以下、本発明による充填物押出容器の好適な実施形態について図1〜図51を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1〜図29は、本発明の第一実施形態を、図30〜図46は、本発明の第二実施形態を、図47〜図51は、本発明の第三実施形態を各々示すものであり、図1〜図29を参照しながら、先ず第一実施形態について説明する。
図1〜図5は、本発明の第一実施形態に係る充填物押出容器の各状態を示す各縦断面図、図6及び図7は、本体筒を示す各図、図8〜図10は、操作筒を示す各図、図11〜図14は、螺子筒を示す各図、図15〜図18は、移動体を示す各図、図19は、ピストンを示す縦断面図、図20及び図21は、ピストン及び移動体を示す各縦断面図、図22〜図25は、移動螺子筒を示す各図、図26〜図28は、充填部材を示す各図、図29は、充填物押出容器の組立手順を表す説明図であり、本実施形態の充填物押出容器は、充填物を収容すると共に適宜使用者の操作により押し出し可能とするものである。
ここでは、充填物として、例えば、リップグロス、リップ、アイカラー、アイライナー、美容液、洗浄液、ネールエナメル、ネールケア溶液、ネールリムーバー、マスカラ、アンチエイジング、ヘアーカラー、頭髪用化粧料、オーラルケア、マッサージオイル、角栓ゆるめ液、ファンデーション、コンシーラー、スキンクリーム、マーキングペン等の筆記用具等のインク、液状の医薬品、泥状物等を始めとした液状や、ゼリー状、ゲル状、ペースト状を含む練り状等の半固体や軟固形状等を用いることが可能である。
図1に示すように、充填物押出容器100は、充填物Lが充填される充填領域1xを内部に備えた先筒である充填部材1と、その前半部に充填部材1の後半部を内挿して当該充填部材1を同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結する本体筒(本体)2と、この本体筒2の後端部に相対回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結された操作筒(操作体)3と、を外形構成として具備し、充填部材1、本体筒2により容器前部が構成されると共に、操作筒3により容器後部が構成されている。
そして、この充填物押出容器100は、内部に、操作筒3に同期回転可能且つ軸線方向移動不能に連結された螺子筒4と、本体筒2に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に螺子筒4に第一の螺合部8を介して螺合し、容器前部を構成する本体筒2(充填部材1でも可)と容器後部を構成する操作筒3とが一方向に相対回転されると前進し所定の前進限まで前進すると前進が停止し、本体筒2と操作筒3とが一方向の反対方向である他方向に相対回転されると後退し所定の後退限まで後退すると後退が停止する移動螺子筒5と、操作筒3に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に移動螺子筒5に第二の螺合部9を介して螺合し、本体筒2と操作筒3とが一方向に相対回転されると移動螺子筒5に伴われて前進すると同時に単独でも前進し、移動螺子筒5が前進限に達し本体筒2と操作筒3とがさらに同方向に相対回転されると単独で前進し、本体筒2と操作筒3とが他方向に相対回転されると移動螺子筒5に伴われて後退すると同時に単独でも後退し、移動螺子筒5が後退限に達すると移動螺子筒5と共に後退が停止する移動体6と、この移動体6の先端部に装着されて充填領域1xの後端を形成するピストン(押出部)7と、を概略備えている。
図6及び図7に示すように、本体筒2は、円筒状に構成され、その軸線方向中央部の内周面に、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びるローレット2aを有している。このローレット2aは、その前半部が充填部材1を回転方向に係合するためのもので、その後半部が移動螺子筒5を回転方向に係合するためのものであり、当該後半部が、移動螺子筒5の回り止め部(回り止め機構)60の一方を構成する回り止めとされている。このローレット2aの凸部は、前半部に比して後半部の方が突出高さが多少高くされている(軸心側に多少多く突出している)。
また、本体筒2の先端部の内周面には、充填部材1を軸線方向に係合するための環状凸凹部2bが設けられている。さらに、本体筒2の後部側の内周面でローレット2aの後ろには、当該ローレット2aの後面に当接するようにして環状突部2cが形成されている。この環状突部2cは、操作筒3を軸線方向に係合するためのものであり、図6に示すように、ローレット2aの凸部より突出高さが多少高くされている(軸心側に多少多く突出している)。
操作筒3は、図8〜図10に示すように、有底円筒状に構成された本体部3xと、この本体部3xの底部中央に、先端側に向かうように立設された軸体3yと、を備える構成とされている。
本体部3xは、先端側に外径が小径とされる先端筒部3aを具備し、この先端筒部3aの先端部の外周面には、円環状の鍔部3bが、本体筒2の環状突部2cに軸線方向に係合するものとして設けられている。また、図9及び図10に示すように、先端筒部3aの先端部の内周面には、先端から凹設される円環状の凹部3iが設けられている。また、先端筒部3aの先端側の内周面で凹部3iの後ろには、内周面に沿う円弧状の凸部3cが軸線を挟み対向して一対設けられ、この一対の凸部3cを設けることで当該一対の凸部3c同士の間に周方向に沿って円弧状の凹部3dが一対対向して形成されている。これらの凸部3c及び凹部3dは、螺子筒4を回転方向に係合するためのものである。
また、先端筒部3aの円弧状凸部3cを含む位置には、図8〜図10に示すように、内外を連通し円弧状を成すスリット3eが、軸線を挟み対向して一対設けられている。このスリット3eは、螺子筒4を軸線方向に係合するためのものである。さらに、先端筒部3aの外周面でスリット3eより後側の位置には、環状溝部3fが設けられている。この環状溝部3fには、操作筒3と本体筒2との間に良好な回転抵抗を与えると共に径方向のガタツキを防止するためのOリング15が装着されている(図1参照)。
図8及び図10に示すように、軸体3yは、非円形の外形を有する構成とされている。具体的には、軸体3yは、円柱体の外周面に、周方向に沿って六等配の位置に半径方向外方に突出するように配置されて軸線方向に延びる突条3gを備える横断面非円形形状とされている。この突条3gが、移動体6の回り止め部(回り止め機構)50の一方を構成する回り止めとされる。
そして、これらの本体部3x及び軸体3yを備える操作筒3は、図1に示すように、その先端筒部3aから本体筒2に内挿され、先端筒部3aとこれより後側で大径の有底筒部との間の段差面3hが本体筒2の後端面に突き当てられ、その鍔部3bが本体筒2の環状突部2cのローレット2a側の端面に軸線方向に係合することで、本体筒2に回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着されている。
螺子筒4は、図11〜図14に示すように、円筒状に構成され、その先端部の外周面に、操作筒3の凹部3iに収容される円環状の鍔部4aを有している。この螺子筒4の軸線方向中程の外周面には、軸線を挟み対向する位置に外周面に沿い円弧状を成して円周方向に延びる一対の突条4bが、操作筒3のスリット3eに軸線方向に係合するものとして設けられると共に、この一対の突条4b同士の間の外周面には、外周面に沿い円弧状を成す一対の凸部4cが、操作筒3の凸部3c,3c同士間に回転方向に係合するものとして設けられている。この凸部4cは、組立時に操作筒3の凸部3c,3c同士間への進入を容易とするように、後端(進入側)が後方に突出する略山形形状とされている。
また、図11及び図13に示すように、螺子筒4の内周面の先端から後部近くに亘っては、第一の螺合部(螺合機構)8の一方を構成する雌螺子4dが設けられ、この雌螺子4dの後端から螺子筒4の後端までは、雌螺子4dよりも小径を成すように内側に膨出する膨出部4eとされている。ここで、雌螺子4dは、本実施形態では、四条螺子とされている。
この螺子筒4は、図1に示すように、その後端部から操作筒3に内挿されて、その鍔部4aが操作筒3の凹部3iに突き当てられて収容され、その突条4bが操作筒3のスリット3eに進入して軸線方向に係合すると共に、その凸部4cが操作筒3の凸部3c,3c同士間の凹部3dに進入して(図9及び図11参照)回転方向に係合することで、操作筒3に同期回転可能且つ軸線方向移動不能に装着されている。すなわち、操作筒3と螺子筒4とは一体化されている。
移動体6は、図15〜図18に示すように、先端側に鍔部6aを有する円筒状に構成され、その鍔部6aより後側から後端部に亘る外周面に、第二の螺合部(螺合機構)9の一方を構成する雄螺子6bを備えている。この雄螺子6bの前側に位置する鍔部6aの外形は、図15、図17及び図18に示すように、円形形状の外周に二平面部6aaを対向して設けた形状とされている。
また、図15〜図17に示すように、移動体6の鍔部6aの前側には、鍔部6aより小径を成す小径鍔部6cが連設され、この小径鍔部6cより前側で当該小径鍔部6cより小径を成す筒部の外周面に、軸線方向に幅広の環状溝部6dが形成されている。この幅広の環状溝部6d及び小径鍔部6cの前側の面6eは、ピストン7を軸線方向移動可能に係合するためのものである。
また、図16〜図18に示すように、移動体6の筒孔である内周面は、先端側が横断面六角形状の小径孔(図18参照)にされると共に、この小径孔より後方が長尺で横断面円形状の大径孔とされ、この大径孔の周面の周方向に沿って六等配の位置に、放射状に内側に所定長突出し軸線方向に延びる突条6fが設けられている。この突条6fが、移動体6の回り止め部(回り止め機構)50の他方を構成する回り止めとされている。
この移動体6は、図1に示すように、操作筒3の軸体3yに外挿され、その突条6fが操作筒3の軸体3yの突条3g,3g間に進入して回転方向に係合することで、操作筒3に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に装着されている。
ピストン7は、例えばプラスチック等の樹脂より成り、図19に示すように、先端に向けて先細りとされた釣り鐘形状を呈し、後端面から先端側に向けて外面に倣うように凹設された凹部7aを備えている。このピストン7の内面の軸線方向の中程には、後方に向かって短尺に延びる円筒部7dが設けられ、この円筒部7dの内周面には環状突部7bが設けられている。この環状突部7b及び円筒部7dの後端面7fは、移動体6に軸線方向移動可能に係合するためのものである。また、ピストン7には、その後端部の外周面に、充填部材1の内周面に密着し水密性を確保するための環状突部7cが設けられている。
