JP2007108661A - アップライトピアノのアクション - Google Patents

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英範 釘本
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Abstract

【課題】 単純かつコンパクトな構成によって、良好なタッチ重さおよびタッチ感を確保しながら、レットオフのタイミングが明確になることで、表現力に優れた高い演奏性を実現可能なアップライトピアノのアクションを提供する。
【解決手段】 ハンマー1が立設されたバット2は、バットフレンジ8に回動自在に支持され、ジャック23は、離鍵状態においてバット2に係合し、押鍵に伴い、バット2を突き上げることでバット2およびハンマー1を後方に回動させ、バットスプリング3は、バット2の背面2dに対向して上下方向に延び、上端部3aおよび下端部3dがバット2およびバットフレンジ8に対してそれぞれ係止され、バット2を前方に付勢し、押圧部4は、バット2の背面2dおよび/またはバットスプリング3に設けられ、押鍵に伴うジャック23の離脱直前に、バット2およびバットスプリング3を互いに接触させることで、バット2を前方に押圧する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションに関する。
従来のアップライトピアノのアクションとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このアクションは、一般的なものであり、バットフレンジに回動自在に取り付けられ、上下方向に延びるハンマーシャンクを有するハンマーが立設されたバットと、鍵の離鍵状態においてバットの下端部に係合するジャックと、バットに設けられたバットスプリングとを有している。このバットスプリングは、ねじりコイルばねで構成された一般的なものであり、バットを復帰方向に常に付勢している。
また、アクションでは、鍵が押鍵されると、ジャックがバットを突き上げ、それにより、バットおよびハンマーは、バットスプリングの付勢力に抗しながら、バットフレンジを中心に後方に回動する。この回動の途中、ジャックはバットから離脱し、それにより、鍵のタッチ重さ(指先にかかる荷重)からハンマーの重量分が失われることで、演奏者にレットオフ感が付与される。また、このジャックの離脱後、ハンマーは、慣性でそのまま回動し、後方に張られた弦を打弦することによって、演奏音を発生させる。
一般に、豊かな演奏表現のためには、ジャックがハンマーから離脱するタイミング、すなわちレットオフのタイミングを正確に把握し、ハンマーの打弦速度を細かくコントロールすることが重要である。例えば、ピアニッシモのような弱音は、ハンマーを弦の付近まで一旦、回動させ、その状態からさらに回動させることにより、ハンマーの打弦速度を小さくすることによって得ることができる。すなわち、鍵を、ジャックがハンマーから離脱するレットオフ直前まで一旦、押鍵し、その状態から押し切ることによって、弱音を得ることができる。
これに対して、従来のアクションを適用したアップライトピアノでは、前述したように、ハンマーシャンクが上下方向に延びているために、ハンマーの重心がその回動支点に近い位置にあるので、ハンマーの自重による回動支点回りのモーメントは小さい。このため、レットオフ直前のタッチ重さであるレットオフ荷重は小さく、レットオフ前後のタッチ重さの変化量もまた小さいので、レットオフのタイミングを把握し難い。これに対して、グランドピアノでは、ハンマーシャンクが前後方向に延びていて、ハンマーの自重による回動支点回りのモーメントは大きいので、上記のような問題はほとんどない。以上の結果、アップライトピアノでは、グランドピアノと比較して、ハンマーの打弦速度を細かく調整し難いことによって、ピアノの表現力や演奏性が低くなってしまう。
一方、前述したように、バットスプリングの付勢力は、バットを復帰方向に付勢するように作用するため、押鍵時に鍵に反力として作用する。このため、上記のような不具合を解消すべく、レットオフのタイミングを明確にするために、このバットスプリングの付勢力を増大させることが考えられる。しかし、その場合には、バットスプリングの付勢力が常に作用するため、鍵の静的荷重が大きくなり、タッチ重さが過大になるとともに、ばねを変形させるときに得られるような「ばねっぽい」タッチ感になり、タッチ感を悪化させてしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、単純かつコンパクトな構成によって、良好なタッチ重さおよびタッチ感を確保しながら、レットオフのタイミングを明確にすることができ、それにより、表現力に優れた高い演奏性を実現することができるアップライトピアノのアクションを提供することを目的とする。
特開平6−27934号公報
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションであって、バットフレンジに回動自在に支持されるとともに、ハンマーが立設されたバットと、鍵の離鍵状態においてバットに係合し、鍵の押鍵に伴い、バットを突き上げることによってバットおよびハンマーを後方に回動させるとともに、当該回動の途中で、バットから離脱するジャックと、バットの背面に対向するように上下方向に延びるとともに、上端部および下端部がバットおよびバットフレンジに対してそれぞれ係止され、バットを前方に付勢するバットスプリングと、バットの背面およびバットスプリングの少なくとも一方に設けられ、押鍵に伴ってジャックがバットから離脱する直前に、バットおよびバットスプリングを互いに接触させることによって、バットを前方に押圧する押圧部と、を備えることを特徴とする。
