JP2007127592A - アミロイド蓄積性疾患の新規診断用装置およびその操作方法 - Google Patents

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幸司 工藤
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Masahiro Maruyama
将浩 丸山
Shozo Furumoto
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Abstract

【課題】定性のみならず定量性にも優れ、被験者への毒性や負担も少ない非侵襲的なアミロイド蓄積性疾患の診断を実現する。
【解決手段】βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置であって、長波長の光を検体に照射する手段、および該照射により得られる長波長蛍光を分析する手段を有することを特徴とする装置、およびその操作方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アミロイド蓄積性疾患の新規診断法、特定の波長を脳に照射することによって得られる特定の波長を指標とするアミロイド蓄積性疾患の診断に関する。より詳細には、本発明は、アミロイドβ蛋白が蓄積する疾患の新規診断に関するものであり、さらに詳細には、500ナノメーター(nm)以上の励起光を脳に照射し、得られる750nm以上の蛍光を測定し、脳内のアミロイドβ蛋白の蓄積を定性および定量するとともに、その空間的分布からアミロイド蓄積性疾患を診断するための装置、該装置の操作方法、ならびに該装置を用いたアミロイド蓄積性疾患を診断に関するものである。
アミロイドが蓄積する疾患には、体内の種々の器官や組織への不溶性原線維性蛋白(アミロイド)の沈着を特徴とする種々の疾病があり、アルツハイマー病、プリオン病、ダウン症候群等が含まれる。このうち、アルツハイマー病(AD)は現在最も治療の困難な疾病の1つとされており、正確な早期診断が望まれている。アルツハイマー病は主として初老期から老年期に起こる進行性の知的機能障害を特徴とする疾患である。病理学的には大脳の全体的な萎縮、神経細胞の著しい変性と脱落、老人斑と神経原線維変化の出現を特徴とする。アルツハイマー病の最大のリスクファクターは加齢であることが知られている。したがって、老齢人ロの増加に伴う患者数の増加は、特に、高齢化社会となっている日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国において顕著であり、それに対する医療コストはこれらの国の医療システムを危機におとしめている。
なお、我が国においてはアルツハイマー病患者数は約100万人と推定され、今後人口の高齢化に伴いその患者数は増大することが確実視されている。アルツハイマー病患者にかかわる費用は介護費用を含めると年間患者1人当たり100万円から300万円と考えられていることから、すでに我が国では1兆円から3兆円の社会経済的コストを払っていることになる。アルツハイマー病において症状が顕在化する以前ないしはできるだけ早期に治療を加えることにより、大きな医療経済学的節約効果をもたらすことはいまや世界の常識となっている。
近年、アルツハイマー病においてもワクチンなどの免疫療法およびβセクレターゼ阻害剤またはγセクレターゼ阻害剤に代表される根本治療法が開発されつつある。ワクチンなどの免疫療法関連論文としては非特許文献1〜4などがあり、βおよびγ−セクレターゼ阻害剤関連論文としては非特許文献5〜7などが挙げられる。
このことはできるだけ早期に診断し、これら根本治療を加えることにより、診断時点において発症前でさえあればアルツハイマー病に罹患せずに一生を送れる時代が到来しつつあることを示唆している。
そこで鍵をにぎるのがアルツハイマー病を発症前で検出する方法である。現状のアルツハイマー病診断方法は各種あるが、我が国においては長谷川式、ADAS、MMSE等の、アルツハイマー病が疑われる個体の認知機能の低下を定量的に評価する神経心理学的評価法が一般的であり、まれに画像診断法(MRI、CT等)が補助的に用いられている。
アルツハイマー病においては患者を取り巻く家族または臨床家がこの疾病特有の臨床症状に気づいた時には、脳内病理像はすでに取り返しのつかない状態まで進行していることが知られている。上述のような病状の進行特性および患者数の激増を考え合わせると、アルツハイマー病の正確な早期診断の必要性ならびに意義は極めて大きい。
アルツハイマー病の病理組織像は2つの主徴に代表される。すなわち老人斑および神経原線維変化である。前者の主構成成分はβシート構造をとったアミロイドβ蛋白であり、後者のそれは過剰リン酸化されたタウ蛋白である。アルツハイマー病の確定診断は死後脳においてこれらの病理学的特徴が出現することをよりどころとしている。
ヒトアミロイドβ蛋白には40個のアミノ酸から構成されるアミロイドβ蛋白1−40と42個のアミノ酸から構成されるアミロイドβ蛋白1−42とがある。アミロイドβ蛋白1−40とアミロイドβ蛋白1−40のアミノ酸配列は40個目までは全く同一であり、アミロイドβ蛋白1−40にイソロイシン(Ile)およびアラニン(Ala)が追加されたのがアミロイドβ1−42である。これらの蛋白のアミノ酸配列を参考までに示す。
ヒトアミロイドβ蛋白1−40
