JP2007123029A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】加減速過渡時において循環用の燃料ポンプの回転数が制限されることによって発生する水素不足による燃料電池の劣化を防止すると共に、出力応答性を保持することが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池スタック1と、水素供給系と、酸化剤ガス供給系と、回転数を制限する機能を備えた水素循環ポンプ6を介して燃料電池スタック1で消費されなかった水素を水素供給系に循環させる水素循環系と、を備えた燃料電池システムにおいて、コントローラ15の循環流量推定手段により加速過渡時における水素循環系の循環流量を推定し、該推定された循環流量推定値に応じた当該燃料電池システムの許容出力をコントローラ15の許容出力算出手段により算出し、該算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力をコントローラ15の出力制御手段により制限する。
【選択図】図1

Description

本発明は燃料電池システムに係り、特に、加減速過渡時において循環用の燃料ポンプの回転数が制限されることによって発生する水素不足による燃料電池の劣化を防止すると共に、出力応答性を保持することが可能な燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、燃料電池の燃料極に燃料ガスとして水素を供給し、燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスとして空気を供給し、これら水素と空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば自動車の動力源等として実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
燃料電池システムに用いられる燃料電池としては、例えば自動車に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプの燃料電池が知られている。固体高分子タイプの燃料電池は、燃料極と酸化剤極との間に電解質膜として固体高分子膜が設けられたものである。この固体高分子タイプの燃料電池では、固体高分子膜がイオン伝導体として機能し、燃料極で水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、酸化剤極で空気中の酸素と水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。
このような燃料電池システムにおいては、燃料電池内での凝縮水を排出させるために水素および空気を燃料電池が消費する以上に供給しなければならない。水素は水素タンク等から供給されるため、消費されなかった水素を大気中に放出すると水素の燃費を著しく悪化させる原因となる。そこで、消費されなかった水素をエゼクタまたは燃料ポンプで循環させて再利用するシステムが提案されている。
例えば、特開2003−157874号公報に開示の「燃料循環式燃料電池システム」では、エゼクタのみを用いた燃料循環系を備えた燃料電池システムにおいて、燃料電池に対して急な加減速指令がなされた場合に、燃料の循環量が燃料電池で要求される水準よりも少なくなるという問題に対処するべく、燃料電池から排出される燃料を再び燃料電池に供給する燃料循環系を、燃料ポンプおよびエゼクタまたは燃料ポンプと、燃料循環路と、燃料循環路に新たな燃料を供給すると共に燃料循環路中の燃料を所定の循環量で循環させる燃料送出手段と、を備えて構成し、燃料電池に対して発せられる出力指令値出力指令値に応じて燃料送出手段を制御することにより、燃料循環路中の燃料の循環量を調整して、燃料循環路に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させるシステムを提案している。
特開2003−157874号公報
ところで、循環ポンプをレイアウトによって小型化した場合や、或いは、燃料電池の大幅な出力を取り出すオペレーションを実施する場合には、モータトルクや消費電流の制約にかかってしまうため、目標回転数に変化率リミッタが付加されている場合がある。この場合においては、上述した特許文献1に開示された技術を適用して、燃料電池の出力指令に対して燃料ポンプの回転数を決定していたとしても、燃料電池の出力増減速度が燃料ポンプの回転数増減変化率リミッタに対して十分に速かった場合には、急な加速時の出力に対応する燃料ポンプに要求される回転数を満たすことができずに、循環流量の不足、即ち水素不足によって燃料電池が劣化してしまうという事情がある。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、加減速過渡時において循環用の燃料ポンプの回転数が制限されることによって発生する水素不足による燃料電池の劣化を防止すると共に、出力応答性を保持することが可能な燃料電池システムを提供することを目的としている。
上記目的を解決するため、本発明は、燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給により発電を行う燃料電池と、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給系と、前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給系と、回転数を制限する機能を備えた循環ポンプを介して前記燃料電池で消費されなかった燃料ガスを前記燃料ガス供給系に循環させる燃料ガス循環系と、加速過渡時における前記燃料ガス循環系の循環流量を推定する循環流量推定手段と、前記循環流量推定手段により推定された循環流量推定値に応じた当該燃料電池システムの許容出力を算出する許容出力算出手段と、前記許容出力算出手段により算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力を制限する出力制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池システムでは、循環流量推定手段により加速過渡時における燃料ガス循環系の循環流量を推定し、該推定された循環流量推定値に応じた当該燃料電池システムの許容出力を許容出力算出手段により算出し、該算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力を出力制御手段により制限するので、加速過渡時において要求される循環流量を確保することができ、循環ポンプの回転数が制限されることによって発生する燃料ガス不足による燃料電池の劣化を防止することができる。
