JP2007109686A - 半導体受光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】受光領域を狭めることなく、界面準位による受光感度の低下を防止する半導体受光素子を提供する。
【解決手段】アノード21に接続されたp型半導体基板11と、p型半導体基板11の表面側に設けられた複数のn型拡散層13と、n型拡散層13に接続されたカソード22とを備えた半導体受光素子において、p型半導体基板11におけるn型拡散層13の間のp-型半導体層12上に、絶縁膜14を介して光透過性を有する透明電極31が配置されていることを特徴とする半導体受光素子である。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体受光素子に関し、特に、横型のPINフォトダイオードからなる半導体受光素子に関する。
特に光ピックアップ等のアプリケーションを想定したフォトディテクタにおいて、製造方法の簡便さ・コスト面での優位性・並びにフォトディテクタIC(PDIC)としての集積回路化のし易さから、シリコン(Si)系基板を用いたPIN(PN)フォトダイオードが多く用いられている。近年の光学系ディスクの短波長化 及び 高速化の需要に伴い、フォトディテクタにも同一の需要が大きくなっている。
通常のPINフォトダイオードにおいて、その周波数特性の向上を目指した場合、大きく、以下の2つのパラメータが周波数特性の決定要因となる。1つはキャリアの走行時間であり、もう1つはCR時定数である。キャリアの走行時間は、実際に受光領域に入射された光子が基板内で光電変換により電子正孔対に変換された後、拡散およびドリフトにて各電極まで移動する時間である。また、CR時定数は、PN接合容量及び各電極までの抵抗成分が主なパラメータであると考えられる。
従来、周波数特性決定に対しては、主にCR時定数、特に接合容量が支配的であり、このパラメータを低減する方向でPINフォトダイオードの世代が進んできた。具体的には、PINフォトダイオードのI領域(空乏層)をより拡げるように、例えばP層(アノード)、P-層(低濃度P領域)、N層(カソード)をこの順に配置し、P-層に空乏層を拡げる方向に開発が進んできた。つまり、低濃度P領域の更なる濃度低下、厚膜化により、空乏層を出来るだけ拡げることによって、PN接合容量の低減を図ってきた。
しかし、PN間の電位差が同一の場合、空乏層幅の上昇に従って、空乏層内のキャリアのドリフト速度(空乏層内の電界強度に依存)は低下してしまうと共に、移動距離(空乏層幅)が大きくなってしまうのでキャリアの移動時間は大きくなってしまう。
例えば、Si系のPiNフォトダイオードにて、PN接合容量を1/2に低減させる為に、PN間に2.5Vの電位を掛けた状態で、空乏層の幅を10μmから20μmに変更したと仮定し、それぞれの空乏層内でのドリフトによるキャリア(ここでは電子)の移動速度を簡易的に算出してみる。この場合、空乏層の幅が10μmの場合は、3.0×10-6cm/secであるのに対し、空乏層の幅が20μmの場合は0.6×10-6cm/secとなる。さらに、それぞれの走行距離(空乏層幅)を考慮すると、各条件下での 空乏層内の走行時間によって決定するカットオフ周波数(fc)(ここでは、−3dBとなる周波数とする)は、1.3GHzから350MHzまで低下する。上述したように、この計算はあくまで空乏層内の電子の走行時間成分をfcに算出し直したものであり、現実的には他のパラメータをも考慮する必要があるため、fcは更に低下すると考えられる。
そして、GHzオーダーのfcの要求を想定した場合、既にキャリアの走行時間は無視できない領域に入っている。また、光学ディスク関連のアプリケーションの仕様から、極端にPN間に印加する電圧を上げることは出来ず、寧ろ回路的な要求から電圧を低減する方向であるため、空乏層を拡げた形で電界強度を上げ、ドリフト速度を上げることは難しい状態である。以上のことから、現実的に、PN接合容量の低減を目的として、空乏層を拡げてfcの向上を目指す方向には限界があることが分かる。
そこで、アノードコモンのPINフォトダイオードからなるアノード/カソードを互い違いに配置したいわゆる横型のフォトディテクタが開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
ここで、横型のフォトディテクタの一例について図6を用いて説明すると、p型シリコン基板からなるp型半導体基板11の表層側は、p型半導体基板11よりも低い不純物濃度のp-型半導体層12で構成されている。また、p型半導体基板11のp-型半導体層12の表面側には、複数のn型拡散層13が設けられており、PN接合が形成されている。この半導体基板11上には、例えば酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁膜14が設けられている。また、上記半導体基板11のn型拡散層13が設けられた面の反対側はアノード(図示省略)に接続されており、n型拡散層13はカソード(図示省略)に接続されている。
