JP2007120573A - 油圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】建設機械に用いられる油圧制御装置において、油圧ポンプから吐出した圧油の脈動を抑制又は消滅させることが可能な油圧制御装置を提供する。
【解決手段】本発明により、油圧ポンプと、アクチュエータと、前記油圧ポンプと前記アクチュエータとの間に配設される第1切換弁とをそれぞれ有した油圧回路部を複数備えた建設機械の油圧制御装置において、各油圧回路部における油圧ポンプと第1切換弁とが接続油路で接続され、各油圧回路部の接続油路間を互いに連接する連通油路と、同連通油路で圧油の断接を行う第2切換弁とを備え、各油圧回路部に配した各油圧ポンプが互いに所定の位相差を持って圧油の吐出を行うように構成され、第2切換弁は、各油圧回路部を互いに独立して作動させる際に、連通油路における一部の圧油の流通を一方向又は両方向で可能にする遮断位置に切り換えられる油圧制御装置が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、建設機械に搭載される油圧制御装置に関し、詳しくは、油圧ポンプ、アクチュエータ及び切換弁をそれぞれ有する油圧回路部を複数備え、これらの各油圧回路部間での圧油の断接を行うことのできる油圧制御装置に関する。
油圧ショベル等の建設機械に用いられている油圧制御装置として、例えば図4に示すような油圧制御装置50が従来から知られている。この油圧制御装置50は、2つの第1及び第2油圧回路部55a,55bを備えている。第1油圧回路部55aには、可変容量型の油圧ピストンポンプ51a(以下、「油圧ピストンポンプ」を単に「油圧ポンプ」と略記する場合がある)と、この油圧ポンプ51aから吐出された圧油により駆動されるアクチュエータ52aと、油圧ポンプ51aとアクチュエータ52aの間でアクチュエータ52aに供給する圧油の断接を切り換える第1切換弁53aとが配設されている。また、油圧ポンプ51aと第1切換弁53aとは、接続油路54aを介して接続されている。
また、第2油圧回路部55bも、前記第1油圧回路部55aと同様に構成されている。即ち、可変容量型の油圧ポンプ51bと、アクチュエータ52bと、第1切換弁53bとが配設されている。油圧ポンプ51bと第1切換弁53bとが接続油路54bを介して接続されている。更に、第1及び第2油圧回路部55a,55bは、連通油路56を介してそれぞれの接続油路54a,54b間が互いに連接されている。この連通油路56上には第2切換弁57が配設されており、連通油路56における圧油の接続状態と完全遮断状態とを切り換えることができるように構成されている。
この油圧制御装置50によれば、以下のような作用を奏することができる。即ち、建設機械の稼動時に、例えば第1油圧回路部55aにおいてアクチュエータ52aに対する油圧の供給流量を高めてアクチュエータ52aを高速で駆動させる場合には、油圧ポンプ51aからのポンプ吐出流量だけでは、アクチュエータ52aに対して必要流量の圧油を供給できない。このため、アクチュエータ52aへの供給流量に不足が生じてしまうときがある。この場合、第2切換弁57を接続状態にすることにより、第2油圧回路部55bにおける油圧ポンプ51bからのポンプ吐出流量を、連通油路56を介して第1油圧回路部55aのアクチュエータ52aに対して供給することができる。これによって、アクチュエータ52aに対する圧油の不足分を補うことができる。
このような複数の油圧回路部間で圧油の接続と完全遮断とを切り換え可能な油圧制御装置の具体的な一例として、特開2004−36681号公報(特許文献1)に開示されている油圧駆動装置がある。この特許文献1に記載されている油圧駆動装置について、その簡略化した回路構成図を図5に示す。図5に示したように、特許文献1の油圧駆動装置60は、油圧ポンプ61a,61bと、アクチュエータ62a,62bと、主制御弁63a,63bとをそれぞれ有する複数の油圧回路部65a、65bが備えられている。また、これらの油圧回路部65a,65bでは、合分流弁67を介挿した合流・分流用通路66によって、それぞれの接続油路64a,64b間が互いに連接されている。
