JP2007131648A - 燃料改質剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の石油系燃料用の助燃剤の不備を補い、低コストで、燃料の燃焼効率を向上させ、公害要因を軽減することができる燃料改質剤を提供する。
【解決手段】(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類からなる燃料改質剤。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類からなる燃料改質剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料改質剤およびその製造方法に関し、とりわけ、ガソリン、灯油、軽油、重油などの石油系燃料に添加することにより、燃料を改質し、燃焼効率を高め、公害要因の発生を抑制することができる燃料改質剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業用燃料の主力である重油は、石油分留技術の進歩に伴って、さらに低質化が進行している。そこで、重油を効率よく燃焼させるために、無機質の金属元素を利用した重油添加剤が開発されている。これらの添加剤は、燃焼効率を向上させ、燃焼トラブルを改善するために貢献している。しかし、無機質であるため、燃焼室に堆積し、燃焼性を改善する一方で、高温腐食、低温腐食、NOXの発生量を増加させてしまうなどの新たな問題を発生させる。
【0003】
また、従来の石油系燃料の助燃剤は、実際に必要な添加量が、使用表示と必ずしも一致せず、たとえば、燃料の5000分の1以上を添加する必要があり、その効果も認められるが、さらに改善する余地があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の石油系燃料用助燃剤の不備を補い、低コストで、燃焼効率を向上させ、公害の要因となる排ガスの発生を軽減することができる燃料改質剤および燃料改質剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類からなる燃料改質剤にかかわる。
【0006】
本発明は、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類を配合して前記の燃料改質剤を得る燃料改質剤の製造方法にかかわる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料改質剤は、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類からなる。
【0008】
(1)鉱物油および植物油は、燃料の用途、使用条件に応じて、たとえば、スラッジ防止剤、分散剤、腐食防止剤、バーナーノズルの詰まり防止剤、煤煙防止剤などとして作用する成分である。鉱物油としては、たとえば、マシン油などを使用することができる。植物油としては、たとえば、大豆油、胡麻油、オリーブ油、なたね油、トウモロコシ油、ひまわり油などを使用することができる。植物油の主成分は、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの高級脂肪酸と三価のアルコールであるグリセリンとのエステルの混合物である。
【0009】
(2)炭酸水素ナトリウムは、燃料の用途、使用条件に応じて、たとえば、着火促進剤、NOXおよびSOXの低減剤などとして作用する成分である。たとえば、炭酸水素ナトリウムは、燃料中の硫黄分が燃焼して生成するSO2と反応して、亜硫酸ナトリウムとして固定する。亜硫酸ナトリウムは、燃料中のチッ素分または空気中のチッ素ガスが燃焼して生成するNO2と反応して、硫酸ナトリウムとなり、NO2をチッ素ガスに還元することにより、NOXおよびSOXの低減剤として作用する。
【0010】
(3)醸造酢は、燃料中の炭化水素を、分解し、解裂させる成分である。醸造酢としては、たとえば、食酢などを使用することができる。
【0011】
(4)飽和1価アルコールは、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウムおよび(3)醸造酢が反応して生成する成分を抽出して取り出すための溶媒として作用する成分である。飽和1価アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどを使用することができる。
【0012】
揮発油類は、燃料の燃焼を促進する成分である。揮発油類としては、たとえば、揮発性油、ジメチルベンゼン(o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン)などを使用することができる。
【0013】
鉱物油または植物油の含有量(合計)は、たとえば8〜20重量%(以下、%という)、好ましくは9〜15%である。
【0014】
炭酸水素ナトリウムの含有量は、たとえば1〜10%、好ましくは2〜7%である。
【0015】
飽和1価アルコールの含有量は、たとえば50〜88%、好ましくは55〜70%である。飽和1価アルコールの含有量が少ないと、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウムおよび(3)醸造酢が反応して生成する成分を充分に抽出して取り出すことができない場合があり、多いと、前記反応して生成する成分の飽和1価アルコール中の濃度が低くなり、燃料改質剤として、充分な効果を期待できなくなる傾向がある。
【0016】
揮発油類の含有量は、たとえば1〜10%、好ましくは2〜7%である。
【0017】
本発明の燃料改質剤は、さらに(6)グリセリンカリ液を含有することができる。グリセリンカリ液は、水酸化カリウム、グリセリン、エタノールおよび水の混合液であり、日本薬局方に規定されている。グリセリンカリ液は、たとえば、水酸化カリウムを3重量部(以下、重量部を部という。とくに特定されている場合を除き、部は重量部を意味する)、グリセリンを200部、エタノールを250部を混合し、水で全量1000部に調整した液である。グリセリンカリ液としては、市販品を使用することができる。グリセリンカリ液の含有量は、たとえば1〜10%、好ましくは3〜8%とすることができる。
