しかし、上記セキュリティシステムは、建造物内にて異常が生じたときに、その旨を報知するためのテレビ信号を生成して、テレビ受信システムの端末側に伝送するものであるため、端末側では、テレビ受像機等で、建造物内で異常があったことは知ることができるものの、異常があった箇所を画像で確認することはできなかった。
また、個人の住宅等では、異常が発生していない場合でも、玄関先や勝手口等の状況を画像で確認したい、という要求がある。
一方、このように異常が生じた箇所を画像で確認したり、玄関先や勝手口等、建造物の任意の箇所の状況を画像で確認するのに、既存のテレビ受信システムを利用できるようにするには、監視対象領域を撮像する撮像装置を設け、その撮像装置にて撮像された画像から空きチャンネルのテレビ信号を生成して、テレビ受信システムの伝送線上に送出するようにすればよい。
しかしながら、監視対象領域の画像をテレビ信号に変換して、テレビ受信システムの伝送線に送出するようにすると、そのテレビ信号が、テレビ受信システムの端末側(テレビ受信装置側)だけでなく、受信アンテナ側にも伝送されてしまうことがあった。
そして、このように受信アンテナ側に伝送されるテレビ信号の信号レベルが高いと、そのテレビ信号が受信アンテナから放射されてしまい、近所のテレビ受信装置でも監視対象領域の画像を確認できるようになってしまう。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、監視対象領域の撮像画像をテレビ信号に変換してテレビ受信システムの伝送線に送出することにより、端末側のテレビ受信装置で監視対象領域の状況を確認できるようにしたセキュリティシステムにおいて、監視用のテレビ信号が受信アンテナから放射されてしまうのを確実に防止できるようにすることを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、テレビ放送電波を受信する受信アンテナと、該受信アンテナにて受信されたテレビ放送信号を建造物内のテレビ受信装置まで伝送する伝送線とを有するテレビ受信システムを利用して、前記建造物の状態を監視するためのセキュリティシステムであって、前記建造物の所定の監視対象領域を撮像する撮像手段と、該撮像手段にて撮像された画像から、前記テレビ受信システムにて伝送されるテレビ放送信号とは異なる放送チャンネルのテレビ信号を生成する変調手段と、前記受信アンテナから前記テレビ受信装置に至る伝送線の途中に挿入され、前記変調手段にて生成されたテレビ信号を前記テレビ放送信号と混合して前記テレビ受信装置側に伝送させる混合手段とを備えると共に、前記混合手段を、前記伝送線の受信アンテナ側に出力端子が接続され、前記伝送線のテレビ受信装置側に入力端子が接続され、前記変調手段のテレビ信号の出力端子に分岐端子が接続された分岐器にて構成し、該分岐器と前記受信アンテナとの間の伝送線上に、前記受信アンテナからのテレビ受信信号を増幅する増幅器を設けたことを特徴とする。
次に、請求項2に記載の発明は、テレビ放送電波を受信する受信アンテナと、該受信アンテナにて受信されたテレビ放送信号を建造物内のテレビ受信装置まで伝送する伝送線とを有するテレビ受信システムを利用して、前記建造物の状態を監視するためのセキュリティシステムであって、前記建造物の所定の監視対象領域を撮像する撮像手段と、該撮像手段にて撮像された画像から、前記テレビ受信システムにて伝送されるテレビ放送信号とは異なる放送チャンネルのテレビ信号を生成する変調手段と、前記受信アンテナから前記テレビ受信装置に至る伝送線の途中に挿入され、前記変調手段にて生成されたテレビ信号を前記テレビ放送信号と混合して前記テレビ受信装置側に伝送させる混合手段とを備えると共に、前記混合手段を、前記伝送線の受信アンテナ側に第1の分配出力端子が接続され、前記伝送線のテレビ受信装置側に入力端子が接続され、前記変調手段のテレビ信号の出力端子に第2の分配出力端子が接続された分配器にて構成し、該分配器と前記受信アンテナとの間の伝送線上に、前記受信アンテナからのテレビ受信信号を増幅する増幅器を設けたことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、テレビ放送電波を受信する受信アンテナと、該受信アンテナにて受信されたテレビ放送信号を建造物内のテレビ受信装置まで伝送する伝送線とを有するテレビ受信システムを利用して、前記建造物の状態