以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明の図面中、従来の技術と対応する部分には同一符号を付けて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係わる変電機器保護制御システムの第1の実施形態を示すシステム構成図である。
図1において、1は変電所等電気所の制御本館を示し、その内部には図示しない遠方制御所との情報の中継を行う遠方監視制御装置2と変電所全体の監視制御を行う集中監視制御装置3から構成される監視制御装置4を設置している。
そしてこれら遠方監視制御装置2および集中監視制御装置3はステーションバス7により結合されると共に、後述する変電機器ユニット20−1〜20−n内の保護制御ユニット(図中PCUと表示する)23−1と結合するように構成されている。保護制御ユニット23−1は回線制御ユニット21−1と保護ユニット22−1から構成され、より詳細には、回線制御ユニット21−1と保護ユニット22−1がそれぞれステーションバス7に接続している。
変電機器ユニット20−1〜20−nはそれぞれ変電所内で送電線の回線単位もしくは図示していない母線連絡回線、母線区分回線、もしくは図示していない変圧器回線の1次、2次、3次側などに設置されており、以下述べるような変電機器本体(主回路機器とも言う)、電気量検出器としての計器用変成器およびその他各種要素から構成されている。
本実施の形態では変電機器本体として、ガス絶縁開閉装置(GIS)の送電線回線を例示して説明する。なお、変電機器ユニットの構成は各回線とも類似の構成なので、変電機器ユニット20−1を用いて当該構成を説明し、他のユニットの説明を省略する。
変電機器本体は、母線24、遮断器、断路器、接地開閉器等の開閉器25および送電線26から構成されている。この各変電機器本体に流れる交流電流および印加されている交流電圧は所定の部位に設置された計器用変成器(または電気量検出器と呼ぶ)27により抽出され、この抽出されたアナログ電気量はセンサーユニット(図中、SUと表示する)28に入力されてアナログ/ディジタル変換された後、ディジタルデータとして出力される。
このセンサーユニット28から出力されたディジタルデータは直接にあるいは後述する統合ユニットを介して機器ユニット内通信バス(プロセスバスとも言う)29に送信され、更に前記回線制御ユニット21−1および保護ユニット22−1に取り込まれ、ここで変電機器本体の監視、制御および保護の演算に用いられる。なお、本実施の形態では、変電機器本体の電気量検出器27からアナログ電気量を入力した後、直接あるいは間接に前記プロセスバス29にディジタルデータを送信する手段をディジタルデータ出力手段と称する。
これら回線制御ユニット21−1および保護ユニット22−1あるいは制御本館の集中監視装置3から変電機器本体に対する制御指令(いわゆる下り情報)や変電機器本体からの監視情報等(いわゆる上り情報)は、それぞれプロセスバス29を経由して機器制御ユニット(図中、CMUと表示する)30で授受され、この機器制御ユニット30によって変電機器本体の監視、制御および開閉器25に対する遮断指令等が出される。
図2は、GISの各変電機器本体のレイアウト(配置関係)の一例を示す図である。同図において、GISに対するセンサーユニット28、機器制御ユニット30、保護制御ユニット23の配置と、それらユニットとプロセスバス29、およびステーションバス7との接続関係の一例を示している。
図2において、遮断器(CB)、断路器(DS)、接地開閉器(ES)、母線(BUS)等の主回路機器を絶縁ガスと共に収納した金属容器(以下、タンクと称する)TAを、ベースB上に設置し、そして前記各タンクTA内の主回路機器の電気量検出部(図2では示されていない)として計器用変成器を設け、アナログ出力信号を信号取り出し部近傍に設けたセンサーユニット(図2中のVT,CT部分)28により、ディジタルデータに変換するようにしている。
同様に、遮断器(CB)、断路器(DS)、接地開閉器(ES)等開閉器の開閉情報(on、off情報)やガス密度、油圧等も別の機器制御ユニット30により、ディジタル処理し易い信号に変換するようにしている。
そして、これらのセンサーユニット28の出力端子は、後述する統合ユニット(MUと表示)に接続され、プロセスバス29を介してプロセス制御箱31内に収納されている保護制御ユニット(PCU)23や機器制御ユニット30と結合し、更に保護制御ユニット23は制御本館1から延在するステーションバス7と結合するように構成されている。なお、統合ユニットを用いない構成では、センサーユニット28の出力端子は、直接プロセスバス29に結合される。
なお、図2では前記プロセス制御箱31を、前記GISのタンクTAを載置するベースB上に一体的に設けているが、前記タンクTA外周部に直接取り付けるようにしてもよい。このように、GISのベースBやタンクTAにプロセス制御箱31を設置する形態を組込み形と称する。
これに対して、プロセス制御箱31を前記GISのベースBから離れた場所、すなわち、従来の制御本館よりも変電機器に近い場所に設置する形態を近傍形と称する。本発明では組込み形、近傍形のどちらの形態にも適用できる。また、変電機器本体の例としてGISを挙げたが、後述するように、タップ付き変圧器、その他電力機器であっても構わない。
なお、本実施形態では、従来技術における現場制御装置(図53の符号9)を廃止したので、それに伴い現場制御装置に実装されていた機能を、回線制御ユニット21−1、センサーユニット28および機器制御ユニット30等へ分散させている。
図3は前記センサ―ユニット(SU)28の一例を示す図であって、図3(a)は、前記センサ―ユニット(SU)28の一例を示すハードウェア構成図、図3(b)はセンサーユニット28における同期および時刻付けの処理手順の例を示すフローチャートである。
図3(a)において、28bはアナログ入力手段であり、変電機器本体の主回路交流電流又は電圧のアナログ電気量を多チャンネルの伝送路27Iから入力し、A/D変換する前段で折り返し誤差を低減させる目的で高調波をカットオフするアナログフィルタおよび多チャンネル選択できるアナログマルチプレクサから構成されている。28cはこのアナログ入力手段28bの出力をアナログ/ディジタル変換するA/D変換手段である。
そして、これらアナログ入力手段28bおよびA/D変換手段28cとからなる回路をサンプリング同期入力回路28dと称する。このサンプリング同期入力回路28dによって、前記主回路機器の電気量に対応するディジタルデータは内部バス28eに取り込まれる。
また、28aは後述する統合ユニットMU39から時刻同期用基準信号と基準時刻データを1対1対向(Point―To−Point、1:1対向とも言う)の通信路40aより受信し、前記サンプリング同期入力回路28dのサンプリングと時刻同期用基準信号のズレを補正する同期手段である。出力手段28gは同期および時刻付けした電気量のディジタル値を1対1対向の通信路38−1へ送信する。
そして、28fは、これらサンプリング同期入力回路28d、同期手段28a、出力手段28gを内部バス28eを介して制御するディジタル演算処理部(CPUと表示)であり、28hは各回路および手段に電力を供給するための電源である。
図3(b)のフローチャートについて説明する。ここでは、センサーユニット28での同期および時刻付けであるので、手順S1はスキップする。ここで手順S1をスキップする理由は、本実施形態の場合、複数のセンサーユニットは共通のサンプリング信号を使って「サンプリング」を行うため、手順S1の補間処理が不用となるからである。また補間処理とは、サンプリングが同期していないデータに対し、補間によりサンプリングデータを加工して合わせることである。共通のサンプリング信号でサンプリングする場合は、同期しているため、補間処理は不要となる。
まず、センサーユニット28内に装備されたクロック発振器等を基準に分周して生成したアナログ電気量のサンプリング信号と時刻同期用基準信号と比較し、時刻同期基準信号とサンプリング信号の偏差(ずれ)を検出し(手順S2)、この偏差に相当する位相分から該当電気量を位相シフトすることで、偏差が0(ゼロ)になるようにあわせ込む。又は、このずれ分、サンプリング信号を補正する(手順S3)。
また、時刻同期用基準信号の高精度な一定周期内にて、カウンタを走行させ、カウンタ値が示す電気量に対し、基準時刻(1秒単位)+カウンタ値で時刻付けする。又は、このカウンタ値から時間を計算し、基準時刻に加算することで時刻(タイムスタンプ)を直接付与する(手順S4)。
プロセスバス29で統合ユニット39と結合した保護制御ユニット23では、統合ユニット39から、同期をとった時刻付き電気量(ディジタル値)を取り込み、変電機器本体の監視、制御および保護を行う。
なお、図3(b)のフローチャートでは、時刻同期(サンプリング同期とサンプリングデータへの時刻付けとを合わせて、時刻同期と呼ぶ)の手順を示しているが、サンプリング同期と時刻付けの機能分担には、次に説明する様にいくつかのパターンがある。表1では、サンプリング同期と時刻付けの機能分担について5パターン(パターン1〜5)の例を示す。この表1中に記載の符号(A,B)が実施する機能を示す。
パターン1では統合ユニット39でサンプリング同期および時刻付けを行う。パターン2ではセンサーユニット28でサンプリング同期を行い、統合ユニット39で時刻付けを行う。パターン3では、センサーユニット28でサンプリング同期および時刻付けを行う。パターン4では、センサーユニット28でサンプリング同期を行い、保護制御ユニット23で時刻付けを行う。パターン5では、統合ユニット39でサンプリング同期を行い、保護制御ユニット23で時刻付けを行う。
そして、パターン1に係わる実施の形態については後述する第7の実施形態で説明し、パターン2に係わる実施の形態については後述する第7の実施形態の変形例および第8の実施形態例で説明し、パターン3に係わる実施の形態については後述する第9の実施形態で説明する。
なお、パターン4は前記パターン2におけるセンサーユニット28と統合ユニット39の関係において、統合ユニット39の時刻付け機能を保護制御ユニット23へ組替えることで実施できる。また、パターン5は、パターン1における統合ユニット39の時刻付け機能を保護制御ユニット23へ組替えることで実施できる。
以下、パターン4およびパターン5について説明する。
サンプリングデータは、センサーユニット28から統合ユニット39を経由して、通信手段により保護制御ユニット23へ送信されるため、伝送に時間を要し、サンプリング時刻と時刻付けした時刻に遅れが生じる。この遅れは、計測、状変データへの時刻付け精度および保護精度(特に、対抗端とサンプリング同期が必要なPCMリレー保護方式等)上、許容範囲内にあればパターン4およびパターン5でも実施可能である。
また、図3(a)におけるディジタル演算処理部(CPUと表示)28fについて補足すると、CPU28fは必ずしも必須機能ではない。表1に示した時刻同期の機能分担でパターン1、パターン2、パターン4およびパターン5では、時刻同期機能無し又はサンプリング同期機能だけのパターンであるため、センサーユニット内の回路制御を論理回路の組合せだけで実現できる場合もある。この場合は、CPU28fが不用であることは言うまでもない。
図4は保護制御ユニット23の一例を示すハードウェア構成図である。回線制御ユニット21−1および保護ユニット22−1は、それぞれディジタル演算処理部(CPU)21a、22a、通信部(通信)21b、22bおよびこれらに電力を供給するための電源部(電源)21c、22cから構成されている。
図5は、機器制御ユニット30の一例を示すハードウェア構成図である。この機器制御ユニット30はディジタル入力手段30aと、アナログ入力回路とアナログ/ディジタル変換回路から成るアナログ入力手段30bと、制御・監視演算を行うディジタル演算処理部(CPU)30cと、半導体スイッチから成る駆動回路30dと、制御・監視データを機器制御ユニットに蓄積するデータ記憶手段30eと、プロセスバス通信手段30f等から構成され、これらは内部バス30gで結合されている。
開閉器25のパレット接点25aおよび監視センサ25bの出力は、信号線25Iを介してそれぞれディジタル入力手段30aおよびアナログ入力手段30bから機器制御ユニット30に入力される。パレット接点25aの出力とは、遮断器を例に取ると、遮断器の開閉ステータス情報や油圧スイッチ、ガス密度スイッチなどの接点情報である。
そして、機器制御ユニット30の駆動回路30dの出力は、信号線25Iを介して、開閉機器25の駆動部25cに入力される。駆動部25cに入力する信号とは、遮断器を例に取ると、遮断コイル、投入コイル駆動信号、油圧ポンプのモータ駆動信号などである。
なお、図3、図4および図5に図示した各回路をカスタムLSI化すれば、一層の小形化を図ることができることは言うまでもない。
次に本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態は上述したように、GISの所定の部位から抽出した交流電気量のディジタル変換をセンサーユニット28で行い、ディジタル化された情報をプロセスバス29を経由して回線制御ユニット21−1〜21−nおよび保護ユニット22−1〜22−nに供給するようにし、且つ回線制御ユニット21−1〜21−nおよび保護ユニット22−1〜22−nからの変電機器本体に対する制御指令および変電機器本体の監視情報を、プロセスバス29経由機器制御ユニット30で授受するように構成したので、センサーユニット28からの情報を回線制御ユニット21−1〜21−nおよび保護ユニット22−1〜22−nで共有することが可能となる。
この結果、回線制御ユニット21−1〜21−nおよび保護ユニット22−1〜22−nでは、従来、交流電気量を処理するために使用されているアナログ入力回路および大電流の流れる電気ケーブルが不要となり、従来技術に比べ大幅にハードウェアの小形化を図ることができる。
従って、本実施形態によれば、機器の駆動回路、交流電気量のディジタル変換部および保護制御部を変電機器本体へ組み込むことが可能となり、電気ケーブルの大幅削減、制御本館のスペース削減、変電機器本体の小形化、変電所敷地面積の削減、変電所建設工期の短縮等の効果があり、変電所建設コストの削減を図ることができる。更に、各ユニットはディジタル化すなわち、ディジタル演算プロセッサを内蔵しているので、各ユニットおよび変電機器本体の自己診断が可能となる。
(第2の実施形態)
図6および図8は、本発明に係わる保護制御システムの第2の実施形態を示すシステム構成図である。本実施形態は通信手段の一部を有線から無線に置き換えたものであり、このうち図6は本発明の第2の実施形態を示す保護制御システムのシステム構成図を示し、図8は図6の一部を変形して示す図である。
図6の実施形態は、図1におけるプロセスバス29とステーションバス7とを無線ユニットで結合したことを特徴とするものである。すなわち、図6において、前記ステーションバス7に無線通信ユニット33を、またプロセスバス29に無線通信ユニット32−1〜32−nを接続することにより、センサーユニット28から出力された電流および電圧に対応するディジタルデータをプロセスバス29に伝送するようにし、回線制御ユニット21および保護ユニット22はプロセスバス29から必要なデータを取り込むと共に、遮断指令などをプロセスバス29を経由して機器制御ユニット30に送信する。
そして、ステーションバス7には無線通信ユニット33、32を経由して遠方監視制御装置2および集中監視制御装置3と変電機器本体ユニット20間との情報を伝送する。また、変電機器本体ユニット20−1〜20−n相互間の情報についても無線ユニット33、32を通して伝送する。
回線制御ユニット21−1、保護ユニット22−1、SU28、CMU30は、変電機器本体に組み込まれるので、通信距離の短い機器内プロセスバスは有線にて通信し、通信距離の長い機器と本館や機器と機器の通信は無線で行う。
