JP2007119873A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】60g/m以上のめっき付着量を有し、かつ、耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板を焼鈍した後、0.01〜0.30質量%のアルミニウムを含有する溶融亜鉛浴に浸漬してめっき処理を行い、さらにめっき層の合金化処理をζ相が主体となるように行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに際し、前記焼鈍前の鋼板表面に深さが1μm以上15μm以下の凹部を鋼板表面全体に対する面積率として20〜80%存在させ、更に厚さが5nm以上の鉄系酸化物層を形成させる。例えば、前記凹部と前記鉄系酸化物層は、酸化剤として過酸化水素と、酸として塩酸とを含有した酸性溶液に鋼板を接触させることで形成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、プレス成形などの加工時にパウダリングが生じにくい合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定的に製造する製造方法に関する。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、合金化処理を行わない亜鉛めっき鋼板と比較して溶接性および塗装性に優れることから、自動車車体用途を中心に広範な分野で広く利用されている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板に亜鉛めっきを施した後、加熱処理を行い、鋼板中のFeとめっき層中のZnが拡散する合金化反応が生じることにより、Fe−Zn合金相を形成させたものであるが、FeとZnの組成比により、ζ相、δ1相、Γ相などの金属間化合物がめっき皮膜中には形成される。中でも、めっき皮膜のFe濃度が高い場合には、めっき−鋼板界面に硬くて脆いΓ相が形成されやすく、加工時に、このΓ相を起点としてめっきが剥離する現象、いわゆるパウダリングが生じ易い問題を有している。
上記問題を解決する方法として、特許文献1には、Fe:8〜12%、Al:0.05〜0.25%、残部Znからなり、かつ地鉄界面のΓ相が1.0μm以下、めっき層表面にη、ζ相が存在しない目付量45〜90g/mの合金化溶融亜鉛めっき鋼板が提案されており、浴中有効Al量0.10%以下の溶融亜鉛めっき浴に、3秒好ましくは2秒以下で浸漬することにより、Fe−Al合金相を健全なまま合金化炉に導く方法が開示されている。
特許文献2には、溶融亜鉛めっきした鋼板に対して、加熱速度10℃/sec以上で合金化処理温度に昇温し、直ちにあるいはその温度で加熱保持した後、15℃/sec以上の速度で冷却する方法が開示されている。
特許文献3には、鋼板を溶融亜鉛めっき浴に通過させた後、30℃/sec以上の加熱速度で550〜700℃に急速加熱し、めっき層表面に液層が残存する状態から530℃以下に30℃/sec以上で急冷し、更に450〜530℃の温度範囲に保持する方法が開示されている。
一方で、近年、これまでよりも鋼板の防錆性向上に対する要求レベルが高くなってきており、このような要求を満足するためには、めっき付着量の増加が避けられなくなってきている。しかしながら、上記の技術を適用し、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の特性、すなわち溶接性や塗装性を維持したまま、めっき付着量の増加を行うと、合金化を完了させるためにさらなる鉄の拡散が必要となるため、めっき−鋼板界面にはより厚いΓ相の形成を避けられなくなる。また、実操業を考え、短時間で合金化しようとすると、高温での熱処理が必要となり、アウトバースト反応と呼ばれる「著しく速い鋼板粒界での鉄と亜鉛の合金化反応」が起こり、より合金化制御が難しくなり、耐パウダリング性の低下を招くことになる。
このような現状に対し、特許文献4には、表面に多数ピットを形成した鋼板を熱処理し、次いで溶融亜鉛めっきを施した後、加熱合金化処理することで、めっき層と鉄素地界面に生成するΓ相の密着性を確実かつ効果的に向上させる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献5には、深さd:1〜10μm、最表層における面積を円形に換算した場合の平均直径:100μm以下、全表面積に対する占積率:20%以下であり、周壁が鋼板表面の垂直面に対してなす角度:60°以下である凹部を表面に有し、さらに2μm以下の深さの凹凸を前記表面に有する冷延鋼板上に、合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有する耐衝撃密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。
