JP2007129102A - 補正情報算出方法及び露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】露光精度を向上することができる補正情報算出方法を提供する。
【解決手段】走査型露光装置のレチクルステージの動作の制御に適用される補正情報を算出する方法である。誤差計測露光処理時のスリット光の幅を、通常露光時に用いられるスリット光の幅と異なる幅に変更し(S11)、当該異なる幅のスリット光でレチクルとウエハとを同期移動させつつ露光し(S12)、ウエハ上の転写像の設計値からのズレ量を誤差情報として計測し(S13)、当該誤差情報をレチクルステージの動作制御の目標値に対する補正値とする(S14)。
【選択図】 図5
【解決手段】走査型露光装置のレチクルステージの動作の制御に適用される補正情報を算出する方法である。誤差計測露光処理時のスリット光の幅を、通常露光時に用いられるスリット光の幅と異なる幅に変更し(S11)、当該異なる幅のスリット光でレチクルとウエハとを同期移動させつつ露光し(S12)、ウエハ上の転写像の設計値からのズレ量を誤差情報として計測し(S13)、当該誤差情報をレチクルステージの動作制御の目標値に対する補正値とする(S14)。
【選択図】 図5
Description
本発明は、可動ステージの移動を制御するために用いられる補正情報を算出する補正情報算出方法、及び該補正情報算出方法を用いる露光方法に関する。
半導体素子等の製造のためのフォトリソグラフィ工程においては、パターンが形成されたマスクとウエハとをそれぞれステージ装置によって同期移動させつつ、スリット状の光で該ウエハ上のショットを逐次露光するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置が用いられている。ステージ装置のマスク又はウエハが保持される可動ステージの位置は、可動ステージが備える移動鏡に対してレーザ干渉計からのレザー光を照射し、その反射光と所定の参照光とを干渉させて相対位置変化を求めることにより計測され、この計測結果に基づいて可動ステージの移動が制御される。
ここで、ウエハを保持するウエハステージ装置の可動ステージ(以下、ウエハステージということがある)に対するマスクを保持するマスクステージ装置の可動ステージ(以下、マスクステージということがある)の移動が、レーザ干渉計の計測結果上(即ち、見かけ上)は正確に追従していても、移動鏡に曲がりやうねり等(以下、移動鏡曲がりということがある)の誤差、あるいは可動ステージの動作に依存した動的な誤差等がある場合には、ウエハステージに対するマスクステージの実際の動作は、これらの誤差分だけ追従していないこととなり、この状態でマスクのパターンを介してウエハを露光すれば、当該誤差分だけ露光精度が悪化する。
従って、干渉計では見えないこのような誤差(以下、見えない誤差ということがある)を計測し、当該誤差を相殺するように補正しつつ可動ステージの移動を制御する必要がある。当該見えない誤差の補正方法としては、例えば、マスク上に配設された複数のマーク(アライメントマーク、空間像計測用マーク(AISマーク)等)を可動ステージを順次位置決めしつつ二次元センサ等によりそれぞれ静止計測して、各計測結果の対応する設計値からの各ズレ量を、ステージ移動の目標値に加算する方法がある。また、この方法では不十分な場合には、配列的に形成されたマークを有する基準マスクを介してスリット光を照射して、理想的なショット形状に相当する格子等が形成された基準ウエハ(基準ショット)を実際にスキャン露光(焼き付け)して、該マークの転写像の設計値に対する各誤差を補正値として、ステージ移動の目標値に加算する方法がとられている。
しかしながら、実際に露光して補正情報を求める場合には、スキャン露光した焼き付け結果はスリット光の幅とステージ軌道のコンボリュージョン結果、即ちスリット光の幅で移動平均されたものであるから、この移動平均により消され、あるいは小さく見えてしまう周波数成分については誤差として現れず、あるいは実際よりも小さい値となり、十分な補正を行うことができない場合があった。このため、パターンの線幅均一性が悪化する場合がある等、十分な露光精度を実現することができない場合があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、露光精度を向上することができる補正情報算出方法を提供することを目的とする。
