JP2007107903A - ガス検出方法、ガス検出器及びガス検出センサ - Google Patents

ガス検出方法、ガス検出器及びガス検出センサ Download PDF

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Abstract

【課題】検出すべきガスの濃度が極めて低い場合においても、ゼロ点調整などを頻繁に行うことなく、極めて簡易に長時間安定して目的とするガスを検出する。
【解決手段】所定の環境下からガス検出部に向けて検出ガスを取り出し、前記ガス検出部において、前記検出ガスが存在しない状態で、前記ガス検出部内に向けて、音波放出手段から音波を放出するとともに反射させ、前記音波が前記ガス検出部内を往復するようにして音波受信手段で計測した音速度を第1の音速度として得る。次いで、前記ガス検出部において、前記検出ガスが存在する状態で、前記ガス検出部内に向けて、前記音波放出手段から前記音波を放出するとともに反射させ、前記第1の音速度を得たときと同じ回数だけ前記ガス検出部内を往復させて前記音波受信手段で計測した音速度を第2の音速度として得る。次いで、前記第1の音速度と前記第2の音速度との差分を得ることにより、前記検出ガスの濃度を検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、長期かつ連続的にガス検出を必要とする分野、特に鉱工業、石油化学、及び高圧ガス製造施設などにおけるガスの漏洩などの検出に好適に用いることのできるガス検出方法、ガス検出器及びガス検出センサに関する。
従来、大気中で存在するガスの検出方法として、ガルバニ電池式や定電位電解式などの化学反応を利用したもの、気体の熱伝導差を利用したものなどがあり、これらのガス検出方法によれば、目的とするガスを高感度及び高精度で検出することができる。
しかしながら、上述した従来のガス検出方法では、化学反応や熱伝導を用いているため、使用するセンサー自体が基本的に消耗してしまうという問題があった。このため、前述した方式を用いたガス検出器においては、定期的にセンサーを交換しなければならず、長期かつ連続的な使用には適していない。また、熱伝導を用いる検出方法においては、使用前及び使用中において、適宜検出器のゼロ点調整を行う必要があり、安定度に問題があった。
一方、所定の装置などからのリークガスを検出するに際しては、前記リークガスを大気中などの非制限空間内に放出した場合、前記リークガスの濃度が極めて小さくなりすぎ、前記リークガスを高精度に検出することができないという問題があった。この結果、前記装置などから問題とするガスが実際にリークしているのか否かについて正確に確認することができないという問題があった。
本発明は、検出すべきガスの濃度が極めて低い場合においても、ゼロ点調整などを頻繁に行うことなく、極めて簡易に長時間安定して目的とするガスを検出することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
所定の環境下からガス検出部に向けて検出ガスを取り出す工程と、
前記ガス検出部において、前記検出ガスが存在しない状態で、前記ガス検出部内に向けて、音波放出手段から音波を放出するとともに反射させ、前記音波が前記ガス検出部内を往復するようにして音波受信手段で計測した音速度を第1の音速度として得る工程と、
前記ガス検出部において、前記検出ガスが存在する状態で、前記ガス検出部内に向けて、前記音波放出手段から前記音波を放出するとともに反射させ、前記第1の音速度を得たときと同じ回数だけ前記ガス検出部内を往復させて前記音波受信手段で計測した音速度を第2の音速度として得る工程と、
前記第1の音速度と前記第2の音速度との差分を得ることにより、前記検出ガスの濃度を検出する工程と、
を具えることを特徴とする、ガス検出方法に関する。
また、本発明は、
所定の環境下から取り出された検出ガスを検出するためのガス検出部と、
前記ガス検出部に向けて音波を放出するための音波放出手段と、
前記音波放出手段から放出された前記音波を反射させるための反射手段と、
前記反射手段によって反射された前記音波を受信するための音波受信手段と、
前記音波の、前記ガス検出部に前記検出ガスが存在しない場合における第1の音速度と、前記ガス検出部中に前記検出ガスが存在する場合における第2の音速度とを比較検出し、差分を得るための計測手段と、
を具えることを特徴とする、ガス検出器に関する。
本発明によれば、目的とする検出ガスをガス検出部内に導入し、このガス検出部内を流すようにしているので、前記検出ガスが非制限空間内に拡散するのを防止することができる。したがって、前記検出ガスが例えば装置からリークしてきたリークガスのように極めて微量な場合においても、前記検出ガスが非制限空間に拡散するのを防止することができるため、前記リークガスをある程度高濃度に保持できるようになる。
