JP2007112044A - 樹脂部品の超音波溶着加工方法並びにそれに使用する超音波ホーン - Google Patents
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Abstract
【課題】被着体に樹脂部品を超音波ホーンを使用して溶着一体化する樹脂部品の超音波溶着加工方法であって、加工条件にばらつきが生じても、常に均一で強固な溶着強度を確保する。
【解決手段】ルーフトリム本体(被着体)20の基材21と、クリップ取付座(樹脂部品)30の樹脂製プレート31とを重ね合わせ、超音波ホーン50を超音波加工ポイント40に圧着して、所定のプレス圧で超音波振動を加えて溶着一体化する際、超音波ホーン50の圧着面51には、外周面53に繋がる溝52、あるいは切欠54を形成し、この超音波ホーン50による溶着時、非溶着部42を溶着部41の外周面43と連接させることで、超音波加工ポイント40の溶着強度を強化する。
【選択図】図5
【解決手段】ルーフトリム本体(被着体)20の基材21と、クリップ取付座(樹脂部品)30の樹脂製プレート31とを重ね合わせ、超音波ホーン50を超音波加工ポイント40に圧着して、所定のプレス圧で超音波振動を加えて溶着一体化する際、超音波ホーン50の圧着面51には、外周面53に繋がる溝52、あるいは切欠54を形成し、この超音波ホーン50による溶着時、非溶着部42を溶着部41の外周面43と連接させることで、超音波加工ポイント40の溶着強度を強化する。
【選択図】図5
Description
この発明は、被着体に樹脂部品を超音波溶着加工により一体化する樹脂部品の超音波溶着加工方法並びにそれに使用する超音波ホーンに係り、特に、超音波ホーンの圧着面形状に工夫を加えることにより、溶着強度を高めることを可能にした樹脂部品の超音波溶着加工方法並びにそれに使用する超音波ホーンに関する。
例えば、自動車内装部品を製造する際、被着体に樹脂部品を固定する方法としては、接着剤を使用する接着固定方法、高周波ウエルダ電極に通電することにより樹脂部品を加熱溶融させて溶着する高周波ウエルダ溶着方法、溶着固定ポイントに超音波ホーンで超音波振動を加えることにより、樹脂部品を加熱溶融させて溶着する超音波溶着加工方法等が知られている。
まず、接着固定方法は、接着剤の塗布・乾燥工程等、工程が長期化し、生産性に劣るとともに、作業環境を悪化させる等の問題点がある。また、高周波ウエルダ溶着方法は、ウエルダ特性に優れた樹脂材料でないと使用できないため、材料の選定自由度に大きな制約を受けるという問題点が指摘されている。この点、超音波溶着加工方法は、作業環境が良好で、しかも材料の自由度に制約を受けることなく、簡単かつ廉価に実施でき、あらゆる樹脂材料に適用できることから、広範囲に使用されている。
超音波溶着加工方法の概要を図14を基に説明する。まず、被着体1上に樹脂部品2を載置し、超音波ホーン3の圧着面4を図中矢印方向に押し付けて超音波振動を加えれば、被着体1と樹脂部品2とを溶着固定することができる。ところで、超音波ホーン3を使用した超音波溶着加工方法において、プレス圧を低圧に設定した場合には、図15に示すように、被着体1と樹脂部品2の境界面5よりも超音波ホーン3による圧着加工面6が樹脂部品2側に位置する。また、プレス圧を高圧に設定した場合は、図16に示すように、超音波ホーン3の圧着加工面6は、境界面5を超えて、被着体1側に形成される。尚、超音波溶着加工方法の従来例としては、特許文献1に詳細に記載されている。
しかしながら、例えば、図15に示す溶着形態の場合、超音波ホーン3の圧着面4により中央と外周に薄肉部(図中符号aで示す)が形成され、この薄肉部aは、溶着強度が低く、この部位から剥離不良が生じ易いという欠点が指摘されている。また、プレス圧を高く設定した図16に示す溶着形態においては、図16中符号bで示す部位は超音波ホーン3の圧着面4による圧着力が作用することがないため、ほとんど溶着されず、この部位から剥離不良が生じ易いという欠点が指摘されている。