以下、本発明の燃料電池システムの実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1に係る燃料電池システムの構成図である。本実施例の燃料電池システムは、例えば燃料電池車両の駆動動力源として用いられるものであり、図1に示すように、燃料ガス(水素)および酸化剤ガス(空気)の供給により発電を行う燃料電池スタック1を備える。
また、燃料電池スタック1に水素を供給する水素供給系(燃料ガス供給手段)として、高圧水素タンク2、シャット弁3、水素調圧弁4、水素系ガス経路7およびパージ弁8を備え、燃料電池で消費されなかった燃料ガスを水素供給系に循環させる水素循環系(燃料ガス循環系)として、水素循環ポンプ6および水素系循環ガス経路5を備え、燃料電池スタック1に空気を供給する空気供給系(酸化剤ガス供給手段)として、空気コンプレッサ10、空気系ガス経路11、空気調圧弁12および空気系排気ガス経路9を備えている。
また、負荷系として、電力分配装置21、2次バッテリ22、補機類23および負荷24を備え、さらに制御系として、水素供給系、空気供給系および負荷系の各種計器や他の計器類からの検知信号に基づき水素供給系、空気供給系および負荷系の各構成要素の制御を行うコントローラ15を備えた構成である。なお、冷却機構については、本発明の特徴的部分に直接関係しないために省略している。
燃料電池スタック1は、燃料ガスである水素が供給される燃料極(アノード)と酸化剤ガスである空気が供給される酸化剤極(カソード)とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されると共に、複数の発電セルが多段積層されたスタック構造を有しており、水素と空気中の酸素とを基にした電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。この燃料電池スタック1の各発電セルでは、燃料極に供給された水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、酸化剤極にそれぞれ移動する。酸化剤極では、供給された空気中の酸素と電解質を通って移動した水素イオンおよび電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
燃料電池スタック1の電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
燃料電池スタック1で発電を行うには、燃料ガスである水素や酸化剤ガスである空気を各発電セルの燃料極(アノード)や酸化剤極(カソード)に供給する必要があり、燃料電池システムでは、そのための機構として水素供給系および空気供給系が設けられている。
水素供給系では、高圧水素タンク2からの水素はシャット弁3を通じて減圧され、水素調圧弁4にて燃料電池スタック1での水素圧力が所望の水素圧となるように制御される。調圧された供給水素は、水素系ガス経路を介して燃料電池スタック1の燃料極(アノード)に導入される。燃料電池スタック1の燃料極(アノード)により消費されなかった水素は、燃料電池スタック1中の凝縮水、酸化剤極(カソード)からクロスリークしてきた窒素などの不純物ガスと共に水素系循環ガス経路5を通り、水素系循環ガス経路5の経路中に配置された水素循環ポンプ6により、燃料電池スタック1の燃料極(アノード)側に再供給される。
なお、水素循環ポンプ6は、ポンプモータを保護するために水素循環ポンプ6の回転数について変化率を制限する変化率リミッタの制御機能を有しており、回転数の変化が所定の変化率を超えるときには、電流制御によって水素循環ポンプ6の回転数が制限される。
また、運転に伴って、燃料電池スタック1の固体高分子電解質膜の透過等により、窒素などの不純物の濃度が次第に増加して循環系内に蓄積してしまう。ここで、パージ弁8を開として、水素循環系内の不純物は水素と共に系外へ排出され、最終的には空気系排気ガス経路9で希釈されて大気に排出される。また、パージ弁8の開閉は、負荷系(発電電流)の状態によって開閉時間を制御するように行われる。
また、空気供給系では、空気コンプレッサ10で圧縮された空気が空気系ガス経路11を通って燃料電池スタック1の酸化剤極(カソード)に供給され、燃料電池スタック1の下流に配置された空気調圧弁12によって調圧される。燃料電池スタック1から排出されたガスは空気系排気ガス経路9を通って大気に排出される。
次に、負荷系について説明する。燃料電池スタック1は、電力分配装置13と電気的に接続され、さらに電力分配装置13は、2次バッテリ14、当該燃料電池システムで発電するために必要な補記類15、並びに負荷部16と電気的に接続されている。
さらに、制御系(コントローラ15)は、例えばCPU、ROMまたはRAM(記憶部16に該当する)、並びに周辺インターフェース等を有するマイクロコンピュータとして構成されており、各種センサの検出値を読み込んで、その検出値に対する判断、演算結果により、各種制御信号を出力して、燃料電池システムの各構成要素の動作を制御する。
コントローラ15は、加速過渡時における水素循環系(燃料ガス循環系)の循環流量を推定する循環流量推定手段と、循環流量推定手段により推定された循環流量推定値に応じた当該燃料電池システムの許容出力を算出する許容出力算出手段と、許容出力算出手段により算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力を制限する出力制御手段と、を具現するものであるが、実際にはこれら手段はCPU上で実行されるプログラムとして実現される。
具体的には、循環流量推定手段は、制限時の水素循環ポンプ6の回転数および非制限時の水素循環ポンプ6の回転数、或いは両者の差の何れか一方に基づき、水素循環流量または水素循環流量の不足分を推定する。また、許容出力算出手段は、水素循環流量または水素循環流量の不足分の何れか一方の推定値に応じて許容される当該燃料電池システムの出力を算出する。