このピストン7は、図1、図20及び図21に示すように、移動体6に外挿され、その環状突部7bが、移動体6の幅広の環状溝部6dに進入することで、移動体6に回転可能且つ軸線方向移動可能(所定の範囲内を移動可能;詳しくは後述)に装着されている。なお、ピストン7と移動体6とを同期回転可能に構成することも可能である。そして、ピストン7は、図1に示す初期状態の充填物押出容器100にあっては、図20に示すように、その環状突部7bの後端側の根元が移動体6の環状溝部6dの後端面に当接すると共にその円筒部7dの後端面7fが移動体6の小径鍔部6cの前側の面6eに当接する状態とされている。
移動螺子筒5は、樹脂による射出成形品とされ、図22〜図25に示すように、円筒状に構成され螺子部を有する本体部5aと、この本体部5aの軸線方向中程より多少後端側の外周面に連設されて先端部近くまで延び本体部5aを囲繞するように取り囲むバネ部5bとを有して一体化されている。
バネ部5bは、所謂樹脂バネと称されるもので、先端側及び後端側を除く部分が軸線方向に伸縮性を有する圧縮バネ(付勢手段)5fとされている。このバネ部5bの後端側の外周面には、軸線方向に所定長延びる突条5cが、本体筒2のローレット2aの後半部に回転方向に係合するものとして設けられている。ここでは、突条5cは、型成形の容易性等を考慮して、図22及び図25に示すように、軸線を挟み対向して三対が設けられ、この三対の突条と三対の突条同士の間に軸線を挟み対向して一対が設けられている。これらの突条5cが、移動螺子筒5の回り止め部(回り止め機構)60の他方を構成する回り止めとされている。
一方、円筒状を成す本体部5aには、図22〜図24に示すように、後端側の外周面に、第一の螺合部(螺合機構)8の他方を構成する螺合突起5eが対向して一対設けられていると共に、図22、図24及び図25に示すように、先端側の内周面に、第二の螺合部(螺合機構)9の他方を構成する雌螺子5dが設けられている。一対の螺合突起5eは、螺子筒4の四条螺子に対応するものである。
この移動螺子筒5は、図1に示すように、移動体6に外挿されると共に本体筒2に内挿され、さらに、後端部が螺子筒4に内挿され、その雌螺子5dが移動体6の雄螺子6bに螺合し、移動螺子筒5の先端面が移動体6の鍔部6aの後端面に突き当てられ、その螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dに螺合し当該雌螺子4dの後端に達すると共に移動螺子筒5の後端面が螺子筒4の膨出部4eに突き当てられ、且つ、移動螺子筒5のバネ部5bの後端面5gが螺子筒4の先端面4f及び操作筒3の本体部3xの先端面3jに当接し、この状態で、その突条5cが、本体筒2のローレット2aの後半部に回転方向に係合することで、本体筒2に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に連結されている。
このような移動螺子筒5の螺合突起5e及び螺子筒4の雌螺子4dより構成された第一の螺合部8、移動螺子筒5の雌螺子5d及び移動体6の雄螺子6bより構成された第二の螺合部9にあっては、図13及び図24に示すように、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされている。ここで、リードとは、螺子を一回転した時に軸方向に進む距離のことである。
そして、図1及び図29に示すように、本体筒2のローレット2aの後半部及び移動螺子筒5のバネ部5bの突条5cより構成された移動螺子筒5の回り止め部60、操作筒3の軸体3yの突条3g及び移動体6の突条6fより構成された移動体6の回り止め部50、第一、第二の螺合部8,9を備えた押出機構、螺子筒4、移動螺子筒5、移動体6、ピストン7が、本体筒2、操作筒3から成る本体側筒体に内蔵され、図29に示すように、本体側組立品40が構成されている。
充填部材1は、図1に示すように、内部の充填領域1xに充填物Lを充填するためのものであると共に、当該充填物Lを使用者による操作に従って先端部から吐出するためのものである。この充填部材1の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等の射出成形されたプラスチックであることが好ましく、充填物Lの色調や充填状況を確認できるように透明材や充填物Lの色を施した着色材を用いるのが好ましい。
この充填部材1は、図26〜図29に示すように、円筒形状を成すと共に先端が先細りして閉じられる形状とされ、その先端部の外面1aが、所定の方向に傾斜する傾斜面とされている。また、この充填部材1の先端部には、図28に示すように、その外面1aの裏面に、外面1aに対して一定の肉厚を隔てて傾斜面とされる内面1bが形成されていると共に、当該内面1bと外面1aとを連通する吐出口(容器先端の開口部)1cが設けられている。この吐出口1cは、図26及び図27に示すように、本実施形態では一個設けられている。そして、先端部の傾斜する外面1aが、吐出口1cを通して吐出される充填物Lを被塗布部に塗布するための塗布部とされている。この塗布部としての外面1aは、例えば皮膚等の被塗布部等に対する塗布に好適な傾斜面とされている。なお、吐出口1cの個数は、複数個であっても良い。
また、充填部材1の外周面には、図26〜図28に示すように、軸線方向略中央部に、本体筒2の先端側の開放端に突き当てるべく外径が大径とされた鍔部1dが設けられると共に、この鍔部1d寄りの前側の位置に、充填部材1の鍔部1dより前側を覆うキャップ10(図1参照)を着脱可能に軸線方向に係止するための突部(所謂ダボ)1eが、周方向に沿って三個等間隔に離間して設けられている。
また、充填部材1の外周面には、鍔部1d寄りの後側の位置に、周方向に沿って所定長延びる円弧状の突条が一対対向して設けられ、この突条と当該突条より前側の部分により凹凸部1fが一対対向して構成され、本体筒2の環状凸凹部2bに軸線方向に係合するものとして設けられている。また、充填部材1の外周面の凹凸部1fより後側の位置で周方向の四等配の位置には、軸線方向に延びる突条1gが、本体筒2のローレット2aの前半部に回転方向に係合するものとして設けられている。さらに、図28に示すように、充填部材1の後端部の内周面には、後側に開放されて短尺に先端側に向かう空気抜き溝1iが設けられている。
この充填部材1は、その後部側から本体筒2に内挿され、図1に示すように、鍔部1dの後端面が本体筒2の先端側の開放端に当接し、凹凸部1fが、本体筒2の環状凸凹部2bに軸線方向に係合すると共に、突条1gが、本体筒2のローレット2aの前半部に回転方向に係合することで、本体筒2に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着され、当該本体筒2と一体化されている。この状態で、充填部材1の後端面と移動螺子筒5のバネ部5bの先端面との間には、移動螺子筒5が前進するための所定の空間が設けられている。なお、この所定の空間は無くても良い。そして、この充填部材1に対しては、図1に示すように、キャップ10が着脱可能に装着されている。
次に、このような構成を有する充填物押出容器100の組立手順の一例について図29を参照しながら説明する。先ず、操作筒3に螺子筒4を装着し、次いで、この操作筒3にOリング15を装着し、次いで、この操作筒3に本体筒2を装着し、操作筒組立品を得る。一方、移動体6に対しては移動螺子筒5を螺子込む。この場合、移動螺子筒5を最後まで螺子込まずに、移動螺子筒5を螺子筒4に最後まで螺子込む時の回転によって移動体6が移動する移動量分を残した位置で螺子込みを完了する。この移動量分を残すにあたっては、治具を用いて移動螺子筒5の軸線方向の位置決めをするのが好ましい。そして、移動体6にピストン7を装着し、移動体組立品を得る。
次いで、この移動体組立品を上記操作筒組立品の本体筒2の開口側から挿入し、移動体6の突条6fを操作筒3の軸体3yの突条3g,3g間に係合させながら当該移動体6を軸体3yに外挿していくと共に、移動螺子筒5の突条5cを本体筒2のローレット2aの後半部に回転方向に係合させながら当該移動螺子筒5を本体筒2に内挿していき、移動螺子筒5のバネ部5bの先端(開放端)を、筒状の治具によりバネ部5bの付勢力に抗する方向(図29の右側)に付勢しながら、操作筒3を繰り戻し方向に回転し止まる位置まで回転する。この操作筒3の繰り戻し方向への回転により、第一の螺合部8が螺合し螺合作用が働き、移動螺子筒5の回り止め部60との協働により、移動螺子筒5が螺子筒4に最後まで螺子込まれていくと共に、第二の螺合部9の螺合作用が働き、移動体6の回り止め部50との協働により、移動螺子筒5に対して最後まで螺子込まれていない移動体6が途中位置から最後まで螺子込まれ、本体側組立品40が得られる。
また、本体側組立品40の組立手順の他の例として、移動体6に対して移動螺子筒5を最後まで螺子込んで移動体組立品を得、次いで、この移動体組立品を上記と同様な操作筒組立品の本体筒2の開口側から挿入し、移動体6を操作筒3の軸体3yに外挿係合すると共に、移動螺子筒5を本体筒2に内挿係合し、移動螺子筒5のバネ部5bの先端を、筒状の治具によりバネ部5bの付勢力に抗する方向に付勢しながら、操作筒3を一旦繰り出し方向に回転し、この操作筒3の繰り出し方向への回転により、第二の螺合部9の螺合作用を働かせて、移動体6の回り止め部50との協働により、移動体6を移動螺子筒5に対して前進させ上記と同様な移動体6の繰り戻し方向への移動量分を確保し、次いで、操作筒3を繰り戻し方向に回転し止まる位置まで回転し、本体側組立品40を得るようにしても良い。
一方、充填部材1にあっては、吐出口1cをシール12で塞ぎ逆さにした状態で、充填領域1xに所定量の充填物Lを充填し満たして充填部材1の先端内に空間が無い状態とする。そして、この充填物Lが充填された充填部材1に対して、上方から本体側組立品40の先端側を外挿し、ピストン7を充填部材1に挿入しながら、本体筒2に充填部材1を装着する。
このとき、充填部材1は、その内周面が、ピストン7の水密性を確保するための環状突部7cに摺接しながら、本体筒3に係合される。この係合時にあっては、図1に示すように、充填部材1の内周面の空気抜き溝1iが、ピストン7の環状突部7cを軸線方向に横切るようにして位置するため、当該空気抜き溝1iを通して充填物側の空気が後方側へ良好に抜かれる。