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、被着体に樹脂部品を超音波ホーンを使用して接合一体化する樹脂部品の超音波溶着加工方法並びにそれに使用する超音波ホーンに関するもので、超音波ホーンの圧着面形状に工夫を加えることにより、超音波溶着強度を強化でき、樹脂部品の剥離不良を確実に解消できる樹脂部品の超音波加工方法並びにそれに使用する超音波ホーンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、被着体の一面に樹脂部品を重ね合わせて、超音波加工ポイントに超音波ホーンの圧着面を所定のプレス圧で圧着しつつ、超音波振動を加えて被着体に樹脂部品を溶着固定する樹脂部品の超音波溶着加工方法において、前記超音波ホーンの圧着面には、外周面に繋がる溝、あるいは切欠が設定されていることにより、超音波加工ポイントは、上記溝、あるいは切欠に対応する部位が非溶着部、残る部位が溶着部となり、かつ非溶着部が溶着部の外周面に連接することで、溶着強度を強化したことを特徴とする。
ここで、加工対象としては、ルーフトリムの基材裏面にクリップ取付座を取り付ける形態、樹脂製プレート同士を溶着固定する形態、ラゲージサイドトリムの裏面に吸音性の不織布マットを取り付ける形態等に適用することができる。
次いで、本発明方法に使用する超音波ホーンは、被着体の一面に樹脂部品を重ね合わせて、所定の超音波加工ポイントで超音波溶着固定する際に使用する超音波ホーンであって、前記超音波ホーンの圧着面には外周面に繋がる溝、あるいは切欠が設定されていることを特徴とする。
ここで、超音波ホーンの圧着面及び外周面の形状としては、圧着面を横切り、外周面に至る十字状の溝を開設するか、あるいは、外周面から圧着面にかけて複数の溝を開設し、溝の端末を途中で途切らせても良い。また、対向する溝ではなく隣接する溝同士を連通させる構成を採用しても良い。尚、溝に替えて、ホーンの外周面から圧着面にかけて切欠を形成することも可能である。
従って、被着体上に樹脂部品を載置して、上述した構成の超音波ホーンにより、超音波溶着加工を施せば、圧着面に形成した溝や切欠に対応する部位は溶かされず、それ以外の部分だけが溶かされ、溶けた樹脂は超音波ホーンの溝や切欠に逃げることになる。その結果、溶着部分を横切るように、非溶着部分が形成され、この非溶着部分は、溶着部分の外周面と結合していることから、超音波ホーンによるプレス圧や加工時間等がばらついても、溶着強度を強固に維持できる。
以上説明した通り、本発明に係る樹脂部品の超音波溶着加工方法によれば、使用する超音波ホーンの圧着面には、外周面に繋がる溝、あるいは外周面に繋がる切欠が形成されているため、超音波加工ポイントには、溝、あるいは切欠に対応する非溶着部分が形成され、この非溶着部分は、溶着部の外周面と連接する構成となるので、溶着強度が安定化する。従って、超音波ホーンのプレス圧や周波数、あるいは超音波加工時間がばらついても、非溶着部が溶着部の外周面と連接しているため、溶着強度が安定化し、超音波溶着加工性能を高めることができるという効果を有する。
以下、本発明に係る樹脂部品の超音波加工方法の好適な実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例は、本発明の一例を示すものに過ぎない。
図1乃至図13は本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明方法を適用して製作したルーフトリムを裏面側からみた斜視図、図2は同ルーフトリムにおけるクリップ取付座をルーフトリム本体に超音波溶着加工により一体化する工程を示す説明図、図3はクリップ取付座における超音波加工ポイントを示す説明図、図4は本発明に係る超音波ホーンの一実施例を示す構成説明図、図5は図4に示す超音波ホーンの圧着面の形状を示す説明図、図6,図7は本発明方法により樹脂部品同士を溶着した形態を示す(a)断面図、(b)概略説明図である。また、図8乃至図11は超音波ホーンの変形例とそれによる溶着部を示す各形態図、図12,図13は超音波ホーンの更に変形例を示す説明図である。
図1において、ルーフトリム10は、所望の湾曲形状に成形され、図示しないルーフパネルの室内面側を覆うように内装されるルーフトリム本体20がベースとなっている。そして、パネル取付用のクリップを保持するクリップ取付座30が上記ルーフトリム本体20のリヤ側の複数箇所に取り付けられている。また、図示はしないが、ルーフトリム本体20の室内面側には、フロント側にサンバイザ、助手席側乗員や後席乗員の斜め上方に対応する両側縁にはアシストグリップが取り付けられている。