特開2005−166951号公報
本発明によると、マスクと物体とを所定方向に同期移動させつつ、該所定方法において所定の第1幅に設定されたスリット光で該マスク上のパターンを照明し、該パターン光で該物体を露光する露光装置の該マスク及び該物体の一方を移動するステージ装置の位置制御に適用される補正情報を算出する補正情報算出方法であって、前記露光装置を用いて、前記所定方法において前記第1幅とは異なる第2幅に設定されたスリット光で所定の計測用パターンを照明し、該計測用パターン光で計測用物体を露光する露光ステップと、前記露光ステップで露光された前記計測用物体上の転写像の設計情報に対する誤差情報を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された前記誤差情報に基づいて、前記ステージ装置に対する補正情報を算出する算出ステップと、を含む補正情報算出方法が提供される。
本発明では、露光処理に実際に用いるスリット光の幅(第1幅)と異なる第2幅のスリット光で誤差情報を収集するようにしたので、第1幅のスリット光で露光処理した場合では求めることのできない周波数成分の誤差を計測することができるようになり、これを用いて可動ステージを制御して露光処理を行うことにより、転写パターンの線幅均一性を向上できる等、露光精度を向上することができる。
本発明によれば、露光精度を向上することができるという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。まず、本発明が適用可能な露光装置の全体構成について概説する。
[露光装置]
図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成を模式的に示す正面図である。図1に示す露光装置は、投影光学系PLに対してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期移動させつつレチクルRに形成されたパターンをウエハW上に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。図1において、左右方向がスキャン方向である。
図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成を模式的に示す正面図である。図1に示す露光装置は、投影光学系PLに対してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期移動させつつレチクルRに形成されたパターンをウエハW上に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。図1において、左右方向がスキャン方向である。
図1において、照明光学系ILは、ArFエキシマレーザ光源(波長193nm)等の光源から射出されるレーザ光の断面形状をスキャン方向に直交する方向に伸びるスリット状に整形するとともに、その照度分布を均一化して照明光として射出する。なお、本実施形態では、光源としてArFエキシマレーザ光源を備える場合を例に挙げて説明するが、これ以外にg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、F2レーザ(波長157nm)、その他の光源を用いることができる。
図示は省略しているが、照明光学系IL内の後述するレチクルRのパターン面と共役な面又はその近傍には、レーザ光を所定の幅(スリット幅)を有するスリット光に整形するための矩形状の開口部を有するスリット部材(固定照明視野絞り)が設けられている。また、このスリット部材の近傍には、該スリット幅を任意に変更可能な一対のブラインド(可動照明視野絞り)を有するブラインド機構が設けられている。
レチクルRは、レチクルステージRST上に吸着保持されており、レチクルステージRST上の一端にはレチクル用干渉計システムIFRからの測長用ビームBMrが照射される移動鏡MRrが固定されている。レチクルRの位置決めは、レチクルステージRSTを光軸AXと垂直なXY平面内で並進移動させるとともにXY平面内で微小回転させるレチクル駆動装置DRによって行われる。このレチクル駆動装置DRは、レチクルRのパターンをウエハW上に転写する際には、レチクルステージRSTを一定速度で所定のスキャン方向に走査する。レチクルステージRSTの上方には、レチクルRの周辺に複数に形成されたレチクルアライメント用のマークを光電検出するアライメント系OB1,OB2が設けられている。アライメント系OB1,OB2の検出結果は、レチクルRを照明光学系IL又は投影光学系PLの光軸AXに対して所定の精度で位置決めするためなどに使用される。