このアップライトピアノのアクションによれば、離鍵状態では、ジャックがバットに係合しており、この状態から鍵が押鍵されると、ジャックはバットを突き上げ、それにより、バットは、これに立設されたハンマーとともに、バットフレンジを支点として後方に回動する。この回動の途中、ジャックがバットから離脱し、それにより、ハンマーの重量分がタッチ重さから失われることによって、演奏者にレットオフ感が付与される。また、このジャックの離脱後、ハンマーは、慣性でそのまま回動し、弦を打弦することによって、ピアノ音を発生させる。さらに、バットの背面には、これに対向するようにバットスプリングが上下方向に延びており、その上端部および下端部が、バットおよびバットフレンジに対してそれぞれ係止されている。このバットスプリングによってバットが前方に付勢されており、この付勢によって、押鍵後の離鍵時に、ハンマーが前方の元の位置に復帰回動する。また、バットの背面および/またはバットスプリングには、押圧部が設けられており、この押圧部は、押鍵に伴ってジャックがバットから離脱する直前に、バットおよびバットスプリングを互いに接触させることによって、バットを前方に押圧する。
以上のように、ジャックが離脱する直前において、押圧部がバットを前方に押圧し、すなわち、バットスプリングの付勢力に加え、押圧部による押圧力が、ジャックの突き上げ力に抗し、バットを前方に回動させる方向に作用するので、この押圧力の分、レットオフ荷重を増大でき、レットオフ前後のタッチ重さの変化量を増大できる。これにより、レットオフのタイミングがより明確になるので、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。また、押圧部による押圧力がレットオフ直前にのみ作用し、それ以前には作用しないので、良好なタッチ重さおよびタッチ感を確保することができる。さらに、本発明のアクションは、バットの背面やバットスプリングに押圧部を設けるだけでよいので、単純かつコンパクトな構成で実現することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のアップライトピアノのアクションにおいて、押圧部は、バットの背面に設けられ、ジャックが離脱する直前にバットスプリングに当接する弾性材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ジャックが離脱する直前に、バットの背面に設けられた弾性材がバットスプリングに当接する。具体的には、押鍵に伴ってバットがバットフレンジの支点を中心として回動すると、バットと一体の弾性材およびバットスプリングの上端部が同じ支点を中心として回動するのに対し、バットスプリングの下端部はバットフレンジに対して係止されているため、支点を中心とするバットスプリングの回動ストロークは、下端側に向かうほど、バットよりも小さくなる。その結果、バットの回動の途中、ジャックが離脱する直前に、弾性材がバットスプリングに当接するようになる。この当接に伴い、バットスプリングが弾性材を介してバットを前方に押圧することによって、レットオフ荷重が増大する。この場合、バットスプリングに当接した際に弾性材が弾性変形することによって、バットスプリングによる押圧力を弾性材を介してバットに確実に作用させることができるので、レットオフ荷重を確実に増大できる。また、弾性材が緩衝材としての役割を果たすので、バットスプリングが当接した際のノイズの発生や、バットスプリングの変形およびバットの摩耗を防止することができる。
前記目的を達成するため、請求項3に係る発明は、鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションであって、バットフレンジに回動自在に支持されるとともに、ハンマーが立設されたバットと、鍵の離鍵状態においてバットに係合し、鍵の押鍵に伴い、バットを突き上げることによってバットおよびハンマーを後方に回動させるとともに、当該回動の途中で、バットから離脱するジャックと、バットの背面に対向するように上下方向に延びるとともに、上端部および下端部がバットおよびバットフレンジに対してそれぞれ係止され、バットを前方に付勢するバットスプリングと、を備え、バットスプリングは、バット側に凸に曲がるように形成され、離鍵状態ではバットの背面から離れているとともに、押鍵に伴ってジャックがバットから離脱する直前に、バットの背面に当接することによって、バットを前方に押圧する押圧部を有することを特徴とする。
このアップライトピアノのアクションによれば、請求項1と同様、鍵の押鍵に伴い、バットがジャックに突き上げられることによって、後方の弦に向かって回動し、この回動の途中、ジャックがバットから離脱することによって、演奏者にレットオフ感が付与される。また、このジャックの離脱後、ハンマーは、慣性でそのまま回動し、弦を打弦する。さらに、バットの背面には、これに対向するようにバットスプリングが上下方向に延びており、その上端部および下端部が、バットおよびバットフレンジに対してそれぞれ係止されている。このバットスプリングによって、バットが前方に付勢されている。また、バットスプリングには、押圧部がバット側に凸に曲がるように形成されており、この押圧部は、離鍵状態ではバットの背面から離れているとともに、請求項2で述べたように、バットスプリングの下端部がバットフレンジに対して係止されている関係上、バットスプリングの回動ストロークがバットよりも小さいため、押鍵に伴ってジャックが離脱する直前に、バットの背面に当接し、それにより、バットを前方に押圧する。
