JP2007119957A - 工業用二層織物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 12シャフトの工業用二層織物において、下面側経糸は連続する6本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで連続する4本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通る組織であって、下面側を構成する隣接する12本の経糸は下面側緯糸2本分、次いでその隣の経糸を下面側緯糸6本分と順にシフトして下面側層の完全組織を形成し、下面側緯糸は連続する5本の下面側経糸の下側を通った後、1本の下面側経糸の上側を通り、次いで連続する5本の下面側経糸の下側を通った後、1本の下面側経糸の上側を通る組織としたことを特徴とする工業用二層織物である。
【選択図】 図1
Description
このように工業用織物の中でも最も要求が厳しい抄紙用織物について説明すればほとんどの工業用織物の要求とその解決について理解できるので、以下抄紙用織物を代表して本発明を説明する。
抄紙用織物の寿命にはマシン接触面側の摩耗によるものがあり、中でも無端状で回転する織物の片側だけが先行することで織物が斜めに変形して、その影響により一部分だけが異常摩耗してしまうことがある。これらは織物寿命が短命になるだけでなく、紙質にも悪影響を与えてしまう。逆にいえば走行安定性を向上させることで織物寿命、紙質等を向上させることができる。
そして、表面性や接結力の向上、内部摩耗対策として近年では経地糸接結糸を用いた2層織物が増加している。しかし、現在の抄紙用織物の走行面側層は、耐摩耗性のある下面側緯糸ロングクリンプ構造とした場合、綾が一方向に連続している綾織組織のものが多く、例えばUS2004/0182464の図5に下面側層の内部側の平面図が示されている。この織物では綾が左斜め上方に向かって伸びているため、織物は次第に左方向に進んでしまう。そのため、走行安定性を向上させる目的で走行面側の織物の綾方向を崩し2方向の綾からなる織物とすることで、片側進みの現象を解消する方法がある。例えば走行面側層を右上がりの綾と左上がりの綾を組み合わせて形成する4×4の朱子織物等が代表的である。この組織は綾織り組織のように綾が一方向だけでないため片側のみに進行していくことはない。しかし、走行面側層は連続する3本の経糸の下側を通る比較的短いクリンプを形成する組織であるため、耐摩耗性が乏しく、厳しい環境下で使用される抄紙用織物としては好ましくなかった。
「1. 12本の上面側経糸と12本の下面側経糸を上下に配置した12組の経糸の組と、複数本の上面側緯糸と下面側緯糸から構成され、12組の経糸のうち少なくとも一本の経糸を上面側緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わされる経地糸接結糸とした接結経糸の組を1組以上配置した工業用二層織物において、
下面側経糸は連続する6本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで連続する4本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通る組織であって、
下面側を構成する隣接する12本の経糸は下面側緯糸2本分、次いでその隣の経糸を下面側緯糸6本分と順にシフトして下面側層の完全組織を形成し、
下面側緯糸は連続する5本の下面側経糸の下側を通った後、1本の下面側経糸の上側を通り、次いで連続する5本の下面側経糸の下側を通った後、1本の下面側経糸の上側を通る組織としたことを特徴とする工業用二層織物。
2. 接結経糸の組が、2本の経地糸接結糸、または1本の経地糸接結糸と1本の上面側経糸、または1本の経地糸接結糸と1本の下面側経糸から構成されており、これらの組を形成する2本の経糸が協働して上面側表面と下面側表面に、他の上面側経糸、下面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成していることを特徴とする、1項に記載された工業用二層織物。
3. 上面側緯糸と織り合わされる上面側経糸と、下面側緯糸と織り合わされる下面側経糸が上下に配置された経糸の組と、上面側経糸と下面側経糸のうち少なくともどちらか一方が上面側緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わされる経地糸接結糸である接結経糸の組を、3:1の割合で配置したことを特徴とする、1項または2項に記載された工業用二層織物。
4. 上面側緯糸と下面側緯糸の配置本数の割合を1:1〜2:1としたことを特徴とする、1項ないし3項のいずれか1項に記載された工業用二層織物。
