JP2007121194A - 光検出素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】短波長化された光源に対しても受光感度が低下することなく、かつ応答速度が低下しない光検出素子を提供する。
【解決手段】強誘電体表面に遮光性を有する電極21を設けて、所定の光強度の複数の単位領域と該複数の単位領域よりも光強度が小さい領域とに分割し、電極間にバイアス電圧を印加することで光強度の大きな部分においてのみ分極変化を起こすことで変位電流を生じさせる構成とすることで、高い受光感度を有した高い応答速度の光検出器とする。
【選択図】図1
【解決手段】強誘電体表面に遮光性を有する電極21を設けて、所定の光強度の複数の単位領域と該複数の単位領域よりも光強度が小さい領域とに分割し、電極間にバイアス電圧を印加することで光強度の大きな部分においてのみ分極変化を起こすことで変位電流を生じさせる構成とすることで、高い受光感度を有した高い応答速度の光検出器とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、情報処理および通信分野において用いられる、短波長光信号を電気信号に変換する光検出素子に関する。
CD−ROMあるいはDVDのような光記録媒体は、その高い記録密度、コンパクトな設計、ポータビリティ及び頑強性等の特長を有し、ますます魅力的なデータ記憶媒体になっている。この光記録媒体には、長時間の映像データの記録再生のために、さらなる記録密度の向上が望まれている。現在の記録密度を超えてさらに記録密度を増加させるためには、データの書き込み及び読み出しの際の光ビームのサイズを小さくすることが必要である。通常の光学系、すなわち集光レンズを用いたときの、その焦点における光スポットのサイズは、主に波長とレンズの開口数により決定される。一般には短波長の光源と高い開口数を有するレンズを使用することで光スポットのサイズを小さくすることができる。最近では青紫色レーザを用いた大容量光ディスクの開発が活発に行われている。
一般に光信号と電気信号のトランスデューサは光ピックアップと呼ばれ、大容量光ディスクのキーコンポーネントである。光ピックアップにおいては、光ディスクからの反射光を内蔵するフォトダイオードによって電気信号(光電流信号)に変換し、後段の電流−電圧変換増幅器(I−V変換器)によって電圧出力に変換する。ここで受光素子にシリコンフォトダイオードを用いた場合、光源に青紫色レーザを使用することを考えると、赤外レーザ光(波長780nm)受光時に比べ約40%、赤色レーザ光(波長650nm)受光時に比べ約30%受光感度が低い。青紫色レーザ光に対し、フォトダイオードの受光感度が赤外レーザ光、あるいは赤色レーザ光受光時に比べ低いということは、そのまま信号対ノイズ比(SN比)の低下につながることを意味する。また短波長化に伴いシリコンの光の吸収係数が大きくなるため、ごく表面で入射した光のほとんどが吸収される。したがって生成したキャリアを効率よく電気信号に変えるために、デバイス構造、具体的には層構成や電極配置の最適化が必要である。
光源の短波長化による受光感度低下は、同一パワーに対するフォトン数が減るためで、シリコンフォトダイオードに限らず量子型の受光素子では避けられない。今後、光源の波長のさらなる短波長化が進めば、受光素子の感度不足が顕在化するという問題がある。
このような課題に対し、通常の半導体を用いた受光素子とは異なるメカニズムで、光の検出を行う試みがいくつか検討されている。特許文献1では光照射により誘電体から導電体にスイッチングする有機強誘電体薄膜を用いた光検出素子が述べられている。特許文献2では強誘電体のもつ焦電効果を利用した光検出素子が述べられている。しかし、有機強誘電体薄膜を用いた例では、光照射による導電率変化が10−100倍と非常に大きいものの、その応答速度がマイクロ秒程度と遅いことが課題となっている。また焦電効果を利用する例においても、その本質は熱による分極誘起であるため、応答速度の点で課題があった。
特開2001−345431号公報(第8図)
特開平07−270240号公報(第5図)
上述したように、半導体受光素子以外の光検出素子について、受光感度の向上と高速化の両立を図るための適当な方策はこれまでのところ示されていない。
本発明は上述したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、受光感度が高く、かつ応答速度を高速化した光検出素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の光検出素子は、