また、本発明では、前記ガス検出部内に前記検出ガスが存在しない場合の音波の伝播速度(音速度)と、前記検出ガスが存在する場合の音波の伝播速度(音速度)とが異なることを利用し、これら音速度の差分を検出することにより、前記検出ガスの存在を検出するようにしている。したがって、化学反応や熱伝導を利用することにより生じていたセンサー交換などを行うことなく、長時間安定して目的とするガスの検出を行うことができる。
さらに、本発明では、上記音速度を得る際に、前記音波が前記ガス検出部内を往復するようにしている。これによって、前記音波の、前記ガス検出部内の移動距離が増大するようになるので、前記検出ガスの有無に起因した前記音速度の差分が増大するようになる。したがって、前記検出ガスの検出感度が増大し、検出ガスの濃度が低い場合においても、簡易かつ高精度に前記検出ガスの濃度を検出することができる。
また、前記音波を発生させるための発生源を、水晶発振器などのように極めて安定して音波信号を発生できるものから構成することにより、初期設定としてゼロ点調整を行えば、その後にゼロ点調整を頻繁に行わなくても良い。したがって、ガスの検出操作を簡易化することができる。
本発明の一例においては、前記音波の反射は、前記ガス検出部において、前記音波放出手段及び前記音波受信手段と対向するようにして設けた反射板において行う。この際、前記音波放出手段及び前記音波受信手段は、前記反射板に対して並列に配置することが好ましい。これによって、前記音波は、前記反射板による反射の結果、前記ガス検出部内を少なくとも1往復するようにすることができる。したがって、前記検出ガスの有無に起因した前記音速度の差分を増大するようにすることができ、前記検出ガスの検出感度を増大して、検出ガスの濃度が低い場合においても、簡易かつ高精度に前記検出ガスの濃度を検出することができるようになる。
また、本発明の好ましい態様においては、前記ガス検出部内において、前記音波放出手段から放出された前記音波を前記音波受信手段に導くためのガイド板を設ける。これによって、前記音波放出手段から放出された音波を前記反射手段で反射させた後、前記音波受信手段内に確実に導くようにすることができる。したがって、前記音波は、前記検出ガスの検出に際してより効率的に使用されるようになり、前記検出ガスの検出感度をより向上させることができるようになる。
さらに、本発明の他の好ましい態様においては、前記音波放出手段から放出された前記音波が前記音波受信手段に直接入力されるのを抑制するための隔離版を設ける。これによって、前記音波放出手段から放出された前記音波が、前記反射手段に向かうことなく、直接前記音波受信手段内に導入されるのを抑制することができ、前記音波受信手段内において、前記音波放出手段から直接放出された前記音波と、前記反射手段で反射された音波とが互いに干渉したりするのを抑制することができ、動作の不具合が生じるのを抑制するようにすることができる。
また、本発明のその他の好ましい態様においては、前記ガス検出部は筐体を構成し、前記反射板を前記筐体の一側面上に設けるとともに、前記反射板と対向する側面において開口部を形成し、前記音波放出手段及び前記音波受信手段を前記開口部に対して取り付け、前記ガス検出部と前記音波放出手段及び前記音波受信手段を有するセンサーユニットとを一体化する。これによって、前記ガス検出部と前記センサーユニットとが一体化されてガス検出センサとして機能させることができるようになる。
したがって、このガス検出センサを種々の装置に対して例えばフランジなどを介して着脱自在に取り付けることができるようになり、リークガスなどの検出を簡易に行うことができる。また、部品点数の減少と前記音波放出手段及び前記音波受信手段などの検出手段の相対的な位置固定などが容易となり、ガス検出器自体の取り扱いを簡略化することができる。
上述したように、ガス検出部を筐体として構成する場合、前記ガイド板は、前記ガス検出部を構成する前記筐体の、前記反射板が設けられた前記側面と、前記開口部が形成された側面との間に位置し、これら側面に連続した2つの側面の内の少なくとも一方に沿って設けるようにすることができる。
また、前記開口部は一対の開口部であって、前記音波放出手段及び前記音波受信手段はそれぞれの開口部に取り付け、前記隔離板は、前記ガス検出部を構成する前記筐体の、前記開口部が形成された前記側面上において、前記一対の開口部の略中間において突出するようにして設けるようにすることができる。
