以下、本発明の第1の実施の形態の電気掃除機の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
図5において、1は掃除機本体であり、この掃除機本体1は床面を走行可能な、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。また、この掃除機本体1は、下部ケース2と、この下部ケース2の上側の後部を覆うとともに前部を枠状に囲む上部ケース3と、この上部ケース3に後部側が回動可能に連結された蓋ケース4とを備えた本体ケース5を有し、この本体ケース5内には、後側に電動送風機6が収容される電動送風機室7が区画され、この電動送風機室7の前側に、塵埃付着体としての集塵フィルタ8が着脱可能で蓋ケース4の回動により上側が開閉される集塵室9が区画されている。
また、本体ケース5内の前側下部には、集塵室9に連通する本体吸込口としてのホース接続口11が開口形成され、このホース接続口11には、集塵ホース12、この集塵ホース12の上流端に設けられた手元操作管13に着脱自在に接続される延長管14、および、この延長管14の先端部に着脱自在に接続される吸込口体15が、順次連通接続されている。さらに、手元操作管13には、操作部16が設けられており、この操作部16には、電動送風機6の動作モードを設定する複数の操作スイッチ17が設けられている。
集塵フィルタ8は、例えば紙パックフィルタ、あるいは布製のパックフィルタなどの使い捨てのものであり、図1ないし図3に示すように、被取付部としての口枠21と、この口枠21が一体的に取り付けられる袋体22とを備えている。なお、図1ないし図3においては、上側が前側、下側が後側を示す。
口枠21は、集塵フィルタ8を集塵室9に取り付ける際に、この集塵室9の前部でホース接続口11(図5)の上部に設けられた被取付部25に嵌着固定され、この被取付部25の両側に突設されたリブ26,26間に配設されるもので、例えばボール紙などの厚紙により四角形状に形成され、中央部に図示しない吸込開口が穿設され、袋体22に一体的に接着されている。そして、吸込開口は、集塵フィルタ8を集塵室9に取り付けた際にホース接続口11(図5)に気密に連結されることで、電動送風機6(図5)の駆動により空気とともに吸い込まれた塵埃を集塵フィルタ8内に導入するものである。
袋体22は、例えばパルプと合成繊維とで形成された不織布などの通気性素材を複数層重ねて形成されたシートを袋状に折り畳んで形成され、活性炭などの消臭剤(脱臭剤)が含まれている。そして、この袋体22は、電動送風機6(図5)の駆動により吸込風が吸い込まれて後側へと膨らみ、この吸込風が通過する際に、この吸込風に含まれる塵埃が付着する部分である。
集塵室9の後部には、この集塵室9と電動送風機室7とを区画する壁部28が設けられ、この壁部28の前側、すなわち集塵室9側には、叩打装置としてのフィルタ部であるフィルタ枠29が取り付けられている。
壁部28には、電動送風機室7と集塵室9とを連通させる図示しない孔部が格子状に穿設され、これら孔部全体を覆うように電動送風機室7側にスポンジ状のフィルタが取り付けられている。
また、フィルタ枠29は、壁部28の孔部全体を覆うように形成され、図4に示すように、正面視で横長四角形枠状の枠体31と、この枠体31に着脱可能なフィルタ本体32とを有し、図1ないし図3に示すように、このフィルタ枠29を前側である集塵室9側へと突出するように付勢する付勢手段としてのコイルスプリング33が壁部28との間に配設されている。
図4に示すように、枠体31は、上下両端にそれぞれ位置してフィルタ本体32の上下両端を囲む端部枠34,34と、左右両側にそれぞれ位置してフィルタ本体32の左右両側を囲む側部枠35,35とを備え、両端部枠34,34の前端部間および両側部枠35,35の前端部間に亘って格子状の格子リブ36が設けられ、この格子リブ36の間に、フィルタ本体32が臨む通気口37が形成されている。したがって、この枠体31は、後部が開放されている。さらに、両側部枠35,35のそれぞれには、突出係合部としての規制リブ38,38がそれぞれ側方に突設されている。