強誘電体と、
前記強誘電体の表面を、所定の光強度の複数の単位領域と、該複数の単位領域よりも光強度が小さい領域とに分割する光強度分布器と、
を有する構成である。
強誘電体と、
前記強誘電体の表面を、所定の光強度の複数の単位領域と、該複数の単位領域よりも光強度が小さい領域とに分割する光強度分布器と、
を有する構成である。
本発明では、光が入射すると、複数の単位領域とそれ以外の領域とで光の強度分布が形成され、光強度の大きな各単位領域で高速な分極変化が起こり、大きな変位電流が発生する。そのため、従来よりも高速に、高感度に光を検出することが可能となる。
本発明によれば、分極変化を生ずる複数の単位領域をレンズ、あるいは導波路、あるいは遮光膜などからなる光強度分布器で画定する。個々の単位領域は高速に分極変化を引き起こし、その結果、大きな変位電流が得られ、受光感度が向上する。
本発明の光検出素子は、光強度の大きな領域を強誘電体表面に複数設けたことを特徴とするものであり、その作用の基本原理について説明する。
強誘電体は3−4eVにバンドギャップを有し、その光吸収過程において特異な分極変化を示すことが報告されている。例えば、文献1(M.Fujimura、「室温でのフォトマスクを介した紫外光照射下における電圧印加によるMgO:LiNbO3ドメイン反転グレーティングの作製(Fabrication of domain-inverted gratings in MgO:LiNbO3 by applying voltage under ultraviolet irradiation through photomask at room temperature)」、ELECTRNICS LETTERS、巻39、頁719−721(2003年)、図1)では、Mgを微量ドープしたLiNbO3単結晶に紫外光を照射すると、その抗電界(分極反転に必要な外部電界)の大きさが減少することが報告されている。このような現象を利用すれば、以下のような方法で光検出素子を作製することが可能になる。
すなわち、強誘電体に電極を形成し、抗電界よりもやや小さなバイアス電界を印加した状態で、バンドギャップエネルギー近傍の光を照射すると、光吸収過程で抗電界が低下するために、瞬時に分極反転を起こす。その結果、電極を通して変位電流が流れる。変位電流の大きさは、単位時間あたりの分極変化量で定義されるから、(1)単位時間あたり、より多くの分極変化を起こす、あるいは(2)所定量の分極変化をより高速に起こすことにより、電流は大きくなる。大きな変位電流は、大きな受光感度に相当するため、素子構造を最適化することで、単位時間あたりの分極変化量を大きくできれば、受光感度の大きな光検出素子を作製することができる。
ここで、本発明では、分極変化を起こす単位領域が小さくなるほど、分極変化に要する時間が短くなることに着目した。これは以下のような機構で進展することによるものである。
文献2(石橋、「強誘電体における分極反転」、応用物理、巻67、第11号、頁1249−1255(1998年))には、次のようなことが開示されている。ある一方向に分極した強誘電体平板に、これと反対方向の分極を起こさせるような電圧を印加すると、分極反転は電圧を印加した領域において一斉には起こらずに、まず反転の核となる微小な領域がランダムに発生し、次にこの反転領域が縦方向(板厚方向)、あるいは横方向(面内方向)に広がり、最終的に全体が分極反転を起こすことが述べられている。同時に、微小な反転領域が横方向に広がる速度(分域壁の運動速度)は最初の反転核発生に要する時間に比べ、はるかに遅いことが述べられている。
文献3(P.K.Larsen、「強誘電体薄膜のナノ秒反転」(Nanosecond switching of thin ferroelectric films)、Appl.Phys.Lett.、巻59、頁611−613(1991年)、図3)では、強誘電体薄膜の分極反転時間について、種々の大きさの電極を膜上に形成し、その反転時間を測定している。これによれば電極面積(分極反転サイズに相当)が50,000μm2のとき、反転時間は45nsであるのに対し、電極面積を1μm2以下に小さくすると、反転時間は1ns以下まで短くなることが示されている。本発明では強誘電体に入射する光を分極変化のトリガーとして用いる。またその分極変化の単位領域を例えば1μm2以下の小さな領域に限定する。このような小さな単位領域を強誘電体上に複数個作り出すことによって、光入射に伴う高速な分極変化を広い領域に渡って引き起こす。高速な分極変化は大きな変位電流をもたらし、その結果大きな受光感度を得ることが可能になる。
