JP2007137166A - 熱可逆架橋性ウェザーストリップ - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車用ウェザーストリップを、熱可逆架橋性EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)で製造し、使用後は、脱硫工程を必要とせずに、熱的処理によって三次元網目構造を崩壊させ、ゴム分子の解重合によって、再び可塑化を与え、容易にリサイクルできるウェザーストリップを提供する。
【解決手段】EPDMに無水マレイン酸とアクリル酸2−エチルヘキシルをグラフト重合させたグラフトEPDM、水素添加ポリブタジエンポリオール、リグニン処理軽質炭酸カルシウム、およびその他添加剤含む組成物を、押出成形法により成形した熱可逆架橋性ウェザーストリップ。
【選択図】なし
【解決手段】EPDMに無水マレイン酸とアクリル酸2−エチルヘキシルをグラフト重合させたグラフトEPDM、水素添加ポリブタジエンポリオール、リグニン処理軽質炭酸カルシウム、およびその他添加剤含む組成物を、押出成形法により成形した熱可逆架橋性ウェザーストリップ。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可逆架橋性エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムで製造したウェザーストリップに関する。より詳細に述べると、本発明は、熱可逆的な架橋構造を有するエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムでウェザーストリップを製造し、使用後は、従来のような再生ゴムに不可欠な脱硫工程を必要とせずに、熱的処理によって三次元網目構造を崩壊させ、ゴム分子の解重合によって、再び可塑化を与え、容易にリサイクルできるウェザーストリップに関する。
自動車の開口部の板金フランジには、防水、防音、防塵等の目的でウェザーストリップが嵌合・装着されている。ウェザーストリップ(以下、「W/S」と略記する)の機能は、シール性を有し、車体微振動、ガラスの揺動を防止するとともに、車体部位の緩衝を目的としている。さらに、自動車の寸法のばらつきや建て付けのばらつきを吸収し、組み立て作業が容易であることが要求される。
従って、W/Sには、耐候性、水密性、ガラス保持力、追従性、スナッピー、荷重−たわみ特性、へたり、耐摩耗性、耐寒性、きしみ音防止特性等加硫ゴムが保持するほとんどすべての物性が要求される。
近年、資源の再利用が求められており、W/Sを含むゴム加硫製品も例外ではない。使用済みゴム・エラストマー製品は、そのほとんどが加硫製品ということもあり、熱可塑性プラスチックと異なり、加熱するだけでは可塑化せず、約200〜250℃で分解が始まり、ガス化、液状化或いは炭化を起こし、各種充填剤はそのまま残滓となる。従って、再生ゴム化では可塑化させるため再生剤を添加して、脱硫する工程が必要になる。
脱硫とは加硫ゴムから硫黄を除去して、未加硫状態にすることではなく、加硫ゴムに熱、酸素、再生剤を作用させ、三次元網目構造を崩壊させ、ゴム分子の解重合によって可塑性を付与することである。
従来から、脱硫法として、トリフェニルホスフィンとn−ブチル酸ホスフェイト、チオール・アミン試薬、ジチオスレイトール、リチウムアルミニウムハイドライト、フェニルリチウム、ヨウ化メチルとモノスルフィド等試薬を使用する化学試薬法、相間移動触媒、グラフト反応、o−ジクロロベンゼン、ジ−o−べンズアミドフェニルジスルフィド、ジメチルスルホキシド、アルキルフェノール・アミン樹脂、ジアリルスルフィド等を利用する化学試薬法、マイクロ波脱硫法、放射線脱硫法、超音波脱硫法等波動脱硫法、その他微生物による脱硫法等が採用されている。
従来の脱硫法で再生された再生ゴムは、(イ)低価格で安定している。(ロ)動力消費が低下し、混入時間が短縮できる。(ハ)未加硫生地の膨張・収縮が少なくなる。(ニ)加工性が良くなる。(ホ)加工中における発熱が少ない。(ヘ)プレス加硫でのゴムの流動性がよい。(ト)加硫曲線が平坦になる。(チ)加硫戻りが少ない。(リ)スコーチの傾向が少ない。(ヌ)耐老化性がよくなる。(ル)硫黄のブルーミングが少ない。(オ)カーボンブラックと酸化亜鉛を節約できる。(ワ)耐油性が良い。等の長所がある。
他方、従来の脱硫法で再生された再生ゴムは、三次元網目構造を崩壊させ、ゴム分子の解重合によって可塑性を付与したものであるが、同時に飽和結合部も切断されるため、(1)引張り強度の低下、(2)弾性の低下、(3)伸びの低下、(4)引裂き強度の低下、(5)圧縮永久歪みの悪化、(6)屈曲亀裂の増大、(7)特有な臭気の発生等の欠点がある。
