JP2007139328A - 冷却・保冷容器及びそのペルチェモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】低消費電力で容器内の収納物温度を設定値に保持でき、かつ、一時的な保存庫としても用いることが出来る冷却・保冷容器1を提供する。
【解決手段】保冷・冷却容器1の駆動を、急冷用冷却ユニットとそれよりも消費電力の小さい保冷用冷却ユニットの2種類の電子冷却ユニットを用いて行う。急冷には方向性熱伝達手段11を用いた急冷用冷却ユニット56を用い、外気温と庫内17の温度差に伴う熱流を遮断し効率的な冷却を行う。保冷には半導体素子間に断熱手段が挟まれた構成を持つ電子冷却素子を用いた断熱型のペルチェモジュールを有する保冷用冷却ユニットを用い、かつ、設定温度に対して上限、下限を設定し、庫内17温度の上昇が上限に達したときに冷却駆動を行い、下限まで低下した時に駆動停止すると言う如く、間歇的な駆動制御を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品、医薬品、血液等を冷蔵や冷凍の温度帯に冷却し、輸送し、一時的に保管し、また、解凍するための冷却・保冷容器及びそのペルチェモジュールに関するものである。
近年、社会の成熟化、所得レベルの向上により生活を楽しむことが重視され、食においても美味しいものへのニーズは高まりつつある。ところで美味しいものの一つは、生産地で採りたての鮮度の高いものであり、また、ケーキ類のように食品工場等で手間をかけて作ったものである。また、更には漬物類のように熟成されたものである。そしてこれらは鮮度、熟成度を損なわないように、その食品の固有の最適な冷蔵等の温度帯で、小売店舗の店頭に並べられることで消費者の満足が得られ、また、小売業者の付加価値を高めている。
また、従来、スーパーや、コンビニエンスストア等小売業、特に店舗面積が狭いコンビニエンスストアにおいては、倉庫・事務所等のバックヤード面積比率を出来るだけ低く抑えることで売り場面積を高め、売上を高めることが行われている。しかし、夏場には飲料、アイスクリーム等の冷蔵食品が急増し、これらを保管する冷蔵庫スペースが不足し、結果として欠品にせざるを得ないことが多く、配送される冷蔵品をそのまま輸送容器にいれたままでの保管が出来ない不便さがあった。
ところで生鮮食品の輸送には、従来から、一般に発泡ポリスチレン等からなる保冷箱や、断熱材の表裏をアルミ箔でラミネートした布を袋状にしたいわゆる保冷袋が用いられている。しかし、これらの保冷箱や保冷袋には冷却機能がないため、保冷袋は、一般に水/グリコールの混合物からなる保冷材や、氷、或いは粉状やペレット状のドライアイスや、液体窒素等を用いて内容物を冷やし、これらを保冷箱に詰めて運搬することが行われていた。しかしながら、これらの冷却材は、当該冷却材の融解、気化、昇華、相転移等によって、食品等の被冷却物を冷却するものであり、冷却温度帯を個別にまた、自由に設定・制御することが出来ないため、食材の変質や風味を損ねたり、輸送時間が長くなると鮮度が落ちる等の問題があった。また、ドライアイスや蓄冷剤を用いる場合等においてはその保冷材を冷却する施設や、保冷箱に保冷材を充填するための設備・施設への多額の投資が必要である等の欠点があった。
このため、保冷箱内の温度を食品ごとに異なる最適な温度に設定・維持して食品の鮮度を高めることが出来る冷却/保冷箱や可搬型の冷蔵庫が望まれている。そして、その冷却手段としてペルチェ素子を用いたペルチェモジュールを用いて冷却しようとする試みが古くからなされてはいるが、ペルチェモジュールは消費電力が大きい、排熱が多い等の問題があり、現実的には、10L(リットル)程度の小容量のものしかなく、冷却温度も自由に設定できないため、ピクニック用等のジュース等の飲用缶やサンドイッチ等の少量の食品を運ぶための簡易な容器としてしか用いられていない。
また、ペルチェモジュール(電子冷却モジュール)による冷却は、原理的にはP、Nの半導体界面で結合する自由電子、正孔のもつフェルミ準位のエネルギー差によって生じ、現象的にはP、Nの半導体素子列に通電することで生じる。このため、従来のコンプレッサー型の冷蔵庫と異なり、騒音が無い、振動がないことから近年、就寝時の騒音が気にならない点で病院やホテル等の冷蔵庫や、家庭用ワインセラー等の用途に用いられているが、電子冷却モジュール自体の消費電力が高いことから、通常の冷蔵庫の代替は出来ず、小型で冷却温度が0℃以上のものに適用が限定されているのが現状である。
従来の電子冷却モジュールを冷却源とした輸送用の保冷容器として、例えば、特許文献1,2に記載されているものが開示されている。
特許文献1は、食品等の輸送に用いられるパレットコンテナの冷却可能なコンテナカバーに関するもので、発泡樹脂やグラスウール等の断熱材の両面にアルミ箔を貼ってなる断熱材袋の一部であるコンテナカバーの上面中央部に取り外し可能なペルチェユニットを搭載し、コンテナ内の冷却をする方法を開示している。
この特許文献1に示されている装置の冷却部は、電子冷却モジュールの冷却面と接続され、通電駆動に伴って電子冷却モジュールから排出される熱を、ファンで通風し外気に放出するためのアルミ等からなる排熱側フィンと、コンテナ内の空気を冷却するため電子冷却モジュールの下部に接続されるアルミ等からなる冷却フィン、及び電子冷却モジュールを熱的に直列接続して構成されている。
特許文献2は、電子冷却モジュールを用いた温冷蔵庫に関するもので庫内の冷却時に排出される熱を庫外に排出する手段として、庫体側面に庫内・庫外を貫通して、熱的に接続するヒートパイプパネルを設けたものである。そして、このヒートパイプパネルとして、ロールボンディング法で圧接し一体化される2枚のアルミニウム板と、2枚の板間に水、アルコール等の作動液を入れて、庫内へ侵入する熱を下部から上部に気化・搬送する構成例が開示されている。この構成を用いると庫内に設けられた電子冷却モジュールからの排熱を、前述の直結型アルミブロックヒートシンクよりも効率的に排出できる。
特開2001−180767号公報 特開平6−221738号公報、 Extending the Limits of Air Cooling with thermoelectrically enhanced heat sinks,J.Biershenk et al, 2004 Inter Society Conference on Thermal Phenomena, p.679
ところで、特許文献1のように、外気と熱交換する排熱フィン(庫外に設置)と電子冷却モジュール、及び冷却フィン(庫内に設置)を直列に熱接続すると、外気と庫内の温度差により(例えば、夏場で外気温度が30℃のときに、庫内を冷凍食品の保管温度である−20℃にとると、この間の温度差は50℃となる)、電子冷却モジュールを駆動しているときは、駆動により排熱による排熱フィンの温度が上昇して、排熱面と冷却面の間で大きな温度差が生じて、この温度差によって排熱側から冷却側に向けて、ペルチェ効果による温度差を打ち消す向きに熱流が生じる。これは、電子冷却モジュール、排熱フィン、冷却フィンのいずれもが高熱伝導性材料で構成されているために起こる現象である。また、問題は電子冷却モジュールを駆動しているときにだけ排熱側から冷却側へ熱が侵入するのでなく、電子冷却モジュールを駆動しないときにおいても、外気からの熱が庫内に侵入し庫内温度を上昇させる。
外気と庫内の温度差によって侵入する熱量Qは、一般にQ(W)=熱伝導率(W/m・K)・面積(m)/距離(m)×ΔT(高温部と低温部の温度差、K)と表されるが、電子冷却モジュールを構成する半導体素子は熱伝導率が大きいため、侵入熱量はかなり大きい。例えば常温付近でのペルチェ効果を高く取れるため、通常冷蔵庫等に用いられる半導体素子であるBiTe系の場合の熱伝導率は1.4〜1.5W/m・Kであり、また、用いるモジュールの素子構成を、例えば、一般に用いられる1.8mm角で1.5mm高さのP、N素子を127対並べた形にし、外気と庫内の温度差が50℃とした場合には、40Wもの熱が侵入する。そして、この侵入熱量を除去し、庫内温度を所定の温度、この場合には−20℃にするために、電子冷却モジュールを駆動すると、前記のように高温度差条件下では電子冷却モジュールの効率は低いため、大電流を流しての電子冷却モジュールの冷却駆動が必要となり、その駆動電力は120〜150W程度にも達する。このため、通常の家庭用の冷蔵庫としての用途でも消費電力が大きすぎ、特に輸送時に温度を一定にする必要のあるために2次電池で電力補給する輸送用の保冷箱では多数の2次電池を必要とするため実用にならない欠点がある。
更に、排熱フィンから外部に放出される排熱量は、冷蔵庫等の冷却/保冷容器へ外部から侵入する侵入熱量と電子冷却モジュール駆動にかかる熱量の和であるため、電子冷却モジュールを用いた保冷容器では100Wを超える熱風が室内や輸送車両内に排気され、室内の温度を下げるための対策が別途必要になる問題が生じていた。特に特許文献1においては、冷蔵庫等の断熱とは異なり、コンテナ自体の断熱が簡易であるため、外気からコンテナ内部に侵入する熱量は極めて多くなり、車両の発電機や、二次電池を大型化せざるをえない欠点があった。
また、特許文献2に関しては、ヒートパイプパネルは薄肉の銅或いはアルミ製の中空板コンテナであり、面内のたわみ応力により容易に変形する。このため、パネル状であるコンテナの上下が部分的に接触し、作動液の円滑な流通を妨げるためパネル中間部が局所的に発熱したり、作動液の流通のために設けているグルーブやウィックと呼ばれる微細な溝等が破損しやすい等、衝撃/振動等の外力には弱い欠点がある。更に、ヒートパイプパネルは断面がほぼ矩形の平面体であるため、前述のように厚さ方向の変形や、ねじれを防止するために板厚を1.6mm程度と、管状のヒートパイプの平均的肉厚である0.4〜0.8mmより大きく取らざるを得ないこと、平面型ヒートパイプは作動液の蒸発・還流効率が低く、管状のヒートパイプに比べて大型化する欠点がある。また、板厚が大きいため、放熱部から冷却部へ熱伝導量が大きくなり、放熱側(庫外)から冷却側(庫内)にヒートパイプパネルのコンテナを熱伝導により逆流する熱を止めることは困難であり、板状パネルの中間部をくりぬいてスリットをつける等、コストが上昇する問題があった。