このように、レットオフ直前に、押圧部がバットを前方に押圧するので、請求項1と同様、レットオフ荷重を増大でき、レットオフ前後のタッチ重さの変化量を増大できる。したがって、レットオフのタイミングを明確にすることができ、それにより、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。また、押圧部の押圧力がレットオフ直前にのみ作用し、それ以前には作用しないので、請求項1と同様、良好なタッチ重さおよびタッチ感を確保することができる。さらに、本発明のアクションは、既存のバットスプリングに押圧部を設けるだけで、非常に単純かつコンパクトに構成できるとともに、部品点数は変わらないので、製造コストを最小限に抑えることができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のアップライトピアノのアクションにおいて、バットの背面に、バットスプリングの押圧部の左右方向のずれを規制する規制部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、バットの背面に設けられた規制部によって、バットの背面に当接した際のバットスプリングの押圧部の左右方向のずれが規制され、抑制される。これにより、押圧部の押圧力をバットにロスなく効率的に伝達することができ、それにより、レットオフ荷重を確実に増大できる。
請求項5に係る発明は、請求項3に記載のアップライトピアノのアクションにおいて、バットの背面の押圧部が当接する部分に、緩衝材が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、バットの背面の押圧部が当接する部分に緩衝材が設けられているので、押圧部がバットの背面に当接した際にノイズが発生するのを防止できるとともに、バットの摩耗および押圧部の変形を防止することができる。また、例えば、緩衝材として、互いに異なる厚さを有する複数のものを用意し、その中から適当な厚さのものを選択することによって、押圧部とバットの背面とのクリアランスを、押圧部がバットにレットオフ直前に当接するような適切な大きさに、容易に調整することができる。
前記目的を達成するため、請求項6に係る発明は、鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションであって、バットフレンジに回動自在に支持されるとともに、ハンマーが立設されたバットと、鍵の離鍵状態においてバットに係合し、鍵の押鍵に伴い、バットを突き上げることによってバットおよびハンマーを後方に回動させるとともに、当該回動の途中で、バットから離脱するジャックと、バットの背面に対向するように上下方向に延びるとともに、上端部および下端部がバットおよびバットフレンジに対してそれぞれ係止され、バットを前方に付勢するバットスプリングと、を備え、バットスプリングは、バット側に凸に曲がり、バットの背面に接触するとともに、押鍵に伴ってバットの回動角度が大きくなるほど、バットの背面との接触部分の下端位置が下方に移動するような所定の形状を有することを特徴とする。
このアップライトピアノのアクションによれば、請求項1および3と同様、鍵の押鍵に伴い、バットが、ジャックの突上げによって後方の弦に向かって回動し、その途中、ジャックがバットから離脱し、その後、ハンマーが弦を打弦する。また、バットの背面には、これに対向するようにバットスプリングが上下方向に延びており、その上端部および下端部が、バットおよびバットフレンジに対してそれぞれ係止されている。さらに、バットスプリングは、バット側に凸に曲がり、バットの背面に接触するような所定の形状を有している。以上の構成により、バットスプリングは、バットの回動が進むほど、圧縮され、たわむことにより、バットの背面との接触部分を介してバットを前方に付勢する。また、請求項2に関して述べたように、バットフレンジの支点を中心とするバットスプリングの回動ストロークは、その下端側に向かうほど、バットよりも小さくなる。このため、押鍵に伴ってバットの回動角度が大きくなるほど、バットスプリングのバットの背面との接触部分の下端位置が下方に移動し、それに伴い、バットスプリングの有効長さが短くなることによって、バットに作用するバットスプリングの付勢力とそのたわみとの比がより大きくなる。
以上により、バットスプリングの付勢力は、バットの回動角度が大きくなるほど、すなわち、押鍵が進むほど、より大きな増加度合で非線形に大きくなる。したがって、レットオフ直前に、バットスプリングによるより大きな付勢力がバットに作用するので、請求項1と同様、レットオフ荷重を増大でき、レットオフ前後のタッチ重さの変化量を増大できる。したがって、レットオフのタイミングを明確にすることができ、それにより、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。また、バットの回動角度が小さいとき、すなわち押鍵の初期には、バットスプリングの付勢力がより小さい状態に維持されるので、請求項1と同様、良好なタッチ重さおよびタッチ感を確保することができる。さらに、請求項3と同様、本発明のアクションは、既存のバットスプリングを上述したような所定の形状を有するように形成するだけなので、非常に単純かつコンパクトに構成できるとともに、製造コストを最小限に抑えることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるアップライトピアノのアクション21、鍵盤11およびハンマー1などを、離鍵状態において示している。なお、以下の説明では、演奏者側から見て手前側を「前」、奥側を「後」として説明する。また、同図を含む実施形態を説明するための図では、便宜上、ハッチングを省略するものとする。鍵盤11は、左右方向(図1の奥行き方向)に並んだ多数の鍵12(1つのみ図示)によって構成されている。各鍵12は、筬13に立設されたバランスピン13aに、回動自在に支持されている。
ハンマー1は、鍵12ごとに設けられており(1つのみ図示)、各ハンマー1は、ハンマーシャンク5およびハンマーヘッド6を有している。ハンマーシャンク5は、断面円形の細長い棒状に形成され、後述するアクション21のバット2の上面に立設されており、上下方向に延びている。ハンマーヘッド6は、ハンマーウッド6aおよびこれに巻かれたハンマーフェルト6bなどで構成されており、ハンマーシャンク5の上端部に設けられていて、離鍵状態では、後方に鉛直に張られた弦Sに対向している。