【0018】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類を配合し、攪拌したのち、固形分を除去することにより得ることができる。(1)鉱物油または植物油に対して、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類を、この順番で順次添加し、添加の都度攪拌したのち、固形分を除去することが好ましい。
【0019】
各成分の添加および攪拌は、たとえば5〜35℃、好ましくは15〜25℃で行なうことができる。各成分を添加したあとの攪拌は、たとえば5〜30分間、好ましくは10〜20分間行なうことができる。固形分は、たとえば、濾過により除去することができる。濾過により除去した固形分は、たとえば、廃棄物を焼却する際、固体燃料を燃焼させる際などの助燃剤として使用することができる。通常、各成分を配合し、攪拌したのち、たとえば、5〜60%、とくには10〜50%の固形分を除去することにより、本発明の燃料改質剤(液剤)を回収することができる。各成分を配合し、攪拌したのち、固形分を除去するまえに、たとえば8〜12日間静置して、熟成させることが好ましい。熟成は、たとえば10〜35℃、好ましくは20〜25℃で行なうことができる。熟成により、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウムおよび(3)醸造酢が反応して生成する有効成分を飽和1価アルコール中に移動させるとともに、固形分を沈降させることができる。
【0020】
揮発油類の一部(たとえば、燃料改質剤の0.3〜5%、好ましくは0.6〜3%)は、たとえば(2)炭酸水素ナトリウムを添加したのちであって、かつ、(3)醸造酢を添加するまえに添加することができる。さらに(6)グリセリンカリ液を、たとえば(3)醸造酢を添加したのちであって、かつ、(4)アルコールを添加するまえに添加することにより、グリセリンカリ液を含有する燃料改質剤を得ることができる。
【0021】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、自動車、船舶、ボイラー、建設および農業機器、灯油ストーブなどの燃料タンクに、燃料(とくに石油系燃料)を給油するまえに、通常は、燃料10000容量部に対して、燃料改質剤を、たとえば0.1〜10容量部、好ましくは0.5〜5容量部を添加し、その後、給油して自然攪拌により完全混合させることにより、使用することができる。
【0022】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、ガソリン用、灯油用、軽油用および重油用の改質剤として有用である。とくに鉱物油(好ましくはマシン油)および植物油(好ましくは大豆油)の両者を含有し、さらにグリセリンカリ液を含有する燃料改質剤は、ガソリン用に好適である。とくに鉱物油(好ましくはマシン油)を含有する燃料改質剤は、灯油用に好適である。とくに鉱物油(好ましくはマシン油)および植物油(好ましくは大豆油)の両者を含有する燃料改質剤は、軽油用に好適である。とくに植物油(好ましくは大豆油)を含有し、さらにグリセリンカリ液を含有する燃料改質剤は、重油用に好適である。
【0023】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、ガソリン用に使用することにより、有害な排ガスの発生を低減させることができるので、公害防止のために有用である。本発明の燃料改質剤は、たとえば、灯油用に使用することにより、有害な一酸化炭素の発生を抑制することができるので、室内の空気を汚すことなく、しかも消火時のいやな臭いをなくすことができる。本発明の燃料改質剤は、たとえば、軽油用に使用することにより、完全燃焼させて、カーボンの発生を抑制することができるので、機関を保護し、また、黒煙、公害原因物質の発生を著しく抑制することができる。本発明の燃料改質剤は、たとえば、重油用に使用することにより、機関や設備を保護し、メンテナンス経費を削減することができる。
【0024】
本発明の燃料改質剤を、改質対象量の燃料に応じて添加し、好ましくは6時間以上、より好ましくは12時間以上、さらに好ましくは24時間以上経過してから、燃料を使用することがよい。
【0025】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、ポリ容器、石油缶またはドラム缶に充填し、包装することにより、貯蔵および移送をすることができる。
【0026】
【実施例】
実施例1(灯油用改質剤)
<製造方法>
マシン油10部に、順次、炭酸水素ナトリウム3部、揮発性油1部、醸造酢(酢酸濃度4%)15部、メタノール66部および揮発性油5部を添加して攪拌することにより得られた液剤を、20〜25℃において10日間静置して熟成させたのち、濾過して沈殿物を除去し、燃料改質剤(液剤)を得た。
【0027】
<石油ストーブでの使用例>
得られた燃料改質剤を、石油ストーブ(トヨクニ(株)製DSK−21SG:レオペット開放式石油ストーブ)の燃料(灯油)10000容量部に対して2容量部添加し、室内(120cm×92cm×250cm)の暖房に使用する試験を行なった。また、燃料改質剤を添加することなく同様の測定を行なった。
【0028】
金網中央上部80mm地点の温度(燃焼温度)が415〜420℃の範囲になる条件で、1分毎に30分間NOX濃度(化学発光法(自動分析機))および酸素濃度(ジルコニア式酸素濃度計法)の測定を行なったところ、燃料改質剤を添加しない場合のNOX濃度は平均0.8ppmであったが、燃料改質剤を添加することによって平均0.3ppmに減少し、酸素濃度は18.4%から18.7%に上昇した。NOX濃度および酸素濃度の測定は、ストーブの真上1.5mを測定点として行なった。
【0029】