また、コントローラ15は補正手段(CPU上で実行されるプログラム)を有し、水素循環系(燃料ガス循環系)の水素圧力および水素温度から推定される水素密度に基づき、循環流量推定手段により推定された水素循環流量または水素循環流量の不足分、或いは、許容出力算出手段により算出された許容出力について補正を行う。
また、出力制御手段は、当該燃料電池システムの出力について変化率を制限する変化率リミッタを有し、制限された出力の変化率に対して、許容出力算出手段により算出された許容出力或いは補正手段により補正された補正許容出力の変化率が大きい場合には、該許容出力または該補正許容出力に対して変化率リミッタを適用し、許容出力または補正許容出力の変化率が小さい場合には、該許容出力または該補正許容出力に対して変化率リミッタを適用しないようにしている。
さらに、出力制御手段は、当該燃料電池システムの出力制限を行ったことによる不足分の出力を、2次バッテリ22によって補償し、また、加速過渡時に2次バッテリ22によって出力を補償した場合には、次の減速過渡時に2次バッテリ22で補償した分の出力を通常減速時出力に上乗せして、該減速過渡時における当該燃料電池システムの出力変化率および出力の挙動を決定する。
次に、以上のように構成される本実施例の燃料電池システムの運転時の動作について説明するが、まず、図2〜図5を参照して、通常時(相対的に長い時間での出力変化)および過渡時(相対的に短い時間での出力変化)における燃料電池スタック1の出力、水素循環ポンプ6の回転数および燃料ガス(水素)の圧力のそれぞれの挙動について説明し、本実施例が解決すべき課題と本実施例で提案する技法について概略的に説明する。
通常時において、コントローラ15は、燃料電池スタック1の出力指令値と水素循環ポンプ6の目標回転数(水素循環量)との関係を表す図2に示されるようなマップ(以下、「出力−回転数マップ」と称する)を参照して、当該燃料電池システムが必要とする水素循環量を確保する。この通常時における燃料電池スタック1の出力、水素循環ポンプ6の回転数および燃料ガス(水素)の圧力は、それぞれ図3(a)、(b)および(c)に示されるような挙動となる。すなわち、図3(a)に示すように出力をアイドル点から定格点まで相対的に長い時間ΔTで上昇させるとき、ガス圧力は図3(c)に示すようにほぼ比例して上昇するが、水素循環ポンプ6の回転数は図3(b)に示すように、図2の「出力−回転数マップ」に基づき凸曲線の形状をなして上昇する。
一方、加速過渡時における燃料電池スタック1の出力、水素循環ポンプ6の回転数および燃料ガス(水素)の圧力のそれぞれの挙動を、図4(a)、(b)および(c)に示すが、水素循環ポンプ6のポンプモータの上限電流を超過しないように、水素循環ポンプ6の回転数の時間変化率を制限する変化率リミッタが付加されており、出力をアイドル点から定格点まで相対的に短い時間ΔTで上昇させるとき、ガス圧力は図4(c)に示すようにほぼ比例して上昇し、水素循環ポンプ6の回転数は図3(b)に示すように、変化率リミッタにより時間変化率が制限されて、通常時の回転数(図2の「出力−回転数マップ」に基づく凸曲線の形状;図中破線で示す)よりも少ない、図中実線で示される回転数の挙動で応答することとなり、燃料電池システムが必要とする燃料ガス(水素)の循環量を確保できないことが考えられる。
つまり、通常時循環流量Qu、過渡時循環流量Qtおよび要求循環流量Qrそれぞれの燃料電池スタック1の出力に対する変化は、図5に示すようになり、燃料電池スタック1の出力の一定範囲において、過渡時循環流量Qtは要求循環流量Qrを下回って、燃料電池システムが必要とする水素の循環量を確保できない。
そこで本実施例では、水素循環ポンプ6が回転数の変化率リミッタによって回転数を制限された場合には、「出力−回転数マップ」(図2参照)から決定される水素循環ポンプ6の通常時の回転数で且つ要求される最低の循環量を確保できる回転数および変化率リミッタによって制限された後の回転数、或いはそれらの差に基づき、水素循環流量または水素循環流量の不足量を推定し、該水素循環流量または該水素循環流量の不足量の推定値に基づき燃料電池スタック1の出力指令値を制限することで、水素循環ポンプ6の回転数に変化率リミッタによる制限がかかった場合の循環流量不足を回避することとした。
次に、本実施例の燃料電池システムの運転時の動作について、図6および図7のフローチャート並びに図8〜図13の説明図を参照して説明する。
ここで、図6および図7は本実施例による出力制御を説明するフローチャートであり、図8は循環流量不足分による出力に対する補正係数を例示する説明図、図9は通常時および過渡時における出力挙動を例示する説明図、図10は水素循環系のガス圧力および温度を考慮した出力の補正を説明する説明図、図11は変化率リミッタを付加したときの出力挙動を例示する説明図、図12は2次バッテリにより補償すべき出力不足分を例示する説明図、図13は加速過渡時および減速過渡時における出力挙動と2次バッテリの充放電量を説明する説明図である。
図6のフローチャートにおいて、まず、コントローラ15は加速減速フラグAを参照する(ステップS101)。そして、参照した加速減速フラグAの有無に基づき加速または減速の判断を行う(ステップS102)。加速減速フラグAにフラグが立っている場合(フラグA=1)には、加速しているとしてステップS103へ進み、また、加速減速フラグAにフラグが立っていない場合(フラグA=0)には、減速しているとして図7のステップS201へ進む。なお、ここでは、加速減速フラグAを用いて加速/減速の判断を行っているが、加速減速フラグAの代わりにアクセル開度を参照するなど、加速減速を判断できるものであれば何を参照してもよい。
次に、コントローラ15に対して出力指令がなされる(ステップS103)。コントローラ15は、出力指令に基づき記憶部16に記憶されている「出力−回転数マップ」(図2)を参照して、出力指令値に対する水素循環ポンプ6の目標回転数を決定する(ステップS104)。
次に、コントローラ15は、水素循環ポンプ6の回転数に変化率リミッタによる制限がかかっているかを判断するため、回転数制限フラグBを参照する(ステップS105)。