(第1の実施形態)
本実施形態の光検出素子における実施例1および実施例2を説明する。
本実施形態の光検出素子における実施例1および実施例2を説明する。
図1は本実施例の光検出素子の構造を示す斜視図である。図1に示すように、光検出素子20は、強誘電体1と、強誘電体1の一方の表面に近接して設けられた第1の電極21aおよび第2の電極21bとを有する。強誘電体1は、強誘電体基板でもよく、または、任意の材質の基板上に形成された強誘電体膜であってもよい。櫛歯状のパターンの第1の電極21aと第2の電極21bが組み合わされ、第1の電極21aと第2の電極21bが一定の間隔で交互に並んでいる。本実施例では、第1の電極21aおよび第2の電極21bの寸法幅を100nmとし、これら2つの電極の間隔を100nmとした。
これら2つの電極には、電極間にバイアス電圧を印加するためのバイアス電源10と、電流を電圧に変換するための負荷抵抗11とが直列に接続されている。第1の電極21aが配線31aを介してバイアス電源10に接続され、第2の電極21bが配線31bおよび負荷抵抗11を介してバイアス電源10に接続されている。このようにして、第1の電極21aと第2の電極21bには異なる電位が印加される。
第1の電極21aおよび第2の電極21bのパターンは入射光を遮光するような厚い金属で構成されているが、入射光の一部が電極パターンを透過してもよい。この場合、光が強く照射される部分と弱く照射される部分とが強誘電体1の表面に生成される。
なお、本実施例では、櫛歯状に電極のパターンが形成されているが、強誘電体1の表面に照射の強い部分と弱い部分とを生成できれば、この例に限らず他の形状の電極パターンでもよい。
上述の構成の光検出素子の動作を説明する。バイアス電圧として電極間には抗電界よりも所定値だけ小さな電圧を印加しておく。光検出素子に光を照射すると、強誘電体1には、入射光に対する電極の阻止能に対応して光が照射され、光強度の分布が形成される。本実施例では、強誘電体1の電極間の部分が他の部分よりも光強度が大きくなる。そして、電極間には上記バイアス電圧が印加されているため、光強度の大きな部分においてのみ分極変化が起こり、その結果、変位電流が流れる。
2つの電極に印加されるバイアス電圧による電極間の電位差は、抗電界の大きさのおおよそ50〜90%に設定される。その範囲における具体的な設定値は、強誘電体1の材料だけでなく、電極パターン間の寸法によっても異なる。以下に、電極パターン間の寸法が光検出素子の特性に及ぼす影響について、図1を参照して説明する。
第1に、第1の電極21aと第2の電極21bとの間隔の寸法が短いほど、分極変化を生ずる単位領域の大きさが小さくなり、高速な分極変化が起こりやすい。分極変化をより高速に起こすことにより、得られる変位電流を大きくでき、その結果高い受光感度が得られる。また、一般に強誘電体の分極を考える上で重要なのは電界の大きさであり、第1の電極21aと第2の電極21bとの間隔の寸法を短くすることは、バイアス電圧の低減にも有効である。
第2に、電極が金属周期構造とみなせる場合には、この周期を入射光波長に対し適当な値に設定すれば、表面プラズモン共鳴現象により、電極と強誘電体界面近傍に強く光が局在し、光強度を高めることができる。このような効果を得るためには、金属周期構造の周期を入射光波長よりも若干短い値に設定すればよい。
次に、本実施例の光検出素子の製造方法を説明する。図2は本実施例の光検出素子の製造方法を示す断面模式図である。
Mgを5%ドープしたLiNbO3単結晶基板(厚さ0.2mm)101の上に、厚さ200nmのフォトレジスト102を形成する。続いて、このフォトレジスト102にリソグラフィ工程で、幅100nm、間隔100nmのパターンを形成する(図2(a))。この上に電極となる厚さ100nmのAl膜103をスパッタ法で成膜する(図2(b))。ここでは成膜方法としてスパッタ法を用いたが、蒸着法などの他の方法でもよい。次に、フォトレジスト102を除去すると同時に、周知のリフトオフ法によりフォトレジスト上の不要なAl膜を除去して、電極104を形成する(図2(c))。電極104が第1の電極21a、21bに相当する。さらに、図1に示したように個々の電極が交互に異なる電位にバイアスされるように、配線を形成する。
