JP2007129970A - Xbp1遺伝子発現を指標とした小胞体ストレスの測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小胞体ストレスを検出する新規な評価方法の提供。
【解決手段】 小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングを受けることによる、動物組織又は細胞において発現するスプライシングされたXBP1遺伝子の変化をin vitroで検出する方法を提供する。特に、XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の5’上流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマー及び当該イントロン配列の3’下流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを、XBP1遺伝子をRT−PCRで検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせとして使用することを特徴とする、上記の方法を提供する。
【選択図】 図4
【解決手段】 小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングを受けることによる、動物組織又は細胞において発現するスプライシングされたXBP1遺伝子の変化をin vitroで検出する方法を提供する。特に、XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の5’上流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマー及び当該イントロン配列の3’下流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを、XBP1遺伝子をRT−PCRで検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせとして使用することを特徴とする、上記の方法を提供する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、小胞体ストレス誘発物質のin vitro 評価法、及び小胞体ストレスを活性化又は抑制する物質の評価方法に関する。
生体においてタンパク質は、DNAからRNAへの転写、リボゾームで翻訳合成され、さらに細胞小器官である小胞体で、タンパク質各々に固有の高次構造を形成して、初めてタンパク質としての機能を発揮することができる。小胞体では、多くの分子シャペロンタンパク質が存在しており、タンパク質の折りたたみにその機能を発揮している。このタンパク質の折り畳みが正常に機能している場合は問題ないが、外部からのストレスなどにより、タンパク質の折り畳みが正常に機能しない場合は、小胞体内に正常な高次構造を形成していない異常タンパク質が蓄積する。これが、いわゆる小胞体ストレスであり、細胞の強い負荷となる。
細胞が小胞体ストレスに陥った場合、細胞は、取るべき高次構造を形成できなかったタンパク質の分解、タンパク質の翻訳抑制、分子シャペロンタンパク質遺伝子の活性化による異常タンパク質の折り畳み促進などにより対応を図るか、アポトーシスによる細胞死を起こす。
このような小胞体ストレス応答の中で、異常タンパク質の折り畳み促進を担う分子シャペロンタンパク質遺伝子の発現は、ATF6(Activating transcription factor 6)とXBP1(X-box binding protein-1、以下、XBP1と略)によって、転写制御を受けている。さらに、XBP1は、小胞体ストレスのセンサータンパク質であるIRE1とATF6によって制御されている。この二つのタンパク質は小胞体膜に存在するが、小胞体ストレス状態になると、ATF6タンパク質の一部が切断され、細胞質に遊離し、転写因子として機能する。そして、分子シャペロンタンパク質であるGRP78やGRP94、さらに転写因子XBP1の発現を誘導する。一方、IRE1は小胞体ストレス状態になると、活性化し、RNA切断酵素活性を持ち、この活性によりXBP1 mRNAをフレームスイッチ型スプライシングという様式でスプライシングする。XBP1 mRNAは、このスプライシングにより転写因子活性をもつタンパク質をコードするようになり、分子シャペロンタンパク質の誘導をさらに協力に促進する。フレームスイッチ型スプライシングとは、スプライシングによりタンパク質の読み枠が変わり、新しいタンパク質が翻訳されるスプライシング形式である。XBP1 mRNAには、26bpのイントロンが存在し、小胞体ストレス状態に陥ると、活性化したIREのRNA切断酵素活性により、26bpのイントロンがスプライスアウトされ、これによりXBP1 mRNAは転写因子活性をもつXBP1タンパク質をコードするようになる。