これら規制リブ38,38は、図1ないし図3に示すように、フィルタ枠29の前方向への突出を規制するもので、平面視で突出先端が鋭角状となる三角形状に形成され、フィルタ枠29が前側に突出した状態で、集塵室9の内側の両側から幅方向中心側へと突設された一時係止部としての保持手段である引っ掛かりリブ41,41に当接可能となっている。
ここで、引っ掛かりリブ41,41は、コイルスプリング33の付勢により前側に突出するフィルタ枠29を一時的に係止することで、これら引っ掛かりリブ41,41を規制リブ38,38が乗り越えたフィルタ枠29が前側へと勢いよく突出するようにするもので、規制リブ38,38と同様に、平面視で突出先端が鋭角状となる三角形状に形成されている。なお、これら引っ掛かりリブ41,41は、フィルタ枠29を一時的に係止可能であれば、三角形状に限定されるものではない。
また、集塵室9の引っ掛かりリブ41,41の前方には、コイルスプリング33の付勢により前側に突出するフィルタ枠29の前側への移動を規制するストッパ42,42が設けられている。これらストッパ42,42は、突出先端側が引っ掛かりリブ41,41の突出先端よりも幅方向の中心側に位置し、枠体31の両側部枠35,35の前部に当接可能に設けられている。したがって、枠体31の両側部枠35,35の前部からこれらストッパ42,42までの前後方向距離が、フィルタ枠29の前後方向への移動ストロークに設定されている。さらに、これらストッパ42,42は、通気により膨らんだ袋体22の後端部よりも前側の位置に設けられている。このため、フィルタ枠29は、枠体31の両側部枠35,35の前部がストッパ42,42に当接する状態まで前側に突出した状態で、前面が集塵フィルタ8の袋体22の後端部に衝突するように構成されている。
なお、引っ掛かりリブ41,41を設ける位置は、コイルスプリング33による付勢力およびフィルタ枠29を袋体22の後端部に衝突させる強度などに応じて適宜設定される。
一方、フィルタ本体32は、集塵フィルタ8の袋体22で捕集しなかった微細な塵埃、すなわち微細塵を付着させて捕集する、いわゆるHEPAフィルタであり、平面視で前後に交互に突出するように左右に連続するプリーツ状に形成され、枠体31の後部からこの枠体31に嵌着されている。また、フィルタ本体32の後部すなわち背面には、コイルスプリング33が取り付けられる背面枠44が取り付けられている。また、フィルタ本体32および背面枠44を合わせた前後方向への厚み寸法は、枠体31の両端部枠34,34および両側部枠35,35の前後寸法よりも小さく形成されている。このため、フィルタ本体32の後部には、両端部枠34,34および両側部枠35,35の後端部との間に、前後方向に空間部45が形成されている。
そして、この空間部45には、後部ストッパ部47が壁部28から前方へと突設され、この後部ストッパ部47の前端部には、フィルタ本体32の両端部枠34,34および両側部枠35,35の内側面と当接するシールパッキン48,48が設けられている。
後部ストッパ部47は、壁部28の孔部の外周全体を覆うように設けられている。
また、シールパッキン48は、壁部28の孔部とフィルタ枠29の両端部枠34,34および両側部枠35,35との隙間を閉塞するもので、例えばゴム、あるいはエラストマなどにより後部ストッパ部47の前端部に沿って枠状に形成されている。さらに、このシールパッキン48は、フィルタ枠29の前後方向への移動ストローク全体において両端部枠34,34および両側部枠35,35の内側面と摺接するように設けられている。
そして、コイルスプリング33は、壁部28との間に配設されている。そして、このコイルスプリング33の付勢力は、電動送風機6(図5)の負圧による吸引力よりも小さく、かつ、規制リブ38,38と引っ掛かりリブ41,41との係止力よりも大きく設定されている。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
まず、本体ケース5の蓋ケース4を開け、集塵室9の被取付部25に集塵フィルタ8の口枠21を嵌着して吸込開口をホース接続口11に連通させるとともに、袋体22を集塵室9内に収容して、蓋ケース4を閉じる。
このとき、フィルタ枠29は、枠体31の両側部枠35,35の前部がストッパ42,42に当接し、コイルスプリング33が最大に伸びた状態となって集塵室9内に突出している。
次いで、ホース接続口11に集塵ホース12の基端を連通接続させるとともに、先端に吸込口体15が連通接続された延長管14の基端を、集塵ホース12の手元操作管13の先端部に連通接続させる。