また、燃焼温度385〜390℃の範囲になる条件で、室内のガスをサンプリングして、炭化水素濃度(FIDガスクロマトグラフ法)および一酸化炭素濃度(TCDガスクロマトグラフ法)を測定した。燃料改質剤を添加しない場合の炭化水素濃度は17ppmであったが、燃料改質剤を添加することによって16ppmに減少し、一酸化炭素濃度は0.8ppmから0.3ppmに減少した。
【0030】
なお、燃料改質剤を添加した場合は、燃料改質剤を添加しない場合と比較して、燃焼時の異臭がなく、とくに着火時および消火時の異臭が気にならなかった。
【0031】
実施例2(軽油用改質剤)
<製造方法>
マシン油10部に対して、順次、炭酸水素ナトリウム3部、揮発性油1部、大豆油1部、醸造酢(酢酸濃度4%)15部、メタノール64部および揮発性油6部を添加して攪拌することにより得られた液剤を、20〜25℃において10日間静置して熟成させたのち、濾過して沈殿物を除去し、燃料改質剤(液剤)を得た。
【0032】
<高速バスでの使用例>
得られた燃料改質剤を、2台のバス(ボルボP−B10MB)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、長距離輸送に5カ月間使用する試験を行なって燃費を評価したところ、1台は3.58km/L、ほかの1台は3.54km/Lであった。これに対し、燃料改質剤を添加することなく、同様に燃費を評価したところ、1台は3.34km/L、ほかの1台は3.32km/Lであった。すなわち、燃料改質剤を使用したことによる燃費の改善率は、1台は7.2%、ほかの1台は6.6%であった。
【0033】
燃費の評価にあわせて、スモッグチャート(ボッシュ方式)により、排ガス中の黒煙濃度を測定したところ、1台は、燃料改質剤を添加しない場合は31%であったが、燃料改質剤を添加することによって9%に減少し(減少率71%)、ほかの1台は、添加しない場合は30%であったが、添加することによって4%に減少した(減少率87%)。
【0034】
なお、本使用例および以下の使用例において、スモッグチャート(ボッシュ方式)による排ガス中の黒煙濃度の測定には、ディーゼル機器株式会社製スモークメーター(SMOKE METER)DSM−10Bを使用した。
【0035】
<バスでの使用例>
得られた燃料改質剤を、4台のバス(いすず.KC)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、長距離輸送に使用する試験を行なった。燃料改質剤を使用するまえおよび燃料改質剤を使用しはじめてから所定期間後に、スモッグチャート(ボッシュ方式)により、排ガス中の黒煙濃度を、それぞれ3回、測定した。
【0036】
1台目は、燃料改質剤を使用するまえの黒煙濃度は平均12.3%であったが、燃料改質剤を使用しはじめてから6カ月後には平均1.7%に減少していた(減少率86.2%)。
【0037】
2台目は、燃料改質剤を使用するまえの黒煙濃度は平均6%であったが、燃料改質剤を使用しはじめてから2カ月後には平均3%に減少し(減少率50%)、8カ月半後には平均2.7%に減少した(減少率55%)。
【0038】
3台目は、燃料改質剤を使用するまえの黒煙濃度は平均27.3%であったが、燃料改質剤を使用しはじめてから2カ月後には平均19%に減少し(減少率30.4%)、8カ月半後には平均15.3%に減少した(減少率44.0%)。
【0039】
4台目は、燃料改質剤を使用するまえの黒煙濃度は平均21%であったが、燃料改質剤を使用しはじめてから3カ月半後には平均18%に減少し(減少率14.3%)、1年後には平均15.7%に減少した(減少率25.2%)。
【0040】
<タンクローリーでの使用例>
得られた燃料改質剤を、3台のタンクローリー(日野製8tタンクローリー;A車:平成3年式、B車およびC車:平成4年式)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、運送車両として使用する試験を行なって燃費を評価した。また、燃料改質剤を添加することなく、同様の試験を行なって燃費を評価した。
【0041】
A車については、燃料改質剤を添加しない場合(走行距離3246km)の燃費は2.58km/Lであった。燃料改質剤を使用しはじめてから最初の1カ月間(走行距離2323km)の燃費は2.84km/Lであり(改善率10.1%)、2カ月目(走行距離3739km)の燃費は3.06km/Lであった(改善率18.6%)。
【0042】
B車については、燃料改質剤を添加しない場合(走行距離3540km)の燃費は2.16km/Lであった。燃料改質剤を使用しはじめてから最初の1カ月間(走行距離2351km)の燃費は2.42km/Lであり(改善率12.0%)、2カ月目(走行距離4035km)の燃費は2.54km/Lであった(改善率17.6%)。
【0043】
C車については、燃料改質剤を添加しない場合(走行距離3270km)の燃費は2.49km/Lであった。燃料改質剤を使用しはじめてから最初の1カ月間(走行距離2574km)の燃費は2.55km/Lであり(改善率2.4%)、2カ月目(走行距離3718km)の燃費は2.60km/Lであった(改善率4.4%)。
【0044】
<運送車両での使用例>
得られた燃料改質剤を、運送車両(日野製15t平ボディー平成7年式)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、運送車両として使用する試験を行なって燃費を評価した。また、燃焼改質剤を添加することなく、同様の試験を行なって燃費を評価した。
【0045】
燃料改質剤を添加しない場合(走行距離25904km)の燃費は2.78km/Lであった。これに対し、燃料改質剤を添加した場合(走行距離27160km)の燃費は3.00km/Lであった(改善率7.9%)。
【0046】
<ディーゼル車での使用例>
得られた燃料改質剤を、5台のディーゼル車(日産キャラバン2700ccディーゼルAT車)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、宅配便として使用する試験を行なって燃費を評価したところ、平均走行距離527kmでの燃費が平均9.56km/Lであった。これに対し、燃料改質剤を添加することなく、同様に燃費を評価したところ、平均走行距離426kmでの燃費が平均8.61km/Lであった。すなわち、燃料改質剤を使用したことによる燃費の改善率は、11.0%であった。
