JP2007113046A - 真空浸炭の品質管理方法及び真空浸炭炉 - Google Patents

真空浸炭の品質管理方法及び真空浸炭炉 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理品への浸炭深さを管理することにより浸炭品質を管理でき、所望の浸炭深さを得ることにより再現性を向上させ、浸炭品質のバラつきを少なくしてその均一性を確保でき、浸炭品質の管理を容易に行うことができる真空浸炭の品質管理方法及び真空浸炭炉を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の真空浸炭炉10は、浸炭処理時における処理室17内の全圧力に対する水素分圧比を検知する水素分圧比検知手段(30、32、34)と、この水素分圧比の時間変化に基づいて被処理品1への炭素流入速度Ci(t)を求め、この炭素流入速度Ci(t)に基づいて被処理品1の浸炭深さの推定値を求める処理を行う演算処理手段(34)と、この演算処理手段により求めた被処理品1の浸炭深さを表示する出力手段(36、38)と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空浸炭処理において、被処理品の浸炭深さを管理し、所望の浸炭深さを得ることにより浸炭品質のバラつきを少なくしてその均一化を図ることができる真空浸炭の品質管理方法及び真空浸炭炉に関するものである。
浸炭(carburizing)とは、鋼材の表面に炭素を拡散浸透させる処理をいう。通常、浸炭後、焼入れを行って表面を硬化させ、耐摩耗性の高い表面と靭性に富む心部からなる部品を作製する。
浸炭処理としては、ガス浸炭法、プラズマ浸炭法、真空浸炭法等がある。この中でガス浸炭法は、天然ガス、プロパン、ブタンなどを変成してCOを主体とする浸炭性ガスを作り、これによって鋼材に浸炭を行うものである。ガス浸炭法は、カーボンポテンシャルに基づいて雰囲気を制御しながら浸炭を行うため、被処理品の表面炭素濃度を安定して制御することができる。このため、ガス浸炭法は、被処理品に対する浸炭品質の再現性が良好であるという利点を有する。しかしながら、ガス浸炭法は、浸炭ガスの使用量が多い、排気ガスを燃焼させる必要がある、被処理品の表面に粒界酸化が生じる、等の問題がある。
一方、真空浸炭法は、ガス浸炭法の一種であり、浸炭処理を減圧下で行うガス浸炭法である(例えば、下記特許文献1〜3参照)。以下、本明細書において、「ガス浸炭」とは大気圧下で行われるガス浸炭法を意味し、「真空浸炭」とは減圧下で行われるガス浸炭法を意味するものとする。
真空浸炭では、表面炭素濃度が浸炭開始直後に炭素固溶限(Acm点)に達した後、浸炭ガス投入時間(浸炭時間)と拡散時間を管理することで所望の表面炭素濃度及び炭素濃度分布を得ている。被処理品内の炭素流入深さ(拡散深さ)については、ガス浸炭、真空浸炭ともに拡散時間により管理を行っている。
特開2001−81543号公報 特開2001−240954号公報 特開2002−212702号公報
ガス浸炭では、カーボンポテンシャルに基づく雰囲気の制御を行っていたことは上述の通りであるが、ガス浸炭と真空浸炭では反応形態が異なるため、ガス浸炭におけるカーボンポテンシャルに基づく雰囲気の制御を真空浸炭に適用することは不可能である。このため、真空浸炭では、浸炭・拡散温度、浸炭時間、ガス投入量などの条件管理により被処理品に対する浸炭品質(表面浸炭濃度、浸炭濃度分布、表面硬度、有効硬化層深さ)の均一性確保を図ってきた。
しかしながら、従来技術による真空浸炭では、上記のような条件管理によって浸炭品質を管理することはできず、各操業バッチ間における浸炭品質にある程度のバラつきが生じており、浸炭品質の管理が十分でなく再現性が悪いという問題があった。また、このため、従来では、浸炭処理後に被処理品の抜取り試験により浸炭品質の検証が必要であり、浸炭品質の管理が煩雑であるという問題があった。