参照した回転数制限フラグBの有無に基づき回転数制限時または回転数非制限時の判断を行う(ステップS106)。回転数制限フラグBにフラグが立っている場合(フラグB=1)には、回転数制限時であるとしてステップS107へ進み、また、回転数制限フラグBにフラグが立っていない場合(フラグB=0)には、回転数非制限時であるとして加速時の出力制御ルーチンを終了してステップS101へ戻る。
次に、コントローラ15は、「出力−回転数マップ」(図2)に基づき決定される回転数と変化率リミッタにより制限された後の回転数とから、回転数制限による出力制限補正係数を決定する(ステップS107)。ここでは、予め実験的に、「出力−回転数マップ」(図2)に基づき決定される回転数と変化率リミッタにより制限された後の回転数から、循環流量推定手段により不足循環流量を求め(図5参照)、この不足循環流量分だけ出力を制限するかたちで、図8に示すような出力補正マップを作成して記憶部16に記憶しておき、許容出力算出手段は図8の出力補正マップを参照して出力指令値に対する出力制限補正係数を決定する。
次に、コントローラ15の許容出力算出手段は、決定した出力制限補正係数と出力指令値との積により、燃料電池スタック1の出力制限指令値(許容出力)を算出する(ステップS108)。ここで、こうして得られる制限後出力は、通常時出力(破線Iu)に対して図9の実線Ilで示される挙動となる。
また、水素圧力や温度などにより水素密度が変化することによって循環流量も変化するため、コントローラ15の補正手段により、水素循環系の水素圧力および温度から推定される水素密度に基づき、循環流量推定手段により推定された不足循環流量、或いは、許容出力算出手段により算出された許容出力について補正を行うようにしてもよい。この場合、図8に示す出力補正マップの特性曲線が水素密度に応じて複数本描かれることとなり、ステップS107において、出力指令値および水素密度に対する出力制限補正係数を決定することになる。水素圧力および温度も考慮して循環量の不足量に応じて補正した場合の制限後出力を図10のIlc1およびIlc2に示す。
またさらに、出力制御手段に、当該燃料電池システムの出力について変化率を制限する変化率リミッタを有する場合には、制限された出力の変化率に対して、許容出力算出手段により算出された許容出力或いは補正手段により補正された補正許容出力の変化率が大きい場合には、該許容出力または該補正許容出力に対して変化率リミッタを適用し、許容出力または補正許容出力の変化率が小さい場合には、該許容出力または該補正許容出力に対して変化率リミッタを適用しないようにしてもよい。出力に関して、通常時においても変化率リミッタが付加されている場合、変化率リミッタ付加時の制限後出力は図11の実線Icrlに示されるような挙動となる。
次に、コントローラ15の出力制御手段により、当該燃料電池システムの出力がステップS108で算出された出力制限指令値となるように燃料電池システムを制御する(ステップS109)。
次に、与えられた出力指令値とステップS108で算出された出力制限指令値との偏差より、与えられた出力指令値に対して不足する電力を算出する(ステップS110)。図12においては、破線の出力挙動Iuと変化率リミッタ付加時の制限後出力挙動Icrlとの偏差である斜線部が不足する電力となる。
次に、ステップS110で算出した出力不足分を2次バッテリ22から出力するように指令を出し(ステップS111)、2次バッテリ22から補充した電力不足量を記憶部16に記憶しておく(ステップS112)。以上で、加速時の出力制御ルーチンは終了となり、再びステップS101の処理に戻ることとなる。
次に、図7におけるステップS201以降の減速時の出力制御ルーチンについて説明する。まず、コントローラ15に対して出力指令がなされる(ステップS201)。
次に、コントローラ15は加速減速フラグAの履歴を参照し(ステップS202)、水素循環ポンプ6の変化率リミッタによる回転数制限フラグBの履歴を参照する(ステップS203)。ここで参照するフラグは前回の出力制御ルーチンにおける加速減速フラグAおよび回転数制限フラグBであり、少なくとも今回および前回の加速減速フラグAおよび回転数制限フラグBがCPU内のワークレジスタや記憶部16に記憶されている必要がある。
次に、コントローラ15は、前回の加速時の出力制御ルーチンにおける回転数制限フラグBの有無判断を実施する(ステップS204)。加速減速フラグA=1で且つ回転数制限フラグB=1の場合には、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて回転数制限があったとしてステップS205へ進み、加速減速フラグA=1で且つ回転数制限フラグB=0の場合には、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて回転数制限がなかったとして減速時の出力制御ルーチンを終了してステップS101へ戻る。
次に、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて出力不足分の補充のために使用した2次バッテリ22の電力を、今回の減速時の出力制御ルーチンにおいて回収するために、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて記憶部16に記憶した2次バッテリ22から補充した電力量と出力指令値を入力として、出力変化率リミッタ決定ルーチンにより、減速時の出力の挙動を規制し(ステップS205)、燃料電池スタック1の出力を出力変化率リミッタに従って制御する(ステップS206)。
この出力変化率リミッタ決定ルーチンでは、図13に示すように、記憶部16に記憶されている前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて2次バッテリ22から補充した電力量y[kW]とするとき、通常の減速時における出力変化率リミッタ「−b/a」に対して、出力変化率リミッタを「−b/(a+2y/b)」として算出する。ここで、aおよびbは通常の減速時における出力変化率リミッタを決定する変数として記憶部16に記憶されている。
これにより、図13に示すように、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて、破線の出力挙動Iuと変化率リミッタ付加時の制限後出力挙動Icrlとの偏差である斜線部の補充電力量y[kW]が2次バッテリ22から供給され、今回の減速時の出力制御ルーチンにおいて、出力変化率リミッタ「−b/a」と「−b/(a+2y/b)」との偏差である斜線部の電力量y[kW]が燃料電池スタック1から2次バッテリ22へ供給されて充電されることになる。