近年、小胞体ストレスがアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患に関与する可能性が示唆されており、さらに、癌、虚血、糖尿病などのさまざまな疾患に関与する可能性も示唆されている。このような疾患に対して、診断または治療薬を探索するためのスクリーニング手段として、小胞体ストレスを測定することは重要と考えられる。
小胞体ストレスの指標は、いくつかあるが、小胞体ストレスのセンサータンパク質であるIRE、ATF6、ATF6、XBP1、GRP78、GRP94などが挙げられる。この中で、XBP1は、ATF6によって転写誘導され、さらにIREによってフレームスイッチ型スプライシングを受けることから、小胞体ストレスによるIREとATF6のシグナル両方を反映する転写因子であると考えられる。
XBP1を指標とする小胞体ストレスを検出する方法は、これまでにいくつか開発されているが、フレームスイッチ型スプライシングというXBP1 mRNAの性質から、スプライシングされた XBP1 mRNAとunスプライシングされた XBP1 mRNAの区別することが難しく、どの組織でも測定でき、かつ簡便、定量的、さらに特異的に測定する方法は開発されていない。現在までに開発されている方法としては、レポーター遺伝子を用いた方法が知られているが、測定対照が遺伝子導入をする操作など、煩雑性に課題が残る。
S.H.Back et al., Methods 35 (2005) 395-416
従って、本発明は、スプライシングされた XBP1遺伝子の変化を特異的・かつ簡便に検出する方法、及びスプライシングされた XBP1遺伝子を指標として、小胞体ストレスをin vitroで評価する方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、種々検討した結果、RT−PCRによる遺伝子発現測定の方法において、PCR反応操作段階の中に制限酵素処理を加えることで、スプライシングされた XBP1遺伝子を特異的に検出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、以下の発明の態様を包含する。
(1)小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングを受けることによる、動物組織又は細胞において発現するスプライシングされたXBP1遺伝子の変化をin vitroで検出する方法。
(1)小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングを受けることによる、動物組織又は細胞において発現するスプライシングされたXBP1遺伝子の変化をin vitroで検出する方法。
(2)XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の5’上流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマー及び当該イントロン配列の3’下流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを、XBP1遺伝子をRT−PCRで検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせとして使用することを特徴とする、(1)の方法。
(3)RT−PCRの際、前記動物組織又は細胞に由来するRNAから逆転写酵素を用いて合成した1本鎖XBP1 cDNAから任意のプライマーを用いて、当該1本鎖XBP1 cDNAに相補的なDNAを合成し、当該1本鎖XBP1 cDNAとそれに相補的なDNAとからなる2本鎖XBP1 cDNAの、XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列に対応する配列を任意の制限酵素で1ヶ所以上切断した後に、前記オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを用いてPCR反応を行うことを特徴とする、(2)の方法。
(4)動物組織又は細胞を被験物質と既知小胞体ストレス誘発物質とにより一緒に処理し、小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングを受けることによる、当該組織又は細胞において発現するスプライシングされたXBP1遺伝子の変化を指標に、当該被験物質が当該小胞体ストレス誘発物質の小胞体ストレス誘発活性を阻害又は活性化するかを決定することを含む、小胞体ストレス誘発物質の阻害物質又は活性化物質を評価又はスクリーニングする方法。