Asp- Ala- Glu- Phe- Arg- His- Asp- Ser- Gly- Tyr- Glu- Val- His- His- Gln- Lys- Leu- Val- Phe- Phe- Ala- Glu- Asp- Val- Gly- Ser- Asn- Lys- Gly- Ala- Ile- Ile- Gly- Leu- Met- Val- Gly- Gly- Val- Val
ヒトアミロイドβ蛋白1−42
Asp- Ala- Glu- Phe- Arg- His- Asp- Ser- Gly- Tyr- Glu- Val- His- His- Gln- Lys- Leu- Val- Phe- Phe- Ala- Glu- Asp- Val- Gly- Ser- Asn- Lys- Gly- Ala- Ile- Ile- Gly- Leu- Met- Val- Gly- Gly- Val- Val- Ile- Ala
アミロイドβ蛋白はアルツハイマー病を包含するアミロイドが蓄積する疾患に特徴的であり、密接な関連性を有している。したがって、体内、特に脳内でβシート構造をとったアミロイドβ蛋白をマーカーとして検出することが、アミロイドが蓄積する疾患、特にアルツハイマー病の重要な診断方法の1つとなる。
近年、アルツハイマー病をはじめとするアミロイドが蓄積する疾患の診断を目的として、体内、特に脳内アミロイドβ蛋白に特異的に結合する化合物を[11C]、[18F]等の陽電子断層撮影装置(PET)で扱えるような放射性同位体、または[123I]等のSPECT扱えるような放射性同位体で標識し、PETまたはSPECTで撮影する技術が脚光を浴びている。このような化合物には[18F]DDNP[非特許文献8]、[11C]PIB[非特許文献9]、[11C]SB−13[非特許文献10]、[123I]IMPY[非特許文献11]などが挙げられる。
また近年、アミロイドβ蛋白に結合し、且つ長波長蛍光を発する化合物を全身投与して脳内アミロイドβ蛋白と化合物の結合を、長波長蛍光測定装置を用いてイン ビボで定量化するとともにその空間的分布からアミロイド蓄積性疾患を診断しようとする試みがある。かかる化合物にはAOI−987[非特許文献12]、NIAD−4[非特許文献13]などがある。
一般に長波長の光は生体透過性が高いことが知られているが、600nm以下ではヘモグロビンの吸収が、また1000nm以上では水の吸収が存在するために、600から1000nmの波長を有する化合物に限定される(この600nmから1000nmの領域は「生体の分光的窓」と呼ばれている(図1参照)。
しかしながら、定性のみならず定量性にも優れ、被験者への毒性や負担も少ないアミロイド蓄積性疾患の診断方法および装置はこれまで皆無であった。
シェンク(Schenk)ら、ネーチャー(Nature)、400巻、173−177ページ、1999年 バード(Bard)ら、ネーチャー メデスン(Nature Medcine)、6巻、916−919ページ、2000年 ホック(Hock)ら、ネーチャー メデスン(Nature Medcine)8巻、1270−1275ページ、2002年 フォックス(Fox)ら、ニューロロジイ(Neurology)、64巻、1563−1572ページ、2005年 ジョン(John)ら、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、46巻、4625−4630ページ、2003年 チアン(Tian)ら、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)、277巻、31499−31505ページ、2002年 キムラ(Kimura)ら、バイオオーガニック アンド メディシナル ケミストリー レターズ(Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters)、15巻、211−215ページ、2005 ショギ−ジャディド(Shoghi-Jadid)ら、アメリカン ジャーナルオブ ジェリアトリック サイキアトリィ(Am J Geriatr Psychiatry)、10巻、24-35ページ、2002年 クルンク(Klunk)ら、アナルス オブ ニューロロジイ(Ann Neurol)、55巻、306-319ページ、2004年 ヴェルホエフ(Verhoeff)ら、アメリカン ジャーナルオブ ジェリアトリック サイキアトリィ(Am J Geriatr Psychiatry)、12巻、584-595ページ、2004年 クング(Kung)ら、ブレイン リサーチ(Brain Research)、956巻、202−210ページ、2002年 ヒンタースタイナー(Hintersteiner)ら、ネイチャー バイオテクノロジイ(Nature Biotechnology)、23巻、577-583、2005年 ネステロフ(Nesterov)ら、Angew Chem int.Ed、44巻2-5、2005年
本発明の解決課題は、定性のみならず定量性にも優れ、被験者への毒性や負担も少ない非侵襲的なアミロイド蓄積性疾患の診断を実現することであった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、アミロイドβ蛋白に対して長波長の光を照射することによって、長波長蛍光が得られること、しかもこの蛍光はアミロイドβ蛋白がβシート構造をとることによって増強される、すなわち濃色効果が得られることを初めて見いだした。βシート構造をとったアミロイドβ蛋白がアミロイド蓄積性疾患の病理像であることから本発明はアルツハイマー病、ダウン症侯群、プリオン病などの正確な早期診断を可能にするものといえる。
具体的には、脳内アミロイドβ蛋白に長波長の光を照射することよって得られる長波長蛍光を長波長蛍光測定装置を用いて測定し、脳内のアミロイドβ蛋白の蓄積を定性・定量するとともに、その空間的分布からアルツハイマー病、ダウン症、プリオン病等のアミロイド蓄積性疾患を診断する。