図7は、前記無線通信ユニット32のブロック構成図である。なお、無線通信ユニット33も同様な構成なので、ここでは無線通信ユニット32を例にして説明する。無線通信ユニット32は、ディジタル演算処理部32a、電源部分32b、有線通信インターフェース(I/F)32c、無線通信インターフェース(I/F)32dおよびアンテナ32eを備え、プロセスバス29の情報を無線通信インターフェース(I/F)32dにより無線にして前記無線通信ユニット33経由ステーションバス7に送信し、逆に前記無線通信ユニット33から送信されてきたステーションバス7からの無線の情報を受信し、プロセスバス29に伝送する。
図8は、図6の実施形態に一部を変形して表したものであり、図6における有線のプロセスバス29を撤去し、その代わりにセンサーユニット28、機器制御ユニット30、回線制御ユニット21、保護ユニット22のそれぞれに無線通信ユニット32を直接接続し、変電機器ユニット内でのセンサーユニット28、機器制御ユニット30、回線制御ユニット21、保護ユニット22間の通信、変電機器ユニット20と制御本館1間の通信および変電機器ユニット相互間の通信を無線で行ようにしたものである。この変形例で用いる無線通信ユニットは図7で示したものとほぼ同じ構成、機能を有している。
変電機器本体が大きい場合や、各相ごとに変電機器本体が分離している場合(いわゆるA相,B相,C相が各相分離構成となる単相GISやAIS(気中絶縁開閉装置)の場合)や、また3相一括構成のGISの場合でも変電機器本体が大きい場合は、回線制御ユニット21−1、保護ユニット22−1、SU28、CMU30間の通信距離が長いので、無線通信による通信ケーブル削減の効果がある。
以上述べたように、第2の実施形態(変形例を含む)によれば、変電機器ユニットと制御本館13内の監視制御装置との間の通信線の敷設および変電機器ユニット内のプロセスバスの敷設を不要にするという効果を奏することができる。また、既設の変電機器にプロセスバスを敷設する場合、無線を用いることにより、新たな通信ケーブル敷設の必要がないという効果を奏することができる。
(第3の実施形態)
図9は、本発明に係わる保護制御システムの第3の実施形態を示すシステム構成図である。
この実施形態は、センサーユニット28、機器制御ユニット30、回線制御ユニット21、保護ユニット22に電力を供給する制御電源34の電力線(制御母線)35をデータ通信線として利用しようとするものである。
このために、センサーユニット28、機器制御ユニット30、回線制御ユニット21、保護ユニット22にそれぞれ電力線通信インターフェース(I/F)部36を設け、各電力線通信インターフェース(I/F)部36相互間を電力線35で結合している。そして、制御本館1内でこの電力線35に電力を供給する制御電源34を接続し、更にこの電力線35とステーションバス7との間で情報のみを通過させるための電力線−ステーションバスブリッジ37を結合する。
これにより、センサーユニット28は、電流および電圧のデータを電力線35に送信し、回線制御ユニット21および保護ユニット22は電力線35から必要なデータを取り込み、遮断指令などを電力線35を通して機器制御ユニット30に送信する。
そして監視制御装置3に接続されるステーションバス7と、変電機器ユニット内のプロセスバス29との間は、電力線−ステーションバスブリッジ37、電力線35、電力線通信インターフェース(I/F)部36により必要な情報を授受する。同様に、変電機器ユニット20−1〜20−n相互間の情報についても電力線35およびステーションバス7を通して授受する。
以上述べたように、この実施形態によれば変電機器ユニット20と監視制御装置4との間に、電力線35を敷設すればよく、通信専用の線を敷設する必要がないという効果を奏することができる。
(第4の実施形態)
図10は、本発明に係わる変電機器保護制御システムの第4の実施形態を示す図であり、特に、保護制御ユニット23のハードウェア構成を示す図である。
本実施形態は、ハードウェアとして別個のユニットに構成されていた回線制御ユニット21および保護ユニット22を、一つの保護制御ユニット23として構成したものである。前述した図3(a)で示した回線制御ユニット21−1および保護ユニット22−1は、アプリケーションソフトで実現する機能に制御と保護の違いはあるものの、ハードウェアは略同等(同一でも良い)なので、共通のハードウェアに保護および制御のアプリケーションソフトをインストールすることによって実現するようにしたものである。
この場合、保護、制御の両機能を動作させる処理負荷以上の処理能力をもつディジタル演算処理手段(CPU)を適用すれば可能である。このハードウェアは、LSI等で容易に構築することができる。LSIを組み込んだ保護、制御の両機能を処理するディジタル演算処理手段(以後、共通CPUと呼ぶ)23aにより機能実現上、保護と制御をハード分離する必要性がなくなる。同様の理由で制御用通信手段21cと保護用通信手段22cも共通化でき、制御側、保護側の両通信を処理する通信手段(以後、共通通信手段と呼ぶ)23cに置き換えることができる。
また、共通CPU23a、共通通信手段23cを保護制御ユニット23に適用する場合、電源も一つの電源(以後、共通電源と呼ぶ)23bに置き換えることができる。
以上は、CPU等のハードウェア性能向上により、保護と制御を一つのCPU23aで処理することができるため、回線制御ユニット21と保護ユニット22とを一体化できるという説明を行ったが、本実施形態の構成を適用できる理由はハードウェア性能の向上だけでない。本実施形態をプロセスバス対応の変電機器保護制御システムに構成し、通信プロトコルを共通にしたことが、保護および制御を一体化ハードウェアで実現できる主要な理由の一つである。
すなわち、プロセスバス構成を採用していない従来の保護制御装置では、変電機器本体の主回路交流の電気量を取り込み、入力変換器にて、例えばAC163.84Vの電圧を7V程度に変換し、また、AC163.84A前後の電流を47mA程度に変換し、アナログ入力器にて、この電気量を取り込みフィルタリングし、所定のサンプリング間隔でA/D変換して、ディジタル回路で処理できるディジタル値に変換し、制御又は保護演算器にて、前記ディジタル値をもとに変電機器本体の監視制御および内外事故判定を行い遮断器トリップ指令を補助接点等で遮断器の制御装置へ出力する構成となっている。
この場合、制御と保護は別ユニットに分かれ、制御ユニットが監視制御情報および保護ユニットの情報を中継して総合電気所等と通信するような変電機器保護制御システム構成となっている。
このような従来構成では、保護ユニットは制御ユニットとの通信に専用のプロトコル通信を行い、制御ユニットは総合電気所等と通信を行うテレコンと専用のプロトコル通信を行うなど保護ユニットと制御ユニットで上位系との通信インターフェースも異なっている場合が多い。
また、制御ユニットから変電機器本体の制御装置を操作する場合および保護ユニットから変電機器本体の遮断器等の制御装置にトリップ指令を出す場合等各々独立した1対1対向の接点情報渡しにより操作している。
これに対し、本発明のプロセスバス構成では、前記アナログ入力器等がセンサーユニットに置き換わり、変電機器本体の制御装置に制御指令を出力し、保護ユニットからの指示により、遮断器を遮断する指令を出力する部分等が機器制御ユニット30となり、前記保護演算器が保護制御ユニット23の保護ユニット22となり、前記制御演算器が保護制御ユニット23の制御ユニット21となる。
これらのユニットがプロセスバス29に接続され、共通の通信プロトコルで相互通信を行う。また、上位系のステーションバス7と接続する制御ユニット21および保護ユニット22は当然、共通の通信プロトコルで通信を行うことになる。
つまり、プロセスバス構成とすることで、保護制御ユニット23内の制御ユニット21および保護ユニット22はステーションバス7と共通の通信プロトコルで通信し、プロセスバス29とも互いに共通の通信プロトコルで通信することができ、更に、従来、保護および制御で独立していた1対1対向方式による接点情報の伝送もプロセスバス29を共用することにより、同一通信プロトコルで送信することができる。
このように、通信手段の標準化を図ることができるため、保護ユニット22および制御ユニット21の通信手段22cと通信手段21cとを共用化でき、また通信手段も共用化できるため、CPUおよび電源を分離する必要性もなくなり、通信手段、CPUおよび電源を保護および制御で共通化(一体化)することができる。
以上述べたように大きくは2つの理由から、保護制御ユニット23は変電機器本体の監視、制御、保護の演算を行う共通CPU23aと、ステーションバス7およびプロセスバス29と通信を行う共通通信手段23cと、共通CPU23aと共通通信手段23cを動作させる共通電源23bとから構成することができる。このように構成した保護制御ユニット23は、所定の演算周期にて保護および制御処理を逐次行う。
なお、保護制御ユニット23は、センサーユニット28で処理されたディジタル電気量(変電機器本体の主回路交流量の同期のとれた時刻付きディジタル電気量)をプロセスバス29から取り込むため、プロセスバス29の性能によっては、データ取り込み時間が保証できない場合もある。このような場合、演算周期はデータ取り込み時間のバラツキ、最大遅延、電力系統事故時の事故検出から変電機器本体へのトリップまでの許容時間等を考慮して最適値を決めればよい。
以上述べた、本実施形態によれば、制御と保護でハードウェアを分離する保護制御ユニット構成と比べ保護制御が一体化するため、ハードウェアを削減できると共に、保護制御ユニットの装置の小型化も実現し、装置の低コスト化が可能となる。
なお、制御ユニットと保護ユニットのハードウェアを一体化したことにより、故障に対する冗長性が低くなるが、これが許容できない場合、本保護制御ユニットを2重化して使用すればよい。本保護制御ユニットを2重化した場合、コストメリットがなくなるが、保護と制御とを分離した構成の保護制御ユニットと比較し、片方が故障してももう一方で保護および制御が可能であるため、システムの信頼性は高くなる。
(第4の実施形態の変形例)
この変形例の保護制御ユニット23内のCPU、通信手段、電源の主機能は既に説明した実施形態と同じであるので、以下、この変形例での機能を中心に説明する。
図11に保護制御ユニット23の変形例の構成を示す。この変形例はCPUのハードウェアを、変電器機本体の監視および制御を行う制御用CPU21aと、電力系統の内外部事故を判定する保護演算を行う保護用CPU22aとに分離すると共に、ステーションバス7との通信を行うステーションバス通信手段23c−1、プロセスバス29と通信を行う制御用プロセスバス通信手段23c−3および保護用プロセスバス通信手段23c−2を設け、更に保護用CPU22a、制御用CPU21aの共通電源23bを設けるようにしたものである。なお、この場合ハードウェアにはCPU、電源、通信手段以外の図示しない周辺回路を有していることは言うまでもない。
図11の構成では、ステーションバス通信手段23c−1と電源23bとが保護用および制御用に共通するハードウェアであるが、CPUとプロセスバス通信手段とは保護用および制御用とも別個のハードウェアとして構成している。
このように保護用CPUおよび制御用CPUのハードウェアを分離する理由は、CPU故障時に保護機能と制御機能が共に動作不能になることを回避して高信頼性の要求に応えるためである。
また、プロセスバス通信手段を保護用と制御用とでハードウェア分離する理由は、もし、プロセスバス通信手段に故障が発生した場合、図1や後述する図34等に示すCMU30、センサーユニット28又は統合ユニット39との通信機能が喪失し、変電機器の制御と保護の両方が実施不可能になるからである。
しかし本発明では、プロセスバス通信手段を保護用、制御用でハードウェアを分離するようにしたので、2重故障が起こらないかぎり、保護および制御の両機能が喪失することを回避することができる。
ステーションバス通信は、CPUやプロセスバス通信と比べて、不良時に上位系から変電機器を制御することはできないが、保護機能が喪失しないという利点がある。なお、コスト削減のためにステーションバス通信は制御用CPU21aおよび保護用CPU22aとで共通化しても良い。
また、電源については、保護用、制御用でハードウェアを分離させると一方の電源故障でも他方の動作が可能でるため、信頼性が高くなる。しかし、電源は発熱体であること、および占有スペースも大きくなるため、共通化する方が耐環境性能および小型化に有利である。耐環境性能および小型化を優先する場合は、電源は共通化しても良い。
次に、以上述べた変形例の作用について説明する。この変形例における通信形態は、例えば、ステーションバス通信手段23c−1を通信マスターとし、制御用CPU21a、保護用CPU22aを通信スレーブとするマスター・スレーブ通信方式とすることができる。
マスター・スレーブ通信方式の具体例としては、例えば、マスター・スレーブ間をメモリによるデータ渡しとし、スレーブ側にメモリを搭載し、マスター側のみが、マスター、スレーブ間の伝送路を占有して、スレーブのメモリにリード/ライトアクセスできる形態とするなどである。この場合、メモリはスレーブ自身とマスター側からの両方向からアクセス可能なデュアルポートメモリ等を使用する方が送受信制御に調停機能が不要となる。
図11はステーションバス通信手段23c−1と制御用CPU21a、保護用CPU22aはバス形の通信媒体23dで接続する構成例であるため、マスター・スレーブ通信方式とすることで、制御用CPU21a、保護用CPU22a、ステーションバス通信手段23c−1との間でバス占有権の調停が不要となり、通信処理の簡素化が可能になる。また、片方のCPU不良の影響で、不要にバス23dを占有して、他方のCPU側の通信に支障が出ることを回避することができる。
但し、図11は保護と制御でハードウェアを部分共通する場合の通信構成の一例であり、バス形接続だけに限定されるものではない。また、図11は機能構成図であるが、物理的な構成を示すものではない。物理的な構成としては、例えば、保護機能部(保護用CPU22aと保護用プロセスバス通信手段23c−2を実装した基板)、制御機能部(制御用CPU21aと制御用プロセスバス通信手段23c−3を実装した基板)、ステーションバス通信部(同手段を実装した基板)、共通電源部(同電源を実装した基板又はユニュト)、バス部23d(バッグプレーン又はケーブル等)で機能毎に構成および接続する。
更に、本変形例を後述する第12の実施形態へ適用した場合、図11の制御用プロセスバス通信手段23c−3と、保護用プロセスバス通信手段23c−2は、プロセスバス29ではなく、パラレスバス(内部バス)45との通信手段(保護用、制御用でハードウェア分離)になることは言うまでもない。
(第5の実施形態)
図12および図14は、本発明に係わる保護制御システムの第5の実施形態を示す図であり、特に保護制御ユニットの構成および機能を説明するためのハードウェア構成図である。
この第5の実施形態は、前述の実施形態とは異なり、保護制御ユニット23を回線制御ユニット21−1と、保護ユニット22−1とを別個のハードウェアで構成し、それぞれのユニットには自ユニットの機能の他に相手側のユニットの機能についても行えるようにソフトウェアをインストールしておき、一方のユニットが正常に動作できない場合、他方のユニットによって代行処理できるようにしたものである。
なお、図12は保護ユニット22−1側に不具合が生じ、回線制御ユニット21−1側でバックアップ処理する場合を、また図14は回線制御ユニット21−1側に不具合が生じ、保護ユニット22−1側でバックアップする場合を示している。
以下、図12を参照して、保護ユニット22−1側に故障が生じた場合から具体的に説明する。保護制御ユニットは、変電機器本体の監視、制御演算を行う回線制御用CPU21a、ステーションバス7、プロセスバス29間の通信を行う制御用通信手段21c、制御用電源21bからなる制御ユニット21と、前記変電機器本体の保護演算を行う保護用CPU22a、ステーションバス7、プロセスバス29間の通信を行う保護用通信手段22c、保護用電源22bとからなる保護ユニット22とから構成されている。