本発明は、上述した問題点に鑑み、被処理品への浸炭深さを管理することにより浸炭品質を管理でき、所望の浸炭深さを得ることにより再現性を向上させ、浸炭品質のバラつきを少なくしてその均一性を確保でき、浸炭品質の管理を容易に行うことができる真空浸炭の品質管理方法及び真空浸炭炉を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために創案された第1の発明は、被処理品が収容された処理室内に炭化水素からなる浸炭ガスを供給しながら減圧及び加熱状態で前記被処理品に浸炭処理を行う真空浸炭の品質管理方法であって、浸炭処理時における処理室内の全圧に対する水素分圧比を検知し、該水素分圧比の時間変化に基づいて被処理品への炭素流入速度を求め、該炭素流入速度に基づいて被処理品の浸炭深さを求める、ことを特徴とする真空浸炭の品質管理方法である。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記炭素流入速度に基づいて被処理品の浸炭深さを求めるに際し、下式に基づいて浸炭深さを求める、ことを特徴とするものである。
y=−b・Ci(t)・x+A
ただし、xは被処理品の表面からの深さ、yは深さxにおける炭素濃度、Ci(t)は炭素流入速度、−bは炭素流入速度を炭素濃度勾配に変換する係数、Aは被処理品の浸炭時表面炭素濃度である。
第3の発明は、上記第1の発明において、求めた浸炭深さが、所望の浸炭深さに達したときに、前記処理室内への浸炭ガスの供給を停止する、ことを特徴とするものである。
第4の発明は、被処理品を収容し減圧及び加熱状態で前記被処理品を浸炭処理する処理室を有する炉体と、前記処理室に炭化水素からなる浸炭ガスを供給する浸炭ガス供給手段と、前記処理室内のガスを排気し所定の減圧状態に保持するガス排気手段とを備えた真空浸炭炉において、浸炭処理時における前記処理室内の全圧に対する水素分圧比を検知する水素分圧比検知手段と、前記水素分圧比の時間変化に基づいて前記被処理品への炭素流入速度を求め、該炭素流入速度に基づいて被処理品の浸炭深さの推定値を求める処理を行う演算処理手段と、該演算処理手段により求めた被処理品の浸炭深さを表示する出力手段と、を備える、ことを特徴とする真空浸炭炉である。
第5の発明は、上記第4の発明において、前記演算処理手段は、下式に基づいて浸炭深さを求める、ことを特徴とするものである。
y=−b・Ci(t)・x+A
ただし、xは被処理品の表面からの深さ、yは深さxにおける炭素濃度、Ci(t)は炭素流入速度、−bは炭素流入速度を炭素濃度勾配に変換する係数、Aは被処理品の浸炭時表面炭素濃度である。
第6の発明は、上記第4の発明において、求めた浸炭深さが、所望の浸炭深さに達したときに、前記処理室内への浸炭ガスの供給を停止する浸炭ガス制御手段を更に備える、ことを特徴とするものである。
本発明において、「水素分圧比検知手段」とは、浸炭処理時における処理室内の全圧に対する水素分圧比を検知するための機能を有するものをいい、複数の機器の組み合わせによりそのような機能を達成するものも含む概念である。実施形態では、水素センサ、真空計及び演算処理装置のもつ複数の機能のうちの一部の機能の組み合せがこれに該当する。
「演算処理手段」とは、水素分圧比の時間変化に基づいて被処理品への炭素流入量を求め、この炭素流入速度から被処理品の浸炭深さの推定値を求める処理を行う機能を有するものをいい、電子計算機の一部の機能を使用することによりそのような機能を達成するものも含む概念である。実施形態では、演算処理装置がこれに該当する。
「表示」とは、外部に目的の情報を表し示すことをいい、モニターのように電磁的・磁気的手法により表示することや、プリンターのように印刷により有形的手法により表示することも含む概念である。
他の用語の意義については、本明細書の以下の説明により明らかになろう。