上述の製造方法で作製した光検出素子の光応答を調べたので、その測定方法と測定結果を説明する。
図3は測定方法を説明するためのブロック図である。光検出素子20に光を照射する装置は、キセノン白色光源41と、所定の波長の光を通過させるためのバンドパスフィルタ42と、一定時間間隔で光を透過するシャッター43とを有する。光検出素子20には、負荷抵抗(不図示)を含むバイアス電源12と、光検出素子20で発生する信号電流を測定するための電流計44とが接続されている。
キセノン白色光源41から放出される光をバンドパスフィルタ42を通過させて波長300nmの単色光とし、その単色光をシャッター43に通してパルス状に光検出素子20に照射した。照射方向は素子面に対して垂直方向とした。バイアス電圧は、2つの電極のうち一方の電極に0Vを印加し、他方の電極に5Vを印加した。
図4は信号電流の大きさと入射光パワーとの関係をプロットした結果を示すグラフである。図4に示すように、入射光パワーの大きさに対応して信号電流が大きくなっている。図4に示すグラフから、入射光パワーに対して信号電流の線形な応答が得られ、光検出素子として動作していることがわかる。
本実施例の光検出素子は、実施例1の図1に示したのと同様な構造で、強誘電体材料をPb(Zr,Ti)O3にしたものである。以下に、本実施例の光検出素子の製造方法を説明する。
図5は本実施例の光検出素子の製造方法を示す断面模式図である。
図5(a)に示すようにSi基板201上に熱酸化により400nm厚のSiO2膜202を形成した後、図5(b)に示すように、スパッタ法により200nm厚の白金(Pt)をSiO2膜202上に成膜して、Pt電極203を形成する。次に、ゾル・ゲル法により厚さ200nmのPb(Zr,Ti)O3膜204を成膜し、これに600℃熱処理を行う(図5(c))。続いて、図5(d)に示すように、この上に厚さ200nmのフォトレジスト205を形成する。さらに、電極となる厚さ100nmのAl膜206を成膜する(図5(e))。次に、フォトレジスト205を除去すると同時に、周知のリフトオフ法によりフォトレジスト上の不要なAl膜を除去して、電極207を形成する(図5(f))。電極207が第1の電極21aおよび第2の電極21bに相当する。さらに、図1に示したように個々の電極が交互に異なる電位にバイアスされるように、配線を形成する。
なお、図5(f)に示す構造の場合、電極207の全てが同電位になるように配線で接続して、これを第1の電極とし、PT電極203を第2の電極とすることも可能である。この場合、強誘電体1を挟んだ上下の電極に異なる電位が印加される。
上述の製造方法により作製した光検出素子の光応答を調べたので、その測定結果について説明する。測定方法は実施例1と同様であるため、その詳細な説明を省略する。バイアス電圧は、2つの電極のうち一方の電極に0Vを印加し、他方の電極に0.5Vを印加した。
図6は信号電流の大きさと入射光パワーの関係をプロットした結果を示すグラフである。図6に示すように、入射光パワーの大きさに対応して信号電流が大きくなっている。図6に示すグラフから、入射光パワーに対して信号電流の線形な応答が得られ、光検出素子として動作していることがわかる。
実施例1で強誘電体にLiNbO3を用い、実施例2で強誘電体にPb(Zr,Ti)O3を用いたが、この例に限らず他の強誘電体を用いてもよい。例えば、LiTaO3などの他の酸化物単結晶や、(Pb,La)(Zr,Ti)O3などの他のペロブスカイト型酸化物強誘電体を用いてもよい。また、上記の材料を基体として、種々の添加元素をドーピングしたものを用いてもよい。
また、電極材料としてAlを用いたが、この例に限らず他の金属を用いてもよい。例えば、Ag、Cr、Ptなどを用いてもよい。また、強誘電体との密着に配慮し、ごく薄い(3nm程度以下の)Ti、Ta、Cr、W、Niなどの層を上記金属の下に設けてもよい。
本実施形態の光検出素子は、第1の電極および第2の電極が入射光の遮光部となり、大きな受光感度を得るために、強誘電体の分極変化を生ずる単位領域のサイズが2つの電極間の距離で画定される。第1の電極および第2の電極は、強誘電体の表面を光強度の大きい領域と小さい領域とに分割する光強度分布器として機能する。強誘電体に光が入射すると、限定された単位領域で、高速に分極変化が起きる。これにより、従来よりも、分極変化が高速化し、受光感度が向上する。また、分極変化を生ずる単位領域をマトリクス状に配置することで、必要な受光面積を確保し、かつ信号電圧を大きくすることができる。