保護ユニット22が故障(保護ユニット22が正常に動作しない場合でリレー要素が誤動作、誤不動作する可能性がある場合も含む)した場合、この故障を制御ユニット21−1に通知する(これを故障通知ANと呼ぶ)。この故障通知ANにより、制御ユニット21−1は保護機能を代行する。
なお、保護ユニット22−1が故障を自己検出でき、且つステーションバス7へ通信できるように構成してある場合は、保護ユニット22−1から故障通知ANをステーションバス7に送信する。この故障通知ANの送信先として、直接、制御ユニット21−1を指定するか、又は上位の集中監視制御装置3へ送信し、この集中監視制御装置3から折り返し、ステーションバス7を介して制御ユニット21−1へ通信方法があるがこのうちのいずれでもよいし、また両者を併用して2重通信して故障通知の信頼度を高めても良い。更に、ブロードキャスト通信(同じネットワーク内に接続した装置は、全て受信処理しなければならない通信)で故障通知させる方法でもよい。
なお、保護ユニット22−1が故障を自己検出できない場合(保護ユニットの停止など)、を想定して、他の装置でも保護ユニット22−1の故障を検出するように、保護ユニット22−1の動作確認をステーションバス7上の他装置が行うように講じておく。例えば、一定周期で制御ユニット21−1と保護ユニット22−1間の動作確認(相互の走行監視)をステーションバス7を介して行わせる監視機能を組み込むようにしておけば、保護ユニット22−1の停止を制御ユニット21−1が検出できる。
この場合、回線制御ユニット21−1が直接検出するため、故障通知は不要である。また、保護ユニット22−1からステーションバス7を介して、集中監視制御装置3に定期的に動作確認信号を送信し、この動作確認信号が途絶えた場合、保護ユニット22−1の故障と判定する方法もある。集中監視制御装置3はこの故障を検出した場合、ステーションバス7を介して、回線制御ユニット21−1に故障通信ANを送信する。
以上述べたいずれかの方法により、故障通知ANを受けたか、あるいは故障を検出した回線制御ユニット21−1は、保護機能を代行するために必要に応じて監視および制御処理を縮退し、制御用CPU21aが保護機能を処理するための空き時間を確保する。監視および制御処理の縮退例の様子を図13(a)、(b)に示す。
同図(a)は、制御用CPU21aの処理時間軸tに対し、一定の演算間隔(t1〜t7)を図示している。演算間隔内の時間tzは、計測、監視等の制御処理時間tx1と、空き時間tx2の合計となる。この状態で、保護機能を代行するためには、同図(b)に示す通り制御機能を限定し、制御処理時間ty2(ty2≦tx1)を少なくすることで、保護リレー演算処理の時間ty1を確保している。但し、空き時間tx2内で保護機能が代行できる場合、制御処理の縮退が必要でないことは言うまでもない。
なお、回線制御ユニット21−1で保護機能を代行する場合で、縮退等させた制御演算処理の渋滞で保護機能が実行できないときは、制御演算処理と保護演算処理にタスク優先度(優先度の高いタスクが発生した場合、優先度の低いタスクは実行を中断し、優先度の高いタスクを実行する)を設け、保護演算処理を制御演算処理より高い優先度のタスクとすればよい。このようにすることで制御演算処理に渋滞が起こっても保護演算処理には何ら悪影響を与えることはない。
また、ここで述べる縮退処理とは、制御演算処理の中で、重要度の低い演算処理を中断する方法とする他、タスク優先度管理と称し、保護機能を制御機能よりも高い優先度タスクとし、次に制御機能を多重優先度のタスクで構成し、最重要な保護機能、次に重要な制御機能、低い優先度の制御機能の順で限られた制御用CPU21aの演算および処理時間を割り当てる方法等がある。
次に、図14を参照して保護ユニット側で、回線制御ユニットをバックアップする場合について説明する。なお、図12と同一部分には同一符号を付けて説明を省略する。
図14において、回線制御ユニット21−1が故障した場合、この故障を保護ユニットに故障通知AN1するか保護ユニット側で検出することにより、保護ユニット22−1が制御機能を代行する。なお、故障通知の方法あるいは検出の方法は図12の場合と同様なので説明を省略する。
この故障通知AN1を受けたか、あるいは故障を検出した保護ユニット22−1は、保護用CPUの空き時間等(必要に応じて保護機能を縮退させる)を使って、保護用CPU22aが回線制御および監視機能を処理する。
保護用CPU22aの演算処理時間の割り当ての一例を図15に示す。
同図では、保護用CPU22aの処理時間軸t1に対し、一定の演算間隔(t11〜t17)を図示している。演算間隔内の時間tz1は、保護リレーに関する処理時間tx11と空き時間tx12となる。
この状態で、制御および監視機能を代行するために、同図に示す通り、空き時間tx12を使って制御機能の処理を行う。同図では、tx12=ty12となっている。
なお、保護ユニット22で回線制御機能を代行する場合、保護に関する演算処理の渋滞により、回線制御機能が実行できない場合は、回線制御演算処理と保護演算処理にタスク優先度を設け、回線制御演算処理は一部の保護演算処理より高い優先度のタスクとすればよい。このようにすることで保護演算処理に渋滞が起こっても制御演算処理に何ら悪影響を与えることはない。
従って、本実施形態によれば、変電機器本体を監視、制御する回線制御ユニットあるいは保護ユニットのいずれか一方が故障した場合でも、他のユニットが重要度の高い制御および監視機能を代行するため、電力系統システムの制御および監視機能喪失を回避でき、信頼性の高い制御を実現できる。
また、本実施形態のバックアップ(代行)が容易かつ有効に適用できる理由は、従来の1対1対向方式による接点情報渡しで制御および保護動作指令(遮断指令)等を出力させていた形態と比較し、プロセスバス構成とする本実施形態では通信手段がプロセスバスで標準化されている点にある。
1対1対向方式では、保護ユニット側の接点構成を制御代行できるようにハードウェア切替え等の仕組みを考慮する必要が生じコストアップにつながると共に、構成も複雑となり故障率も悪くなる。しかし、プロセスバス構成の本実施形態では、代行処理時はプロセスバスに送信するデータの宛先情報および処理内容等をソフトウェア処理で変更するだけで対応でき、特別なハードを考慮する必要がない。よって、代行は容易かつ有効に行える。
(第6の実施形態)
図16は、本発明の第6の実施形態の主要部特に、統合ユニットとセンサーユニットとの結合関係を示す図である。
図16は、同一電気所内の保護制御単位であるベイBayが、単母線構成の電気所の線路回線とした場合の実施例であり、単相結線図で示している。母線24より分岐する送電線26の端子部分には、遮断器25CBの他に図示していないが断路器や接地開閉器を設置している。更に遮断器25CBの母線24側および送電線26側にはそれぞれ電流検出手段(CT)27−1、27−2を配置すると共に、送電線26側に電圧検出手段(VT)27−3を配置している。
前記電流検出手段27−1、27−2は、例えばロゴウスキーコイルや鉄芯コアの変流器、ファラデー効果による光変換型電流センサなどを使用する。また、電圧検出手段27−3は、例えば容量分圧形の計器用変圧器や巻線型の計器用変圧器、ポッケルス効果による光変換型電界センサなどを使用する。なお、使用する電流検出手段、電圧検出手段の検出方式に応じて、センサーユニット28のアナログ入力部を変更する。
センサーユニット28は既に図2で説明したように、電流検出手段、電圧検出手段毎にその近傍例えばGISタンクの外周部に設置され、その出力端子は1:1対向の通信手段38を介して統合ユニット(図中、MUと表示する)39に接続される。この統合ユニット(MU)39は、図2に示したプロセス制御箱31内に保護制御ユニット23と一緒に収納される。
なお、ここで言う電流または電圧検出手段の近傍にセンサーユニットを配置するという意味は、電流または電圧検出手段とセンサーユニットの間を接続する電線が可能な限り短くなるようにセンサーユニットを配置するということである。
すなわち、電流または電圧検出手段の近傍に配置するとは、電流または電圧検出手段を収納するケースとセンサーユニットを収納するケースとその他の変電機器の位置関係が互いに干渉しない構造上取付けが可能な互いの位置関係において、可能な限り電線を短くする配置という意味である。
そしてこの統合ユニット(MU)39は後述する図18、図20、図24で示すように、内部に演算用CPUを備えており、各センサーユニット28−1〜28−3から送信されてきた各電流、各電圧のディジタル信号を例えば保護制御単位毎に伝送フレームに統合し、時刻付けをした後、プロセスバス29を介して保護制御ユニット23や監視制御装置4へ伝送する他、各センサーユニット28−1〜28−3から送信されてきたディジタル信号の感度補正演算を行ったり、位相補正演算を行うことができるように構成されている。
なお、各電流、各電圧のディジタル信号の統合は、保護制御単位毎に伝送フレームに統合することに限定されるものではなく、必要に応じて保護制御単位間にまたがって伝送フレームを統合するなど、臨機応変に組合せを選定できる。
また、保護制御単位毎に統合する場合であっても、1つの保護制御単位に対して1つのフレームに統合することに限定されるものではなく、1つの保護制御単位に対して2つ以上のフレームに統合して伝送しても良い。
例えば、図示していないが、変圧器回線では、変圧器の高圧側と低圧側を合わせて一つの保護制御単位とみなすが、高圧側の開閉装置と低圧側の開閉装置は必ずしも近接していない。このような場合、例えば、高圧側の電流、電圧のディジタル信号を一つの伝送フレームに統合し、一方、低圧側の電流、電圧のディジタル信号を別の一つの伝送フレームに統合してプロセスバスに接続する構成が考えられる。
なお、ここで述べた統合ユニット(MU)39による各電流、各電圧のディジタル信号の統合に関する補足説明は、本明細書で説明するあらゆる実施の形態において適用されることは言うまでもない。
前記通信手段38はディジタル通信線なのでノイズの影響を受けにくいが、耐ノイズ性を向上させる観点から光ファイバを採用する。統合ユニット39と保護制御ユニット23と機器制御ユニット30は、プロセスバス29で接続される。なお、機器制御ユニット30の動作は第1の実施形態で説明した動作と同じである。
以上のような構成を有する本発明の第6の実施形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
ベイ(Bay)内には通常複数の電流検出手段、電圧検出手段およびそれぞれに対応するセンサーユニットが設置され、各センサーユニットの出力はプロセスバスを介して保護制御ユニット、機器制御ユニットと接続する必要があるわけである。ここで、各センサーユニットの出力を直接プロセスバスに接続する代わりに、統合ユニットで必要最小限の伝送フレームに統合することにより、プロセスバスのノードの数を必要最小限にすることができ、且つ、ベイ内の複数の電気量を必要最小限の伝送フレームで送信することができるので、プロセスバスを効率よく構成することができる。
また、センサーユニットを各電流検出手段と各電圧検出手段の近傍に配置して、電流検出手段と電圧検出手段の近傍で電気量をディジタル値に変換するので、2次出力が微少な電流検出手段と電圧検出手段を使用した場合でも、ノイズの影響を受けることなく高品質な電気量を機器制御ユニット、保護制御ユニットに伝送することができる。
なお、ベイ内の保護対象機器が三相一括構成の機器である場合、例えば図16の各相の電流検出手段27−1に対応するセンサーユニット28−1を三相共通のセンサーユニットとして構成しても良い。電流検出手段27−2、電圧検出手段27−3についても同様に三相共通のセンサーユニットで構成しても良い。
この場合、当然のことながら、センサーユニットは3つ以上の入力端子を有し、センサーユニットは3相分以上の交流電気量をそれぞれディジタル変換し、3相分以上のディジタル値を統合して、統合ユニット39へ送信する。
また、可能であれば、センサーユニット28−2とセンサーユニット28−3を統合して一つのセンサーユニットで構成しても良い。また、単相構成の機器であっても、可能であれば各相の電流検出手段に対応するセンサーユニットを三相共通のセンサーユニットとして構成しても良い。
以上に述べたように、各電流検出手段、各電圧検出手段毎に一つのセンサーユニットを対応させることは必ずしも必要ではなく、可能であれば複数の電流検出手段、電圧検出手段に対応するセンサーユニットでシステム構成しても良い。
(第7の実施形態)
図17は、本発明の第7の実施形態の主要部を示し、特に統合ユニットとセンサーユニットの結合関係を示す図である。
図17中、保護制御ユニット23、統合ユニット39−1およびセンサーユニット28−1〜28−nの主機能については既に説明済みなので、本実施形態ではセンサーユニットにおけるサンプリング同期および時刻付けの機能を中心に説明する。
統合ユニット39−1はセンサーユニット28−1〜28−nから出力された変電機器本体の抽出電流又は電圧に対応するディジタルデータを、1対1対向方式の通信路38−1〜38−nを介して取り込み、例えば保護制御単位毎に伝送フレームに統合した上で、時刻付けをしてプロセスバス29へ送信する機能を備えていることについては前述した通りである。
そして本実施形態ではこの機能を実現するために、統合ユニット39−1はGPS受信機41(GPS:Global Positioning System:全地球測位システム)で受信したGPS信号を入力し、このGPS信号から時刻同期用基準信号および基準時刻データを抽出および生成する。
そしてこの時刻同期用基準信号および基準時刻データを専用の1対1対向方式の通信路40を介して前記センサーユニット28−1〜28−nに送信する。センサーユニット28−1〜28−nは、1対1通信路40から取り込んだ時刻同期用基準信号および基準時刻データにより、変電機器本体主回路から抽出された交流電気量の時刻同期(サンプリング同期および時刻付け)を行うように構成している。
次に示す図18は統合ユニット39−1の構成の一例を示す図である。図18において、39eは前記複数のセンサーユニット28−1〜28−nとの1対1対向通信によりデータを取り込むセンサーユニットデータ統合手段であり、39aは上位の保護制御ユニット23と通信するプロセスバス通信手段である。
前述したGPS受信機41の出力信号(一例を後述する図28の波形WV1で示す)は、基準信号入力手段39dに入力され処理される。この基準信号入力手段39dの受信処理により抽出した時刻同期用基準信号(高精度な1秒パルス信号)と1秒パルス毎の基準時刻データ(絶対時刻)とを伝送路39gを介して基準信号分配手段39c入力する。
この基準信号分配手段39cは、専用の1対1通信路40を介して前述のセンサーユニット28−1〜28−nに時刻同期用基準信号と1秒パルス毎の基準時刻データとを分配送信する。CPU39bは、プロセスバス通信手段39a、センサーユニットデータ統合手段39e、分配手段39cを内部バス39fを介して制御し、センサーユニット28−1〜28−nから保護制御ユニット23への通信プロトコル変換を実施する。
本実施形態では、このように複数のセンサーユニット28−1〜28−nで取り込んでディジタル値に変換する電気量の同期および時刻付けは各センサーユニット28−1〜28−n毎に行う。これにより、各センサーユニット28−1〜28−n間で同期のとれたディジタルデータ(時刻付き)を提供できる。なお、センサーユニットの自体の構成例は既に図3(a)で示した通りである。
次に、上述した実施形態に対し、1対1対向の通信路40を省いた変形例を図19で説明する。この実施形態の場合、統合ユニット39−2と、センサーユニット28b−1〜28b−nとは次のような関係になっている。