ルーフトリム本体20は、図2に示すように、基材21の表面に表皮22を一体化して構成されており、基材21としては、ガラス繊維/PP樹脂/発泡剤を混入した発泡性複合樹脂材料が使用され、軽量で所望の保形性を備え、かつ吸音性や断熱性にも富んでいる。表皮22は、不織布、織布等の布地シートが使用されており、基材21をコールドプレス成形する際、表皮22は一体成形される。そして、このルーフトリム本体20の基材21裏面に固定されるクリップ取付座30は、樹脂製プレート31にエンボス状の取付座本体32が一体形成されており、本実施例では、樹脂製プレート31の4隅部に超音波加工ポイント40が設定され、この超音波加工ポイント40に超音波ホーン50を適宜プレス圧で圧着して所定の周波数を所定時間加えることにより超音波加工を行ない、基材21に対して樹脂製プレート31を強固に固定している。すなわち、この超音波加工ポイント40は、図3に示す外観図のように、溶着部41を十字状に横切る非溶着部42が溶着部41の外周面43と連接することで、強固な溶着強度が確保されている。
上記構成の超音波加工ポイント40を形成するためには、図4,図5に示す超音波ホーン50が使用される。この超音波ホーン50は、円形でフラットな圧着面51に対して十字状に横切る溝52が外周面53に繋がるように切られている。そして、この超音波ホーン50を使用してルーフトリム本体20の基材21に対してクリップ取付座30における樹脂製プレート31を溶着固定するには2つの形態が考えられる。まず、超音波ホーン50によるプレス圧を大きく設定した場合、超音波ホーン50の圧着面51が基材21と樹脂製プレート31の境界面Aよりも基材21側に食い込むことになる。そして、図6(a)の断面図、図6(b)の概略説明図に示すように、超音波ホーン50の圧着面51に相当する溶着部41と溝52に相当する非溶着部42が形成され、この非溶着部42は、溶着部41の外周面43と連接していることから、超音波加工ポイント40は、強固な溶着強度が確保されている。従って、外周面43については、基材21と樹脂製プレート31との間の境界面Aの剥離という欠点もなく、非溶着部42のサポート機能により強固な溶着強度が得られることになる。
また、超音波ホーン50のプレス圧を低く設定した場合においても、図7(a)の断面図、図7(b)の概略説明図に示すように、超音波ホーン50の圧着面51が基材21と樹脂製プレート31との間の境界面Aよりも樹脂製プレート31側に位置することになる。そして、溝52による非溶着部42は、外周面43と連接しているため、この場合においても、溶着強度を強固に維持することができる。このように、超音波ホーン50の圧着面51には、外周面に繋がる溝52を形成したため、基材21と樹脂製プレート31との超音波加工ポイント40においては、非溶着部42が溶着部41の外周面43と連接する構成となり、プレス圧の大小や加工時間、あるいは周波数等、加工条件のばらつきがあっても、常に強固な溶着強度が得られることになる。
次いで、図8乃至図13は、超音波ホーン50の変形例及びその作用効果を示すもので、図8に示すように、超音波ホーン50の圧着面51に外周面53に繋がる溝52を放射状に4箇所設定し、かつ溝52の中央側端末は、連通させず途切らせる構成にする。従って、この超音波ホーン50を使用して超音波加工を施せば、図9に示すように、溶着部41の外周面43には、中央に対向して伸びる非溶着部42が形成され、上述実施例同様、強固な溶着強度が得られる。
また、図10に示すように、超音波ホーン50の圧着面51に外周面53に繋がる溝52を4箇所に設定し、対向する溝52ではなく隣接する溝52同士を連通させた超音波ホーン50を使用することも可能である。そして、この超音波ホーン50を使用して、超音波加工を施せば、図11に示すように、溶着部41の外周面43からアーチ状に対向して伸びる非溶着部42が形成されることで、上述実施例同様、溶着強度を強化することができる。尚、図12,図13に示すように、溝52に替えて、切欠54を外周面53に繋がるように形成しても良い。この場合、外周面43と連接する非溶着部42を増やすことができ、溶着強度がより強固なものとなる。更に、溝52と切欠54を併用することもできる。
以上説明した実施例は、ルーフトリム本体20における基材21の裏面にクリップ取付座30における樹脂製プレート31を載置し、超音波ホーン50による超音波加工により一体化する実施例について適用したが、例えば、ラゲージサイドトリム等のような樹脂製パネルの裏面にシンサレート(商品名、住友スリーエム(株)製)等のポリエステル不織布マットを溶着一体化する場合にも適用でき、被着体と樹脂部品の用途は限定されない。