この場合、例えばn型拡散層13の実効面積をフォトダイオードの受光領域の0.2倍とすれば、大まかには見かけのPN接合容量を0.2倍まで下げることが出来る。これにより、例えばPN接合による空乏層幅が10μmから2μmまで低減したとしても、見かけの単位面積当たりの容量は上昇することがない。このため、本来トレードオフの関係であってCR時定数の低減、(特にPN接合容量の低減)および空乏層幅の低減によるキャリア移動速度・距離の低減を両立することが可能となる。
p-i-nフォトダイオードの高周波応答特性のモデル化,「応用物理学会分科会,シリコンテクノロジーNo.65,STM04−01」2004年9月
しかし、上述したような横型のフォトディテクタでは、図7に示すように、実際にはn型拡散層13の間のp-型半導体層12の表面側に不純物の低濃度領域が形成されるため、絶縁膜14との界面に界面準位(interface trapped charge)Aが形成され易い状態になっている。そして、界面準位Aが形成された受光面に受光された光子は、電子正孔対に変換した途端に界面準位Aにトラップされてしまい、光電変換に寄与しない電荷の割合が増加してしまう。これにより、実質的な受光感度の低下が見られる。
また、この受光感度の低下は、図7中のp-型半導体層12のn型拡散層13に対する表面積の比率が大きくなれば大きくなるほど、可能性が大きくなってしまう。また、不安定な界面状態のばらつきにより受光感度などのフォトディテクタ特性の制御性も困難であると考えられる。
そこで本発明は、受光領域を狭めることなく、界面準位による受光感度の低下を防止する半導体受光素子を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明の半導体受光素子は、第1電極に接続された第1導電型の半導体基板と、半導体基板の表面側に設けられた複数の第2導電型の拡散層と、拡散層に接続された第2電極とを有する半導体受光素子において、半導体基板における各拡散層の間の領域上に、絶縁膜を介して光透過性を有する第3電極が配置されていることを特徴としている。
このような半導体受光素子によれば、半導体基板における拡散層の間の領域上に、第3電極が設けられていることから、第3電極と絶縁膜と拡散層とで、トランジスタ構造が形成される。これにより、この第3電極に電圧を印加することで、第3電極の直下の半導体基板の表面に電荷が蓄積される。このため、半導体基板における拡散層の間の領域に界面準位が形成されたとしても、蓄積された電荷により補償される。これにより、受光された光子から光電変換された電子正孔対が界面準位にトラップされることが防止される。また、第3電極が光透過性を有することで、第3電極直下の半導体基板の表面側が受光領域として維持される。
以上説明したように、本発明の半導体受光素子によれば、受光領域を狭めることなく、受光された光子から光電変換された電子正孔対が界面準位にトラップされることが防止されるため、効率よく光電変換することが可能となり、受光感度を向上させることができる。
以下、本発明に係る半導体受光素子の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体受光素子の構成の概略を示す断面構成図である。本実施形態に係る横型のPINフォトダイオードの断面図である。例えば、1×1018atoms/cm3程度の不純物濃度を有するp型(第1導電型)のシリコン基板からなるp型半導体基板11の表層側は、p型半導体基板11よりも低い1×1014atoms/cm3程度の不純物濃度を有するp-型半導体層12で構成されている。また、p+型半導体基板11のp-型半導体層12の表面側には、1×1016atoms/cm3程度の不純物濃度を有する複数のn型(第2導電型)拡散層13が設けられ、PN接合が形成されている。
この半導体基板11の表面は、例えば酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁膜14が設けられている。この絶縁膜14は、反射防止膜として機能する。
また、上記半導体基板11のn型拡散層13が設けられた面の反対側はアノード(第1電極)21に接続されており、n型拡散層13はカソード(第2電極)22と接続されている。
そして、本発明に特徴的な構成として、前記半導体基板11におけるn型拡散層13の間のp-型半導体層12上には、絶縁膜14を介して、光透過性を有する例えば酸化亜鉛(ZnO)からなる透明電極(第3電極)31が設けられている。この透明電極31は、光透過性を有する導電材料で構成されている。これにより、透明電極31の直下の半導体基板11の表面側は、受光領域として維持される。この透明電極31の膜厚は、目的とする受光波長の光に対して反射率が低くなるように調整することで、高い光透過率が得られるようにする。