(5)XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の5’上流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマー及び当該イントロン配列の3’下流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを、XBP1遺伝子をRT−PCRで検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせとして使用することを特徴とする、(4)の方法。
(6)RT−PCRの際、RNAから逆転写酵素を用いて合成した1本鎖XBP1 cDNA由来の任意のプライマーを用いて、1本鎖XBP1 cDNAに相補的なDNAを合成し、当該1本鎖XBP1 cDNAとそれに相補的なDNAとからなる2本鎖XBP1 cDNAの、XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列に対応する配列を任意の制限酵素で1ヶ所以上切断した後に、前記オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを用いてPCR反応を行うことを特徴とする、(5)の方法。
本発明により、小胞体ストレスを検出する簡易な評価方法が提供される。
本発明において用いる動物の組織又は細胞は、小胞体ストレスの特性を反映して該組織及び細胞からXBP1遺伝子を発現するものであれば特に限定されない。
本発明の実施するに当たり、細胞を用いる場合、細胞を培養するための培地としては、これらの細胞を培養することができる常用の任意の培地を使用することができるが、例えば具体例としてRPMI1640培地、MEM培地、ダルベッコ改変イーグル培地等が挙げられる。これらの培地にはおよそ10%程度のウシ胎児血清を添加することが必要な場合がある。
小胞体ストレス誘発物質の評価又はスクリーニングにおいては、細胞を用いる場合は、培地中の細胞に被験物質を加え、例えばCO2インキュベーター中で、37℃にて0.1〜72時間培養(インキュベーション)を行う。細胞の初期濃度は1×105〜1×106細胞/mLが好ましい。この場合、好ましくは、被験物質を加えないで、上記の同様の培養を行い、対照とする。また、小胞体ストレスを阻害又は活性化する物質の評価又はスクリーニングにおいては、培地中の細胞に、既知の小胞体ストレス誘発物質と被験物質とを加えて、上記条件で培養(インキュベーション)を行う。この場合も、好ましくは、被験物質を加えないで上記と同様の培養を行い、対照とする。ヒト及び動物の組織を用いる場合は、経口、静脈等、一般的に用いられる投与経路により、被験物質を投与する。この場合は、被験物質を投与しない対照群を設けることが好ましい。
細胞を用いる場合、培養(インキュベーション)が終了した後、細胞からRNAを抽出し、スプライシングされたXBP1分子を検出又は測定する。ヒト及び動物の組織を用いる場合は、測定が必要と判断される任意の器官よりRNAを抽出し、スプライシングされたXBP1分子を検出又は測定する。XBP1の検出又は測定方法は、細胞における遺伝発現を検出する定量的又は定性的RT−PCR法、マイクロアレイ、ノーザンブロッティング等の方法やスプライシングされた XBP1に対する抗体との反応性に基づくエンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウスタンブロッティング等の方法を用いることができる。いずれの方法によってもXBP1の測定が可能であるが、操作の簡便性、感度、設備等の点から細胞から発現されたXBP−1分子を定性的または定量的RT-PCR法で測定するのが好ましい。
ヒトスプライシングされたXBP1の発現の測定においては、上記の細胞を常法に従って破壊し、常法に従ってRNAを調製し、このRNAに対するcDNAを合成し、XBP1(スプライシングされた形態、スプライシングされていない形態の両方)をコードする遺伝子に対して特異的なプライマーによるPCR反応を数サイクル行い、増幅された1本鎖XBP1 cDNAに相補的なDNAを合成し、両者からなる2本鎖XBP1 cDNAの、スプライシングされていない形態のXBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列に対応する配列を制限酵素で切断した後に、再度、スプライシングされたXBP1遺伝子のみをPCR反応によって増幅し、検出すればよい。また、内部標準としては、一般的に知られているGAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)遺伝子、CypA(CyclophilinA)またはβ-アクチン遺伝子に対して特異的なプライマーによるPCR増幅の検出を行えばよい。制限酵素としては特に限定するわけではないが、例えばPstI、ApaLI、BsaAI等が使用できる。