を監視するためのセキュリティシステムであって、前記建造物の所定の監視対象領域を撮像する撮像手段と、該撮像手段にて撮像された画像から、前記テレビ受信システムにて伝送されるテレビ放送信号とは異なる放送チャンネルのテレビ信号を生成する変調手段と、前記受信アンテナから前記テレビ受信装置に至る伝送線の途中に挿入され、前記変調手段にて生成されたテレビ信号を前記テレビ放送信号と混合して前記テレビ受信装置側に伝送させる混合手段とを備え、前記混合手段は、前記変調手段のテレビ信号の出力端子と前記伝送線との接続部よりも前記受信アンテナ側の伝送線上に、前記受信アンテナにて受信されたテレビ放送信号を通過させ、前記変調手段にて生成されたテレビ信号の通過を阻止するバンドエリミネータを備えたことを特徴とする。
また次に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のセキュリティシステムにおいて、前記混合手段は、前記変調手段のテレビ信号の出力端子と前記接続部との間に、前記受信アンテナにて受信されたテレビ放送信号の通過を阻止し、前記変調手段にて生成されたテレビ信号のみを選択的に通過させるバンドパスフィルタを備えたことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れかに記載のセキュリティシステムにおいて、前記監視対象領域の音声を入力する音声入力手段を備え、前記変調手段は、前記撮像手段にて撮像された画像と、該音声入力手段を介して入力される音声とから、前記テレビ信号を生成することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れかに記載のセキュリティシステムにおいて、前記監視対象領域の異常を検出する異常検出手段を備え、前記変調手段は、該異常検出手段にて前記監視対象領域の異常が検出されたときに、前記撮像手段にて撮像された画像をテレビ信号に変調して出力することを特徴とする。
請求項1に記載のセキュリティシステムにおいては、変調手段にて生成されたテレビ信号をテレビ放送信号と混合してテレビ受信装置側に伝送させる混合手段が、分岐器にて構成されている。そして、この分岐器は、伝送線の受信アンテナ側に出力端子が接続され、伝送線のテレビ受信装置側に入力端子が接続され、変調手段のテレビ信号の出力端子に分岐端子が接続されており、しかも、分岐器の出力端子と受信アンテナとの間の伝送線上には、受信アンテナからのテレビ受信信号を増幅する増幅器が設けられている。
このため、変調手段から出力されたテレビ信号は、受信アンテナまで伝送されたとしても、分岐器の逆結合損(一般に20dB以上)と、増幅器の逆結合(一般に増幅器を構成する増幅素子1段当たり10dB〜20dB)とにより、信号レベルが充分低減されることから、受信アンテナから、他の受信装置にて受信可能な強度で放射されることはない。
一方、受信アンテナからのテレビ放送信号は、増幅器にて増幅された後、分岐器を、その挿入損失(一般に1〜2dB)分だけ減衰して通過する。また、変調手段から出力されたテレビ信号は、分岐器の結合損(一般に10dB程度)分だけ減衰されるものの、テレビ放送信号に混合されて端末側のテレビ受信装置へと伝送される。
従って、本発明のセキュリティシステムによれば、変調手段にて生成したテレビ信号を、テレビ受信システムの伝送線を介して、受信アンテナからのテレビ放送信号と共に端末側のテレビ受信装置に伝送することができるだけでなく、変調手段にて生成したテレビ信号が受信アンテナから放射されて、監視対象領域の画像が周囲の建造物等に設置されたテレビ受信装置にて不正に受信されるのを防止することができる。よって、本発明によれば、セキュリティシステムが構築された建造物の住人や訪問者等の画像が周囲に配信されて、プライバシーが侵害されるのを防止することができる。
次に、請求項2に記載のセキュリティシステムにおいては、変調手段にて生成されたテレビ信号をテレビ放送信号と混合してテレビ受信装置側に伝送させる混合手段が、分配器にて構成されている。そして、この分配器は、伝送線の受信アンテナ側に第1の分配出力端子が接続され、伝送線のテレビ受信装置側に入力端子が接続され、変調手段のテレビ信号の出力端子に第2の分配出力端子が接続されており、しかも、分配器の第1の分配出力端子と受信アンテナとの間の伝送線上には、受信アンテナからのテレビ受信信号を増幅する増幅器が設けられている。