この充填部材1の装着完了時にあっては、図1に示すように、充填部材1に充填された充填物Lと充填部材1に挿入されたピストン7との間には、多少の空間Aが残されている。ここで、この空間Aは、ピストン7の全面の前側に形成されている。このような空間Aが形成されているのは、充填物Lが充填された充填部材1を本体側組立品40に組み付けピストン7が充填部材1に挿入される構成にあって充填物Lとピストン7との間の隙間を0にしようとすると、充填物Lがピストン7により押し出されて充填部材1から出現してしまう虞があるからであり、本実施形態では、これを避けるために、空間Aを設けるようにしている。
そして、最後に、シール12を剥がせば、図1に示す初期状態の充填物押出容器100が得られる。このシール12は、使用者(消費者)が購入してから剥がすと衛生的である。この初期状態の充填物押出容器100にあっては、上記組立時に、充填部材1とピストン7とが摺接しピストン7が後方に押れるため、ピストン7と移動体6との位置関係は図20に示す状態にある。
このように構成された充填物押出容器100によれば、図29に示すように、充填物Lが充填された充填部材1が、本体側組立品40の先端側に挿入されて装着される構成のため、充填物Lを充填部材1に充填後の組み立てが容易であると共に、この充填物Lが、充填部材1の先端の内側と本体側組立品40のピストン7との間の充填領域1xに十分に満たされる。
そして、図1に示す初期状態の充填物押出容器100にあっては、使用者によりキャップ10が取り外されて本体筒2と操作筒3とが上記一方向である繰り出し方向に相対回転されると、移動螺子筒5の螺合突起5e及び螺子筒4の雌螺子4dより構成された第一の螺合部8の螺合作用が作動し、本体筒2のローレット2aの後半部及び移動螺子筒5の突条5cより構成された移動螺子筒5の回り止め部60との協働により、移動螺子筒5が前進する。これと同時に、移動螺子筒5の雌螺子5d及び移動体6の雄螺子6bより構成された第二の螺合部9の螺合作用が作動し、操作筒3の軸体3yの突条3g及び移動体6の突条6fより構成された移動体6の回り止め部50との協働により、移動体6が前進する。すなわち、移動体6は、移動螺子筒5に伴われて前進すると同時に単独でも前進する。
このとき、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、移動螺子筒5は大きく前進し、移動体6自体は小さく前進する。従って、移動体6は、図1に示す初期状態の位置から、図2に示すように、移動螺子筒5の大きい前進量に移動体6自体の小さい前進量を加えた分、前進する。また、このように第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、移動螺子筒5は第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く前進する。
そして、図1に示す初期状態、すなわち空気抜き溝1iが空間Aの空気を逃がすために通気を開としている状態から、ピストン7が充填部材1内を摺接しながら所定量前進すると、空間Aの空気が空気抜き溝1iを通して後方に良好に逃がされ、図2に示すように、空間Aが直ちに無くされると共に、空気抜き溝1iの通気が閉とされ、ピストン7と充填物Lとが充填部材1内において気密に接した状態とされる。なお、空間Aが残ると、ピストン7が前進し空気を圧縮することにより先端からの充填物Lの出現の遅れ等が発生し好ましくないが、本実施形態では、上述のように、ピストン7の前進により空間Aが直ちに無くされるようになっている。
そして、このように移動螺子筒5が素早く前進すると、図2に示すように、移動螺子筒5のバネ部5bの先端面が充填部材1の後端面に当接し、本体筒2と操作筒3との繰り出し方向への相対回転に従って、移動螺子筒5のバネ部5bの圧縮バネ5fが圧縮されて付勢力を蓄えながら、移動螺子筒5の本体部5aが前進し当該移動螺子筒5の螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dの先端4f(図13参照)から外れ、第一の螺合部8の螺合が解除される。
この螺合解除の状態にあっては、移動螺子筒5の圧縮バネ5fの付勢力により当該移動螺子筒5の本体部5aは後方側へ付勢される。従って、本体筒2と操作筒3との繰り出し方向への相対回転がさらに続けられると、後方に付勢されている移動螺子筒5の本体部5aの螺合突起5eが、螺子筒4における雌螺子4dの回転方向隣の先端4fに進入し第一の螺合部8が螺合復帰する。そして、本体筒2と操作筒3との繰り出し方向への相対回転がさらに続けられると、移動螺子筒5の圧縮バネ5fが圧縮されながら移動螺子筒5の本体部5aが前進して当該移動螺子筒5の螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dの先端4fから外れて螺合が解除され、そして、さらなる同方向への相対回転により螺合復帰し、このような第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰が繰り返される。
ここで、移動体6に装着されたピストン7と充填領域1x(充填部材1の内周面)との間には摺動抵抗が生じていて、この摺動抵抗が、移動螺子筒5の圧縮バネ5fの付勢力により第一の螺合部8を螺合復帰させる際に、第二の螺合部9を介して移動体6に働く圧縮バネ5fの付勢力の抵抗となり、場合によっては、圧縮バネ5fの付勢力では第一の螺合部8が螺合復帰しない虞があるが、本実施形態においては、前述したように、移動体6がピストン7に対して軸線方向に所定量移動可能とされている。
すなわち、移動体6は、図20に示す位置から、第一の螺合部8の螺合が解除されて圧縮バネ5fの付勢力により第二の螺合部9を介して後方に付勢されると、図21に示すように、ピストン7と充填領域1xとの間の摺動抵抗を受けること無くピストン7に対して後方に移動し、移動体6の環状溝部6dの先端面がピストン7の環状突部7bの先端側の根元に当接する位置において第一の螺合部8が螺合復帰する。そして、本体筒2と操作筒3との繰り出し方向へのさらなる相対回転により、移動螺子筒5の圧縮バネ5fが圧縮されながら移動螺子筒5の本体部5aが前進すると、第二の螺合部9を介して移動体5が前進し図20に示す状態とされて第一の螺合部8の螺合が解除される。このように、ピストン7と充填領域1xとの間の摺動抵抗を受けること無く、移動体6は、ピストン7に対して図20及び図21に示す所定の軸線方向の短い範囲内を行き来し、第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰とが繰り返され、第一の螺合部8は円滑且つ良好に螺合復帰するようになっている。
そして、このように第一の螺合部8の螺合作用が働いて移動螺子筒5が所定量前進して前進限に達し、本体筒2と操作筒3との繰り出し方向への相対回転が続けられて、第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰が繰り返される状態(第一の螺合部8の螺合作用が実質的には作動していない状態)にあっては、第二の螺合部9の螺合作用のみが働き、移動体6の回り止め部50との協働により、図3に示すように、移動体6のみが前進する。なお、この移動体6のみの前進時にあっては、前述したように、第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰の繰り返しにより、移動体6は、上記所定の軸線方向の短い範囲内を繰り返し行き来している上で前進する。
ここで、移動螺子筒5が前進限に達し移動体6のみが前進している状態では、前述したように、本体筒2と操作筒3との繰り出し方向への相対回転により第一の螺合部8の螺合解除と螺合復帰が繰り返されているため、これによりクリック感が生じ、繰り出し方向への相対回転の度合いや移動体6の移動具合が使用者に好適に感知される。
そして、この本体筒2と操作筒3との繰り出し方向へのクリック感を伴う相対回転により移動体6のみが前進し、先端のピストン7により充填物Lが押し出されて吐出口1cを通して出現する。
このとき、第一の螺合部8のリードに比して第二の螺合部9のリードが小さくされているため、移動体6は第二の螺合部9の小さいリードに従いゆっくりと繰り出され充填物Lが適度に充填部材1の吐出口1cから吐出して使用状態にされる。
また、前述したように移動螺子筒5の素早い前進により、図2に示すように、空間Aが無くされていて、図3に示すように、充填部材1の先端の内側とピストン7との間の充填領域1xには充填物Lが隙間無く満たされているため、充填物Lは移動体6のみの前進により直ちに吐出口1cから吐出される。
そして、使用後にあって、本体筒2と操作筒3とが上記他方向である繰り戻し方向(繰り出し方向とは逆方向)へ相対回転されると、後方に付勢されている移動螺子筒5の螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dの先端4f(図13参照)に進入し第一の螺合部8が螺合復帰し、本体筒2と操作筒3との繰り戻し方向への相対回転がさらに続けられると、第一の螺合部8の螺合作用が支障無く作動し、移動螺子筒5の回り止め部60との協働により、移動螺子筒5が後退する。これと同時に、第二の螺合部9の螺合作用が作動し、移動体6の回り止め部50との協働により、移動体6が後退する。すなわち、移動体6は、移動螺子筒5に伴われて後退すると同時に単独でも後退する。
このとき、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、移動螺子筒5は大きく後退し、移動体6自体は小さく後退する。従って、移動体6は、図3に示す状態の位置から、移動螺子筒5の大きい後退量に移動体6自体の小さい後退量を加えた分、後退する。また、このように第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、移動螺子筒5は第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く後退し、移動体6も移動螺子筒5に伴われて素早く後退する。
この移動螺子筒5及び移動体6(ピストン7)の素早い後退により、充填部材1の吐出口1cから充填物Lが充填領域1xに吸引されると共に、図4に示すように、充填部材1の吐出口1cより内側に所定の空間Bが直ちに形成される。従って、充填部材1の先端部の外面1aに残る充填物Lが少なくされて経済的である。
そして、本体筒2と操作筒3との繰り戻し方向への相対回転により、移動螺子筒5が所定量後退し(移動螺子筒5が前進量と同量分後退し)、移動螺子筒5の螺合突起5eが螺子筒4の雌螺子4dの後端に達し移動螺子筒5のバネ部5bの後端面5gが螺子筒4の先端面4f及び操作筒3の本体部3xの先端面3jに当接し後退限に達する(図1参照)と、第一の螺合部8の螺合作用が停止して本体筒2と操作筒3との繰り戻し方向へのそれ以上の相対回転が停止する。すなわち、本体筒2と操作筒3とを繰り戻し方向へそれ以上相対回転することができなくなり、移動体6の後退も停止する。