また、特許文献1の油圧駆動装置60では、各油圧回路部65a,65bにおいて、アクチュエータ62a,62bと主制御弁63a,63bとの間にチェック機能付圧力補償弁68を配設している。この圧力補償弁68は、各油圧回路部65a,65bのアクチュエータ62a,62bにおける負荷圧の中で最も高い負荷圧を検出し、この検出した最高負荷圧が各油圧回路部の圧力補償弁68にセットされる。これにより、合分流弁67を接続位置にして複数の油圧回路部65a,65bを合流・分流用通路66によって接続しているときに、例えば各油圧回路部65a,65bにおけるアクチュエータ62a,62bの負荷圧がそれぞれ異なる場合でも、各圧力補償弁68の上流側における圧力がそれぞれ等しくなるように調整することができる。従って、各油圧回路部65a,65bの主制御弁63a,63bをそれぞれ操作して、主制御弁63a,63bの各流路面積を制御することにより、各アクチュエータ62a,62bに対してそれぞれの主制御弁63a,63bの流路面積に比例した流量比で圧油を供給することが可能となる。
更に、特許文献1では、圧油が補給される側の油圧回路部65a(すなわち、アクチュエータに供給する圧油の供給流量に不足が生じている油圧回路部)における圧力補償弁68及びアクチュエータ62a間の油路と、圧油を補給する側の油圧回路部65bにおける油圧ポンプ61b及び主操作弁63b間の油路とを、副操作弁71及び逆止弁69を配設したバイパス通路70で連通している。
例えば、複数の油圧回路部を備えた油圧制御装置において、特許文献1のようなバイパス通路が設けられていないときには、油圧回路部間において圧油の接続状態と完全遮断状態との切り換えを行った場合に、各油圧回路部において急激な流量変化や圧力変化が生じてしまう。その結果、建設機械に大きな衝撃(ショック)が生じ、建設機械の操作性が低下したり、また騒音(ショック音)が発生してしまう等の問題があった。
しかし、前記特許文献1のようなバイパス通路70を設けることにより、例えば建設機械の稼動中に合流・分流用通路66上に配設した合分流弁67を接続状態から完全遮断状態に切り換えても、バイパス通路70を介して圧油を油圧回路部65a,65b間において流通させることができる。更に、特許文献1においては、バイパス通路70には逆止弁69が配設されている。これにより、圧油が補給される側の油圧回路部65aにおける油圧が、補給する側の油圧回路部65bの油圧よりも高くなったときには、バイパス通路70における圧油の流動が停止して、各油圧回路部65a,65bをそれぞれ独立した状態に移行できる。従って、それぞれの油圧回路部65a,65bでは急激な流量変化や圧力変化が生じるのを回避でき、建設機械の操作性低下や騒音発生を防止することが可能となる。
特開2004−36681号公報
ところで、前記特許文献1のような建設機械に搭載される油圧制御装置においては、油圧ポンプから圧油を高い圧力で吐出させることが必要となる。このため、油圧ポンプとしては、比較的高い吐出圧が得られるピストンポンプが多用されている。ピストンポンプは、一般的に、複数のピストンがそれぞれシリンダブロック内で往復運動を行うことにより、作動油の吸い込みと吐き出しとを交互に行うことができる。
しかしながら、このようなピストンポンプを用いて圧油の吐出を行う場合、ポンプの構造上、吐出圧油に脈動が発生してしまうという問題があった。ピストンポンプから吐出した圧油に脈動が生じると、建設機械の稼動時に騒音の発生や操作性の低下を引き起こす要因の一つとなる。従って、上記のようなピストンポンプを用いた油圧制御装置においては、吐出圧油の脈動を抑制する技術の開発が従来から強く求められていた。
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、複数の油圧回路部を備えた油圧制御装置において、各油圧回路部間で圧油を流通させるときでも、あるいは各油圧回路部を独立して作動させるときでも、油圧ポンプから吐出した圧油の脈動を抑制又は消滅させることが可能となる装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供される建設機械の油圧制御装置は、油圧ポンプと、同油圧ポンプから吐出された圧油により駆動されるアクチュエータと、前記油圧ポンプと前記アクチュエータとの間に配設され、前記アクチュエータに供給する