アクション21は、鍵盤11の後端部の上方において、筬13の左右端部にそれぞれ設けられたブラケット(図示せず)に取り付けられ、左右のブラケットの間に配置されている。また、アクション21は、鍵12ごとに設けられたウィッペン22、ジャック23およびバット2を有している(各1つのみ図示)。左右のブラケットの間には、センターレール31およびハンマーレール32が渡されている。
ウィッペン22は、例えば合成樹脂や木材によって所定の形状に形成されており、その後端部において、センターレール31の下端部に固定されたウィッペンフレンジ24に、ピン状の支点22aを介して回動自在に支持されている。ウィッペン22の前部には、下方に突出するヒール部22bが設けられており、ウィッペン22は、このヒール部22bを介して、対応する鍵12の上面後端部に設けられたキャプスタンボタン12aに載置されている。ウィッペン22の上面前端部には、バックチェックワイヤ25aが立設されており、このバックチェックワイヤ25aの先端部に、バックチェック25が取り付けられている。また、ウィッペン22の上面のウィッペンフレンジ24よりも後ろ側の部分には、後述するダンパー35を駆動するためのスプーン26が立設されている。
ジャック23は、例えば合成樹脂で構成されており、射出成形によって一体成形されている。ジャック23は、前後方向に延びる基部23aと、基部23aの後端部から上方に延びるハンマー突上部23bを有しており、基部23aとハンマー突上部23bとの角部において、ウィッペン22の中央部に、ピン状の支点23cを介して回動自在に支持されている。ジャック23の基部23aとウィッペン22の間には、離鍵時にジャック23を復帰回動させるためのジャックスプリング27が設けられている。また、基部23aの上方には、レギュレティングボタン28が鍵12ごとに設けられている(1つのみ図示)。このレギュレティングボタン28は、レギュレティングブラケット29やレギュレティングレール30を介して、センターレール31に固定されている。
バット2は、合成樹脂により所定の形状に形成されていて、その背面側の下端部において、センターレール31の上端部に固定されたバットフレンジ8に、ピン状の支点2aを介して回動自在に支持されており、それにより、ハンマー1は回動自在になっている。バット2の前面には、キャッチャー7が取り付けられており、キャッチャー7は、前方に延び、離鍵状態では、前述したバックチェック25の後方に位置し、これと対向している。また、バット2の背面の上端部は後方に若干突出し、その左右方向の中央に、溝2bが形成されており、この溝2bには、バットスプリング3が取り付けられている(図3参照)。
図2に示すように、このバットスプリング3は、ねじりコイルばねで構成されており、コイル部3a、第1腕部3bおよび第2腕部3cを有している。コイル部3aは、バット2の溝2bに嵌合した状態でバットスプリングコード2cに係止されており、第1腕部3bは、コイル部3aの一端から下方に延び、溝2bの底面に係合している。第2腕部3cは、コイル部3aの他端から、バット2の背面2dに対向するように下方に延びており、その下端部のフック部3dが、バットフレンジ8に取り付けられたバットフレンジコード2eに引っ掛けられ、係止されている。以上の構成により、バットスプリング3は、バット2とバットフレンジ8の間に圧縮された状態で取り付けられており、それにより、バット2を前方に付勢し、ハンマー1を図1の時計回りに付勢している。
また、図2〜図4に示すように、バット2の背面2dには、押圧部4が設けられており、押圧部4は、取付部4aおよび当接部4bなどで構成されている。取付部4aは、例えば合成樹脂で構成されており、上下方向に延びる板状の基部4cと、基部4cの上端部の左右の端部からそれぞれ直角に後方に若干延びる左右の壁部4d,4dを一体に有している。当接部4bは、弾性材、例えば発泡ウレタンまたはゴムで構成され、所定の大きさの直方体状に形成されており、取付部4aの壁部4d,4dの間に取り付けられている。
また、基部4cの下部には、取付孔4eが形成されており、押圧部4は、バット2の背面2dの下端部に形成されたねじ穴(図示せず)に、ねじ4fを取付孔4eを介してねじ込むことによって、バット2の背面2dに取り付けられている。これにより、図2に示すように、押圧部4の当接部4bは、バット2とバットスプリング3の第2腕部3cの間の所定位置に配置され、離鍵状態では、第2腕部3cに間隔を隔てて対向しており、第2腕部3cとのクリアランスC1は、所定値に設定されている。
以上の構成により、離鍵状態では、ジャック23のハンマー突上部23bがバット2の下面の前端部で構成される被突上部2fに下方から係合することによって、ハンマー1が静止した状態になっている。
アクション21の後方には、ダンパー35が鍵12ごとに設けられている(1つのみ図示)。ダンパー35は、ダンパーフレンジ35aを介してセンターレール31に回動自在に取り付けられたダンパーレバー35bと、ダンパーレバー35bの上側にダンパーワイヤ35cを介して取り付けられたダンパーヘッド35dと、ダンパーヘッド35dを弦S側に付勢するダンパーレバースプリング35eなどで構成されている。このダンパー35は、離鍵時に、ダンパーレバースプリング35eの付勢力により、ダンパーヘッド35dが弦Sを押圧することによって、止音動作を行う。
次に、上述したアクション21およびハンマー1などの押鍵の開始から離鍵の終了までの一連の動作について説明する。演奏者により離鍵状態の鍵12が押鍵されると、鍵12は、バランスピン13aを中心として図1の時計回りに回動し、その後端部に載置されたウィッペン22は、鍵12により突き上げられることによって、支点22aを中心として上方(反時計回り)に回動する。このウィッペン22の回動に伴い、ジャック23は、ウィッペン22と一緒に上方に移動し、ハンマー突上部23bを介してバット2を突き上げる。これにより、バット2およびハンマー1は、バットスプリング3の付勢力に抗しながら、支点2aを中心として、後方の弦Sに向かって反時計回りに回動する。バットスプリング3のフック部3dがバットフレンジ8に対して係止されているので、このハンマー1の回動に伴う支点2aを中心とするバットスプリング3の回動ストロークは、下端側に向かうほど、バット2よりも小さくなる。このため、バット2が第2腕部3cに向かって相対的に後方に移動する。