また、本発明のさらに他の好ましい態様においては、前記第1の音速度及び前記第2の音速度の差分を所定の帰還回路において得る。この場合、前記第1の音速度及び前記第2の音速度は、パルス列信号などの入力電気信号に変換されるとともに、種々の制御を受けてノイズなどが除去されるようになるので、前記差分を簡易かつ高精度に得ることができる。さらに、前記検出ガスが存在する間、前記差分を常に演算し、この差分に起因した電気信号を出力することができるようになる。したがって、検出ガスのその後の残存状態までも検出することができる。
また、本発明のさらに他の好ましい態様においては、前記帰還回路がフェイズロックドループ(PLL)を構成するようにする。この場合、前記帰還回路において、検出ガスが存在しない状態における第1の音速度に関する第1の入力電気信号に対して、位相が同期(ロック)するようにして所定の電気信号を印加するようにしておくことができ、前記検出ガスが存在する場合においては、第2の音速度に関する第2の入力電気信号が前記帰還回路内に導入されることにより、前記回路内の同期(ロック)が外れるようになるので、そのときの位相差に生じた差分電気信号を検出することにより、前記検出ガスの存在を簡易に検出することができるようになる。
上述したガス検出方法では、例えば、検出した差分電気信号により警報設定器を駆動させ、音声あるいはブザーなどを発して、作業者などに検出ガスの存在を知らせることができる。
なお、本発明は、上述したリークガスのような極めて微量かつ低濃度のガスの他に、ガス量の大小や濃度の高低に限定されることのない、任意の検出ガスに対して用いることができる。
以上説明したように、本発明によれば、検出すべきガスの濃度が極めて低い場合においても、ゼロ点調整などを頻繁に行うことなく、極めて簡易に長時間安定して目的とするガスを検出することができるようになる。
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明のガス検出器の一例を示す構成図であり、図2及び図3は、図1に示すガス検出器のガス検出部近傍の構成を詳細に示す図である。図2は、ガス検出部近傍の構成を示す上平面図であり、図3は、ガス検出部近傍の構成を示す側(断)面図である。
図1に示すガス検出器10は、順次に配列された、水晶発振器などから構成される音波発生源としての基準信号発生器11と、この発生器からの音波を放出するための音波放出手段としての超音波スピーカー13と、前記音波を受信するための音波受信手段としての超音波マイク14とを具えている。また、超音波スピーカー13及び超音波マイク14の前方には、検出ガスを検出するためのガス検出部17が設けられている。本例においては、ガス検出部17は筐体を構成し、超音波スピーカー13及び超音波マイク14は、筐体17の一側面171において形成された開口部に取り付けられて固定されている。
筐体17は、例えばステンレススチール、アルミニウムなどの金属及びアクリル樹脂などのプラスチック類から構成することができる。
筐体17の下面には、装置などからのリークガスをガス検出部17内に導入するための開口部17Aが設けられている。この開口部17Aは、通常フランジなどを介して前記装置のポートなどに固定される。また、筐体17の、側面171と対向する側面172には前記超音波に対する反射板18が設けられている。この結果、超音波スピーカー13及び超音波マイク14は反射板18に対して並列に配置されることになる。
上述したように、超音波スピーカー13及び超音波マイク14をガス検出部(筐体)17に対して固定するとともに、反射板18と対向するようにして配置することにより、超音波スピーカー13及び超音波マイク14の相対的な位置関係を安定的に保持することができるとともに、超音波スピーカー13から発せられた超音波を反射板18で反射した際にも、前記超音波を超音波マイク14内に確実に導入することができるようになる。したがって、検出ガスの検出を確実に行うことができるようになる。また、このような構成により、前記超音波を筐体17内で少なくとも1往復させることができる。
反射板18は、例えばステンレススチール、アルミニウムなどの金属及びアクリル樹脂などのプラスチック類から構成することができる。
本例では、筐体17の側面172において反射板18を設けているので、以下に詳述するように、超音波スピーカー13から発せられた超音波は、ガス検出部17すなわち筐体17内を進行して反射板18に至った後に反射されて、超音波マイク14に至る。
基準信号発生器11及び超音波スピーカー13間には、スピーカー13を駆動させるとともに前記音波を増幅させるためのスピーカー駆動増幅器12が設けられており、超音波マイク14の後方には、受信した音波を増幅するための前置増幅器15及び前記受信した音波の波形を整形するための波形整形器16が設けられている。
波形整形器16の後方には、PLLを構成する帰還回路20が設けられている。帰還回路20内には、位相比較器21、ローパスフィルタ22及び電圧周波数発振器23が設けられている。また、帰還回路20の後方には、警報設定器31が設けられている。