しかしながら、上記先行技術をめっき付着量60g/m2以上の合金化溶融亜鉛めっき鋼板に適用した場合、必ずしも良好な耐パウダリング性を安定して得ることはできない。
特許平3−55544号公報 特開平2−170959号公報 特許平5−15779号公報 特開平3−285056号公報 特開平4−280953号公報
本発明は、かかる事情に鑑み、上記の問題点を改善し、60g/m以上のめっき付着量を有し、かつ、耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、まず、先行技術にめっき付着量60g/m2以上の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を適用した場合、必ずしも良好な耐パウダリング性を安定して得ることはできない、その原因について詳細な検討を行った。その結果、溶融亜鉛めっき処理時に健全なFe−Al抑制層の形成や、以降の加熱合金化処理時の熱サイクルの制御を行っても、付着量が多いがゆえに合金化を完了させるためのFe拡散量が増大し、必然的にめっき層と鉄素地界面にはΓ相が厚く生成するため、このΓ相が起点となり加工時のめっき剥離となること、またΓ相の密着性を向上させるために、めっき前の鋼板に凹凸を付与しても、付着量が増加するにつれて加工時の変形抵抗が増加し、凹凸によるめっき剥離抑制効果が得られなくなることが原因であることを見出した。
そして、さらに、本発明者らは、付着量60g/m以上の合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対して良好な耐パウダリング性を得るための皮膜構造について試行錯誤を繰り返した結果、めっき皮膜の大部分をζ相で構成し、さらに鋼板表面に適正な凹凸と鉄系酸化物層を形成することが耐パウダリング性に対して重要であることを見出した。また、このような皮膜構造は、めっき前の鋼板を、酸化剤を含有する酸性溶液に接触させ、鋼板表面に凹凸および鉄系酸化物層を形成した後に、溶融亜鉛めっき処理を行うことで得られることをも見出した。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]鋼板を焼鈍した後、0.01〜0.30質量%のアルミニウムを含有する溶融亜鉛浴に浸漬してめっき処理を行い、さらにめっき層の合金化処理をζ相が主体となるように行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記焼鈍前の鋼板表面に深さが1μm以上15μm以下の凹部が鋼板表面全体に対する面積率として20〜80%存在させ、更に厚さが5nm以上の鉄系酸化物層を形成することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[2]前記[1]において、酸化剤として過酸化水素と、酸として塩酸とを含有した酸性溶液に鋼板を接触させることにより、鋼板表面に前記凹部と前記鉄系酸化物層を形成させることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[3]前記[2]において、前記酸性溶液のpHが0〜5.0の範囲にあることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[4]前記[2]または[3]において、鋼板と酸性溶液の接触時間が1〜60秒の範囲にあることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、60g/m以上の付着量を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、プレス成形などの加工時にパウダリングが生じにくい合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、一般的に鋼板を焼鈍した後、微量のアルミニウムを含有する溶融亜鉛浴に浸漬してめっき処理を行い、さらにめっき層の合金化加熱処理を行うことで製造される。めっき層の合金化加熱処理を行うと、鋼板中のFeとめっき層中のZnが拡散する合金化反応が生じることにより、Fe−Zn合金相が形成されるが、このFe−Zn合金相は、通常、鉄素地界面からΓ相、δ相、ζ相から形成される。ここで、各Fe−Zn合金相のビッカース硬度は、Γ相>δ相>ζ相であり、硬度が高いほど脆い傾向にあることから、プレス成形などの加工時に、硬度の高いΓ相を起点にしてめっき剥離が生じる所謂パウダリングという現象が発生する。特に、鋼板に対する防錆性を確保するために、付着量を増加させると、Γ相の形成を避けることができないため、パウダリングという現象が発生しやすい。以上の点を考慮すると、厚目付けの合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、パウダリングを抑制するには、δおよびΓ相ではなく、鉄含有割合が最も低いζ相を主体とするめっき皮膜とすることが好ましいと言える。