このように、本体筒2と操作筒3との繰り戻し方向への相対回転により、後退限から一定量以上前進した任意の位置にある移動体6は、一定量を越えては後退しない。具体的には、移動体6は、移動螺子筒5が前進限から後退限まで後退する所定量に、移動螺子筒5が前進限から後退限まで後退する際の移動体6自体の小さい後退量を加えた分を越えては後退しない。従って、本体筒2と操作筒3との繰り戻し方向への相対回転により、移動体6の戻し過ぎが防止される。
なお、本体筒2と操作筒3との繰り戻し方向への相対回転により、例えば前進限にある移動螺子筒5を後退限まで後退させない場合(図4に示す状態の場合)、具体的には、本体筒2と操作筒3とを使用者の操作により繰り戻し方向へ然程相対回転させない場合で、移動体6を一定量未満(一定量に達しない範囲内)で後退させる操作であっても、充填部材1の吐出口1cより内側に所定の空間Bが同様に形成されると共に、移動体6が一定量に達しない範囲内で後退していて戻り過ぎてはいない。
そして、本体筒2と操作筒3との繰り戻し方向への相対回転により、前進した任意の位置にある移動体6が後退している状態にあっては、充填領域1xに充填された充填物L及び当該充填物Lに混入する空気が、温度変化や気圧の変化により膨張しても、上記吐出口1cより内側に設けられた所定の空間Bにより、充填物Lの吐出口1cからの漏出が防止されている。
この状態、すなわち移動螺子筒5及び移動体6を繰り戻した状態から、充填物Lを使用状態とすべく、使用者により再度本体筒2と操作筒3とが繰り出し方向に相対回転されると、前述したのと同様に、第一の螺合部8の螺合作用が作動し、移動螺子筒5の回り止め部60との協働により、移動螺子筒5が前進すると共に、第二の螺合部9の螺合作用が作動し、移動体6の回り止め部50との協働により、移動体6が前進する。
このとき、移動螺子筒5は第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く前進し、この移動螺子筒5の素早い前進に伴われて移動体6も素早く前進し、上記所定の空間Bが直ちに無くされる。また、前述したように移動体6の戻し過ぎが防止されているため、充填物Lが吐出口1cからなかなか出現しないということが防止されている。そして、以降は上記と同様な動作となり、このような動作が繰り返される。
また、図5に示すように、本体筒2と操作筒3との繰り出し方向への相対回転により、ピストン7が最大に前進すると、当該ピストン7が充填部材1の先端部の内面1bに当接し、充填領域1xの充填物Lが殆ど使い切られる。
このように、本実施形態の充填物押出容器100によれば、本体筒2と操作筒3とが一方向である繰り出し方向に相対回転されると移動体6が前進し、容器内に充填された充填物Lが押し出され容器先端の開口部である吐出口1cから出現して使用状態とされる一方で、使用後に、本体筒2と操作筒3とが一方向とは反対の他方向である繰り戻し方向に相対回転されると、前進した任意の位置にある移動体6が後退する。このため、使用後に、容器先端の吐出口1cより内側に所定の空間Bが形成され、充填物L及び当該充填物Lに混入する空気が、温度変化や気圧の変化により膨張しても、容器先端の吐出口1cより内側に設けられている所定の空間Bにより、充填物Lが吐出口1cから漏出することが防止され、品質が高められている。また、本体筒2と操作筒3とが繰り戻し方向に相対回転されると、前進した任意の位置にある移動体6は一定量後退し停止する、換言すれば、一定量を越えては後退しないため、移動体6の戻し過ぎが防止され、次回の使用時に充填物Lが吐出口1cからなかなか出現しないということが無くされ、使用性(使いやすさ)の向上が図られている。
また、本体筒2と操作筒3とが繰り出し方向に相対回転されて第一の螺合部8の螺合が解除されると、圧縮バネ5fの付勢力により、第一の螺合部8が螺合復帰する構成としているため、本体筒2と操作筒3とが繰り戻し方向に相対回転されると、第一の螺合部8の螺合作用が支障無く働き、移動体6が後退するようになっている。また、繰り出し方向への相対回転が続けられる場合には、第一の螺合部8の螺合解除と圧縮バネ5fによる螺合復帰が繰り返されるため、これによりクリック感が生じ、繰り出し方向への相対回転の度合いや移動体6の移動具合が使用者に感知されるようになっている。
また、移動体6は、第二の螺合部9の一方である雄螺子6bを有し、この第二の螺合部9の他方である移動螺子筒5の雌螺子5dが、付勢手段である圧縮バネ5fにより第一の螺合部8の螺合復帰方向に付勢され、移動体6の先端には、充填領域1x内を摺動して充填物Lを押し出すためのピストン7が装着され、移動体6は、ピストン7に対して軸線方向に所定量移動可能とされているため、第一の螺合部8の螺合解除時にあって、移動体6は、ピストン7と充填領域1xとの間の摺動抵抗を受けること無く圧縮バネ5fの付勢力により軸線方向に所定量移動され、これにより、第一の螺合部8は円滑且つ良好に螺合復帰するようになっている。
また、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、本体筒2と操作筒3とが繰り出し方向に相対回転されると、移動体6が第一の螺合部8の大きい(粗い)リードに従い素早く前進して所定の空間Aや空間Bが直ちに無くされ、繰り出し方向の相対回転が続けられて第一の螺合部8の螺合が解除されると、今度は移動体6が第二の螺合部9の小さい(細かい)リードに従いゆっくりと前進して充填物Lが適度に容器先端の吐出口1cから出現して使用状態にされ、使用後に本体筒2と操作筒3とが繰り戻し方向に相対回転されると、移動体6が第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く後退して上記所定の空間Bが直ちに形成され、その結果、使用性(使いやすさ)が一層向上されている。
なお、このように第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードを大きくすることで、移動螺子筒5に連れられる移動体6の進退を素早くする一方で、移動体6のみの前進による充填物Lの吐出を適度にゆっくりとするようにしているが、第一の螺合部8のリードと第二の螺合部9のリードとを同じとしたり、さらには、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードを小さくすることも可能である。
また、充填部材1の本体側組立品40に対する装着完了時に、充填部材1に充填された充填物Lと充填部材1に挿入されたピストン7との間には空間Aがある構成としているため、充填物Lが充填部材1から確実に出現しないようになっている。
また、充填部材1に通気部である空気抜き溝1iを設けているため、上記空間Aの空気が空気抜き溝1iを介して良好に逃がされるようになっている。
また、本実施形態においては、第一、第二の螺合部8,9による二重螺旋構造であるため、充填物押出容器100の軸線方向長を節約しながら充填領域長を確保できるという利点もある。
なお、充填部材1を透明にすることにより、先端部にキャップ10をした状態で充填部材1の鍔部1dを通して充填物Lの色を確認することができる。
図30〜図34は、本発明の第二実施形態に係る充填物押出容器の各状態を示す各縦断面図、図35は、本体筒を示す破断斜視図、図36及び図37は、中間部材を示す各図、図38及び図39は、移動体を示す各図、図40及び図41は、移動螺子筒を示す各図、図42及び図43は、回転部材を示す各図、図44及び図45は、螺子筒を示す各図、 図46は、充填部材を示す縦断斜視図である。
図30に示すように、充填物押出容器200は、両端が開口された筒状の充填部材101と、この充填部材101の内部の充填領域101zに充填された充填物Lと、その前部に充填部材101の後部を内挿して当該充填部材101を相対回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結する本体筒(本体)103と、を外形構成として具備し、充填部材101により容器前部が構成されると共に、本体筒103により容器後部が構成されている。
そして、この充填物押出容器200は、内部に、本体筒103に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結された螺子筒104と、充填部材101に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結された回転部材110と、本体筒103に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に連結されると共に回転部材110を軸線方向に弾性的に押え軸線方向に離脱不能とする中間部材111と、回転部材110に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に螺子筒104に第一の螺合部108を介して螺合し、容器前部を構成する充填部材101と容器後部を構成する操作筒103とが一方向である繰り出し方向に相対回転されると前進し所定の前進限まで前進すると前進が停止し、充填部材101と本体筒103とが一方向の反対方向の他方向である繰り戻し方向に相対回転されると後退し所定の後退限まで後退すると後退が停止する移動螺子筒105と、本体筒103に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に移動螺子筒105に第二の螺合部109を介して螺合し、充填部材101と本体筒103とが一方向に相対回転されると移動螺子筒105に伴われて前進すると同時に単独でも前進し、移動螺子筒105が前進限に達し充填部材101と本体筒103とがさらに同方向に相対回転されると単独で前進し、充填部材101と本体筒103とが他方向に相対回転されると移動螺子筒105に伴われて後退すると同時に単独でも後退し、移動螺子筒105が後退限に達すると移動螺子筒105と共に後退が停止する移動体106と、この移動体106の先端部に装着され充填部材101内に挿入されて摺動するピストン(押出部)7と、を概略備えている。
本体筒103は、図35に示すように、有底円筒状に構成された本体部103xと、この本体部103xの底部中央に、先端側に向かうように立設された軸体103yと、を備える構成とされている。