すなわち、統合ユニット39−2は、n台のセンサーユニット28b−1〜28b−nのディジタル出力を1対1対向方式の通信路38を経由して受信すると共に、GPS受信機41からの出力信号(GPS信号)を入力してこれのGPS信号から時刻同期用基準信号および基準時刻データを抽出する基準信号入力機能を備え、さらにこの抽出した時刻同期用基準信号および基準時刻データを前記1対1対向方式の通信路38を介して前記センサーユニット28b−1〜28b−nへ送信する。
これにより、変電機器本体内主回路交流の電気量に対し、センサーユニット28b−1〜28b−nで時刻同期(サンプリング同期および時刻付け)を行う。なお、GPS受信データの利用は本発明を限定するものではなく、あくまでも一例である。
次に、図19の特徴について説明する。なお、本図は図17に対し、統合ユニット39−2とセンサーユニット28b−1〜28b−n間の送受信を1経路の通信路38で行う点が相違し、これ以外の機能および作用は図17の場合と同様であるので、相違する部分のみ説明する。
この図19の実施形態では、1対1対向通信路38によりセンサーユニット28b−1〜28b−nから統合ユニット39−2へのディジタルデータを送信し、また同通信路38により統合ユニット39−2からセンサーユニット28b−1〜28b−nへの時刻同期用基準信号および基準時刻データを送信するので、通信路38はシリアル通信路とすることでケーブル配線スペースを小さくすることができる。
この場合、通信路38上のデータ送受信は双方向通信となる。いわゆる半2重通信等である。シリアル媒体で双方向通信する場合、送受信データの衝突を避けるため、データ通信をアービトレーションする必要がある。
本実施形態の場合、センサーユニット28b−1〜28b−nにて変電機器本体の電気量のサンプリング同期および時刻付けを行うために、時刻同期用基準信号および基準時刻データを、確実に所定のタイミングで遅れなく統合ユニット39−2からセンサーユニット28b−1〜28b−nへ送信することが必須である。
このため、統合ユニット39−2が本通信路38の送受信する優先権を有する必要がある。例えば、統合ユニット39−2をマスター(親局)とし、センサーユニット28b−1〜28b−nをスレーブ(子局)とする。このマスター・スレーブ方式では、マスター側がスレーブ側にポーリングして、スレーブ側から送信要求があるか問い合わせ、マスター側が受信してよい場合にスレーブ側に送信許可信号を送信し、この送信許可信号を送信後、マスターは受信待ち状態になる。
この送信許可信号を受信したスレーブ側は送信権を得たため、マスターへ変電機器本体の電気量のディジタル値をシリアル送信する。逆にマスター側は受信待ち以外では、常にスレーブに対し、データ送信できる方式とする。これにより、統合ユニット39−2は確実に遅れなくセンサーユニット28b−1〜28b−nに時刻同期用基準信号および基準時刻データを送信でき、この送信間隔の空き時間に所定の周期でポーリングしてセンサーユニット28b−1〜28b−nから変電機器本体の電気量のディジタルデータを受信する。
GPS受信機41を用いた場合、時刻同期用基準信号および基準時刻データは1秒周期でよい。これは、センサーユニット28b−1〜センサーユニット28b−nにて変電機器本体の電気量をサンプリングする周期(例えば2400Hz、2880Hz等の電気角7.5度等)より、十分長く、前記電気量のディジタルデータを統合ユニット39−2が受信することに支障はない。
また、ポーリング方式ではなく、スレーブ側のセンサーユニット28b−1〜28b−nにデュアルポートメモリ等を備え、このメモリをインターフェースとして、センサーユニット28b−1〜28b−nは自身のユニット内部で前記メモリをアクセスするようにすると共に、マスター側の統合ユニット39−2は通信路38を独占使用して前記メモリ上のデータを読み込むようにすることで、変電機器本体の電気量のディジタルデータを取り込むことができる。
また、統合ユニット39−2からセンサーユニット28b−1〜28b−nに時刻同期用基準信号および基準時刻データを送信し、このデータを受信したセンサーユニット28b−1〜28b−nは時刻同期用基準信号を割込み信号とし、基準時刻信号はシリアル受信データとして処理する方法等もある。
この方法はマスターである統合ユニット39−2が送信および受信共に通信路38を占有することによって達成できる。なお、図19の実施形態で採用する統合ユニット39−2の詳細構成は例えば図20に示す構成である。
この図20で示した統合ユニット39−2と図18との相違点は、基準時刻分配手段39c−1から1対1対向通信路40を無くすことにより、時刻同期用基準信号および基準時刻データを統合ユニット39−2内部で伝送路40−1経由にて、センサーユニットデータ統合手段39e−1に出力する点にある。センサーユニットデータ統合手段39e−1は先に説明した通信アービトレーション機能を装備している。
また、この実施形態で採用するセンサーユニット28b−1〜28b−nの構成は例えば図21に示す構成となる。図3(a)との相違点は、時刻同期用基準信号および基準時刻データを取り込んでいた1対1対向通信路40aを無くし、入出力手段が一つの通信路38−1である半2重シリアル通信の送受信を行う入出力手段28b−gとなる点にある。なお、電源は図示を省略してある。この場合、内部バス28eを介して、サンプリング同期入力回路28d、同期手段28b−aおよびCPU28f間でサンプリング同期および時刻付けを制御する。
以上述べた2つの実施形態によれば、従来の回線制御装置および保護装置から、アナログ入力回路を分離した本発明の構成においても、アナログ入力の時刻同期が可能になり、特に高い精度が要求される保護リレー演算が可能になる。また、アナログ入力回路を備えたセンサーユニットにて、時刻同期(サンプリング同期および時刻付け)を行うため、最も安定した時刻同期を実現することができる。
更に、時刻付き同期データをセンサーユニットで処理するため、統合ユニットと保護制御ユニット間では、多少の遅延は許容でき、通信速度がトラフィックの状態により影響を受ける汎用イーサネット等を用いても、プロセスバス29を構成でき、プロセスレベル、ベイレベル間の装置の拡張等の柔軟性も高くなる。
また、GPSデータを変電所内又は変電所間で基準とするため、変電所内又は変電所間で同一の時刻、同一の基準信号が扱える。よって、変電所内又は変電所間の時刻同期が高精度かつ容易に行える。
なお、本実施形態では、GPSデータを図16に示した第6の実施形態のシステムにおける共通基準信号として、時刻同期に使用する例であるが、GPSデータを利用する形態でなく、例えば、基準信号および時刻発生器を設け、これを本システムや変電所間の共通基準信号として扱ってもよいことは言うまでもない。
また、統合ユニットとセンサーユニット間の通信を共通のシリアルケーブルにて半2重シリアル通信で接続することもでき、この場合、送信、受信を分けるいわゆる全2重通信としなくてもよく、通信ケーブルを半減させることができ、コストおよびケーブル配線スペースの縮小に効果がある。
なお、本実施形態はすべての請求項に記載している内容の実施形態の統合ユニットとセンサーユニットの時刻同期(サンプリング同期と時刻付け)について、適用できることは言うまでもない。
(第7の実施形態の変形例)
保護制御ユニット、統合ユニット、センサーユニットの主機能は既に説明した実施形態態で説明済みなので、この変形例での機能を中心に以下、説明する。
この変形例と第7の実施形態(システム構成)および統合ユニットの構成(GPS等のデータを利用する点も含めて)は同じである。
異なる点は、統合ユニット39とセンサーユニット28−1〜28−nにおける変電機器本体の主回路交流の電気量に対するサンプリング同期および時刻付けの機能分担である。よって、異なる部分のみ説明する。
統合ユニット39からセンサーユニット28−1〜28−nへは通信路40を介して時刻同期用基準信号のみ送信する。この時刻同期用基準信号の具体例は図28記載の信号SPTである。
また、この信号SPTの元になる信号の具体例は図28記載の波形WV1である。これら信号SPTおよび波形WV1の詳細については、第10の実施形態の該当部分で説明済みである。
センサーユニット側28−1〜28−nの処理は図3(b)に示す手順S2、手順S3のサンプリング同期に限る。このサンプリング同期により各センサーユニット28−1〜28−n間でサンプリング同期のとれた変電機器本体の主回路交流の電気量(電流又は電圧)のディジタル値データを統合ユニット39へ送信する。
統合ユニット側の処理は、図3(b)に示す時刻付け処理S4である。
以上の通り、センサーユニットと統合ユニットはサンプリング同期と時刻付けを機能分担する。
プロセスバス29で統合ユニット39と結合した保護制御ユニット23では、統合ユニット39から、サンプリング同期をとった時刻付き電気量(ディジタル値)を取り込み、変電機器本体の監視、制御および保護を行う。
なお、この変形例においても、第7の実施形態で挙げた他の実施形態同様、統合ユニット39とセンサーユニット28b−1〜28b−n間のPoint−To−Point通信路40を削除し、図19の通信路38で全て送受信データを共通の通信媒体(シリアルバス)で行うこともこの変形例の他の実施例に当たる。
この変形例によれば、従来の回線制御装置および保護装置から分離したアナログ入力の時刻同期が可能になる。これにより、特に、高い精度が要求される保護リレー演算が可能になる。また、アナログ入力回路を備えたセンサーユニットにて、サンプリング同期を行うため、最も安定したサンプリング同期を実現する。
時刻付けに関しては、統合ユニットで処理する。よって、統合ユニットと保護制御ユニット間では、多少の遅延は許容でき、通信速度がトラフィックの状態により影響を受ける汎用イーサネット等を用いても、プロセスバス29を構成でき、プロセスレベル、ベイレベル間の装置の拡張等の柔軟性も高くなる。また、センサーユニットで時刻付けが不要になるため、システム構成上、装置台数が多くなる各センサーユニットの処理負荷および統合ユニットへの伝送量を抑えることが可能となる。
更に、GPSデータを変電所内又は変電所間で基準とするため、変電所内又は変電所間で同一の時刻、同一の基準信号が扱える。よって、変電所内又は変電所間の時刻同期が高精度かつ容易に行える。
なお、この変形例では、GPSデータを請求項1記載のシステムの共通基準信号として、時刻同期に使用する例であるが、GPSデータを利用する形態でなく、例えば、基準信号および時刻発生器を設け、これを本システムや変電所間の共通基準信号として扱ってもよいことは言うまでもない。
また、統合ユニットとセンサーユニット間の通信を共通のシリアルケーブルにて半2重シリアル通信で接続することもでき、この場合、送信、受信を分けるいわゆる全2重通信としなくてもよく、通信ケーブルを半減させることができ、コストおよびケーブル配線スペースの縮小に効果がある。
なお、この変形例はすべての請求項に記載している内容の実施形態の統合ユニットとセンサーユニットの時刻同期(位相同期と時刻付け)について、適用できることは言うまでもない。
(第8の実施形態)
図22は、本発明に係わる保護制御システムの第8の実施形態を示す図であり、特に主要部の構成を示す図である。
図22において、保護制御ユニット23、統合ユニット39−3、センサーユニット28c−1〜28c−nの主機能は既に説明した実施形態とほぼ同じなので、実施形態で特徴ある機能を中心に説明する。
図22に示す通り、本実施形態では、統合ユニット39−3からセンサーユニット28c−1〜28c−nへ時刻同期用基準信号を送信する1対1対向通信路40を省いている。その代わりに、センサーユニット28c−1〜28c−nの特定のセンサーユニット(例えばセンサーユニット28c−1)から、他のセンサーユニット(例えばセンサーユニット28c−2〜センサーユニット28c−n)に対し共通の専用通信路40−2を介して同期用基準信号を配信する。
すべてのセンサーユニット28c−1〜28c−nは、この同期用基準信号(一定周期を通知するパルス信号等)を共有し、図3(a)に示す同期手段28a(但し、本実施形態では通信路40aが通信路40−2に変わる)にて、センサーユニット内に装備したクロック発振周波数を分周して生成したサンプリング信号と同期用基準信号を使って、図3(b)の手順S2,S3相当の処理を行う。
なお、同期用基準信号は例えば、後述する図28に記載の信号SPT相当がその一例となる。信号SPTの説明は第10の実施形態の該当説明文に記す。
統合ユニット39−3側の処理は、図3(b)に示す時刻付け処理S4と同じである。統合ユニット39−3の構成は図20において、通信路40−1、基準信号分配手段39c−1、伝送路39gを取り除き、内部バス39fと基準信号入力手段39dを接続した構成と同じである。
この場合、GPS受信機41から入力した信号から、基準信号入力手段で抽出した時刻同期用基準信号と基準時刻データ(基準信号入力手段が入力する信号の具体例は図28記載の波形WV1相当である。WV1の説明は第10の実施形態の該当説明文に記す。)をCPU39bで処理して、センサーユニットデータ統合手段39e−1からセンサーユニット28c−1〜28c−nの同期した「変電機器本体の主回路交流の電気量(ディジタル値)」を取り込み、時刻付けを行う。時刻付け方法は図3(b)の処理S4である。
以上述べた通り、サンプリング同期と時刻付けを統合ユニット39−3とセンサーユニット28c−1〜28c−nで機能分担する。
プロセスバス29で統合ユニット39−3と結合した保護制御ユニット23では、統合ユニット39−3からのサンプリング同期をとった時刻付付き「変電機器本体の主回路交流の電気量(ディジタル値)」を取り込み、変電機器本体の監視、制御および保護を行う。
上記説明では、センサーユニットでのサンプリング同期用基準信号を特定のセンサーユニットから、他のセンサーユニットに分配する例を説明したが、変形例として、変電所内又は変電所間で共通の信号発生器を設け、この信号発生器で生成した同期用基準信号を各センサーユニットに送信する構成でもよい。この信号発生器にGPS受信機を利用しても良いことは言うまでもない。本実施形態によれば、従来の回線制御装置および保護装置から、アナログ入力回路を分離した本発明の構成においても、アナログ入力の時刻同期が可能になる。
これにより、特に、高い精度が要求される保護リレー演算が可能になる。また、アナログ入力回路を備えたセンサーユニットにて、サンプリング同期を行うため、最も安定したサンプリング同期を実現する。
時刻付けに関しては、統合ユニットで処理するので、統合ユニットと保護制御ユニット間では多少の遅延は許容でき、通信速度がトラフィックの状態により影響を受ける汎用イーサネット等を用いても、プロセスバス29を構成でき、プロセスレベル、ベイレベル間の装置の拡張等の柔軟性も高くなる。
また、センサーユニットで時刻付けが不要になるため、システム構成上、装置台数が多くなる各センサーユニットの処理負荷および統合ユニットへの伝送量を抑えることが可能となる。
また、統合ユニットからセンサーユニットへサンプリング同期に必要な信号を配信する専用の通信手段が不要になり、センサーユニットと統合ユニット間の多数の前記専用ケーブルを削減できる。
更に、本実施形態においても、第7の実施形態と同様に統合ユニットでの時刻付けは、GPSデータを変電所内又は変電所間で基準とするため、変電所内又は変電所間で同一の時刻が扱える。よって、変電所内又は変電所間の時刻付けが高精度かつ容易に行える。
なお、本実施形態では、GPSデータを変電機器保護制御システムに共通の基準時刻データとして、時刻付けに使用する例であるが、GPSデータを利用する形態でなく、例えば基準信号および時刻発生器を設け、これを本システムや変電所間の共通基準信号として扱ってもよいことは言うまでもない。また、本実施形態は上述した他の実施形態の統合ユニットとセンサーユニットの時刻同期(位相同期と時刻付け)について、適用できることは言うまでもない。