5. 上面側層の組織が平織、綾織、朱子織のいずれかとしたことを特徴とする、1項ないし4項のいずれか1項に記載された工業用二層織物。」
に関する。
本明細書において、上下に配置されている上面側経糸と下面側経糸を「経糸の組」とよんでおり、また上面側経糸と下面側経糸のうち少なくともどちらか一方が経地糸接結糸としたものを「接結経糸の組」とよんでいる。接結経糸の組には、2本の経地糸接結糸からなるものや、1本の上面側経糸と1本の経地糸接結糸からなるものや、1本の下面側経糸と1本の経地糸接結糸からなるものがある。
本明細書でいう4×4の朱子織組織とは、経糸4本と緯糸4本から構成されており、経糸は1本の緯糸の下側を通った後、3本の緯糸の上側を通る組織で、緯糸は1本の経糸の上側を通った後、3本の経糸の下側を通る組織である。隣接配置される経糸は緯糸1本分シフトし、次の経糸は緯糸2本分シフトさせ、その次の経糸は緯糸3本分シフトさせ、次に緯糸2本シフトさせると元に戻る。そのような変則シフトによって、この4×4の朱子織組織の中に右斜め方向に向かう綾と、左斜め方向に向かう綾の2つの綾ができる。上面側経糸8本、下面側経糸8本からなる16シャフトの下面側層が4×4の朱子織組織から構成されている織物の場合、4×4の朱子織ブロックは常に横並びに隣接配置しているため、下面側緯糸は1本の下面側経糸の上を通った後、3本の下面側経糸の下を通り、下面側表面に経糸3本分のクリンプが形成される組織となる。16シャフトの織物では常にこの長さのクリンプが繰り返される。織物用途によっては経糸3本分のクリンプでも十分摩耗を受け持つ場合もあるが万能ではない。
下面側層を構成する下面側経糸を、連続する6本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで連続する4本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通る組織とし、この経糸を緯糸2本分、そしてその隣の経糸は緯糸6本分シフトさせ、順次2本分、6本分とシフトさせていくことで、4×4の朱子織組織のブロックを含む6×4のブロックを順次シフトした組織となり、下面側緯糸は連続する5本の下面側経糸の下側を通った後、1本の下面側経糸の上側を通る組織を繰り返した組織となる。このような組織とすることで、4×4の朱子織組織によって発現される斜め剛性が得られる。つまり、この下面側組織は右斜め方向に向かう綾と、左斜め方向に向かう綾の2つの綾が存在するため、織物組織の影響で走行中に一方向だけが先進みしてしまうことはなく、走行安定性、斜め剛性に優れた織物となる。また、下面側緯糸が常に走行面側表面に経糸5本分の長さのロングクリンプを形成しているため、耐摩耗性に優れた織物となる。
このように、本発明の組織は4×4朱子織組織にみられる斜め剛性と走行安定性を確保しながらも、16シャフトの4×4朱子織組織の欠点であった耐摩耗性を解決した工業用織物に適した織物となる。
経地糸接結糸の組には、組を形成する上面側経糸と下面側経糸の両方を経地糸接結糸としたものや、下面側経糸のみを経地糸接結糸とした1本の経地糸接結糸と1本の上面側経糸からなるものや、上面側経糸のみを経地糸接結糸とした1本の経地糸接結糸と1本の下面側経糸からなるものがある。これらの組を形成する2本の経糸は協働して上面側表面と下面側表面に、他の上面側経糸、下面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成している。
2本の経地糸接結糸により構成されるそれぞれの接結経糸は同じ組織であっても異なる組織であっても構わない。特に一方が1または複数本の上面側緯糸と織り合わされているところの下側で、もう一方が少なくとも1本の下面側緯糸と織り合わされる組織とするとよい。
経地糸接結糸と下面側経糸が組を形成している接結経糸の組では、下面側経糸が本来通るべき下面側緯糸の下側を通らないで、代わりに経地糸接結糸がその下面側緯糸の下側を通り、これら2本の経糸によって下面側表面に他の下面側経糸と同じように経糸組織を構成し、上面側層では経地糸接結糸が上面側緯糸と織り合わせて上面側表面に他の上面側経糸と同じように経糸組織を構成する。
そして、上面側緯糸と下面側緯糸の配置本数の割合は好ましくは1:1〜2:1とするとよい。例えば1:1や2:1、3:2、4:3があり、その他の割合であってもよい。一般的には表面性、繊維支持性等の面から上面側層の密度を高くした方がよく、脱水性等の面から下面側層を粗とした方がよい。
また、上面側層の織物組織については特に限定はなく、平織、綾織、朱子織等が好ましい。また、複数本の経糸組織を組み合わせ、例えば異なる2つの組織を交互に配置した組織であっても構わない。そして、上面側表面には上面側緯糸間に上面側緯糸よりも線径の小さい補助緯糸を配置してもよい。例えば上面側緯糸と補助緯糸を交互に配置し、補助緯糸が複数本の経糸の上側を通るロングクリンプを形成する組織とすることで、緯糸の繊維支持性を向上させる効果がある。
