスペクトラムを再現した図である。
符号の説明
10 分光器
20 演算部
21 記憶手段
22 シフト量演算手段
23 波長演算手段
24 パワー演算手段
PD(k−1)〜PD(k+2) フォトダイオード

Claims (8)

  1. 波長分割多重された光信号の測定を行なうWDM信号モニタにおいて、
    フォトダイオードが所定の方向に複数個配置され、前記光信号を前記所定の方向に波長分散して、各光信号あたり2素子のフォトダイオードで受光する分光器と、
    前記分光器のフォトダイオードから出力される2素子を組とした測定データから、前記光信号の波長または光パワーの少なくとも一方を演算する演算部と
    を設けたことを特徴とするWDM信号モニタ。
  2. フォトダイオードは、前記所定の方向に対する幅が、フォトダイオードの受光面上で形成される前記光信号の光スポットの直径よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のWDM信号モニタ。
  3. 前記分光器に入射する光信号は、あらかじめ波長が定められた波長分割多重信号であることを特徴とする請求項1または2記載のWDM信号モニタ。
  4. 分光器は、前記組としたフォトダイオードの2素子にまたがって光スポットを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のWDM信号モニタ。
  5. 演算部は、前記組とした測定データの出力値の違いから、前記光信号の波長を求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のWDM信号モニタ。
  6. 演算部は、
    前記フォトダイオードまたは組としたフォトダイオード間の不感帯部の少なくとも一方に割り付けた波長を記憶する記憶手段と、
    前記組とした測定データの出力値の違いから、基準位置からのずれ量を求め、このずれ量を波長に換算するシフト量演算手段と、
    このシフト量演算手段の求めた波長および前記記憶手段の割り付けた波長から前記光信号の波長を求める波長演算手段と
    を設けたことを特徴とする請求項5記載のWDM信号モニタ。
  7. 演算部は、前記組としたフォトダイオード間の不感帯部に照射される光パワーを求め、求めた光パワーで前記組としたフォトダイオードからの測定データを補正することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のWDM信号モニタ。
  8. 演算部は、
    基準位置からのずれ量と前記組としたフォトダイオード間の不感帯部に照射される光パワーとの関係を記憶する記憶手段と、
    前記組とした測定データの出力値の違いから、基準位置からのずれ量を求めるシフト量演算手段と、
    このシフト量演算手段の求めたずれ量に対応する不感帯部の光パワーを前記記憶手段から読み出し、前記組としたフォトダイオードからの測定データを補正するパワー演算手段と
    を設けたことを特徴とする請求項7記載のWDM信号モニタ。
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