基本的に、本構成ではヒートパイプを用いているものの、ヒートパイプの役目が単に外部への熱伝達を良くするという設計概念にのみあり、熱の逆流を防止するという考え方は見られない。したがって、特許文献2の保冷容器においても、特許文献1と同様、庫外と庫内が庫外側ヒートシンク/ヒートパイプパネル/ペルチェ熱電素子/アルミ等の熱伝導ブロックという順で直列に構成されており、侵入熱が大きくなり冷却能力が低下するので、消費電力は大きくなっても電子冷却モジュールへの通電電流を高めざるを得なく、このため庫外への排熱量が大きくなるという特許文献1と同じ基本的な欠点を有する。
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたものであり、小型冷蔵庫として使用できる上に、輸送・運搬や、荷扱い中に、小さな消費電力で容器内の収納物温度を所定値に冷却保持でき、かつ、一時的な保存庫としても用いることが出来る冷却・保冷容器及びそのペルチェモジュール(電子冷却モジュール)を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は次に示す構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、容器の内部を被冷却物を収容する庫内と成し、容器の壁には外気と庫内間の断熱を行う断熱材が設けられ、前記容器には庫内を冷却する電子冷却ユニットが設けられており、前記電子冷却ユニットは、ペルチェ効果を利用して吸熱側で庫内の熱を吸熱しその吸熱した熱を吸熱側から排熱側へ熱輸送する構成のペルチェモジュールと、該ペルチェモジュールの排熱側の熱を外部へ放熱する排熱手段とを有して構成され、前記電子冷却ユニットは、急冷用冷却ユニットと該急冷用冷却ユニットよりも消費電力の小さい保冷用冷却ユニットとの消費電力の異なる2種類の電子冷却ユニットを備えて構成され、この2種類のそれぞれの電子冷却ユニットのペルチェモジュールの冷却駆動のタイミングを予め与えられた制御データに基いて制御する制御ユニットが設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成を備えたものにおいて、前記断熱材は外気から庫内への最大侵入熱量が20W以下となる断熱能力を備えたものであることを特徴とする。
さらに、第3の発明は、前記第1又は第2の発明の構成を備えた上で、前記急冷用冷却ユニットと保冷用冷却ユニットとのうちの少なくとも急冷用冷却ユニット側のペルチェモジュールの排熱側と排熱手段熱とはペルチェモジュールから排熱手段へ向けての熱輸送能力が60W以上で、かつ、排熱手段からペルチェモジュールへの逆向きの熱移動の熱コンダクタンスが0.17W/℃以下の方向性熱伝達手段により接続されていることを特徴とする。
さらに、第4の発明は、前記第1乃至第3の何れか1つの発明の構成を備えた上で、前記保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールは吸熱側と排熱側間に直列接続されるP型の半導体素子とN型の半導体素子が複数立設配置されていて、各半導体素子は吸熱側と排熱側間の途中位置で分断され、その分断された各半導体素子はその分断部位に介設された断熱絶縁層によって上側と下側に区分されており、上側と下側の同種の分断された半導体素子は断熱絶縁層の介設位置で半導体素子よりも電気伝導性が良く半導体素子よりも断面積が小さい導体によって接続されていることを特徴とする。
さらに、第5の発明は、前記第1又は第2の発明の構成を備えた上で、前記保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールは吸熱側と排熱側間に直列接続されるP型の半導体素子とN型の半導体素子が複数立設配置されていて、各半導体素子は吸熱側と排熱側間の途中位置で分断され、その各半導体素子の分断位置には各半導体素子よりも電気伝導性が良く、かつ、各半導体素子よりも熱伝導性の低い部材が介設されていることを特徴とする。
さらに、第6の発明は、前記第1乃至第5の何れか1つの発明の構成を備えたものにおいて、冷却・保冷の設定温度に対して上下に一定の温度幅を持った温度ゾーンが設定されるとともに、その温度ゾーン内に前記設定温度よりは高い上限温度と前記設定温度よりも低い下限温度とが設定され、制御ユニットは庫内温度が前記温度ゾーンよりも高いときには急冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を行い、庫内温度が上限温度まで低下したときに急冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を停止するか又は駆動電力を低減するとともに保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を行い、庫内温度が前記下限温度まで低下したときに前記保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を停止するとともに前記急冷用冷却ユニットのペルチェモジュールが駆動電力を低減しての駆動状態のときはその駆動を停止し、庫内温度が前記上限温度まで上昇したときに保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を再開する制御構成を備えていることを特徴とする。
さらに、第7の発明は、被冷却物を庫内に収容して該被冷却物を冷却・保冷する冷却・保冷容器に前記庫内の冷却駆動用として用いられるペルチェモジュールであって、吸熱側と排熱側間に直列接続されるP型の半導体素子とN型の半導体素子が複数立設配置されており、各半導体素子は吸熱側と排熱側間の途中位置で分断され、その分断された各半導体素子はその分断部位に介設された断熱絶縁層によって上側と下側に区分されており、上側と下側の同種の分断された半導体素子は断熱絶縁層の介設位置で半導体素子よりも電気伝導性が良く半導体素子よりも断面積が小さい導体によって接続されていることを特徴とする。
さらに、第8の発明は、被冷却物を庫内に収容して該被冷却物を冷却・保冷する冷却・保冷容器に前記庫内の冷却駆動用として用いられるペルチェモジュールであって、吸熱側と排熱側間に直列接続されるP型の半導体素子とN型の半導体素子が複数立設配置されており、各半導体素子は吸熱側と排熱側間の途中位置で分断され、その各半導体素子の分断位置には各半導体素子よりも電気伝導性が良く、かつ、各半導体素子よりも熱伝導性の低い部材が介設されていることを特徴とする。
本発明は、冷蔵庫として、或いは冷蔵輸送用の容器として利用される冷却・保冷容器の冷却駆動の消費電力を低減して、従来、消費電力が高かったために電子冷却ユニットを用いることが困難であった食品等の低温流通に、新たな軽量・小型な冷却・保冷容器を提供することを可能とするものである。
本発明は、密閉型の冷却・保冷容器において容器の壁には外気と庫内間の断熱を行う断熱材が設けられているので、外部からの熱侵入量自体を下げることによりペルチェモジュールの駆動を抑えるための断熱を行い、また、庫内全体を設定温度に急速に下げるために消費電力が高くなる予冷時には急冷用冷却ユニットを、庫内が設定温度に達した以降の庫内に外気温/庫内温度の差に比例して侵入する比較的少量の熱量を排熱する動作状態時には低消費電力型の保冷用冷却ユニットを駆動するようにでき、2種類の電子冷却ユニットを動作状況に応じて駆動し、冷却することで冷却・保冷容器の低消費電力化を可能とするものである。
このように、本発明は、予冷用の急冷用冷却ユニットと保冷用の保冷用冷却ユニットの2種類の電子冷却ユニットを用いることにより、消費電力、排熱量を低減し、小型容器での冷凍・冷蔵輸送を可能とするものである。
また、外気からの最大侵入熱量が20W以下となるように断熱材(容器壁に設ける断熱材)を構成することにより、冷却・保冷容器の冷却駆動の消費電力を減らすことを可能とするものである。
さらに、冷却ユニットのペルチェモジュールの排熱側と排熱手段側とはペルチェモジュールから排熱手段へ向けての熱輸送能力が60W以上で、かつ、排熱手段からペルチェモジュールへの逆向きの熱移動の熱コンダクタンスが0.17W/℃以下の方向性熱伝達手段により接続されている構成とすることにより、冷却ユニット駆動時にペルチェモジュール駆動による熱抵抗や、排熱手段側での排熱の不完全さによって排熱手段側が外気より高温となり、排熱手段側と庫内の冷却部となるペルチェモジュールの吸熱側との間に大きな温度差が生じたとしても、排熱手段側から庫内(ペルチェモジュールの吸熱側)への熱の逆流を抑制でき、また、冷却・保冷の消費電力を減らすことを可能とするものである。
さらに、ペルチェモジュールの構成として、P型の半導体素子とN型の半導体素子の分断部位に断熱絶縁層を介設し、上側と下側の同種の分断された半導体素子は半導体素子よりも電気伝導性が良く半導体素子よりも断面積が小さい導体によって接続した構成としたり、或いは、分断された上下の半導体素子間に半導体素子よりも電気伝導性が良く、かつ、各半導体素子よりも熱伝導性の低い部材を介設した構成とした発明においては、ペルチェ効果による庫内の吸熱冷却動作を効果的に行うとともに、排熱手段側からペルチェモジュールの半導体素子を通して庫内側に侵入する熱を防ぎ、冷却・保冷容器の冷却駆動の消費電力を下げることを可能とするものである。
さらに、前記第6の発明の構成によれば、庫内が上限温度になった時点で、冷却のためのペルチェモジュールの駆動を行い、下限温度でその駆動を停止するというように、間歇駆動が行われることで、冷却・保冷容器の冷却駆動の消費電力を減らすことを可能とするものである。そして、消費電力を抑えながらも高い冷却能力をもつ冷却・保冷容器を提供することを可能とする。
上記のように、本発明によると、電子冷却モジュールの消費電力が減少するとともに、排熱量が減少し、冷却・保冷容器の周囲の温度を過度に上昇させることも防止でき、地球環境の温暖化現象の抑制にも貢献するものである。
さらに、本発明の冷却・保冷容器はスーパーや、コンビニエンスストア等に食品を収容して輸送配達したときに、店の冷蔵庫スペースが不足していたときには、冷却・保冷容器をそのまま一時的な冷蔵保管庫として使用できるので、店側にとっては食品の欠品を防止できるという利便性を享受できるものである。