圧油の断接を行う第1切換弁とをそれぞれ有した油圧回路部を複数備えた建設機械の油圧制御装置において、前記各油圧回路部における前記油圧ポンプと前記第1切換弁とが接続油路で接続され、前記各油圧回路部の接続油路間を互いに連接する連通油路と、同連通油路における圧油の断接を行う第2切換弁とを備え、前記各油圧回路部に配した各油圧ポンプが、互いに所定の位相差を持って圧油の吐出を行うように構成され、前記第2切換弁は、前記各油圧回路部を互いに独立して作動させる際に、前記連通油路における一部の圧油の流通を一方向又は両方向で可能にする遮断位置に切り換えられてなることを最も主要な特徴とするものである。
また、本発明の油圧制御装置は、前記第2切換弁における圧油の断接を制御するコントローラが、第2切換弁を遮断位置に切り換える際に、第2切換弁の流路面積が所定の流路面積となる制御信号の値を出力することに特徴を有している。
本発明の油圧制御装置は、油圧ポンプと、アクチュエータと、第1切換弁とをそれぞれ有した油圧回路部を複数備えており、各油圧回路部間は第2切換弁を配設した連通油路により連通されている。このような構成を有する油圧制御装置によれば、例えば建設機械の稼動時において、一方の油圧回路部内で油圧ポンプからアクチュエータに対しての圧油の供給流量が不足した場合には、連通油路上の第2切換弁を接続状態に切り換えることにより、他方の油圧回路部から連通油路を介して一方の油圧回路部に圧油を補給することが可能となる。
一方、各油圧回路部においてアクチュエータに対して圧油の供給流量が不足する恐れのない場合は、連通油路上の第2切換弁を遮断状態としておく。これにより、各油圧回路部では、それぞれの回路部毎に作動油の圧力を個別に設定することができる。また、アクチュエータに対する圧油の供給量も各回路部毎に適切に制御することができる。従って、各油圧回路部では、第2切換弁を接続状態にしたときに比べて油圧損失を低減することが可能となり、それぞれのアクチュエータを効率的に駆動させることができる。
なお、本発明において、前記第2切換弁における遮断状態(又は、遮断位置)とは、各油圧回路部間において圧油の流通を完全に遮断する状態のことではなく、一部の圧油が油圧回路部間で一方向又は両方向で流通可能となるように、切換弁が所定の流路面積で開口している状態(又はその切換弁の位置)のことを指している。一方、本発明では、上記切換弁の遮断状態(遮断位置)に対して、油圧回路部間における圧油の流通を完全に遮断する状態(又はその切換弁の位置)のことを完全遮断状態(又は完全遮断位置)と定義して、前記遮断状態(遮断位置)と区別することとする。
また、本発明の油圧制御装置では、各油圧回路部に配した油圧ポンプが、互いに所定の位相差を持って圧油を吐出するように構成されている。このため、例えば連通油路上の第2切換弁を接続状態とし、各油圧ポンプから吐出した吐出圧油を連通油路を介して合流させることにより、吐出圧油の脈動を前記位相差によって相互に打ち消し合うことができる。従って、例えば従来から問題とされていた吐出圧油の脈動に起因する騒音の発生や建設機械の操作性の低下を防ぐことができる。なお、各油圧ポンプで与える位相差は、例えば2つの油圧回路部が連通油路によって連通されている場合は180°の位相差となるように、また3つの油圧回路部が連通されている場合はそれぞれ120°の位相差となるように設定することができる。
さらに、前記第2切換弁は、第2切換弁が遮断位置にあるときでも、前記のように連通油路において一部の圧油が一方向又は両方向で流通可能となるように構成されている。これにより、各油圧回路部では、第2切換弁が遮断位置のときでも、他の油圧回路部から第2切換弁を介して僅かに流入する圧油を利用して、当該油圧回路部内を流れる圧油の脈動を抑制又は消滅させることが可能となる。
例えば、各油圧回路部に備えられた油圧ポンプの性能が等しい場合では、第2切換弁が遮断位置のときでも、連通油路において一部の圧油を各油圧回路部間の両方向で流通させることができる。これにより、各油圧回路部においては、圧油の脈動を抑制又は消滅させることができる。