本体部103xは、その先端部の内周面に、中間部材111を軸線方向に係合するための環状凸凹部(凸凹部が軸線方向の並ぶもの)103aを備えると共に、この環状凸凹部103aより後側の内周面に、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びるローレット103bを、中間部材111を回転方向に係合するためのものとして備えている。また、本体部103xは、その底部側の内周面に、周方向に沿って多数が並設されて底部から先端側に向かって延びる突条103cを、螺子筒104を回転方向に係合するためのものとして備えている。
軸体103yは、円柱体の外周面に周方向に沿う六等配の位置に半径方向外方に突出するように配置されて軸線方向に延びる突条103dを備える横断面非円形形状とされ、この突条103dが、移動体106の回り止め機構(回り止め部)150の一方を構成する回り止めとされている。
中間部材(回転部材押え部材)111は、樹脂による射出成形品とされ、図36及び図37に示すように、後部側のバネ部111yと、このバネ部111yより前側の本体部111xと、を備える段付き円筒状とされている。
本体部111xは、軸線方向中程の外面が径方向に拡大した鍔部111aを具備し、この鍔部111aより後側の外周面に、環状凹凸部(凹凸部が軸線方向の並ぶもの)111bを、本体筒103の環状凸凹部103aに軸線方向に係合するものとして備えている。また、本体部111xの環状凹凸部111bとバネ部111yとの間の外周面には、周方向に沿って複数が並設されて軸線方向に延びる突条111dが、本体筒103のローレット103bに回転方向に係合するものとして設けられている。また、本体部111xの鍔部111aより前側の外周面には、図30に示すキャップ112を着脱可能に軸線方向に係止するための突部(所謂ダボ)111cが、周方向に沿って複数設けられている。
バネ部111yは、本体部111xの後側に一体的に連設され、軸線方向に伸縮可能とされている所謂樹脂バネであり、充填部材101と本体筒103との相対回転時に、良好な摺動回転抵抗を与えるためのものである。このバネ部111yは、切欠の形状により強度を変えることが可能であり、また、無くすことも可能である。
これらの本体部111x及びバネ部111yを備える中間部材111は、図30に示すように、その鍔部111aより後側の部分が本体筒103に内挿され、鍔部111aの後端面が本体筒103の先端面に突き当てられ、その突条111dが本体筒103のローレット103bに回転方向に係合すると共にその環状凹凸部111bが本体筒103の環状凸凹部103aに軸線方向に係合することで、本体筒103に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着され、本体筒103と一体化されている。
移動体106は、樹脂による射出成形品とされ、図38及び図39に示すように、先端側に鍔部106aを有する円筒状に構成され、その鍔部106aより後側から後端に亘る外周面に、第二の螺合部(螺合機構)109の一方を構成する雄螺子106bを備えている。この雄螺子106bの前側に位置する鍔部106aの外形は、円形形状の外周に二平面部106aaを対向して設けた形状とされている。
また、移動体106の鍔部106aの前側は、鍔部106aより小径を成す円筒部とされ、この円筒部の先端に小径鍔部106cを備えることで、小径鍔部106cと鍔部106aとの間に、軸線方向に幅広の環状溝部106dが形成されている。この幅広の環状溝部106dは、ピストン7を軸線方向移動可能に係合するためのものである。
また、移動体106の筒孔である内周面は、横断面円形状の孔とされ、この孔の周面の周方向に沿って六等配の位置に、放射状に内側に所定長突出し軸線方向に延びる突条106fが設けられている。この突条106fが、移動体106の回り止め部(回り止め機構)150の他方を構成する回り止めとされている。
この移動体106は、図30に示すように、本体筒103の軸体103yに外挿され、その突条106fが本体筒103の軸体103yの突条103d,103d間に進入して回転方向に係合することで、本体筒103に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に装着されている。
ピストン7は、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等、比較的柔らかい素材より成形されているもので、その形状は第一実施形態と同じである(図19参照)。
このピストン7は、図32に示すように、移動体106に外挿され、その環状突部7bが、移動体106の環状溝部106dに進入することで、移動体106に回転可能且つ軸線方向移動可能(所定の範囲内を移動可能)に装着されている。なお、ピストン7と移動体106とを同期回転可能に構成することも可能である。そして、ピストン7は、図30に示す初期状態の充填物押出容器200にあっては、図32に示すように、その円筒部7dの後端面7fが移動体106の鍔部106aの前側の面に当接する状態とされている。
移動螺子筒105は、樹脂による射出成形品とされ、図40及び図41に示すように、後端側に鍔部105aを有する円筒状に構成され、鍔部105aより前側が外径小径部105x、後側が外径大径部105yとされている。この外径大径部105yの外周面には、第一の螺合部(螺合機構)108の一方を構成する雄螺子としての螺合突起(円弧状の突条)105eが複数設けられている。
この移動螺子筒105の外径小径部105xには、軸線方向中程の外周面に、周方向に沿って四等配の位置に軸線方向に延びる突条105bが、回転部材110を回転方向に係合するものとして設けられている。
また、移動螺子筒105には、その外径小径部105xの先端から突条105bの近傍まで延び内外を連通するスリット105nが、軸線を挟んだ両側に一対設けられていると共に、このスリット105nの根元部分に周方向に所定長延びる長孔105cが連設されている。これらのスリット105n及び長孔105cの機能については後述する。
そして、移動螺子筒105の外径小径部105xには、その先端部の内面に、第二の螺合部(螺合機構)109の他方を構成する雌螺子105dが、スリット105n,105nを横切り半円弧状を成すようにして設けられている。
このような構成を有する移動螺子筒105の雌螺子105dは、雌螺子105dを形成する螺子部を外周面に有するコアピン(成形型)により成形される。このコアピンは、樹脂成形時の樹脂硬化後に軸線方向先端側又は後端側に引き抜かれる所謂無理抜きとなるが、この無理抜きの際に、スリット105n,105nにより、移動螺子筒105の先端部が径方向外側に開き、雌螺子105dに損傷を与えること無くコアピンが容易に引き抜かれるようになっている。また、移動螺子筒105の先端部が径方向外側に開く際に、スリット105n,105nの根元部分に作用する応力が、長孔105c,105cにより分散され、移動螺子筒105に損傷を与えることが防止されている。このように、移動螺子筒105は、モータやラック等を用いてコアピンを回し抜きしたりするのでは無く無理抜きを可能とする構成のため、迅速な成形が可能であり、製造コストや金型コストの低減が図られている。
そして、この移動螺子筒105は、図30に示すように、移動体106に外挿され、その雌螺子105dが移動体106の雄螺子106bに螺合した状態とされている。
回転部材110は、樹脂による射出成形品とされ、図42及び図43に示すように、後部側のバネ部110yと、このバネ部110yより前側の本体部110xと、を備える段付き円筒状とされている。
本体部110xは、後方側に行くに従って段階的に外径が大とされ、後部に、螺子筒104を軸線方向に押えるための鍔部110aを具備し、この鍔部110aより前側の外周面に、周方向に沿って複数が並設される突部110bが、中間部材111のバネ部111yに押圧されるものとして設けられている。また、本体部110xの突部110bより前側の外周面には、充填部材101の後端面を突き当てるための鍔部110cが設けられると共に、この鍔部110cより前側の外周面には、環状凸凹部(回転部材の係止部)110dが、充填部材101を軸線方向に係合するものとして設けられている。さらに、本体部110xの環状凸凹部110dより前側の外周面には、周方向に沿って複数が並設されて軸線方向に延びる突条(回転部材の係止部)110eが、充填部材101を回転方向に係合するものとして設けられている。また、本体部110xの内周面には、周方向に沿って複数の位置に軸線方向に延びる突条110fが、移動螺子筒105の突条105bに回転方向に係合するものとして設けられている。
バネ部110yは、本体部110xの後側に一体的に連設され、軸線方向に伸縮可能とされている所謂樹脂バネであり、付勢手段としての圧縮バネとして働く。
これらの本体部110x及びバネ部110yを備える回転部材110は、図30に示すように、移動螺子筒105に外挿され、突部110bが中間部材111のバネ部111yに押圧されることで、軸線方向前側への離脱が阻止され、この状態で、突条110fが移動螺子筒105の突条105bに回転方向に係合することで、移動螺子筒105を同期回転可能且つ軸線方向移動可能としている。そして、この状態で、回転部材110のバネ部110yの後端面と移動螺子筒105の鍔部105aとの間には、移動螺子筒105が前進するための所定の空間が設けられている。なお、この所定の空間は無くても良い。
螺子筒104は、樹脂による射出成形品とされ、図44及び図45に示すように、段付き円筒状に構成され、後側の小径部104yと、段差面104cを介してこれより前側の大径部104xとを備えている。小径部104yの外周面には、周方向に沿って複数が並設されて軸線方向に延びる突条104aが、本体筒103の突条103cに回転方向に係合するものとして設けられている。この小径部104yの内周面は、大径部104xの内周面より小径とされ、この小径部104yの内周面に、第一の螺合部(螺合機構)108の他方を構成する雌螺子104dを備えている。
この螺子筒104は、図30に示すように、本体筒103と移動螺子筒105との間に挿入され、その先端面が、回転部材110の鍔部110aに押し当てられることで、その段差面104cが本体筒103の突条103cの先端面に当接した状態で、その突条104aが本体筒103の突条103cに回転方向に係合し、本体筒103に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着されている。また、この状態で、螺子筒104の雌螺子104dが、移動螺子筒105の螺合突起105eに螺合した状態とされている。