本発明は本発明者の実験試作の繰り返しにより、以下の知見を得るに至った結果に基いて創作されたものである。その一つは電子冷却モジュールを用いた電子冷却ユニットは、冷却成績指数(COP;Coefficient of Performance、吸熱量/入力電力)が原理的に低く、またこの値は、電子冷却モジュールの吸熱側と排熱側の温度差(ΔT)により変化することである。その具体的値は、例えば温度差(ΔT)を50℃(夏場の雰囲気温度30℃において、庫内を冷凍食品温度として20℃をとる場合を想定)にとると、その理論冷却成績指数(COP)は0.3〜0.5程度とコンプレッサーを用いた冷却システムの効率の1/4程度しかとれない。また、温度差(ΔT)を30℃(夏場の雰囲気温度30℃において、冷蔵食品の庫内温度として0℃をとる場合を想定)においても、COPの最大値は1.0程度にしかならない(非特許文献1参照)。
したがって、輸送車両内等、十分な電源や空調設備を得ることが困難なために消費電力を低く抑える必要のある保冷容器や、室内の温度上昇を許容できない冷蔵庫では、従来の電子冷却モジュールを用いた保冷容器や冷蔵庫で行われているように電子冷却モジュールを積極的に運転することで温度制御を行うのではなく、むしろペルチェユニットを含め、冷却・保冷容器の材料、構成や駆動方法を見直し、断熱性能を高めることで、庫外から庫内に流入する熱を極力抑えることが重要である。そして、それでも、侵入する熱による庫内温度上昇分を、効率の高い改良された電子冷却装置で補うという考え方での消費電力低減が本質的である。そして、そのためには、冷蔵庫、保冷容器を構成する要素の断熱性、すなわち、保冷容器の構造・材料とペルチェモジュール(電子冷却モジュール)を有する電子冷却ユニット自体及びその駆動方法の見直しを行って、長時間の低消費電力駆動や輸送可能時間の拡大が必要である。
そのための主な重要点は以下である。
(1)容器自体(本体、蓋(扉)等の出入り口)の断熱性能の向上
(2)電子冷却ユニットの断熱性能の向上(電子冷却ユニット構造の見直し)
(3)予冷時と保冷時にそれぞれ適切な電子冷却ユニットを用いる。
(4)電子冷却ユニットの駆動方法の改良
本発明は上記の検討に基いて創作されたものであり、以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
第1の実施の形態を、図1〜図21に基づいて詳細に説明する。なお以下に説明する各実施の形態において、同一または共通する部分には、同一の符号を付し、その説明を簡略化する。なお、説明を分かりやすくするため、これらの図面中の構成要素は必ずしも寸法通りとはなっていない。
図1は第1の実施形態例の冷却・保冷容器の断面図である。図1及び図2において、1は冷却・保冷容器であり、その概略構成は蓋部2と本体部3に大別される。蓋部2には電子冷却ユニット9と、制御ユニット16と、制御ユニットに電力を供給する図示しない二次電池と、AC電源等の電源部が設けられる。ここで制御ユニット16は外気温と庫内温度データ等の情報と予め与えられる制御データに基き庫内温度を最適に制御すべく電子冷却ユニット9への通電を制御するための制御システムを備える。
本体部3は、庫内17に食品等を冷蔵・冷凍状態で収納し、また、輸送・保管するための容器であり、厚さが2〜3mm程度のポリプロピレンからなる本体外殻4と、本体外殻4内に設けられた本体断熱手段6(図2)と、板厚2mm程度の抗菌処理したアルミ等の高熱伝導材料からなり庫内17の温度を均熱化するための庫内均熱化手段5と、輸送車両の走行中や、荷降ろし時に保冷容器1にかかる衝撃・振動を緩和するために本体外殻4下部に設けられた脚部13を有して構成される。本体部3上には蓋部2が載置される。
蓋部2は、庫内17を冷却するための電子冷却ユニット9を設けた断熱構造体であり、ポリプロピレン等の高耐久性材料からなる蓋部外殻8と、真空断熱パネル等の高断熱材からなる蓋部断熱手段7を有して構成されている。また、蓋部2と及び本体部3には、両者をつなぐヒンジや連結紐等からなり蓋部2を開閉するための開閉手段14、蓋を本体にとめるための係止手段15を設けている。さらに本体部3と蓋部2の接合面には、外気温と庫内の温度差による熱の侵入や湿気の侵入を防止する封止手段52を設けている。
尚、外殻材は、ポリプロピレン以外に、ポリエチレン、ポリウレタンや、ガラス繊維強化ポリエステル等、安価で耐久性、耐衝撃性の良いプラスチック材料や、熱伝導率の低いステンレス等の金属材料やこれらの複合体も使用できる。
図2は、本冷却・保冷容器1の本体部3の断面を示したものであり、冷却・保冷容器自体の断熱性を、一般の冷蔵庫よりも高断熱に構成している。本体外殻4は、本体内箱4−1と本体外箱4−2からなり、本体内箱4−1の内面には、プレス加工したアルミ板からなる庫内均熱化手段5が固着される。また、本体内箱4−1と本体外箱4−2間には、厚さが30mm程度のパーライトや、ガラス繊維、ポリエステル繊維等の低熱伝導材をアルミ/ポリエステル或いはポリアミド等からなる複合ラミネートフィルム等で真空包装しラミネートしてなる真空断熱パネルを用いた本体断熱手段6が、図示しない一体化手段により固定されている。
本体部3の外箱/内箱間に適用される本体断熱手段6の断熱材は容器全体の侵入熱を決定する最も重要な材料であり、材料の種類、厚さによって、また、侵入熱を下げるために外箱/内箱間への固着時に隙間の無いように構成することが重要である。本発明者の行った各断熱材の評価によると、熱伝導率は、真空断熱パネルでは4〜8mW/mK、硬質ポリウレタンフォームで18〜25mW/mK、ポリスチレンフォームで25〜35mW/mK、ポリエチレンフォームで、36〜44mW/mKであり、真空断熱パネルが最も断熱性能に優れているので、断熱性能を重視する場合には真空断熱パネルが好適である。ただし、真空断熱パネル以外のものも、安価で、外力に対して強く、組立てに時間がかからないという利点を有するので断熱材としての使用が可能であり、例えば、後述する蓋部2には、ポリウレタンフォームやポリエチレンフォーム等と複合したものを断熱材として使用することが望ましい。
前記のように、真空断熱パネルは、単位厚みあたりの熱伝導率が低く断熱性はよいが、他の断熱材よりも高価であるため、厚さに余裕のある場合には、ポリウレタン、ポリエチレン発泡材で製造したパネルや、断熱性を高めるためパネル全面をアルミラミネートテープで更に覆った複合体を断熱材として使用しても良い。
本実施の形態の一例においては、冷却・保冷容器1の内寸、すなわち庫内17寸法は、幅、奥行きが32cmであり、高さが30cmである小型の冷凍仕様のものであり、その内表面積は、例えば、蓋部2も同様の寸法として隙間のない構造にすると約0.6mである。一般に庫内17に容器外から侵入する熱量Qは、断熱材の熱伝導率をλ(W/mK)、内面積をS(m)、外気と庫内17の温度差をΔT、断熱材の厚さをL(m)とすると、Q=λxSxΔT/Lと表される。したがって、外気温度が30℃で、冷蔵庫(庫内温度=0℃)として使用する場合には、侵入熱は、例えば、厚さが10mmの真空断熱パネルでは約7〜14W、冷凍温度(−20℃)では約17〜30W、厚さが30mmのポリウレタンフォームの場合はそれぞれ、11〜15W、18〜25W程度である。
ここで後述する電子冷却ユニット9の駆動時間を短縮し、消費電力、排熱量を抑えるには、侵入熱自体を抑制することが最も肝要であり、−20℃以下の冷凍帯の温度で使用する場合には、ペルチェモジュール(電子冷却モジュール)の上下間の温度差が大きくなるため、ペルチェモジュールの排熱側から冷却側に侵入する熱量が増加すること、また、詳細を後述するがこの侵入熱量を庫外に排熱するための電子冷却ユニットの駆動電力が急激に増加するので、冷却・保冷容器1の外側からの侵入熱が20W以下、好ましくは10W以下になるように断熱材を選択することが好ましい。なお、この侵入熱量は容器1の大きさ、断熱材の種類、厚さ及び外気/庫内の温度差によって変化するが、上記のように計算によって、侵入熱量は求められる。
次に蓋部2の概略構成について説明する。図3は蓋部2を冷却・保冷容器1の上面から見た平面図、図4は図3の蓋部2の外観斜視図であり、蓋部2に設置する電子冷却ユニット9及び、断熱手段等の構成を示している。
図示のように蓋部2には制御ユニット16が設けられ、図示しない配線手段によって電子冷却ユニット9と接続されている。電子冷却ユニット9は、急冷用冷却ユニット56と保冷用冷却ユニット18の二つのユニットを用いて構成されている。このうち、急冷用冷却ユニット56は、食品等の被冷却物の収納前に庫内を所定の温度に冷却する予冷時等、冷却・保冷容器1を急速に冷却するときに用いられるものであり、一方、保冷用冷却ユニット18は、急冷用冷却ユニット56によって、既に所定温度(設定温度)近くに冷却された後に、例えば、蓋部2の開閉や、輸送や保管時に、外部から庫内に侵入する熱を、庫外に排出するために用いられるものである。但し、たとえば、冬場等、周囲環境温度が低く、庫内温度と周囲温度の温度差が少ない場合には、消費電力量が低くなるため、急冷用冷却ユニット56を保冷用として運転してもよいことはいうまでも無い。
図3、図4に示すように急冷用冷却ユニット56と保冷用冷却ユニット18からなる電子冷却ユニット9は蓋部2のほぼ中央に配置され、ユニット9の排熱部である排熱フィン21の熱は、軸流ファン等からなる排熱ファン23(図4参照)によって送風され排熱される。尚、排熱フィン21への空気は蓋部2に設けられた外気取り込み口37から供給され、排熱フィン21を挟んでその反対側に設けられた排熱口36から排出される。
次に電子冷却モジュール及びその特性について、簡単に説明したあと、本発明にかかる電子冷却ユニット9を構成する急冷用冷却ユニット56と保冷用冷却ユニット18を、蓋部2の断熱方法と併せて説明する。
一般的に電子冷却モジュール(ペルチェモジュール)は、図5にその断面を示すように、縦横が0.8〜1.5mm程度、高さが1〜2mm程度のN型、P型の直方体状の半導体素子38を数十〜300対程度、交互に直列に配列し、これらをその上下に設けた厚さが0.1〜0.3mm程度の薄肉の銅板からなる電極39に、鉛/スズ共晶ハンダ等のハンダ43で接合することで構成されている。