以上で、減速時の出力制御ルーチンは終了となり、再びステップS101の処理に戻ることとなる。
以上説明したように、本実施例の燃料電池システムでは、水素(燃料ガス)および空気(酸化剤ガス)の供給により発電を行う燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1に水素を供給する水素供給系(燃料ガス供給系)と、燃料電池スタック1に空気を供給する空気供給系(酸化剤ガス供給系)と、回転数を制限する機能を備えた水素循環ポンプ6を介して燃料電池スタック1で消費されなかった水素を水素供給系に循環させる水素循環系(燃料ガス循環系)と、を備えた燃料電池システムにおいて、コントローラ15の循環流量推定手段により加速過渡時における水素循環系の循環流量を推定し、該推定された循環流量推定値に応じた当該燃料電池システムの許容出力をコントローラ15の許容出力算出手段により算出し、該算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力をコントローラ15の出力制御手段により制限する。
これにより、加速過渡時において要求される循環流量を確保することができ、循環ポンプの回転数が制限されることによって発生する燃料ガス不足による燃料電池の劣化を防止することができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ15の循環流量推定手段において、制限時の水素循環ポンプ6の回転数および非制限時の水素循環ポンプ6の回転数、或いは両者の差の何れか一方に基づき、水素循環流量または水素循環流量の不足分を推定する。これにより、加速過渡時の水素循環流量、水素循環流量不足量を推定することができ、また水素循環流量の不足を検知できるので、スタックの劣化防止対策を実施することができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ15の許容出力算出手段において、水素循環流量または水素循環流量の不足分の何れか一方の推定値に応じて許容される当該燃料電池システムの出力を算出する。これにより、スタック劣化防止対策を実施することができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ15の補正手段において、水素循環系の水素圧力および水素温度から推定される水素密度に基づき、循環流量推定手段により推定された水素循環流量または水素循環流量の不足分、或いは、許容出力算出手段により算出された許容出力について補正を行う。これにより、燃料電池システムの出力を必要以上に制限せずに、スタック劣化防止対策を実施することができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ15の出力制御手段において、当該燃料電池システムの出力について変化率を制限する変化率リミッタを有し、制限された出力の変化率に対して、許容出力算出手段により算出された許容出力或いは補正手段により補正された補正許容出力の変化率が大きい場合には、該許容出力または該補正許容出力に対して変化率リミッタを適用し、許容出力または補正許容出力の変化率が小さい場合には、該許容出力または該補正許容出力に対して変化率リミッタを適用しないようにしている。これにより、出力に変化率リミッタによる制限をかける必要がある対象に対して影響を与えないようにすることができる。
さらに、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ15の出力制御手段において、当該燃料電池システムの出力制限を行ったことによる不足分の出力を、2次バッテリ22によって補償し、また、加速過渡時に2次バッテリ22によって出力を補償した場合には、次の減速過渡時に2次バッテリ22で補償した分の出力を通常減速時出力に上乗せして、該減速過渡時における当該燃料電池システムの出力変化率および出力の挙動を決定する。
このように、燃料電池システムの出力制限を行ったことによる不足分の出力を2次バッテリ22によって補償することで、従前の燃料電池システムの過渡応答性を維持することができ、また、加速過渡時に2次バッテリ22から補償した分の出力を、減速時に2次バッテリ22に回収することで、加速過渡時による2次バッテリ22の充電量(SOC;State of Charge)の減少を抑制することができる。
次に、本発明の実施例2に係る燃料電池システムについて説明する。本実施例の燃料電池システムも実施例1と同等の構成(図1参照)であるが、水素循環ポンプ6と燃料電池スタック1の出力に関する制御内容について実施例1とは異なる。
すなわち、コントローラ15の出力制御手段において、水素循環ポンプ6の回転数が制限されているときの水素循環系(燃料ガス循環系)の循環流量の不足量を考慮して、水素循環ポンプ6の回転数制限時においても水素循環系の循環流量が不足しないような当該燃料電池システムの出力に制限し、水素循環ポンプ6の回転数非制限時に、コントローラ15の循環流量推定手段は、制限時の水素循環ポンプ6の回転数および非制限時の水素循環ポンプ6の回転数、或いは両者の差の何れか一方に基づき、水素循環流量または水素循環流量の過剰分を推定し、コントローラ15の許容出力算出手段は、水素循環流量または水素循環流量の過剰分の何れか一方の推定値に応じて許容される当該燃料電池システムの出力を算出し、コントローラ15の出力制御手段は、許容出力算出手段により算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力を制御する。
つまり、図14の説明図に示すように、実施例1において水素循環ポンプ6の回転数に変化率リミッタによる制限がかかった場合の出力挙動を、実施例2における通常状態の出力挙動Iu2とするものである。なお、図14においては、出力に変化率リミッタを付加している場合を例示している。
また、水素循環ポンプ6が回転数の変化率リミッタによって回転数を制限されなかった場合には、水素循環流量の過剰分を推定し、通常状態の出力挙動Iu2よりも出力増加させるように出力を補正して、実施例1における通常時出力挙動Iu1とほぼ同様の出力挙動をとるようにする。