好適には、本発明において、XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の5’上流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマー及び当該イントロン配列の3’下流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを、XBP1遺伝子をRT−PCRで検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせとして使用する。
例えば本発明の具体例として、スプライシングされた XBP1を検出するためには、スプライシングされた形態のXBP1をコードするDNAの5’−末端側領域である図1(配列番号1)及びスプライシングされていない形態のXBP1をコードするDNAの5’−末端側領域である図2(配列番号2)に示す塩基配列において、例えば□で囲ったイタリック体の部位(配列番号3:5'-ccttgtagttgagaaccagg-3')に対応するオリゴヌクレオチドをフォーワードプライマーとして用い、1本下線を付した部位(5'-ccacatatataccaagcccc-3')に対応するオリゴヌクレオチド(配列番号5:5'-ggggcttggtatatatgtgg-3')をリバースプライマーとして用いることができる。しかしながら、本発明はそのような態様に限定されるものではなく、フォーワードプライマーは例えばXBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の5’上流の任意のヌクレオチド配列に対応することを条件に、上記配列番号3の一部もしくはその全体を含んでも含まなくてもよく、又は上記配列番号3において1もしくは数個のヌクレオチドが置換、欠失もしくは付加されたものであってもよく、又は高ストリンジェント条件下で上記配列番号3から成る配列に対応するオリゴヌクレオチドにハブリダイゼーション可能な対応する配列から成るオリゴヌクレオチドであってもよく、またその長さも特に制限されるものではなく、一般にヌクレオチド数が10個以上であればプライマーとして使用できるものであるため、例えば長さ10〜100ヌクレオチド、好ましくは15〜50ヌクレオチドから成るオリゴヌクレオチドであってよい。また、リバースプライマーも例えばXBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の3’下流の任意のヌクレオチド配列であることを条件に、上記配列番号4の一部もしくはその全体を含んでも含まなくてもよく、又は上記配列番号4において1もしくは数個のヌクレオチドが置換、欠失もしくは付加されたものであってもよく、又は高ストリンジェント条件下で上記配列番号4から成る配列に対応するオリゴヌクレオチドにハブリダイゼーション可能な対応する配列から成るオリゴヌクレオチドであってもよく、またその長さも特に制限されるものではなく、その長さも特に制限されるものではなく、例えば長さ10〜100ヌクレオチド、好ましくは15〜50ヌクレオチドから成るオリゴヌクレオチドであってよい。なお、ここでいう高ストリンジェント条件とは、例えばナトリウム濃度が約10〜40mM、好ましくは約20mM、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃であることを含む条件をいう。
GAPDH遺伝子発現の測定のためには、GAPDHをコードするDNAの5’−末端側の領域である図3(配列番号:6)に示す塩基配列において、例えば□で囲った部位(配列番号7:5'-gaaggtgaaggtcggagtc-3')に対応するオリゴヌクレオチドをフォーワードプライマーとして用い、一本下線を付した部位(5'-gaaatcccatcaccatcttc-3')に示す塩基配列に対応するオリゴヌクレオチド(配列番号8:5'-gaagatggtgatgggatttc-3')をリバースプライマーとして用いることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1
THP-1細胞(ATCC (American Type Culture Collection)より供与)をRPMI1640(含10%FBS)培地を用いて1×106細胞/mLに調製し、24穴プレートに1 mL/wellずつ播種した。被験物質は、滅菌水、RPMI1640(含10%FBS)培地あるいはDMSOを用いて適当な濃度に希釈した。被験物質で処理した細胞はCO2インキュベーター中で2時間培養し、培養後の培養液を遠心分離し、遠心分離後の細胞をPBS(−)により洗浄し、1mlのイソゲン(Isogen)(ニッポンジーン社)により細胞を破壊し、プラスチックチューブに回収した。この細胞破壊物を用いて、次のようにしてRNAを調製し、さらにcDNAを合成した。