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態について図23から図26を参照して説明する。図23は、本発明に係わるの変電機器保護制御システムの第9の実施形態を示す図であり、特に主要部を説明する構成図である。
なお、保護制御ユニット23、統合ユニット39−4、センサーユニット28d−1〜28d−nは既出の実施形態で、その主要機能は説明済みであるので、本実施形態特有な機能を中心に説明する。
図23から判るように、第8の実施形態の図22に示すセンサーユニット間で同期用基準信号を送信していた伝送路40−2を、本実施形態では削除している。本実施形態では、統合ユニット39−4は図24に示す構成例を採用する。
図24は図20と比較し、統合ユニット39−4に同期手段39hを装備させ、CPU39bと内部バス39fで結合している。つまり、変電機器本体主回路の電気量のサンプリング同期および時刻付けは全て統合ユニット39−4にて行うように構成されている。
このため、統合ユニット39−4と接続するn台のセンサーユニット28d−1〜28d−nには、各センサーユニット間の同期を必須条件とせず、各センサーユニットでサンプリングした電気量のA/D変換データ(ディジタル値)を1対1通信路38へ送信することになる。
すなわち、本実施形態のセンサーユニット28d−1〜28d−nは、変電機器本体主回路の電気量のA/D変換データを送信するだけの機能を持てば良いので、図3(a)に示す構成回路の同期手段28aおよびCPU28fを削除することができる。従って、センサーユニットの構成は極めてシンプルなハード構成となる。
なお、CPU28fは高精度なCPU相当の制御LSIが不用という意味であり、サンプリング同期入力回路28dと出力手段28gを制御する最小限の制御手段の実装は必要になる場合もある。
次に、統合ユニット39−4でサンプリング同期および時刻付けを行う方法の具体例を説明する。第一の方法としては、センサーユニット28d−1〜28d−nの特定のセンサーユニットからサンプリングする電気量のA/D変換データ(ディジタル値)に同期用基準信号を追加し、1対1対向通信路38へ送信する。この同期用基準信号に基づき、センサーユニット28d−1〜28d−nのディジタル出力の同期補正を行う。
この同期用基準信号を取り込んだ統合ユニット39−4では、この信号をセンサーユニット28d−1〜28d−nからのディジタルデータに対する同期用の基準信号として、図3(b)に示す手順S2、S3の時刻同期用基準信号の代用として使用する。手順S4はGPS等のデータから抽出した時刻同期用基準信号を使用することは言うまでもない。
なお、統合ユニット39−4でGPS受信機から取り込む時刻同期用基準信号および基準時刻信号の具体例は図28記載の波形WV1である。波形WV1の説明は第10の実施形態の該当説明文に記す。また、本実施形態では、センサーユニットからのディジタルデータは非同期でサンプリングしたものであるので、図3(b)に示す補完処理の手順S1も必要に応じて実施する。
以上述べた第一の方法の特徴は、センサーユニット28d−1〜28d−nから統合ユニット39−4へ送信する電気量のディジタルデータに同期用基準信号を追加する点にある。この同期用基準信号は正弦波、矩形波、周波数を特に制限するものではない。
この同期用基準信号の一例として、変電機器本体内主回路交流の電流又は電圧のアナログ電気量に対する基本波とした場合について述べる。図3(a)に示すアナログ入力手段28bに、基本波入力用チャネルを1ポート(基本波入力専用チャネル)設ける。この基本波も他のアナログ電気量と同様にサンプリング同期入力回路28dで処理し、出力手段28gにて1対1対向通信路38へ送信する。なお、本実施形態では、各センサーユニットに図3(a)の同期手段28aは必要ない。
シリアルリンクで構成した1対1対向通信の場合、図25で示すように、各チャネル(チャネル1:CH1、チャネル2:CH2…チャネルn:CHnにおいて、例えば、チャネルnを基本波チャネルとする等)のディジタルデータが逐次出力される。このデータを統合ユニット39dが取り込み、基本波を基準として、全センサーユニット28d−1〜センサーユニット28d−nから取り込んだ全チャネルの電気量(ディジタル値)の同期処理を行う。
図26は、統合ユニット39−4が取り込んだセンサーユニットの各チャネルの電気量を示す波形図であり、このうちセンサーユニット28d−1の任意チャネルの電気量を示す波形をSf100とし、センサーユニット28d−2の任意チャネルの電気量を示す波形をSf101とし、センサーユニット28d−nの基本波チャネルの電気量(同期用基準信号)を示す波形をSf10nと仮定している。
波形Sf100、波形Sf101は、同期用基準信号である波形Sf10nの位相にあわせ込む(同図において、波形Sf100のSf10nへのあわせ込み矢印SY100、波形Sf101のSf10nへのあわせ込み矢印SY101をあわせ込みの概念図として図示)ことで、波形Sf100、波形Sf101の電気量データを位相補正する。位相補正した電気量に対する時刻付けは図3(b)の手順S4に従う。
なお、第1の方法では、特定のセンサーユニットから同期用基準信号を付加しているが、この同期用基準信号を付加するセンサーユニットが複数になることを許容する。複数になれば、1装置のセンサーユニットが故障しても、他のセンサーユニットからの同期用基準信号で再位相補正できる。
第2の方法としては、センサーユニット28d−1〜28d−nのディジタル出力の中で、最も位相遅れの大きい電気量の波形を基準にして、他の電気量の位相を合わせ込む方法もある。以上の具体例でサンプリング同期させ、GPS信号等から抽出した時刻同期用基準信号および基準時刻データに基づき、図3(b)の手順S4で時刻付けを行う。
プロセスバス29で統合ユニット39−4と結合した保護制御ユニット23では、サンプリング同期をとった時刻付き電気量(ディジタル値)を取り込み、変電機器本体の監視、制御および保護を行う。
従って、本実施形態によれば、従来の回線制御装置および保護装置から、アナログ入力回路を分離した構成ではあるが、アナログ入力の時刻同期が可能になる。これにより、特に、高い精度が要求される保護リレー演算が可能になる。
時刻付けは、統合ユニットで処理する。よって、統合ユニットと保護制御ユニット間では、多少の遅延は許容でき、通信速度がトラフィックの状態により影響を受ける汎用イーサネット等を用いても、プロセスバス29を構成でき、プロセスレベル、ベイレベル間の装置の拡張等の柔軟性も高くなる。
また、サンプリング同期処理も統合ユニットで行うため、センサーユニットにサンプリング同期のための回路、高速演算を行うCPU等が不要になり、センサーユニットはアナログデータをディジタル値に変換し、統合ユニットへ垂れ流すだけで良く、センサーユニットのハード規模を小さくできる。
センサーユニットは本システム構成では、保護制御ユニット、統合ユニットに対し、多数、変電機器本体又は本体近傍に設置する場合が多い。センサーユニットのハード規模が小さくなることで、センサーユニットおよびシステムの故障率を抑え、低コスト化することが可能になる。
また、センサーユニットで時刻付けが不要になるため、システム構成上、装置台数が多くなる各センサーユニットの処理負荷および統合ユニットへの伝送量を抑えることが可能となる。更に、GPSデータ等を変電所内又は変電所間で基準とするため、変電所内又は変電所間で同一の時刻が扱え、変電所内又は変電所間の時刻同期が高精度かつ容易に行える。
なお、本実施形態では、GPSデータを請求項1記載のシステムの共通基準信号として、時刻同期に使用する例であるが、GPSデータを利用する形態でなく、例えば、基準信号および時刻発生器を設け、これを本システムや変電所間の共通基準信号として扱ってもよいことは言うまでもない。
更に、本実施形態は上述した他の実施形態の統合ユニットとセンサーユニットの時刻同期(位相同期と時刻付け)について、適用できることは言うまでもない。
(第10の実施形態)
次に、本発明の第10の実施形態について、図27および図28を参照して説明する。図27は、本発明に係わる変電機器保護制御システムの第10の実施形態を示す主要部構成図である。
保護制御ユニット、統合ユニット、センサーユニット、機器制御ユニットは既出の実施形態で、その主機能を説明してあるので、ここでは本実施形態特有の機能を中心に説明する。
図27において、統合ユニット39はGPS受信機41から時刻同期のための基準信号を入力し、信号SPT(変電機器本体の主回路交流の電気量のサンプリング同期および高精度な時刻付け(1マイクロ秒程度の精度等)用信号)をセンサーユニット28−1〜28−nへ配信すると共に、GPS受信機41の前記基準信号から変電機器本体の状態イベントに対する時刻付け用基準信号SOEを機器制御ユニット30−1〜30−nへプロセスバス29経由で保護制御ユニット23、機器制御ユニット30−1〜30−nに配信するように構成されている。
変電機器本体の状態イベントとは、例えばガス遮断器等では、ガス圧力、温度、油圧、開閉器の開閉状態、開閉動作、機器故障(油圧用ポンプ等のアラーム等)等である。これらは、監視制御対象項目ではあるが、変電機器本体主回路電気量から事故判定等を行う保護機能と比較すると、監視制御用状態(状態イベント)への時刻付けは高精度な時刻付けを必要としない。
事故判定等の保護機能では、電気量の時刻同期は通常1マイクロ秒程度の精度が必要とされるが、変電機器本体の監視制御用状態イベント(主機動作状態等)は1ミリ秒の精度で十分とされている。プロセスバス29をLAN等の双方向通信とすると、プロセスバス29に保護制御ユニット23、統合ユニット39、機器制御ユニット30−1〜30−nが接続されることで、プロセスバス29のトラフィック状態により、通信時間にばらつきがあり、一定時間が保証されない。そのため、1マイクロ秒の時刻データ配信には適さないが、1ミリ秒オーダであれば通信遅延およびばらつきを考慮しても可能な仕様である。
この1ミリ秒の時刻付けの基準となる信号SOEを統合ユニット39からプロセスバス29経由で機器制御ユニット30−1〜30−nへ送信する。機器制御ユニット30−1〜30−nでは、この基準信号SOEにより変電機器本体の状態イベントの時刻付けを行う。
図28は時刻同期用基準信号と時刻データの関係の一例を示す図である。GPS受信機41から統合ユニット39へ送信される基準信号WV1は、例えば、1秒毎のパルス信号に時刻データTIMEが重畳した信号である。パルス間隔TI1(TP1トリガからTP1-1まで)は高精度な1秒周期である。この1秒パルス間にGPS絶対時刻等の時刻データTIMEが重畳しており、統合ユニット39では、この基準信号WV1から高精度1秒割込みを生成し、且つ、時刻シリアルデータTIMEを抽出する。
前述した第7の実施形態では、基準信号WV1をそのままセンサーユニット28−1〜28−nへ配信する方法等がとられ、前述した第7の実施形態の変形例では、時刻データTIMEを取り去った高精度1秒割込み信号(基準信号)SPTをセンサーユニット28−1〜28−nへ配信する方法等がとられる。
統合ユニット39からセンサーユニット28−1〜28−n間を1対1対向伝送のシリアル伝送等とすると、信号衝突もなく、高速に基準信号SPTの配信ができ、配信時間のバラツキも少ない。
この場合、シリアル通信時間の遅れ(固定時間)はTD2(=TD2-1)であり、この遅れのバラツキは1マイクロ秒より小さいものであり、保護演算用の電気量への時刻付けおよびサンプリング同期用基準信号として精度上、問題ない。
次に、基準信号SOEについて述べる。プロセスバス29を、例えばパケット送信の双方向シリアルバス(LAN等)とした場合、プロセスバス29経由で時刻付きパケット信号SOEは、TP1およびTP1-1のタイミングで統合ユニット39から機器制御ユニット30−1〜30−nへ配信される。LAN等のパケット送信ではパケットデータの衝突が発生するため、トラフィックによっては、時刻付きパケットSOEの配信時間の遅れおよびばらつきが発生する。
この場合、プロセスバス29配信の遅れ時間はパケットSOEのSOE1およびSOE1-1受信タイミングとタイミングTP1およびTP1-1間の時間はTD3(≠TD3-1)とばらつき、データ衝突が多発すると、1秒周期TI1と機器制御ユニット30−1〜30−nで受信した1秒周期TI3は数百マイクロ秒程度の精度低下が予想される。しかし、この程度の精度低下は、状態イベントの時刻付けには精度上問題ないレベルである。
本実施形態により、プロセスバスをLAN等の双方向シリアルバスで構成しても、状態イベントの時刻付けは本構成で可能となる。また、複数の機器制御ユニットへ統合ユニットから共通プロセスバス経由で状態イベント用時刻基準信号を配信する場合、配信用通信ケーブル等を複数敷設する必要もなく、低コストで状態イベントの時刻付けシステムが構成できる。
なお、本実施形態で説明した統合ユニットから機器制御ユニットへ状態イベント用基準信号を配信し、機器制御ユニットにて状態イベントに時刻付けする技術は、他の実施形態の統合ユニットと機器制御ユニットに対しても適用できることは言うまでもない。
(第11の実施形態)
図29は、本発明に係わる変電機器保護制御システムの第11の実施形態を示す図であり、特に変電機器本体とセンサーユニットとの関係を示す図である。本実施形態は、図16の実施形態を一部変更したものであり、図16と大きく異なる点は、図16が各センサーユニット28の出力を統合する統合ユニット39を設けたのに対し、本実施形態では、電流検出手段27−1、27−2、電圧検出手段27−3から検出されたアナログデータをアナログ回路38´を通して共通のセンサーユニット28´に導き、このセンサーユニット28´でディジタルデータに変換し、プロセスバス29に伝送するようにした点にある。
この実施形態の場合、センサーユニット28´は、例えばプロセス制御箱31内で保護制御ユニット23と共に収納する。各電流検出手段、各電圧検出手段とセンサーユニット28の間は前述のようにアナログ回路38´で接続され、センサーユニット28と保護制御ユニット23と機器制御ユニット30は、プロセスバス29で接続される。
以上のような構成を有する第11の実施形態の変電機器保護制御システムは、次の動作を行う。電流検出手段27−1,27−2、電圧検出手段27−3の出力は、保護制御ユニット23近傍に設置されたセンサーユニット28にアナログ電気信号として送信される。
センサーユニット28は入力した各電流、各電圧のアナログ電気信号をディジタル値に変換し、これらを例えば保護制御単位毎に伝送フレームに統合し、且つ時刻付けをしてプロセスバス29を介して保護制御ユニット23へ伝送する。なお、センサーユニットに演算用CPUを組み込むことにより、ディジタル値に変換した電流、電圧情報の感度補正演算を行ったり、位相補正演算を行うこともあり得る。
なお、本実施形態で説明したセンサーユニットによるデータ統合に関しても、第6の実施形態の説明で述べた統合ユニット(MU)によるデータ統合の補足説明の内容が適用できることは言うまでもない。すなわち、センサーユニットによるデータ統合は、保護制御単位毎に伝送フレームに統合することに限定するものではない。
以上のような構成を有する第11の実施形態の変電機器保護制御システムによれば、次の効果を奏することができる。
この構成の適用は、例えば鉄心コアの変流器を使用するなど、電流検出手段と電圧検出手段の2次出力が比較的大きく、ノイズの影響を受けることなく比較的長い距離をアナログ電気量で伝送できる場合に限られるが、ベイ毎に少なくとも1組のセンサーユニットを配置すれば良い(なお、変圧器回線など必要に応じて2台以上のセンサーユニットを配置することが望ましい場合もある。)。
この結果、ベイ内のセンサーユニットと機器制御ユニットと保護制御ユニットを結合するプロセスバスにおいて、ノードの数を必要最小限にすることができるので、統合ユニットを適用した場合よりもより経済的なシステムを構築できる。かつ、ベイ内の複数の電気量を必要最小限の伝送フレームで送信するので、プロセスバスを効率よく構成することができることは第6の実施形態と同じである。