この後、手元操作管13の操作部16を把持しつつ、この操作部16の所定の操作スイッチ17をオンして本体ケース5内の電動送風機6を駆動させる。
そして、作業者は操作部16を把持し、吸込口体15を前後方向に向けて操作して掃除する。
このとき、電動送風機6の駆動により、空気がフィルタ枠29の通気口37、壁部28の孔部を通過して電動送風機6へと吸い込まれて集塵室9内が負圧となり、図1に示すように、この負圧によりフィルタ枠29がコイルスプリング33の付勢力に抗して後側すなわち壁部28側へと引き付けられるとともに、床面上の塵埃が吸込口体15(図5)から空気とともに吸い込まれる。
この吸込口体15から吸い込まれた空気は吸込風となり、塵埃とともに延長管14、手元操作管13、集塵ホース12およびホース接続口11を経由して本体ケース5内に流入する。
そして、本体ケース5内に流入した吸込風は、集塵室9の集塵フィルタ8内へと、口枠21の吸込開口から袋体22内へと導入され、複数層の通気性素材を順次内側から外側へと通過し、塵埃が袋体22に付着して捕集される。
さらに、塵埃が捕集された吸込風は、フィルタ枠29のフィルタ本体32により、微細塵が捕集された後、電動送風機6を通過して排気風となり、図示しない排気孔から本体ケース5の外部に排気される。
この後、作業者が操作スイッチ17により電動送風機6の駆動を停止させると、集塵室9内の圧力が次第に上昇することで、図2に示すように、規制リブ38,38が引っ掛かりリブ41,41へと係止されるまで、コイルスプリング33の付勢力によりフィルタ枠29が前側へと突出し、集塵室9内の圧力が所定圧まで復帰すると、図3に示すように、規制リブ38,38が引っ掛かりリブ41,41を乗り越えてフィルタ枠29が所定位置に復帰し、集塵フィルタ8の袋体22の後部に勢いよく衝突して、この袋体22に付着した塵埃をこの袋体22内に叩き落とす。
また、集塵フィルタ8に塵埃がいっぱいに溜まった際には、蓋ケース4を開けて集塵フィルタ8を集塵室9から取り外して廃棄した後、新たな集塵フィルタ8を集塵室9に装着して蓋ケース4を閉じ、電気掃除機を再度駆動させる。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、電動送風機6を駆動させた状態でコイルスプリング33の付勢に抗して引き付けられたフィルタ枠29が、電動送風機6を停止させた状態で所定位置に復帰して集塵フィルタ8の袋体22を叩くことで、電動送風機6の駆動およびこの駆動の停止のみで、集塵フィルタ8で捕集しこの集塵フィルタ8に付着した塵埃を、フィルタ枠29により容易かつ確実に叩き落とすことができる。
すなわち、電気掃除機において、集塵フィルタ8は集塵室9の一定の位置に固定されるため、電動送風機6の駆動による吸込風が集塵フィルタ8の袋体22の一定の位置ばかりを通過し易く、この吸込風が通過する位置のみに集中的に塵埃が付着して、集塵フィルタ8の集塵容量は残っているにも拘らず、袋体22が目詰まりを起こして塵埃の吸込力が低下することがあるので、上記第1の実施の形態のように集塵フィルタ8を叩いて袋体22に付着した塵埃を落とすことで、集塵フィルタ8の早期の目詰まりを防止でき、集塵フィルタ8を集塵容量一杯まで使用できる。
この結果、集塵フィルタ8の煩雑な交換の頻度なども低下して、電気掃除機の使い勝手が向上するとともに、使用コストをも低減できる。
特に、ホース接続口11から電動送風機6へと吸い込まれる際に最も集中的に通過して塵埃が最も付着し易い袋体22の位置、本実施の形態ではホース接続口11と電動送風機6の吸込側とを結ぶ直線と袋体22との交差位置、言い換えると袋体22の後部に、吸込風の流れの下流側である後側からフィルタ枠29が衝突することで、集塵フィルタ8の袋体22の目詰まりを、より効果的に防止できる。
また、集塵フィルタ8の袋体22に付着した塵埃を叩き落とす叩打装置として、電動送風機室7と集塵室9との間に配設されたフィルタ枠29を用いることで、叩打装置を別個に設ける場合と比較して、限られた集塵室9の空間内での集塵フィルタ8の塵落としが可能になり、構成を簡略化できるとともに、このフィルタ枠29のフィルタ本体32に付着した塵埃をも、袋体22とフィルタ枠29との衝突の際の衝撃によって叩き落とすことが可能になる。