一般に冷蔵等、常温近辺の温度帯で用いられる電子冷却モジュールに用いられる半導体素子材料は、ビスマスやテルルを主成分とする半導体にセレンや、アンチモン等からなるドーパントを添加して、P型、N型それぞれの半導体物性を所定値になるように制御したものである。なお、通常、上下の電極39は、厚さが0.5mm程度のアルミナ基板等の絶縁性基板47上に前記電極を接着によって、或いは予め、絶縁性基板上に銅を無電解メッキでメッキした上を電気メッキでその厚さを所定に調整し、そのあとエッチングで電極パターンを形成する等の方法によって構成される。直列につながれた電極39の両端は、柔軟な銅の撚腺にプラスチックを絶縁してなるリード線25で接続され、電源部/制御ユニット16(図1参照)に接続され、直流電流を通電することにより電子冷却モジュール(ペルチェモジュール)20は駆動され、モジュール上下間で熱の移動が生ずる。
一般の電子冷却モジュールは基本的な構造として、図5に示すように半導体素子38の上下は、電極39を構成したアルミナ等の絶縁性セラミックの当該電極39と接続されて構成されている。このようなモジュールの場合には運転時には加熱側と冷却側のそれぞれの基板の温度差により生ずる熱膨張・収縮によって、常時、半導体素子38に応力がかかり、ハンダ43と電極39の界面が外れたり、半導体素子38が応力疲労破壊することが多かった。この膨張収縮による疲労破壊はモジュールの大きさが大きいと高く、このため、実用上モジュールの大きさ(基板の大きさ)の最大限界は縦、横それぞれ50mm程度である。
ところで近年、図6に断面を示すように電子冷却モジュールの大面積や大容量化の妨げとなる上下のセラミック基板(絶縁性基板47)を用いず、多数の貫通孔68を有する中間絶縁性基板42でP、Nの半導体素子38のほぼ中央部を把持し、各電極39間をまたぐように半導体素子38の両端を電極39のみとハンダ43を介して接合して構成する中間部絶縁固定型モジュールも用いられるようになっている。
このモジュールは、図6の部分拡大図である図7に示すように、その厚さが0.3〜0.8mm程度のガラスエポキシ強化樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレンテレフタレートや、ポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂の板からなる中間絶縁性基板42に、N型、P型の直方体や円柱状の半導体素子38の断面サイズとほぼ等しい寸法の貫通孔68をプレス打ち抜き等の方法によって設けたあと、所定の長さの半導体素子38を差込み、エポキシ樹脂等の熱硬化性接着剤からなる固定手段69を貫通孔68と半導体素子38間の隙間に入れて硬化接着する、或いはヒーター加熱によって、熱可塑性樹脂の板を部分的に溶融し、これらを溶融接合することによって一体化し、その後、半導体素子38と電極39をハンダ付け固定して構成されている。
尚、中間絶縁性基板42に半導体素子38を一体化するモジュールでは、電極が露出されており、このまま、アルミや銅からなる排熱フィンと冷却フィン間に挟むと短絡するため、電極表面にシリカ薄膜等の絶縁層85を設ける、或いはフィン側にアルマイト等の絶縁層(図示せず)を設けて素子間の短絡を防いでいる。
次にペルチェ効果を用いる電子冷却モジュール(ペルチェモジュール)20の特性及びその問題点について、以下に説明を行う。
一般に電子冷却モジュール20における吸熱量Qは、Q=NαTI−1/2(IR)−KΔTとして定量化できる。ここで、αはゼーベック係数(ペルチェ効果の効率を示す値で半導体素子やその密度等に固有な値)、Tは、電子冷却モジュールの冷却側面温度、I及びRはそれぞれモジュールに流す電流値と抵抗値、Kは熱伝導係数(P、N半導体素子の平均熱伝導率・素子全体の面積/素子長さ)、NはP、N一組の半導体の対数である。
図8は電子冷却モジュールの吸熱特性を説明するための図であり、吸熱量を、冷却側の基板温度と高温(排熱)側基板との温度差との関係でプロットした特性図である。このデータは半導体サイズ;2mm角×1.5mm高さ、127対の電子冷却モジュールのものである。尚、駆動電流は、2A,4A,6Aのものを用いている。
この図に示されるように、電子冷却モジュールの吸熱量は通電電流値が増加するにつれて、吸熱量及び上下電極間温度差は大きくなる。また、吸熱量は温度差が0の場合、すなわち、排熱側と冷却側の基板の温度が同じ場合に吸熱量は最大値をとり、排熱側と冷却側との温度差がつくほど、(冷却容器の場合の排熱外気側の温度と庫内温度にほぼ対応する)吸熱量は大きく減少しており、例えば、6A駆動時には温度差が0℃の場合には、吸熱量が65Wあったのに、温度差が50℃になると吸熱量は10W程度にまで落ち込んでいる。
この低下は、前式第2項のジュール熱による発熱と前式第3項の熱伝導によるものであるが、このうち、電流値の違いによる吸熱量の違いは実質的に半導体素子38の抵抗の値の違いで表され、温度差による吸熱量の違いは電子冷却モジュールの高温部から低温部に向かって熱伝導してペルチェ効果を打ち消そうとする熱流によるものである。ところで、これらのうち、特に熱伝導によるペルチェ効果の低減現象は、冷却効率からして実用的に極めて問題である。すなわち、せっかく温度差0においてペルチェ効果によって65Wの吸熱(冷却)能力があるにも関わらず、モジュールの中で熱伝導により打ち消され、50℃の差では10Wしか取れず、そのためにモジュールの駆動電流を高くしなければならないという悪循環に陥ってしまうからである。
本発明の一つの目的は、前記した容器1及び電子冷却ユニット9自体の断熱性向上による侵入熱削減とともに、現状の電子冷却モジュールを用いた従来の電子冷却ユニットの低吸熱効率を改善するように電子冷却ユニットの構造を改良し、低消費電力で効果的な冷却を可能とさせることにある。
図9は、本発明にかかる電子冷却ユニット9を構成する冷却ユニットのうち、急冷用冷却ユニット56の構成を示し、図10は急冷用冷却ユニット56の蓋部2への取り付け構成を示したものである。
急冷用冷却ユニット56は、図9に示すように、排熱フィン21、軸流ファン等からなる排熱ファン23等からなる排熱手段10と、庫内雰囲気から熱を奪うことで冷蔵・冷凍等を行う冷却手段12と、管状の複数本のヒートパイプ等からなり冷却手段12から排熱される熱を排熱手段10に方向性をもって熱伝達するための方向性熱伝達手段11から構成される。
なお、ここで方向性という表現は、冷却手段12側から排熱手段10側のみに、実質的に熱伝達が行われることを意味し、排熱手段10側から冷却手段12側へ熱の逆流が極めて少なく断熱されていることを意味している。
急冷用冷却ユニット56の構成要素である排熱手段10、冷却手段12、方向性熱伝達手段11については、図10も参考にして順次、説明を行う。
排熱手段10は、ポリプロピレン、アルミ等からなる排熱部カバーと一体化されたアルミ等の高熱伝導材料からなる排熱フィン21と、軸流ファン等からなる排熱ファン23から構成され、前記蓋部2に設けられた外気取込口37(図3参照)から吸引された空気を排熱フィン21に通すことで熱交換し、冷却手段12側から熱伝達された熱を排熱ファン23により排熱口36から外部に排熱する役割をもつ。排熱フィン21の底部にロー付け接合された排熱側ブロック22は方向性熱伝達手段11であるヒートパイプと、図示しない銅製の金属ブラケット等を介してハンダ付けされている。また、ヒートパイプの逆端も冷却側上部ブロック24と金属ブラケット等の一体化手段を介して、ハンダ接合されている。
図11は、冷却手段12の構成を示したものである。冷却手段12は、アルミ等の高熱伝導材料からなり厚さが1〜2mmの冷却側上部ブロック24と、電子冷却モジュール20と、アルミ製の冷却側下部ブロック41と、アルミ等の高熱伝導材料からなる冷却フィン27とから構成され、庫内の食品等から冷却フィン27に伝達された熱と、電子冷却モジュール20の駆動により冷却ファン27からモジュール20上部に熱輸送によって伝わる熱を冷却側上部ブロック24から、方向性熱伝達手段11、排熱側ブロック22を経由して排熱側フィン21の底部に伝達する。
尚、冷却手段12の上部からは冷却側上部ブロック24に貫通して設けられた貫通孔を通して電子冷却モジュール20駆動のためのリード線25(図5、図6参照)が取り出される。また、冷却側上部ブロック24と冷却側下部ブロック41の周縁部は、表面を樹脂で気密被覆した発泡性ウレタンと金属テープの複合体等の低熱伝導封止手段53により封止され、外部からの水分の浸透による電子冷却モジュール20の劣化を防止している。図11中、61は方向性熱伝達手段11と冷却側上部ブロック24を接合するための金属ブラケットを示している。
次に、冷却手段12と排熱手段10を接続する方向性熱伝達手段11及び排熱の伝達および庫外から庫内へ侵入する熱の断熱方法について説明を行う。
方向性熱伝達手段11は、銅や銅合金からなり、肉厚が0.3〜0.8mm、外径が6〜10mm、全長が150〜200mmで、内部に作動液として水を封入した管状のヒートパイプを複数本、図示の例では2本用いて構成される。 ここでヒートパイプの構造及び原理的動作を概略説明すると、ヒートパイプは薄肉管状の銅管やアルミ管で管内に水等の作動液を管内体積の20〜40%程度注入し、内部を0.2〜0.4MPa程度に減圧にして端部を封止した構造を持つもので、ヒートパイプの上端が相対的に下端より低温であれば、常温においてもヒートパイプ下端の作動液が蒸発・気化することにより周囲の熱を奪い、ヒートパイプの上端に到達し、凝縮することで放熱する。
したがって本例においては電子冷却モジュール20の駆動による発熱と庫内の侵入熱によって高温となる冷却側上部ブロック24から熱を奪い、排熱側ブロック22において放熱することで熱交換する。ヒートパイプにおいては冷却され凝縮した作動液は管壁に設けられた微細な溝や、金属メッシュ等を通して下部に還流するため効率的に熱伝達を行える。なお、本実施の形態では作動液として水を用いたが、これに限ることなく、アンモニア、代替フロン、イソプロピルアルコール等を用いても良い。作動液として、例えば、代替フロンの一つであるHCFC141b(化学式;CClFCH)を用いた場合には、その沸点が32.1℃、凝固点が−103.5℃と低いため、水を作動液として用いる場合と違って、周囲環境が0℃以下となっても凍りつかず、輸送、保管、荷降ろし等での作業動作温度範囲を広く取ることができる利点がある。