レチクルステージRSTは、装置本体のコラム構造体の一部を構成するレチクルステージベース構造体CL1上に移動可能に保持され、レチクル駆動装置DRのモータ等もベース構造体CL1上に取り付けられる。そして、レチクルRの位置変化を計測するレチクル用干渉計システムIFRのビーム干渉部分(ビームスプリッタ等)もベース構造体CL1に取り付けられる。干渉計システムIFRは、レチクルステージRST上の一端に取り付けられた移動鏡MRrに測長用ビームBMrを投射し、その反射ビームを受光してレチクルRの位置変化を計測する。
レチクルRに形成されたパターンの像は、レチクルステージRSTの直下に配置された投影光学系PLを介してウエハW上に1/4又は1/5の投影倍率で結像投影される。投影光学系PLの鏡筒はコラム構造体の一部を構成するレンズベース構造体CL3に固定され、このレンズベース構造体CL3は複数本の支柱構造体CL2を介してレチクルベース構造体CL1を支持している。なお、図1に示したレチクル用干渉計システムIFRでは測長用ビームBMrの反射ビームが投影光学系PLの上部に固定された参照鏡FRrで反射してきた参照ビームと干渉するような構成とするが、参照鏡をレチクルベース構造体CL1側に固定した構成の干渉計システム又は参照鏡自体を内蔵した干渉計システムであってもよい。
投影光学系PLはレンズ等の複数の光学素子を有し、その光学素子の硝材としては照明光学系ILから射出される照明光の波長に応じて石英、蛍石等の光学材料から選択される。なお、投影光学系PLに設けられる光学素子のうちのいくつかは、光軸AX方向及び光軸AXと交差する方向に移動可能に構成されているとともに、姿勢(光軸AXに対する角度)が調整可能に構成されており、これらの光学素子の位置又は姿勢を調整することで投影光学系PLの倍率、収差等の光学特性が調整可能となっている。
レンズベース構造体CL3は、ウエハWを載置してXY平面に沿って2次元移動するウエハステージWSTが搭載されるウエハベース構造体CL4上に取り付けられている。このウエハステージWSTには、図示は省略しているが、ウエハWを真空吸着するウエハホルダと、このウエハホルダをZ方向(光軸AX方向)に微小移動させるとともに微小傾斜させるレベリングテーブルとが設けられている。
ウエハステージWSTのXY平面内での移動座標位置とヨーイングによる微小回転量とは、ウエハ用干渉計システムIFWによって計測される。この干渉計システムIFWは、レーザ光源LSからのレーザビームをウエハステージWSTのレベリングテーブルに固定された移動鏡MRwと、投影光学系PLの最下部に固定された固定鏡FRwとに投射し、各鏡MRw、FRwからの反射ビームを干渉させてウエハステージWSTの座標位置と微小回転量(ヨーイング量)とを計測する。
また、ウエハステージWSTのレベリングテーブル上には、各種のアライメント系、フォーカスセンサ、及びレベリングセンサのキャリブレーションとベースライン量の計測とに用いられる基準板FMも取り付けられている。この基準板FMの表面には、露光波長の照明光のもとでレチクルRのマークRMとともにアライメント系OB1,OB2で検出可能な基準マークが形成されている。
なお、上記の各種のアライメント系としては、ウエハWに形成されたアライメントマークの位置情報を計測するオフ・アクシス型のアライメントセンサを例示できる。また、フォーカスセンサは投影光学系PLの像面に対するウエハWの表面のずれ量を計測するセンサであり、レベリングセンサはウエハWの表面の姿勢(傾斜)を計測するセンサである。ベースライン量とは、ウエハW上に投影されるレチクルのパターン像の基準位置(例えば、パターン像の中心位置)とアライメントセンサの計測視野中心との距離を示す量である。
[誤差情報の収集及び補正値の算出]
上述した露光装置のレチクルステージRSTの見えない誤差(例えば、移動鏡曲がりによる誤差や可動ステージの動的な誤差)を補正するための誤差情報の収集について説明する。誤差情報は、補正の対象となる露光装置を用いるとともに、誤差計測用の複数のマーク(パターン)が予め精度良く配列形成された基準レチクルを用いて、レジストが塗布された基準ウエハに実際に焼き付け(露光処理)を行い、基準ウエハに露光形成されたマークの像(レジスト像、エッチング像等)の設計位置からの位置ズレ量を例えば光波測定器を用いて測定することにより計測される。