そして、ウィッペン22が所定角度、回動したときに、ジャック23の基部23aがレギュレティングボタン28に当接し、上方への移動が規制されることにより、ジャック23がウィッペン22に対して時計回りに回動する。
押鍵がさらに進むと、ジャック23がウィッペン22に対してさらに回動することによって、ハンマー突上げ部23bがバット2から前方に外れ、ジャック23がハンマー1から離脱する(レットオフ)。これにより、鍵12のタッチ重さからバット2およびハンマー1の重量分が失われることによって、演奏者にレットオフ感が付与される。また、上述したように、バット2が第2腕部3cに向かって相対的に後方に移動することによって、上記のレットオフ直前に、図5に示すように、押圧部4の当接部4bがバットスプリング3の第2腕部3cに当接する。この当接に伴い、バットスプリング3が押圧部4を介してバット2を前方に押圧する。
また、このジャック23の離脱後、ハンマー1は、慣性で回動し、弦Sを打弦することによって、ピアノ音を発生させる。その後、ハンマー1は、バットスプリング3の付勢力によって時計回りに復帰回動し、キャッチャー7がバックチェック25に係止されることによって、一旦、停止する。
そして、押鍵が終了し、鍵12が離鍵されるのに伴い、バックチェック25によるハンマー1の係止状態が解除され、それにより、ハンマー1は復帰回動を再開する。また、これと並行して、鍵12およびアクション21なども復帰回動することによって、図1に示す離鍵状態に復帰し、押鍵の開始から離鍵の終了までの一連の動作が終了する。
以上のように、本実施形態によれば、レットオフ直前に、バット2の背面2dに設けた押圧部4の当接部4bが、バットスプリング3の第2腕部3cに当接することによって、バットスプリング3が押圧部4を介してバット2を前方に押圧する。これにより、レットオフ荷重を増大でき、レットオフ前後のタッチ重さの変化量を増大できるので、レットオフのタイミングを明確にすることができ、したがって、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。
また、上述したような押圧力がレットオフ直前にのみ作用し、それ以前には作用しないので、良好なタッチ重さおよびタッチ感を確保することができる。さらに、バット2の背面2dに押圧部4を設けるだけで、アクション21を単純かつコンパクトに構成することができる。また、当接部4bが弾性材で構成されているので、当接部4bが第2腕部3cに当接した際に弾性変形することによって、バットスプリング3による押圧力をバット2に確実に作用させることができる。さらに、当接部4bが緩衝材としての役割を果たすので、バットスプリング3が当接した際のノイズの発生や、バットスプリング3の変形およびバット2の摩耗を防止することができる。
なお、本実施形態では、当接部4bを、取付部4aを介してバット2の背面2dに取り付けているが、取付部4aを省略し、バット2の背面2dに直接、取り付けてもよい。それにより、押圧部4をより単純かつ安価に構成することができる。
図6は、押圧部4の第1変形例を示している。この第1変形例では、押圧部41は、板ばねで構成され、その上端部がバット2の背面2dの所定位置にねじ41aで取り付けられており、上端部から後方に凸に湾曲しながら下方に延びるとともに、その下側の部分は、バット2の背面2dに沿ってほぼ平行に下方に若干延びており、当接部41bになっている。離鍵状態における当接部41bとバットスプリング3の第2腕部3cとのクリアランスC1(図6(a)参照)は、第1実施形態と同じ所定値に設定されている。
したがって、図6(b)に示すように、レットオフ直前において、当接部41bが第2腕部3cに当接し、それにより、上述した第1実施形態と同様、バットスプリング3が押圧部41を介してバット2を前方に押圧するので、第1実施形態の効果を同様に得ることができる。また、押圧部41を板ばねのみで構成するので、第1実施形態と比較して、押圧部41を単純かつ安価に構成することができる。
図7は、押圧部4の第2変形例を示している。この第2変形例では、押圧部45は、バット2の背面2dから突出する突出部45aと、突出部45aの背面に貼り付けられた緩衝材45bによって構成されている。突出部45aは、バット2と一体に設けられており、そのバット2の背面2dからの突出量が所定の大きさに設定されるとともに、背面2dの中央部の所定位置に配置されている。緩衝材45bは、例えばフェルトなどで構成されている。また、離鍵状態における押圧部45の背面と第2腕部3cとのクリアランスC1(図7(a)参照)は、第1実施形態と同じ所定値に設定されている。
したがって、図7(b)に示すように、レットオフ直前において、押圧部45の緩衝材45bが第2腕部3cに当接し、それにより、第1実施形態と同様、バットスプリング3が押圧部45を介してバット2を前方に押圧するので、第1実施形態の効果を同様に得ることができる。なお、第1実施形態の当接部4bや第2変形例の緩衝材45bとして互いに異なる厚さを有する複数のものを用意し、その中から適当な厚さのものを選択してもよく、それにより、押圧部4、45と第2腕部3cとのクリアランスC1を、押圧部4、45が第2腕部3cにレットオフ直前に当接するような適切な大きさに、容易に調整することができる。また、後述するように、クリアランスC1が異なると、それに応じて増大するレットオフ荷重の大きさが変化するので、上記のようなクリアランスC1の調整を、レットオフ荷重の調整用として用いてもよい。
次に、図8〜図10を参照しながら、本発明の第2実施形態によるアクションについて説明する。このアクション51は、第1実施形態のアクション21と基本的に同様の構成を有しており、バット2の背面2dに押圧部4が設けられていないことやバットスプリング3の形状などが異なるだけなので、以下、共通する構成要素については同じ符号を用い、第1実施形態との相違点を中心として説明する。