本実施の形態における方向性熱伝達手段11は、強い断熱性能、すなわち、排熱手段10から冷却手段12へと、両者10、11の温度差によって生ずる熱伝導によって伝わる熱量を極力小さくすることが求められるため、断面積が構造上大きくならざるを得ないヒートパイプパネルや、大型で肉厚となるヒートパイプは不適であり、輸送中等の耐久性を高め、かつ、排熱側ブロック22の均熱性を高め、排熱フィン効率を高めるためにもパイプ断面積が小さく、全長が150〜200mm程度とある程度長い管状のヒートパイプを複数本用いることが好適である。
熱伝達能力上、ヒートパイプの直径は4〜10mmがよく、好ましくは6〜8mmであり、全長としては120〜300mm、好ましくは150〜200mmであり、また、パイプの管壁の肉厚は0.4〜1mm、好ましくは0.6〜0.8mmである。ここで直径は4mm未満であると、振動・衝撃に弱く、また、熱輸送能力が低いため非効率であり、また10mmより大きいと機械的強さを確保するために管壁が厚くなり、排熱側ブロック22と冷却側ブロック24間の断熱性能が低下する。また、管の全長は短すぎるとブロックへの取り付けが困難になり、ヒートパイプとブロック間の熱伝達が悪くなる。また、長すぎると熱伝達能力が低下する。なお、方向性熱伝達手段11は必ずしも管状のヒートパイプである必要はなく、強度が高く伝熱面積が小さい、伝熱距離が長い等により、熱コンダクタンスを所定以上に低く出来るものであればパネル状、伸縮材等他の形状であっても良い。また、複数のヒートパイプをまとめてシート状或いはブロック状にしたものでもよい。
いま、好適な例として、直径8mm、肉厚0.6mm、全長200mm(冷却側上部ブロック24、排熱側ブロック22への取り付け長さをそれぞれ60mm(ブロック間のヒートパイプ露出長さが80mmとなる))のヒートパイプを用い、温度条件として冷却側下部ブロック41(電子冷却モジュール20の下面に接し、冷却されている部分)側を0℃、排熱側ブロック22側を30℃、傾斜条件としてヒートパイプを図9のようにほぼ垂直に折り曲げて冷却側上部ブロック24(電子冷却モジュール20の上部にありモジュールから排熱される熱を受けて高温になる部分)に対して排熱側ブロック22を水平面から45度斜め上方になるように配置して実験を行ったところ、方向性熱伝達手段11としての順方向(冷却側ブロック24から排熱側ブロック22への方向)の熱輸送能力は30〜50W/本、すなわち、図示の実施例記載の2本での熱輸送量は60〜90Wであった。
次に、断熱性能としては、冷凍輸送条件である周囲環境温度を30℃、庫内温度を0℃(温度差;30℃)として、排熱側ブロック22から冷却側上部ブロック24への伝熱量を測定した実験では、逆方向伝熱量は、0.5〜2W/本、すなわち、ヒートパイプ3本での熱輸送は1.5〜6Wであり、従来の電子冷却ユニット9を、電子冷却モジュール20の運転をしないときに、(すなわち、輸送中では荷降ろしや、一定温度での運転休止期間に対応する時間であり、消費電力を小さく出来るため長いほうが好ましい)上記温度差(30℃)で流入する侵入熱が80〜100W程度であるのに較べて大きく改善されている。なお、前記実験での電子冷却モジュール20は、素子38としてビスマステルル結晶を用い、熱伝導率が1.5W/mK、素子サイズ2mm×2mm×1.5mm、素子対数287対、上下面とも、熱伝導率が30W/mKのアルミナ基板を適用したもののデータである。
方向性熱伝達手段11部分の許容できる逆方向侵入熱量は、冷却・保冷容器1の本体部3、蓋部2からの侵入熱量と、使用時の温度条件と、輸送車両(常温車)や、冷却用の電源から取り出しうる電力量によっておおよそ定まる。本実施形態の電子冷却ユニットに用いる方向性熱伝達手段11においては30℃(外気温30℃で庫内が0℃の冷蔵条件)の温度差があっても侵入熱量は5W以下であることが必要であり、したがって、好ましい熱コンダクタンスは複数本のヒートパイプを用いても0.17W/℃(5W/30℃)以下である。熱コンダクタンスの値が0.17W/℃よりも大きいときには外気からの侵入熱量が大きくなり、消費電力が過大になることが多い。
例えば、外気・庫内温度差が−50℃で庫内の面積が1mである場合に、例えば、侵入熱量を10W以下にする場合、真空断熱パネル(熱伝導率:5mW/mK)では厚さ40mmであるが、硬質ポリウレタンフォーム(熱伝導率:18mW/mK)では100mm程度とすると侵入熱量を7〜9W程度に出来る。但し、プラスチック発泡体のみの使用で断熱特性を高めようとすると厚みが厚くなり、実用上使いにくいため、価格は高くなるが断熱性の高い真空断熱パネルとプラスチック発泡体、又は真空ではないがアルミラミネートを外表面に有するプラスチック発泡体との複合が好ましい。
次に保冷用冷却ユニット18について説明を行う。本ユニットは高温度差においても、消費電力を高めることなく、吸熱量を高く取ることが出来る点が特徴である。その基本的な改良にあたっての考え方は以下である。
前述したように現状の電子冷却モジュールは、熱ポンピングであるペルチェ効果によって大きな吸熱特性を得ることが出来るが、半導体素子38の高さが1〜2mmと低いために、排熱側と冷却側が近接しすぎて、排熱側から吸熱側への熱伝導により吸熱量が極端に下がってしまう本質的な問題がある。そしてこれを解決しようとして、半導体素子38の高さを高くすると、半導体素子38は電気抵抗が銅の500倍と大きいことから、電気抵抗が増え、電流通電によりジュール熱で吸熱効果を打ち消してしまう。また、半導体素子の断面積を増やすと熱伝導が大きくなり、吸熱効果を下げる問題があり、大温度差でも消費電力を低減できる効果的な対策がなかった。本発明者はこの問題に対して検討・試行を重ね、以下の新たな構造が実用的であることを見出した。
図12は保冷用冷却ユニット18に用いられる断熱型モジュール50の概略構成を示したものである。断熱型モジュール50は、断熱性絶縁層44の上下面に設けられた電極パッド49に、P及びN型の半導体素子38がハンダ接合され、各半導体素子38の上面あるいは下面に電極39が接合され、また、断熱性絶縁層44の上下面に対向する一対の電極パッド49間を高伝導導体48でつないだ構成をとる。
この構造はより概念的には、図13に示すように、従来の電子冷却モジュール(本図では説明の容易さのため、セラミック基板型の電子冷却モジュールを示している)を点線で示した面で切断(分断)し、その中間(分断部位)に板状の断熱性絶縁層44を挟んだ構成であり、更に断熱性絶縁層44にはそれぞれの半導体素子38の上下を接続するための銅等の電気伝導性と熱伝導性の良い複数の細径の導体が貫通されている。
すなわち、原理的には、半導体素子38の長さを長くして、熱伝導率を下げるのではなく、同じ極性(P又はN)の半導体素子38を2分割して、この中間に半導体素子38よりも熱伝導率が低い(0.15〜0.2W/mK)断熱性絶縁層44を挟むことにある。その具体的手段としては、断熱性絶縁層44の上下両面の表面上に電極パッド49を素子数とほぼ同数配置し、半導体素子38をこの上に接合し、かつ上下の電極パッド49間を半導体素子38の断面積よりかなり細い電気伝導性の導体で接続することで等価的に熱伝導率を下げることで排熱面/冷却面間の熱伝導量を大幅に下げ、結果として高温度差条件においても電子冷却モジュールの吸熱量の低下を防ぐものである。
図14は、図12における断熱性絶縁層44の部分拡大平面図である。図示のように断熱性絶縁層44には、例えば30−50μm厚さのハンダ被覆銅電極からなる複数の電極パッド49が、例えば半導体素子38の外寸とほぼ同じ大きさに、エッチング法等で形成されて断熱性絶縁層44の両面に配設されており、上下の電極パッド49間をつなぐ複数の銅線、例えば、直径100μmの銅線からなる高伝導導体48が4本、断熱性絶縁層44を貫通して形成され、高伝導導体48の端部は前記電極パッド49と接続されている。
この断熱性絶縁層44を構成する基板は、例えば、厚さが0.3mm〜2mm程度のガラス繊維強化エポキシ基板に高伝導導体48の本数に等しいスルーホールを形成した後、基板両面及びスルーホールの内壁面にメッキをかけることで容易に製造することが出来る。なお、この断熱型モジュール50の場合、P、N交互に直列に配列した半導体素子38群の端部でのリード線接続は図12、図14に示すように、板状の断熱性絶縁層44の端部位置の電極パッド49aで接続することが出来る。なお、ここで断熱性絶縁層44を構成する材料としては、半導体素子38の熱伝導率(およそ1.5W/mK)より低い絶縁性材料、例えば、ポリフェニレンサルファイドや、フェノール、或いはガラスエポキシ樹脂等の発泡或いは無発泡の固体状プラスチックや、発泡セラミック材が良い。
また、高伝導導体48としては、銅や銀、ニッケル、アルミ等の電気及び熱伝導性の良い金属材料が好ましい。なお、本実施の形態例では断熱性絶縁層を板状に構成したが、これに限られず、半導体素子38の断面形状とほぼ同一の平面形状の断熱材料、例えばニッケル等の焼結金属を上下の半導体素子間(分断部位)に挿入・接合しても良い。このように、焼結金属を挿入・接合する場合には、必ずしも上下の半導体素子38間の電気絶縁性は必要ではなく、例えばP型半導体素子/ハンダ/焼結金属/ハンダ/P型半導体素子と接続すれば良い。
図15は断熱型モジュール50の作用を説明するためのもので、図の上方を排熱側とし、図の下側を冷却面とした場合の熱伝導の様子を示した部分拡大断面図である。断熱型モジュール50の構成は以下の通りである。図示のように断熱性絶縁層44の上下面には電極パッド49を介して半導体素子38が接合されている。図中左端は上下ともP型素子でその高さは、例えば、0.5〜2mmである。また、図の中央部の半導体素子38はN型であり、図示のようにモジュールの配列は通常の電子冷却モジュールと同様にP、Nと直列に接続されている。