上述した露光装置のレチクルステージRSTの見えない誤差(例えば、移動鏡曲がりによる誤差や可動ステージの動的な誤差)を補正するための誤差情報の収集について説明する。誤差情報は、補正の対象となる露光装置を用いるとともに、誤差計測用の複数のマーク(パターン)が予め精度良く配列形成された基準レチクルを用いて、レジストが塗布された基準ウエハに実際に焼き付け(露光処理)を行い、基準ウエハに露光形成されたマークの像(レジスト像、エッチング像等)の設計位置からの位置ズレ量を例えば光波測定器を用いて測定することにより計測される。
通常運用のための露光処理(デバイス等の量産のために行われる露光処理であり、以下、通常露光処理ということがある)においては、レチクルのパターンの像を形成するための最適なスリット光の走査方向の幅(スリット幅)は、例えばスキャン長33mmに対して8mm程度に設定される。これに対して、誤差情報を収集するための露光処理(以下、誤差計測露光処理ということがある)においては、通常露光処理に用いるスリット幅と異なる幅(この実施形態では小さい幅)に設定されたスリット光を用いる。なお、以下では、Xはスキャン方向のレチクルステージの座標を、Yは該スキャン方向に直交する方向のレチクルステージの座標である。
即ち、本実施形態では、通常露光処理に用いるスリット幅では移動平均されてしまい計測できない周波数成分を、通常露光処理に用いるスリット幅と異なるスリット幅に係るスリット光を用いて誤差計測露光処理を行い、その結果から補正値を算出する。誤差計測露光処理と補正値算出の手順は概略以下の通りである。
(ステップ1)
理想ショット形状が焼き付けられた基準ウエハを準備する。この理想ショット形状の焼き付けは、露光装置に高速焼き付けモードと低速焼き付けモードがある場合には、低速焼き付けモードで行ったものを用いる。また、基準ウエハとしては、理想形状に設定された理想格子が予め形成されたものを用いてもよい。
(ステップ2)
ステップ1で準備された基準ウエハに対して、スリット幅PS[mm]、スキャン速度v[mm/s]で露光を行う。スキャン速度vはスループット等から要求される値である。スリット幅PSは、通常露光処理に用いるスリット幅では計測することができない周波数成分を計測するために当該周波数成分に応じて適宜に設定される値であり、通常露光処理に用いるスリット幅よりも小さい値である。
(ステップ3)
レチクルステージの位置(X,Y)における理想ショット形状からのズレ量(誤差)を(dx,dy)とすると、dx=f(X,Y),dy=g(X,Y)を目標値に対する補正値とすればよい。レチクルステージの目標値を(x,y),x=F(X,Y),y=G(X,Y)とすると、x’=F(X,Y)−f(X,Y),y’=G(X,Y)−g(X,Y)であり、(x’,y’)が補正後のレチクルステージの目標位置になる。
理想ショット形状が焼き付けられた基準ウエハを準備する。この理想ショット形状の焼き付けは、露光装置に高速焼き付けモードと低速焼き付けモードがある場合には、低速焼き付けモードで行ったものを用いる。また、基準ウエハとしては、理想形状に設定された理想格子が予め形成されたものを用いてもよい。
(ステップ2)
ステップ1で準備された基準ウエハに対して、スリット幅PS[mm]、スキャン速度v[mm/s]で露光を行う。スキャン速度vはスループット等から要求される値である。スリット幅PSは、通常露光処理に用いるスリット幅では計測することができない周波数成分を計測するために当該周波数成分に応じて適宜に設定される値であり、通常露光処理に用いるスリット幅よりも小さい値である。
(ステップ3)
レチクルステージの位置(X,Y)における理想ショット形状からのズレ量(誤差)を(dx,dy)とすると、dx=f(X,Y),dy=g(X,Y)を目標値に対する補正値とすればよい。レチクルステージの目標値を(x,y),x=F(X,Y),y=G(X,Y)とすると、x’=F(X,Y)−f(X,Y),y’=G(X,Y)−g(X,Y)であり、(x’,y’)が補正後のレチクルステージの目標位置になる。