上記第1及び第4の発明によれば、浸炭処理時における処理室内の全圧に対する水素分圧比を検知し、この水素分圧比の時間変化に基づいて被処理品への炭素流入速度を求め、この炭素流入速度に基づいて被処理品の浸炭深さを求めるので、浸炭深さに基づく浸炭品質の管理が可能となる。このため、従来技術のように浸炭処理後に抜取り試験を実施する必要が無く、浸炭品質の管理を容易に行うことができる。後に詳述するように、被処理品に対する炭素の浸炭深さは、被処理品の表面炭素濃度と炭素濃度勾配により求めることができる。また、炭素濃度勾配は炭素流入量の時間変化と相関があり、炭素流入量の時間変化は処理室内の水素分圧比の時間変化と相関がある。したがって、処理室内の水素分圧比の時間変化に基づいて被処理品の浸炭深さを求める(推定する)ことができる。
上記第2及び第5の発明によれば、炭素流入速度に基づいて被処理品の浸炭深さを推定するに際し、y=−b・Ci(t)・x+Aという簡単な演算式に基づいて計算を行うので、容易かつ精度良く浸炭深さを算出することができる。具体的には、xは被処理品の表面からの深さ、yは深さxにおける炭素濃度、Ci(t)は炭素流入速度、−bは炭素流入速度を炭素濃度勾配に変換する係数、Aは被処理品の浸炭時表面炭素濃度であるので、上式の炭素濃度yを被処理品の母材炭素濃度yとすることにより、浸炭深さxを求めることができる。
上記第3及び第6の発明によれば、求めた浸炭深さが、所望の浸炭深さに達したときに、処理室内への浸炭ガスの供給を停止するので、浸炭工程における所望の浸炭深さを得ることができる。浸炭ガスの供給を停止した後は、被処理品に浸炭した炭素を被処理品内部で拡散させる拡散工程に移行するが、拡散深さは処理温度及び処理時間により管理することができる。このため、異なる操業バッチ間における再現性を向上させることができ、浸炭品質のバラつきを少なくしてその均一性を確保できる。
このように、上記本発明によれば、被処理品への浸炭深さを管理することにより浸炭品質を管理でき、所望の浸炭深さを得ることにより再現性を向上させ、浸炭品質のバラつきを少なくしてその均一性を確保でき、浸炭品質の管理を容易に行うことができる、という優れた効果が得られる。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
まず、本発明の真空浸炭の品質管理方法を実施するための真空浸炭炉の機器構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による真空浸炭炉10の概略構成を示す図である。図1に示すように、真空浸炭炉10は、内部に処理室17を有する炉体12と、ガス供給ライン20と、ガス排気ライン22とを備えている。炉体12の炉壁16の内部には断熱壁14が設けられており、この断熱壁14の内部に、被処理品1を収容し減圧及び加熱状態で被処理品1を浸炭処理する処理室17が形成されている。また、処理室17内には、ヒータ19が設置され、加熱室17内及び被処理品1を所定温度に加熱するようになっている。
ガス供給ライン20は、断熱壁14に接続され、処理室17内に炭化水素(例えばアセチレン)からなる浸炭ガスを供給する「浸炭ガス供給手段」として機能する。ガス排気ライン22は、断熱壁14に接続され、処理室17内のガスを排気するようになっている。また、ガス排気ライン22は真空ポンプ24に接続されており、このガス排気ライン22及び真空ポンプ24は、処理室17内のガスを排気し所定の減圧状態に保持する「ガス排気手段」として機能する。
さらに、真空浸炭炉10は、浸炭処理時における処理室17内の水素圧力を検出する水素センサ30、浸炭処理時における処理室17内の全圧を検出する真空計32、各種の演算・制御を行う演算処理装置34、この演算処理装置34からの出力を画像表示するディスプレー36及び演算処理装置34からの出力を印刷するプリンター38を備えている。また、演算処理装置34には、入力手段としてのキーボード40及びマウス42が接続されている。
水素センサ30は、例えば四重極質量分析器で構成することができ、真空計32は、例えばバラトロン真空計で構成することができる。水素センサ30及び真空計32は演算処理装置34に接続され、検出した処理室17内の水素分圧及び全圧を出力し、その出力信号は演算処理装置34に入力されるようになっている。