上記透明電極31に用いられる光透過性を有する導電材料としては、上記ZnOの他に、酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide(ITO))、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化錫(SnO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化クロム(Cr23)、酸化インジウム(In23)、ガリウム(Ga)含有ZnOが挙げられる。この中でも、特に抵抗値の低い導電材料を用いることが好ましい。
また、n型拡散層13の間のp-型半導体層12上に、絶縁膜14を介して上記透明電極31が設けられることにより、透明電極31と絶縁膜14、n型拡散層13とで、所謂、表面電界効果型トランジスタが設けられた状態となる。そして、透明電極31に上記アノード21とは異なる電位の電圧を印加することで、透明電極31の直下のp-型半導体層12の表面には電荷が蓄積される。これにより、n型拡散層13の間のp-型半導体層12において絶縁膜14との界面近傍に形成される界面準位が蓄積された電荷で補償される。
例えば、図2の要部拡大図に示すように、アノード21にマイナス(−)電圧、カソード22にプラス(+)電圧を印加することで、逆方向の電位をかける。そして、透明電極31にアノード21よりも低い電位の電圧(−V1)を印加する。これにより、半導体基板11におけるn型拡散層13の間のp-型半導体層12の表面側には正電荷Qが蓄積され、空乏層Iがn型拡散層13を囲う状態で広がる。
また、図3の要部拡大図に示すように、アノード21とカソード22に逆方向の電位をかけた状態で、透明電極31にアノード21よりも高い電圧(+V1)をかけた場合には、n型拡散層13の間のp-型半導体層12の表面側には負電荷Q’が蓄積され、空乏層I’はn型拡散層13の周囲と、p-型半導体層12の表面側とに連通した状態で広がる。この場合の空乏層I’は、図2を用いて説明した透明電極31にアノード21よりも低い電位の電圧を印加した場合の空乏層Iよりも広くなる。
この際、透明電極31にかける電圧(+V1)は、カソード22に印加する電圧(+V2)以下であること(V1≦V2)が好ましい。これは、透明電極31下で発生した負電荷Q’はドリフトモードでカソード22に向かう。この際、V1>V2であれば、透明電極31下で発生したキャリアがカソード22に進む際、電界強度が弱められ、キャリアの進行速度を阻害してしまうからである。
ここで、図2および図3を用いて説明したどちらの場合であっても、縦方向と横方向の双方で光電変換領域(空乏層I,I’)が形成される。そして、透明電極31にかける電圧V1をアノード21よりも高くするか低くするかは、このフォトダイオードの目的により、適宜設定する。
例えば、周波数優先である場合、または低電圧下での使用を前提としている場合には、キャリアの走行時間が重要となるため、図2を用いて説明したように、空乏層Iの幅が狭い方が好ましく、透明電極31にアノード21よりも低い電圧(−V1)をかける。
また、受光感度が優先である場合、または高電圧下での使用が可能である場合には、図3を用いて説明したように、空乏層I’の幅が広い方が好ましく、透明電極31にアノード21よりも高い電圧(+V1)をかける。
さらに、設計するフォトディテクタの構造、具体的には、縦型プロファイルまたはカソード間の間隔など横方向の構造によっても、透明電極31にかける電圧を最適化して適宜設定することが好ましい。
このような横型のPINフォトダイオードによれば、p型半導体基板11におけるn型拡散層13の間のp-型半導体層12上に、絶縁膜14を介して透明電極31が設けられていることから、この透明電極31にアノード21とは異なる電位の電圧を印加することで、透明電極31の直下の半導体基板11の表面に電荷が蓄積される。このため、p型半導体基板におけるp-型半導体層12の絶縁膜14との界面に界面準位が形成されたとしても、受光された光子から変換された電子正孔対が界面準位にトラップされることが防止される。また、透明電極31の直下の半導体基板の表面も受光領域として維持される。したがって、受光領域を狭めることなく、効率よく光電変換を行うことができ、受光感度を向上させることができる。
さらに、横型のPINフォトダイオードであることで、CR時定数の低減および空乏層幅の低減によるキャリア移動速度・距離の低減を両立することができることから、短波長レーザおよび高周波応答に対応したフォトダイオードを実現することができる。