したがって、本発明は:
(1)βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置であって、長波長の光を検体に照射する手段、および該照射により得られる長波長蛍光を分析する手段を有することを特徴とする装置;
(2)エキサイテーション波長が500〜660nmであり、エミッション波長が750nm〜1000nmである(1)記載の装置;
(3)エキサイテーション波長が550〜610nmであり、エミッション波長が820nm〜900nmである(1)記載の装置;
(4)該長波長蛍光の分析がβシート構造をとるアミロイドβ蛋白による濃色効果を確認することを含む、(1)ないし(3)のいずれかに記載の装置;
(5)アミロイド蓄積性疾患を検査するために使用される(1)ないし(4)のいずれかに記載の装置;
(6)アミロイド蓄積性疾患がアルツハイマー病である(5)記載の装置;
(7)βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置において、長波長の光を検体に照射し、そのことにより得られる長波長蛍光を分析することを特徴とする、該装置の操作方法;
(8)長波長の光の波長が500〜660nmであり、長波長蛍光の波長が750nm〜1000nmである(7)記載の方法;
(9)長波長の光の波長が550〜610nmであり、長波長蛍光の波長が820nm〜900nmである(7)記載の方法;
(10)該長波長蛍光の分析がβシート構造をとるアミロイドβ蛋白による濃色効果を確認することを含む、(7)ないし(9)のいずれかに記載の方法;
(11)アミロイド蓄積性疾患を検査するために使用される(7)ないし(10)のいずれかに記載の方法:
(12)アミロイド蓄積性疾患がアルツハイマー病である(11)記載の方法
を提供するものである。
本発明において、定性のみならず定量性にも優れ、被験者への毒性や負担も少ないアミロイド蓄積性疾患の非侵襲的診断が提供される。該診断は、脳内アミロイドβ蛋白に長波長の光を照射することよって得られる長波長蛍光を分析することにより行われる。したがって、本発明によれば、そのための装置、該装置の操作方法、ならびに脳内アミロイドβ蛋白に長波長の光を照射することよって得られる長波長蛍光を測定することを特徴とする、アミロイド蓄積性疾患の診断方法も提供される。本発明によれば、アルツハイマー病、ダウン症侯群、プリオン病などのアミロイド蓄積性疾患の、正確でしかも被験者に対する負担の少ない検査・早期診断が可能となる。
本発明者らはアルツハイマー病診断法に関して、永年研究を重ねてきた結果、アルツハイマー病の病理像としてのアミロイドβ蛋白は、長波長の光で励起することによって長波長蛍光を発すること、さらにアミロイドβ蛋白はβシート構造をとることによって蛍光強度が飛躍的に増加すること、すなわちβシート構造をとるアミロイドβ蛋白は濃色効果(hyperchromic effect)を示すことを見いだした。アルツハイマー病の病理像としてのアミロイドβ蛋白はβシート構造をとっていることから、イン ビボにおいて長波長の光を検体、例えばヒトの脳に照射し、これを長波長蛍光測定装置で測定して、βシート構造をとるアミロイドβ蛋白を定量するとともにそれらの空間分布を測定することにより、アルツハイマー病を検査・診断することが可能となる。アミロイドβ蛋白の濃色効果は実際のイン ビボでの検査・診断においては、非病理像であるβシート構造をとらないアミロイドβ蛋白に関してはほとんど無視できることから、本発明によりβシートに対して非常に特異性の高い検査・診断が可能になる。
本発明は、1の態様において、βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置であって、長波長の光を検体に照射する手段、および該照射により得られる長波長蛍光を分析する手段を有することを特徴とする装置に関するものである。本明細書において、「長波長の光」とは検体に照射される光を意味し、その波長をエキサイテーション波長(Ex.波長)ということがある。また本明細書において「長波長蛍光」とは長波長の光を検体に照射した際に検体から発せられる蛍光を意味し、その波長をエミッション波長(Em.波長)ということがある。
検体はいずれの形態であってもよく、例えば、生検体、死検体、生体から取り出した試料等が挙げられる。すなわち、本発明の装置を用いる検出はインビボおよびインビトロいずれも様式であってもよい。検体はいずれの哺乳動物種、あるいはそれに由来するものであってもよいが、好ましくは霊長類、さらに好ましくはヒト、あるいはそれに由来するものである。例えば、生きたヒト被験者の脳に対して本発明の装置を適用してβシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出を行うことができる。
長波長の光を発生させる手段はいずれのものであってもよく、例えば、可視〜赤外光を発生するランプ、特定の波長を照射するための分光系等の手段を使用してもよい。一般的には、該装置から照射される長波長の光の波長(本明細書において「エキサイテーション波長」、「励起波長」または「Ex.波長」と称することがある)は約500〜約660nmである。発生させた長波長の光を効率よく検体に照射するためのフォーカシング手段、例えば、レンズ、スリット等の公知手段を用いてもよい。該装置から照射される長波長の光の強度や照射時間についても、検体の種類や状態により適宜変更することができる。