【0047】
<乗用車での使用例>
得られた燃料改質剤を、乗用車(ブラジルトヨタ製バングランテOJ50LVB)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、走行試験を行なって、所定距離走行後に、スモッグチャート(ボッシュ方式)により、排ガス中の黒煙濃度を、それぞれ3回、測定した。また、燃料改質剤を添加することなく、同様の試験を行なった。
【0048】
燃料改質剤を添加しない場合は800km走行後の黒煙濃度が平均26.67%であったが、燃料改質剤を添加した場合は1720km走行後の黒煙濃度が平均23.33%と減少し(減少率12.5%)、4620km走行後の黒煙濃度が平均19.33%と減少した(減少率17.14%)。
【0049】
実施例3(重油用改質剤)
<製造方法>
大豆油15部に、順次、炭酸水素ナトリウム4部、醸造酢(酢酸濃度4%)15部、グリセリンカリ液7部、メタノール54部および揮発性油5部を添加して攪拌することにより得られた液剤を、20〜25℃において10日間静置して熟成させたのち、濾過して沈殿物を除去し、燃料改質剤(液剤)を回収した。
【0050】
<発電用ボイラーでの使用例1>
得られた燃料改質剤を発電用ボイラー(三菱重工業(株)製三菱・CEボイラーVU−60)の燃料(重油)10000容量部に対して1容量部添加し、5カ月間、通常の運転を行なって、燃料改質剤を使用しない場合と比較した。
【0051】
燃料改質剤の添加により、バーナー口およびその両サイドの水管に付着するスス状物質が減少した。このことは、通常は、未燃焼物として大気中に排出され、または、ボイラー内に残留し、公害の原因または廃棄物となる部分も、燃料として使用され、全体として燃焼効率が向上したことを示す。
【0052】
<発電用ボイラーでの使用例2>
得られた燃料改質剤を、発電用ボイラーでの使用例1で使用した発電用ボイラーとは異なる形式の発電用ボイラーの燃料(重油)10000容量部に対して1容量部添加し、5カ月間、通常の運転を行なって、燃料改質剤を使用しない場合と比較した。燃料改質剤の添加により、バーナー口およびその両サイドのノズルに付着するスス状物が減少し、また、水管表面の付着物も減少した。このことは、通常は、未燃焼物として大気中に排出され、または、ボイラー内に残留し、公害の原因または廃棄物となる部分も、燃料として使用され、全体として燃焼効率が向上したことを示す。
【0053】
実施例4(ガソリン用改質剤)
<製造方法>
マシン油6部に対して、順次、炭酸水素ナトリウム3部、揮発油1部、大豆油5部、醸造酢(酢酸濃度4%)15部、グリセリンカリ液1部、メタノール64部および揮発性油5部を添加して攪拌することにより得られた液剤を、20〜25℃において10日間静置して熟成させたのち、濾過して沈殿物を除去し、燃料改質剤(液剤)を得た。
【0054】
<ガソリン車での使用例>
得られた燃料改質剤を3台の乗用車(日産セドリック3000cc、ホンダCR−V2000cc、スバルレガシー2000cc)の燃料(ガソリン)10000容量部に対して1容量部添加し、5カ月間使用する試験を行なって燃費を評価したところ、日産セドリックは12.5km/L、ホンダCR−Vは10.2km/L、スバルレガシーは10.2km/Lであった。これに対し、燃料改質剤を添加することなく、同様に燃費を評価したところ、日産セドリックは10.8km/L、ホンダCR−Vは8.8km/L、スバルレガシーは8.5km/Lであった。すなわち、燃料改質剤を使用したことによる燃費の改善率は、日産セドリックで15.7%、ホンダCR−Vで15.9%、スバルレガシーで20.0%であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の燃料改質剤によれば、燃料の燃焼効率を向上させると同時に、排ガス中のばい塵やNOXなどを低減させ、公害を抑制することができる。本発明の燃料改質剤によれば、エンジンやボイラーの内部の汚れを抑制することができるので、燃焼装置の保護にすぐれるという効果を発揮することができる。
【0056】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、自動車、船舶、建設用機器、農業用機器などのガソリン、軽油などの燃料に添加すれば、燃料を改質して、完全燃焼を可能とし、黒煙および排ガスの発生を抑制して公害問題を緩和し、発進、加速、登坂などの際のパワーアップを可能とし、燃費を改善することができる。
【0057】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、工場などのボイラーの灯油や重油などの燃料に添加すれば、燃料を改質して、黒煙の発生や降灰を減少させ、熱効率をよくして、燃費を改善し、さらに、炉内の残留灰やタールの付着物を著しく減少させることにより、整備費の軽減や機器の保護などを図ることができるので、経済的効果も大きい。
【0058】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、暖房用ストーブなどの灯油に添加すれば、着火や消火時の臭気の発生を減少させ、火力を強くし、煤の発生を少なくすることにより、燃費を節減し、また、快適な室内環境を保つことができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料改質剤およびその製造方法に関し、とりわけ、ガソリン、灯油、軽油、重油などの石油系燃料に添加することにより、燃料を改質し、燃焼効率を高め、公害要因の発生を抑制することができる燃料改質剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業用燃料の主力である重油は、石油分留技術の進歩に伴って、さらに低質化が進行している。そこで、重油を効率よく燃焼させるために、無機質の金属元素を利用した重油添加剤が開発されている。これらの添加剤は、燃焼効率を向上させ、燃焼トラブルを改善するために貢献している。しかし、無機質であるため、燃焼室に堆積し、燃焼性を改善する一方で、高温腐食、低温腐食、NOXの発生量を増加させてしまうなどの新たな問題を発生させる。