めっき皮膜をζ相主体とするためには、溶融亜鉛浴に浸漬した際のFe−Zn合金相がζ相主体で形成されなければならないと考えられる。しかしながら、一般の溶融亜鉛めっき浴は、浴中でのFe−Zn合金反応を抑制するために、アルミニウムを含有する溶融亜鉛めっき浴を使用しており、加熱合金化処理過程において、浴中で形成されたFe−Al抑制層を破壊するのに十分な熱量をかける必要があり、その結果、鋼板の結晶粒界で生じるアウトバースト反応が合金化反応の主体となり、結果的にΓ相が多く形成されてしまう。一方、浴中でのFe−Zn合金反応を活性化するために、溶融亜鉛めっき浴中のアルミニウムの含有量を低下させる方法が考えられる。アルミニウムの含有量が低下することにより浴中でのFe−Zn合金反応を活性化し浴中で形成される合金相はζ相主体になり、本発明で目的とするような厚目付けの合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが可能となる。しかし、逆に、溶融亜鉛浴に浸漬した後のワイピングで付着量を制御することが困難になり、薄目付の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を同時に製造することができなくなり、上記方法は実用的でない。
そこで、以上の考察を基にさらに研究を進めた結果、現行のアルミニウムを含有する溶融亜鉛めっき浴において、浴中においてζ相を主体とするFe−Zn合金相を形成するには、焼鈍する前の鋼板表面に所定量の鉄系酸化物層を形成するとよいことがわかった。このメカニズムについては明確ではないが、次のように考えることができる。
一般的に、焼鈍する前の鋼板は、自然酸化レベルの鉄系酸化物や汚れにより覆われており、これらを加熱時に還元することで、めっき直前の鋼板表面が清浄になる。これに対して、鋼板に自然酸化レベルよりも厚い鉄系酸化物層を形成させると、加熱時に大半は還元されるものの、微量の酸化物層が表面に残存すると考えられる。このように微量の鉄系酸化物が残存した鋼板を、アルミニウムを含有するめっき浴に浸漬すると、アルミニウムは強力な還元力を有することから、微量の鉄系酸化物を還元するのに消費され、見かけ上、鋼板表面近傍では浴中のアルミニウム含有量が低下し、Fe−Al抑制層が形成されにくくなり、結果としてζ相が主体となる合金相が形成されると考えられる。
上記考えに基づくと、焼鈍前の鋼板に形成させる鉄系酸化物層の厚さは自然酸化膜厚みより厚いことが必要である。鉄系酸化物層の厚さが自然酸化膜厚である5nm未満であると、焼鈍が完了するまでに完全に鉄系酸化物の還元が完了してしまい、浴中においてζ相を主体とするFe−Zn合金相を形成することができなくなる。よって、焼鈍前の鋼板に鉄系酸化物層を形成するにあたって、その厚さは5nm以上とする。一方、鉄系酸化物層の厚さが極端に厚くなると、焼鈍後に残存する未還元酸化物が増加し、逆にめっきの濡れ性を損なう恐れがある。よって、鉄系酸化物層の厚さは200nm未満であることが望ましい。
以上のように、本発明においては、前記焼鈍前の鋼板表面に厚さが5nm以上鉄系酸化物層を形成した後、焼鈍を行い、めっき処理と合金化処理を行うこととする。これは本発明において、最も重要な要件であり、このように、焼鈍前の鋼板表面に鉄系酸化物層を形成することで、めっき皮膜をζ相主体とすることができる。
しかしながら、研究を進めていく中で、上記のように焼鈍前の鋼板表面に鉄系酸化物層を形成した場合でも、付着量の増加にともない、加工時の変形抵抗が増加し剥離が生じやすくなる傾向にあることがわかった。そして、その剥離を防止するためには、ζ相の密着性を向上させることが重要であり、鋼板表面に凹凸を形成することによりζ相の密着性が向上することをも見出した。そして、さらに、ζ相の密着性を向上させるためには、鋼板表面と凹部の高低差で定義する凹部の深さが1μm以上15μm以下であることが必要である。1μm未満ではζ相の密着性を向上させることができない。一方、15μmを超えると、めっき皮膜厚を均一にできず付着量の制御が困難になる。
また、鋼板表面における凹部の面積率は、鋼板表面全体に対して20〜80%の範囲にあることが好ましい。20%未満であると、ζ相の密着性の向上に寄与する凹凸が少ないためにパウダリングが抑制できない場合がある。一方、80%を超えると、凹凸の分布割合が多いためにめっき後の外観不良を招くためである。
以上より、本発明においては、焼鈍前の鋼板表面に厚さが5nm以上鉄系酸化物層を形成するに加え、深さが1μm以上15μm以下の凹部をも形成することとする。鉄系酸化物層の形成同様、深さが1μm以上15μm以下の凹部の形成も、本発明において重要な要件である。