演算処理装置34は、少なくともCPU、メモリを備えて各種情報処理・演算・制御を実行可能であり、パーソナルコンピュータ又は専用の電子計算機により構成することができる。本実施形態における演算処理装置34は、水素センサ30からの水素分圧及び真空計32からの全圧に基づいて、浸炭処理時における処理室17内の全圧に対する水素分圧比を演算し、求める処理を行う。このように、本実施形態では、水素センサ30、真空計32及び演算処理装置34により、浸炭処理時における処理室17内の全圧に対する水素分圧比を検知する「水素分圧比検知手段」としての機能を達成している。
また、本実施形態において、演算処理装置34は、水素分圧比の時間変化に基づいて被処理品1への炭素流入速度を求め、この炭素流入速度に基づいて被処理品1の浸炭深さの推定値を求める処理を行う「演算処理手段」として機能する。この演算処理装置34による浸炭深さの求め方の具体的手法については後述する。
ディスプレー36は、演算処理装置34により求めた浸炭深さを画像表示により出力するようになっている。また、プリンター38は、演算処理装置34により求めた浸炭深さを印刷により出力するようになっている。このように、本実施形態において、ディスプレー36又はプリンター38は、演算処理手段により求めた浸炭深さを表示する「出力手段」として機能する。
このように構成された真空浸炭炉10では、被処理品1を収容した処理室17を所定の減圧及び加熱状態として各部の均熱がされたら、浸炭ガスを処理室17内に所定流量(例えば20L/min)で供給しつつ真空ポンプ24で排気して、所定の減圧状態を保持しながら、所定時間、被処理品1を浸炭する。その後、浸炭ガスの供給を停止し、真空ポンプ24により処理室17内を真空引きして、元の真空度に戻して拡散処理を実施する。
次に、上述した演算処理装置34における、水素分圧比の時間変化から被処理品の浸炭深さの推定値を求める演算の具体的手法について説明する。なお、以下では浸炭ガスとしてアセチレン(C)を用いた場合について説明する。
被処理品に対する炭素の浸炭深さは、被処理品の表面炭素濃度と炭素濃度勾配により求めることができる。また、炭素濃度勾配は炭素流入量(炭素流入速度)の時間変化と相関があることから、予めその相関(対応関係)が分かっていれば、炭素流入速度から炭素濃度勾配を導くことができる。さらに、炭素流入速度は浸炭処理時における処理室内の水素分圧比の時間変化と相関があることから、水素分圧比の時間変化が分かれば、炭素流入速度を導くことができる。したがって、浸炭処理時における処理室内の水素分圧比の時間変化から、被処理品の浸炭深さを求める(推定する)ことができる。
そこで、まず、演算処理装置34は、水素分圧比の時間変化から炭素流入速度を求める処理を行う。具体的には、まず、下記(1)に基づいて、水素分圧比から、浸炭反応(C→H+2C)によって解離した炭素量ΣC(t)を求める。
ΣC(t)=2・N・K(t)/22.4L/mol・・・(1)
ただし、Nはアセチレン供給量(L/min)、K(t)は水素分圧比である。
そして、下記(2)式に基づいて、解離した炭素量ΣC(t)から、炭素流入速度Ci(t)を求める。
Ci(t)=a・ΣC(t)・・・(2)
ただし、aは、浸炭反応によって解離した炭素のうち被処理品への浸炭に寄与する比率(浸炭寄与率)である。aは予め実験的に決定しておく。
このようにして炭素流入速度Ci(t)を求めたならば、演算処理装置34は、下記(3)式に基づいて、被処理品の浸炭深さの推定値を求める処理を行う。
y=−b・Ci(t)・x+A・・・(3)
ただし、xは被処理品の表面からの深さ、yは深さxにおける炭素濃度、Ci(t)は炭素流入速度、−bは炭素流入速度を炭素濃度勾配に変換する係数、Aは被処理品の浸炭時表面炭素濃度である。