このような移動螺子筒105の螺合突起105e及び螺子筒104の雌螺子104dより構成された第一の螺合部108、移動螺子筒105の雌螺子105d及び移動体106の雄螺子106bより構成された第二の螺合部109にあっては、図41及び図45に示すように、第二の螺合部109のリードに比して第一の螺合部108のリードが大きくされている。
そして、図30に示すように、第一、第二の螺合部108,109、移動体106の突条106f及び本体筒103の軸体103yの突条103dより構成された回り止め部150を備える押出機構、螺子筒104、移動螺子筒105、移動体106、ピストン7、回転部材110が、本体筒103及び中間部材111から成る本体側筒体に設けられ(内蔵され)本体側組立品が構成されている。
なお、螺子筒104、移動螺子筒105、移動体106、回転部材110、中間部材111は、POM(ポリアセタール)、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)等の摺動性の高い射出成形用素材を用いるのが好ましい。
充填部材101は、図30に示すように、内部に充填物Lを充填するためのものであると共に、当該充填物Lを使用者による操作に従って先端部から出現させるためのものである。この充填部材101及びキャップ112は、ABS、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PCT(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)系のPETG、PCTG、PCTA等の射出成形用素材で成形され、充填物Lの色調や充填状況を確認できるように透明材や、充填物Lの色やその他の色を施した着色材を用いるのが好ましい。
図30及び図46に示すように、充填部材101は、段付き円筒状を成し、後側の小径部101yと、段差面101eを介してこれより前側の大径部101xとを備えている。大径部101xは、先端が先細りして閉じられる形状とされ、その先端部の外面101fが、所定の方向に傾斜する傾斜面とされている。また、この充填部材101の先端部には、図46に示すように、その外面101fの裏面に、外面101fに対して一定の肉厚を隔てて傾斜面とされる内面101gが形成されていると共に、当該内面101gと外面101fとを連通する吐出口(容器先端の開口部)101aが設けられている。この吐出口101aは、本実施形態では複数個設けられている。そして、先端部の傾斜する外面101fが、吐出口101aを通して吐出される充填物Lを被塗布部に塗布するための塗布部とされている。この塗布部としての外面101fは、例えば皮膚等の被塗布部等に対する塗布に好適な傾斜面とされている。なお、吐出口101aの個数は、一個であっても良い。
充填部材101の小径部101yの後端部の内周面には、環状凹凸部(容器前部の係止部)101bが、回転部材110の環状凸凹部110dに軸線方向に係合するものとして設けられていると共に、この環状凹凸部101bより前側の内周面には、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びるローレット(容器前部の係止部)101cが、回転部材110の突条110eに回転方向に係合するものとして設けられ、さらに、このローレット101cより前側の内周面には、後側に開放されて短尺に先端側に向かう空気抜き溝101iが、通気部として設けられている。
この充填部材101は、図30に示すように、その後部側から回転部材110及びピストン7と中間部材111との間に挿入され、後端面が回転部材110の鍔部110cに当接し、環状凹凸部101bが回転部材110の環状凸凹部110dに軸線方向に係合すると共に、ローレット101cに回転部材110の突条110eが回転方向に係合することで、回転部材110に同期回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着され、当該回転部材110と一体化されている。この回転部材110は、前述したように、本体筒103と一体化された中間部材111のそのバネ部111yにより軸線方向前側への離脱が阻止されると共に移動螺子筒105と同期回転可能とされ、この移動螺子筒105は、第二の螺合部109を介して移動体106に螺合し、この移動体106は、本体筒103に同期回転可能とされているため、当該充填部材101は本体筒103に対して回転可能且つ軸線方向離脱不能に装着されている。また、充填部材101の後端部内には、ピストン7が当該充填部材101と密接するようにして挿入されている。
そして、中間部材111に対してキャップ112が着脱可能に装着されることで、充填部材101はキャップ112により保護されている。
次に、このような構成を有する充填物押出容器200の組立手順の一例について図30を参照しながら説明する。先ず、移動体106に対して移動螺子筒105を初期位置まで螺子込む。または、強制的に螺子山を乗り越えさせて初期位置まで押し込む。次いで、回転部材110の突条110f,110f間に移動螺子筒105の突条105bが係合するように移動螺子筒105に回転部材110を外挿し、次いで、移動体106にピストン7を装着し、さらに、移動螺子筒105の外径大径部105yに螺子筒104の大径部104xから挿入し、移動螺子筒105の外周面の螺合突起105eに螺子筒104の内周面の雌螺子104dを螺合させ、繰り戻し方向に止まる位置まで回転し、仮組品を得る。
次いで、仮組品を本体筒103の開口側から挿入し、移動体106の突条106fを本体筒103の軸体103yの突条103d,103d間に係合させながら当該移動体106を軸体103yに外挿していくと共に、螺子筒104の突条104aを本体筒103の突条103c,103c間に係合させながら当該螺子筒104を本体筒103に内挿する。次いで、本体筒103に対して中間部材111を内挿して装着し、中間部材111により回転部材110及び当該回転部材110を介して螺子筒104を軸線方向前側へ離脱不能とし本体側組立品が得られる。
一方、充填部材101にあっては、先端の吐出口101aを第一実施形態と同様なシールで塞ぎ逆さにした状態で、充填領域101zに所定量の充填物Lを充填し満たして充填部材101の先端内に空間が無い状態とする。そして、この充填物Lが充填された充填部材101に対して、上方から本体側組立品の先端側を外挿し、ピストン7を充填部材101に挿入しながら、本体筒103(中間部材111)に充填部材101を装着する。このとき、充填部材101は、その内周面が、ピストン7の水密性を確保するための環状突部7cに摺接しながら、本体筒103に係合される。
この充填部材101の装着完了時にあっては、充填部材101の内周面の空気抜き溝101iが、ピストン7の環状突部7cを軸線方向に横切るようにして位置するするため、当該空気抜き溝101iを通して充填物側の空気が後方側へ良好に抜かれる。
この充填部材101の装着完了時にあっては、図30に示すように、充填部材101に充填された充填物Lと充填部材101に挿入されたピストン7との間には、多少の空間Yが残されている。ここで、この空間Yは、第二実施形態では、ピストン7の中央前側の空気は抜けピストン7の周縁の前側のみに形成されている。このような空間Yが形成されているのは、第一実施形態と同様に、充填物Lが充填された充填部材101を本体側組立品に組み付けピストン7が充填部材101に挿入される構成にあって充填物Lとピストン7との間の隙間を0にしようとすると、充填物Lがピストン7により押し出されて充填部材101から出現してしまう虞があるからである。
そして、このようにして得られた充填物押出容器からシールを外すと、図30に示すように、充填部材101の先端内に空間が無い初期状態の充填物押出容器200が得られる。
そして、図30に示す初期状態の充填物押出容器200にあっては、使用者によりキャップ112が取り外されて充填部材101と本体筒103とが繰り出し方向に相対回転されると、第一の螺合部108の螺合作用が作動し、回り止め部150との協働により、移動螺子筒105が前進する。これと同時に、第二の螺合部109の螺合作用が作動し、回り止め部150との協働により、移動体106が前進する。すなわち、移動体106は、移動螺子筒105に伴われて前進すると同時に単独でも前進する。
このとき、第二の螺合部109のリードに比して第一の螺合部108のリードが大きくされているため、移動螺子筒105は大きく前進し、移動体106自体は小さく前進する。従って、移動体106は、図30に示す初期状態の位置から、移動螺子筒105の大きい前進量に移動体106自体の小さい前進量を加えた分、前進する。また、このように第二の螺合部109のリードに比して第一の螺合部108のリードが大きくされているため、移動螺子筒105は第一の螺合部108の大きいリードに従い素早く前進する。
そして、図30に示す初期状態、すなわち空気抜き溝101iが空間Yの空気を逃がすために通気を開としている状態から、上記のようにピストン7が充填部材101内を摺接しながら所定量前進すると、空間Yの空気が空気抜き溝101iを通して後方側へ良好に逃がされ、図31に示すように、空間Yが直ちに無くされると共に、空気抜き溝101iの通気が閉とされ、ピストン7と充填物Lとが充填部材101内において気密に接した状態とされる。
そして、このように移動螺子筒105が素早く前進すると、移動螺子筒105の鍔部105aが回転部材110のバネ部110yの後端面に当接し、充填部材101と本体筒103との繰り出し方向への相対回転に従って、回転部材110のバネ部110yが圧縮されて付勢力を蓄えながら、移動螺子筒105が前進し当該移動螺子筒105の螺合突起105eが螺子筒104の雌螺子104dの先端から外れ、第一の螺合部108の螺合が解除される。
この螺合解除の状態にあっては、回転部材110のバネ部110yの付勢力により移動螺子筒105は後方側へ付勢される。従って、充填部材101と本体筒103との繰り出し方向への相対回転がさらに続けられると、後方に付勢されている移動螺子筒105のその螺合突起105eが、螺子筒104における雌螺子104dの回転方向隣の先端に進入し第一の螺合部108が螺合復帰する。そして、充填部材101と本体筒103との繰り出し方向への相対回転がさらに続けられると、回転部材110のバネ部110yが圧縮されながら移動螺子筒105が前進して当該移動螺子筒105の螺合突起105eが螺子筒104の雌螺子104dの先端から外れて螺合が解除され、そして、さらなる同方向への相対回転により螺合復帰し、このような第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰が繰り返される。