一方、例えば各油圧回路部に配設した油圧ポンプの性能が異なる場合では、第2切換弁が遮断位置のときに、一部の圧油を連通油路において一方向のみで流通させるように構成しても良い。すなわち、例えば一方の油圧回路部に配設した油圧ポンプにおける吐出圧油の脈動が、騒音等の問題を考慮する必要がない程度に小さい場合は、第2切換弁の遮断時にこの一方の油圧回路部から他方の油圧回路部に向けての一方向のみで一部の圧油を連通油路において流通させる。これにより、一方の油圧回路部においては圧油の脈動が小さい状態を維持し、他方の油圧回路部においては、一方の油圧回路部から流入する一部の圧油を利用して圧油の脈動を抑制することが可能となる。
なお、本発明において、第2切換弁が遮断位置において流通させる圧油の流量は、各油圧回路部がそれぞれ回路部内の油圧を所定の油圧状態に維持できる程度の流量に設定することができる。
次に、本発明による代表的な実施形態である油圧制御装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る油圧制御装置の回路の一例を示す回路構成図である。本実施形態の油圧制御装置1は、以下で具体的に説明するように、第1油圧回路部(図1の左側回路部)及び第2油圧回路部(図1の右側回路部)の2つの油圧回路部を備えた装置であり、例えば油圧ショベル等の建設機械に搭載される。なお、本発明はこれに何ら限定されず、例えば3つ以上の油圧回路部を備えた油圧制御装置として構成することもできる。
また、本実施形態では、以下で説明するように、油圧制御装置の各油圧回路部に配設する油圧ポンプとして、吐出圧油に脈動が生じやすいピストンポンプ、具体的には9つのピストンを備えた斜板式の可変容量型油圧ピストンポンプを用いている。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、油圧ポンプに求められる性能等に応じて、ピストンの数を変える等の多様な変更が可能である。更に、斜板式の油圧ピストンポンプの代わりに、例えば、斜軸式の油圧ピストンポンプを用いたり、またその他に歯車ポンプやベーンポンプ等を用いることもできる。
図1に示した油圧制御装置1は、第1油圧回路部と第2油圧回路部とを備えている。第1油圧回路部としては、エンジン29によって駆動される斜板式の可変容量型油圧ピストンポンプ2(以下、「油圧ポンプ2」と略記する)と、油圧ポンプ2から吐出された圧油により駆動されるアクチュエータ4とを有している。更に、油圧ポンプ2とアクチュエータ4との間には、上流側から第1切換弁5と圧力補償弁6とが配設されている。
また第2油圧回路部についても同様に、エンジン29によって駆動される斜板式の可変容量型油圧ピストンポンプ3(以下、「油圧ポンプ3」と略記する)と、油圧ポンプ3から吐出された圧油により駆動されるアクチュエータ7とを有している。更に、油圧ポンプ3とアクチュエータ7との間には、上流側から第1切換弁8と圧力補償弁9とが配設されている。
この油圧制御装置1において、第1油圧回路部に配設した油圧ポンプ2と、第2油圧回路部に配設した油圧ポンプ3は、それぞれシリンダブロック内に9つのピストンを備えた同じ構成の油圧ピストンポンプとして構成されている。また、これらの油圧ポンプ2と油圧ポンプ3とは、互いに180°の位相差を持って圧油を吐出するように構成されている。
第1及び第2油圧回路部のそれぞれに配設された第1切換弁5,8は、不図示の操作レバーからの信号に従って、アクチュエータ4,7に供給する圧油の断接を行うために、同第1切換弁5,8を接続位置と完全遮断位置とに切り換えることができる。また、第1切換弁5,8を接続位置にしたときには、各第1切換弁5,8の流路面積を調整することにより、それぞれアクチュエータ4,7への供給流量を制御できる。この第1切換弁5,8における圧油の断接状態や流量に関する情報は、コントローラ14に入力されるように構成されている。
なお、本実施形態では、第1及び第2油圧回路部において、油圧ポンプ2,3にはそれぞれ単一のアクチュエータ4,7が第1切換弁5,8及び圧力補償弁6,9を介して接続されている。しかし、本発明はこれに限定されず、各油圧回路部において、1つの油圧ポンプに対して複数のアクチュエータをそれぞれ第1切換弁及び圧力補償弁を介して接続することができる。また、第1切換弁5,8としては、例えばパイロット操作方式の切換弁や、その他一般的に用いられている操作切換弁を採用することができる。