マシンやロール接触面側となる下面側表面は剛性や耐摩耗性が必要とされるため、下面側緯糸、下面側経糸は比較的線径の大きいものである方が好ましい。これらは用途や使用環境、上下緯糸本数の配置比率等を考慮して決定する必要がある。
抄紙用ワイヤーとしては一般的には、上面側経糸、下面側経糸、経地糸接結糸、上面側緯糸には剛性があり、寸法安定性に優れるポリエステルモノフィラメントを用いるのが好ましい。また、耐摩耗性が要求される下面側緯糸にはポリエステルモノフィラメントとポリアミドモノフィラメントを交互に配置する等、交織するのが剛性を確保しつつ耐摩耗性を向上できて好ましい。
図1〜20は本発明の実施例であって、意匠図、経糸に沿った断面図を示している。そして、図21は本発明の特徴である下面側層の意匠図を示したものである。わかりやすくするために、上面側組織、接結組織等は省略しており、且つ4×4の朱子織組織の部分は網掛けで表示してある。
意匠図とは織物組織の最小の繰り返し単位であって織物の完全組織にあたる。本発明の請求の範囲で詳しく説明されているものがこの完全組織であり、完全組織が上下左右につながって織物となる。意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1、2、3で示し、そのうち上面側経糸と下面側経糸からなる経糸の組と、2本の経地糸接結糸からなる接結経糸の組、または上面側経糸と経地糸接結糸からなる接結経糸の組、または下面側経糸と経地糸接結糸からなる接結経糸の組の場合がある。そして、緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1´、2´、3´で示した。配置比率によって意匠図上、上面側緯糸と下面側緯糸が上下に配置されている場合と、上面側緯糸のみの場合がある。
また、×印は上面側経糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、□印は下面側経糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示す。●印は経地糸接結糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、○印はその経地糸接結糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示す。そして、◆印も経接経地糸結糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、◇印はその経地糸接結糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示す。経糸の組、接結経糸の組、上面側緯糸と下面側緯糸は意匠図の1つの列に一緒に記載しており、そのため意匠図では糸が上下に正確に重なって配置されることになっているが、これは図面の都合上であって実際の織物ではずれて配置されても構わない。そして、接結経糸の組では2本の経糸が互いにくっつき合って、上面側表面では上面側完全組織を構成する1本の経糸として機能し、また下面側表面では下面側完全組織を構成する1本の経糸として機能する。
本発明は、特に24シャフトの2層織物であることを必須の構成とするが、それは上面側経糸8本と下面側経糸8本からなる16シャフトでは、下面側層に4×4の朱子織組織を形成した場合、下緯糸ロングクリンプ構造とすることができなく、また上面側経糸7本と下面側経糸7本からなる14シャフトでは、奇数本の下経糸で構成されているため、完全組織の中で2つの同じ組織を繰り返すことができないからである。
図1は本発明の実施例1の織物の意匠図である。図2は図1の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。この織物は接結経糸の組を3/12の割合で均等に配置したものであって、上面側緯糸と下面側緯糸の配置割合は1:1である。図1の意匠図において、1、5、9は2本の経地糸接結糸からなる接結経糸の組であり、2、3、4、6、7、8、10、11、12は上面側経糸、下面側経糸からなる経糸の組である。
下面側表面を構成する経糸は、連続する6本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで連続する4本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通る6/1−4/1組織であって、その組織の経糸を緯糸2本分シフトさせて隣接配置し、その隣に経糸を緯糸6本分シフトさせて配置し、その隣も緯糸2本分、6本分と順にシフトして12本の経糸からなる完全組織を形成する。それにより下面側緯糸は連続する5本の下面側経糸の下側を通った後、1本の下面側経糸の上側を通る組織を繰り返す組織となる。