また、再生ゴムが、バージンゴム(未使用ゴム)と比肩される原料として使用されるためには、安定した品質のものが、安定して供給されることが重要である。しかしながら、再生ゴムの場合、再生ゴムメーカとユーザーとの間で独自に締結された品質規格に従って、管理されているので、どの再生ゴムメーカから購入しても、皆同じレベルの品質のものが、安定供給されるかという点で、必ずしも保証されない。
従って、従来の脱硫法で再生された再生ゴムは、W/Sに要求される基本的物性を満足させることができない。
脱硫法で再生された再生ゴムは、主として、タイヤ、チューブ、コンベヤベルト、自動車用マット、ゴムホース、ゴム板、ルーフィング材、接着剤、粘着剤、バラストマット、スラブマット、弾性舗装材等に使用する粉末ゴム等である。
従って、ゴムに脱硫法によらない可逆的な架橋構造を導入することができれば、加硫ゴムも未加硫ゴムと同じ条件で加工することができるので、製造コストも低減できる。さらに、このような可逆的架橋が熱的に起これば、一層好ましい。たとえば、通常の使用温度、すなわち、−20〜100℃の領域では、高分子鎖間の強い相互作用により形状を維持しているが、150〜200℃に温度を上げると架橋点が完全に解離して、成形加工が行えれば理想的である。
従来から、熱可逆性架橋性樹脂としては、代表的なものとして下記のものが知られている。
1.金属イオン架橋
エチレン共重合体から作られたアイオノマーは、固体状態では架橋ポリマーのような特性を示すが、高温では非架橋性の熱可塑性ポリマーのように溶融成形を行うことができる。このようなアイオノマーは、さまざまなモノマーから合成されているが、工業的には、エチレン系のものが主体である。
1.金属イオン架橋
エチレン共重合体から作られたアイオノマーは、固体状態では架橋ポリマーのような特性を示すが、高温では非架橋性の熱可塑性ポリマーのように溶融成形を行うことができる。このようなアイオノマーは、さまざまなモノマーから合成されているが、工業的には、エチレン系のものが主体である。
2.エチレン共重合体のアイオノマー
メタクリル酸、アクリル酸などのモノカルボン酸1〜5mol%とエチレンとのラジカル共重合により、低密度ポリエチレンのような半結晶性のポリマーが得られる。このポリマーのカルボン酸の一部をI族あるいはII族の金属で中和すると、溶融加工性を維持したままポリマーの固体状態を大きく変化させることができる。このような中和反応は溶融或いは溶液状態で反応させたり、試薬の拡散を促進させることにより効果的に進行する。米国での市販品には、金属としてナトリウムあるいは亜鉛を使用している。
メタクリル酸、アクリル酸などのモノカルボン酸1〜5mol%とエチレンとのラジカル共重合により、低密度ポリエチレンのような半結晶性のポリマーが得られる。このポリマーのカルボン酸の一部をI族あるいはII族の金属で中和すると、溶融加工性を維持したままポリマーの固体状態を大きく変化させることができる。このような中和反応は溶融或いは溶液状態で反応させたり、試薬の拡散を促進させることにより効果的に進行する。米国での市販品には、金属としてナトリウムあるいは亜鉛を使用している。
3.弾性アイオノマー
ブタジエンとメタクリル酸のアモルファスゴム共重合体が市販されている。これを金属酸化物と混合して粉砕することによりカルボキシル基を中和する研究が行われており、二倍量の酸化亜鉛を使用すると非常に高弾性率のものが製造される。
ブタジエンとメタクリル酸のアモルファスゴム共重合体が市販されている。これを金属酸化物と混合して粉砕することによりカルボキシル基を中和する研究が行われており、二倍量の酸化亜鉛を使用すると非常に高弾性率のものが製造される。
4.スチレン型アイオノマー
以前から、エチレン重合体から合成したアイオノマーの研究が行われているが、現在のところ市販はされていない。エチレン−カルボン酸共重合体をアイオノマーにすると、室温での弾性率は高くなるが、脆性や熱可塑性などの物性はあまり大きく改善されない。カルボン酸を部分的に中和すると、ガラス転移温度が上昇するという報告もある。
以前から、エチレン重合体から合成したアイオノマーの研究が行われているが、現在のところ市販はされていない。エチレン−カルボン酸共重合体をアイオノマーにすると、室温での弾性率は高くなるが、脆性や熱可塑性などの物性はあまり大きく改善されない。カルボン酸を部分的に中和すると、ガラス転移温度が上昇するという報告もある。
5.イオン性架橋による中和化
イオン結合性架橋を導入することにより、スチレンとエチレン共重合体の混和性を高めることができる。エチレン−メタクリル酸共重合体とスチレン−メタクリル酸共重合体を粉砕法によってブレンドしたポリマーは、外観は不均一であり、弾性率もわずか12Mpaしかない。