このため、変調手段から出力されたテレビ信号は、受信アンテナまで伝送されたとしても、分配器の端子間結合損(一般に20dB以上)と、増幅器の逆結合損(一般に増幅器を構成する増幅素子1段当たり10dB〜20dB)とにより、信号レベルが充分低減されることから、受信アンテナから、他の受信装置にて受信可能な強度で放射されることはない。
一方、受信アンテナからのテレビ放送信号は、増幅器にて増幅された後、分配器を、その分配損失(2分配器の場合、理論的には3dB)分だけ減衰して通過する。また、変調手段から出力されたテレビ信号は、分配器の分配損失分だけ減衰されるものの、テレビ放送信号に混合されて端末側のテレビ受信装置へと伝送される。
従って、本発明のセキュリティシステムにおいても、請求項1に記載のものと同様、変調手段にて生成したテレビ信号を、テレビ受信システムの伝送線を介して、受信アンテナからのテレビ放送信号と共に端末側のテレビ受信装置に伝送することができるだけでなく、変調手段にて生成したテレビ信号が受信アンテナから放射されて、監視対象領域の画像が周囲の建造物等に設置されたテレビ受信装置にて不正に受信されるのを防止することができる。よって、本発明によれば、セキュリティシステムが構築された建造物の住人や訪問者等の画像が周囲に配信されて、プライバシーが侵害されるのを防止することができる。
また次に、請求項3に記載のセキュリティシステムにおいては、変調手段にて生成されたテレビ信号をテレビ放送信号と混合してテレビ受信装置側に伝送させる混合手段に、バンドエリミネータが設けられている。そして、このバンドエリミネータは、変調手段のテレビ信号の出力端子と伝送線との接続部よりも受信アンテナ側の伝送線上で、受信アンテナにて受信されたテレビ放送信号を通過させ、変調手段にて生成されたテレビ信号の通過を阻止する。
このため、変調手段から出力されたテレビ信号は、バンドエリミネータにて減衰されて受信アンテナまで伝送されることから、バンドエリミネータの帯域内減衰量を充分大きくする(数十dB以上)ことにより、受信アンテナから、他の受信装置にて受信可能な強度でテレビ信号が放射されるのを防止することができる。
一方、受信アンテナからのテレビ放送信号は、バンドエリミネータを低損失で通過し、変調手段から出力されたテレビ信号と混合されて、端末側のテレビ受信装置へと伝送される。
従って、本発明のセキュリティシステムにおいても、請求項1、2に記載のものと同様、変調手段にて生成したテレビ信号を、テレビ受信システムの伝送線を介して、受信アンテナからのテレビ放送信号と共に端末側のテレビ受信装置に伝送することができるだけでなく、変調手段にて生成したテレビ信号が受信アンテナから放射されて、監視対象領域の画像が周囲の建造物等に設置されたテレビ受信装置にて不正に受信されるのを防止することができる。よって、本発明によれば、セキュリティシステムが構築された建造物の住人や訪問者等の画像が周囲に配信されて、プライバシーが侵害されるのを防止することができる。
なお、請求項3に記載のセキュリティシステムにおいて、変調手段のテレビ信号の出力端子と伝送線とを直接接続すると、バンドエリミネータを通過した信号が変調手段に入力されたり、変調手段から出力された不要信号成分がそのまま端末側に伝送されることから、変調手段のテレビ信号の出力端子と伝送線の接続部との間には、請求項4に記載のように、受信アンテナにて受信されたテレビ放送信号の通過を阻止し、変調手段にて生成されたテレビ信号のみを選択的に通過させるバンドパスフィルタを設けるようにしてもよい。
次に、請求項5に記載のセキュリティシステムにおいては、変調手段が、撮像手段にて撮像された画像と、音声入力手段を介して入力される監視対象領域の音声とからテレビ信号を生成する。このため、この請求項5に記載のセキュリティシステムによれば、テレビ受信システムの端末側のテレビ受信装置を介して、監視対象領域の画像と音声を確認することができるようになる。
また次に、請求項6に記載のセキュリティシステムにおいては、監視対象領域の異常を検出する異常検出手段が備えられており、変調手段は、この異常検出手段にて監視対象領域の異常が検出されたときに、撮像手段にて撮像された画像をテレビ信号に変調して出力する。