実空間においてスリット幅でレチクルステージ軌道が移動平均されたものを周波数空間でみるとレチクルステージ軌道の周波数スペクトルとSINC関数で積をとったものに相当する。今、真のレチクルステージ軌道の周波数スペクトルをR*(jω)、時間スリット幅をpS(スキャン速度v[mm/s]、スリット幅をPS[mm]としたときのpS=PS/v[sec]…(式1)で表される)、ゲインAで移動平均された焼付け結果で計測できる周波数スペクトルをRobs(jω)とすると、下記の(式2)及び(式3)と表される。
図2(a)及び図2(b)に実空間でのスリット形状とその周波数スペクトルを示す。図2(a)がスリットの実空間での表現であり、図2(b)がその周波数空間のスペクトルである。また、図3(a)及び図3(b)は実空間のスリット幅によるコンボリュージョンを周波数空間で表現したものであり、R*(jω)が図3(a)に示すように矩形とすると、SINC関数との積の結果、図3(b)に点線で示すようにRobs(jω)として計測される。もしも、真のレチクルステージ軌道の周波数スペクトルが下記の(式4)で帯域制限されている場合、下記の(式5)となり、焼き付け結果から真のレチクルステージ軌道の周波数全てを観測できる。
また、psを小さくすればするほど高周波成分がスリット幅でなまされる効果は、SINC関数の形状がかわるので小さくなる。しかし、ps=0にすることはできない。そのため、帯域制限されていない場合には、SINC関数との積の結果、0との掛け算で消えてしまう周波数成分がある。この消えてしまう周波数成分を計測するために、下記の第1の方法をとる。即ち、観測したい最大の周波数をωmaxとすると、最大のスリット幅pmaxは、
pmax=2π/ωmax …(式6)
となり、ps<pmaxとなるスリット幅psで露光すればよい。
pmax=2π/ωmax …(式6)
となり、ps<pmaxとなるスリット幅psで露光すればよい。
しかし、ここで実際に装置がとりうる最小スリット幅がqminであるとすると、qmin>pmaxのとき、見えない周波数がでてくる。この場合には、下記の第2の方法をとる。図4に示されているように、ps1≠ps2なるスリット幅のSINC関数は、ゲインが0になる周波数が異なる。図4では、ps1<ps2としている。なお、図4の横軸は周波数ωを、縦軸はSINC(ω)である。ここで、図4中、番号1を付した円と、番号2を付した円で囲まれた部分が、スリット幅ps1のSINC関数(同図中、実線で表示)が0をとる部分である。番号1の円の部分でスリット幅ps1のSINC関数は、下記の(式7)であるので、スリット幅ps1で焼き付けると、Robs(jωps1)=0になる。ここで、ωps1=2π/ps1である。一方、スリット幅ps2で焼き付けを行うと、SINC関数は、下記の(式8)であるので、Robs(jωps1)≠0であり、スリット幅ps1では計測できなかった周波数域を計測できることになる。
なお、この実施形態では、スリット幅の変更は、その変更の自由度が大きいので、上述した照明光学系IL内に設けられる該スリット幅を任意に変更可能な一対のブラインドを有するブラインド機構を用いて行う。但し、このスリット幅の変更は、照明光学系IL内のレチクルRのパターン面と共役な面又はその近傍に配置された通常露光処理に係る幅に対応する幅に設定された矩形状の開口部を有するスリット部材(固定照明視野絞り)と、該スリット幅よりも小さい幅の開口部が形成された1つ又は複数のスリット部材とを照明光学系ILの光路に選択的に挿入する切り換え機構を設けて、これらを切り換えて使用するようにしてもよい。
[第1の方法]
この第1の方法は、計測したい周波数を計測できるスリット幅での焼き付け(誤差計測露光処理)を行った後、当該焼き付け結果に基づいて補正値を算出する方法である。これを図5に示すフローチャートを参照して、具体的に説明する。まず、誤差情報を収集するための誤差計測露光処理に用いる基準レチクル及び基準ウエハをレチクルステージ及びウエハステージにそれぞれ搬入する(S10)。次いで、上述したブラインド機構によりスリット幅を変更する(S11)。この時のスリット幅は、計測したい周波数域(式9)に対し、前記(式6)より、時間スリット幅pexpとして、pexp<pmax=2π/ωobsとなり、焼き付けに用いる実際のスリット幅Psは(式1)から計算することができる。この計算結果に基づき、上述したブラインド機構のブラインドを移動させて該スリット幅Psとなるように制御することにより、目的のスリット幅Psを設定する。