(第12の実施形態)
次に、図30および図31を参照して本発明に係わる変電機器保護制御システムの第12の実施形態について説明する。
図30は、前述した保護制御ユニット(PCU)23、統合ユニット(MU)39および新たに設けた機器制御ユニット通信手段(CMU通信手段)42、プロセスバス通信手段43のそれぞれの機能をプリント基板に実装し、これらのプリント基板を集合ケース44の背面にてバックボードに設けたパラレルバス(内部バス)45で接続する構成としたものである。
図31は、集合ケース44内に保護制御ユニット(PCU)23、統合ユニット(MU)39および機器制御ユニット通信手段(CMU通信手段)42、プロセスバス通信手段43の各プリント基板を1枚づつ収納した様子を示す斜視図である。なお、この集合ケース44は、前記プロセス制御箱31の中に収納するようにしても良く、プロセス制御箱31自体を集合ケース44としてもよい。
図30に戻って、機器制御ユニット通信手段(CMU通信手段)42は、機器制御ユニット(CMU)30a−1〜30a−nから保護制御ユニット(PCU)23へ通信する上がり信号である機器制御監視データ(例えば、機器制御ユニットが取り込む監視制御対象機器にて制御する系統の電気量データおよび監視制御対象機器の運転状態データ、監視制御対象機器に取り付けられたセンサ出力信号等)および下り信号である保護制御ユニット23から機器制御ユニット30a−1〜30a−nへ通信する制御信号(遮断器への遮断指令等)を中継するものである。
統合ユニット(MU)39は各センサーユニット(SU)28−1〜28−nから上がってくる電気量を例えば保護制御単位毎にフレームに統合し、パラレルバス45に送信する機能を有する。
一方、プロセスバス通信手段43は、パラレルバス45とプロセスバス29間の通信を中継することおよび通信プロトコルの変換を行うものであり、必要に応じてスイッチングハブ29−2等のバス調停装置を介して、下位に位置する統合ユニット39や機器制御ユニット30−1〜30−nに接続され、更に図示していない他ベイにある統合ユニットや、機器制御ユニットあるいは保護制御ユニット等と接続される。母線保護を行う場合には他ベイの電気量情報が必要であり、プロセスバス29経由で他ベイとのデータ送受を行うことになる。
なお、保護制御ユニット、統合ユニット、機器制御ユニット等とデータ送受信を行うためには宛先指定を行う必要があるが、この場合は送信データの所定のフラグビット等で指定すれば良い。なお、機器制御ユニット30a−1〜30a−nへの送受信制御は機器制御ユニット通信手段42が行う。
このように、本実施形態は、保護制御ユニットPCU23、統合ユニットMU39、機器制御ユニット通信手段42およびプロセスバス通信手段43を一つの集合ケース44内でバックボードによって、パラレルバス45と接続するように構成したので、プロセスバス構成規模を小さくでき、集合ケース44にコンパクトに納めることができるため、集合ケース44の設置スペース確保等も容易になり、変電機器本体又は本体近傍に設置する形態に最も適していると言える。
この他、保護制御ユニット23、統合ユニット39、機器制御ユニット通信手段42、プロセスバス通信手段43を基板で構成する場合、各基板の故障時に該当基板のみ交換できる保守上の利点がある。また、同一基板内に複数のユニットの機能を実装する場合は、基板の枚数が少なくなると共に、回路部品点数を削減することもでき、故障率低減、コスト低下、小型化が実現できる利点がある。
また、保護制御ユニットPCU23、統合ユニット39、機器制御ユニット通信手段42およびプロセスバス通信手段43をパラレルバス45に接続する構成とすることにより、保護制御ユニット23が監視、制御および保護のために統合ユニット39からディジタルデータを取り込む際、パラレルバス45のみを使用し、プロセスバス29一切を使用しない。この結果、プロセスバス29の通信トラフィック負荷を非常に小さくすることができる。
もし、パラレルバスを採用せずに、統合ユニット39と保護制御ユニット23間の全ての情報の授受をプロセスバス(双方向バス:CSMA/CD方式のLANのシリアル伝送路等)を通して行う場合、プロセスバスのトラフィック負荷が大きくなり、変電機器本体の事故により保護制御ユニット23が遮断器のトリップ指令をプロセスバス29経由機器制御ユニットへ出したとしても、プロセスバスのトラフィック負荷が大きいためにプロセスバス経由では所定の時間内に遮断器トリップさせることができなくなる可能性がある。
しかし、本実施形態では、保護制御ユニット23と機器制御ユニット30a−1〜30a−n間の送受信をプロセスバス29を介さないで、パラレルバス45、機器制御ユニット通信手段42経由で行うため、リアルタイム性(特に遮断器トリップ指令等、保護機能上必要とされるリアルタイム性等)が確保できる。
また、機器制御ユニット通信手段42と機器制御ユニット30a−1〜30a−n間は1対1対向通信等とし、機器制御ユニット30a−1〜30a−n間でデータ衝突がない形態である。この通信はシリアルリンク等とすることで、ケーブル配線スペースを小さくできる。
なお、以上説明した実施形態では、集合ケース内44にプロセスバス通信手段43、統合ユニットMU39および機器制御ユニット通信手段42の全ての要素を設けなければならないわけではなく、場合によっては統合ユニットMUを省いたり、あるいはプロセスバス通信手段43を省いたりまたは、機器制御ユニット通信手段42を省いたりするようにしても良い。
また、集合ケース44内の要素を保護制御ユニット、統合ユニット、機器制御ユニット通信手段、プロセスバス通信手段のユニット(又はプリント基板)間を内部パラレルバス(バックボード、ケーブル等)45で結合するようにしたが、ユニット間のパラレルバス結合形態ではなく、電気あるいは電子回路レベルでの接続をパラレルバス結合としてもよい。
更に、保護制御ユニット23、統合ユニット39、機器制御ユニット通信手段42、プロセスバス通信手段43をそれぞれ1枚の基板(ユニット)で構成しても、組合せで一部は同一基板内の電子回路部として、他の一部は単独基板(ユニット)として構成してもよい。
(第13の実施形態)
次に、図32を参照して本発明の第13の実施形態について説明する。図32は第13の実施形態の主要部の構成を示し、ステーションバス7、遠方監視装置2、集中監視装置3は説明上不要であるので図には示していない。
図32において、Bayは同一電気所内の保護制御単位であるベイを表す。図示の電気所は単母線構成であって、しかも3相結線図で示してあり、送電線路26を遮断器25CBと図示していない断路器/接地開閉器等を介して母線24より分岐する構成としている。
遮断器25CBの母線24側には、各相に電流検出手段27−1を少なくとも1コアづつ配置し、1相に電圧検出手段27−4を少なくとも1コア配置しており、また、遮断器25CBの送電線26側には、各相に電流検出手段27−2を少なくとも1コアづつ配置し、各相に電圧検出手段27−3を少なくとも1コアづつ配置している。
各電流検出手段、各電圧検出手段の近傍にはセンサーユニット28が配置され、各センサーユニット28と統合ユニット39の間は1対1の通信手段38で接続される。一般には耐ノイズ性の観点から光通信で接続する。統合ユニット39と保護制御ユニット23と図示していない機器制御ユニットは、プロセスバス29で接続される。
なお、保護制御ユニットと統合ユニットと機器制御ユニット通信手段との間をパラレル伝送にて接続する組込み型装置を採用して、各電流検出手段、各電圧検出手段の出力を組込み型装置内の統合ユニットに入力する構成としても良い。
また、統合ユニットを使用しないで、各電流検出手段、各電圧検出手段の出力を一つのセンサーユニットに入力して、センサーユニットと保護制御ユニットと機器制御ユニットの間をプロセスバスで接続する構成としても良い。
また、保護制御ユニットとセンサーユニットと機器制御ユニット通信手段との間をパラレル伝送にて接続する組込み型装置を採用し、統合ユニットを使用しないで、各電流検出手段、各電圧検出手段の出力を組込み型装置内のセンサーユニットに入力する構成としても良い。
以上のような構成を有する第13の実施形態の変電機器保護制御システムによれば、ベイ毎に、線路保護、母線保護、遮断器の同期開閉に必要な全ての電気量を得ることができる最適構成であり、これらの電気量をプロセスバス29を介して機器制御ユニット、保護制御ユニットに伝送することができる。また、母線側にも電圧検出手段を配置するので、母線電圧情報の分配を不要にできる。また、2重母線構成の電気所においては、母線電圧情報の甲乙切換が不要となる。
(第14の実施形態)
図33は、本発明の第14の実施形態を示す図である。
本図と、図30の実施形態との違いは、パラレルバス45に接続される統合ユニット39の代わりに、図29で示したセンサーユニット28´と置き換えたものである。
すなわち、図33では、変電機器本体の監視、制御を行う保護制御ユニット23と、センサーユニット28と、機器制御ユニット30a〜30nと通信する機器制御ユニット通信手段42と、第1の実施形態で説明したプロセスバス29と通信するプロセスバス通信手段43とが集合ケースに収納され、パラレルバス45で互いに結合されている。
パラレルバス45は、例えばVMEバス、PCIバス、コンパクトPCIバス等であり、本実施形態ではパラレルバスを具体的に制限はしない。
この構成を採用することができる条件は、電流検出手段と電圧検出手段の2次出力が比較的大きく、ノイズの影響を受けることなく比較的長い距離をアナログ電気量で伝送できる場合に限られるが、ベイ毎に必要なセンサーユニットは少なくとも1組であり、統合ユニットは不要となる。
更に、図30同様、本プロセスバス接続機能により、プロセスバス直接接続用の保護制御ユニット、センサーユニット、機器制御ユニット等とプロセスバスを介したデータの送受が可能となる。
(第15の実施形態)
図34は本発明の第15の形態を示す保護制御システムのシステム構成図である。
本実施形態の特徴は、プロセスバス29とステーションバス7間にリピータ46を設け伝送信号を増幅して変電所全体に伝送するものである。すなわち、図33において、統合ユニット39は電流電圧のデータをプロセスバス29に伝送し、更にリピータ46を通して変電所全体に伝送する。
保護制御ユニット23はプロセスバス(機器内バス)29およびステーションバス(機器間バス)7から電流電圧データを取り込み保護制御を行う。遮断が必要な場合、保護制御ユニット23は遮断命令を機器制御ユニット30に伝送し、遮断器を動作させる。
本実施形態によれば、リピータによってプロセスバスからの伝送信号増幅することができるので、変電機器本体の設置場所から制御本館までの距離が長く、信号が減衰するような場合に好適である。
(第16の実施形態)
図35は本発明の第16の形態を示す保護制御システムのシステム構成図である。本実施形態は、既に説明した図34のリピータ46に代えてルータ47を設けたものである。このルータ47は、通信データの宛先アドレスなどから通信データの宛先を判断し、宛先の装置が接続されたネットワークへ通信データを中継する。
すなわち、図35において、統合ユニット39は電流電圧のデータを機器内バス29に伝送し、更にルータ47を通して変電所全体に伝送する。ルータ47は前記リピータ46とは違い当該機器だけに関係するデータは機器間バス29に送出しない。これにより、機器内バス、機器間バスには、必要最小限データが伝送されることになる。
(第17の実施形態)
図36は本発明の第17の形態を示す保護制御システムのシステム構成図である。
図36において、統合ユニット39、機器制御ユニット30、保護制御ユニット23は光ファイバ48によってハブ49に接続され、機器内バスを形成する。複数の機器内バスのハブ49は、光ファイバ48により機器間バスのハブ49に接続され、機器間バスを形成する。
なお、機器間バスのハブ49は光ファイバを介して保護制御ユニットに接続される。ハブ49は、光ファイバから入力した光信号を他の光ファイバに送信する機能を持つ。
本実施形態によれば、光ファイバにより装置間を接続するので、電磁ノイズに影響されない機器内バスおよび機器間バスが形成できる。
(第18の実施形態)
図37は本発明の第18の形態を示す保護制御システムのシステム構成図である。
図37において、統合ユニット39、機器制御ユニット30、保護制御ユニット23は光ファイバ48によってハブ49に接続され、機器内バスを形成する。複数の機器内バスのハブ49は、ルータ47を通して光ファイバ48により機器間バスのハブ49に接続され、機器間バスを形成する。なお、機器間バスのハブ49は光ファイバを介して保護制御ユニットに接続される。
本実施形態によれば、光ファイバにより装置間を接続するので、電磁ノイズに影響されない機器内バスおよび機器間バスを形成することができる。また、機器内バスと機器間バスの間にルータを設置したので、それぞれの機器内バス固有データが機器間バスへ送出されず、必要最小限のデータが伝送される。
(第19の実施形態)
図38は本発明の第19の形態を示す保護制御システムのシステム構成図である。図38において、統合ユニット39、機器制御ユニット30および保護制御ユニット23を接続する機器内部バスとして、シリアル伝送を行うプロセスバスに代えて複数ビットを同時に伝送できるパラレルバス50によって接続される。
そして更に、パラレルバス50にシリアル通信インターフェース51を接続し、このシリアル通信インターフェース51を、光ファイバ48により機器間バスのハブ49に接続し、機器間バスを形成する。
本実施形態では、統合ユニット39、機器制御ユニット30、保護制御ユニット23をパラレルバス50で接続したので、容易に高速な機器内バスを形成することができる。また、光ファイバにより機器間を接続するので、電磁ノイズに影響されないシステムを構築できる。
(第20の実施形態)
図39は本発明の第20の形態を示す保護制御システムのシステム構成図である。図39において、本実施形態は統合ユニット39、機器制御ユニット30、保護制御ユニット23を光ファイバ48によって、複数のベイ間を接続するスイッチングハブ49に接続するように構成したものである。
このスイッチングハブは、通信データの宛先アドレスなどから、その通信データ宛先を判定し、その宛先の装置が接続される光ファイバのみに通信データを出力する。
本実施の形態では、多数の装置が接続された場合でもスイッチングハブ49によってデータ交換を行うことで、それぞれの統合ユニット、保護制御ユニット間の個別の通信帯域を十分確保することができる。また、スイッチングハブ49および保護制御ユニット23を、環境の良い制御室(すなわち、ノイズの影響が少ない、空調設備で室温コントロールさせている等、ノイズ、温湿度、振動等が少ない環境の制御室)などに設置することが可能となり、保守を極めて容易に行うことができる。
更に、保護制御ユニットと任意の統合ユニットおよび機器制御ユニット間にはスイッチングハブが一つしか介在しないので、高速な通信が可能である。
(第21の実施形態)
図40は本発明の第21の形態を示す保護制御システムのシステム構成図である。図40において、本実施形態は、統合ユニット39、機器制御ユニット30、保護制御ユニット23、および、リピータ46またはルータ47をA,Bの2系統設置したものである。また、当然に機器内バス、機器間バスについても、それぞれA、B2系統分設置している。
この結果、瞬時データを伝送する統合ユニットからトリップコイルを駆動する機器制御ユニットまで、A,B系統は独立に動作するので、どちらかの系統に故障が生じ片系の機能が停止しても、正常な系によりトリップコイルの動作が可能である。
なお、センサーユニット28を計器用変成器27の近傍等電子部品にとって環境的に厳しい場所に設置する場合は、センサーユニット28を2重化することにより信頼性向上を図るようにしてもよい。
(第22の実施形態)