従って、このシステムによれば、例えば、テレビ受信システムの端末側に、変調手段にて生成されたテレビ信号が伝送されてきたか否かを検出する検出手段と、この検出手段にてテレビ受信信号が検出されると、このテレビ信号を受信・復調するようにテレビ受信装置を制御する制御手段とを設けるようにすれば、監視対象領域の異常時に、その領域の画像をテレビ受信装置に自動で出力させることができるようになる。
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明が適用された第1実施形態のセキュリティシステム全体の構成を表すブロック図である。
本実施形態のセキュリティシステムは、受信アンテナ8にて受信されたテレビ放送信号を伝送線としての同軸ケーブル9を介して建造物20内に設けられた録画装置24やテレビ受像機26まで伝送するテレビ受信システムを利用して、建造物20の玄関先等、所定の監視領域を撮像した画像を配信するものである。
このため、図1に示すように、本実施形態のセキュリティシステムには、監視対象領域の画像を撮像するためのテレビカメラ4と、監視対象領域への第三者の不正侵入を検出する侵入センサ6と、変調ユニット10とが備えられている。
テレビカメラ4は、監視対象領域の画像を撮像して映像信号を出力するものであるが、このテレビカメラ4には、監視対象領域の音声を取り込むためのマイクロフォン(以下単にマイクという)2も内蔵されている。そして、このマイク2からの音声信号は、映像信号と共に、変調ユニット10に入力される。
また、侵入センサ6は、光を投受光するフォトカプラや、超音波センサ等を利用して、監視対象領域での人の通過を検出することにより、第三者の不正侵入を検出するためのものであり、侵入センサ6からの検出信号も変調ユニット10に入力される。
変調ユニット10は、テレビカメラ4から入力される映像信号と音声信号とを取り込み、チャンネルスイッチ62(図2参照)にて設定される放送チャンネル(本実施形態ではCH55又はCH59、CH:チャンネルを表す)のテレビ信号を生成するための変調器12と、受信アンテナ8にて受信されたテレビ放送信号を増幅する増幅器14と、この増幅器14にて増幅されたテレビ放送信号と変調器12にて生成されたテレビ信号とを混合して、端末側に伝送するための分岐器16とを、図2に示す防水ケース50内に一体的に収納することにより構成されている。
ここで、変調器12は、侵入センサ6から監視対象領域の異常(具体的には不正侵入)を表す検出信号が入力されたときに起動し、その後、使用者により異常検知状態が解除されるまで、監視対象領域の画像及び音声からなるテレビ信号を生成するように構成されている。
そして、この変調器12にて生成されるテレビ信号の放送チャンネル(本実施形態ではCH55又はCH59)は、受信アンテナ8にて受信されるテレビ放送信号の放送チャンネルとは異なるチャンネル(換言すればテレビ受信システムにおける空きチャンネル)に設定されている。
また、増幅器14は、後述の利得調整用ボリューム64を回動操作することにより利得を調整可能な利得調整回路を内蔵しており、その利得調整用ボリューム64にて設定された利得でテレビ放送信号を増幅する。
また、分岐器16は、テレビ受信システムで利用される一般的な分岐器(換言すれば方向性結合器)であるが、本実施形態では、増幅器14の出力端子(延いては受信アンテナ8)側の同軸ケーブル9に出力端子(OUT)を接続し、録画装置24やテレビ受像機26等のテレビ受信装置が接続される端末側の同軸ケーブル9に入力端子(IN)を接続し、分岐端子(Br)を変調器12のテレビ信号の出力端子に接続することにより、テレビ信号が受信アンテナ8まで伝送されて、受信アンテナ8から放射されるのを防止している。
つまり、本実施形態では、変調器12から出力されたテレビ信号は、分岐器の逆結合損(一般に20dB以上であり、本実施形態では約30dB)と、増幅器14の逆結合(一般に増幅器を構成する増幅素子1段当たり10dB〜20dBであり、本実施形態では、増幅素子が3素子であるため、約50dB)とにより、約80dB以上減衰されて受信アンテナ8まで伝送される。
このため、変調器12からのテレビ信号が、受信アンテナ8から放射されることはなく、たとえ放射されたとしても、他の受信装置にて受信・復調することはできない。
一方、受信アンテナ8からのテレビ放送信号は、増幅器14にて増幅された後、分岐器16を、その挿入損失分(1〜2dB)だけ減衰して通過する。また、変調器12から出力されたテレビ信号は、分岐器16の結合損(約10dB程度)分だけ減衰されてテレビ放送信号と混合され、端末側の同軸ケーブル9へと送出される。