なお、このようにフィルタ枠29のフィルタ本体32から叩き落とされた塵埃は、集塵室9内に落ち、電動送風機6の再駆動の際には、フィルタ本体32に再付着するものの、フィルタ本体32の同じ箇所に付着し続ける場合よりも、フィルタ本体32の塵埃付着能力を確実に回復させることができる。
さらに、フィルタ枠29が復帰した際に枠体31の両側部枠35,35の前部が当接するストッパ42,42を設けることにより、フィルタ枠29が袋体22に付着した塵埃を叩き落とす際に、フィルタ枠29が付勢の勢いで袋体22を必要以上に押し潰してしまうことを確実に防止できるとともに、枠体31の両側部枠35,35の前部がストッパ42,42に当接する際の衝撃により、フィルタ本体32に付着した塵埃を確実に叩き落とすことができる。
そして、ストッパ42,42が、フィルタ枠29が所定の位置よりも前方に突出しないようにこのフィルタ枠29を押さえることにより、集塵フィルタ8を集塵室9から取り外したり、新たな集塵フィルタ8を集塵室9に取り付けたりする際に、フィルタ枠29が邪魔になることもない。
また、フィルタ枠29がコイルスプリング33の付勢力により復帰する際に、規制リブ38,38が一旦係止される引っ掛かりリブ41,41を集塵室9に設けることにより、この係止状態から集塵室9内の圧力が所定圧に達した際にこの係止状態が解除されて勢いよく袋体22に衝突するため、フィルタ枠29が袋体22に衝突する衝撃を大きくでき、袋体22に付着した塵埃を、確実に叩き落とすことができるとともに、枠体31の両側部枠35,35の前部がストッパ42,42に衝突する際の衝撃をも大きくできるので、フィルタ本体32に付着した塵埃を、より確実に叩き落とすことができる。
さらに、シールパッキン48を設けることにより、フィルタ枠29が復帰した状態から電動送風機6を駆動させた際に、空気が抜けてしまうことがなく、フィルタ枠29に負圧が確実に作用して、フィルタ枠29を電動送風機6側に確実に引き付けることができる。
なお、上記第1の実施の形態において、規制リブ38,38は、例えばフィルタ枠29の枠体31の両端部枠34,34など、フィルタ枠29の任意の位置に設ける構成としてもよく、その形状などは、引っ掛かりリブ41,41に一時的に係止される構成であれば、任意に設定できる。
また、フィルタ枠29を集塵フィルタ8側に突出させる付勢手段としては、コイルスプリング33以外の任意の構成を適用できる。
さらに、フィルタ枠29以外でも、例えば単なる格子状の枠など、電動送風機6の駆動により付勢に抗して引き付けられ電動送風機6の停止により復帰して集塵フィルタ8を叩く任意の叩打装置とすることが可能である。
次に、第2の実施の形態を図6ないし図9を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施の形態の電気掃除機は、図9に示すように、上記第1の実施の形態の集塵フィルタ8に代えて、集塵室9に集塵装置としての集塵カップ51が着脱可能となっている。
この集塵カップ51は、図6ないし図8に示すように、集塵室9に着脱される本体部としてのカップ本体52と、このカップ本体52内に設けられた塵埃分離収容部53と、この塵埃分離収容部53の下流側であるカップ本体52の後部に着脱可能に設けられた塵埃付着体としてのフィルタ体であるプリーツフィルタ54とを備えている。なお、図6ないし図8においては、上側が前側、下側が後側を示す。
カップ本体52は、集塵室9に取り付けた状態でホース接続口11(図9)の下流側に接続される図示しないカップ吸込口が前側に開口形成され、プリーツフィルタ54が着脱されカップ吸込口から吸い込まれた空気が電動送風機6(図9)側へと通過する排気口57が後側に開口形成されているとともに、図示しないカップ蓋体により開閉される塵埃廃棄開口が下端側に開口形成されている。また、このカップ本体52の排気口57の両側部は、集塵室9内の両側部から幅方向中心側へと突設された位置決めリブ58に当接することで、集塵室9内での幅方向位置が規制されている。
塵埃分離収容部53は、カップ吸込口から空気とともに吸い込んだ塵埃の中で、比較的大きい塵埃、すなわち粗塵を、この空気から分離して収容する部分であり、例えばサイクロン分離、あるいは慣性分離などが可能な構成を有している。また、この塵埃分離収容部53の下部は、塵埃廃棄開口に連通し、カップ蓋体によりこの塵埃廃棄開口を開けることで、収容した塵埃を塵埃廃棄開口から廃棄可能となっている。