また、実施例1と同様に、コントローラ15は補正手段(CPU上で実行されるプログラム)を有し、水素循環系(燃料ガス循環系)の水素圧力および水素温度から推定される水素密度に基づき、循環流量推定手段により推定された水素循環流量または水素循環流量の過剰分、或いは、許容出力算出手段により算出された許容出力について補正を行う。
さらに、出力制御手段は、水素循環ポンプ6の回転数制限時に、当該燃料電池システムの出力制限を行ったことによる不足分の出力を、2次バッテリ22によって補償し、また、加速過渡時に2次バッテリ22によって出力を補償した場合には、次の減速過渡時に2次バッテリ22で補償した分の出力を通常減速時出力に上乗せして、該減速過渡時における当該燃料電池システムの出力変化率および出力の挙動を決定する。
次に、本実施例の燃料電池システムの運転時の動作について、図15および図16のフローチャート並びに図17〜図20の説明図を参照して説明する。
ここで、図15および図16は本実施例による出力制御を説明するフローチャートであり、図17は燃料電池スタック1の出力指令値と水素循環ポンプ6の目標回転数(水素循環量)との関係を表す「出力−回転数マップ(その2)」を例示する説明図、図18は循環流量過剰分による出力に対する補正係数を例示する説明図、図19は通常時の出力挙動および補正後の出力挙動を例示する説明図、図20は水素循環系のガス圧力および温度を考慮した出力の補正を説明する説明図である。
図15のフローチャートにおいて、まず、コントローラ15は加速減速フラグAを参照する(ステップS301)。そして、参照した加速減速フラグAの有無に基づき加速または減速の判断を行う(ステップS302)。加速減速フラグAにフラグが立っている場合(フラグA=1)には、加速しているとしてステップS303へ進み、また、加速減速フラグAにフラグが立っていない場合(フラグA=0)には、減速しているとして図16のステップS501へ進む。なお、ここでは、加速減速フラグAを用いて加速/減速の判断を行っているが、加速減速フラグAの代わりにアクセル開度を参照するなど、加速減速を判断できるものであれば何を参照してもよい。
次に、コントローラ15に対して出力指令がなされる(ステップS303)。コントローラ15は、出力指令に基づき記憶部16に記憶されている「出力−回転数マップ(その2)」(図17)を参照して、出力指令値に対する水素循環ポンプ6の目標回転数を決定する(ステップS304)。
次に、コントローラ15は、水素循環ポンプ6の回転数に変化率リミッタによる制限がかかっているかを判断するため、回転数制限フラグBを参照する(ステップS305)。
参照した回転数制限フラグBの有無に基づき回転数制限時または回転数非制限時の判断を行う(ステップS306)。回転数制限フラグBにフラグが立っている場合(フラグB=1)には、回転数制限時であるとしてステップS310へ進み、また、回転数制限フラグBにフラグが立っていない場合(フラグB=0)には、回転数非制限時であるとしてステップS307へ進む。
回転数非制限時(回転数制限フラグB=0)の場合には、コントローラ15は、「出力−回転数マップ(その2)」(図17)に基づき決定される回転数と変化率リミッタにより制限された後の回転数とから、回転数制限による出力制限補正係数を決定する(ステップS307)。ここでは、予め実験的に、「出力−回転数マップ(その2)」(図17)に基づき決定される回転数と変化率リミッタにより制限された後の回転数から、循環流量推定手段により過剰循環流量を求め(図5参照)、この過剰循環流量分だけ出力を増加するかたちで、図18に示すような出力補正マップを作成して記憶部16に記憶しておき、許容出力算出手段は図18の出力補正マップを参照して出力指令値に対する出力制限補正係数を決定する。
次に、コントローラ15の許容出力算出手段は、決定した出力制限補正係数と出力指令値との積により、燃料電池スタック1の出力制限指令値(許容出力)を算出する(ステップS308)。ここで、こうして得られる制限後出力は、通常時出力(破線Iu2)に対して図19の実線Ic0で示される挙動となる。
また、水素圧力や温度などにより水素密度が変化することによって循環流量も変化するため、コントローラ15の補正手段により、水素循環系の水素圧力および温度から推定される水素密度に基づき、循環流量推定手段により推定された過剰循環流量、或いは、許容出力算出手段により算出された許容出力について補正を行うようにしてもよい。この場合、図18に示す出力補正マップの特性曲線が水素密度に応じて複数本描かれることとなり、ステップS307において、出力指令値および水素密度に対する出力制限補正係数を決定することになる。水素圧力および温度も考慮して循環量の不足量に応じて補正した場合の制限後出力を図20のIc1〜Ic5に示す。
次に、コントローラ15の出力制御手段により、当該燃料電池システムの出力がステップS308で算出された出力制限指令値となるように燃料電池システムを制御する(ステップS309)。
他方、ステップS306の判断において、回転数制限時(回転数制限フラグB=1)の場合には、与えられた出力指令値(に基づく通常の出力挙動;図19におけるIu2)と出力の理想挙動(ステップS308で算出される出力制限指令値に基づく補正後の出力挙動;図19におけるIc0)との偏差より、与えられた出力指令値に対して不足する電力を算出する(ステップS310)。
次に、ステップS310で算出した出力不足分を2次バッテリ22から出力するように指令を出し(ステップS311)、2次バッテリ22から補充した電力不足量を記憶部16に記憶しておく(ステップS312)。以上で、加速時の出力制御ルーチンは終了となり、再びステップS301の処理に戻ることとなる。
次に、図16におけるステップS501以降の減速時の出力制御ルーチンについて説明する。まず、コントローラ15に対して出力指令がなされる(ステップS501)。
次に、コントローラ15は加速減速フラグAの履歴を参照し(ステップS502)、水素循環ポンプ6の変化率リミッタによる回転数制限フラグBの履歴を参照する(ステップS503)。ここで参照するフラグは前回の出力制御ルーチンにおける加速減速フラグAおよび回転数制限フラグBであり、少なくとも今回および前回の加速減速フラグAおよび回転数制限フラグBがCPU内のワークレジスタや記憶部16に記憶されている必要がある。