【0003】
また、従来の石油系燃料の助燃剤は、実際に必要な添加量が、使用表示と必ずしも一致せず、たとえば、燃料の5000分の1以上を添加する必要があり、その効果も認められるが、さらに改善する余地があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の石油系燃料用助燃剤の不備を補い、低コストで、燃焼効率を向上させ、公害の要因となる排ガスの発生を軽減することができる燃料改質剤および燃料改質剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類からなる燃料改質剤にかかわる。
【0006】
本発明は、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類を配合して前記の燃料改質剤を得る燃料改質剤の製造方法にかかわる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料改質剤は、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類からなる。
【0008】
(1)鉱物油および植物油は、燃料の用途、使用条件に応じて、たとえば、スラッジ防止剤、分散剤、腐食防止剤、バーナーノズルの詰まり防止剤、煤煙防止剤などとして作用する成分である。鉱物油としては、たとえば、マシン油などを使用することができる。植物油としては、たとえば、大豆油、胡麻油、オリーブ油、なたね油、トウモロコシ油、ひまわり油などを使用することができる。植物油の主成分は、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの高級脂肪酸と三価のアルコールであるグリセリンとのエステルの混合物である。
【0009】
(2)炭酸水素ナトリウムは、燃料の用途、使用条件に応じて、たとえば、着火促進剤、NOXおよびSOXの低減剤などとして作用する成分である。たとえば、炭酸水素ナトリウムは、燃料中の硫黄分が燃焼して生成するSO2と反応して、亜硫酸ナトリウムとして固定する。亜硫酸ナトリウムは、燃料中のチッ素分または空気中のチッ素ガスが燃焼して生成するNO2と反応して、硫酸ナトリウムとなり、NO2をチッ素ガスに還元することにより、NOXおよびSOXの低減剤として作用する。
【0010】
(3)醸造酢は、燃料中の炭化水素を、分解し、解裂させる成分である。醸造酢としては、たとえば、食酢などを使用することができる。
【0011】
(4)飽和1価アルコールは、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウムおよび(3)醸造酢が反応して生成する成分を抽出して取り出すための溶媒として作用する成分である。飽和1価アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどを使用することができる。
【0012】
揮発油類は、燃料の燃焼を促進する成分である。揮発油類としては、たとえば、揮発性油、ジメチルベンゼン(o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン)などを使用することができる。
【0013】
鉱物油または植物油の含有量(合計)は、たとえば8〜20重量%(以下、%という)、好ましくは9〜15%である。
【0014】
炭酸水素ナトリウムの含有量は、たとえば1〜10%、好ましくは2〜7%である。
【0015】
飽和1価アルコールの含有量は、たとえば50〜88%、好ましくは55〜70%である。飽和1価アルコールの含有量が少ないと、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウムおよび(3)醸造酢が反応して生成する成分を充分に抽出して取り出すことができない場合があり、多いと、前記反応して生成する成分の飽和1価アルコール中の濃度が低くなり、燃料改質剤として、充分な効果を期待できなくなる傾向がある。
【0016】
揮発油類の含有量は、たとえば1〜10%、好ましくは2〜7%である。
【0017】
本発明の燃料改質剤は、さらに(6)グリセリンカリ液を含有することができる。グリセリンカリ液は、水酸化カリウム、グリセリン、エタノールおよび水の混合液であり、日本薬局方に規定されている。グリセリンカリ液は、たとえば、水酸化カリウムを3重量部(以下、重量部を部という。とくに特定されている場合を除き、部は重量部を意味する)、グリセリンを200部、エタノールを250部を混合し、水で全量1000部に調整した液である。グリセリンカリ液としては、市販品を使用することができる。グリセリンカリ液の含有量は、たとえば1〜10%、好ましくは3〜8%とすることができる。
【0018】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類を配合し、攪拌したのち、固形分を除去することにより得ることができる。(1)鉱物油または植物油に対して、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類を、この順番で順次添加し、添加の都度攪拌したのち、固形分を除去することが好ましい。
【0019】
各成分の添加および攪拌は、たとえば5〜35℃、好ましくは15〜25℃で行なうことができる。各成分を添加したあとの攪拌は、たとえば5〜30分間、好ましくは10〜20分間行なうことができる。固形分は、たとえば、濾過により除去することができる。濾過により除去した固形分は、たとえば、廃棄物を焼却する際、固体燃料を燃焼させる際などの助燃剤として使用することができる。通常、各成分を配合し、攪拌したのち、たとえば、5〜60%、とくには10〜50%の固形分を除去することにより、本発明の燃料改質剤(液剤)を回収することができる。各成分を配合し、攪拌したのち、固形分を除去するまえに、たとえば8〜12日間静置して、熟成させることが好ましい。熟成は、たとえば10〜35℃、好ましくは20〜25℃で行なうことができる。熟成により、(1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウムおよび(3)醸造酢が反応して生成する有効成分を飽和1価アルコール中に移動させるとともに、固形分を沈降させることができる。