細胞破壊物に0.2mlのクロロホルムを加え、撹拌後、室温に2〜3分間静置したのち、12,000×gで15分間遠心した。上部の水層にRNAが含まれるのでこれを採取し、0.5mlのイソプロパノールを加え室温に5〜10分間静置した後、12,000×gで10分間遠心した。生じた沈殿に1mlの75%エタノールを加え撹拌後12,000×gで5分間遠心した。沈殿を風乾し、滅菌水に溶解し、RNA試料とした。
実施例1
THP-1細胞(ATCC (American Type Culture Collection)より供与)をRPMI1640(含10%FBS)培地を用いて1×106細胞/mLに調製し、24穴プレートに1 mL/wellずつ播種した。被験物質は、滅菌水、RPMI1640(含10%FBS)培地あるいはDMSOを用いて適当な濃度に希釈した。被験物質で処理した細胞はCO2インキュベーター中で2時間培養し、培養後の培養液を遠心分離し、遠心分離後の細胞をPBS(−)により洗浄し、1mlのイソゲン(Isogen)(ニッポンジーン社)により細胞を破壊し、プラスチックチューブに回収した。この細胞破壊物を用いて、次のようにしてRNAを調製し、さらにcDNAを合成した。
細胞破壊物に0.2mlのクロロホルムを加え、撹拌後、室温に2〜3分間静置したのち、12,000×gで15分間遠心した。上部の水層にRNAが含まれるのでこれを採取し、0.5mlのイソプロパノールを加え室温に5〜10分間静置した後、12,000×gで10分間遠心した。生じた沈殿に1mlの75%エタノールを加え撹拌後12,000×gで5分間遠心した。沈殿を風乾し、滅菌水に溶解し、RNA試料とした。
RNA試料1μg、GeneAmp RNA PCR kit(Applied Biosystems社)に付属された試薬(ランダムヘキサマー、RNAseインヒビター、逆転写酵素(MuMLV−RT)、10×PCRバッファーII、dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を37℃、1時間反応させることにより、cDNAを合成する。次に、XBP1の発現については、フォーワードプライマーとして配列番号:3に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、AmpliTaq DNA Polymeraseを用いてPCR反応(95℃ 5分(1 cycle)、95℃ 30秒→60℃ 30秒→72℃ 30秒(2 cycle))を行った。次に反応液に制限酵素PstIを加え、37℃でインキュベーション後、再度、PCR反応(95℃ 5分(1 cycle)、95℃ 30秒→60℃ 30秒→72℃ 30秒(27 cycle)、72℃ 7分(1cycle))を行った。PCR反応産物を2%アガロース電気泳動に供し、遺伝子の発現量を測定した。なお、対照として、制限酵素処理を行わない以外は、同様の操作を行い、制限酵素の効果を検討した。
結果を図4に示す。
結果を図4に示す。
実施例2
THP-1細胞(ATCC (American Type Culture Collection)より供与)をRPMI1640(含10%FBS)培地を用いて1×106細胞/mLに調製し、24穴プレートに1mL/wellずつ播種した。被験物質は、滅菌水、RPMI1640(含10%FBS)培地あるいはDMSOを用いて適当な濃度に希釈した。被験物質で処理した細胞はCO2インキュベーター中で2時間培養し、培養後の培養液を遠心分離し、遠心分離後の細胞をPBS(−)により洗浄し、1mlのイソゲン(Isogen)(ニッポンジーン社)により細胞を破壊し、プラスチックチューブに回収した。この細胞破壊物を用いて、次のようにしてRNAを調製し、さらにcDNAを合成した。
細胞破壊物に0.2mlのクロロホルムを加え、撹拌後、室温に2〜3分間静置したのち、12,000×gで15分間遠心した。上部の水層にRNAが含まれるのでこれを採取し、0.5mlのイソプロパノールを加え室温に5〜10分間静置した後、12,000×gで10分間遠心した。生じた沈殿に1mlの75%エタノールを加え撹拌後12,000×gで5分間遠心した。沈殿を風乾し、滅菌水に溶解し、RNA試料とした。
THP-1細胞(ATCC (American Type Culture Collection)より供与)をRPMI1640(含10%FBS)培地を用いて1×106細胞/mLに調製し、24穴プレートに1mL/wellずつ播種した。被験物質は、滅菌水、RPMI1640(含10%FBS)培地あるいはDMSOを用いて適当な濃度に希釈した。被験物質で処理した細胞はCO2インキュベーター中で2時間培養し、培養後の培養液を遠心分離し、遠心分離後の細胞をPBS(−)により洗浄し、1mlのイソゲン(Isogen)(ニッポンジーン社)により細胞を破壊し、プラスチックチューブに回収した。この細胞破壊物を用いて、次のようにしてRNAを調製し、さらにcDNAを合成した。