次に、コントローラ15は、前回の加速時の出力制御ルーチンにおける回転数制限フラグBの有無判断を実施する(ステップS504)。加速減速フラグA=1で且つ回転数制限フラグB=1の場合には、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて回転数制限があったとしてステップS505へ進み、加速減速フラグA=1で且つ回転数制限フラグB=0の場合には、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて回転数制限がなかったとして減速時の出力制御ルーチンを終了してステップS101へ戻る。
次に、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて出力不足分の補充のために使用した2次バッテリ22の電力を、今回の減速時の出力制御ルーチンにおいて回収するために、前回の加速時の出力制御ルーチンにおいて記憶部16に記憶した2次バッテリ22から補充した電力量と出力指令値を入力として、出力変化率リミッタ決定ルーチンにより、減速時の出力の挙動を規制し(ステップS505)、燃料電池スタック1の出力を出力変化率リミッタに従って制御する(ステップS506)。このステップS505およびS506の具体的な説明は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
以上で、減速時の出力制御ルーチンは終了となり、再びステップS301の処理に戻ることとなる。
以上説明したように、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ15の出力制御手段において、水素循環ポンプ6の回転数が制限されているときの水素循環系(燃料ガス循環系)の循環流量の不足量を考慮して、水素循環ポンプ6の回転数制限時においても水素循環系の循環流量が不足しないような当該燃料電池システムの出力に制限し、水素循環ポンプ6の回転数非制限時に、コントローラ15の循環流量推定手段は、制限時の水素循環ポンプ6の回転数および非制限時の水素循環ポンプ6の回転数、或いは両者の差の何れか一方に基づき、水素循環流量または水素循環流量の過剰分を推定し、コントローラ15の許容出力算出手段は、水素循環流量または水素循環流量の過剰分の何れか一方の推定値に応じて許容される当該燃料電池システムの出力を算出し、コントローラ15の出力制御手段は、許容出力算出手段により算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力を制御する。このように、水素循環ポンプ6の回転数制限時の水素循環流量不足量をあらかじめ考慮し、回転数制限時の水素循環流量においても循環流量不足とならないような燃料電池システムの出力を通常の状態することで、水素循環ポンプ6の回転制限時の水素循環流量不足を防止し、スタックの劣化を防止することができる。
また、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ15の補正手段において、水素循環系の水素圧力および水素温度から推定される水素密度に基づき、循環流量推定手段により推定された水素循環流量または水素循環流量の過剰分、或いは、許容出力算出手段により算出された許容出力について補正を行う。これにより、燃料電池システムの出力を必要以上に制限せずに、スタック劣化防止対策を実施することができる。
さらに、本実施例の燃料電池システムでは、コントローラ15の出力制御手段において、水素循環ポンプ6の回転数制限時に、当該燃料電池システムの出力制限を行ったことによる不足分の出力を、2次バッテリ22によって補償し、また、加速過渡時に2次バッテリ22によって出力を補償した場合には、次の減速過渡時に2次バッテリ22で補償した分の出力を通常減速時出力に上乗せして、該減速過渡時における当該燃料電池システムの出力変化率および出力の挙動を決定する。
このように、燃料電池システムの出力制限を行ったことによる不足分の出力を2次バッテリ22によって補償することで、従前の燃料電池システムの過渡応答性を維持することができ、また、加速過渡時に2次バッテリ22から補償した分の出力を、減速時に2次バッテリ22に回収することで、加速過渡時による2次バッテリ22の充電量(SOC;State of Charge)の減少を抑制することができる。
本発明の実施例に係る燃料電池システムの構成図である。 燃料電池スタック1の出力指令値と水素循環ポンプ6の目標回転数(水素循環量)との関係を表す「出力−回転数マップ」を例示する説明図である。 通常時における(a)燃料電池スタック1の出力、(b)水素循環ポンプ6の回転数および(c)燃料ガス(水素)の圧力の挙動を例示する説明図である。 加速過渡時における(a)燃料電池スタック1の出力、(b)水素循環ポンプ6の回転数および(c)燃料ガス(水素)の圧力の挙動を例示する説明図である。 通常時循環流量、過渡時循環流量および要求循環流量の燃料電池スタック1の出力に対する変化を例示する説明図である。 実施例1による出力制御を説明するフローチャート(その1)である。 実施例1による出力制御を説明するフローチャート(その2)である。 循環流量不足分による出力に対する補正係数を例示する説明図である。 通常時および過渡時における出力挙動を例示する説明図である。 水素循環系のガス圧力および温度を考慮した出力の補正を説明する説明図である。 変化率リミッタを付加したときの出力挙動を例示する説明図である。 2次バッテリにより補償すべき出力不足分を例示する説明図である。 加速過渡時および減速過渡時における出力挙動と2次バッテリの充放電量を説明する説明図である。 実施例1と対比して実施例2の出力制御の概略を説明する説明図である。 実施例2による出力制御を説明するフローチャート(その1)である。 実施例2による出力制御を説明するフローチャート(その2)である。 燃料電池スタック1の出力指令値と水素循環ポンプ6の目標回転数(水素循環量)との関係を表す「出力−回転数マップ(その2)」を例示する説明図である。 循環流量過剰分による出力に対する補正係数を例示する説明図である。 通常時の出力挙動および補正後の出力挙動を例示する説明図である。 水素循環系のガス圧力および温度を考慮した出力の補正を説明する説明図である。
符号の説明