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体受光素子の構成の概略を示す断面構成図である。この図に示すように、本実施形態の半導体受光素子は、第1実施形態で図1を用いて説明した横型のPINフォトダイオードにおいて、半導体基板11のn型拡散層13上に絶縁膜14を介して、カソード22が配置されている。このカソード22は、絶縁膜14を貫通するコンタクトプラグ23を介してn型拡散層13と接続されている。これにより、高周波デバイスにおいて問題となっているカソード22の寄生抵抗が低減される。このカソード22は、n型拡散層13上を覆うとともに、上記透明電極31とはショートしない程度に離間した状態で配置されることとする。
また、上記カソード22は、透明電極31と同一材料で、同一の膜厚となるように構成されることとする。すなわち、カソード22は、透明電極31と同様に、光透過性を有する導電材料で形成され、ここではZnOで形成されることとする。これにより、受光領域全体で光透過率を合わせることが可能となる。
ここで、このPINフォトダイオードの全体図を図5に示す。図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のX−X’断面図である。図5(a)に示すように、アノード21に接続されたp型半導体基板11上に櫛型のカソード22が設けられており、コンタクトプラグ23を介して図5(b)に示すn型拡散層13に接続されている。また、このカソード22から露出するp型半導体基板11を覆うように、櫛形の透明電極31が配置されている。
なお、ここでは、カソード22と透明電極31とが櫛型に配置される例について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、使用目的に応じた臨機応変なレイアイトとすることが可能である。
このようなフォトダイオードであっても、p型半導体基板11におけるp-型半導体層12上に絶縁膜14を介して透明電極31が配置されることから、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態のフォトダイオードでは、p型半導体基板11の表面側に設けられたn型拡散層13上に、透明電極31と同一材料で形成されたカソード22が配置されることから、受光領域全体で光透過率を合わせることができるとともに、カソード22の寄生抵抗を低減することができる。
なお、第1実施形態および第2実施形態で説明したフォトダイオードでは、p型半導体基板11の表面側に複数のn型拡散層13が設けられた例について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、n型半導体基板の表面側にp型拡散層が設けられた例であっても適用可能である。
本発明の半導体受光素子に係る第1実施形態を説明するための構成断面図である。 本発明の半導体受光素子に係る第1実施形態を説明するための要部拡大断面図である。 本発明の半導体受光素子に係る第1実施形態を説明するための要部拡大断面図である。 本発明の半導体受光素子に係る第2実施形態を説明するための構成断面図である。 本発明の半導体受光素子に係る第2実施形態の全体図を説明するための平面図(a)および断面図(b)である。 従来の半導体受光素子を説明するための構成断面図である。 従来の半導体受光素子の課題を説明するための構成断面図である。
符号の説明
11…p型半導体基板、12…p-型半導体層、13…n型拡散層、14…絶縁膜、21…アノード(第1電極)、22…カソード(第2電極)、31…透明電極(第3電極)

Claims (4)

  1. 第1電極に接続された第1導電型の半導体基板と、当該半導体基板の表面側に設けられた複数の第2導電型の拡散層と、当該拡散層に接続された第2電極とを備えた半導体受光素子において、
    前記半導体基板における各拡散層の間の領域上に、絶縁膜を介して光透過性を有する第3電極が配置されている
    ことを特徴とする半導体受光素子。
  2. 請求項1記載の半導体受光素子において、
    前記半導体基板の表層側は、当該半導体基板よりも不純物濃度が低い前記第1導電型の半導体層で構成されている
    ことを特徴とする半導体受光素子。
  3. 請求項1記載の半導体受光素子において、
    前記第3電極には、前記第1電極とは異なる電位の電圧が印加されている
    ことを特徴とする半導体受光素子。
  4. 請求項1記載の半導体受光素子において、
    前記半導体基板の前記拡散層上に、前記第3電極とは離間した状態で、当該第3電極と同一材料で形成された前記第2電極が配置されている
    ことを特徴とする半導体受光素子。
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