細胞破壊物に0.2mlのクロロホルムを加え、撹拌後、室温に2〜3分間静置したのち、12,000×gで15分間遠心した。上部の水層にRNAが含まれるのでこれを採取し、0.5mlのイソプロパノールを加え室温に5〜10分間静置した後、12,000×gで10分間遠心した。生じた沈殿に1mlの75%エタノールを加え撹拌後12,000×gで5分間遠心した。沈殿を風乾し、滅菌水に溶解し、RNA試料とした。
RNA試料1μg、GeneAmp RNA PCR kit(Applied Biosystems社)に付属された試薬(ランダムヘキサマー、RNAseインヒビター、逆転写酵素(MuMLV−RT)、10×PCRバッファーII、dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を37℃、1時間反応させることにより、cDNAを合成した。次に、XBP1の発現については、フォーワードプライマーとして配列番号:3に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、Platinum SYBER Green qPCR SuperMix UDG(Invitrogen社)、ROX Reference Dye(Invitrogen社)を用いてPCR反応(95℃ 5分(1 cycle)、95℃ 30秒→60℃ 30秒→72℃ 30秒(2〜5 cycle))を行った。次に反応液に制限酵素PstIを加え、37℃でインキュベーション後、ABI PRISM(登録商標)7900HT Sequence Detection Systemを用いたReal-time PCR反応により、遺伝子の発現量を測定した。
結果を図5に示す。
結果を図5に示す。
実施例3
THP-1細胞(ATCC (American Type Culture Collection)より供与)をRPMI1640(含10%FBS)培地を用いて1×106細胞/mLに調製し、24穴プレートに1 mL/wellずつ播種した。被験物質は、滅菌水、RPMI1640(含10%FBS)培地あるいはDMSOを用いて適当な濃度に希釈した。被験物質で処理した細胞はCO2インキュベーター中で2時間培養し、培養後の培養液を遠心分離し、遠心分離後の細胞をPBS(−)により洗浄し、1mlのイソゲン(Isogen)(ニッポンジーン社)により細胞を破壊し、プラスチックチューブに回収した。この細胞破壊物を用いて、次のようにしてRNAを調製し、さらにcDNAを合成した。
細胞破壊物に0.2mlのクロロホルムを加え、撹拌後、室温に2〜3分間静置したのち、12,000×gで15分間遠心した。上部の水層にRNAが含まれるのでこれを採取し、0.5mlのイソプロパノールを加え室温に5〜10分間静置した後、12,000×gで10分間遠心した。生じた沈殿に1mlの75%エタノールを加え撹拌後12,000×gで5分間遠心した。沈殿を風乾し、滅菌水に溶解し、RNA試料とした。
THP-1細胞(ATCC (American Type Culture Collection)より供与)をRPMI1640(含10%FBS)培地を用いて1×106細胞/mLに調製し、24穴プレートに1 mL/wellずつ播種した。被験物質は、滅菌水、RPMI1640(含10%FBS)培地あるいはDMSOを用いて適当な濃度に希釈した。被験物質で処理した細胞はCO2インキュベーター中で2時間培養し、培養後の培養液を遠心分離し、遠心分離後の細胞をPBS(−)により洗浄し、1mlのイソゲン(Isogen)(ニッポンジーン社)により細胞を破壊し、プラスチックチューブに回収した。この細胞破壊物を用いて、次のようにしてRNAを調製し、さらにcDNAを合成した。
細胞破壊物に0.2mlのクロロホルムを加え、撹拌後、室温に2〜3分間静置したのち、12,000×gで15分間遠心した。上部の水層にRNAが含まれるのでこれを採取し、0.5mlのイソプロパノールを加え室温に5〜10分間静置した後、12,000×gで10分間遠心した。生じた沈殿に1mlの75%エタノールを加え撹拌後12,000×gで5分間遠心した。沈殿を風乾し、滅菌水に溶解し、RNA試料とした。
RNA試料1μg、GeneAmp RNA PCR kit(Applied Biosystems社)に付属された試薬(ランダムヘキサマー、RNAseインヒビター、逆転写酵素(MuMLV−RT)、10×PCRバッファーII、dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を37℃、1時間反応させることにより、cDNAを合成する。次に、XBP1の発現については、フォーワードプライマーとして配列番号:5に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、AmpliTaq DNA Polymeraseを用いてPCR反応(95℃ 5分(1 cycle)、95℃ 30秒→60℃ 30秒→72℃ 30秒(30 cycle)、72℃ 7分(1cycle))を行った。PCR反応産物を2%アガロース電気泳動に供し、遺伝子の発現量を測定した。