図8〜図10に示すように、バットスプリング3は、前述した第1実施形態と異なり、その第2腕部3cの中央部がバット2側に凸に湾曲しており、この部分が押圧部3eになっている。押圧部3eは、離鍵状態では、図10(a)に示すようにバット2の背面2dに間隔を隔てて対向しており、その背面2dとのクリアランスC2が所定値に設定されている。この構成により、押圧部3eは、図10(b)に示すように、レットオフ直前において、バット2の背面2dに当接する。これにより、押圧部3eがバット2を前方に押圧することによって、レットオフ荷重が増大する。
図11は、上述した本実施形態のアクション51を用いたときの鍵12の押下量(「鍵押下量」と図示)とタッチ重さとの関係を、比較例とともに示している。この比較例は、バットスプリング3に押圧部3eが設けられていない通常のアクションを用いた場合の例である。また、本実施形態については、離鍵状態での押圧部3eとバット2の背面2dとのクリアランスC2が小さい実施例1と、より大きい実施例2の2つの例を示している。
図11に示すように、2つの実施例および比較例のいずれの場合にも、押鍵の開始直後には(同図の区間A)、タッチ重さは、ハンマー1およびアクション51の重さやバットスプリング3の付勢力などに応じた大きさを有し、ほぼ一定の状態になっている。押鍵が進み、前述したウィッペン22のスプーン26がダンパーレバー35bに当接すると、ダンパーレバースプリング35eの付勢力の分、タッチ重さが若干、大きくなる(区間B)。
押鍵がさらに進み、ジャック23がレギュレティングボタン28に当接すると、上記のアクション51の重さなどに加え、レギュレティングボタン28からの反力が作用することによって、タッチ重さは急激に増大する(区間C)。そして、ジャック23がバット2から外れると、タッチ重さは、バット2およびハンマー1の重量分が急激に失われることによって急激に減少する(区間D)。そして、鍵12の前端部が筬13のフロントレール(図示せず)に当接することによって、鍵12がそれ以上、回動不可能になり、タッチ重さは、筬13からの反力によって急激に増大する(区間E)。
この場合、本実施形態のアクション51では、前述したように、レットオフ直前に、バットスプリング3の押圧部3eが、バット2の背面2dに当接し、バット2を前方に押圧する。これにより、この押圧力の分、比較例よりも、レットオフ荷重Lα,Lβが大きくなっており、レットオフ前後のタッチ重さの変化量DLα,DLβも大きくなっている。また、クリアランスC2が小さい実施例1では、大きい実施例2と比較して、押圧部3eによる押圧が早いタイミングで開始されることによって、上述したバットスプリング3からの押圧力がバット2に十分に伝達されるため、実施例1のレットオフ荷重Lαは、実施例2のレットオフ荷重Lβよりも大きくなっている。
これに対して、比較例では、バットスプリング3に押圧部3eが設けられておらず、レットオフ直前に上述したような押圧力が得られないため、レットオフ荷重L’およびレットオフ前後のタッチ重さの変化量DL’は、本実施形態の場合よりも小さい。
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様、レットオフ荷重およびレットオフ前後のタッチ重さの変化量を大きくすることによって、レットオフのタイミングを明確にすることができ、したがって、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。また、押圧部3eによる押圧力が、レットオフ直前にのみ作用し、それ以前には作用しないので、第1実施形態と同様、良好なタッチ重さおよびタッチ感を確保することができる。さらに、アクション51は、既存のバットスプリング3に押圧部3eを設けるだけで、非常に単純かつコンパクトに構成できるとともに、部品点数はまったく変わらないので、製造コストを最小限に抑えることができる。
図12は、上述した図8のバット2の第1変形例を示している。この第1変形例では、バット2の背面2dのバットスプリング3の押圧部3eに対応する位置に、規制溝2g(規制部)が形成されている。この規制溝2gは、上下方向に所定の長さで延びており、バットスプリング3を構成する線材の径よりも若干大きな所定の幅と、所定の深さを有している。押圧部3eは、離鍵状態では、図13(a)に示すようにバット2の背面2dに間隔を隔てて対向しており、規制溝2gの底面とのクリアランスC2が第2実施形態と同じ所定値に設定されている。
以上の構成により、押圧部3eは、図13(b)に示すように、レットオフ直前において、バット2の規制溝2gに入り込み、その底面に当接する。これにより、押圧部3eがバット2を前方に押圧することによって、レットオフ荷重が増大する。したがって、第2実施形態の効果を同様に得ることができる。また、この当接時、押圧部3eが規制溝2gに入り込むことによって、押圧部3eが左右方向にずれるのが防止されるので、押圧部3eによる押圧力をバット2にロスなく効率的に伝達することができ、したがって、レットオフ荷重を確実に増大できる。
図14は、図8のバット2の第2変形例を示している。この第2変形例では、バット2の背面2dの中央部に、左右一対のガイド壁2h,2hが突出した状態で一体に設けられており、両者の間の空間が規制溝2i(規制部)になっている。バットスプリング3の押圧部3eは、規制溝2iにその幅方向に若干の遊びをもって収容されるとともに、離鍵状態では、規制溝2iの底面との間に間隔を隔てて対向しており、規制溝2iの底面とのクリアランスは、第2実施形態と同じ所定値に設定されている。これにより、押圧部3eは、レットオフ直前に規制溝2iの底面に当接する。
このように、レットオフ直前に、規制溝2iに収容された押圧部3eがバット2の背面2dに当接するので、上述した第1変形例と同様、この当接時に押圧部3eが左右方向にずれるのを防止でき、したがって、押圧部3eによる押圧力をバット2にロスなく効率的に伝達することができる。