イオン結合性架橋を導入することにより、スチレンとエチレン共重合体の混和性を高めることができる。エチレン−メタクリル酸共重合体とスチレン−メタクリル酸共重合体を粉砕法によってブレンドしたポリマーは、外観は不均一であり、弾性率もわずか12Mpaしかない。
6.ハラトポリマーと結晶性アイオノマー
末端にカルボキシル基をもつポリマーに2価のイオンを架橋剤として加えたものをハラトポリマーとよび、さまざまな特性を示す。両末端にカルボシキル基が付いたブタジエンは、カチオンの大きさ、温度、溶媒の種類によって粘弾性挙動が変化する。
末端にカルボキシル基をもつポリマーに2価のイオンを架橋剤として加えたものをハラトポリマーとよび、さまざまな特性を示す。両末端にカルボシキル基が付いたブタジエンは、カチオンの大きさ、温度、溶媒の種類によって粘弾性挙動が変化する。
7.アミン塩による架橋
エラストマーを製造する際に、ジアミンを使用して永久的な架橋点、あるいは不可逆的な架橋の導入が行われている。この場合、脱水反応により、たとえば、アミドあるいはイミドなどの結合を形成しているわけである。ところが適当な条件を選択すれば、ジアミンはアミン塩を形成するので、温度によって可逆的な結合解離する架橋点を作ることができる。
エラストマーを製造する際に、ジアミンを使用して永久的な架橋点、あるいは不可逆的な架橋の導入が行われている。この場合、脱水反応により、たとえば、アミドあるいはイミドなどの結合を形成しているわけである。ところが適当な条件を選択すれば、ジアミンはアミン塩を形成するので、温度によって可逆的な結合解離する架橋点を作ることができる。
8.熱平衡変位
可逆的Diels−Alder反応、ニトロソ基の二量化、可逆エステル化反応などによって、熱的に可逆な架橋を行うことができる。しかし、Diels−Alder反応を利用したリサイクル性エラストマーは、現実問題として製造が難しく、高温下でも完全に架橋が解離せず、成形性に難点がある。
可逆的Diels−Alder反応、ニトロソ基の二量化、可逆エステル化反応などによって、熱的に可逆な架橋を行うことができる。しかし、Diels−Alder反応を利用したリサイクル性エラストマーは、現実問題として製造が難しく、高温下でも完全に架橋が解離せず、成形性に難点がある。
上述した技術思想を背景にいくつか発明が提案されている。
特許文献1、特許文献2、特許文献3等は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中にカルボン酸基を導入し、これを金属塩としてプソイド架橋した樹脂組成物を開示している。
特許文献1、特許文献2、特許文献3等は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中にカルボン酸基を導入し、これを金属塩としてプソイド架橋した樹脂組成物を開示している。
特許文献4、特許文献5等は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中にカルボン酸基を導入し、これを有機ジアミンとの塩を形成することによりプソイド架橋した樹脂組成物を開示している。
しかしながら、プソイド架橋させた樹脂は、樹脂温度が高くなると、直ちに架橋が解離し、耐熱性に難点がある。さらに、特許文献1〜5に記載された樹脂組成物の母剤(マトリックス成分)は、ゴムではなく、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂であるので、W/S用材料としては適切ではない。
特許文献6、特許文献7、特許文献8等は、熱可逆架橋性樹脂を開示しているが、これらの文献に示された熱可逆架橋性樹脂は、加工成形性が悪く、圧縮永久歪が大きいという欠点がある。
いずれにしても、従来提案された熱可逆架橋性ゴムで自動車用W/Sを製造した場合、W/Sの一般的物性を満足させないという欠点がある。
本発明が解決しようとする課題は、汎用W/Sの主要な原料である、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(以下、「EPDM」という)をマトリックスとし、それに熱可逆架橋性を付与し、且つ前述したW/Sの基本的物性を満足させることである。
本発明が解決しようとする別の課題は、EPDMをマトリックスとし、それに熱可逆架橋性を付与し、且つ前述したW/Sの基本的物性を満足させる熱可逆架橋性ゴムで押出成形したW/Sを提供することである。
自動車のドアーとボディーの間をシールする汎用的なW/Sに要求される基本的物性は、スポンジW/Sの場合、引張り強度が1.5MPa以上、伸びが150%以上、および圧縮永久歪が50%以下である。また、ソリッドW/Sの場合、引張り強度が9.8MPa以上、伸びが250%以上、および圧縮永久歪が50%以下である。さらに、W/Sには、基本的物性として、耐オゾン性、耐候性等がある