そして、プリーツフィルタ54は、塵埃分離収容部53で分離および収容しなかった微細な塵埃すなわち細塵を付着して捕集するもので、幅方向に亘って前後に交互にプリーツ状に形成されたフィルタであり、周囲が枠状のプリーツフィルタ枠59により保持され、このプリーツフィルタ枠59とともにカップ本体52の排気口57に後側から前側へと挿入されて取り付け可能であり、このプリーツフィルタ54をプリーツフィルタ枠59とともに取り付けた集塵カップ51を集塵室9に取り付けた状態で、後側が電動送風機室7に対向する。
また、集塵室9内には、集塵カップ51の後部かつ壁部28の前部に、プリーツフィルタ54を叩く叩打装置61が設けられている。
この叩打装置61は、叩打体としての塵落とし体63,63と、これら塵落とし体63,63をそれぞれ図6ないし図8に示す矢印D方向、すなわち前方向、換言すればプリーツフィルタ54側へと付勢する付勢手段としてのコイルスプリング64,64と、塵落とし体63,63を一時的に係止可能な一時係止部としての保持手段である引っ掛かりリブ65,65と、これら引っ掛かりリブ65,65の後方に位置するストッパ66,66とを有している。
塵落とし体63,63は、集塵室9内において図6ないし図8に示す左右両側に配設され、プリーツフィルタ54の後部に対向している。
コイルスプリング64,64は、壁部28から前方に突設され、その付勢力が、電動送風機6(図9)の負圧による吸引力よりも小さく、かつ、塵落とし体63,63と引っ掛かりリブ65,65との係止力よりも大きく設定されている。
また、引っ掛かりリブ65,65は、上記第1の実施の形態の引っ掛かりリブ41と同様に、塵落とし体63,63を一時的に係止することで、これら引っ掛かりリブ65,65を塵落とし体63,63が乗り越えることで塵落とし体63,63を前側へと勢いよく突出させる作用を有するもので、壁部28の両側近傍から前方に突設された前方壁部68,68から幅方向中心側へと突設され、この突出先端が鋭角状となる三角形状に形成されている。なお、これら引っ掛かりリブ65,65も、上記第1の実施の形態の引っ掛かりリブ41と同様に、塵落とし体63,63のそれぞれを一時的に係止可能であれば、三角形状に限定されるものではない。
ストッパ66,66は、電動送風機6(図9)の負圧による吸引力により塵落とし体63,63が壁部28側へと過剰に引き付けられることでコイルスプリング64,64が最縮長よりも縮んでしまうことを防止するスプリング支持部となるものであり、前方壁部68,68からそれぞれ幅方向中心側へと突設され、壁部28から後部までの前後方向距離が、コイルスプリング64,64の最縮長よりも長く形成されている。このため、塵落とし体63,63がストッパ66,66の前部に当接した状態とプリーツフィルタ54の後部に当接した状態との間で、塵落とし体63,63がスライド可能に設定されている。なお、これらストッパ66,66は、必ずしも設けなければならないものではない。
また、前方壁部68,68は、前端部が、集塵室9に装着された集塵カップ51のカップ本体52の後端部にそれぞれ当接し、排気口57の下流側と電動送風機室7に収容された電動送風機6(図9)の吸込側とを気密に接続可能である。
次に、上記第2の実施の形態の動作を説明する。
まず、本体ケース5の蓋ケース4を開け、集塵室9に集塵カップ51を装着してカップ吸込口をホース接続口11に連通させ、蓋ケース4を閉じる。
このとき、塵落とし体63,63は、コイルスプリング64,64が最大に伸びた状態となって集塵室9内に突出している。
次いで、ホース接続口11に集塵ホース12、延長管14および吸込口体15を順次連通接続した後、手元操作管13の操作部16を把持しつつ、この操作部16の所定の操作スイッチ17をオンして本体ケース5内の電動送風機6を駆動させ、操作部16を把持し、吸込口体15を前後方向に向けて操作して掃除する。
このとき、電動送風機6の駆動により、空気が集塵カップ51、塵落とし体63,63の間、壁部28の孔部を順次通過して電動送風機6へと吸い込まれて集塵室9内が負圧となり、図6に示すように、この負圧により各塵落とし体63,63が、コイルスプリング64,64の付勢力に抗して壁部28側へと引き付けられるとともに、床面上の塵埃が吸込口体15(図9)から空気とともに吸い込まれる。