本実施形態にあっては、第1及び第2油圧回路部のそれぞれにおいて、油圧ポンプ2,3と第1切換弁5,8とが接続油路10,11によって接続されている。また、第1油圧回路部の接続油路10と第2油圧回路部の接続油路11とは、連通油路12によって互いに連通されている。
更に、連通油路12の途中には、ソレノイド13aを有する電磁比例型の第2切換弁13が配設されている。第2切換弁13は、コントローラ14から出力される制御信号によってソレノイド13aを磁励することにより、第1及び第2油圧回路部間を連通させる接続位置A(接続状態)と、同油圧回路部間で一部の圧油の流通を可能にする遮断位置B(遮断状態)とに切り換えることができる。
図2を用いて具体的に説明すると、コントローラ14は、出力する制御信号の値を変えることにより、ソレノイド13aで第2切換弁13におけるスプールの位置を制御して、第2切換弁13における開口面積、即ち圧油の流路面積を変更できるように構成されている。例えば、コントローラ14から出力する制御信号の値を大きくすることにより、第2切換弁13における流路面積を拡大して、連通油路12に流通させる圧油の流量を大きくすることができる。一方、コントローラ14から出力する制御信号の値をゼロにした場合では、第2切換弁13のスプールがバネからの力のみを受けて第2切換弁13の流路を完全に閉ざした状態にすることができる。このため、第2切換弁13は、流通させる圧油の流量をゼロにすることが可能となる(即ち、完全遮断状態(完全遮断位置C)にすることも可能である)。
そして、本実施形態において、コントローラ14は、第2切換弁13を接続位置Aにするときの制御信号の値(出力値A)と、遮断位置Bにするときの制御信号の値(出力値B)とが予め設定されている。また、第2切換弁13は、コントローラ14により遮断位置Bに切り換えられたときに、予め設定した僅かの所定流量の圧油が流通できるように構成されている。
即ち、コントローラ14は、第2切換弁13に制御信号を出力して第2切換弁13を遮断位置Bの状態にするときには、出力する制御信号の値をゼロにするのではなく、第2切換弁13の流路面積が予め設定した所定の流路面積となる制御信号の値(出力値B)を出力する。
そして、第2切換弁13は、コントローラ14から出力値Bの制御信号が入力されると、その入力された制御信号の値に対応してスプールの位置が遮断位置Bに制御されて、第2切換弁13を所定の流路面積で開口させることができる。従って、コントローラ14が第2切換弁13を遮断位置Bに切り換えたときには、第2切換弁13は所定の流路面積で開口しているため、第2切換弁13を介して圧油を脈動の打消し又は抑制可能な所定の流量(最低流量)で流通させることが可能となる。なお、第2切換弁13が遮断位置Bのときに開口させる流路面積は、第1及び第2油圧回路部において、それぞれ所要の油圧状態が維持される程度の流路面積に設定されている。
一方、第2切換弁13を接続位置Aの状態にするときは、コントローラ14から第2切換弁13に対して出力値Aの制御信号が出力される。これにより、第2切換弁13を、第1及び第2油圧回路部間で圧油を連通させるのに十分な流路面積で開口させて連通油路12を完全連通させることができる。なお、本実施形態においては、第2切換弁13を接続位置Aの状態にする際に、コントローラ14で出力する制御信号の値(出力値A)を調節することにより、連通油路12を流れる圧油の流量を制御することも可能である。
前記第1油圧回路部に配設した圧力補償弁6は、第1受圧部6aと、第2受圧部6bと、前記第1受圧部6a側に設けられたバネ6cとを備えている。第1受圧部6aは、圧力補償弁6の出口側圧力(アクチュエータ保持圧)が供給されるように構成されている。第2受圧部6bは、シャトル弁15を介して負荷圧導入油路16と保持圧導入油路17とに接続されており、それらの油路16,17のうちの高い方の油圧が供給されるように構成されている。このとき、保持圧導入油路17は、他端を圧力補償弁6の出口側に接続している。
圧力補償弁6は、通常はバネ6cのバネ力によって全開の状態となっている。また、第2受圧部6bに作用するシャトル弁5からの圧力が、第1受圧部6aに作用する圧力補償弁6からの出力圧とバネ6cのバネ力との合計よりも大きくなったときには、圧力補償弁6が、第2受圧部6bに作用する圧力と、第1受圧部6aに作用する圧力及びバネ6cのバネ力の合計とがバランスする位置に切り換わり、圧力補償弁6の流路面積が絞られることになる。