酸化剤を含有する酸性溶液に焼鈍前の鋼板を接触させることで、焼鈍前の鋼板表面に深さが1μm以上15μm以下の凹部と厚さが5nmの以上の鉄系酸化物層を形成することができる。これは酸性溶液による鋼板のエッチングと酸化剤による表面の酸化が同時に生じるためである。
酸化剤としては、過酸化水素が好ましく、3wt.%以上含有することが望ましい。また、酸性溶液としては、塩酸が好ましい。これは、3wt.%未満の濃度であると、本発明で規定した鉄系酸化物量を生成することができないためである一方、濃度が増加すると鉄系酸化物量の制御が困難になるため、上限は10wt.%の濃度であることが望ましい。
また、酸性溶液のpHは0〜5.0の範囲が好ましい。これは、pHが5.0を超えると、鋼板表面をエッチングし凹凸を形成することができなくなる場合がある。一方、0未満では、鋼板の溶解が急激に進行し、凹凸の制御ができなくなる場合がある。酸性溶液の温度については特に限定はないが、20〜50℃の範囲にあることが望ましい。20℃未満であると酸性溶液と鋼板との反応性が低下してしまい、十分なエッチング効果が得られない場合がある。一方、50℃を越えると酸性溶液と鋼板が激しく反応し、やはり凹凸の制御が困難になる場合がある。
上記酸性溶液と鋼板との接触時間は1〜60秒の範囲が好ましい。1秒未満であると、鋼板表面に本発明で規定した凹凸と鉄系酸化物層が形成されない場合がある。一方、60秒を越える処理は製造ラインの長大化を招き、設備コストが増大する。
なお、本発明のめっき鋼板の溶融亜鉛めっきあるいは合金化溶融亜鉛めっき層中には、耐食性向上などを目的として、主元素であるZn、Fe、Alの他に、As、Bi、Cd、Ce、Co、Cr、In、La、Li、Mg、Mn、Ni、O、P、Pb、S、Sb、Sn、Ti、Zr等のうち1種または2種以上を含有させてもよく、これらを含有していても本発明の効果は損なわれない。
また、合金化処理過程においては、ガス加熱方式、誘導加熱方式、直接通電加熱方式などの方法を採用することができ、合金化加熱方式の相違によって本発明の効果に変わりはない。しかしながら、鋼板表面を優先的に加熱することにより鋼板の急速加熱が可能で、鋼板の表層における鉄と溶融亜鉛との反応を強制的に生じさせることのできる誘導加熱方式を用いるのが、生産性ならびに製造上の安定性の面から見て最も効果的である。
さらに、本発明に供する下地鋼板は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれでもよく、自動車、建材、電気、家電など、亜鉛めっき鋼板を使用する全ての用途に適用することができる。
一般の軟質系冷延鋼板(C:0.002%、Si:0.02%、Mn:0.2%、P:0.01%、S:0.01%、sol-Al:0.02%)を供試材とし、表1に示す条件にて、過酸化水素および塩酸の濃度を変化させた酸性溶液に浸漬した後、水洗、乾燥させた。この際、溶液の温度、pH、ならびに浸漬時間を変化させ、鋼板表面の凹凸の形状と分布ならびに鉄系酸化物層の厚さを変化させた。次いで、これらの鋼板を溶融亜鉛めっきシミュレーターにより焼鈍しめっき処理を行った。めっき処理を行うに際しては、焼鈍雰囲気を10%H2−N2(露点−40℃)とし、焼鈍温度は850℃、焼鈍時間は60秒とし、アルミニウムを0.12%含む460℃の亜鉛めっき浴を用いて、侵入板温460℃、浸漬時間3秒で実施した。さらに亜鉛付着量は片面当たり90g/m2に調整した。さらに、めっき処理後のサンプルに対して、誘導加熱装置により、400℃〜500℃で10〜90秒の合金化処理を行った。
また、以上のように作製した硫酸酸性溶液に浸漬した後の供試材については、表面の凹部の深さおよび面積率と鉄系酸化物の厚さの測定を行った。めっき・合金化処理後の教示材については、皮膜中のFe濃度をICP(誘導プラズマ発光分析)法により測定するとともに、ドロービード試験によるパウダリング性評価を行った。
以下に、表面の凹部の深さ・面積率、鉄系酸化物の厚さの測定方法、ならびにパウダリング性評価方法を示す。
(1)鋼板表面の凹部深さおよび面積率
酸性溶液に浸漬した後の供試材の表面を走査型電子顕微鏡により観察し、500倍の表面観察写真において、酸性溶液処理により形成した凹部を黒色でマーキングを施し、画像処理の際、このマーキングした部分がカウントされるよう二値化し、写真全体における黒色部(凹部)の面積率を算出した。また、1500倍の断面観察写真において、鋼板表面長さ500μmの範囲で鋼板表面と凹部の底面との差の最大値を凹部深さとして評価を行った。凹部深さが1μm以上15μm以下である凹部の直線長さと、1μm未満および15μm超の凹部の長さをそれぞれ合計し、凹部全体の中で1μm以上15μm以下である凹部の割合を求め、これを表面観察写真から求めた面積率に乗じて、1μm以上15μm以下の凹部の鋼板表面全体に対する面積率とした。断面観察は供試材1個に対して5箇所行い、その平均値を求めた。
(2)鉄系酸化物の厚さの測定