この第1の方法は、計測したい周波数を計測できるスリット幅での焼き付け(誤差計測露光処理)を行った後、当該焼き付け結果に基づいて補正値を算出する方法である。これを図5に示すフローチャートを参照して、具体的に説明する。まず、誤差情報を収集するための誤差計測露光処理に用いる基準レチクル及び基準ウエハをレチクルステージ及びウエハステージにそれぞれ搬入する(S10)。次いで、上述したブラインド機構によりスリット幅を変更する(S11)。この時のスリット幅は、計測したい周波数域(式9)に対し、前記(式6)より、時間スリット幅pexpとして、pexp<pmax=2π/ωobsとなり、焼き付けに用いる実際のスリット幅Psは(式1)から計算することができる。この計算結果に基づき、上述したブラインド機構のブラインドを移動させて該スリット幅Psとなるように制御することにより、目的のスリット幅Psを設定する。
スリット幅Psの変更が終了したならば、露光光を射出して、基準レチクル上の複数のマーク(パターン)を基準ウエハ上に露光転写する(S12)。露光処理が終了したならば、基準ウエハをウエハステージから搬出して、該露光装置に付随する、あるいは別途設けられた光波測定器に搬送し、基準ウエハ上に露光転写された基準レチクルのマーク像のこれに対応する設計値からのズレ量、即ち誤差情報を計測し(S13)、該誤差情報をレチクルステージの目標値に対する補正値と決定する(S14)。通常露光処理においては、このようにして求められた補正値をレチクルステージの目標値に対する補正値として、該レチクルステージの移動を制御する。
なお、この第1の方法における誤差計測露光処理に用いるスリット幅は、通常露光処理に用いるスリット幅ではその移動平均により見えない周波数成分に係る誤差を計測するという観点から、本実施形態では、通常露光処理に用いるスリット幅よりも小さい幅に設定したが、必要に応じて、通常露光処理に用いるスリット幅よりも大きい幅に設定しても勿論よい。
この第1の方法によれば、通常露光処理時における焼き付け結果に影響を及ぼすと推測される周波数成分を計測できるスリット幅を設定して誤差計測露光処理を行って、これに基づき通常露光処理時におけるレチクルステージの目標値に対する補正値を求めるようにしたので、従来のように、通常露光処理時のスリット幅ではその補正値に反映されていなかった周波数成分についても、補正を行うことができるようになり、このような補正を行いつつ通常露光処理を行うことにより、ショットディストーションをより正確に補正することができ、線幅均一性の向上等、露光精度を向上することができる。
[第2の方法]
この第2の方法は、通常露光処理に用いるスリット幅とは異なるとともに、互いに異なる複数のスリット幅で誤差計測露光処理を行い、得られた複数の結果のうち最適なものを選択して、選択した最適結果に基づいて補正値を算出方法である。これを図6に示すフローチャートを参照して、具体的に説明する。まず、誤差計測露光処理に用いられる基準レチクル及び基準ウエハをレチクルステージ及びウエハステージにそれぞれ搬入する(S20)。次いで、第1回目の誤差情報を収集するための誤差計測露光処理を行うため、上述したブラインド機構によりスリット幅を変更する(S21)。この時のスリット幅は、当該露光装置によって焼き付けのできる最小スリット幅pminとする。スリット幅Pminへの変更が終了したならば、露光光を射出して、基準レチクル上の複数のマーク(パターン)を基準ウエハ上に露光転写する(S22)。
この第2の方法は、通常露光処理に用いるスリット幅とは異なるとともに、互いに異なる複数のスリット幅で誤差計測露光処理を行い、得られた複数の結果のうち最適なものを選択して、選択した最適結果に基づいて補正値を算出方法である。これを図6に示すフローチャートを参照して、具体的に説明する。まず、誤差計測露光処理に用いられる基準レチクル及び基準ウエハをレチクルステージ及びウエハステージにそれぞれ搬入する(S20)。次いで、第1回目の誤差情報を収集するための誤差計測露光処理を行うため、上述したブラインド機構によりスリット幅を変更する(S21)。この時のスリット幅は、当該露光装置によって焼き付けのできる最小スリット幅pminとする。スリット幅Pminへの変更が終了したならば、露光光を射出して、基準レチクル上の複数のマーク(パターン)を基準ウエハ上に露光転写する(S22)。