接結経糸の組を構成する2本の経地糸接結糸は同じ組織であり、2本が協働して上面側表面に他の上面側経糸と同じ平織組織を形成し、下面側表面には他の下面側経糸と同じ6/1−4/1組織を形成している。図2の2つの断面図からよくわかる。
そして、図21には本発明に共通する下面側層の組織を説明するために下面側層の意匠図が示されている。そして、経糸4本、緯糸4本からなる4×4の朱子織組織の部分は網掛けで表示されている。本明細書でいう4×4の朱子織組織とは、経糸4本と緯糸4本から構成されており、経糸は1本の緯糸の下側を通った後、3本の緯糸の上側を通る組織で、緯糸は1本の経糸の上側を通った後、3本の経糸の下側を通る組織である。1本の経糸の隣に配置される経糸は緯糸1本分シフトし、次の経糸は緯糸2本分シフトさせ、その次の経糸は緯糸3本分シフトさせ、その次の経糸は緯糸2本分シフトさせてもとに戻ることになる。そのような変則シフトによって、この4×4の朱子織組織の中に右斜め方向に向かう綾と、左斜め方向に向かう綾の2つの綾ができる。
そして、本発明の下面側層にはこのような4×4の朱子織組織の他に、2×4の織り合わされない部分が存在する。これは経糸2本と緯糸4本から構成されており、経糸の下に緯糸が重なっている部分である。必ず4×4の朱子織組織の横隣に2×4の織り合わされない部分が存在しており、これらが交互に配置されている。図21の下面側層では、4本の下面側緯糸1´、2´、3´、4´と織り合わされる4本の下面側の経糸1、2、3、4の隣に、4本の下面側緯糸1´、2´、3´、4´と織り合わされない2本の経糸5、6が存在し、そしてその隣に4本の経糸7、8、9、10、そしてその隣に4本の下面側緯糸1´、2´、3´、4´と織り合わされない2本の経糸11、12が存在する。つまり、下面側層は4本と2本の経糸からなるこの6×4の横方向に並ぶブロックの繰り返しによって構成されている。このような構造とすることで、完全組織の中で下面側緯糸が連続する5本の下面側の経糸の下側を通り、次いで1本の下面側の経糸の上側を通って緯糸ロングクリンプを形成する組織となる。斜め剛性、走行安定性に加え、耐摩耗性も得ることができる。図1の実施例1の下面側層も同じ組織であり、走行安定性と耐摩耗性に優れる。
そして、上面側表面は経糸が1本の上面側緯糸の上側、下側を交互に通る平織組織である。完全組織の中には接結経糸の組も配置されているが、経地糸接結糸が接結機能の他に上面側表面、下面側表面のいずれも構成するものであるため、上面側表面の平織組織を崩すこともなく表面性に優れた織物となる。また、走行中に張力の掛かる縦方向に接結糸が配置されているため、接結強度が強く内部摩耗の心配もない。
図3は本発明の実施例2の織物の意匠図である。図4は図3の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。この織物は接結比率、緯糸比率とも前実施例と同じであり、表面組織が異なる。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は朱子織組織である。上面側層、下面側層共に朱子織組織であるため斜め剛性は非常に強い。そして、接結経糸の組を構成する2本の経地糸接結糸は異なる組織であり、2本が協働して上面側表面に他の上面側経糸と同じ1/3組織を形成し、下面側表面には他の下面側経糸と同じ6/1−4/1組織を形成している。図4の2つの断面図からよくわかる。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の下面側緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
図5は本発明の実施例3の織物の意匠図である。図6は図5の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。この織物は接結比率、緯糸比率とも前実施例と同じであり、接結経糸の組が上面側経糸と経地糸接結糸から構成されている。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は平織組織である。そして接結経糸の組は上面側経糸と経地糸接結糸から構成されている。経地糸接結糸は下面側緯糸の下を通り、上下二層を織り合わせる機能と、上面側層と下面側層の組織の一部を構成する糸として機能している。つまり、経地糸接結糸は上面側経糸が通るべき上面側緯糸の上側を代わりに通って、上面側経糸と経地糸接結糸の2本が協働して上面側表面に上面側経糸1本分の組織を形成している。そして、下面側層では経地糸接結糸と下面側緯糸が織り合わされて構成されている。このようにして、上面側表面は実施例1と同じように表面平織組織、そして下面側表面に下面側緯糸ロングクリンプが形成される。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