【0020】
揮発油類の一部(たとえば、燃料改質剤の0.3〜5%、好ましくは0.6〜3%)は、たとえば(2)炭酸水素ナトリウムを添加したのちであって、かつ、(3)醸造酢を添加するまえに添加することができる。さらに(6)グリセリンカリ液を、たとえば(3)醸造酢を添加したのちであって、かつ、(4)アルコールを添加するまえに添加することにより、グリセリンカリ液を含有する燃料改質剤を得ることができる。
【0021】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、自動車、船舶、ボイラー、建設および農業機器、灯油ストーブなどの燃料タンクに、燃料(とくに石油系燃料)を給油するまえに、通常は、燃料10000容量部に対して、燃料改質剤を、たとえば0.1〜10容量部、好ましくは0.5〜5容量部を添加し、その後、給油して自然攪拌により完全混合させることにより、使用することができる。
【0022】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、ガソリン用、灯油用、軽油用および重油用の改質剤として有用である。とくに鉱物油(好ましくはマシン油)および植物油(好ましくは大豆油)の両者を含有し、さらにグリセリンカリ液を含有する燃料改質剤は、ガソリン用に好適である。とくに鉱物油(好ましくはマシン油)を含有する燃料改質剤は、灯油用に好適である。とくに鉱物油(好ましくはマシン油)および植物油(好ましくは大豆油)の両者を含有する燃料改質剤は、軽油用に好適である。とくに植物油(好ましくは大豆油)を含有し、さらにグリセリンカリ液を含有する燃料改質剤は、重油用に好適である。
【0023】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、ガソリン用に使用することにより、有害な排ガスの発生を低減させることができるので、公害防止のために有用である。本発明の燃料改質剤は、たとえば、灯油用に使用することにより、有害な一酸化炭素の発生を抑制することができるので、室内の空気を汚すことなく、しかも消火時のいやな臭いをなくすことができる。本発明の燃料改質剤は、たとえば、軽油用に使用することにより、完全燃焼させて、カーボンの発生を抑制することができるので、機関を保護し、また、黒煙、公害原因物質の発生を著しく抑制することができる。本発明の燃料改質剤は、たとえば、重油用に使用することにより、機関や設備を保護し、メンテナンス経費を削減することができる。
【0024】
本発明の燃料改質剤を、改質対象量の燃料に応じて添加し、好ましくは6時間以上、より好ましくは12時間以上、さらに好ましくは24時間以上経過してから、燃料を使用することがよい。
【0025】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、ポリ容器、石油缶またはドラム缶に充填し、包装することにより、貯蔵および移送をすることができる。
【0026】
【実施例】
実施例1(灯油用改質剤)
<製造方法>
マシン油10部に、順次、炭酸水素ナトリウム3部、揮発性油1部、醸造酢(酢酸濃度4%)15部、メタノール66部および揮発性油5部を添加して攪拌することにより得られた液剤を、20〜25℃において10日間静置して熟成させたのち、濾過して沈殿物を除去し、燃料改質剤(液剤)を得た。
【0027】
<石油ストーブでの使用例>
得られた燃料改質剤を、石油ストーブ(トヨクニ(株)製DSK−21SG:レオペット開放式石油ストーブ)の燃料(灯油)10000容量部に対して2容量部添加し、室内(120cm×92cm×250cm)の暖房に使用する試験を行なった。また、燃料改質剤を添加することなく同様の測定を行なった。
【0028】
金網中央上部80mm地点の温度(燃焼温度)が415〜420℃の範囲になる条件で、1分毎に30分間NOX濃度(化学発光法(自動分析機))および酸素濃度(ジルコニア式酸素濃度計法)の測定を行なったところ、燃料改質剤を添加しない場合のNOX濃度は平均0.8ppmであったが、燃料改質剤を添加することによって平均0.3ppmに減少し、酸素濃度は18.4%から18.7%に上昇した。NOX濃度および酸素濃度の測定は、ストーブの真上1.5mを測定点として行なった。
【0029】
また、燃焼温度385〜390℃の範囲になる条件で、室内のガスをサンプリングして、炭化水素濃度(FIDガスクロマトグラフ法)および一酸化炭素濃度(TCDガスクロマトグラフ法)を測定した。燃料改質剤を添加しない場合の炭化水素濃度は17ppmであったが、燃料改質剤を添加することによって16ppmに減少し、一酸化炭素濃度は0.8ppmから0.3ppmに減少した。
【0030】
なお、燃料改質剤を添加した場合は、燃料改質剤を添加しない場合と比較して、燃焼時の異臭がなく、とくに着火時および消火時の異臭が気にならなかった。
【0031】
実施例2(軽油用改質剤)
<製造方法>
マシン油10部に対して、順次、炭酸水素ナトリウム3部、揮発性油1部、大豆油1部、醸造酢(酢酸濃度4%)15部、メタノール64部および揮発性油6部を添加して攪拌することにより得られた液剤を、20〜25℃において10日間静置して熟成させたのち、濾過して沈殿物を除去し、燃料改質剤(液剤)を得た。
【0032】
<高速バスでの使用例>
得られた燃料改質剤を、2台のバス(ボルボP−B10MB)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、長距離輸送に5カ月間使用する試験を行なって燃費を評価したところ、1台は3.58km/L、ほかの1台は3.54km/Lであった。これに対し、燃料改質剤を添加することなく、同様に燃費を評価したところ、1台は3.34km/L、ほかの1台は3.32km/Lであった。すなわち、燃料改質剤を使用したことによる燃費の改善率は、1台は7.2%、ほかの1台は6.6%であった。