結果を図6に示す。
結果を図6に示す。
結果
実施例1では、代表的な小胞体ストレス誘発物質であるDTT(ジチオスレイトール)、ツニカマイシンによるスプライシングされたXBP1の発現の発現を、フォーワードプライマーとして配列番号:3に示す塩基配列を、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いたPCR反応で検出した(図4)。図4(A)に示すように、制限酵素PstI反応を行わないと、DTT、ツニカマイシン(Tunicamycin)によるスプライシングされたXBP1発現は、コントロールや溶媒コントロール(DMSO処理)と差が見られないが、図4(B)に示すように、制限酵素PstI反応を行うと、DTT、ツニカマイシンによるスプライシングされたXBP1発現を検出できることが明らかとなった。また、内部標準として検出しているGAPDHは、図4(C)、(D)に示すように制限酵素によって発現量に変化は見られない。また、実施例2の操作で、定量的RT−PCR反応(図5)でも、DTT、ツニカマイシン、ブレフェルディンA(Brefeldin A)によるスプライシングされたXBP1発現を検出できることが明らかとなった。また、既知の方法である実施例3で示す方法を用いて、フォーワードプライマーとして配列番号:5に示す塩基配列を、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いたPCR反応で、実施例1及び2のように制限酵素反応を行わないで、スプライシングされたXBP1発現の発現を検出した。実施例3は非特許文献1(S.H.Back et al.)に示された方法であり、プライマー設計の工夫により、スプライシングされたXBP1遺伝子を検出する方法である。図6に示すように、DTT、ツニカマイシンによるスプライシングされたXBP1発現を検出が可能であることが確認された。一方、図4(A)は、フォーワードプライマーとして配列番号:3に示す塩基配列を、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いたPCR反応であり、実施例1及び2のように制限酵素反応を行わない条件下である。この条件下では、DTT、ツニカマイシンによるスプライシングされたXBP1発現は、コントロールや溶媒コントロール(DMSO処理)と差が見られない。本発明の方法による結果である図4(B)と既知の方法の結果である図6を比較すると、コントロールや溶媒コントロール(DMSO処理)のスプライシングされたXBP1の発現が図6に比べて、図4(B)の方が低いことが分かる。つまり本発明は、既知の方法に比べて、バックグラウンドが低く定量的であることが明らかとなった。
実施例1では、代表的な小胞体ストレス誘発物質であるDTT(ジチオスレイトール)、ツニカマイシンによるスプライシングされたXBP1の発現の発現を、フォーワードプライマーとして配列番号:3に示す塩基配列を、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いたPCR反応で検出した(図4)。図4(A)に示すように、制限酵素PstI反応を行わないと、DTT、ツニカマイシン(Tunicamycin)によるスプライシングされたXBP1発現は、コントロールや溶媒コントロール(DMSO処理)と差が見られないが、図4(B)に示すように、制限酵素PstI反応を行うと、DTT、ツニカマイシンによるスプライシングされたXBP1発現を検出できることが明らかとなった。また、内部標準として検出しているGAPDHは、図4(C)、(D)に示すように制限酵素によって発現量に変化は見られない。また、実施例2の操作で、定量的RT−PCR反応(図5)でも、DTT、ツニカマイシン、ブレフェルディンA(Brefeldin A)によるスプライシングされたXBP1発現を検出できることが明らかとなった。また、既知の方法である実施例3で示す方法を用いて、フォーワードプライマーとして配列番号:5に示す塩基配列を、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いたPCR反応で、実施例1及び2のように制限酵素反応を行わないで、スプライシングされたXBP1発現の発現を検出した。実施例3は非特許文献1(S.H.Back et al.)に示された方法であり、プライマー設計の工夫により、スプライシングされたXBP1遺伝子を検出する方法である。図6に示すように、DTT、ツニカマイシンによるスプライシングされたXBP1発現を検出が可能であることが確認された。一方、図4(A)は、フォーワードプライマーとして配列番号:3に示す塩基配列を、リバースプライマーとして配列番号:4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いたPCR反応であり、実施例1及び2のように制限酵素反応を行わない条件下である。この条件下では、DTT、ツニカマイシンによるスプライシングされたXBP1発現は、コントロールや溶媒コントロール(DMSO処理)と差が見られない。本発明の方法による結果である図4(B)と既知の方法の結果である図6を比較すると、コントロールや溶媒コントロール(DMSO処理)のスプライシングされたXBP1の発現が図6に比べて、図4(B)の方が低いことが分かる。つまり本発明は、既知の方法に比べて、バックグラウンドが低く定量的であることが明らかとなった。