この吸込口体15から吸い込まれた空気は吸込風となり、塵埃とともに延長管14、手元操作管13、集塵ホース12およびホース接続口11を経由して本体ケース5内に流入する。
そして、本体ケース5内に流入した吸込風は、集塵室9の集塵カップ51内へと、カップ吸込口から導入され、塵埃分離収容部53にて粗塵が吸込風から分離されて捕集され、収容される。
さらに、塵埃が捕集された吸込風は、プリーツフィルタ54により細塵が捕集された後、電動送風機6を通過して排気風となり、図示しない排気孔から本体ケース5の外部に排気される。
この後、作業者が操作スイッチ17により電動送風機6の駆動を停止させると、集塵室9内の圧力が次第に上昇することで、図7に示すように、塵落とし体63,63の側部が引っ掛かりリブ65,65へと係止されるまで、コイルスプリング64,64の付勢力により前側へと突出し、集塵室9内の圧力が所定圧まで復帰すると、図8に示すように、塵落とし体63,63が引っ掛かりリブ65,65を乗り越えて所定位置に復帰し、プリーツフィルタ54の後部に勢いよく衝突して、このプリーツフィルタ54に付着した塵埃をカップ本体52の塵埃分離収容部53内に叩き落とす。
また、塵埃分離収容部53に塵埃がいっぱいに溜まった際には、蓋ケース4を開けて集塵カップ51を集塵室9から取り外し、カップ蓋体を開けて塵埃廃棄開口からカップ本体52内に収容した塵埃を廃棄した後、カップ蓋体を閉じて、集塵室9に再装着して蓋ケース4を閉じ、電気掃除機を再度駆動させる。
上述したように、上記第2の実施の形態によれば、電動送風機6を駆動させた状態で付勢に抗して引き付けられた叩打装置61の塵落とし体63,63が、電動送風機6を停止させた状態で所定位置に復帰してプリーツフィルタ54を叩くことで、電動送風機6の駆動およびこの駆動の停止のみで、プリーツフィルタ54で捕集しこのプリーツフィルタ54に付着した塵埃を叩打装置61により容易かつ確実に叩き落とすことができる。
また、プリーツフィルタ54に付着した塵埃を、電気掃除機の操作を終了する毎に叩き落とすので、電動送風機6の吸引力を持続させることが可能になる。
さらに、プリーツフィルタ54から叩き落とされた塵埃は、集塵カップ51の塵埃分離収容部53に収容されるので、電気掃除機の操作終了後に集塵カップ51にて捕集した塵埃を廃棄する際にプリーツフィルタ54に付着していた塵埃も一緒に廃棄でき、作業性および使い勝手が向上する。
そして、塵落とし体63,63がコイルスプリング64,64の付勢力により復帰する際に一旦係止される引っ掛かりリブ65,65を集塵室9に設けることにより、この係止状態から集塵室9内の圧力が所定圧に達した際にこの係止状態が解除され、すなわち塵落とし体63,63が引っ掛かりリブ65,65を乗り越えて勢いよくプリーツフィルタ54に衝突するため、塵落とし体63,63がプリーツフィルタ54に衝突する衝撃を大きくでき、プリーツフィルタ54に付着した塵埃を、確実に叩き落とすことができる。
なお、上記第2の実施の形態において、叩打装置61は、電動送風機6の駆動により付勢に抗して引き付けられ電動送風機6の停止により復帰して集塵フィルタ8を叩く任意の構成とすることが可能であり、例えば上記第1の実施の形態のフィルタ枠29などを適用してもよい。
また、プリーツフィルタ54は、集塵カップ51の下流側に取り付けるものだけなく、例えば、主にこのプリーツフィルタ54に塵埃を付着させることで塵埃と空気とを分離するもの、あるいは、上記第1の実施の形態の集塵フィルタ8などの下流側に取り付けるものなどでもよい。このように集塵フィルタ8などの下流側にプリーツフィルタ54を取り付ける電気掃除機に適用する場合には、集塵フィルタ8用とプリーツフィルタ54用とにそれぞれ叩打装置61を設けることも可能である。
さらに、塵落とし体63,63をプリーツフィルタ54側に突出させる付勢手段としては、コイルスプリング64,64以外の任意の構成を適用できる。
そして、電気掃除機としては、キャニスタ型に限らず、例えば自走式の電気掃除機などでもよく、また、例えば吸込口体15が掃除機本体1の下面に直接形成されたアップライト型、あるいはハンディ型などであっても対応させて用いることができる。