図41は、本発明の第22の実施形態を示す変電機器保護制御システムの構成図である。図41において、本実施形態は、ステーションバス7にゲートウェイ52を介してイントラネット53を接続し、更にこのイントラネット53にブラウザ54−1〜54−nを接続したものである。また、集中監視制御装置3、回線制御ユニット21−1〜21−n、保護ユニット22−1〜22−n、センサーユニット28、機器制御ユニット30にはそれぞれウェブサーバ55を組み込むようにしている。
本実施形態は、このように構成したので、集中監視制御装置3、回線制御ユニット21−1〜21−n、保護ユニット22−1〜22−nそれぞれのウェブサーバ55に監視情報を集め、各ウェブサーバ55から制御指令を出すことにより、イントラネット53に接続された遠隔のブラウザ54−1〜54−nからの監視制御が可能となる。
また、センサーユニット28、機器制御ユニット30についてもプロセスバス29を介して回線制御ユニット21−1〜21−n、保護ユニット22−1〜22−nに接続し、そこから更にステーションバス7ステーションバス7およびゲートウェイ52を介してイントラネット53に接続しており、同様にイントラネット53に接続された遠隔のブラウザ54−1〜54−nからの監視制御が可能となる。
更に、それぞれのウェブサーバを連携させることで、集中監視制御装置3、回線制御ユニット21−1〜21−n、保護ユニット22−1〜22−n、センサーユニット28、機器制御ユニット30を連携させた監視制御が可能となる。例えば、通常はブラウザ54−1で変電所全体の監視を行っており、異常が合った場合、該当する回線制御ユニット21−1、保護ユニット22−1、センサーユニット28、機器制御ユニット30に関係する情報の詳細な監視も同時に行うことなどである。
(第23の実施形態)
図42は、本発明の第23の実施形態を示す変電機器保護制御システムの構成図である。
図42において、集中監視制御装置3、回線制御ユニット21−1〜21−nおよび保護ユニット22−1〜22−nはステーションバス7に接続されたゲートウェイ9x01を介してイントラネット9x02に接続され、更にイントラネットにはブラウザ9x03−1〜9x03−nが接続されている。
また、集中監視制御装置3、回線制御ユニット21−1〜21−n、保護ユニット22−1〜22−n、センサーユニット28および機器制御ユニット30にはそれぞれウェブサーバを組み込んでおり、これらのウェブサーバには前記ゲートウェイ52あるいはパーソナルコンピュータ57との間で無線通信ができるように、無線通信手段56を備えており、前記ウェブサーバーデータをゲートウェイ52あるいはパーソナルコンピュータ57に送信する機能を有する。
本実施形態は、上記のように構成したので、集中監視制御装置3、回線制御ユニット21−1〜21−n、保護ユニット22−1〜22−nはそれぞれのウェブサーバ55に監視情報を集めておき、ブラウザ54側からウェブサーバ55に接続された無線通信手段56によりゲートウェイ52に制御指令を出すことにより、イントラネット53に接続された遠隔のブラウザ54−1〜54−nからの監視制御が可能となる。
また、センサーユニット28、機器制御ユニット30についても、ウェブサーバに接続された無線通信手段56によりゲートウェイ52に制御指令を出すことができるため、センサーユニット28、機器制御ユニット30はゲートウェイ52を介してイントラネット53に接続しており、同様にイントラネット53に接続された遠隔のブラウザ54−1〜54−nからの監視制御が可能となる。
更に、それぞれのウェブサーバを連携させることで、集中監視制御装置3、回線制御ユニット21−1〜21−n、保護ユニット22−1〜22−n、センサーユニット28、機器制御ユニット30を連携させた監視制御が可能となる。
例えば、通常はブラウザ54−1で変電所全体の監視を行っており、異常があった場合、該当する回線制御ユニット21−1、保護ユニット22−1、センサーユニット28、機器制御ユニット30に関係する情報の詳細な監視も同時に行うことができる。
(第24の実施形態)
図43は、本発明の第24の実施形態を示す保護制御システムのシステム構成図である。但し、図1に示す遠方監視装置2と集中監視装置3をまとめて、監視制御装置4として示している。
図43は、同一電気所内の保護制御単位であるベイBay−a〜Bay−nを、単母線構成の電気所の線路回線とした場合の主要部を示す図である。母線24より分岐する線路回線(ここではベイBay−aを使って説明する)は遮断器25CBaと、断路器/接地開閉器25Da1、25Da2と、電流または電圧検出手段27a1、27a2から構成されている。
電流または電圧検出手段27a1、27a2の近傍には図示していないが、センサーユニットがそれぞれ配置されており、各センサーユニットと統合ユニット39a間はそれぞれ1対1対向の通信路で接続されている。遮断器25CBa、断路器/接地開閉器25Da1、25Da2の近傍には、それぞれ対応する機器制御ユニット30a1〜30a3が設置されている。
そして、機器制御ユニット30a1〜30a3、保護制御ユニット23aおよび統合ユニット39aは、プロセスバス29aで接続されている。他の線路回線(ベイBay−n)も同様の構成である。また、図示していないが、変圧器回線、母線連絡回線、母線区分回線なども機器制御ユニット、統合ユニット、保護制御ユニット、プロセスバスを配置した類似の構成である。
各ベイBay−a〜Bay−n毎の保護制御ユニット23−1〜23−nは、ステーションバス7で監視制御装置4と接続されている。各ベイBay−a〜Bay−n間の通信は、各プロセスバス29a〜29nをルータ47を介して接続することによって行う。更に、このルータ47に通信手段47xを介して携帯端末58を接続する。この携帯端末には、LANインターフェースを備えた携帯端末接続手段58aが内蔵されている。なお、携帯端末接続手段58aは、携帯端末58から取り外し可能なものでも良い。
かくして、携帯端末58は、ルータ47を介してベイ毎のプロセスバス29a〜29nと接続され、機器制御ユニット30a〜30nや保護制御ユニット23a〜23nなどにアクセスすることができるようになっている。
これにより、携帯端末58は携帯端末接続手段58aと通信手段47xとルータ47を介して、ベイBay−a〜Bay−n毎のプロセスバス29a〜29nと接続し、機器制御ユニット30a〜30nや保護制御ユニット23a〜23nなどにアクセスすることができる。
以上述べた本実施形態によれば、プロセスバスにルータ等の接続装置を介して携帯端末を接続するようにしたので、変電所においてアクセスしたい機器から遠く離れた位置にいる場合でも、プロセスバスを介してその機器の情報を容易に得ることが可能になる。なお、ルータと携帯端末との接続には、図43のように有線で行う代わりに、無線で行うようにしても良い。携帯端末58には、例えば携帯型パソコンや、PDA、もしくは専用端末を使用する。前記通信手段47xとしては、例えばRS232CやGPIBやLANを使用し、有線(電気又は光伝送)でも無線でも良い。
(第25の実施形態)
次に、図44および図45を用いて第25の実施形態について説明する。
この実施形態の特徴の一つは、図5で説明した機器制御ユニット30の内部バス30gに携帯端末接続手段30hを設け、この接続手段30hに通信手段30iを介してパーソナルコンピュータやPDAもしくは専用携帯端末などの携帯端末58を着脱自在に接続したというハードウェア上の特徴である。
もう一つの特徴は、特定機器監視制御データに関しては、前記保護制御装置PCUまたは前記監視制御装置からデータ要求信号を受信したとき、および変電機器本体に異常が発生したときに直ちに前記保護制御装置PCUまたは前記監視制御装置に送信し、それ以外の機器監視データに関しては規定された周期で前記保護制御装置PCUまたは前記監視制御装置に送信するようにした点である。
まず、図44を参照してハードウェア上の特徴から述べる。
携帯端末58より機器制御ユニット30に機器制御監視データに関する要求指令があったときには、機器制御ユニット30は要求された機器制御監視データをデータ記憶手段30eから読み出し、携帯端末58に伝送する。要求された情報が機器の制御や状態表示に関わるものであるときは、その情報を携帯端末58上に表示することができる。
また、要求された情報が機器の監視に関わるものであるときは、波形情報だけでなく監視判定結果や開閉時間などの演算結果も同時に伝送する。携帯端末58が要求できるデータは、データ要求時点での当該機器のリアルタイム情報の他に、データ記憶手段30eに蓄積されたデータについても要求できる。
また、携帯端末58は、機器制御ユニット30とプロセスバス29を介して、保護制御ユニット23や監視制御装置4の記憶装置にデータベースとして蓄積されている情報や、保護制御ユニット23や監視制御装置4で表示されている情報を要求し、その情報を携帯端末58上で表示することができる。
更に、携帯端末58から機器制御ユニット30に対し変電機器本体25の駆動に関する要求指令があった時、機器制御ユニット30は、CPU30cでインターロック条件や保護制御ユニット23と監視制御装置4からの制御指令の比較・判定を行い、その判定結果に基づいて駆動回路30dから駆動信号を出力する。つまり、携帯端末58を操作することにより、変電機器本体25を操作することができる。
また、携帯端末58で適当なプログラムを走らせることにより、試験結果の良否判定、試験成績書の作成といった、試験・点検に付随する作業の自動化も可能となる。
以上のような構成を有する実施形態は次の効果を備えている。すなわち、現場制御盤を設けなくても、機器の制御や機器状態の表示が、現場にて携帯端末を通して可能になり、且つ現場にいながら保護制御ユニットや監視制御装置の情報を確認することができる。
また、機器監視装置に設置しているセンサを試験用センサとして使用することで、工場試験、現地据付試験において試験用のセンサと測定器とを取り付けることを不要とし、更に機器監視装置のインターフェース端末として携帯端末を用い、携帯端末からの指令によりデータを取り込んだり、主器を操作することにより、自動試験機能、自動点検機能、自動記録機能を実現できる。
遮断器を例に取ると、機器制御ユニットの入出力構成を後述の図46に示す構成とした場合、開閉試験(指令電流、動作時間、ストローク、制御電圧、油圧力、ガス圧力)、インターロック試験などの項目について自動化が可能となる。
従って、工場試験、現地据付試験における試験員の省力化、試験コストの低減を図ることができる。特に、携帯端末として無線端末を用い、無線通信により機器制御ユニットと接続する場合は、機器制御ユニットと携帯端末とのケーブル接続も不要となり、試験員の省力化、試験コストの低減を更に図ることができる。
また、機器制御ユニットがデータベースとして保存している工場試験時に取得したデータ、現地据付試験時に取得したデータ、運転時の制御監視データを携帯端末から参照することができるので、現在の機器の状態を、工場出荷時、現地据付試験時、過去の運転時の状態と比較することを容易にし、機器の保守、点検の効率を向上できる。
次に、図45を参照してソフトウェア上の特徴を述べる。図45において、機器制御ユニット30が、遮断器、断路器/接地開閉器などの変電機器本体に取り付けてある補助接点、監視センサから監視データを取り込むと、CPU30cはこれらの監視データについて演算を行い、変電機器本体の異常の有無を判定する。
ところで、機器制御ユニットCMU30が取り込む監視データには大きく分けて2種類あり、一方は電力系統監視システムが常時情報を把握すべきデータであり、もう一方は常時は必要としないが、異常が発生したときや機器状態の経年変化などを把握したいときなど、上位から要求があったときに必要となるデータである。
常時把握すべきデータは直ちに保護制御ユニット内の回線制御ユニットに入力され、非常時監視データはデータ記憶手段30eに一時記憶され、回線制御ユニット21等からの上位からのデータ参照要求時、当該上位システムに送信する。
遮断器25を例に挙げると、前者の常時把握すべきデータとしては、遮断器の開閉状態、油圧の異常有無(CPUで正常/異常判定した結果)、ガス圧力の異常有無(CPUで正常/異常判定した結果)など、遮断器の開閉制御やインターロックの構成に必要な情報であり、比較的短い間隔で周期的に回線制御ユニットなどの上位システムに伝送する必要がある。
後者の非常時監視データとしては、遮断器開閉操作時のストロークカーブ波形、指令電流波形、あるいは油圧力やガス圧力のアナログ値などで、これらは、遮断器に異常が発生したときに原因究明のためのデータの一つとして活用したり、また、これらデータの経年変化の傾向を把握することで、機器の点検時期や寿命の判断に活用できる。
これらデータの上位装置への伝送は、前者については比較的短時間で周期的に伝送する。後者は周期的に伝送する必要がなく、しかもデータ量が巨大で周期的に伝送することは非効率であり、非経済的であるため、機器制御ユニット内のデータ記憶手段に保存しておき、上位装置からデータの参照要求があったときに、被参照要求データを伝送する。
(第26の実施形態)
図46から図48は、それぞれ機器制御ユニットを遮断器、断路器/接地開閉器、負荷時タップ切換器に適用する場合の実施形態の構成例を示す図であり、また図50は遮断器、断路器/接地開閉器のインターロックを説明するための図である。
図46は、遮断器用機器制御ユニット30CBの場合の入出力信号として、「遮断コイル(TC)」、「投入コイル(CC)」、「補助接点(a接点)」、「補助接点(b接点)」、「油圧ポンプのモータ駆動制御」、「ストローク波形」、「指令電流波形」、「制御電圧波形」、「ガス圧力」、「油圧力」、「温度」、「コイル電流波形」を示す。なお、ここに挙げた監視センサで取得するデータは遮断器の開閉特性を診断する上で特に重要な監視データである。
また、遮断器用の機器制御ユニット30CBでは、緊急時に遮断コイルを直接駆動できる遮断スイッチを持っている。この「緊急時遮断スイッチ」は、機器制御ユニットのユニットに設置しても、遮断器の駆動部近傍に設置しても良い。
図47は、断路器/接地開閉器用機器制御ユニット30DEの場合の入出力信号として、「補助接点(a接点)」、「補助接点(b接点)」、「モータの駆動制御」、「ストローク波形」、「モータ電流波形」、「制御電圧波形」、「ガス圧力」、「手動ハンドル挿入」を示す。なお、ここに挙げた監視センサで取得するデータは断路器/接地開閉器の開閉特性を診断する上で特に重要な監視データである。
図48は、負荷時タップ切換器用機器制御ユニット30TRの場合の入出力信号として、「切換接点」、「タイミング接点」、「モータの駆動制御」、「タップ位置」、「モータ電流波形」、「制御電圧波形」を示す。ここに挙げた監視センサで取得するデータは負荷時タップ切換器の切換特性を診断する上で特に重要な監視データである。
以上のような構成を有する第26の実施形態は、次の動作を行う。電流または電圧検出手段27で検出した事故電流、電圧情報を統合ユニット39とプロセスバス29を介して保護制御ユニット23に伝送する。保護制御ユニット23は保護演算を行い、プロセスバス29を介して当該回線の遮断器25CBの機器制御ユニット30に対して遮断指令を出す。機器制御ユニット30はCPU30cで受信した遮断指令の判定を行い、判定結果に基づいて駆動回路30dから当該遮断器の遮断コイル25cに駆動信号を送信する。
また、変電機器本体25を制御する場合も同様に、保護制御ユニット23又は監視制御装置4からの制御信号(遮断器なら開/閉指令、断路器/接地開閉器なら入/切指令、負荷時タップ切換器ならタップ切換指令)と機器の運転状態データ、インターロック条件等をCPU30cが比較・判定し、その判定結果に基づいて駆動回路30dから当該変電機器本体25の駆動部25cに駆動信号を送信する。
ここで、機器制御ユニット30のCPU30cが演算する制御項目は、例えば変電機器本体25が遮断器CBである場合は、1.投入/遮断コイルの駆動制御、2.ポンピング防止制御、3.操作ロック制御、4.欠相保護制御、5.油圧ポンプ駆動制御、6.インターロック制御、7.イベントの時刻付けなどである。また、8.同期開閉制御などの機能を追加する場合は、ソフトウェアの変更により対応する。