検体から生じる長波長蛍光を分析する手段もいずれのものであってもよい。長波長蛍光の分析は、長波長蛍光を検出すること、その強度、ピーク波長を測定すること等を包含する。長波長蛍光を分析する手段として、例えば、励起系としては該励起波長領域に特性を有する半導体レーザー照射装置、該励起波長領域に特性を有するフィルターと組み合わせた水銀またはキセノンランプ照射装置等を搭載し、測定系としては該測定長波長蛍光領域に高い量子収率(Quantum Efficiency)を有する光電子倍増管(フォトマルチプライヤーチューブ)、または該測定長波長蛍光領域に高い量子収率を有するCCDカメラを搭載した画像撮影装置等を使用することができる。一般的には、該装置から照射されるエキサイテーション波長は約500〜約660nmであり、その場合、検体から発せられる長波長蛍光の波長(本明細書において「エミッション波長」または「Em.波長」と称することがある)は約750nm〜約1000nmであるので、その範囲をカバーしうる分析手段を用いて分析を行うことができる。このように、エキサイテーション波長とエミッション波長とが離れていて重複することがないので、長波長蛍光の検出が容易に行える。
さらに本発明の装置は、長波長の光を検体に照射する手段および該照射により得られる長波長蛍光を分析する手段が他の手段と連結されている、いわゆるシステムの形態であってもよい。例えば、被験者を固定する手段、長波長蛍光の分析結果(例えば、そのピーク波長、強度等のデータ)を処理し、画像化する手段、あるいは処理データを印刷する手段等が連結されていてもよい。これらの手段は1つにまとめられていてもよく、いくつかのブロックに分けられていてもよい。
上述のごとく、一般的には、エキサイテーション波長は500〜660nmであり、エミッション波長は750nm〜1000nmであるが、好ましくは、エキサイテーション波長は550〜610nmであり、エミッション波長は820nm〜900nmあるいはそれ以上、例えば、820nm〜950nmである。
本発明の装置では複数波長の長波長の光で励起し、得られる複数波長の長波長蛍光を分析することを除外するものではない。
上述のごとく、アミロイドβ蛋白はβ構造をとることによって蛍光強度が飛躍的に増加すること、すなわち濃色効果を示すことが本発明者により明らかにされている。したがって、本発明の装置を用いる際に、βシートをとっていないアミロイドβ蛋白を対照とし、発生する長波長蛍光の濃色効果を確認することが好ましい。本発明の装置を用いて濃色効果が確認されれば、β構造をとったアミロイドβ蛋白が検体中に存在することが確認できる。濃色効果の確認は、検体と対照(βシート構造をとっていないアミロイドβ蛋白)を試料として用いて得られる長波長蛍光の強度を比較することにより行うことができる。例えば、検体と対照(βシート構造をとっていないアミロイドβ蛋白)を試料として用いて実施例に示すような等高線図や波長対強度のグラフを描き、比較することにより、濃色効果を確認することができる。β構造をとったアミロイドβ蛋白の身体、特に脳における蓄積は、アルツハイマー病、ダウン症侯群、プリオン病などのアミロイド蓄積性疾患を引き起こすので、本発明の装置はこれらの疾患の検査または診断に非常に有用である。本発明の装置は、特にアルツハイマー病の検査または診断に好適である。ヒトの診断に本発明の装置を用いた場合、検査時間は約5分〜約30分であり非常に短くてすむ。さらに上述のごとく本発明の装置を用いるとβシート構造をとったアミロイド蛋白を特異的に検出することができ、検査の精度も非常に高い。
もう1つの態様において、本発明は、βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置において、長波長の光を検体に照射し、そのことにより得られる長波長蛍光を分析することを特徴とする、該装置の操作方法に関するものである。本発明の操作方法に使用される装置には、βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置であって、長波長の光を検体に照射する手段、および該照射により得られる長波長蛍光を分析する手段を有するものであればいずれのものであってもよい。好ましくは、上で説明した装置を用いる。かかる装置の詳細については上で説明したとおりであり、長波長の光および長波長蛍光についても上で説明したとおりである。検体についても同様である。本発明の操作方法を用いて、アルツハイマー病、ダウン症侯群、プリオン病などのアミロイド蓄積性疾患の検査・診断を行うことができる。本発明の操作方法は、アルツハイマー病の検査または診断に好適である。ヒト被験者に対して本発明の操作方法を用いた場合、検査時間は約5分〜約30分であり非常に短くてすむ。さらに上述のごとく本発明の操作方法を用いるとβシート構造をとったアミロイド蛋白を特異的に検出することができ、検査の精度も非常に高い。