これにより、第1切換弁5に供給される圧油が、例えば第2切換弁13が接続位置に切り換わって他方の油圧ポンプ3からの圧油の補給によって高圧になったとしても、圧力補償弁6からアクチュエータ4に対して供給される圧力が、常に一定の圧力となるように制御される。
また、第2油圧回路部に配設した圧力補償弁9は、第1受圧部9aと、第2受圧部9bと、前記第1受圧部9a側に設けられたバネ9cとを備えている。第1受圧部9aは、圧力補償弁9の出口側圧力(アクチュエータ保持圧)が供給されるように構成されている。第2受圧部9bは、シャトル弁18を介して負荷圧導入油路19と保持圧導入油路20とに接続されており、それらの油路19,20のうちの高い方の油圧が供給されるように構成されている。このとき、保持圧導入油路20は、他端を圧力補償弁9の出口側に接続している。
この圧力補償弁9も、前記圧力補償弁6と同様に、通常はバネ9cのバネ力によって全開の状態となっている。また、第2受圧部9bに作用するシャトル弁18からの圧力が、第1受圧部9aに作用する圧力補償弁9からの出力圧とバネ9cのバネ力との合計よりも大きくなったときには、圧力補償弁9が、第2受圧部9bに作用する圧力と、第1受圧部9aに作用する圧力及びバネ9cのバネ力の合計とがバランスする位置に切り換わり、圧力補償弁9の流路面積が絞られることになる。これにより、前記圧力補償弁6と同様の作用を奏することができる。即ち、圧力補償弁9の上流側における圧力がアクチュエータ7に供給する負荷圧よりも高くなったとしても、圧力補償弁9によって圧力の減圧制御が行われる。これによって、圧力補償弁9からアクチュエータ7に対して供給される圧力を、常に一定の圧力となるように制御できる。
また、前記負荷圧導入油路19は、同油路19の途中に電磁比例型の第3切換弁21を介して、前記負荷圧導入油路16に接続されている。更に、負荷圧導入油路16は、負荷圧導入油路19との接続部の上流でシャトル弁22の出口側に接続されている。シャトル弁22は、一方の入口側が負荷圧導入油路23を通して第1油圧回路部の第1切換弁5の出口側に接続されており、他方の入口側が負荷圧導入油路24を通して第2油圧回路部の第1切換弁8の出口側に接続されている。従って、シャトル弁22においては、アクチュエータ4,7の負荷圧のうちの高い方の負荷圧を選択して前記シャトル弁15及びシャトル弁18に供給することができる。更に、負荷圧導入油路24上には前記第3切換弁21が配設されている。この第3切換弁21は、コントローラ14から出力される制御信号でソレノイド21aを操作することによって、第1及び第2油圧回路部間を連通させる接続位置A(接続状態)と、油圧回路部間を完全に遮断する完全遮断位置C(完全遮断状態)とに切り換えることができるように構成されている。
従って、例えば第3切換弁21を接続位置Aの状態にして、第1及び第2油圧回路部間で連通油路12を介して圧油を流通させているときには、圧力補償弁6,9に対して複数のアクチュエータ4,7の中で最も高い負荷圧をセットすることができる。これによって、第1及び第2油圧回路部におけるそれぞれのアクチュエータに供給する負荷圧が異なる場合でも、第1切換弁5,8において、それぞれの流路面積を調整することにより、各アクチュエータ4,7に供給する圧油の流量制御を行うことができる。
また、第1油圧回路における吐出油路10と第2油圧回路における吐出油路11にはそれぞれ圧力センサ27,28が設けられている。更に、これら圧力センサ27,28の検出値は、前記コントローラ14に入力されるように構成されている。
コントローラ14は、各アクチュエータ4,7により操作される油圧ショベルの操作状況や、圧力センサ27,28で検出される油圧の状態等といった油圧制御装置1における様々な作動状況に応じて、前記のように第2切換弁13及び第3切換弁21の各ソレノイド13a,21aに対して制御信号を送信する。これにより、コントローラ14は、第2切換弁13における接続位置Aと遮断位置Bとの切り換え、及び、第3切換弁21における接続位置Aと完全遮断位置Cとの切り換えをそれぞれ制御することができる。更に、コントローラ14は、油圧ポンプ2の斜板2aの傾転角を制御するサーボ機構25及び油圧ポンプ3の斜板3aの傾転角を制御するサーボ機構26に対して制御信号を送信し、油圧ポンプ2,3からの吐出流量を制御することもできる。