図7は本発明の実施例4の織物の意匠図である。図8は図7の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。緯糸比率は前実施例と同じであるが、接結比率は2/12と少なくなっている。しかし、この程度であれば接結力は十分であり、上下層の緩み等は発生することはない。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は平織組織である。接結経糸の組を構成する2本の経地糸接結糸は同じ組織であり、2本が協働して上面側表面に他の上面側経糸と同じ平織組織を形成し、下面側表面には他の下面側経糸と同じ6/1−4/1組織を形成している。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
図9は本発明の実施例5の織物の意匠図である。図10は図9の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。この織物は接結比率、緯糸比率とも実施例3と同じであり、接結経糸の組が下面側経糸と経地糸接結糸から構成されている。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は綾織組織である。そして接結経糸の組は下面側経糸と経地糸接結糸から構成されている。経地糸接結糸は上面側緯糸の上側と下面側緯糸の下側を通り上下二層を織り合わせる機能と、上面側層と下面側層の組織の一部を構成する糸として機能している。つまり、経地糸接結糸は下面側経糸が通るべき下面側緯糸の下側を代わりに通って、下面側経糸と経地糸接結糸の2本が協働して下面側表面に下面側経糸1本分の組織を形成している。そして、上面側層では経地糸接結糸と上面側緯糸が織り合わされて構成されている。このようにして、上面側表面は実施例5と同じように表面綾織組織、そして下面側表面に下面側緯糸ロングクリンプが形成される。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
図11は本発明の実施例6の織物の意匠図である。図12は図11の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。接結比率は実施例1〜3と同様3/12であるが、緯糸比率が異なり2:1と下面側緯糸の配置比率が少なくなっている。しかし、本発明の織物には緯糸比率はどのようなものであってもよく、このような比率であっても効果については何ら変わらない。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は平織組織である。接結経糸の組を構成する2本の経地糸接結糸は異なる組織であり、2本が協働して上面側表面に他の上面側経糸と同じ平織組織を形成し、下面側表面には他の下面側経糸と同じ6/1−4/1組織を形成している。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
図13は本発明の実施例7の織物の意匠図である。図14は図13の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。この織物は接結比率、緯糸比率とも実施例6と同じで、接結経糸の組が上面側経糸と経地糸接結糸から構成されている。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は綾織組織である。そして接結経糸の組は上面側経糸と経地糸接結糸から構成されている。経地糸接結糸は下面側緯糸の下を通り、上下二層を織り合わせる機能と、上面側層と下面側層の組織の一部を構成する糸として機能している。つまり、経地糸接結糸は上面側経糸が通るべき上面側緯糸の上側を該上面側経糸の代わりに通って上面側表面組織を形成し、これら2本が協働して上面側経糸1本分の組織を形成している。そして、このようにして上面側表面には綾織組織、下面側表面には下面側緯糸ロングクリンプが形成される。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