さらにもう1つの態様において、本発明は、脳内アミロイドβ蛋白に長波長の光を照射することよって生じる長波長蛍光を分析することを特徴とする、アミロイド蓄積性疾患の診断方法に関するものである。診断は、βシート構造をとるアミロイドβ蛋白に特有の濃色効果をよりどころとして行われる。したがって、本発明の診断方法を用いる際に、βシートをとっていないアミロイドβ蛋白を対照とし、発生する長波長蛍光の濃色効果を確認することが好ましい。本発明の診断方法に使用される装置には、βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置であって、長波長の光を検体に照射する手段、および該照射により得られる長波長蛍光を分析する手段を有するものであればいずれのものであってもよい。好ましくは、上で説明した装置を用いる。かかる装置の詳細については上で説明したとおりであり、長波長の光および長波長蛍光についても上で説明したとおりである。検体についても同様である。好ましくは、上で説明した装置を上で説明した記操作方法に従って操作することにより、本発明の診断方法を実施する。本発明の診断方法を用いて、アルツハイマー病、ダウン症侯群、プリオン病などのアミロイド蓄積性疾患の診断を行うことができる。本発明の診断方法は、アルツハイマー病の診断に好適である。ヒト被験者に本発明の診断方法を用いた場合、診断時間は約5分〜約30分であり非常に短くてすむ。被験者に対しても非侵襲的な方法なので、負担が少なくてすむ。さらに本発明の診断方法はβシート構造をとったアミロイド蛋白を特異的に検出することができるので、診断の精度も非常に高く、アミロイド蓄積性疾患の早期診断も可能である。
以下に、実施例に使用した主な実験方法を説明する。それ以外の実験方法についても、当業者であれば適宜選択して用いることができる。
測定方法
(A)βシート構造をとらないアミロイドβ蛋白を用いた検討
ヒトアミロイドβ蛋白1−40(ペプチド研究所4307−v)およびヒトアミロイドβ蛋白1−42(ペプチド研究所4349−v)は50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で5μMの濃度に溶解して、直ちに蛍光分光光度計(日本分光FP−6300−WRE−362)にてエキサイテーションおよびエミッション波長を以下の通り測定した。
1)アミロイドβ蛋白1−40およびアミロイドβ蛋白1−42の3次元蛍光スペクトル(等高線図)
2)550から610nmのエキサイテーション波長によって得られるアミロイドβ蛋白1−40の蛍光スペクトル
3)550から610nmのエキサイテーション波長によって得られるアミロイドβ蛋白1−42の蛍光スペクトル
(B)βシート構造をとったアミロイドβ蛋白を用いた検討
ヒトアミロイドβ蛋白1−40(ペプチド研究所4307−v)およびヒトアミロイドβ蛋白1−42(ペプチド研究所4349−v)は50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で20μMの濃度に溶解して、ダブルシェーカー(TAITEC NR−3)を用いて85回転/分で攪拌し、それぞれ4日間および2日間37℃でインキュベートして、両蛋白にβシート構造をとらせた。インキュベートしたアミロイドβ蛋白1−40およびアミロイドβ蛋白1−42を50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で5μMに希釈し、蛍光分光光度計(日本分光FP−6300−WRE−362)にてエキサイテーションおよびエミッション波長を以下の通り測定した。
1)アミロイドβ蛋白1−40およびアミロイドβ蛋白1−42の3次元蛍光スペクトル(等高線図)
2)550から610nmのエキサイテーション波長によって得られるアミロイドβ蛋白1−40の蛍光スペクトル
3)アミロイドβ蛋白1−40の濃色効果
4)550から610nmのエキサイテーション波長によって得られるアミロイドβ蛋白1−42の蛍光スペクトル
5)アミロイドβ蛋白1−42の濃色効果
(C)陽性対照化合物クレシル バイオレット アセテートの蛍光スペクトル
クレシル バイオレット アセテート(Cresyl Violet actate; Sigma-Aldrich C1791)はメチルアルコールを用いて0.01μMの濃度に溶解して蛍光分光光度計(日本分光FP−6300−WRE−362)にてエキサイテーションおよびエミッション波長を以下の通り測定した。
1)3次元蛍光スペクトル(等高線図)およびエキサイテーション波長を598nmに固定した際の蛍光スペクトル
以下に実験例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は単なる説明であって、本発明を限定するものではない。
βシート構造をとらないアミロイドβ蛋白を用いた検討
1)アミロイドβ蛋白1−40およびアミロイドβ蛋白1−42の3次元蛍光スペクトル(等高線図)
図2−aに50mMリン酸カリウム緩衝液、図2−bに5μMアミロイドβ蛋白1−40、図2−cに5μMアミロイドβ蛋白1−42の、それぞれ3次元蛍光スペクトル(等高線図)を示した。図2の縦軸はエキサイテーション波長(Ex.波長)を、また横軸はエミッション波長(Em.波長)をいずれもナノメーター(nm)で示した。
5μMのアミロイドβ蛋白1−40および同濃度のアミロイドβ蛋白1−42により、50mMリン酸カリウム緩衝液には見られなかった新たな等高線図が得られた(破線の楕円で示した部分)。
2)550から610nmのエキサイテーション波長によって得られるアミロイドβ蛋白1−40の蛍光スペクトル
アミロイドβ蛋白1−40の3次元蛍光スペクトル解析の結果、緩衝液には見られなかった新たな等高線図が認められたことから、エキサイテーション波長を動かして更なる詳細な解析をおこなった。
図3−aから図3−eにエキサイテーション波長を550nmから610nmまで動かした際の5μMアミロイドβ蛋白1−40の蛍光スペクトルを示した。図3の縦軸は蛍光強度(int.)を、また横軸はエミッション波長をナノメーター(nm)で示した。図3中の2本の曲線の内、上の曲線はアミロイドβ蛋白1−40のスペクトルを、下の曲線は緩衝液のスペクトルを示す。
表1に各エキサイテーション波長で励起した際の最適エミッション波長(最も強い蛍光強度が得られた波長)、最適エミッション波長でのアミロイドβ蛋白1−40および緩衝液の蛍光強度、アミロイドβ蛋白1−40の真の蛍光強度を示した。