上部側の半導体素子38の上端は排熱側の電極39と接合され、下部側の半導体素子38の下端は同様に冷却側の電極39と接合されている。断熱型モジュール50の上側には、排熱フィン21等の高温側基体73が置かれ、高温側基体73と電極39の間には熱伝導性シリコングリースや、相変化シート等からなる密着熱伝導手段55が挟まれて電極39からの熱を高温側基体73側へ伝達する。断熱型モジュール50の下側も同様であり、密着熱伝導手段55を介して庫内からの熱を吸収するためのフィン等からなる冷却側基体54が配置されている。なお、図3に示した例では、保冷用冷却ユニット18のペルチェモジュール(電子冷却モジュール)は方向性熱伝達手段11を介して排熱フィン21に接続されている構成のものであるが、図15に示す保冷用冷却ユニットを構成するペルチェモジュール(断熱型モジュール50)は方向性熱伝達手段を介さずに直接的に排熱フィン21等の高温側基体73に接続されている。
ここで断熱型モジュール50の作用を以下に説明する。図5、図6の場合と同様にペルチェモジュール(断熱型モジュール50)から導出されているリード線端子25(図15には図示せず)から断熱型モジュール50に通電すると、電流は図中の矢印に示すように流れ、ペルチェ効果によってP型半導体からN型半導体の界面(下部)へと電流が流れるときに吸熱が生じ(冷却側)、N型半導体からP型半導体の界面(下部)へと電流が流れるときに冷却側吸熱量分が排熱される(図中上部側)。ところで断熱型モジュール50においては、P型及びN型の半導体の中央部が断熱されているが断熱性絶縁層44内に高伝導性の導体48があるので電流は導体48内を流れる。
この場合の電気抵抗は、半導体素子38の持つ固有の電気抵抗と素子断面積、総延長距離から求められる値に断熱性絶縁層44内に設けた複数の銅等の高伝導性導体48による抵抗増分によって規定される。ところで、銅の抵抗値は半導体素子、例えばBiTeの抵抗値(950μΩ・cm)より、かなり低い(1.5μΩ・cm程度)ため、電極パッド49間を接続する導体48の面積は、電流通電による導体48の発熱を該導体48と同等の長さに相当する半導体素子内の発熱と同等程度に抑えたとしても、その断面積は半導体素子48の断面積の1/20以下とすることが出来る。
一方、熱伝導に関しては、電気伝導とは基本的に伝導形態がことなる。すなわち、電気伝導では導電性の材料間の両端部の電位差によって電流が生じ、電流は伝導体の内部を流れるのに対して、熱伝導の場合には、温度差によって熱流が生じることにあり、高伝導性導体48内部のみを熱流が流れるのでは無く、高温部から低温部間の温度差を解消するように流れる。したがって、下側の電極39に接するP,Nの半導体素子界面からペルチェ効果により、ポンピングされた熱は、下側の半導体素子38から高伝導性導体48を含む断熱性絶縁層44中を通り、上側の半導体素子38、上部側の電極39、熱伝導性シリコングリース等の密着熱伝導手段55、高温側基体73へと伝導されるが、同時に導体とこれに接触する材料の界面から低温部に向かって熱流が流れる。
図15中の熱流の矢印は高温部から低温部への熱流の方向を示すものであり、aの矢印は上部(高温部)から流入した熱により周囲より高温となった高伝導性導体48から断熱性絶縁層44に水平方向へ拡散する熱流、bはペルチェ効果により冷却側から上側(高温側)の断熱性絶縁層44内へと流入する熱流、cの矢印は上下の温度差により高温から低温側へ図中上下方向に熱伝導によって伝わる熱流である。
図15のように電極パッド49、高伝導性導体48、断熱性絶縁層44を持つ構成をとる場合、熱流は上側の半導体素子から熱伝導により、下向きに熱伝導されて行き、熱伝導性の高い銅等からなる電極パッド49部分でほぼ半導体素子の大きさにまで拡散され、cの矢印に示すように断熱性絶縁層44内を通過する。そしてこの結果として、断熱性絶縁層44には、図中A(高温側)からB(中温側)、C(低温層)に向かって連続的温度分布が生じる。
図16は断熱型モジュール50の各部の温度分布を示したものである。図示のように、温度は排熱側の電極39部分から、冷却側の電極39部分に向けて最初は比較的緩やかな勾配を有しているが、断熱性絶縁層44部分では急峻になっており断熱効果が見られる。断熱効果は断熱性絶縁層44の厚さが厚いほど、また、断熱性絶縁層44を構成する材料の熱伝導率を小さくすれば大きくなる。しかし、厚すぎると断熱性は良いが、冷却側からの熱が排熱側へ移動するときの抵抗も高くなり、所定の熱量を除去するために必要な冷却時間も延びる。
図17は断熱型モジュール50の吸熱特性を示したもので、吸熱量(W、縦軸)と、高温側電極温度と低温側電極の温度の差(ΔT)でプロットしたものである。ここで実線は本断熱型モジュール50のデータであり、以下の構成のモジュールにおける測定値である。
半導体素子38(上部);1.8mm角x1.5mm高さ (排熱側に使用)
半導体素子38(下部);1.8mm角x0.5mm高さ (冷却側に使用)
対数;127対
断熱性絶縁層44:ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板、厚さ;0.5mm
(熱伝導率;0.35W/mK)
1電極パッド当たり高熱伝導体50の総断面積;0.2mm
また、図中の点線は比較サンプルとしての127対、1.8mm角、1.5mm高さの従来例のモジュールのデータである。図示のように断熱型モジュール50では、ΔT=0の最大吸熱量は多少低いが、温度差が大きくなっても吸熱量の低下は少なく、例えば、電流値4Aでの駆動をしたときに、ΔTが50℃(外気温が30℃、庫内温度が−20℃に対応)の場合には、最大吸熱量47Wの約65%にも達する30Wの吸熱が観察された。また、このときの断熱型モジュール50の駆動電力は22Wであった。この場合、吸熱量と電子冷却モジュール駆動時の消費電力の和で表せる理論的最大排熱量は52Wとなる。
これを従来型モジュールの50℃の温度差での吸熱量と比較すると、従来型モジュールでは6A通電において14W程度であり、したがって、モジュールを2台直列に接続して駆動せざるを得ないこと、そのために消費電力が100W(理論的最大排熱量は123W以上)にも達していたのに対して、消費電力低減及び排熱削減効果は大きい。但し、本モジュールにおいては、中間部に断熱層44が設けられているため、例えば、夏場において車内の高温空気から低温の庫内への熱の移動は前記のように抑えられるが、低温側から高温側への熱の移動も抑えられ特性をもつため、可搬型冷凍庫、血液運搬箱等、高温度差であるが積極的な温度の上下調整が不要であり、小吸熱量・低消費電力/低排熱量が必要な保冷用途の冷却・保冷容器1として特に適する。冷凍食品輸送用等、始動時に急冷が必要で、かつ、高温度差、低消費電力が求められる場合には、始動時には室内のAC電源から給電して予冷し、ほぼ一定温度に到達してから断熱型モジュール50を用いた保冷用冷却ユニット18を用いることが望ましい。
なお、半導体素子38の形状、サイズ及び断熱性絶縁層44の材料、厚さ、導体48の形状、長さ、本数は本断熱型モジュール50の性能を決定する要因であり、これらを適切に選択することにより、多様な冷却特性をもつモジュールを構成することが可能である。例えば、可搬型冷蔵庫等冷蔵用途に用いる場合には、排熱側からの熱伝導を抑えつつ、庫内に容器本体1(蓋部2及び本体部3)から流入してくる熱をペルチェ効果を用いて排熱側にポンピングする場合には、排熱側(図12においては断熱性絶縁層44の上部側)の半導体素子のサイズを例えば、1.5mm(巾)×1.5mm(奥行き)×2mm(高さ)として、冷却側においては、2mm(巾)×2mm(奥行き)×1mm(高さ)とすることにより、断熱性絶縁層44の上部側の温度を下げ、逆に冷却側では、半導体素子38の高さ寸法を薄く、或いは断面の巾径を太くすることにより素子48内の熱伝導を上げることで温度むらを少なくして冷却側の熱を断熱性絶縁層44の上部側へとポンプアップしやすくしてもよい。
図18は、断熱型モジュール50を用いた保冷用冷却ユニット18の構造を、また、図19は保冷用冷却ユニット18の冷却・保冷容器1への取り付け方法の一例を示している。図18は、保冷用冷却ユニット18の部分破断図であり、その構造は断熱性絶縁層44上に半導体素子38とほぼ同数設けられた電極パッドに半導体素子38が接合されている。また、半導体素子38の上下には電極39が接合されている。
また、このモジュール50の上下には、半導体素子等が通電中に外気の水分と接触して生ずる劣化を防ぐための気密封止が、上部外囲手段57と下部外囲手段58によってされている。
この上部外囲手段57と下部外囲手段58は、具体的には、アルミや銅等の金属の薄い板で形成された箱状体であり、図示のように上部外囲手段57および下部外囲手段58の端部は図示しない接着剤等で断熱性絶縁層44と気密に接続されて封着部86を構成している。断熱型モジュール50の上部の排熱側には排熱フィン21と排熱ファン23が、熱伝導性シリコングリース等の密着熱伝導手段55(図15参照)を介して接続され、一方、冷却側には同様にして冷却フィン27が設けられている。図19は、保冷用冷却ユニット18及び急冷用冷却ユニット56を蓋部2に取り付けた状態を示している。
急冷用冷却ユニット56及び保冷用冷却ユニット18は蓋部2を構成するプラスチック材等からなる蓋部上部外殻8と、ステンレス板等からなる蓋部下部外殻29の間に配置され、図示しない固定手段により固定する。なお、固定されたあと、蓋部上部外殻8と、蓋部上部外殻29の間には、真空断熱材や、硬質ポリウレタンフォーム等のシート等からなる蓋部断熱手段7が配置されて冷却・保冷容器1の周囲環境からの熱の流入を最小限とする。尚、断熱材としてはシートに限らずブロック状のもの、液状での注型等でも良い。
蓋部上部外殻8には、排熱ファン23(図18参照)が設けられ、外気を吸引し、排熱させるための吸引部37及び排熱口36(図4参照)が設けられている。
次に本冷却・保冷容器の駆動方法について示す。図20は第1及び第2の実施形態にかかる冷却・保冷容器1の温度制御方法を示したものであり、また、図21は制御ユニット16の概略構成を説明するものである。以上において、電子冷却モジュールを用いた冷却・保冷容器1の低消費電力化を中心としたハード面での好適な構成を示したが、ここにおいてはこれら急冷用冷却ユニット56と保冷用冷却ユニット18を用いた好適な駆動方法について説明を行う。