Claims (6)
- 小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングを受けることによる、動物組織又は細胞において発現するスプライシングされたXBP1遺伝子の変化をin vitroで検出する方法。
- XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の5’上流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマー及び当該イントロン配列の3’下流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを、XBP1遺伝子をRT−PCRで検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせとして使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
- RT−PCRの際、前記動物組織又は細胞に由来するRNAから逆転写酵素を用いて合成した1本鎖XBP1 cDNAから任意のプライマーを用いて、当該1本鎖XBP1 cDNAに相補的なDNAを合成し、当該1本鎖XBP1 cDNAとそれに相補的なDNAとからなる2本鎖XBP1 cDNAの、XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列に対応する配列を任意の制限酵素で1ヶ所以上切断した後に、前記オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを用いてPCR反応を行うことを特徴とする、請求項2記載の方法。
- 動物組織又は細胞を被験物質と既知小胞体ストレス誘発物質とにより一緒に処理し、小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングを受けることによる、当該組織又は細胞において発現するスプライシングされたXBP1遺伝子の変化を指標に、当該被験物質が当該小胞体ストレス誘発物質の小胞体ストレス誘発活性を阻害又は活性化するかを決定することを含む、小胞体ストレス誘発物質の阻害物質又は活性化物質を評価又はスクリーニングする方法。
- XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列の5’上流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマー及び当該イントロン配列の3’下流の任意のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列から成るオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを、XBP1遺伝子をRT−PCRで検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせとして使用することを特徴とする、請求項4記載の方法。
- RT−PCRの際、RNAから逆転写酵素を用いて合成した1本鎖XBP1 cDNA由来の任意のプライマーを用いて、1本鎖XBP1 cDNAに相補的なDNAを合成し、当該1本鎖XBP1 cDNAとそれに相補的なDNAとからなる2本鎖XBP1 cDNAの、XBP1 mRNA配列のフレームスイッチ型スプライシングを受けるイントロン配列に対応する配列を任意の制限酵素で1ヶ所以上切断した後に、前記オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを用いてPCR反応を行うことを特徴とする、請求項5記載の方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20170048206A (ko) * | 2015-10-23 | 2017-05-08 | 한국생명공학연구원 | XBP-1(X-box binding protein 1) 유전자를 이용한 소포체 스트레스 분석용 조성물 |
-
2005
- 2005-11-11 JP JP2005327423A patent/JP2007129970A/ja not_active Withdrawn
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