ここで、移動体106に装着されたピストン7と充填部材101の内周面との間には摺動抵抗が生じていて、この摺動抵抗が、回転部材110のバネ部110yの付勢力により第一の螺合部108を螺合復帰させる際に、第二の螺合部109を介して移動体106に働くバネ部110yの付勢力の抵抗となり、場合によっては、回転部材110のバネ部110yの付勢力では第一の螺合部108が螺合復帰しない虞があるが、本実施形態においては、前述したように、移動体106がピストン7に対して軸線方向に所定量移動可能とされている。
すなわち、移動体106は、第一の螺合部108の螺合が解除されて回転部材110のバネ部110yの付勢力により第二の螺合部109を介して後方に付勢されると、ピストン7と充填部材101の内周面との間の摺動抵抗を受けること無くピストン7に対して後方に移動し、移動体106の環状溝部106dの先端面がピストン7の環状突部7bの先端側の根元に当接する位置において第一の螺合部108が螺合復帰する。そして、充填部材101と本体筒103との繰り出し方向へのさらなる相対回転により、回転部材110のバネ部110yが圧縮されながら移動螺子筒105が前進すると、第二の螺合部109を介して移動体106が前進し第一の螺合部108の螺合が解除される。このように、ピストン7と充填部材101の内周面との間の摺動抵抗を受けること無く、移動体106は、ピストン7に対して所定の軸線方向の短い範囲(移動体106の環状溝部106d)内を行き来し、第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰とが繰り返され、第一の螺合部108は円滑且つ良好に螺合復帰するようになっている。
そして、このように第一の螺合部108の螺合作用が働いて移動螺子筒105が所定量前進して前進限に達し、充填部材101と本体筒103との繰り出し方向への相対回転が続けられて、第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰が繰り返される状態(第一の螺合部108の螺合作用が実質的には作動していない状態)にあっては、第二の螺合部109の螺合作用のみが働き、移動体106の回り止め部150との協働により、図32に示すように、移動体106のみが前進する。なお、この移動体106のみの前進時にあっては、前述したように、第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰の繰り返しにより、移動体106は、上記所定の軸線方向の短い範囲内を繰り返し行き来している上で前進する。
ここで、移動螺子筒105が前進限に達し移動体106のみが前進している状態では、前述したように、充填部材101と本体筒103との繰り出し方向への相対回転により第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰が繰り返されているため、これによりクリック感が生じ、繰り出し方向への相対回転の度合いや移動体106の移動具合が使用者に好適に感知される。
そして、この充填部材101と本体筒103との繰り出し方向へのクリック感を伴う相対回転により移動体106のみが前進し、先端のピストン7により充填物Lが押し出されて吐出口101aを通して出現する。
このとき、第一の螺合部108のリードに比して第二の螺合部109のリードが小さくされているため、移動体106は第二の螺合部109の小さいリードに従いゆっくりと繰り出され充填物Lが適度に充填部材101の吐出口101aから出現して使用状態にされる。
また、初期状態で充填部材101の先端内には空間が無いと共に、前述したように移動螺子筒105の素早い前進により、図31に示すように、空間Yが直ちに無くされるため、充填物Lは直ちに吐出口101aから出現する。
なお、初期状態から使用する等の場合にあっては、移動螺子筒105が前進限に達しなくても、充填物Lは吐出口101a通して出現することになる。
そして、使用後にあって、充填部材101と本体筒103とが繰り戻し方向へ相対回転されると、後方に付勢されている移動螺子筒105の螺合突起105eが螺子筒104の雌螺子104dの先端に進入し第一の螺合部108が螺合復帰し、充填部材101と操作筒103との繰り戻し方向への相対回転がさらに続けられると、第一の螺合部108の螺合作用が支障無く作動し、移動体106の回り止め部150との協働により、移動螺子筒105が後退する。これと同時に、第二の螺合部109の螺合作用が作動し、移動体106の回り止め部150との協働により、移動体106が後退する。
このとき、第二の螺合部109のリードに比して第一の螺合部108のリードが大きくされているため、移動螺子筒105は大きく後退し、移動体106自体は小さく後退する。従って、移動体106は、移動螺子筒105の大きい後退量に移動体106自体の小さい後退量を加えた分、後退する。また、このように第二の螺合部109のリードに比して第一の螺合部108のリードが大きくされているため、移動螺子筒105は第一の螺合部108の大きいリードに従い素早く後退し、移動体106も移動螺子筒105に伴われて素早く後退する。
この移動螺子筒105及び移動体106(ピストン7)の素早い後退により、図33に示すように、充填部材101の吐出口101cから充填物Lが充填領域101zに吸引されると共に、充填部材101の吐出口101aより内側に所定の空間B1が直ちに形成される。
そして、この充填部材101と本体筒103との繰り戻し方向への相対回転により、移動螺子筒105が所定量後退し(移動螺子筒105が前進量と同量分後退し)、移動螺子筒105の螺合突起105eが螺子筒104の雌螺子104dの後端に達し移動螺子筒105の鍔部105aが螺子筒104の大径部104xと小径部104yとの内周段差面(図45参照)104eに当接し後退限に達すると、第一の螺合部108の螺合作用が停止して充填部材101と本体筒103との繰り戻し方向へのそれ以上の相対回転が停止する。すなわち、充填部材101と本体筒103とを繰り戻し方向へそれ以上相対回転することができなくなり、移動体106の後退も停止する。このように、第一の螺合部108の螺合作用が停止して相対回転が停止するため、回転力は螺合部108で干渉され、繰り戻し方向へさらに回転し大きなトルクがかかっても、比較的細い軸体103yにトルクがかかり捩じ切れてしまうことがない。
このように、充填部材101と本体筒103との繰り戻し方向への相対回転により、後退限から一定量以上前進した任意の位置にある移動体106は、一定量を越えては後退しない。具体的には、移動体106は、移動螺子筒105が前進限から後退限まで後退する所定量に、移動螺子筒105が前進限から後退限まで後退する際の移動体106自体の小さい後退量を加えた分を越えては後退しない。従って、充填部材101と本体筒103との繰り戻し方向への相対回転により、移動体106の戻し過ぎが防止される。
なお、充填部材101と本体筒103との繰り戻し方向への相対回転により、例えば前進限にある移動螺子筒105を後退限まで後退させない場合、具体的には、充填部材101と本体筒103とを使用者の操作により繰り戻し方向へ然程相対回転させない場合で、移動体106を一定量未満(一定量に達しない範囲内)で後退させる操作であっても、移動体106が一定量に達しない範囲内で後退していて戻り過ぎてはいない。
そして、充填部材101と本体筒103との繰り戻し方向への相対回転により、前進した任意の位置にある移動体106が後退している状態にあっては、充填領域101zに充填された充填物L及び当該充填物Lに混入する空気が、温度変化や気圧の変化により膨張しても、上記吐出口101aより内側に設けられた所定の空間B1により、充填物Lの吐出口101aからの漏出が防止されている。
この状態、すなわち移動螺子筒105及び移動体106を繰り戻した状態から、充填物Lを使用状態とすべく、使用者により再度充填部材101と本体筒103とが繰り出し方向に相対回転されると、前述したのと同様に、第一の螺合部108の螺合作用が作動し、移動螺子筒105の回り止め部150との協働により、移動螺子筒105が前進すると共に、第二の螺合部109の螺合作用が作動し、移動体106の回り止め部150との協働により、移動体106が前進する。
このとき、移動螺子筒105は第一の螺合部108の大きいリードに従い素早く前進し、この移動螺子筒105の素早い前進に伴われて移動体106も素早く前進し、上記所定の空間B1が直ちに無くされる。また、前述したように移動体106の戻し過ぎが防止されているため、充填物Lが吐出口101aからなかなか出現しないということが防止されている。そして、以降は上記と同様な動作となり、このような動作が繰り返される。
また、図34に示すように、充填部材101と本体筒103との繰り出し方向への相対回転により、ピストン7が最大に前進すると、当該ピストン7が充填部材101の先端部の内面101gに当接し、充填領域101zの充填物Lが殆ど使い切られる。
このような第二実施形態の充填物押出容器200にあっても、第一実施形態の充填物押出容器100と同様な効果を得ることができる。
因みに、この第二実施形態にあっては、キャップ112を装着した状態で当該キャップ112と本体筒103とを相対回転させても、移動体106は前進せず充填物Lが漏出することは無い。
なお、上記第一、第二実施形態においては、充填部材1,101の先端部の外面1a,101fを塗布部としているが、充填部材1,101の先端部(外面)1a,101fに、例えば発泡ウレタンや微細なネット状材等の多孔質材を設けこれを塗布部としても良く、また、外面1a,101fに細毛等を設けこれを塗布部としても良く、また、先細のテーパー加工されたポリエステル繊維を束ねて成るブラシを取り付けこれを塗布部としても良く、また、シリコンゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性体を塗布部としても良い。
ところで、上記充填物を棒状物とした場合、この棒状物を繰り出し/繰り戻しできる容器は知られているが、このような充填物押出容器にあっては、前述したのと同様な課題、すなわち、棒状物を戻し過ぎてしまい、次回の使用時に棒状物が開口部からなかなか出現せず、使用性が悪いという課題がある。
そこで、次の第三実施形態では、図47〜図51を参照しながら、このような課題が解決された充填物押出容器について説明する。図47〜図50は、本発明の第三実施形態に係る充填物押出容器の各状態を示す各縦断面図、図51は、充填部材を示す縦断斜視図である。
この第三実施形態の充填物押出容器300が第二実施形態の充填物押出容器200と違う点は、前述したように充填物を棒状物Mとすると共に、充填部材101に代えて充填部材201を用いた点であり、他の構成は第二実施形態と同様である。