その後、第2回目の誤差情報を収集するための誤差計測露光処理を行うため、上述したブラインド機構によりスリット幅をさらに変更する(S23)。この時のスリット幅は、pmin<pkであるスリット幅pkとする。スリット幅Pkへの変更が終了したならば、露光光を射出して、基準レチクル上の複数のマーク(パターン)を基準ウエハ上に露光転写する(S24)。なお、ここでは、同一の基準ウエハに対して、第1回目及び第2回の誤差計測露光処理を該基準ウエハ上のショットを変更して行うものとする。第1回目及び第2回目の誤差計測露光処理が終了したならば、基準ウエハをレチクルステージから搬出して、該露光装置に付随する、あるいは別途設けられた光波測定器に搬送し、基準ウエハ上に露光転写された基準レチクルのマーク像のこれに対応する設計値からのズレ量、即ち誤差情報を、第1回目及び第2回目の誤差計測露光処理に係るそれぞれのショットについて計測し(S25)、第1回目及び第2回目の誤差計測露光処理のそれぞれについての誤差情報(それぞれ第1誤差情報、第2誤差情報とする)を求める。
次に、第1誤差情報と第2誤差情報とで、何れの誤差情報を選択するかを比較判断する(S26)。即ち、ここで、スリット幅pkで焼き付けを行うのは最小スリット幅pminでは見えない周波数スペクトルが焼き付け結果に支配的なのかどうかを確認するためである。最小スリット幅pminで焼き付けた結果をdmax(X,Y)、スリット幅pkで焼き付けた結果をdk(X,Y)とする。第2誤差情報dk(X,Y)について、Xを固定し、スキャン速度をvとすると、下記の(式10)と表現できるので、周波数スペクトルDk(jω)を算出することができる。スリット幅pminでは見えない周波数スペクトルの確認のため、Dk(jω)のうち、ωpmin=2π/pminに着目し、下記の(式11)が成立すれば、見えない周波数が影響を及ぼしていないと判断し、その場合には第1誤差情報dmax(X,Y)をレチクルステージの目標値に対する補正値として決定し、そうでない場合には、スリット幅pkで焼き付けた結果に基づく第2誤差情報dk(X,Y)を、レチクルステージの目標値に対する補正値として決定する(S27)。なお、(式11)において、αは設計者が決定した値であり、実際の焼き付け結果から経験的に求められる値である。
なお、この第2の方法においては、最小スリット幅pminと、該最小スリット幅pminよりも大きいスリット幅pk との比較結果から最適なものを選択するものとしたが、通常露光処理に用いるスリット幅と異なる2以上のスリット幅で焼き付けを行い、これらの比較結果から最適なものを選択するようにしてもよい。また、上述した説明では、第1回目と第2回目の誤差計測露光処理を同一の基準ウエハの異なるショットに行う場合を例としたが、異なる基準ウエハにそれぞれ誤差計測露光処理を行って、各基準ウエハについて誤差情報を計測するようにしてもよい。
この第2の方法によれば、通常スリット幅とは異なる複数のスリット幅を適用して焼き付けを行い、これらの焼き付け結果から最適なものを補正値として選択決定するようにしたので、通常露光処理時に焼き付け結果に影響を与える周波数成分のうち、最も影響の大きいものを含む焼き付け結果に基づいてレチクルステージの目標値に対する補正値を用いることができるようになり、従来のように、通常露光時のスリット幅で誤差計測露光処理を行って得られた補正値には反映されていなかった周波数成分であって影響が大きいものについて、補正を行うことができるようになり、このような補正を行いつつ通常露光処理を行うことにより、ショットディストーションをより正確に補正することができ、線幅均一性の向上等、露光精度を向上することができる。
なお、上述した実施形態では、スリット幅を変更して計測した誤差情報を補正値として、レチクルステージの目標値に加算する場合を例にしたが、当該誤差情報に基づいて補正関数を算出して、この補正関数を用いて補正するようにしてもよい。この補正関数の算出は、例えば、所定のモデル式(補間式)に各誤差情報を代入して、最小自乗法等により該モデル式の係数を求めることにより行うことができる。なお、この補正関数の算出及び上述した誤差情報の収集の詳細については、特開2005−166951号公報を参照されたい。
また、上述した実施形態では、誤差計測露光処理時に基準レチクルに形成されたマーク(パターン)を基準ウエハに焼き付けて、その設計値からの誤差を計測するものについて説明したが、本発明はこれに限定されず、レチクルステージ上に固設されたレチクルFM(フィジューシャルマーク)部材に形成された計測用パターンを基準ウエハ等に焼き付けて、その設計値からの誤差を計測するようにしてもよい。また、露光装置と光波測定器との間を自動搬送装置で接続して基準ウエハのこれらの間の搬送を自動で行うようにするとともに、光波測定器における計測処理も自動で行うようにすることが処理の高効率化の観点から好ましい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。例えば、上述した実施形態では、レチクルステージの動作の制御に適用される補正値の算出について、本発明を適用した場合を説明したが、ウエハステージの動作の制御にも適用することができる。