参考までに、EPDMの脱硫法による再生ゴムの引張り強度は3〜4MPa、伸びは100〜250%、圧縮永久歪は70〜80%程度と、未使用EPDMのほぼ半分の物性であり、当然W/Sを製造するには不適当であることが分かる。
本発明者は、課題を解決する手段を策定するために、現在提案されている各種の熱可逆可塑性EPDMエラストマーの中から、W/S材として基本的物性を満足させるものを選定した。
その結果、EPDMに不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルをグラフト重合させたグラフトEPDMを第1成分とし、ヒドロキシル基含有重合体を第2成分とし、リグニンで表面改質した炭酸カルシウムを第3成分として含む熱可逆架橋性エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム組成物を選定した。
本発明の組成物の第1成分であるグラフトEPDMを製造するために、EPDMにグラフトされる不飽和カルボン酸無水物は、たとえば、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、無水マレイン酸、ジクロロマレイン酸無水物、イタコン酸無水物等である。
EPDMにグラフトされる不飽和カルボン酸エステルは、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等である。
EPDMに不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルをグラフト重合させる方法は、通常のグラフト重合法が採用される。すなわち、EPDMに、無水マレイン酸等不飽和カルボン酸無水物、アクリル酸2−エチルヘキシル等不飽和カルボン酸エステル、および重合用触媒(開始剤)等を一緒に添加し、溶融混練重合法、溶液重合法、或いは懸濁重合法によりグラフト重合させる。
重合用触媒(開始剤)としては、たとえば、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイルなどの過酸化ジアシル(いずれも単量体可溶で水に不溶)、クメンヒドロパーオキシド(水溶性)などのヒドロパーオキシド類、ジ−tert−ブチルパーオキシドなどのアルキルパーオキシド(単量体可溶)類などが例示される。
重合用触媒(開始剤)の添加量は、EPDM100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲である。重合用触媒(開始剤)の添加量が0.01質量部以下の場合、グラフト率が低く、逆に5質量部以上使用しても、グラフトはそれ以上には進行しないので、無駄になる。
EPDMに不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルをグラフト重合させて変性する方法は、たとえば、フルフライト式スクリュー(10〜70rpm)式押出機を利用して[C1:100〜150℃、C2:150〜180℃、C3:180〜220℃、Head:200〜220℃、Die:180〜220℃、Head圧:20〜60kgf/cm2、L/D:16〜30]の条件で変性される。
本発明の組成物の第2成分であるヒドロキシル基含有重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンエーテルグリコール類、ポリオキシアルキレンポリオール類等が例示される。
本発明の組成物の第3成分である炭酸カルシウムは、リグニンで表面改質した比重が2.5〜2.6、平均粒子径が0.03〜0.05μm、比表面積が25〜50m2/gの軽質炭酸カルシウムである。
本発明の組成物の第3成分である炭酸カルシウムの平均粒子径が0.03μm未満の場合、炭酸カルシウム粒子同士が二次凝集を起こし、分散し難くなるので、好ましくない。逆に、平均粒子径が0.05μmより大きいの場合、圧縮永久歪みが改善されない、即ち圧縮永久歪み値が大きくなるので好ましくない。
リグニンは、タケ、ワラなど木化した植物体の細胞壁に沈着し、木化細胞壁の主成分の一つで、フェニルプロパンを骨格とする構成単位体が縮合した網状高分子化合物である。化学構造はまだ明らかでないが、β−グアヤシルエーテル型、ピノレシノール型、フェニルクマラン型、ジフェニル型、側鎖α位の炭素−炭素結合などの存在が知られている。
軽質炭酸カルシウムの粒子の表面をリグニンで改質することにより、炭酸カルシウム粒子同士の二次凝集を抑制すると同時に、EPDMとの親和性を高め、粒子の分散性を向上させ、補強性向上よりも、押出加工性の改善に効果があり、圧縮永久歪みの改善効果に資することができる。