1 燃料電池スタック(燃料電池)
2 高圧水素タンク
3 シャット弁
4 水素調圧弁
5 水素系循環ガス経路
6 水素循環ポンプ
7 水素系ガス経路
8 パージ弁
9 空気系排気ガス経路
10 空気コンプレッサ
11 空気系ガス経路
12 空気調圧弁
15 コントローラ(循環流量推定手段、許容出力算出手段、出力制御手段、補正手段)
16 記憶部
12 空気調圧弁
21 電力分配装置
22 2次バッテリ
23 補機類
24 負荷部

Claims (11)

  1. 燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給により発電を行う燃料電池と、
    前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給系と、
    前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給系と、
    回転数を制限する機能を備えた循環ポンプを介して前記燃料電池で消費されなかった燃料ガスを前記燃料ガス供給系に循環させる燃料ガス循環系と、
    加速過渡時における前記燃料ガス循環系の循環流量を推定する循環流量推定手段と、
    前記循環流量推定手段により推定された循環流量推定値に応じた当該燃料電池システムの許容出力を算出する許容出力算出手段と、
    前記許容出力算出手段により算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力を制限する出力制御手段と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記循環流量推定手段は、制限時の循環ポンプの回転数および非制限時の循環ポンプの回転数、或いは両者の差の何れか一方に基づき、燃料ガス循環流量または燃料ガス循環流量の不足分を推定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記許容出力算出手段は、燃料ガス循環流量または燃料ガス循環流量の不足分の何れか一方の推定値に応じて許容される当該燃料電池システムの出力を算出することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料ガス循環系の燃料ガス圧力および燃料ガス温度から推定される燃料ガス密度に基づき、前記循環流量推定手段により推定された燃料ガス循環流量または燃料ガス循環流量の不足分、或いは、前記許容出力算出手段により算出された許容出力について補正を行う補正手段を有することを特徴とする請求項2または請求項3の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記出力制御手段は、当該燃料電池システムの出力について変化率を制限する変化率リミッタを有し、
    前記出力制御手段は、制限された出力の変化率に対して、前記許容出力算出手段により算出された許容出力或いは前記補正手段により補正された補正許容出力の変化率が大きい場合には、該許容出力または該補正許容出力に対して前記変化率リミッタを適用し、前記許容出力または前記補正許容出力の変化率が小さい場合には、該許容出力または該補正許容出力に対して変化率リミッタを適用しないことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 補助電源として充放電可能な2次バッテリを有し、
    前記出力制御手段は、当該燃料電池システムの出力制限を行ったことによる不足分の出力を、前記2次バッテリによって補償することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記出力制御手段は、加速過渡時に前記2次バッテリによって出力を補償した場合は、次の減速過渡時に前記2次バッテリで補償した分の出力を通常減速時出力に上乗せして、該減速過渡時における当該燃料電池システムの出力変化率および出力の挙動を決定することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記出力制御手段は、前記循環ポンプの回転数が制限されているときの前記燃料ガス循環系の循環流量の不足量を考慮して、前記循環ポンプの回転数制限時においても前記燃料ガス循環系の循環流量が不足しないような当該燃料電池システムの出力に制限し、
    前記循環ポンプの回転数非制限時に、前記循環流量推定手段は、制限時の循環ポンプの回転数および非制限時の循環ポンプの回転数、或いは両者の差の何れか一方に基づき、燃料ガス循環流量または燃料ガス循環流量の過剰分を推定し、前記許容出力算出手段は、燃料ガス循環流量または燃料ガス循環流量の過剰分の何れか一方の推定値に応じて許容される当該燃料電池システムの出力を算出し、前記出力制御手段は、前記許容出力算出手段により算出された許容出力に従って当該燃料電池システムの出力を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料ガス循環系の燃料ガス圧力および燃料ガス温度から推定される燃料ガス密度に基づき、前記循環流量推定手段により推定された燃料ガス循環流量または燃料ガス循環流量の過剰分、或いは、前記許容出力算出手段により算出された許容出力について補正を行う補正手段を有することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 補助電源として充放電可能な2次バッテリを有し、
    前記出力制御手段は、前記循環ポンプの回転数制限時に、当該燃料電池システムの出力制限を行ったことによる不足分の出力を、前記2次バッテリによって補償することを特徴とする請求項8または請求項9の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  11. 前記出力制御手段は、加速過渡時に前記2次バッテリによって出力を補償した場合は、次の減速過渡時に前記2次バッテリで補償した分の出力を通常減速時出力に上乗せして、該減速過渡時における当該燃料電池システムの出力変化率および出力の挙動を決定することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
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