また、図15および図16は、図8のバット2の第3変形例を示している。図15および図16に示すように、この第3変形例では、バット2の背面2dの押圧部3eに対応する位置に、例えばフェルトなどで構成された緩衝材2jが貼り付けられている。押圧部3eは、離鍵状態では、図16(a)に示すように緩衝材2jに間隔を隔てて対向しており、その緩衝材2jとのクリアランスC2は、第2実施形態と同じ所定値に設定されている。これにより、図16(b)に示すように、押圧部3eは、レットオフ直前に、緩衝材2jを介してバット2の背面2dに当接する。
このように、押圧部3eが緩衝材2jを介してバット2の背面2dに当接するので、この当接の際にノイズが発生するのを防止できるとともに、押圧部3eの変形やバット2の摩耗を防止することができる。また、緩衝材2jとして互いに異なる厚さを有する複数のものを用意し、それらの中から適当な厚さのものを選択することによって、押圧部3eと緩衝材2jとのクリアランスC2を、押圧部3eがバット2にレットオフ直前に当接するような適切な大きさに、容易に調整することができる。なお、前述したように、クリアランスC2の大きさが異なると、それに応じて増大するレットオフ荷重の大きさが変化するので、上記のようなクリアランスC2の調整を、レットオフ荷重の調整用として用いてもよい。
次に、図17を参照しながら、本発明の第3実施形態によるアクションについて説明する。このアクション61は、第2実施形態のアクション51と基本的に同様の構成を有しており、バットスプリング3の形状が異なるだけなので、以下、共通する構成要素については同じ符号を用い、第2実施形態との相違点を中心として説明する。
図17に示すように、バットスプリング3は、前述した第2実施形態と異なり、その第2腕部3cの上部から中央までの部分が、バット2側に凸に湾曲する所定の形状を有しており、接触部3fになっている。図17(a)に示すように、離鍵状態では、接触部3fは、バット2の背面2dの上端部に近い位置TAに点接触している。この状態から、鍵12が押鍵され、バット2の回動が進むと、接触部3fは、バット2の背面2dと線接触するようになるとともに、その接触部分(以下「スプリング接触部分」という)が次第に下方に移動する。これに伴い、このスプリング接触部分の下端位置が、下方に移動し、図17(b)に示すように、レットオフ直前には、バット2の背面2dの中央の位置TBに位置し、その分、バットスプリング3の有効長さが短くなる。
以上のように、本実施形態によれば、バットスプリング3は、そのコイル部3aおよびフック部3dがバット2およびバットフレンジ8に対してそれぞれ係止されるともに、その接触部3fがバット2の背面2dに接触している。したがって、バットスプリング3は、バット2の回動が進むのに伴って圧縮され、たわむことによって、上記のスプリング接触部分を介してバット2を前方に付勢する。また、上述したように、バット2の回動角度が大きくなるほど、バットスプリング3の有効長さが短くなるので、バット2に作用するバットスプリング3の付勢力とそのたわみとの比がより大きくなる。以上により、バットスプリング3の付勢力は、バット2の回動角度が大きくなるほど、すなわち押鍵が進むほど、より大きな増加度合で非線形に大きくなる。したがって、第1実施形態と同様、レットオフ荷重およびレットオフ前後のタッチ重さの変化量を大きくすることによって、レットオフのタイミングを明確にすることができ、それにより、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。
また、バット2の回動角度が小さいとき、すなわち押鍵の初期には、バットスプリング3の付勢力が小さい状態に維持されるので、第1実施形態と同様、良好なタッチ重さおよびタッチ感を確保することができる。さらに、アクション61は、既存のバットスプリング3に接触部3fを設けるだけで、非常に単純かつコンパクトに構成できるとともに、部品点数はまったく変わらないので、製造コストを最小限に抑えることができる。
なお、バット2の背面2dの接触部3fとの接触部分に、例えばフェルトなどで構成された緩衝材を貼り付けてもよい。その場合には、スプリング接触部分の移動に伴うノイズの発生、接触部3fの変形やバット2の摩耗を防止することができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、本実施形態では、バットスプリング3を、ねじりコイルばねで構成したが、その上端部および下端部がバット2およびバットフレンジ8に対してそれぞれ係止されるとともに、バット2を前方に付勢するものであれば、他の適当なばね、例えば板ばねで構成してもよい。また、実施形態では、押圧部4、41、45、3eを、バット2の背面2dおよびバットスプリング3の一方に設けたが、これらの双方に設けてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
本発明の第1実施形態によるアクションおよびハンマーなどを離鍵状態において示す側断面図である。 図1のバットなどの拡大側面図である。 図1のバットなどの拡大背面図である。 図1の押圧部の拡大斜視図である。 図1のバットなどをレットオフ直前において示す拡大側面図である。 第1変形例による押圧部を、バットなどとともに、(a)離鍵状態、および(b)レットオフ直前において示す拡大側面図である。 第2変形例による押圧部を、バットなどとともに、(a)離鍵状態、および(b)レットオフ直前において示す拡大側面図である。 本発明の第2実施形態によるアクションのバットなどの拡大斜視図である。 図8のバットスプリングの拡大側面図である。 図8のバットなどを、(a)離鍵状態、および(b)レットオフ直前において示す拡大側面図である。 図8のアクションを用いた場合の鍵の押下量とタッチ重さとの関係を、比較例とともに示す図である。 図8のバットの第1変形例を示す拡大斜視図である。 図12のバットなどを、(a)離鍵状態、および(b)レットオフ直前において示す拡大側面図である。 図8のバットの第2変形例を示す拡大斜視図である。 図8のバットの第3変形例を示す拡大斜視図である。 図15のバットなどを、(a)離鍵状態、および(b)レットオフ直前において示す拡大側面図である。 本発明の第3実施形態によるアクションのバットなどを、(a)離鍵状態、および(b)レットオフ直前において示す拡大側面図である。