なお、変調ユニット10を収納する防水ケース50には、図2に示すように、受信アンテナ8からのテレビ放送信号を同軸ケーブル9を介して入力するための入力端子52、テレビ放送信号を同軸ケーブル9を介して端末側に出力するための出力端子54、テレビカメラ4からの映像信号と音声信号とをそれぞれ入力するための映像入力端子56、音声入力端子58、及び、侵入センサ6からの検出信号を入力するためのセンサ入力端子60が固定されている。
そして、防水ケース50は、このケースの蓋体を外すと、上述した変調器12、増幅器14、及び分岐器16を構成する電子部品が組み付けられた回路基板を保護する保護板66が露出し、この保護板66に穿設された孔から、チャンネルスイッチ62と利得調整用ボリューム64を操作できるようにされている。また、この保護板66には、チャンネルスイッチ62及び利得調整用ボリューム64の操作説明や、上述した各端子の説明が印刷されている。
次に、図1に示すように、変調ユニット10から出力されるテレビ放送信号は、建造物20内に設けられた分配器22にて2分配され、その分配された一方のテレビ放送信号は、録画装置24及びテレビ受像機26に順に伝送され、他方のテレビ放送信号は、セキュリティシステム専用の受信装置30に入力される。
そして、この受信装置30には、変調器12にて生成される特定放送チャンネル(本実施形態ではCH55又はCH59)のテレビ信号を受信して映像及び音声信号を復調する受信復調回路32と、この受信復調回路32にて復調された映像・音声信号を検出する信号検出回路34と、この信号検出回路34にて映像・音声信号が検出されると、遠隔操作用のリモコン装置28を介して、録画装置24及びテレビ受像機26を制御するか、或いは、予め設定された警報動作を実行する制御回路36と、が備えられている。
また、受信装置30には、異常を音及び光にてそれぞれ報知するための警報音発生装置38及び警報ランプ39や、異常を公衆電話回線42を介して使用者の携帯電話44に通知するための電話回線用端末40も設けられている。
そして、制御回路36は、信号検出回路にて映像・音声信号が検出されると、使用者により予め設定された動作モードに従い、録画装置24又はテレビ受像機26に対して、変調器12にて生成された特定放送チャンネル(本実施形態ではCH55又はCH59)のテレビ信号を受信して録画又は表示させるか、警報音発生装置38及び警報ランプ39から警報用の音及び光を発生させるか、或いは、電話回線用端末40を介して使用者の携帯電話44を呼び出し、受信復調回路32にて復調された映像及び音声を携帯電話44に送信する。
このため、侵入センサ6にて監視対象領域の異常(本実施形態では不正侵入)が検出され、変調器12にて、監視対象領域を撮像した画像及びその音声がテレビ信号に変換されると、そのときの画像及び音声を録画装置24に録画させたり、テレビ受像機26に表示したり、異常を音と光で周囲に報知したり、或いは、使用者の携帯電話44に異常を通知したりすることができ、使用者は、監視対象領域の異常を速やかに検知して、そのときの状態を映像と音声とで確認することができるようになる。
以上説明したように、本実施形態のセキュリティシステムでは、監視対象領域に異常(不正侵入)が生じた際に、変調手段としての変調器12により、その領域の映像及び音声信号から、テレビ受信システムにて伝送されていない空きチャンネルのテレビ信号を生成し、このテレビ信号を、テレビ受信システムの受信アンテナ8からのテレビ放送信号と混合するようにされている。
そして、本実施形態では、監視対象領域の映像及び音声信号から生成したテレビ信号を受信アンテナ8からのテレビ放送信号と混合するための混合手段として、入出力端子が通常とは逆方向となるように同軸ケーブル9に挿入された分岐器16を使用している。
このため、本実施形態のセキュリティシステムによれば、変調器12から出力されたテレビ信号が増幅器14を介して受信アンテナ8まで伝送されて、受信アンテナ8から、他の受信装置にて受信・復調可能な信号レベルで放射されるのを確実に防止することができる。
よって、本実施形態のセキュリティシステムによれば、監視対象領域の画像が周囲の建造物等に設置されたテレビ受像装置にて受信されて、当該セキュリティシステムが構築された建造物20の住人や訪問者等のプライバシーが侵害されるのを防止することができる。