また、第1の電極21aと第2の電極21bが金属周期構造とみなせる場合には、この周期長を入射光波長よりも若干短い値に設定すれば、表面プラズモン共鳴現象により、電極と強誘電体界面近傍に強く光が局在し、光強度を高めることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態の光検出素子が2つの電極を強誘電体の同一表面側に設けていたのに対し、本実施形態の光検出素子は、2つの電極で強誘電体を挟んだ構成である。以下に、実施例3および実施例4を説明する。
第1の実施形態の光検出素子が2つの電極を強誘電体の同一表面側に設けていたのに対し、本実施形態の光検出素子は、2つの電極で強誘電体を挟んだ構成である。以下に、実施例3および実施例4を説明する。
図7は本実施例の光検出素子の構造を示す斜視図である。なお、第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
光検出素子は、強誘電体1と、強誘電体1を挟むように近接して設けられた第1の電極22aおよび第2の電極22bとを有する構成である。これら2つの電極の間には、実施例1と同様に、バイアス電源10と負荷抵抗11が直列に接続されている。第1の電極22aは配線32aを介してバイアス電源10に接続され、第2の電極22bは配線32bおよび負荷抵抗11を介してバイアス電源10に接続されている。
第1の電極22aには、強誘電体1の表面に達する、スリット形状の開口6が設けられている。第1の電極22aにおいて、開口6以外の部分は入射光を遮光するような厚い金属膜で構成されているが、開口6以外の部分で入射光の一部が透過してもよい。この場合、光が強く照射される部分と弱く照射される部分とが強誘電体1の表面に生成される。このようにして、第1の電極22aの形状に反映して入射光が強誘電体1に照射され、光強度の分布が形成される。
本実施例の光検出素子の動作を説明する。バイアス電圧として電極間には抗電界よりも所定値だけ小さな電圧を印加しておく。光検出素子に光を照射すると、強誘電体1には、入射光に対する電極の阻止能に対応して光が照射され、光強度の分布が形成される。本実施例では、強誘電体1の開口6の部分が他の部分よりも光強度が大きくなる。そして、電極間には上記バイアス電圧が印加されているため、光強度の大きな部分においてのみ分極変化が起こり、その結果、変位電流が流れる。
図8は本実施例の光検出素子の構造を示す斜視図である。なお、第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
光検出素子は、強誘電体1と、強誘電体1を挟むように近接して設けられた第1の電極23aおよび第2の電極23bとを有する構成である。これら2つの電極の間には、実施例1と同様に、バイアス電源10と負荷抵抗11が直列に接続されている。第1の電極23aは配線33aを介してバイアス電源10に接続され、第2の電極23bは配線33bおよび負荷抵抗11を介してバイアス電源10に接続されている。
第1の電極23aには、強誘電体1の表面に達する、丸穴形状の開口7が設けられている。第1の電極23aにおいて、開口7以外の部分は入射光を遮光するような厚い金属膜で構成されているが、開口7以外の部分で入射光の一部が透過してもよい。この場合、光が強く照射される部分と弱く照射される部分とが強誘電体1の表面に生成される。このようにして、第1の電極23aの形状に反映して入射光が強誘電体1に照射され、光強度の分布が形成される。
次に、本実施例の光検出素子の動作を説明する。バイアス電圧として電極間には抗電界よりも所定値だけ小さな電圧を印加しておく。光検出素子に光を照射すると、強誘電体1には、入射光に対する電極の阻止能に対応して光が照射され、光強度の分布が形成される。本実施例では、強誘電体1の開口7の部分が他の部分よりも光強度が大きくなる。そして、電極間には上記バイアス電圧が印加されているため、光強度の大きな部分においてのみ分極変化が起こり、その結果、変位電流が流れる。
本実施形態の光検出素子は、第1の電極が遮光膜で構成され、大きな受光感度を得るために、強誘電体の分極変化を生ずる単位領域のサイズが開口で画定される。開口を有する遮光膜が光強度分布器として機能する。強誘電体に光が入射すると、限定された単位領域で、高速に分極変化が起きる。これにより、従来よりも、分極変化が高速化し、受光感度が向上する。また、単位領域をマトリクス状に配置することによる効果は、第1の実施形態と同様である。