図20の横軸は時間の経過を示しており、縦軸の上部(a)は、庫内温度の変化を、一方、縦軸の下部は電流のレベル(相対値)を示しており、このうち(b)は、急冷用冷却ユニット56への通電電流値、一方、(c)は保冷用冷却ユニット18への通電電流値を示している。まず、冷却・保冷容器1へ食品等を収納する前に冷却・保冷容器1は所定温度まで冷却する。本例では室温から−20℃±2℃へと冷却する場合を示している(図中の予冷期間)。この起動は、通常、比較的、消費電力が高くても良くて、比較的大きな排熱の除去が得られる環境、例えば商用のAC電源があり、排気設備がある、例えば流通倉庫等の建物の中で行う。
急冷用冷却ユニット56へ電流の供給は、比較的大きな値、例えば5〜8A程度を通電する(予冷期間)。制御データを用いての温度制御の一例として、庫内温度がある程度所定温度に近づくと、急冷用冷却ユニット56への電流の供給をPID制御等の方法により徐々に下げると同時に保冷用冷却ユニット18へ通電するようにしても良いが、図19に示す制御データによる制御の例では、室温から設定温度(−20℃)に対して予め与えられる上限値(−18℃)に到達し、さらに設定温度(−20℃)に対して予め与えられる下限値(−22℃)に到達するまで、急冷用冷却ユニット56を運転し、予冷期間の最後の数分間を保冷用冷却ユニット18に通電し、庫内温度が下限値に達したときに保冷用冷却ユニット18への通電も停止している。
その後、庫内の温度が上昇に転じ、庫内温度が上限温度に達したときに保冷用冷却ユニット18への通電を再開し、庫内温度を予め設定される許容温度範囲(温度ゾーン)内に維持するように保冷用冷却ユニット18の通電と通電停止を間歇的に制御する。なお、庫内温度が上限値を上側に越えて上昇したときには保冷用冷却ユニット18への通電に加えて、急冷用冷却ユニット56への通電を行う。
図20には温度制御の方法の一例を示したが、必ずしも、本例に限らず、例えば、保冷用冷却ユニット18の予冷通電を起動時から、小電流値で行っても良いし、また温度制御幅を上限いっぱいになったときに通電するのではなく、例えば上下限の中心値(例えば設定温度)になったら通電する等、任意に変えても良い。
以下に制御の流れを、図21を用いて簡単に説明する。なお、説明は図20に示した温度パターンを例として行うが、必ずしもこれに限定されるものではない。制御部16を起動すると、庫内17に設けた庫内温度センサー77(図10参照)、蓋部2上の制御ユニット16に設けた外気温センサー78、急冷用冷却ユニット温度センサー70(図19参照)、保冷用冷却ユニット温度センサー71(図19参照)からの出力信号が一定の周期でマイクロコンピューター(CPU)からなる制御ユニット16に入力される。
制御ユニット16においては、庫内温度と外気温のデータ及び設定温度からその時点で冷却に用いるユニットを選択し、また所定データに基づいて通電電流を決定し駆動を行う。例えば、庫内温度が−18℃より高い場合には、急冷用冷却ユニット56を運転し、−18℃に到達した時点又は−22℃に到達した時点でその運転を停止する。また、庫内温度が低下して来て初回に庫内温度が−18℃に到達したときには保冷用冷却ユニット18の運転を開始し、庫内温度が−22℃に達するまで運転を継続する。その後、庫内温度が−18℃まで上昇したときに保冷用冷却ユニット18の運転を再開する。
尚、急冷用冷却ユニット56及び保冷用冷却ユニット18への通電量は、例えば、庫内温度と外気温、及びそれらの各温度と設定温度をそれぞれ比較してその差を演算するとともに電子冷却ユニットのそれぞれの特性、例えば電流〜吸熱量、電流〜温度差等の既知のデータに基づいて最適な電流値や、排熱ファン23、庫内ファン34への通電量が選択される。尚、図10に示す傾きセンサー80は、車両輸送時や保管時に冷却・保冷容器1が転倒し、内容物に損傷が生じて、水分等が電子冷却ユニット9に接触する可能性が生ずる、或いは方向性熱伝達手段11による冷却手段12から排熱手段10への熱伝達に異常が生じていないかを傾斜検出情報によって検出するためのセンサーであり、異常時には制御ユニット16に急冷用冷却ユニット56と保冷用冷却ユニット18からなる二つのユニットの運転を停止させる信号を送り、運転を中断するためのものである。
図21中の81は制御ユニット16に設置したモニターであり表示・操作に用いる。このように庫内温度に応じて、特に消費電力が高くならざるを得ない予冷時には、従来の電子冷却モジュール(ペルチェモジュール)を用いながらも、方向性熱伝達手段11と組み合わせて使うことにより、外気からの熱伝導を抑えることが出来るため、侵入熱量が減少し、そのため電子冷却モジュールの駆動電力、時間を短く出来るため、電子冷却モジュール駆動に係る消費電力及び排熱量を大きく抑えることが出来る。
また、保冷時には、冷却・保冷容器自体の断熱性が高いため、侵入熱が10W程度と低く、したがって、収容率50%、比熱が1としても、30L(リットル)の収容物温度が1℃上がるまでには数分間かかるため、冷却を間歇的に行うことで実効的に冷蔵効果を得ることが出来るため消費電力を従来の2分の1以下に出来る効果を持つ。
図22〜図26は本発明の第2の実施の形態を示したものであり、本発明にかかる冷却・保冷容器を−5〜10℃程度の冷蔵温度帯で食品、例えばケーキ等の菓子類や、漬物類、あるいはトマト等の新鮮な野菜を輸送・保管するための幅広で片開きで、浅底の輸送用の保冷箱に適用したものであり、例えば、その縦横の大きさは、1mx60cmであり、また、高さは30〜40cm程度である。また、本体部3は、図23に示すように、ポリプロピレン等の本体外殻4内に、ポリウレタンフォームや、20mm程度の厚さの真空断熱パネル等の本体断熱手段6が収納されている。図22は冷却・保冷容器1の全体構成を示した斜視図、図23は図22において記号Aで示す本体部3の部分断面図を示したものである。なお、本体部3の底面4隅には、収納物を輸送中の振動・衝撃から守るための耐振動・衝撃性の脚部13が設けられている。
本体部3の上面周縁部には、断熱ガスケット85が配設されている。また、本体部3及び蓋部2の側面には、図示しない面ファスナー等からなる蓋部係止手段が設けられている。図22に示すように、蓋部2には、保冷用冷却ユニット18と二次電池35と制御部16が設けられている、ここで保冷用冷却ユニット18は、図24の詳細図に示すように、実施の形態1で示した同一の構造である断熱型モジュール(ペルチェモジュール)50の下側に冷却フィン27を、また、上部側には断熱型モジュール50と接続され、断熱型モジュール50からの排熱を保冷ユニット排熱フィン40に方向性熱伝達手段11を用いて伝達するために、厚さが1〜2mm程度の銅板からなる熱接続手段51が設けられている。尚、熱接続手段51と方向性熱伝達手段11、保冷ユニット排熱フィン40と方向性熱伝達手段11間はハンダ付け等により固定されている。
一方、急冷用冷却ユニット56は本体部3に設けられている。図23は図22のA部の拡大断面図である。電子冷却モジュール(ペルチェモジュール)20は、その冷却側面をアルミ板等からなる庫内均熱手段5に接続し、また排熱側面を銅ブロックからなる熱接続手段51を介し、さらに、ヒートパイプからなる方向性熱伝達手段11を介して急冷ユニット排熱フィン30に熱的に接続している。図中14は開閉のためのヒンジである。
第2の実施の形態においては比較的重量の大きな冷却ユニット56を本体部3に収納するように構成している。冷却・保冷容器1をこのように構成することにより、蓋部2の重量が減少し、冷却・保冷容器1の安定性が良くなるとともに、方向性熱伝達手段11を垂直に近い状態に出来るため、熱接続手段51から急冷ユニット排熱フィン30への排熱の熱伝達効率が高まる効果が生じる。なお、図23においては急冷ユニット排熱ファン23(図18参照)の図示は省略している。
次に本冷却・保冷容器1における結露除去構成及びその作用について説明する。第2の実施の形態にかかる冷却・保冷容器1は冷蔵帯の温度で使われるため、蓋部2を開けての食品等の出し入れの際には湿気を含む外気が庫内に侵入し、内部において結露し、またこれが蓋部冷却板28等から垂れ落ちてドレイン水となり、収納物表面に滴下すること等により、その品質を低下させることが懸念される。図22、図25、図26は本発明の冷却・保冷容器1におけるドレイン水除去のための構成及び原理を示したものである。
ドレイン水除去のためには、ドレイン水を集め、移送し、蒸発させることが必要である。図22に示す蓋部冷却板32は、厚さ2mm程度のステンレス製のものであり、冷却フィンの下に凹み部82が設けてある。この凹み部82は蓋部冷却板32にプレスや絞り加工によって周縁部からフィン下部に向けて低くなるような形状にされており、蓋部冷却板32に付着する結露水を集めることが出来る。
すなわち、外気や内部収納物から発生する湿気は凝縮し、凹み部28へと流れ、ここに溜まる。図26は図22の当該部分を図22と直交する方向から見た図であり、凹み部には溜まるドレイン水45を示している。溜まったドレイン水45はその後、本冷却・保冷容器1の蓋部2に設けられ、高温の排熱風が吹き出す排熱ファン23の前方に移送され、ここで蒸発気化させる。図25は図26に示すドレイン水45を蓋部2に設置される排熱ファン23の前に移送するためのドレイン水伝達・除去手段62であり、ステンレスの薄板等からなる枠部64内に、吸水率が高く毛細管現象で水を上昇させる、例えば、厚さが0.2mm程度のポリエステル不織布や、発泡性ウレタンシート等からなる吸水手段63を、内蔵している。
吸水手段63の端部は、その下端は凹み部28内に溜まったドレイン水45の中に漬かる浸漬部66に置かれ、一方、給水手段63の上端には枠部の開口として蒸発部65が設けられる。また、ドレイン水伝達・除去手段62には、蓋部冷却板32側の空間と気密に封止するため、ニトリルゴム等からなるカラー状の低熱伝導封止手段53が設けてあり、これを蓋部冷却板29に設けた貫通孔に差込み固定することで封止が可能となる。なお、枠部64には吸水手段63を交換しやすいように開閉機構をつけても良い。