R…レチクル、RST…レチクルステージ、W…ウエハ、WST…ウエハステージ。
Claims (6)
- マスクと物体とを所定方向に同期移動させつつ、該所定方法において所定の第1幅に設定されたスリット光で該マスク上のパターンを照明し、該パターン光で該物体を露光する露光装置の該マスク及び該物体の一方を移動するステージ装置の位置制御に適用される補正情報を算出する補正情報算出方法であって、
前記露光装置を用いて、前記所定方法において前記第1幅とは異なる第2幅に設定されたスリット光で所定の計測用パターンを照明し、該計測用パターン光で計測用物体を露光する露光ステップと、
前記露光ステップで露光された前記計測用物体上の転写像の設計情報に対する誤差情報を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された前記誤差情報に基づいて、前記ステージ装置に対する補正情報を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする補正情報算出方法。 - 前記第2幅は前記第1幅よりも小さい値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の補正情報算出方法。
- マスクと物体とを所定方向に同期移動させつつ、該所定方法において所定の第1幅に設定されたスリット光で該マスク上のパターンを照明し、該パターン光で該物体を露光する露光装置の該マスク及び該物体の一方を移動するステージ装置の位置制御に適用される補正情報を算出する補正情報算出方法であって、
前記露光装置を用いて、前記所定方法において前記第1幅とは異なるとともに、互いに異なる幅に設定された複数のスリット光でそれぞれ所定の計測用パターンを照明し、該複数の計測用パターン光のそれぞれで計測用物体を露光する露光ステップと、
前記露光ステップでそれぞれ露光された前記計測用物体上の各転写像の、設計情報に対する誤差情報をそれぞれ計測する計測ステップと、
前記計測ステップでそれぞれ計測された各誤差情報に基づいて、前記ステージ装置に対する補正情報を算出する算出ステップと、
を有することを特徴とする補正情報算出方法。 - 前記算出ステップは、
前記計測ステップで計測された前記誤差情報の何れかを、所定の基準に従って選択する第1ステップと、
前記第1ステップで選択された誤差情報に基づいて、前記補正情報を算出する第2ステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の補正情報算出方法。 - 前記露光ステップでは、前記幅が露光可能な最小の幅に設定された第1スリット光と、該最小の幅よりも大きく且つ前記第1幅よりも小さい幅に設定された第2スリット光の両方を用いて、前記露光を行い、
前記第1ステップでは、前記第1スリット光の周波数スペクトルの絶対値が所定基準値より小さければ、前記第1スリット光で露光された前記転写像に基づく前記誤差情報を選択し、そうでなければ前記第2スリット光で露光された前記転写像に基づく前記誤差情報を選択することを特徴とする請求項4に記載の補正情報算出方法。 - 請求項1〜5の何れか一項に記載の補正情報算出方法を用いて補正情報を求めるステップと、
前記補正情報に従って前記ステージ装置の移動を制御しつつ、前記第1幅に設定されたスリット光で前記マスクを介して前記物体を露光するステップと、
を含むことを特徴とする露光方法。
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US10816908B2 (en) | 2019-02-05 | 2020-10-27 | Toshiba Memory Corporation | Light-exposure method and light-exposure apparatus |
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