以上説明した実施例は、ルーフトリム本体20における基材21にクリップ取付座30に代表されるような樹脂製プレート31を超音波ホーン50を使用して溶着固定する形態であったが、樹脂製パネルにポリエステル不織布マットを貼付する形態でも良く、加工対象となる被着体、樹脂部品の用途は限定されない。
更に、超音波ホーン50における圧着面51に形成される溝52や切欠54の形状は、実施例の形状に限定されることなく、適宜バリエーションをもたせることができる。
10 ルーフトリム
20 ルーフトリム本体(被着体)
21 基材
22 表皮
30 クリップ取付座(樹脂部品)
31 樹脂製プレート
32 取付座本体
40 超音波加工ポイント
41 溶着部
42 非溶着部
43 溶着部外周面
50 超音波ホーン
51 圧着面
52 溝
53 外周面
54 切欠
A 境界面
20 ルーフトリム本体(被着体)
21 基材
22 表皮
30 クリップ取付座(樹脂部品)
31 樹脂製プレート
32 取付座本体
40 超音波加工ポイント
41 溶着部
42 非溶着部
43 溶着部外周面
50 超音波ホーン
51 圧着面
52 溝
53 外周面
54 切欠
A 境界面
Claims (2)
- 被着体(20)の一面に樹脂部品(30)を重ね合わせて、超音波加工ポイント(40)に超音波ホーン(50)の圧着面(51)を所定のプレス圧で圧着しつつ、超音波振動を加えて被着体(20)に樹脂部品(30)を溶着固定する樹脂部品の超音波溶着加工方法において、
前記超音波ホーン(50)の圧着面(51)には、外周面(53)に繋がる溝(52)、あるいは切欠(54)が設定されていることにより、超音波加工ポイント(40)は、上記溝(52)、あるいは切欠(54)に対応する部位が非溶着部(42)、残る部位が溶着部(41)となり、かつ非溶着部(42)が溶着部(41)の外周面(43)に連接することで、溶着強度を強化したことを特徴とする樹脂部品の超音波溶着加工方法。 - 被着体(20)の一面に樹脂部品(30)を重ね合わせて、所定の超音波加工ポイント(40)で超音波溶着固定する際に使用する超音波ホーン(50)であって、前記超音波ホーン(50)の圧着面(51)には外周面(53)に繋がる溝(52)、あるいは切欠(54)が設定されていることを特徴とする超音波ホーン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005306893A JP2007112044A (ja) | 2005-10-21 | 2005-10-21 | 樹脂部品の超音波溶着加工方法並びにそれに使用する超音波ホーン |
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JP (1) | JP2007112044A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019182529A (ja) * | 2018-04-16 | 2019-10-24 | 株式会社Mizkan Holdings | 食品用容器、容器入り食品の製造方法及び食品用容器の接合方法 |
JP2021074881A (ja) * | 2019-11-05 | 2021-05-20 | 株式会社イトーキ | シート材と基材との複合体及びその製造方法 |
-
2005
- 2005-10-21 JP JP2005306893A patent/JP2007112044A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
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JP7164104B2 (ja) | 2018-04-16 | 2022-11-01 | 株式会社Mizkan Holdings | 食品用容器、容器入り食品の製造方法及び食品用容器の接合方法 |
JP2021074881A (ja) * | 2019-11-05 | 2021-05-20 | 株式会社イトーキ | シート材と基材との複合体及びその製造方法 |
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