次に、図1に示すガス検出器を用いたガス検出方法について説明する。比較のために、図1〜3に示す例と異なり、ガス検出部内において反射板を有さず、超音波スピーカー13から発せられた超音波を直接超音波マイク14で受信するようにした構成したガス検出器を用いた場合のガス検出方法についても併せて説明する。
図4及び図5は、ガス検出部内において反射板を有しないガス検出器の、前記ガス検出部近傍の構成を詳細に示す図である。図4は、ガス検出部近傍の構成を示す上平面図であり、図5は、ガス検出部近傍の構成を示す側(断)面図である。
図4及び図5に示す例では、ガス検出部を構成する筐体17の相対向する側面171及び172上において、それぞれ超音波スピーカー13及び超音波マイク14が対向するようにして配置されており、超音波スピーカー13から発せられた超音波は反射されることなく、直接超音波マイク14内に導入されるように構成されている。
図6〜図8は、前記ガス検出方法を説明するための図である。最初に、本発明のガス検出方法の基本となる、図4及び図5に示すガス検出器に対する検出方法を説明する。
最初に、基準信号発生器11から所定の電気信号が発せられ、この電気信号は、スピーカー駆動増幅器12を経て増幅された後、超音波スピーカー13から超音波としてガス検出部17に向けて放出される。次いで、前記超音波は、超音波マイク14で直接受信された後、電気信号に変換され、前置増幅器15で増幅された後、波形整形器16で波形整形を受ける。その後、前記電気信号は帰還回路20内に導入される。
帰還回路20はPLLを構成するため、帰還回路20内では、図6に示すように、放出管17内に検出ガスが存在しない場合の、受信したパルス列の入力電気信号の受信波形に対して、電圧周波数発振器23より位相同期させた所定のパルス列の電気信号(VCO電気信号)を印加してロックする。すなわち、帰還回路20では、検出ガスが存在しないときの入力電気信号をロックするようにしている。このとき位相比較器21からは、ロック時のパルス列信号が出力され、ローパスフィルタ22からは、このパルス信号を積分したロック時の基準電圧が得られるようになる。
但し、本例では、図6に示すように、位相比較器21からの出力をゼロとしているので、ローパスフィルタ22からの出力もゼロとなっている。
一方、ガス検出部17内に検出ガスが存在する場合は、超音波スピーカー13から放出された超音波の、前記空間内の伝播速度が異なるようになるため、図7に示すように、受信した前記超音波の入力電気信号は、前記検出ガスが存在しない場合の入力電気信号、すなわちこの入力電気信号と同期させたVCO電気信号と位相がずれるようになる。その結果、位相比較器21では、前記入力電気信号と前記VCO電気信号との位相差(差分)Δrに応じた所定の電気信号が生成され、ローパスフィルタ22を介して出力される。
このようにして得た差分電気信号は警報設定器31内に導入され、音声やブザーなどの方法によって、作業者などの検出ガスの存在を認知させる。
一方、図1〜図3に示す本例のガス検出器においては、基本的なガス検出原理は上述した内容と同一であるが、ガス検出部を構成する筐体17において、並列に配置された超音波スピーカー13及び超音波マイク14と対向するようにして反射板18が設けられている。したがって、超音波スピーカー13から発せられた超音波は、反射板18で反射された後超音波マイク14内に導入されることになる。
したがって、筐体17の側面171及び172間の距離をLとすると、図4及び図5に示す例では、超音波は合計で約Lの距離進行するのに対して、図1〜図3に示す例では、超音波は合計で約2Lの距離進行することになる。この結果、位相比較器21では、前記検出ガスの有無によって生じる入力電気信号とVCO電気信号との位相差(差分)は、図8に示すように約2Δrとなる。したがって、本例では、図1〜図3に示す例と比較して約2倍の差分を得ることができるので、これに伴って得ることのできる電気信号の大きさも2倍となる。この結果、前記検出ガスの検出感度が増大し、検出ガスの濃度が低い場合においても、簡易かつ高精度に前記検出ガスの濃度を検出することができる。
なお、上記いずれの例においても、帰還回路20のフィードバック機構により、入力電気信号及びVCO電気信号の位相差は位相比較器21によって常に比較され、この比較操作は前記位相差が消滅して再び同期(ロック)するまで実施されるようになる。すなわち、前記空間に検出ガスが存在しなくなるまで、自動的に比較操作を行い、検出ガスが存在することにより前記位相差が存在する場合は、常に所定の差分電気信号を出力し、警報設定器31を通じて作業者に認知させるように構成されている。したがって、検出ガスのその後の残存状態までも検出することができる。