なお、本実施形態においては、変調器12にて生成されたテレビ信号を受信アンテナ8からのテレビ放送信号と混合してテレビ受信システムの端末側に伝送させる混合手段として、分岐器16を用いるものとして説明したが、図3(a)に示すように、分岐器16の代わりに、2分配用の分配器18を使用するようにしてもよい。
ただし、この場合には、分配器18の一方の分配出力端子(OUT1)を増幅器14の出力端子(延いては受信アンテナ8)側の同軸ケーブル9に接続し、分配器18の入力端子(IN)を端末側の同軸ケーブル9に接続し、他方の分配出力端子(OUT2)を、変調器12のテレビ信号の出力端子に接続する。
そして、このようにすれば、変調器12から出力されたテレビ信号は、分配器18の端子間結合損(一般に20dB)と、上述した増幅器14の逆結合損とにより、約80dB以上減衰されて受信アンテナ8まで伝送されることから、上記実施形態と同様、変調器12からのテレビ信号が、受信アンテナ8から放射されることはなく、たとえ放射されたとしても、他の受信装置にて受信・復調することはできない。
また、変調器12から出力されたテレビ信号と増幅器14から出力されるテレビ放送信号とは、それぞれ、分配器18の分配損失(理論的には3dB)分だけ減衰されるが、これら各信号は、互いに混合されて、端末側のテレビ受信装置へと伝送されることから、端末側では、これら各信号を選択的に受信・復調することができるようになる。
一方、本実施形態では、変調ユニット10内の変調器12や増幅器14への電源供給については特に説明しなかったが、変調ユニット10には、商用電源から電源電圧(一般に交流100V)を取り込み、これを降圧・整流して、内部回路駆動用の直流定電圧を生成する電源装置を内蔵するようにしてもよく、或いは、図3(b)に示すように、変調ユニット10には、端末側から同軸ケーブルを介して直流又は交流の電源電圧を供給するようにし、変調ユニット10内に、その電源電圧を分離する電源分離フィルタ70と、電源分離フィルタ70にて分離された直流又は交流の電源電圧から内部回路駆動用の直流定電圧を生成する定電圧回路72とを設けるようにしてもよい。
またこのように、電源分離フィルタ70と定電圧回路72とを変調ユニット10に設けた場合、定電圧回路72にて生成した直流定電圧を、テレビカメラ4や侵入センサ6を駆動するための電源電圧として出力するための電源出力端子を設けるようにしてもよい。
また次に、上記実施形態では、増幅器14は、変調ユニット10内に組み込むものとして説明したが、セキュリティシステムを構築する前のテレビ受信システムにおいて、受信アンテナ8直下に増幅器が所謂ブースタとして設けられているような場合には、変調ユニット10内に別途増幅器14を設ける必要はなく、図3(c)に示すように、増幅器14に代えて、定電圧回路72にて生成された直流定電圧を、高周波信号遮断用のコイル76を介して、受信アンテナ8側に出力するようにしてもよい。なお、この場合、受信アンテナ8側の伝送線とコイル76との接続点の下流(つまりその接続点と分岐器16若しくは分配器18との間)には、直流遮断用のコンデンサ74を設ける必要はある。
(第2実施形態)
図4は本発明が適用された第2実施形態のセキュリティシステム全体の構成を表すブロック図である。
本実施形態のセキュリティシステムは、第1実施形態と同様のテレビカメラ4と、変調ユニット80とを備え、テレビカメラ4から出力される監視対象領域の映像信号と音声信号とから生成した特定放送チャンネルのテレビ信号を、常時端末側に伝送するようにしたものである。
そして、本実施形態の変調ユニット80には、テレビカメラ4から入力される映像信号と音声信号とを取り込み、チャンネルスイッチ62(図5参照)にて設定される放送チャンネル(CH55又はCH59)のテレビ信号を生成する変調器12と、この変調器12のテレビ信号の出力端子に接続され、受信アンテナにて受信されたテレビ放送信号の通過を阻止し、変調器12にて生成されたテレビ信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタ(以下単にBPFと記載する)84と、受信アンテナ8からのテレビ放送信号の入力経路に設けられ、そのテレビ放送信号を通過させ、変調器12にて生成されたテレビ信号の通過を阻止するバンドエリミネータ(以下単にBEFと記載する)82とが備えられており、BPF84の変調器12とは反対側を、BEF82の受信アンテナ8とは反対側と接続することにより、その接続部にて、BPF84を通過したテレビ信号とBEF82を通過したテレビ放送信号とを混合するようにようにされている。