図3および表1に示したように550から610nmのエキサイテーション波長では820から900nmに最適波長が見られ、それらの真の蛍光強度は概ね10から15の範囲内であった。
測定機器の性能上、900nm以上のエミッション波長の蛍光強度は測定できなかったが、図2−b(等高線図)の破線で示したように、また図3−aから図3−eの最適エミッション波長のピークの推移からみて、610nm以上の波長のエキサイテーションによって、900nm以上にピークをもつエミッション波長の存在が強く示唆された。
Figure 2007127592
アミロイドβ蛋白1−40の真の蛍光強度=
(アミロイドβ蛋白1−40の見かけの蛍光強度)−(緩衝液の蛍光強度)
3)550から610nmのエキサイテーション波長によって得られるアミロイドβ蛋白1−42の蛍光スペクトル
アミロイドβ蛋白1−42の3次元蛍光スペクトル解析の結果、緩衝液には見られなかった新たな等高線図が認められたことから、エキサイテーション波長を動かして更なる詳細な解析をおこなった。
図4−aから図4−eにエキサイテーション波長を550nmから610nmまで動かした際の5μMアミロイドβ蛋白1−42の蛍光スペクトルを示した。図4の縦軸は蛍光強度(int.)を、また横軸はエミッション波長をナノメーター(nm)で示した。図4中の2本の曲線の内、上の曲線はアミロイドβ蛋白1−42のスペクトルを、下の曲線は緩衝液のスペクトルを示す。
表1に各エキサイテーション波長で励起した際の最適エミッション波長(最も強い蛍光強度が得られた波長)、最適エミッション波長でのアミロイドβ蛋白1−42および緩衝液の蛍光強度、アミロイドβ蛋白1−40の真の蛍光強度を示した。
図4および表2に示したように550から610nmのエキサイテーション波長では820から900nmに最適波長が見られ、それらの真の蛍光強度は概ね15から30の範囲内であった。
測定機器の性能上、900nm以上のエミッション波長の蛍光強度は測定できなかったが、図2−c(等高線図)の破線で示したように、また図4−aから図4−eの最適エミッション波長のピークの推移からみて、610nm以上の波長のエキサイテーションによって、900nm以上にピークをもつエミッション波長の存在が強く示唆された。
Figure 2007127592
アミロイドβ蛋白1−42の真の蛍光強度=
(アミロイドβ蛋白1−42の見かけの蛍光強度)−(緩衝液の蛍光強度)
βシート構造をとったアミロイドβ蛋白を用いた検討
1)アミロイドβ蛋白1−40およびアミロイドβ蛋白1−42の3次元蛍光スペクトル(等高線図)
図5−aに50mMリン酸カリウム緩衝液、図5−bに5μMアミロイドβ蛋白1−40、図5−cに5μMアミロイドβ蛋白1−42の、それぞれ3次元蛍光スペクトル(等高線図)を示した。図5の縦軸はエキサイテーション波長(Ex.波長)を、また横軸はエミッション波長(Em.波長)をいずれもナノメーター(nm)で示した。
5μMのアミロイドβ蛋白1−40および同濃度のアミロイドβ蛋白1−42により、βシート構造をとらないアミロイドβ蛋白1−40または1−42を用いた検討と同様、50mMリン酸カリウム緩衝液には見られなかった新たな等高線図が、ほぼ同じ座標位置で得られたが、βシート構造をとらない両蛋白の等高線に比較して、βシート構造をとった両蛋白の等高線の方が明らかに蜜であった(破線の楕円で示した部分)。
このことはアミロイドβ蛋白1−40および1−42は、βシート構造をとることによって蛍光強度が増強されることを示している。このような現象は一般に濃色効果(Hyperchromic effct)と呼ばれている。
2)550から690nmのエキサイテーション波長によって得られるアミロイドβ蛋白1−40の蛍光スペクトル
3次元蛍光スペクトル解析の結果、βシート構造をとることによってアミロイドβ蛋白1−40に濃色効果が認められたことから、エキサイテーション波長を動かして更なる詳細な解析をおこなった。
図6−aから図6−eにエキサイテーション波長を550nmから610nmまで動かした際の5μMアミロイドβ蛋白1−40蛍光スペクトルを示した。図6の縦軸は蛍光強度(int.)を、また横軸はエミッション波長をナノメーター(nm)で示した。図6中の2本の曲線の内、上の曲線はアミロイドβ蛋白1−40のスペクトルを、下の曲線は緩衝液のスペクトルを示す。
表3に各エキサイテーション波長で励起した際の最適エミッション波長(最も強い蛍光強度が得られた波長)、最適エミッション波長でのアミロイドβ蛋白1−40および緩衝液の蛍光強度、アミロイドβ蛋白1−40の真の蛍光強度を示した。
図6および表3に示したように550から610nmのエキサイテーション波長では820から900nmに最適波長が見られ、それらの真の蛍光強度は概ね170から350の範囲内であった。
測定機器の性能上、900nm以上のエミッション波長の蛍光強度は測定できなかったが、図5−b(等高線図)の破線で示したように、また図6−aから図6−eの最適エミッショヨン波長のピークの推移からみて、βシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−42は、610nm以上の波長のエキサイテーションによって、900nm以上にピークをもち、しかもかなり蛍光強度の強いエミッションを生じることが強く示唆された。
Figure 2007127592
アミロイドβ蛋白1−40の真の蛍光強度=
(アミロイドβ蛋白1−40の見かけの蛍光強度)−(緩衝液の蛍光強度)
3)アミロイドβ蛋白1−40の濃色効果