上記(3)式に基づく浸炭深さの演算について、より詳しく説明する。図2は、浸炭処理時における被処理品の深さと炭素濃度との関係を示す図で、x軸が被処理品の表面からの深さ、y軸が炭素濃度である。図中のL1が上記(3)式で表される直線であり、図中のyは被処理品の母材炭素濃度である。図2に示すように、被処理品の炭素濃度は、表面炭素濃度A(x=0における炭素濃度)を起点に表面からの深さが増すに従い低下し、ある深さで母材炭素濃度yと一致する。この母材炭素濃度yとなるときの深さが、求めるべき浸炭深さである。したがって、上記(3)式の炭素濃度yを被処理品の母材炭素濃度yとすることにより、浸炭深さxを求めることができる。
ここで、表面炭素濃度Aは、飽和値調整方法によれば、浸炭材は表面が炭素固溶限(Acm)に到達すると、それ以上炭素濃度は上昇せず、内部拡散に移行すると言われている。しかし、実際は炭素固溶限を超えて炭素濃度が上昇することが確認されている。したがって、上記表面炭素濃度Aは、Acm又はAcm+αとする。
このように、被処理品の表面炭素濃度Aと炭素濃度勾配に基づいて、浸炭深さを求めることができる。そして、上述したように表面炭素濃度Aは、Acm又はAcm+αであるので、炭素濃度勾配(上記(3)式の〔−b・Ci(t)〕)が分かれば、浸炭深さを求めることができる。そこで、予め実験的に炭素流入速度Ci(t)毎に炭素濃度勾配に変換する係数〔−b〕を決定しておく。具体的には、炭素流入速度Ci(t)と、その速度における浸炭深さを、速度毎のデータとして実験的に取得する。そして、各浸炭深さにおける座標(x,y)と表面炭素濃度Aにおける座標(0,Acm)とを結ぶ直線の傾きと、そのときの炭素流入速度Ci(t)から、各速度毎に〔−b〕を決定する。
このように、演算処理装置34は、上記(1)〜(3)式に基づいて、水素分圧比の時間変化から被処理品1の浸炭深さの推定値を求める。このため、演算処理装置34のメモリには、上記(1)〜(3)式に基づいて、水素分圧比の時間変化から被処理品1の浸炭深さの推定値を求める演算プログラムが格納されている。すなわち、この演算プログラムは、上記(1)式に基づいて、水素分圧比から、浸炭反応によって解離した炭素量ΣC(t)を求める処理と、上記(2)に基づいて、解離した炭素量ΣC(t)から、炭素流入速度Ci(t)を求める処理と、上記(3)に基づいて、炭素流入速度Ci(t)から、被処理品1の浸炭深さの推定値を求める処理と、をコンピュータに実行させるプログラムである。
上述した第1実施形態による真空浸炭炉10によれば、水素分圧検知手段として機能する水素センサ30、真空計32及び演算処理装置34により、浸炭処理時における処理室17内の全圧に対する水素分圧比を検知し、演算処理手段として機能する演算処理装置34により浸炭深さの推定値を求め、出力手段として機能するディスプレー36又はプリンター38により、浸炭深さを表示するので、浸炭深さに基づく浸炭品質の管理が可能となる。このため、従来技術のように浸炭処理後に抜取り試験を実施する必要が無く、浸炭品質の管理を容易に行うことができる。
また、第1実施形態による真空浸炭炉10によれば、炭素流入速度に基づいて被処理品1の浸炭深さを推定するに際し、y=−b・Ci(t)・x+Aという簡単な演算式に基づいて計算を行うので、容易かつ精度良く浸炭深さを算出することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本発明の第2実施形態による真空浸炭炉10の概略構成を示す図である。本実施形態による真空浸炭炉10は、上述した第1実施形態による真空浸炭炉10に、ガス流量調節弁26を加え、さらに、演算処理装置34により、求めた浸炭深さが、所望の浸炭深さに達したときに、処理室内への浸炭ガスの供給を停止するようにガス流量調節弁26を制御するようになっている。また、演算処理装置のメモリには、そのような制御を行うための制御プログラムが格納されている。このように、第2実施形態では、ガス流量調節弁26と演算処理装置34により、所望の浸炭深さに達したときに、処理室17内への浸炭ガスの供給を停止する「浸炭ガス制御手段」としての機能を達成している。その他の、機器構成は、上述した第1実施形態と同様である。