【0033】
燃費の評価にあわせて、スモッグチャート(ボッシュ方式)により、排ガス中の黒煙濃度を測定したところ、1台は、燃料改質剤を添加しない場合は31%であったが、燃料改質剤を添加することによって9%に減少し(減少率71%)、ほかの1台は、添加しない場合は30%であったが、添加することによって4%に減少した(減少率87%)。
【0034】
なお、本使用例および以下の使用例において、スモッグチャート(ボッシュ方式)による排ガス中の黒煙濃度の測定には、ディーゼル機器株式会社製スモークメーター(SMOKE METER)DSM−10Bを使用した。
【0035】
<バスでの使用例>
得られた燃料改質剤を、4台のバス(いすず.KC)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、長距離輸送に使用する試験を行なった。燃料改質剤を使用するまえおよび燃料改質剤を使用しはじめてから所定期間後に、スモッグチャート(ボッシュ方式)により、排ガス中の黒煙濃度を、それぞれ3回、測定した。
【0036】
1台目は、燃料改質剤を使用するまえの黒煙濃度は平均12.3%であったが、燃料改質剤を使用しはじめてから6カ月後には平均1.7%に減少していた(減少率86.2%)。
【0037】
2台目は、燃料改質剤を使用するまえの黒煙濃度は平均6%であったが、燃料改質剤を使用しはじめてから2カ月後には平均3%に減少し(減少率50%)、8カ月半後には平均2.7%に減少した(減少率55%)。
【0038】
3台目は、燃料改質剤を使用するまえの黒煙濃度は平均27.3%であったが、燃料改質剤を使用しはじめてから2カ月後には平均19%に減少し(減少率30.4%)、8カ月半後には平均15.3%に減少した(減少率44.0%)。
【0039】
4台目は、燃料改質剤を使用するまえの黒煙濃度は平均21%であったが、燃料改質剤を使用しはじめてから3カ月半後には平均18%に減少し(減少率14.3%)、1年後には平均15.7%に減少した(減少率25.2%)。
【0040】
<タンクローリーでの使用例>
得られた燃料改質剤を、3台のタンクローリー(日野製8tタンクローリー;A車:平成3年式、B車およびC車:平成4年式)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、運送車両として使用する試験を行なって燃費を評価した。また、燃料改質剤を添加することなく、同様の試験を行なって燃費を評価した。
【0041】
A車については、燃料改質剤を添加しない場合(走行距離3246km)の燃費は2.58km/Lであった。燃料改質剤を使用しはじめてから最初の1カ月間(走行距離2323km)の燃費は2.84km/Lであり(改善率10.1%)、2カ月目(走行距離3739km)の燃費は3.06km/Lであった(改善率18.6%)。
【0042】
B車については、燃料改質剤を添加しない場合(走行距離3540km)の燃費は2.16km/Lであった。燃料改質剤を使用しはじめてから最初の1カ月間(走行距離2351km)の燃費は2.42km/Lであり(改善率12.0%)、2カ月目(走行距離4035km)の燃費は2.54km/Lであった(改善率17.6%)。
【0043】
C車については、燃料改質剤を添加しない場合(走行距離3270km)の燃費は2.49km/Lであった。燃料改質剤を使用しはじめてから最初の1カ月間(走行距離2574km)の燃費は2.55km/Lであり(改善率2.4%)、2カ月目(走行距離3718km)の燃費は2.60km/Lであった(改善率4.4%)。
【0044】
<運送車両での使用例>
得られた燃料改質剤を、運送車両(日野製15t平ボディー平成7年式)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、運送車両として使用する試験を行なって燃費を評価した。また、燃焼改質剤を添加することなく、同様の試験を行なって燃費を評価した。
【0045】
燃料改質剤を添加しない場合(走行距離25904km)の燃費は2.78km/Lであった。これに対し、燃料改質剤を添加した場合(走行距離27160km)の燃費は3.00km/Lであった(改善率7.9%)。
【0046】
<ディーゼル車での使用例>
得られた燃料改質剤を、5台のディーゼル車(日産キャラバン2700ccディーゼルAT車)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、宅配便として使用する試験を行なって燃費を評価したところ、平均走行距離527kmでの燃費が平均9.56km/Lであった。これに対し、燃料改質剤を添加することなく、同様に燃費を評価したところ、平均走行距離426kmでの燃費が平均8.61km/Lであった。すなわち、燃料改質剤を使用したことによる燃費の改善率は、11.0%であった。
【0047】
<乗用車での使用例>
得られた燃料改質剤を、乗用車(ブラジルトヨタ製バングランテOJ50LVB)の燃料(軽油)10000容量部に対して1容量部添加し、走行試験を行なって、所定距離走行後に、スモッグチャート(ボッシュ方式)により、排ガス中の黒煙濃度を、それぞれ3回、測定した。また、燃料改質剤を添加することなく、同様の試験を行なった。
【0048】
燃料改質剤を添加しない場合は800km走行後の黒煙濃度が平均26.67%であったが、燃料改質剤を添加した場合は1720km走行後の黒煙濃度が平均23.33%と減少し(減少率12.5%)、4620km走行後の黒煙濃度が平均19.33%と減少した(減少率17.14%)。
【0049】
実施例3(重油用改質剤)
<製造方法>
大豆油15部に、順次、炭酸水素ナトリウム4部、醸造酢(酢酸濃度4%)15部、グリセリンカリ液7部、メタノール54部および揮発性油5部を添加して攪拌することにより得られた液剤を、20〜25℃において10日間静置して熟成させたのち、濾過して沈殿物を除去し、燃料改質剤(液剤)を回収した。