図7−aから図7−eにエキサイテーション波長を550nmから610nmまで動かした際の5μMアミロイドβ蛋白1−40の濃色効果を示した。図7中の2本の曲線の内、上の曲線はβシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−40のスペクトルを、下の曲線はβシート構造をとらないアミロイドβ蛋白1−40スペクトルを示す。
図7および表4に示したように550から610nmのエキサイテーション波長におけるβシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−40の濃色効果は概ね165から335の範囲内であった。
Figure 2007127592
濃色効果=(βシート構造をとったアミロイドβ蛋白1-40の真の蛍光強度)
−(βシート構造をとらないアミロイドβ蛋白1-40の真の蛍光強度)
4)550から610nmのエキサイテーション波長によって得られるアミロイドβ蛋白1−42の蛍光スペクトル
3次元蛍光スペクトル解析の結果、βシート構造をとることによってアミロイドβ蛋白1−42に濃色効果が認められたことから、エキサイテーション波長を動かして更なる詳細な解析をおこなった。
図8−aから図8−eにエキサイテーション波長を550nmから610nmまで動かした際の5μM アミロイドβ蛋白1−42の蛍光スペクトルを示した。図7の縦軸は蛍光強度(int.)を、また横軸はエミッション波長をナノメーター(nm)で示した。図8中の2本の曲線の内、上の曲線はアミロイドβ蛋白1−42のスペクトルを、下の曲線は緩衝液のスペクトルを示す。
表5に各エキサイテーション波長で励起した際の最適(最も強い蛍光強度が得られた)エミッション波長および蛍光強度を示した。
図8および表5に示したように550から610nmのエキサイテーション波長では820から900nmに最適波長が見られ、それらの真の蛍光強度は概ね290から550の範囲内であった。
測定機器の性能上、900nm以上のエミッション波長の蛍光強度は測定できなかったが、図5−c(等高線図)の破線で示したように、また図8−aから図8−eの最適エミッション波長のピークの推移からみて、βシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−42は、610nm以上の波長のエキサイテーションによって、900nm以上にピークをもち、しかもかなり蛍光強度の強いエミッションを生じることが強く示唆された。
Figure 2007127592
アミロイドβ蛋白1−42の真の蛍光強度=
(アミロイドβ蛋白1−42の見かけの蛍光強度)−(緩衝液の蛍光強度)
5)アミロイドβ蛋白1−42の濃色効果
図9−aから図9−eにエキサイテーション波長を550nmから610nmまで動かした際の5μMアミロイドβ蛋白1−42の濃色効果を示した。図9中の2本の曲線の内、上の曲線はβシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−40のスペクトルを、下の曲線はβシート構造をとらないアミロイドβ蛋白1−40スペクトルを示す。
図9および表5に示したように550から610nmのエキサイテーション波長におけるβシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−42の濃色効果は概ね270から520の範囲内であった。
Figure 2007127592
濃色効果=(βシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−42の真の蛍光強度)
−(βシート構造をとらないアミロイドβ蛋白1−42の真の蛍光強度)
6)陽性対照化合物クレシルバイオレットアセテートの3次元蛍光スペクトル(等高線図)およびエキサイテーション波長を598nmに固定した際の蛍光スペクトル
図10−aに0.01μMクレシルバイオレットアセテート3次元蛍光スペクトル(等高線図)を示した。図10−aの縦軸はエキサイテーション波長(Ex.波長)を、また横軸はエミッション波長(Em.波長)をいずれもナノメーター(nm)で示した。
3次元解析の結果、クレシルバイオレットアセテートの最適エキサイテーション波長は598nmであった。
図10−bにエキサイテーション波長を598nmに固定した際の0.01μMクレシルバイオレットアセテートの蛍光スペクトルを示した。
エキサイテーション波長598nmにおける0.01μMクレシルバイオレットアセテートの最適エキサイテーション波長は621.5nm、蛍光強度は634.902であった。
Figure 2007127592
真の蛍光強度=(クレシルバイレットの蛍光強度)−(メチルアルコールの蛍光強度)
本発明は、アミロイド蓄積性疾患の研究分野、特にそのための診断装置の製造分野において利用可能である。