なお、実施例3および実施例4の光検出素子では、第1の電極の開口がスリット形状と丸穴形状の場合で説明したが、楕円や正方形などその他の形状であってもよい。また、これらの複数の形状を組み合わせてもよい。
また、実施例3においてスリット形状の開口を短辺方向に周期的に配置し、その周期長が該入射光の波長よりも短い構成にすれば、表面プラズモン共鳴現象により光強度をさらに高めることができる。同様に実施例4において丸穴形状の開口を周期的に配置し、その周期長が該入射光の波長よりも短い構成にすれば、表面プラズモン共鳴現象により光強度をさらに高めることができる。楕円形状の開口の場合には、短軸方向に開口を周期的に配置し、その周期長が該入射光の波長よりも短い構成にすればよい。
(第3の実施形態)
本実施形態の光検出素子は、光が照射される側の電極を光が透過しやすい材質にしたものである。以下に、実施例5から実施例7を説明する。
本実施形態の光検出素子は、光が照射される側の電極を光が透過しやすい材質にしたものである。以下に、実施例5から実施例7を説明する。
図9は本実施例の光検出素子の構造を示す斜視図である。なお、実施例1と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
光検出素子は、強誘電体1と、強誘電体1を挟むように近接して設けられた第1の電極24aおよび第2の電極24bと、第1の電極24a上に形成された遮光膜3とを有する。遮光膜3は、照射光に対する阻止能により、強誘電体1に光強度の分布を形成する。上記2つの電極の間には、実施例1と同様に、バイアス電源10と負荷抵抗11が直列に接続されている。第1の電極24aは配線34aを介してバイアス電源10に接続され、第2の電極24bは配線34bおよび負荷抵抗11を介してバイアス電源10に接続されている。
第1の電極24aは入射光の大部分が透過するような薄い金属膜または酸化物透明電極で構成されている。遮光膜3は、入射光を遮光するような厚い金属で構成されているが、入射光の一部が透過してもよい。この場合、光が強く照射される部分と弱く照射される部分とが強誘電体1の表面に生成される。このようにして、第1の電極24a上に形成された遮光膜3の形状に反映して入射光が強誘電体1に照射され、光強度の分布が形成される。本実施例では、櫛歯状に遮光膜3のパターンが形成されているが、強誘電体1の表面に照射の強い部分と弱い部分とを生成できれば、この例に限らず他の形状のパターンでもよい。
次に、本実施例の光検出素子の動作を説明する。バイアス電圧として電極間には抗電界よりも所定値だけ小さな電圧を印加しておく。光検出素子に光を照射すると、強誘電体1には、入射光に対する、遮光膜3および第1の電極24aの阻止能に対応して光が照射され、光強度の分布が形成される。本実施例では、遮光膜3が形成された部位よりも他の部位における強誘電体1の光強度が大きくなる。そして、電極間には上記バイアス電圧が印加されているため、光強度の大きな部分においてのみ分極変化が起こり、その結果、変位電流が流れる。
図10は本実施例の光検出素子の構造を示す斜視図である。なお、実施例1と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
光検出素子は、強誘電体1と、強誘電体1を挟むように近接して設けられた第1の電極25aおよび第2の電極25bと、第1の電極25a上に形成されたレンズ4とを有する。レンズ4は入射光を強誘電体1の特定の領域に集める。
レンズ4の形成は、第1の電極25a上に所定の屈折率の誘電体膜を形成した後、この膜を半球状にエッチングすることで可能である。また、レンズ4は、第1の電極25a上に形成した誘電体膜に選択イオン交換法の処理を行って、その膜に厚み方向および面内方向に半球状の屈折率勾配を設けることで形成される平面マイクロレンズであってもよい。
上記2つの電極の間には、実施例1と同様に、バイアス電源10と負荷抵抗11が直列に接続されている。第1の電極25aは配線35aを介してバイアス電源10に接続され、第2の電極25bは配線35bおよび負荷抵抗11を介してバイアス電源10に接続されている。
第1の電極25aは入射光の大部分が透過するような薄い金属膜または酸化物透明電極で構成されている。強誘電体1には、レンズ4により特定の領域にのみ入射光が集まる。そのため、光が強く照射される部分と弱く照射される部分とが強誘電体1の表面に生成され、強誘電体1に光強度の分布が形成される。