なお、上記油圧制御装置1では、例えば前記特許文献1のようなバイパス通路を、第1油圧回路部における圧力補償弁6及びアクチュエータ4間の油路と、第2油圧回路部における油圧ポンプ3及び第1切換弁8間の油路とを連接するように配設することもできる。このようなバイパス通路を設けることによって、例えば第2切換弁13及び第3切換弁21において圧油の接続状態と、遮断状態又は完全遮断状態とを切り換えたときに、各油圧回路部では圧油の急激な流量変化や圧力変化が生じるのを防ぐことができる。
次に、上述の構成よりなる油圧制御装置1の作動について説明する。
油圧ショベルを稼動させたときに、例えば第1油圧回路部に配設したアクチュエータ4を高速で作動させる場合には、アクチュエータ4に対する油圧の供給流量を増加させることが必要となる。このとき、コントローラ14において第1油圧回路部の油圧ポンプ2だけではアクチュエータ4に対して必要流量の圧油が供給できないことが判断されると、コントローラ14は、第1及び第2油圧回路部間で圧油を連通させることを決定する。
そして、コントローラ14は、第2切換弁13に対して所定の値の制御信号(出力値A)を出力して、第2切換弁13を圧油の接続状態(接続位置A)に切り換える。また同時に、コントローラ14は、第3切換弁21に対しても所定の値の制御信号を出力して、第3切換弁21を圧油の接続状態(接続位置A)に切り換える。
これにより、第1油圧回路部と第2油圧回路部とが連通油路12を介して互いに連通する。その結果、第2油圧回路部の油圧ポンプ3からは、連通油路12を介して、第1油圧回路部のアクチュエータ4に対して不足分の圧油を補給することができる。これとともに、圧力補償弁6,9では、アクチュエータ4,7の中で高い方の負荷圧がセットされて圧力補償が行われる。
このとき、第1油圧回路部の油圧ポンプ2から吐出した圧油と、第2油圧回路部の油圧ポンプ3から吐出した圧油とには、図3に示したように、互いに180°の位相差が設けられている。従って、それぞれの油圧ポンプから吐出された圧油の脈動は、連通油路12を介して合流することにより相互に打ち消し合うことができる。これにより、圧力の脈動を抑えた略一定な所定流量の圧油を、アクチュエータ4,7に対して連続的に供給することができる。
一方、コントローラ14において、第1及び第2油圧回路部の各アクチュエータ4,7がそれぞれの油圧回路部に配設した油圧ポンプ2,3のみで必要流量を確保することが可能であることを判断した場合、すなわち、各油圧回路部においてアクチュエータに対する圧油の供給流量が独立してまかなえることを判断した場合には、コントローラ14は、第1及び第2油圧回路部をそれぞれ独立して作動させることを決定する。
そして、コントローラ14は、第2切換弁13に対して所定の値の制御信号(出力値B)を出力し、第2切換弁13を圧油の遮断状態(遮断位置B)に切り換える。また同時に、第3切換弁21に対しても制御信号を出力して、第3切換弁21を圧油の遮断状態(遮断位置B)に切り換える。これにより、第1油圧回路部と第2油圧回路部とがそれぞれ独立し、各油圧回路部において必要となる流量を、それぞれの回路部に配設した油圧ポンプからのポンプ吐出流量によってまかなうことができる。
このとき、第2切換弁13は、遮断状態にあっても、前記のように所定の流路面積で開口しているため、圧油を予め設定した僅かの所定流量で連通油路12に流通させることができる。このため、第1及び第2油圧回路部では、連通油路12を介して僅かに流通する圧油を互いに利用して、それぞれの油圧ポンプ2,3から吐出した圧油の脈動を抑制又は消滅させることができる。
以上のように、本実施形態における油圧制御装置1によれば、第1油圧回路部と第2油圧回路部とを連通する場合でも、また互いに独立して作動させる場合でも、それぞれの油圧ポンプ2,3から吐出した圧油の脈動を抑制又は消滅させることができる。これにより、従来から問題とされていた吐出圧油の脈動に起因する騒音の発生や油圧ショベルの操作性の低下を防ぐことができ、良好な作業環境の中で油圧ショベルを稼動させることが可能となる。