硫酸酸性溶液に浸漬したサンプルに対して、オージェ電子分光(AES)により各元素(Fe、O)の含有率(at%)を測定し、引き続いて所定の深さまでArスパッタリングした後、AESにより各元素(Fe、O)の含有率の測定を行い、これを繰り返すことにより、深さ方向の各元素(Fe、O)の組成分布を測定した。酸化物に起因するOの含有率はある深さで最大となった後、減少し一定となる。Oの含有率が、最大値より深い位置で、最大値と一定値との和の1/2となる深さを、酸化物の厚さとした。なお、予備処理として30秒のArスパッタリングを行って、供試材表面のコンタミネーションレイヤーを除去した。
(3)パウダリング性評価(ドロービード試験)
パウダリング性を評価するために、合金化まで施した後の試料について、以下のように評価した。
図3は、ドロービード試験機を示す概略正面図である。まず、30mm幅×220mm長さの試験片3の非対象面のめっき皮膜を希塩酸により溶解剥離した。次いで、この試験片3を脱脂し、その重量を測定した。次いで試験片3をドロービード試験機のビード1とダイ2との間に装着し、油圧装置5によって圧力P=500kgでダイ2を試験片3を介してビード1に押し付けた。押付荷重Pは、ロードセル4によって測定した。次に、このようにビード1とダイ2との間に挟まれた試験片3を、引抜速度V=200mm/分で、上方に引き抜いた。このとき使用した潤滑油は、日本パーカライジング(株)製「ノックスラスト550HN」であり、これを試験片3の表面に塗布した。次いで、試験片3を脱脂し、測定対象面にテープを貼り付け、これを剥離し、再度脱脂し、次いで重量を測定し、試験前後での重量差から剥離量を求めた。そして、剥離量が10g/m未満のものを耐パウダリング性を「良好(○)」と評価し、剥離量が10g/m以上のものを耐パウダリング性が「劣る(×)」と評価した。
以上より得られた試験結果を表1に示す。なお、表1において、※1における耐パウダリング性(亜鉛付着量70〜90g/m2に対して)は、○を良好(10g/m2以下)、×を不良(10g/m2以上)とした。
表1に示す試験結果から下記事項が明らかとなった。
本発明例では、過酸化水素の酸化剤に塩酸を含有することで耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得らえる。
一方、No2〜9(比較例2〜9)では、酸化剤のみの焼鈍前処理液のため、所望の凹凸および鉄系酸化物層を付与することができず、耐パウダリング性が劣っている。
No13(比較例10)、21(比較例11)、23〜25(比較例12〜14)、27〜29(比較例15〜17)では、いずれも凹部深さが15μm以上であり、かつ、凹部面積率も80%を超えており、めっき外観を損ねてしまい、かつ、耐パウダリング性を劣化させてしまい、耐パウダリング性が不良となっている。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、加工時にパウダリングなどによるめっき剥離を生じにくいことから、自動車車体用途を中心に耐食性が要求される広範な範囲で適用可能である。
走査型電子顕微鏡により観察した、500倍の表面観察写真である。(実施例1) 走査型電子顕微鏡により観察し、1500倍の断面観察写真である。(実施例1) ドロービード試験機を示す概略正面図である。(実施例1)
符号の説明
1 ビード
2 ダイ
3 試験片
4 ロードセル
5 油圧装置
P 押付荷重

Claims (4)

  1. 鋼板を焼鈍した後、0.01〜0.30質量%のアルミニウムを含有する溶融亜鉛浴に浸漬してめっき処理を行い、さらにめっき層の合金化処理をζ相が主体となるように行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記焼鈍前の鋼板表面に深さが1μm以上15μm以下の凹部を鋼板表面全体に対する面積率として20〜80%存在させ、更に厚さが5nm以上の鉄系酸化物層を形成することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 酸化剤として過酸化水素と、酸として塩酸とを含有した酸性溶液に鋼板を接触させることにより、鋼板表面に前記凹部と前記鉄系酸化物層を形成させることを特徴とする請求項1に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記酸性溶液のpHが0〜5.0の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 鋼板と酸性溶液の接触時間が1〜60秒の範囲にあることを特徴とする請求項2または3に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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