なお、ここでいう棒状物とは、例えば、リップスティック、リップグロス、アイライナー、アイカラー、アイブロー、リップライナー、チークカラー、コンシーラー、美容スティック、ヘアーカラー等を始めとした種々の棒状化粧料、筆記用具等の棒状の芯等のことであり、比較的硬めのものや、非常に軟らかい(半固体状、軟固形状、軟質状、ゼリー状、ゲル状の)棒状物を含む。また、外径が1mm以下の細径芯や10mm以上の太めのものであっても良い。
図47及び図51に示すように、この第三実施形態の充填部材201は、第二実施形態の充填部材101の筒孔を、先端に開口した開口201aを備えるものである。従って、充填部材201の前側の大径部は、その先端に、棒状物Mが容器から出没する開口201aを有する大径部201xとされる。なお、充填部材201の他の構成に関しては第二実施形態の充填部材101と同様であり、材質や色等も第二実施形態と述べたのと同様である。
そして、このような構成を有する充填部材201に棒状物Mを充填する場合には、充填部材201先端の開口201aをシール部材等で塞ぎ逆さにした状態で、内部に所定量の溶融棒状物をノズルから吐出して充填部材201の先端から後端への途中まで充填し充填部材201の先端内に空間が無い状態とし冷却固化すれば良い。なお、キャップ112の内部形状を変更しシール部材と兼用することもできる。
そして、容器の組立手順に関しては第二実施形態と同様であり、得られた充填物押出容器300にあっては、充填部材201に充填された棒状物Mと充填部材201に挿入されたピストン7との間に、第一実施形態と同様な空間Zが形成される。この空間Zは、棒状物Mが充填された充填部材201の本体側組立品に対する装着の際に、棒状物Mがピストン7により押し出されて充填部材201から出現してしまうのを防止するために設けているというのはいうまでもない。
次に、充填物押出容器300の作用について簡単に説明する。図47に示す初期状態の棒状物押出容器300にあっては、使用者によりキャップ112が取り外されて充填部材201と本体筒103とが繰り出し方向に相対回転されると、第一の螺合部108の螺合作用が作動し、回り止め部150との協働により、移動螺子筒105が大きく(素早く)前進し、これと同時に、第二の螺合部109の螺合作用が作動し、回り止め部150との協働により、移動体106が小さく(ゆっくり)前進する。
そして、図47に示す初期状態、すなわち空気抜き溝101iが空間Zの空気を逃がすために通気を開としている状態から、上記のようにピストン7が充填部材201内を摺接しながら所定量前進すると、空間Zの空気が空気抜き溝101iを通して後方側へ良好に逃がされ、図48に示すように、空間Zが直ちに無くされると共に、空気抜き溝101iの通気が閉とされ、充填部材201の充填領域201zに充填された棒状物Mとピストン7とが充填部材201内において気密に接した状態とされる。
これ以降に充填部材201と本体筒103との繰り出し方向への相対回転が続けられた場合の移動体106及び移動螺子筒105の前進動作、移動螺子筒105が前進限に達した状態での第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰動作、移動体106のピストン7に対する軸線方向の短い範囲内の往復動作は、第二実施形態と同様である。そして、移動螺子筒105が前進限に達した状態で相対回転が続けられると、第二の螺合部109のみの螺合作用が働き移動体106のみがゆっくり前進し、この状態では、第二実施形態と同様に、第一の螺合部108の螺合解除と螺合復帰の繰り返しによりクリック感が生じ、クリック感を伴う相対回転により、先端のピストン7により棒状物Mがゆっくり押し出され開口201aを通して適度に出現し使用状態にされる。
そして、使用後にあって、充填部材201と本体筒103とが繰り戻し方向へ相対回転されると、第二実施形態と同様に、第一の螺合部108が螺合復帰し当該第一の螺合部108の螺合作用が作動して螺子筒105が素早く後退し、これと同時に、第二の螺合部9の螺合作用が作動し、移動体106がゆっくり後退する(図49参照)。
このように移動螺子筒5及び移動体6が後退すると、前述したように、空間Zが無くされてピストン7と棒状物Mとが充填部材201内において気密に接した状態とされているため、充填部材201内の減圧作用(密閉状態を保つ作用)により、ピストン7の後退に従って棒状物Mが充填部材201内で引き戻されて後退する。なお、棒状物Mが、例えば軟質状やゲル状の棒状物の場合には、当該棒状物Mが充填部材201に密接しやすいため、棒状物Mを後退させるのに都合が良い。
そして、この充填部材201と本体筒103との繰り戻し方向への相対回転により、移動螺子筒105が所定量後退し(移動螺子筒105が前進量と同量分後退し)、移動螺子筒105が後退限に達すると、第一の螺合部108の螺合作用が停止して充填部材201と本体筒103との繰り戻し方向へのそれ以上の相対回転が停止し、充填部材201と本体筒103とを繰り戻し方向へそれ以上相対回転することができなくなり、移動体106の後退も停止する。
すなわち、充填部材201と本体筒103との繰り戻し方向への相対回転により、後退限から一定量以上前進した任意の位置にある移動体106は、一定量を越えては後退せず、移動体106の戻し過ぎが防止される。
そして、この状態から、棒状物Mを使用状態とすべく、使用者により再度充填部材201と本体筒103とが繰り出し方向に相対回転されると、前述したのと同様に、第一の螺合部108の螺合作用が作動し、回り止め部150との協働により、移動螺子筒105が素早く前進すると共に、第二の螺合部109の螺合作用が作動し、回り止め部150との協働により、移動体106がゆっくり前進する。
このとき、前述したように移動体106の戻し過ぎが防止されているため、棒状物Mが開口201aからなかなか出現しないということが防止されている。そして、以降は上記と同様な動作となり、このような動作が繰り返される。
また、図50に示すように、充填部材201と本体筒103との繰り出し方向への相対回転により、ピストン7が最大に前進すると、棒状物Mが殆ど使い切られる。
このような第三実施形態の充填物押出容器300にあっても、使用後の繰り戻し方向の相対回転によりピストン7が繰り戻されて容器先端の内側に所定の空間B1が形成され当該空間B1により充填物の漏出が防止されるという効果以外は、第二実施形態の充填物押出容器200と同様な効果を得ることができる。
加えて、第三実施形態によれば、筒状の充填部材201のみに棒状物Mが充填されるため、充填部材201の肉厚が比較的均一で棒状物Mの径方向の太さが軸線方向に沿って一定とされ、溶融棒状物を充填してから固化するまでの温度条件を安定させることが可能とされている。
また、第三実施形態によれば、棒状物Mが充填された充填部材201を本体側組立品に組み付ける構成のため、軟らかい半固形状の棒状物や細く脆い棒状物や軟質状やジェル状の棒状物であっても充填部材201に安全に保護されるという効果もある。
なお、この第三実施形態の構成、すなわち、充填物を棒状物Mとして、この棒状物Mを充填した充填部材201を用いる構成は、第一実施形態の充填物押出容器100に対しても同様に適用できる。
因みに、充填部材201の内周面が先端側へ行くに従って徐々に先細りする形状(テーパ形状)としたり、充填部材201の先端の開口201aをこれより後側の筒孔(充填部材201の筒孔)より狭めるようにすると、特に軟らかい棒状物を保持できると共に、保管時に外的衝撃があっても棒状物Mが抜け落ちることが防止され安全に保持される。また、このように充填部材201の先端の開口201aを狭めるようにすると、一旦固化した棒状物Mが、狭い開口201aを絞りながらピストン7により押し出されるため、組成が崩れ軟らかくなり、程良い使用感となる。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、付勢手段として圧縮バネ5f,110yを用いているが、例えば配置を変えて引っ張りバネを用いることも可能であり、さらにはバネ以外の付勢手段を用いることも可能である。
また、上記空間A,Y,Zの空気を逃がす構成は、充填部材1,101,201の内部に設けられた空気抜き溝1i,101iに限定されるものではなく、要は、空間A,Y,Zの空気を逃がすための通気部であれば良い。このような通気部としては、例えば、充填部材1,101,201の内部と外部とを連通する空気抜き孔や、ピストン7の外部に設けられた空気抜き溝や、ピストン7の充填物L,M側と移動体6,106側とを連通する空気抜き孔等であっても良く、また、充填部材1,101,201の内部の単なる段差(先端側の内周面より後端側の内周面を大きくする段差)により空気を逃がすことも可能である。
また、充填部材1,101,201の装着完了時にピストン7と充填物L,Mとの間に形成される空間A,Y,Zは、第一、第三実施形態のようにピストン7の全面の前側に形成される場合もあり、第二実施形態のようにピストン7の周縁の前側のみに形成される場合もある。また、充填部材1,101,201の装着完了時に空気が上記通気部を介して全部抜け、空間A,Y,Zが形成されない場合もある。
また、第一〜第三実施形態において空間A,Y,Zの空気を逃がすためにピストン7を所定量前進させて空間A,Y,Zを無くす相対回転操作は、前述したように、使用者が購買後に行っても良く、また、充填物押出容器100,200,300の組み立て後に、工場で行っても良い。
また、上記実施形態において、雄螺子、雌螺子は、間欠的に配される突起群又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山と同様な働きをするものであっても良く、また、螺合突起は、連続する螺子山であっても良い。
1,101,201…充填部材(容器前部)、1c,101a…吐出口(容器先端の開口部)、1x,101z,201z…充填領域、2…本体筒(容器前部)、3…操作筒(容器後部)、4,104…螺子筒、4d,104d…螺子筒の雌螺子(第一の螺合部)、5,105…移動螺子筒、5d,105d…移動螺子筒の雌螺子(第二の螺合部の他方)、5e,105e…移動螺子筒の螺合突起(第一の螺合部)、5f,110y…圧縮バネ(付勢手段)、6,106…移動体、6b,106b…移動体の雄螺子(第二の螺合部の一方)、7…ピストン、8,108…第一の螺合部、9,109…第二の螺合部、100,200,300…充填物押出容器(容器)、101b,101c…充填部材の係止部(容器前部の係止部)、103…本体筒(容器後部)、110…回転部材、110d,110e…回転部材の係止部、201a…容器先端の開口部、L,M…充填物。