リグニンで表面改質した炭酸カルシウムの添加量は、EPDMに不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルをグラフト重合させたグラフトEPDMと、ヒドロキシル基含有重合体とから成る熱可逆架橋性EPDM100質量部に対して、30〜100質量部である。リグニンで表面改質した炭酸カルシウムの添加量が30質量部未満の場合、圧縮永久歪みが改善されない、すなわち、圧縮永久歪み値が大きくなるので好ましくない。逆に、リグニンで表面改質した炭酸カルシウムの添加量が100質量部超の場合、押出成形加工性が低下し、成形加工後のテクスチャーが悪くなるので好ましくない。
上述した熱可逆架橋性EPDM組成物を使用してウェザーストリップを製造するには、必要に応じて、ゴム用各種添加剤、たとえば、スコーチ防止剤、老化防止剤(オゾン劣化防止剤)、素練促進剤、有機改質剤、発泡剤、発泡助剤、カーボンブラック、無機質充填剤、補強剤、繊維系充填剤、機能性充填剤、滑剤、加工助剤、着色剤、仕上げ剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤等を適宜選択して添加してもよい。
本発明の熱可逆架橋性EPDM組成物を使用してW/Sを製造するための押出機としては、通常使用されている1軸式或いは2軸式スクリュー式押出機が使用される。スクリュー形式は、ストレート形式或いはテーパースクリュー形式が使用される。通常、1軸式ストレートスクリュー式押出機である。
従って、上記課題は下記の手段によって解決される。
1.EPDMに不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルをグラフト重合させたグラフトEPDMと、ヒドロキシル基含有重合体とから成る熱可逆架橋性EPDM100質量部に対し、リグニンで表面改質した炭酸カルシウムを30〜100質量部、およびその他通常のゴム用添加剤を所定量含む熱可逆架橋性EPDM組成物を、通常の押出成形法より成形した熱可逆架橋性ウェザーストリップ。
1.EPDMに不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルをグラフト重合させたグラフトEPDMと、ヒドロキシル基含有重合体とから成る熱可逆架橋性EPDM100質量部に対し、リグニンで表面改質した炭酸カルシウムを30〜100質量部、およびその他通常のゴム用添加剤を所定量含む熱可逆架橋性EPDM組成物を、通常の押出成形法より成形した熱可逆架橋性ウェザーストリップ。
2.前記1項において、不飽和カルボン酸無水物が無水マレイン酸で、不飽和カルボン酸エステルがアクリル酸2−エチルヘキシルである。
3.前記1または2項において、炭酸カルシウムの比重が2.5〜2.6、平均粒子径が0.03〜0.05μm、比表面積が25〜50m2/gである。
請求項1の発明により、圧縮永久歪みの改善と共に、W/Sに必要な基本物性を満たし、且つ成形加工性、成形体のテクスチャーも良好な熱可逆架橋性ウェザーストリップが提供される。
請求項2の発明により、不飽和カルボン酸無水物および不飽和カルボン酸エステルを、それぞれ容易に入手できる無水マレイン酸およびアクリル酸2−エチルヘキシルとしたので、原料の選択が容易であり、汎用性のある方法になる。
請求項3の発明により、炭酸カルシウム粒子同士が二次凝集を起こさずに、よく分散し、圧縮永久歪みが改善される。
以下、発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。
1.第1成分の製造
EPDM(JSR株式会社製「EP35」)100質量部に、無水マレイン酸1.3質量部、およびアクリル酸2−エチルヘキシル2.3質量部と、重合用触媒としてジ−tert−ブチルパーオキシド0.2質量部と一緒に、下記の諸元および条件の押出機により押出成形してグラフト重合させてグラフトEPDMを製造した。
EPDM(JSR株式会社製「EP35」)100質量部に、無水マレイン酸1.3質量部、およびアクリル酸2−エチルヘキシル2.3質量部と、重合用触媒としてジ−tert−ブチルパーオキシド0.2質量部と一緒に、下記の諸元および条件の押出機により押出成形してグラフト重合させてグラフトEPDMを製造した。
50φ押出機 L/D=24
35rpm
C1:120℃
C2:170℃
C3:200℃
Head:200℃
Die:220℃
Head圧:35kgf/cm2
35rpm
C1:120℃
C2:170℃
C3:200℃
Head:200℃
Die:220℃
Head圧:35kgf/cm2
2.第2成分の製造
EPDM(JSR株式会社製「EP35」)50質量部に、水素添加ポリブタジエンポリオール50質量部を混合して第2成分のヒドロキシル基含有重合体とした。
EPDM(JSR株式会社製「EP35」)50質量部に、水素添加ポリブタジエンポリオール50質量部を混合して第2成分のヒドロキシル基含有重合体とした。