図27は本発明にかかる断熱型モジュール50の断熱性絶縁層44に設けられる細径の導体48の形状の変形例を示したもので、このうちaは、円錐形であり、bは下部が太く、上部が細径の導体、cは内部が中空の円筒径である。このうち、a及びbの形状にすると、電気伝導性は変化しないが、例えば上面が高温面、下面が低温面であれば、熱流は上部より、下部の方が横方向に拡散しやすいため、高温面から低温側への熱流を小さくし、冷却側から高温側(排熱)への熱流を高く出来るメリットが生ずる。cのような円筒形状は、導体質量が同じであれば、断熱性絶縁層44の材料と接する表面積が増加して熱の拡散が大きくなるため、モジュールの断熱効果を高める効果が得られる。
図28及び図29は断熱型モジュール50の変形例であり、このうち、図28のものは、P、Nの半導体素子38の上下面の電極39の接合をアルミナや、窒化アルミ等のセラミック等の絶縁性基板47に電極39を一体化した構成であり、モジュールとしての剛性が高まるので扱いが楽になるメリットがある。図29は図28のモジュール中の半導体素子38の間に絶縁性熱拡散手段60、例えばエポキシ樹脂や、アクリル樹脂を封入したものであり、熱の拡散を面内に広げることによって、断熱性絶縁層44の上下の熱移動を抑えるとともに断熱性絶縁層44の面内の温度分布を均一にすることが出来る。
本発明によると、冷蔵庫としての使用時や輸送中等において庫外から庫内に侵入する熱を容易に除去するとともに、低消費電力での駆動が可能となり、また、周囲温度上昇の原因となる排熱量も減少させることができる。
本発明の第1の実施の形態を示す冷却・保冷容器の断面図である。 本発明の第1の実施の形態における冷却・保冷容器の本体部3の断面図である。 本発明の第1の実施の形態における蓋部2の平面図である。 本発明の第1の実施の形態における蓋部2の斜視図である。 セラミック基板を用いた電子冷却モジュールの断面構成図である。 中間絶縁板を用いた電子冷却モジュールの断面図である。 中間絶縁板を用いた電子冷却モジュールの部分拡大断面図である。 一般的な電子冷却モジュールの吸熱特性図である。 本発明の第1の実施の形態における急冷型電子冷却モジュールの構成図である。 本発明の第1の実施の形態における蓋部2の断面図である。 本発明の第1の実施の形態における冷却部の構成図である。 本発明の第1の実施の形態における断熱型モジュールの構成図である。 本発明の第1の実施の形態における断熱型モジュールの構成説明図である。 本発明の第1の実施の形態における断熱型モジュールの断熱性絶縁層の平面図である。 本発明の第1の実施の形態における断熱型モジュールの原理説明図である。 本発明の第1の実施の形態における断熱型モジュールの温度分布図である。 本発明の第1の実施の形態における断熱型モジュールの吸熱特性図である。 本発明の第1の実施の形態における保冷用電子冷却ユニットの構成図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる蓋部の斜視断面図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる冷却・保冷容器の冷却駆動方法の説明図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる制御ユニットのブロック図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる冷却・保冷容器の全体構成を示した斜視図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる冷却・保冷容器の本体部3の部分断面図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる保冷用冷却ユニットの構成図である。 本発明の第2の実施の形態にかかるドレイン水伝達・除去手段の斜視図である。 本発明の第2の実施の形態にかかるドレイン水伝達・除去手段の動作説明図である。 本発明にかかる断熱型モジュールの断熱性絶縁層に設けられる導体形状の変形例を示す図である。 本発明にかかる断熱型モジュールの別の実施形態例を示す図である。 本発明にかかる断熱型モジュールのさらに他の実施形態例を示す図である。
符号の説明
1 冷却・保冷容器
2 蓋部
3 本体部
9 電子冷却ユニット
10 排熱手段
11 方向性熱伝達手段
16 制御ユニット
17 庫内
18 保冷用電子冷却ユニット
20 電子冷却モジュール(ペルチェモジュール)
38 半導体素子
39 断熱型電子冷却モジュール(ペルチェモジュール)
44 断熱性絶縁層
47 絶縁性基板
48 高伝導導体(導体)
50 断熱型モジュール(ペルチェモジュール)
56 急冷用冷却ユニット

Claims (8)

  1. 容器の内部を被冷却物を収容する庫内と成し、容器の壁には外気と庫内間の断熱を行う断熱材が設けられ、前記容器には庫内を冷却する電子冷却ユニットが設けられており、前記電子冷却ユニットは、ペルチェ効果を利用して吸熱側で庫内の熱を吸熱しその吸熱した熱を吸熱側から排熱側へ熱輸送する構成のペルチェモジュールと、該ペルチェモジュールの排熱側の熱を外部へ放熱する排熱手段とを有して構成され、前記電子冷却ユニットは、急冷用冷却ユニットと該急冷用冷却ユニットよりも消費電力の小さい保冷用冷却ユニットとの消費電力の異なる2種類の電子冷却ユニットを備えて構成され、この2種類のそれぞれの電子冷却ユニットのペルチェモジュールの冷却駆動のタイミングを予め与えられた制御データに基いて制御する制御ユニットが設けられていることを特徴とする冷却・保冷容器。
  2. 断熱材は外気から庫内への最大侵入熱量が20W以下となる断熱能力を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の冷却・保冷容器。
  3. 急冷用冷却ユニットと保冷用冷却ユニットとのうちの少なくとも急冷用冷却ユニット側のペルチェモジュールの排熱側と排熱手段熱とはペルチェモジュールから排熱手段へ向けての熱輸送能力が60W以上で、かつ、排熱手段からペルチェモジュールへの逆向きの熱移動の熱コンダクタンスが0.17W/℃以下の方向性熱伝達手段により接続されていることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の冷却・保冷容器。
  4. 保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールは吸熱側と排熱側間に直列接続されるP型の半導体素子とN型の半導体素子が複数立設配置されていて、各半導体素子は吸熱側と排熱側間の途中位置で分断され、その分断された各半導体素子はその分断部位に介設された断熱絶縁層によって上側と下側に区分されており、上側と下側の同種の分断された半導体素子は断熱絶縁層の介設位置で半導体素子よりも電気伝導性が良く半導体素子よりも断面積が小さい導体によって接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の冷却・保冷容器。
  5. 保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールは吸熱側と排熱側間に直列接続されるP型の半導体素子とN型の半導体素子が複数立設配置されていて、各半導体素子は吸熱側と排熱側間の途中位置で分断され、その各半導体素子の分断位置には各半導体素子よりも電気伝導性が良く、かつ、各半導体素子よりも熱伝導性の低い部材が介設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の電子冷却ユニット。
  6. 冷却・保冷の設定温度に対して上下に一定の温度幅を持った温度ゾーンが設定されるとともに、その温度ゾーン内に前記設定温度よりは高い上限温度と前記設定温度よりも低い下限温度とが設定され、制御ユニットは庫内温度が前記温度ゾーンよりも高いときには急冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を行い、庫内温度が上限温度まで低下したときに急冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を停止するか又は駆動電力を低減するとともに保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を行い、庫内温度が前記下限温度まで低下したときに前記保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を停止するとともに前記急冷用冷却ユニットのペルチェモジュールが駆動電力を低減しての駆動状態のときはその駆動を停止し、庫内温度が前記上限温度まで上昇したときに保冷用冷却ユニットのペルチェモジュールの駆動を再開する制御構成を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の冷却・保冷容器。
  7. 被冷却物を庫内に収容して該被冷却物を冷却・保冷する冷却・保冷容器に前記庫内の冷却駆動用として用いられるペルチェモジュールであって、吸熱側と排熱側間に直列接続されるP型の半導体素子とN型の半導体素子が複数立設配置されており、各半導体素子は吸熱側と排熱側間の途中位置で分断され、その分断された各半導体素子はその分断部位に介設された断熱絶縁層によって上側と下側に区分されており、上側と下側の同種の分断された半導体素子は断熱絶縁層の介設位置で半導体素子よりも電気伝導性が良く半導体素子よりも断面積が小さい導体によって接続されていることを特徴とするペルチェモジュール。
  8. 被冷却物を庫内に収容して該被冷却物を冷却・保冷する冷却・保冷容器に前記庫内の冷却駆動用として用いられるペルチェモジュールであって、吸熱側と排熱側間に直列接続されるP型の半導体素子とN型の半導体素子が複数立設配置されており、各半導体素子は吸熱側と排熱側間の途中位置で分断され、その各半導体素子の分断位置には各半導体素子よりも電気伝導性が良く、かつ、各半導体素子よりも熱伝導性の低い部材が介設されていることを特徴とするペルチェモジュール。
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