図1は生体の光吸収の概要を示す図である。 図2−aは50mMリン酸カリウム緩衝液、図2−bは5μMアミロイドβ蛋白1−40(βシート構造をとっていない)、図2−cは5μMアミロイドβ蛋白1−42(βシート構造をとっていない)の、それぞれ3次元蛍光スペクトル(等高線図)を示す。縦軸はエキサイテーション波長(Ex.波長)を、また横軸はエミッション波長(Em.波長)をいずれもナノメーター(nm)で示す。図2−bおよび図2−c中の破線の楕円で示した部分は、50mMリン酸カリウム緩衝液(図2−a)では見られなかった新たな等高線を示す。 図3−aから図3−eは、それぞれ、エキサイテーション波長を550nm、570nm、590nm、600nm、および610nmとした際の5μMアミロイドβ蛋白1−40(βシート構造をとっていない)の蛍光スペクトルを示す。縦軸は蛍光強度(int.)を、また横軸はエミッション波長をナノメーター(nm)で示す。図3中の2本の曲線の内、上の曲線はアミロイドβ蛋白1−40(βシート構造をとっていない)のスペクトルを、下の曲線は緩衝液のスペクトルを示す。 図4−aから図4−eは、それぞれ、エキサイテーション波長を550nm、570nm、590nm、600nm、および610nmとした際の5μMアミロイドβ蛋白1−42(βシート構造をとっていない)の蛍光スペクトルを示す。縦軸は蛍光強度(int.)を、また横軸はエミッション波長をナノメーター(nm)で示す。図4中の2本の曲線の内、上の曲線はアミロイドβ蛋白1−42(βシート構造をとっていない)のスペクトルを、下の曲線は緩衝液のスペクトルを示す。 図5−aは50mMリン酸カリウム緩衝液、図5−bは5μMアミロイドβ蛋白1−40(βシート構造をとっている)、図5−cは5μMアミロイドβ蛋白1−42(βシート構造をとっている)の、それぞれ3次元蛍光スペクトル(等高線図)を示す。縦軸はエキサイテーション波長(Ex.波長)を、また横軸はエミッション波長(Em.波長)をいずれもナノメーター(nm)で示す。図5−bおよび図5−c中の破線の楕円で示した部分は、50mMリン酸カリウム緩衝液(図5−a)では見られなかった新たな等高線を示す。 図6−aから図6−eは、それぞれ、エキサイテーション波長を550nm、570nm、590nm、600nm、および610nmとした際の5μMアミロイドβ蛋白1−40(βシート構造をとっている)の蛍光スペクトルを示す。縦軸は蛍光強度(int.)を、また横軸はエミッション波長をナノメーター(nm)で示す。図6中の2本の曲線の内、上の曲線はアミロイドβ蛋白1−40(βシート構造をとっている)のスペクトルを、下の曲線は緩衝液のスペクトルを示す。 図7−aから図7−eは、エキサイテーション波長を550nm、570nm、590nm、600nm、および610nmとした際の5μMアミロイドβ蛋白1−40の濃色効果を示した。図7中の2本の曲線の内、上の曲線はβシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−40のスペクトルを、下の曲線はβシート構造をとらないアミロイドβ蛋白1−40スペクトルを示す。 図8−aから図8−eは、それぞれ、エキサイテーション波長を550nm、570nm、590nm、600nm、および610nmとした際の5μMアミロイドβ蛋白1−42(βシート構造をとっている)の蛍光スペクトルを示す。縦軸は蛍光強度(int.)を、また横軸はエミッション波長をナノメーター(nm)で示す。図6中の2本の曲線の内、上の曲線はアミロイドβ蛋白1−42(βシート構造をとっている)のスペクトルを、下の曲線は緩衝液のスペクトルを示す。 図9−aから図9−eは、エキサイテーション波長を550nm、570nm、590nm、600nm、および610nmとした際の5μMアミロイドβ蛋白1−42の濃色効果を示した。図7中の2本の曲線の内、上の曲線はβシート構造をとったアミロイドβ蛋白1−42のスペクトルを、下の曲線はβシート構造をとらないアミロイドβ蛋白1−42のスペクトルを示す。 図10−aは0.01μMクレシルバイオレットアセテート3次元蛍光スペクトル(等高線図)を示す。図10−aの縦軸はエキサイテーション波長(Ex.波長)を、また横軸はエミッション波長(Em.波長)をいずれもナノメーター(nm)で示す。図10−bはエキサイテーション波長を598nmに固定した際の0.01μMクレシルバイオレットアセテートの蛍光スペクトルを示す。

Claims (12)

  1. βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置であって、長波長の光を検体に照射する手段、および該照射により得られる長波長蛍光を分析する手段を有することを特徴とする装置。
  2. エキサイテーション波長が500〜660nmであり、エミッション波長が750nm〜1000nmである請求項1記載の装置。
  3. エキサイテーション波長が550〜610nmであり、エミッション波長が820nm〜900nmである請求項1記載の装置。
  4. 該長波長蛍光の分析がβシート構造をとるアミロイドβ蛋白による濃色効果を確認することを含む、請求項1ないし3のいずれか1項記載の装置。
  5. アミロイド蓄積性疾患を検査するために使用される請求項1ないし4のいずれか1項記載の装置。
  6. アミロイド蓄積性疾患がアルツハイマー病である請求項5記載の装置。
  7. βシート構造をとるアミロイドβ蛋白の検出に使用する装置において、長波長の光を検体に照射し、そのことにより得られる長波長蛍光を分析することを特徴とする、該装置の操作方法。
  8. 長波長の光の波長が500〜660nmであり、長波長蛍光の波長が750nm〜1000nmである請求項7記載の方法。
  9. 長波長の光の波長が550〜610nmであり、長波長蛍光の波長が820nm〜900nmである請求項7記載の方法。
  10. 該長波長蛍光の分析がβシート構造をとるアミロイドβ蛋白による濃色効果を確認することを含む、請求項7ないし9のいずれか1項記載の方法。
  11. アミロイド蓄積性疾患を検査するために使用される請求項7ないし10のいずれか1項記載の方法。
  12. アミロイド蓄積性疾患がアルツハイマー病である請求項11記載の方法。
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