第2実施形態による真空浸炭炉10によれば、求めた浸炭深さが、所望の浸炭深さに達したときに、処理室17内への浸炭ガスの供給を停止するので、浸炭工程における所望の浸炭深さを得ることができる。浸炭ガスの供給を停止した後は、被処理品1に浸炭した炭素を被処理品1内部で拡散させる拡散工程に移行するが、拡散深さは処理温度及び処理時間により管理することができる。このため、異なる操業バッチ間における再現性を向上させることができ、浸炭品質のバラつきを少なくしてその均一性を確保できる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、被処理品への浸炭深さを管理することにより浸炭品質を管理でき、所望の浸炭深さを得ることにより再現性を向上させ、浸炭品質のバラつきを少なくしてその均一性を確保でき、浸炭品質の管理を容易に行うことができる、という優れた効果が得られる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明の第1実施形態による真空浸炭炉の概略構成を示す図である。 浸炭処理時における被処理品の深さと炭素濃度との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態による真空浸炭炉の概略構成を示す図である。
符号の説明
1 被処理品
10 真空浸炭炉
12 炉体
14 断熱壁
16 炉壁
17 被処理室
20 ガス供給ライン
22 ガス排気ライン
24 真空ポンプ
26 ガス流量調節弁
30 水素センサ
32 真空計
34 演算処理装置
36 ディスプレー
38 プリンター
40 キーボード
42 マウス

Claims (6)

  1. 被処理品が収容された処理室内に炭化水素からなる浸炭ガスを供給しながら減圧及び加熱状態で前記被処理品に浸炭処理を行う真空浸炭の品質管理方法であって、
    浸炭処理時における処理室内の全圧に対する水素分圧比を検知し、
    該水素分圧比の時間変化に基づいて被処理品への炭素流入速度を求め、
    該炭素流入速度に基づいて被処理品の浸炭深さを求める、
    ことを特徴とする真空浸炭の品質管理方法
  2. 前記炭素流入速度に基づいて被処理品の浸炭深さを求めるに際し、下式に基づいて浸炭深さを求める、ことを特徴とする請求項1に記載の真空浸炭の品質管理方法:
    y=−b・Ci(t)・x+A
    ただし、xは被処理品の表面からの深さ、yは深さxにおける炭素濃度、Ci(t)は炭素流入速度、−bは炭素流入速度を炭素濃度勾配に変換する係数、Aは被処理品の浸炭時表面炭素濃度である。
  3. 求めた浸炭深さが、所望の浸炭深さに達したときに、前記処理室内への浸炭ガスの供給を停止する、ことを特徴とする請求項1に記載の真空浸炭の品質管理方法。
  4. 被処理品を収容し減圧及び加熱状態で前記被処理品を浸炭処理する処理室を有する炉体と、前記処理室に炭化水素からなる浸炭ガスを供給する浸炭ガス供給手段と、前記処理室内のガスを排気し所定の減圧状態に保持するガス排気手段とを備えた真空浸炭炉において、
    浸炭処理時における前記処理室内の全圧に対する水素分圧比を検知する水素分圧比検知手段と、
    前記水素分圧比の時間変化に基づいて前記被処理品への炭素流入速度を求め、該炭素流入速度に基づいて被処理品の浸炭深さの推定値を求める処理を行う演算処理手段と、
    該演算処理手段により求めた被処理品の浸炭深さを表示する出力手段と、を備える、
    ことを特徴とする真空浸炭炉。
  5. 前記演算処理手段は、下式に基づいて浸炭深さを求める、ことを特徴とする請求項4に記載の真空浸炭炉:
    y=−b・Ci(t)・x+A
    ただし、xは被処理品の表面からの深さ、yは深さxにおける炭素濃度、Ci(t)は炭素流入速度、−bは炭素流入速度を炭素濃度勾配に変換する係数、Aは被処理品の浸炭時表面炭素濃度である。
  6. 求めた浸炭深さが、所望の浸炭深さに達したときに、前記処理室内への浸炭ガスの供給を停止する浸炭ガス制御手段を更に備える、ことを特徴とする請求項4に記載の真空浸炭炉。
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