符号の説明
1 ハンマー
2 バット
3 バットスプリング
3a コイル部(バットスプリングの上端部)
3d フック部(バットスプリングの下端部)
4 押圧部
8 バットフレンジ
12 鍵
21 アクション
23 ジャック
S 弦
41 押圧部
45 押圧部
51 アクション
2g 規制溝(規制部)
3e 押圧部
2i 規制溝(規制部)
2j 緩衝材
61 アクション

Claims (6)

  1. 鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションであって、
    バットフレンジに回動自在に支持されるとともに、前記ハンマーが立設されたバットと、
    前記鍵の離鍵状態において前記バットに係合し、前記鍵の押鍵に伴い、前記バットを突き上げることによって当該バットおよび前記ハンマーを後方に回動させるとともに、当該回動の途中で、前記バットから離脱するジャックと、
    前記バットの背面に対向するように上下方向に延びるとともに、上端部および下端部が前記バットおよび前記バットフレンジに対してそれぞれ係止され、前記バットを前方に付勢するバットスプリングと、
    前記バットの背面および前記バットスプリングの少なくとも一方に設けられ、押鍵に伴って前記ジャックが前記バットから離脱する直前に、前記バットおよび前記バットスプリングを互いに接触させることによって、前記バットを前方に押圧する押圧部と、
    を備えることを特徴とするアップライトピアノのアクション。
  2. 前記押圧部は、前記バットの背面に設けられ、前記ジャックが離脱する直前に前記バットスプリングに当接する弾性材で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のアップライトピアノのアクション。
  3. 鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションであって、
    バットフレンジに回動自在に支持されるとともに、前記ハンマーが立設されたバットと、
    前記鍵の離鍵状態において前記バットに係合し、前記鍵の押鍵に伴い、前記バットを突き上げることによって当該バットおよび前記ハンマーを後方に回動させるとともに、当該回動の途中で、前記バットから離脱するジャックと、
    前記バットの背面に対向するように上下方向に延びるとともに、上端部および下端部が前記バットおよび前記バットフレンジに対してそれぞれ係止され、前記バットを前方に付勢するバットスプリングと、を備え、
    当該バットスプリングは、前記バット側に凸に曲がるように形成され、離鍵状態では前記バットの背面から離れているとともに、押鍵に伴って前記ジャックが前記バットから離脱する直前に、前記バットの背面に当接することによって、前記バットを前方に押圧する押圧部を有することを特徴とするアップライトピアノのアクション。
  4. 前記バットの背面に、前記バットスプリングの前記押圧部の左右方向のずれを規制する規制部が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のアップライトピアノのアクション。
  5. 前記バットの背面の前記押圧部が当接する部分に、緩衝材が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のアップライトピアノのアクション。
  6. 鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションであって、
    バットフレンジに回動自在に支持されるとともに、前記ハンマーが立設されたバットと、
    前記鍵の離鍵状態において前記バットに係合し、前記鍵の押鍵に伴い、前記バットを突き上げることによって当該バットおよび前記ハンマーを後方に回動させるとともに、当該回動の途中で、前記バットから離脱するジャックと、
    前記バットの背面に対向するように上下方向に延びるとともに、上端部および下端部が前記バットおよび前記バットフレンジに対してそれぞれ係止され、前記バットを前方に付勢するバットスプリングと、を備え、
    当該バットスプリングは、前記バット側に凸に曲がり、前記バットの背面に接触するとともに、押鍵に伴って前記バットの回動角度が大きくなるほど、前記バットの背面との接触部分の下端位置が下方に移動するような所定の形状を有することを特徴とするアップライトピアノのアクション。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011028147A (ja) 2009-07-29 2011-02-10 Fujii Piano Service:Kk アップライトピアノのアクションの作動方法及びアップライトピアノのアクション
CN102201225A (zh) * 2010-03-24 2011-09-28 雅马哈株式会社 键盘设备
CN102201226A (zh) * 2010-03-24 2011-09-28 雅马哈株式会社 键盘设备
CN102201224A (zh) * 2010-03-25 2011-09-28 雅马哈株式会社 直立钢琴类动作机构
WO2016084422A1 (ja) * 2014-11-26 2016-06-02 有限会社自修浦和音楽館 アップライトピアノのアクション機構

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