次に、本実施例の光検出素子の動作を説明する。バイアス電圧として電極間には抗電界よりも所定値だけ小さな電圧を印加しておく。光検出素子に光を照射すると、強誘電体1には、レンズ4により特定の領域にのみ入射光が集まり、光強度の分布が形成される。本実施例では、レンズ4により集光される部分が他の部分よりも光強度が大きくなる。そして、電極間には上記バイアス電圧が印加されているため、光強度の大きな部分においてのみ分極変化が起こり、その結果、変位電流が流れる。
図11は本実施例の光検出素子の構造を示す斜視図である。なお、実施例1と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
光検出素子は、強誘電体1と、強誘電体1を挟むように近接して設けられた第1の電極26aおよび第2の電極26bと、第1の電極26a上に入射光を特定の領域に導波するための導波路5とを有する。第1の電極26aは入射光の大部分が透過するような薄い金属膜または酸化物透明電極で構成されている。
導波路5は、コア層の周りにコア層よりも屈折率の低い層を有している。コア層に入射した光はコア層から外に拡散することなく、第1の電極26aを介して強誘電体1に入る。このようにして、導波路5は入射光を強誘電体1の特定の領域に導く。強誘電体1では、導波路5により入射光が導かれる特定の領域のみ光強度が他の領域よりも強くなる。そのため、光が強く照射される部分と弱く照射される部分とが強誘電体1の表面に生成され、強誘電体1に光強度の分布が形成される。
なお、上記2つの電極の間には、実施例1と同様に、バイアス電源10と負荷抵抗11が直列に接続されている。第1の電極26aは配線36aを介してバイアス電源10に接続され、第2の電極26bは配線36bおよび負荷抵抗11を介してバイアス電源10に接続されている。
次に、本実施例の光検出素子の動作を説明する。バイアス電圧として電極間には抗電界よりも所定値だけ小さな電圧を印加しておく。光検出素子に光を照射すると、強誘電体1には、導波路5により特定の領域のみ光強度が他の領域よりも強くなり、光強度の分布が形成される。そして、電極間には上記バイアス電圧が印加されているため、光強度の大きな部分においてのみ分極変化が起こり、その結果、変位電流が流れる。
実施例5の光検出素子では、第1の電極24aのうち遮光膜3で覆われていない領域が単位領域となり、実施例6の光検出素子ではレンズ4の設けられた部位が単位領域となり、実施例7の光検出素子では導波路5の設けられた部位が単位領域となる。本実施形態の光検出素子は、大きな受光感度を得るために、強誘電体の分極変化を生ずる単位領域のサイズが、遮光膜間の距離、遮光膜の開口、レンズ、および導波路などにより画定される。遮光膜、レンズおよび導波路などの光強度を変化させる構成を用いることで、光強度分布器が形成される。強誘電体に光が入射すると、限定された単位領域で、高速に分極変化が起きる。これにより、従来よりも、分極変化が高速化し、受光感度が向上する。また、単位領域をマトリクス状に配置することによる効果は、第1の実施形態と同様である。
なお、実施例1から実施例7において、電極に設けられた単位領域の各パターンをマトリクス状に配置した場合で説明したが、パターンの大きさや配置がランダムであってもよい。
1 強誘電体
20 光検出素子
21a 第1の電極
21b 第2の電極
20 光検出素子
21a 第1の電極
21b 第2の電極
Claims (7)
- 強誘電体と、
前記強誘電体の表面を、所定の光強度の複数の単位領域と、該複数の単位領域よりも光強度が小さい領域とに分割する光強度分布器と、
を有する光検出素子。 - 前記複数の単位領域にレンズが設けられた請求項1記載の光検出素子。
- 前記複数の単位領域に導波路が設けられた請求項1記載の光検出素子。
- 前記光強度分布器が前記単位領域に開口を有する遮光膜である請求項1記載の光検出素子。
- 前記光強度分布器が、導電性を有し、前記強誘電体に電圧を印加するための電極である請求項1から4のいずれか1項記載の光検出素子。
- 前記複数の単位領域が周期的に配置される構成である請求項1から5のいずれか1項記載の光検出素子。
- 前記複数の単位領域の配置の周期の長さが入射する光の波長よりも短い構成である請求項6記載の光検出素子。
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