また、この変調ユニット80には、これら各信号の混合信号であるテレビ放送信号を3分配する分配器86が設けられており、この分配器86にて分配されたテレビ信号を、それぞれ、同軸ケーブル9を介して建造物20内の各部屋に設けられたテレビ受像機26へと伝送するようにされている。
また、分配器86の3つの分配出力のうちの一つには、端末側に設置された電源装置48から同軸ケーブル9を介して入力される電源電圧を分離する電源分離フィルタ70が接続されており、この電源分離フィルタ70にて分離された電源電圧は、定電圧回路72に入力される。そして、この定電圧回路72では、内部回路駆動用の直流定電圧が生成され、この生成された直流定電圧は、変調ユニット80の内部回路である変調器12に供給されると共に、テレビカメラ4にも供給される。
また、定電圧回路72は、電源出力切換スイッチ78、及び、高周波信号遮断用のコイル76を介して、受信アンテナ8側の同軸ケーブル9にも接続されている。これは、受信アンテナ8側の同軸ケーブル9上に増幅器14が所謂ブースタとして設置されている場合に、電源出力切換スイッチ78をONすることで、この増幅器14に、定電圧回路72にて生成した直流電圧を電源電圧として供給できるようにするためである。
なお、本実施形態の変調ユニット80を収納する防水ケース90には、図5に示すように、受信アンテナ8からのテレビ放送信号を同軸ケーブル9を介して入力するための入力端子52と、テレビ放送信号を同軸ケーブル9を介して端末側に出力するための3つの出力端子54a、54b、54cと、テレビカメラ4からの映像信号及び音声信号をそれぞれ入力するための映像入力端子56及び音声入力端子58と、テレビカメラ4に電源供給を行うための電源出力端子61とが固定されている。
そして、防水ケース90は、このケースの蓋体を外すと、上述した変調器12、電源分離フィルタ70、定電圧回路72、BEF82、BPF84等を構成する電子部品が組み付けられた回路基板を保護する保護板67が露出し、この保護板67に穿設された孔から、チャンネルスイッチ62と電源出力切換スイッチ78を操作できるようにされている。また、この保護板67には、チャンネルスイッチ62及び電源出力切換スイッチ78の操作説明や、上述した各端子の説明が印刷されている。
以上説明したように、本実施形態のセキュリティシステムでは、変調手段としての変調器12により、監視対象領域を撮像するテレビカメラ4からの映像信号及び音声信号から、テレビ受信システムにて伝送されていない空きチャンネルのテレビ信号を生成し、このテレビ信号を、テレビ受信システムの受信アンテナ8からのテレビ放送信号と混合するようにされている。
そして、本実施形態では、その混合のための混合手段として、BEF82とBPF84とを備え、BEF82により、変調器12から出力されたテレビ信号が受信アンテナ8側に伝送されるのを阻止するようにされている。
よって、本実施形態のセキュリティシステムにおいても、上記第1実施形態と同様、監視対象領域の画像が周囲の建造物等に設置されたテレビ受像装置にて受信されて、当該セキュリティシステムが構築された建造物20の住人や訪問者等のプライバシーが侵害されるのを防止することができる。
また、変調器12にて生成されたテレビ信号は、BPF84を介して端末側に伝送されることから、変調器12から出力されるテレビ信号以外のノイズ信号が端末側に伝送されるのを防止することができると共に、受信アンテナ8から入力されたテレビ放送信号を含む各種信号が変調器12に入力されて変調器12の動作が不安定になるのを防止することもできる。
なお、本実施形態では、BPF84とBEF82とで変調器12にて生成されたテレビ信号を通過させたり、阻止したりすることから、BPF84の通過帯域幅とBEF82の通過阻止帯域幅は、テレビ信号1CH分の帯域幅に設定しておき、チャンネルスイッチ62を介して変調器12が生成するテレビ信号の放送チャンネルを設定した際に、その放送チャンネルの周波数に応じて、BPF84及びBEF82の中心周波数も自動調整されるようにすることが望ましい。