なお、上記説明において、第2切換弁13は、遮断状態のときに、コントローラ14から所定の値の制御信号を出力することにより、一部の圧油の流通を可能にしている。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば以下のような手段を用いることによっても、第2切換弁13を遮断状態としたときに、第2切換弁13を介して一部の圧油を第1及び第2油圧回路部間で流通させることができる。
即ち、例えば第2切換弁13のスプールに圧油を流通させることが可能な所定の大きさの溝部又は孔部を予め設けておく。そして、コントローラ14が第1及び第2油圧回路部をそれぞれ独立して作動させることを決定したときに、同コントローラ14から出力する制御信号の値をゼロにする。このとき、第2切換弁13の流路はスプールによって閉ざされるものの、スプールに設けられた溝部又は孔部を介して圧油を僅かの所定流量で流通させることができる。このように第2切換弁13を構成することによっても、第2切換弁13は、遮断状態のときに第1及び第2油圧回路部間で圧油を僅かの所定流量で流通させることが可能となる。
本発明の油圧制御装置は、油圧ショベル等の建設機械に対して好適に適用することができる。
本発明の油圧制御装置の回路の一例を概略的に示す回路図である。 切換弁のスプール位置と開口面積(流路面積)との関係を示すグラフである。 第1油圧回路部と第2油圧回路部とを接続したときの各油圧ポンプから吐出した圧油の脈動を表す図である。 従来の油圧制御装置の回路の一例を模式的に示す回路図である。 従来の油圧駆動装置の回路を簡略的に示す回路図である。
符号の説明
1…油圧制御装置、 2,3…可変容量型油圧ピストンポンプ(油圧ポンプ)、
4,7…アクチュエータ、 5,8…第1切換弁、 6,9…圧力補償弁、
10,11…接続油路、 12…連通油路、 13…第2切換弁、
14…コントローラ、 15,18,22…シャトル弁、
16,19…負荷圧導入油路、 17,20…保持圧導入油路、 21…第3切換弁、
23,24…負荷圧導入油路、 25,26…サーボ機構、
27,28…圧力センサ、 29…エンジン。

Claims (2)

  1. 油圧ポンプと、同油圧ポンプから吐出された圧油により駆動されるアクチュエータと、前記油圧ポンプと前記アクチュエータとの間に配設され、前記アクチュエータに供給する圧油の断接を行う第1切換弁とをそれぞれ有した油圧回路部を複数備えた建設機械の油圧制御装置において、
    前記各油圧回路部における前記油圧ポンプと前記第1切換弁とが接続油路で接続され、
    前記各油圧回路部の接続油路間を互いに連接する連通油路と、同連通油路における圧油の断接を行う第2切換弁と、を備え、
    前記各油圧回路部に配した各油圧ポンプが、互いに所定の位相差を持って圧油の吐出を行うように構成され、
    前記第2切換弁は、前記各油圧回路部を互いに独立して作動させる際に、前記連通油路における一部の圧油の流通を一方向又は両方向で可能にする遮断位置に切り換えられてなる
    ことを特徴とする油圧制御装置。
  2. 前記第2切換弁は、前記油圧制御装置における作動状況に応じた制御信号を出力するコントローラからの前記制御信号により、前記各油圧回路部間で圧油の補給が可能な接続位置と、前記遮断位置との切り換えが行われてなり、
    前記コントローラは、
    前記第2切換弁に対して出力する制御信号の値に応じて、前記第2切換弁における圧油の流路面積を可変に制御でき、且つ、
    前記第2切換弁を前記遮断位置の状態に切り換える際には、第2切換弁の流路面積が所定の流路面積となる制御信号の値を出力してなる
    ことを特徴とする請求項1記載の油圧制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010023415A (ja) * 2008-07-23 2010-02-04 Sumitomo Heavy Ind Ltd 射出成形機及びその制御方法
WO2012033064A1 (ja) * 2010-09-10 2012-03-15 日立建機株式会社 建設機械のハイブリッドシステム
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