【0050】
<発電用ボイラーでの使用例1>
得られた燃料改質剤を発電用ボイラー(三菱重工業(株)製三菱・CEボイラーVU−60)の燃料(重油)10000容量部に対して1容量部添加し、5カ月間、通常の運転を行なって、燃料改質剤を使用しない場合と比較した。
【0051】
燃料改質剤の添加により、バーナー口およびその両サイドの水管に付着するスス状物質が減少した。このことは、通常は、未燃焼物として大気中に排出され、または、ボイラー内に残留し、公害の原因または廃棄物となる部分も、燃料として使用され、全体として燃焼効率が向上したことを示す。
【0052】
<発電用ボイラーでの使用例2>
得られた燃料改質剤を、発電用ボイラーでの使用例1で使用した発電用ボイラーとは異なる形式の発電用ボイラーの燃料(重油)10000容量部に対して1容量部添加し、5カ月間、通常の運転を行なって、燃料改質剤を使用しない場合と比較した。燃料改質剤の添加により、バーナー口およびその両サイドのノズルに付着するスス状物が減少し、また、水管表面の付着物も減少した。このことは、通常は、未燃焼物として大気中に排出され、または、ボイラー内に残留し、公害の原因または廃棄物となる部分も、燃料として使用され、全体として燃焼効率が向上したことを示す。
【0053】
実施例4(ガソリン用改質剤)
<製造方法>
マシン油6部に対して、順次、炭酸水素ナトリウム3部、揮発油1部、大豆油5部、醸造酢(酢酸濃度4%)15部、グリセリンカリ液1部、メタノール64部および揮発性油5部を添加して攪拌することにより得られた液剤を、20〜25℃において10日間静置して熟成させたのち、濾過して沈殿物を除去し、燃料改質剤(液剤)を得た。
【0054】
<ガソリン車での使用例>
得られた燃料改質剤を3台の乗用車(日産セドリック3000cc、ホンダCR−V2000cc、スバルレガシー2000cc)の燃料(ガソリン)10000容量部に対して1容量部添加し、5カ月間使用する試験を行なって燃費を評価したところ、日産セドリックは12.5km/L、ホンダCR−Vは10.2km/L、スバルレガシーは10.2km/Lであった。これに対し、燃料改質剤を添加することなく、同様に燃費を評価したところ、日産セドリックは10.8km/L、ホンダCR−Vは8.8km/L、スバルレガシーは8.5km/Lであった。すなわち、燃料改質剤を使用したことによる燃費の改善率は、日産セドリックで15.7%、ホンダCR−Vで15.9%、スバルレガシーで20.0%であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の燃料改質剤によれば、燃料の燃焼効率を向上させると同時に、排ガス中のばい塵やNOXなどを低減させ、公害を抑制することができる。本発明の燃料改質剤によれば、エンジンやボイラーの内部の汚れを抑制することができるので、燃焼装置の保護にすぐれるという効果を発揮することができる。
【0056】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、自動車、船舶、建設用機器、農業用機器などのガソリン、軽油などの燃料に添加すれば、燃料を改質して、完全燃焼を可能とし、黒煙および排ガスの発生を抑制して公害問題を緩和し、発進、加速、登坂などの際のパワーアップを可能とし、燃費を改善することができる。
【0057】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、工場などのボイラーの灯油や重油などの燃料に添加すれば、燃料を改質して、黒煙の発生や降灰を減少させ、熱効率をよくして、燃費を改善し、さらに、炉内の残留灰やタールの付着物を著しく減少させることにより、整備費の軽減や機器の保護などを図ることができるので、経済的効果も大きい。
【0058】
本発明の燃料改質剤は、たとえば、暖房用ストーブなどの灯油に添加すれば、着火や消火時の臭気の発生を減少させ、火力を強くし、煤の発生を少なくすることにより、燃費を節減し、また、快適な室内環境を保つことができる。
Claims (11)
- (1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類からなる燃料改質剤。
- (1)鉱物油または植物油の合計の含有量が8〜20重量%である請求項1記載の燃料改質剤。
- (2)炭酸水素ナトリウムの含有量が1〜10重量%である請求項1または2記載の燃料改質剤。
- (3)醸造酢の含有量が2〜20重量%である請求項1、2または3記載の燃料改質剤。
- (4)飽和1価アルコールの含有量が50〜88重量%である請求項1、2、3または4記載の燃料改質剤。
- (5)揮発油類の含有量が1〜10重量%である請求項1、2、3、4または5記載の燃料改質剤。
- さらに(6)グリセリンカリ液を1〜10重量%含有する請求項1、2、3、4、5または6記載の燃料改質剤。
- (1)鉱物油または植物油、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類を配合して請求項1、2、3、4、5、6または7記載の燃料改質剤を得ることを特徴とする燃料改質剤の製造方法。
- (1)鉱物油または植物油に対して、(2)炭酸水素ナトリウム、(3)醸造酢、(4)飽和1価アルコールおよび(5)揮発油類をこの順番で順次添加する請求項8記載の燃料改質剤の製造方法。
- (5)揮発油類の一部を、(2)炭酸水素ナトリウムを添加したのちであって、かつ、(3)醸造酢を添加するまえに添加する請求項9記載の燃料改質剤の製造方法。
- (6)グリセリンカリ液を、(3)醸造酢を添加したのちであって、かつ、(4)飽和1価アルコールを添加するまえに添加する請求項9記載の燃料改質剤の製造方法。
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- 2001-11-21 JP JP2001356127A patent/JP2007131648A/ja active Pending
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