ただし、BPF84の通過帯域幅とBEF82の通過阻止帯域幅を、変調器12にて生成可能な放送チャンネルの全てのテレビ信号を通過又は阻止し得る帯域幅に設定できる場合(つまり、この帯域幅に受信アンテナ8にて受信されるテレビ放送信号が入らない場合)には、BPF84の通過帯域幅とBEF82の通過阻止帯域幅を、その帯域幅に固定してもよい。
また次に、本実施形態では、変調ユニット80の定電圧回路72にて生成した直流定電圧は、電源出力端子61から外部装置(つまりテレビカメラ4)に供給するものとして説明したが、テレビカメラ4に電源供給を行う必要がない場合には、何も接続されていない電源出力端子61に直流定電圧が印加されることになるので、図6(a)又は図6(b)に示すように、定電圧回路72から電源出力端子61に至る直流定電圧の出力経路には、その経路の導通・遮断状態を切り換えるための電源出力切換スイッチ88を設けるようにしてもよい。
また、上述したBPF84は必ずしも設ける必要はなく、例えば、変調器12のテレビ信号の出力端子と、BEF82よりも端末側の伝送線とを、図3(a)に示した分配器18、若しくは、図1に示した分岐器16を介して接続するようにしてもよい。
なお、図6(a)、図6(b)に示した変調ユニット80には、分配器86は設けられていないが、こうしたテレビ放送信号分配用の分配器は、必要に応じて適宜設けるようにすればよく、第1実施形態の変調ユニット10に分配器を設けるようにしてもよい。
(第3実施形態)
図7は本発明が適用された第3実施形態のセキュリティシステムの構成を表すブロック図である。
本実施形態のセキュリティシステムは、第1実施形態の変調ユニット10(詳しくは、端末側から電源供給を受けて動作する図3(b)に示した変調ユニット)と、第2実施形態の変調ユニット80とを使って、2つのテレビカメラ4からの映像信号から生成した2チャンネル(CH55とCH59)のテレビ信号を、端末側の複数のテレビ受像機26にそれぞれ伝送するように構成したものである。
そして、このように構成されたセキュリティシステムによれば、端末側の複数のテレビ受像機26を使って、建造物の玄関と勝手口、というように所望の2カ所を適宜監視することができるようになる。
ただし、本実施形態では、2カ所の監視対象領域をテレビ受信システムの端末側で監視できるようにするために、2つの変調ユニット10、80を利用するものとして説明したが、図8(a)、(b)に示す変調ユニット92、94のように、変調ユニット内に、2つのテレビカメラから入力される映像及び音声信号によりそれぞれ異なる放送チャンネルのテレビ信号を生成する2つの変調器12を内蔵し、これら各変調器12にて生成されたテレビ信号を、受信アンテナ8から入力されたテレビ放送信号と混合して、端末側に送出するようにしてもよい。
なお、図8(a)に示した変調ユニット92は、図3(b)に示した第1実施形態の変調ユニット10と同様、増幅器14と、電源分離フィルタ70と定電圧回路72とを内蔵し、混合手段として分岐器16を利用するようにしたものである。
また、図8(b)に示した変調ユニット94は、図4に示した第2実施形態の変調ユニット80と同様、電源分離フィルタ70と定電圧回路72と電源出力切換スイッチ78とを内蔵し、混合手段としてBPF84とBEF82を利用するようにしたものである。
そして、これらのいずれの変調ユニット92、94においても、各変調器12にて生成されたテレビ信号は、分岐器16と増幅器14の逆結合損、若しくは、BEF82によるテレビ信号の通過損失により、受信アンテナ8側に伝送されて受信アンテナ8から放射されるのを防止することができる。
2…マイク、4…テレビカメラ、6…侵入センサ、8…受信アンテナ、9…同軸ケーブル、10,80,92,94…変調ユニット、12…変調器、14…増幅器、16…分岐器、18,22,86…分配器、20…建造物、24…録画装置、26…テレビ受像機、28…リモコン装置、30…受信装置、32…受信復調回路、34…信号検出回路、36…制御回路、38…警報音発生装置39…警報ランプ、40…電話回線用端末、42…公衆電話回線、44…携帯電話、48…電源装置、50,90…防水ケース、52…入力端子、54,54a,54b,54c…出力端子、56…映像入力端子、58…音声入力端子、60…センサ入力端子、61…電源出力端子、62…チャンネルスイッチ、64…利得調整用ボリューム、66,67…保護板、70…電源分離フィルタ、72…定電圧回路、74…コンデンサ、76…コイル、82…BEF、84…BPF、78,88…電源出力切換スイッチ。