第1成分90質量部、第2成分10質量部、リグニン処理軽質炭酸カルシウム30質量部、FEFカーボン110質量部、プロセスオイル50質量部、ステアリン酸1質量部、および発泡剤1質量部を、所定の形状のW/S用口金を取り付けた下記の諸元および条件の押出機により押出成形してスポンジW/Sを製造した。
50φ押出機 L/D=24
35rpm
C1:120℃
C2:170℃
C3:200℃
Head:200℃
Die:220℃
Head圧:35kgf/cm2
35rpm
C1:120℃
C2:170℃
C3:200℃
Head:200℃
Die:220℃
Head圧:35kgf/cm2
実施例1で製造したW/Sの基本物性を測定したところ、硬度(アスカーC硬度)が、35,比重が0.5,引張り強度が2.6MPa、伸びが220%、引裂き強度が11.0N/mmで、スポンジW/Sに要求される基本物性をほぼ満たしていた。
[比較例1](硫黄を使用したW/Sの製造)
EPDM(JSR株式会社製「EP35」)100質量部、FEFカーボン110質量部、炭酸カルシウム30質量部、プロセスオイル50質量部、ステアリン酸1質量部、酸化亜鉛5質量部、発泡剤1質量部、発泡助剤1質量部、硫黄1.5質量部、促進剤(M:0.6質量部、DM:0.6質量部、PZ:1質量部、BZ:1.5質量部)を、所定の形状のW/S用口金を取り付けた下記の諸元および条件の押出機により押出成形してスポンジW/Sを製造した。
EPDM(JSR株式会社製「EP35」)100質量部、FEFカーボン110質量部、炭酸カルシウム30質量部、プロセスオイル50質量部、ステアリン酸1質量部、酸化亜鉛5質量部、発泡剤1質量部、発泡助剤1質量部、硫黄1.5質量部、促進剤(M:0.6質量部、DM:0.6質量部、PZ:1質量部、BZ:1.5質量部)を、所定の形状のW/S用口金を取り付けた下記の諸元および条件の押出機により押出成形してスポンジW/Sを製造した。
70φ押出機 L/D=16
20rpm
スクリュー:40℃
C1:45℃
C2:45℃
C3:45℃
Head:50℃
Head圧:100kgf/cm2
20rpm
スクリュー:40℃
C1:45℃
C2:45℃
C3:45℃
Head:50℃
Head圧:100kgf/cm2
比較例1で製造したW/Sの基本物性を測定したところ、硬度(アスカーC硬度)が、35,比重が0.5,引張り強度が2.6MPa、伸びが250%、引裂き強度が11.2N/mmであった。
前述したように、本発明のW/Sは、熱可逆的な架橋構造を有するEPDMを主要原料として、それにリグニンで表面改質した炭酸カルシウム、及びW/Sを製造するときに常用のゴム用各種添加剤を添加して、通常の押出機を使用して、通常の押出条件で押出成形により製造される。従って、使用後は、従来のような再生ゴムに不可欠な脱硫工程を必要とせずに、熱的処理によって三次元網目構造を崩壊させ、ゴム分子の解重合によって、再び可塑化を与え、容易にリサイクルすることができる。また、常用の押出機により製造することができるので、特定の成形機を新規に用意する必要がない。また、リグニンで表面改質した炭酸カルシウムを使用しているので、成形加工性、圧縮永久歪みも改善される。
Claims (3)
- イ.エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムに不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルをグラフト重合させたグラフトエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムと、ヒドロキシル基含有重合体とから成る熱可逆架橋性エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム:100質量部
ロ.リグニンで表面改質した炭酸カルシウム:30〜100質量部、および
ハ.その他通常のゴム用添加剤とを含む熱可逆架橋性エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム組成物を、通常の押出成形法より成形した熱可逆架橋性ウェザーストリップ。 - 不飽和カルボン酸無水物が、無水マレイン酸で、不飽和カルボン酸エステルがアクリル酸2−エチルヘキシルである請求項1の熱可逆架橋性ウェザーストリップ。
- リグニンで表面処理した炭酸カルシウムの比重が2.5〜2.6、平均粒子径が0.03〜0.05μm、比表面積が25〜50m2/gである請求項1または2の熱可逆架橋性ウェザーストリップ。
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