また、保護制御ユニット23又は監視制御装置4が機器の制御・監視するために常時必要な機器制御監視データ(例えば開閉ステータス、ガス圧警報、油圧警報など)は、プロセスバス29を介して、一定の周期で保護制御ユニット23又は監視制御装置4へ送信する。この時、ガス圧や油圧などの異常判定はCPU30cが行い、その結果のみを常時は送信する構成とすることもできる。
また、遮断器のストローク波形など、常時は必要としないデータについては、保護制御ユニット23又は監視制御装置4から要求指令があったときだけ送信する。この時、波形データをデータ記憶手段30eに保存することができ、必要に応じていつでもこのデータを呼び出すことができる。従って、工場試験や現地試験時のデータを機器制御ユニット30にデータベースとして蓄積しておくことができる。
また、機器制御ユニット30が変電機器本体25を制御する上で必要となる系統の電気量(通電電流、課電電圧)などは、プロセスバス29を介して参照することができる。
また、機器制御ユニット30は、プロセスバス29とルータ47を介してベイ内、およびベイ間の各機器制御ユニットの状態データを参照して、CPU30cでインターロック条件を算出して、当該操作機構のベイ内インターロック、または当該操作機構のベイ間インターロックを構成する。
また、変電機器本体25に「手動ハンドル」を挿入して、機器側で手動で制御できる状態にあるときは、保護制御ユニット23、監視制御装置4からの当該操作機構の制御操作を不能にするインターロックを構成する。
以上のような構成を有する第26の実施形態の変電機器保護制御システムは次のような特徴を有する。
すなわち、従来の現場制御盤で補助リレーやタイマーリレーなどを組み合わせて実現していた変電機器本体の駆動制御や監視を、制御・監視CPU上で走るソフトウェアにより実現し、また、操作機構部の駆動は、駆動回路の半導体スイッチにより行うので、現場制御盤と同等の機能を1枚、もしくは複数の基板回路で実現することができる。
また、制御回路の基板化により、制御部品の取付工数や電気配線工数を大幅に削減でき、従来の現場制御盤9を廃止して、機器制御ユニットを変電機器本体に組み込むことが可能になるので、変電機器本体のコンパクト化、トータルのコストダウン、主器と保護・制御の保守・メンテナンスの一体化が可能になる。
更に、機器の制御・監視をソフトウェアで実現するので、インターロック条件など、機種や運用形態毎に異なる制御・監視条件の変更や、制御・監視機能の拡張を、ハードウェアの設計変更をすることなく、ソフトウェアの変更により容易に実現することができる。
また、常時監視が必要なデータと、常時監視が不要なデータを分けて送信するので、効率的で高品質のデータ伝送が図れる。つまり、遮断器のストローク波形など、通信手段に過大な負荷をかける巨大なデータについては、それが要求された場合、または変電機器本体に異常が発生した場合にのみ送信するので、常時監視データの通信状況と協調を採りながら送信することが可能であり、通信手段の伝送データ量に配慮してデータ品質を落とす必要がない。
従って、試験で要求されるレベルの品質で各種データを機器制御ユニットと通信手段を介して取得することができる。これにより、特に定期点検については、通信手段を介して自動試験、自動点検、自動記録機能を実現する、リモートメンテナンス機能で代用することができる。
また、インターロックの状態を監視制御装置などの上位系から監視、制御することに加えて、複数の機器制御ユニットが互いに監視、制御することができるので、インターロックの信頼性を向上できる。また、機器の点検中などの間に、誤って上位系からの指令でインターロックが解除されることを防止できるので、機器の点検時の安全性を向上させることができる。
また、遮断器用の機器制御ユニットは緊急時遮断スイッチを有しているので、プロセスバスに何らかの異常が生じた場合にも、プロセスバスを経由せずに最終バックアップの形で遮断器の遮断が可能になる。
(インターロック条件の詳細)
インターロック条件の概要については、既に説明したが、以下、図49を用いて各ベイ(Bay)間における遮断器、断路器/接地開閉器等の開閉器のインターロック条件について詳しく説明する。
図49において、各ベイの遮断器25CB、断路器/接地開閉器25D等の開閉器に取り付けた機器制御ユニットCMU30は、開閉器の操作機構のステータス情報を取り込む。
ステータス情報とは遮断器25CBならば開閉状態、ガス圧力状態、油圧状態などであり、断路器/接地開閉器25Dなら開閉状態、ガス圧力状態、手動ハンドル挿入状態などである。遮断器25CB、断路器/接地開閉器25Dの各々のステータス情報はプロセスバス29を介して、互いの機器制御ユニットCMU30間で参照できる。また、機器制御ユニットCMU30は主回路の電流・電圧情報をセンサーユニット又は統合ユニット(図中MU39と表示)よりプロセスバス29を介して参照できる。
例えば遮断器25CBの機器制御ユニットCMU30は、当該遮断器25CBの操作機構のステータス情報を直接取り込むと共に、プロセスバス29を介して、断路器/接地開閉器25Dのステータス情報、主回路電流・電圧情報を取り込み、この情報からCPU30cでインターロック条件を演算する。
このインターロック条件演算結果に基づいて、機器制御ユニットCMU30は当該操作機構のインターロックを構成する。CPU30cは駆動回路(半導体スイッチ)30dにインターロック指令、もしくは投入/遮断指令をおくる。断路器/接地開閉器25Dの機器制御ユニットCMU30も同様に当該操作機構のインターロック条件の演算を行う。このようにして機器制御ユニットCMU30により、ベイ(Bay)内インターロックを構成することができる。
一方、各ベイ(Bay)の開閉装置の上記ステータス情報、電流・電圧情報、ベイ内インターロック条件は、プロセスバスとルータを介して、異なるベイの機器制御ユニット間でも参照できる。従って、上記と同様の動作により、機器制御ユニットCMU30はベイ間のインターロック条件の演算も構成することができる。
(第26の実施形態の変形例)
この変形例は、ベイ内インターロック条件演算、およびベイ間インターロック条件の演算を保護制御ユニットで実施するように構成したものである。
この変形例においても、保護制御ユニット、遮断器、断路器/接地開閉器の機器制御ユニットの機器構成は、第26の実施形態における構成と略同一である。実装するソフトウェアの変更により、本実施形態の機能を実現できる。
保護制御ユニット23は、インターロック演算に必要な機器制御監視データと主回路電流・電圧情報を、プロセスバス29とルータ47を介して、機器制御ユニット(CMU)30とセンサーユニットもしくは統合ユニット(MU)39から受信して、CPU30cでインターロック条件を演算して、当該操作機構のベイ内インターロック、または当該操作機構のベイ間インターロックを構成する。インターロック指令は、プロセスバス29とルータ47を介して、当該操作機構の機器制御ユニットCMU30に送信され、機器制御ユニットCMU30は当該開閉装置のインターロック、もしくは操作を行う。
(変形例のインターロック条件の詳細)
図50を用いて、変形例の各ベイ間における遮断器、断路器/接地開閉器等の開閉器のインターロック条件を詳しく説明する。図50において、各ベイの遮断器、断路器/接地開閉器等の開閉器に取り付けた機器制御ユニットCMU30は、開閉器の操作機構のステータス情報を取り込む。
ステータス情報とは遮断器なら開閉状態、ガス圧力状態、油圧状態などであり、断路器/接地開閉器なら開閉状態、ガス圧力状態、手動ハンドル挿入状態などである。遮断器、断路器/接地開閉器の各々のステータス情報はプロセスバスを介して、保護制御ユニット(図中、PCU)で参照できる。また、保護制御ユニットPCU23は、主回路の電流・電圧情報もセンサーユニット、又は統合ユニット(図中MU)よりプロセスバス29を介して参照できる。
保護制御ユニットPCU23は、当該操作機構の遮断器、断路器/接地開閉器のステータス情報と主回路の電流・電圧情報をプロセスバス29(プロセスバス通信手段23c)を介して取り込み、この情報からCPU23aでインターロック条件を演算する。このインターロック演算結果に基づいて、保護制御ユニットPCU23は当該操作機構のインターロックを構成する。
例えば、保護制御ユニットPCU23は、インターロック条件を、プロセスバス29を介して遮断器25CB用の機器制御ユニットCMU30に送信する。遮断器用の機器制御ユニットCMU30は、受信したインターロック条件に基づき、駆動回路(半導体スイッチ)30dにインターロック指令、もしくは投入/遮断指令をおくる。
同様に、保護制御ユニットPCU23は、断路器/接地開閉器25D用の機器制御ユニットCMU30にもインターロック条件を送信する。このようにして、保護制御ユニットでインターロック条件を演算して、ベイ内インターロックを構成することができる。
一方、各ベイの開閉装置の上記ステータス情報、電流・電圧情報、ベイ内インターロック条件は、プロセスバス29とルータ47を介して、異なるベイの保護制御ユニット、および機器制御ユニット間でも参照できる。従って、上記と同様の動作により、保護制御ユニットはベイ間のインターロック条件の演算も構成することができ、且つ、ベイ間インターロックを構成することができる。
以上説明した変形例によれば、第26の実施形態の変電機器保護制御システムの効果に加えて、次の効果が得られる。
通常ベイ内には機器制御ユニットを複数台設置するが、個々の機器制御ユニットがインターロック演算を実施する代わりに、通常ベイ内に1台以上設置される保護制御ユニットで一括してインターロック演算を行うので、インターロック演算のためのソフトウェアは、1ベイに対して、保護制御ユニット1台に組み込めばよく、又、ソフトウェアは遮断器用、断路器/接地開閉器用に個々に開発する必要がないので、ソフトウェア開発の負担を軽減できる。
次に、この第26の実施形態の変形例は、次のように更に変形することができる。第12の実施形態で図30を用いて説明したような、パラレルバス(内部バス)とプロセスバスと機器制御ユニット通信手段(図中CMU通信手段)を用いて、保護制御ユニット、機器制御ユニット、MUなどを互いに接続する変電機器保護制御システムにおいても、本実施形態のインターロック構成を適応できることは明らかである。
また、図30に示すような変電機器保護制御システムにおいては、インターロック条件の演算を、CMU通信手段内に設けたCPUで演算しても良い。このような構成においても、本実施形態と同様の効果が得られることは明らかである。
更に、第26の実施形態で説明した、機器制御ユニットCMUが行う機器監視の判定等の演算を、インターロックの演算と同様に、保護制御装置、もしくはCMU通信手段のCPUで演算する構成も可能である。このような形態においても、第26の実施形態の効果が得られることは明らかである。
加えて、このような実施形態では、機器制御ユニットCMUは、変電機器本体の監視情報のA/D変換データの送信(接点情報の場合は単に送信のみでよい)、および駆動回路のON/OFF制御を行う機能を持てばよいので、機器制御ユニットCMU内のCPU(図5の30c)を削除することができる。従って、機器制御ユニットの構成は、極めてシンプルなハード構成となる。
なお、図5のCPU30cが不要とは高精度なCPU相当の制御LSIが不要という意味であり、プロセスバス通信手段と駆動回路などを制御する最低限の制御手段の実装は必要になる場合もある。
(第27の実施形態)
図51は、本発明の第27の実施形態を示す保護制御システムのシステム構成図である、図52は一部を詳細にして示す図である。
本実施形態は、第6の実施形態(図16)の変形例であり、統合ユニットから保護制御ユニット間の1対1の通信手段59および保護制御ユニットから機器制御ユニット間の1対1の通信手段60を図16の構成要素に追加したものである。これら1対1の通信手段はプロセスバス29とは独立した通信手段であって、通常は光通信を用いる。
その他の構成要素は図16と同じである。なお、同様の考えを図29で示す第11実施形態に適用することもできる。この場合、図29において、センサーユニットから保護制御ユニット間と保護制御ユニットから機器制御ユニット間にそれぞれ1対1の通信手段を設ける。
図52は、図51の保護制御ユニット23と機器制御ユニット30間の通信手段60による接続関係を詳細に示した構成図である。機器制御ユニットの構成要素については既に図5で説明したが、本実施形態は、保護制御ユニット23と機器制御ユニット30間の1対1対向の通信手段60用のインターフェース30jと、これに接続する第2の内部バス30kと、この内部バス30kに接続する第2の遮断器駆動回路30mを追加したものである。なお、内部バス30kを省略して、遮断器駆動回路30mに直接遮断指令を伝送する構成としても良い。
以上のような構成を有する第28の実施形態の変電機器保護制御システムは、次のように動作する。
まず、電流検出手段27−1、27−2、電圧検出手段27−3の出力は、近傍に設置されたセンサーユニット28a,b,cでディジタル値に変換され、それぞれが1対1の通信手段505で統合ユニット39に送信される。統合ユニット39は、センサーユニット28a〜cから送信された各電流、各電圧のディジタル信号を例えば保護制御単位毎に伝送フレームに統合して、時刻付けをして、統合ユニットから保護制御ユニット間の1対1の通信手段59を介して保護制御ユニット23へ伝送する。
保護制御ユニット23は保護演算を行い、保護制御ユニットから機器制御ユニット間の1対1の通信手段60を介して当該回線の遮断器25CBの機器制御ユニット30に対して遮断指令を出す。機器制御ユニット30は、1対1の通信手段のインターフェース30jと内部バス30kと遮断器用駆動回路30mを介して、当該遮断器の遮断コイルに駆動信号を送信する。
統合ユニットから出力される電流・電圧情報は、上記と平行してプロセスバス29を介して当該保護制御ユニット23以外の機器へも分配される。
通常、遮断器の保護遮断の用途以外では、高速の応答や高い信頼性を求められることはないので、保護制御ユニット23から機器制御ユニット30間の1対1の通信手段60は、遮断器用の機器制御ユニット30に対してのみ設け、保護遮断の用途以外の遮断器の制御指令に関しては、プロセスバス29を介して伝送する。
以上のような構成を有する第27の実施形態の変電機器保護制御システムによれば、次の作用効果を奏する。
本実施形態では、トリップ指令の伝送路を2重化したので、プロセスバスに不具合が発生した場合でも、事故時の保護遮断が可能であり、信頼性の高い保護制御システムを構築できる。また、更に信頼性の高いフェールセーフシステムを志向する場合は、機器制御ユニット内の内部バスと遮断器ドライブユニット等を2重化して、保護に関わる信号の伝送路をセンサーユニット(又は統合ユニット)から遮断器用機器制御ユニットまで完全に2重化することもでき、プロセスバス、もしくは1対1の通信手段のいずれか一方を主保護とし、もう一方をバックアップとすることもできる。
また、統合ユニットまたはセンサーユニットと保護制御ユニットと機器制御ユニットを結合する通信手段を経由する処理のオーバーヘッドがないので、特に高速な応答を要求される保護システムへの適用が容易である。
1…制御本館、2…遠方監視制御装置、3…集中監視制御装置、4…監視制御装置、7…ステーションバス、20−1〜20−n…変電機器ユニット、21−1〜21−n…回線制御ユニット、22−1〜22−n…保護ユニット、23…保護制御ユニット、25…開閉器、24…母線、26…送電線、27…電気量検出器、28…センサーユニット、29…プロセスバス、30…機器制御ユニット、31…プロセス制御箱、39…統合ユニット、182…機器間バス、46…リピータ、47…ルータ、49…集線装置(ハブ)、48…光ファイバ、45…パラレルバス、51…シリアル通信ユニット、52…ゲートウェイ、53…イントラネットあるいはインターネット、54−1〜n…ブラウザ、55…集中監視制御ウェブサーバ。