図15は本発明の実施例8の織物の意匠図である。図16は図15の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。接結比率は実施例7と同様3/12であるが、緯糸比率が異なり4:3である。しかし、本発明の織物の緯糸比率はどのようなものであってもよく、本実施例のような比率であっても効果については何ら変わらない。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は朱子織組織である。接結経糸の組を構成する2本の経地糸接結糸は異なる組織であり、2本が協働して上面側表面に他の上面側経糸と同じ1/3組織を形成し、下面側表面には他の下面側経糸と同じ6/1−4/1組織を形成している。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
図17は本発明の実施例9の織物の意匠図である。図18は図17の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。接結比率は実施例7と同様3/12であるが、緯糸比率が異なり3:2である。しかし、本発明の織物の緯糸比率はどのようなものであってもよく、本実施例のような比率であっても効果については何ら変わらない。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は平織組織である。接結経糸の組を構成する2本の経地糸接結糸は異なる組織であり、2本が協働して上面側表面に他の上面側経糸と同じ平織組織を形成し、下 面側表面には他の下面側経糸と同じ6/1−4/1組織を形成している。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
図19は本発明の実施例9の織物の意匠図である。図20は図19の意匠図の接結経糸の組1と経糸の組2の断面図を示したものである。接結比率は実施例9と同様3/12で、緯糸比率も実施例8と同じで3:2である。
下面側表面を構成する経糸は、6/1−4/1組織であって、下面側緯糸は1/5組織であり、上面側表面は綾織組織である。接結経糸の組を構成する2本の経地糸接結糸は異なる組織であり、2本が協働して上面側表面に他の上面側経糸と同じ1/3組織を形成し、下面側表面には他の下面側経糸と同じ6/1−4/1組織を形成している。
前実施例同様に、下面側層の組織は4×4朱子織組織をベースとしているため、斜め剛性、走行安定性に優れ、しかも経糸5本分の緯糸ロングクリンプ組織であるため耐摩耗性に優れる。
1´〜36´ 上面側緯糸、下面側緯糸
Claims (5)
- 12本の上面側経糸と12本の下面側経糸を上下に配置した12組の経糸の組と、複数本の上面側緯糸と下面側緯糸から構成され、12組の経糸のうち少なくとも一本の経糸を上面側緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わされる経地糸接結糸とした接結経糸の組を1組以上配置した工業用二層織物において、
下面側経糸は連続する6本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで連続する4本の下面側緯糸の上側を通った後、1本の下面側緯糸の下側を通る組織であって、
下面側を構成する隣接する12本の経糸は下面側緯糸2本分、次いでその隣の経糸を下面側緯糸6本分と順にシフトして下面側層の完全組織を形成し、
下面側緯糸は連続する5本の下面側経糸の下側を通った後、1本の下面側経糸の上側を通り、次いで連続する5本の下面側経糸の下側を通った後、1本の下面側経糸の上側を通る組織としたことを特徴とする工業用二層織物。 - 接結経糸の組が、2本の経地糸接結糸、または1本の経地糸接結糸と1本の上面側経糸、または1本の経地糸接結糸と1本の下面側経糸から構成されており、これらの組を形成する2本の経糸が協働して上面側表面と下面側表面に、他の上面側経糸、下面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成していることを特徴とする、請求項1に記載された工業用二層織物。
- 上面側緯糸と織り合わされる上面側経糸と、下面側緯糸と織り合わされる下面側経糸が上下に配置された経糸の組と、上面側経糸と下面側経糸のうち少なくともどちらか一方が上面側緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わされる経地糸接結糸である接結経糸の組を、3:1の割合で配置したことを特徴とする、請求項1または2に記載された工業用二層織物。
- 上面側緯糸と下面側緯糸の配置本数の割合を1:1〜2:1としたことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された工業用二層織物。
- 上面側層の組織が平織、綾織、朱子織のいずれかとしたことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された工業用二層織物。
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