図9は、図1〜図3に示す本例のガス検出器を用いてヘリウムガスを検出した場合の測定感度を、図4及び図5に示す例のガス検出器を用いて同じくヘリウムガスを検出した場合の測定感度と比較して示すグラフである。図9から明らかなように、図1〜図3に示す本例のガス検出器を用いてヘリウムガスを検出した場合は、図4及び図5に示すガス検出器を用いてヘリウムガスを検出した場合に比較して、上述したような超音波のガス検出器内の進行距離が約2倍になり、得られる差分も約2倍となるので、検出感度も約2倍となっていることが分かる。
図10は、図1〜図3に示すガス検出器のガス検出部の変形例を示す上平面図である。図10に示すガス検出器においては、ガス検出部17は、図2及び図3に示すように同じく筐体17を構成するとともに、超音波スピーカー13及び超音波マイク14は、筐体17の一側面171において形成された開口部に取り付けられて固定されている。また、筐体17の下面には、装置などからのリークガスをガス検出部17内に導入するための開口部17Aが設けられている。さらに、筐体17の、側面171と対向する側面には前記超音波に対する反射板18が設けられており、超音波スピーカー13及び超音波マイク14は反射板18に対して並列に配置されている。
また、筐体17の、反射板18が設けられた側面172と、超音波スピーカー13及び超音波マイク14が取り付けられて固定された側面171との間に位置し、これら側面に連続した2つの側面173及び174に沿ってガイド板41が設けられている。さらに、筐体17の側面172上において、超音波スピーカー13及び超音波マイク14の略中間において突出するようにして隔離板42が設けられている。
このように、図10に示す例では、上述したような構成でガイド板41が設けられているので、超音波スピーカー13から放出された超音波は、反射板18で反射された後、超音波マイク14まで効率良く伝播することができるようになる。したがって、前記超音波は、前記検出ガスの検出に際してより効率的に使用されるようになり、前記検出ガスの検出感度をより向上させることができるようになる。
また、図10に示す例では、上述したような隔離板42が設けられているので、超音波スピーカー13から放出された超音波が、反射板18に向かうことなく、直接超音波マイク14内に導入されるのを抑制することができる。したがって、超音波マイク14内において、超音波スピーカー13から直接放出された超音波と、反射板18で反射された超音波とが互いに干渉したりするのを抑制することができ、動作の不具合が生じるのを抑制することができる。
図11は、図1〜図3に示すガス検出器のガス検出部の他の変形例を示す図である。図11に示す例では、超音波スピーカー13及び超音波マイク14が所定の筐体内に配置されてセンサーユニットを構成し、ガス検出部を構成する筐体17と一体化されてガス検出センサを構成する様子を示している。本例において、超音波スピーカー13及び超音波マイク14は、筐体17に設けられた一対の開口部17Bを介してガス検出部(筐体)17内に、その先端部が露出するように構成されている。
図11に示す構成においては、筐体17及びセンサユニット45によってガス検出センサを構成するようになるため、種々の装置に対して例えばフランジなどを介して着脱自在に取り付けることができるようになり、リークガスなどの検出を簡易に行うことができる。また、部品点数の減少と前記音波放出手段及び前記音波受信手段などの検出手段の相対的な位置固定などが容易となり、ガス検出器自体の取り扱いを簡略化することができる。
なお、図11に示す例では、筐体17の大小によるセンサユニットの取り付け態様を示している。
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
上記具体例では、超音波スピーカー13と超音波マイク14とを反射板18に対して対向させるとともに互いに並列となるようにして配置し、これによって超音波スピーカー13から発せられた超音波を反射板18で反射させ、超音波マイク14に導入するようにし、前記超音波がガス検出部(筐体)17内を1往復するようにしている。しかしながら、本発明は上記態様に限定されるものではなく、例えば反射板を前記筐体内に複数設け、前記超音波が筐体17内を複数回往復するようにすることもできる。
また、上記具体例においては、超音波が筐体17内の、所定の一方向に沿って往復するようにして構成しているが、必ずしも一方向に沿って往復させる必要はなく、複数の方向に沿って往復させるようにすることもできる。
さらに、上記具体例においては、超音波スピーカー13及び超音波マイク14を準備し、超音波を用いてガスを検出するようにしているが、検出すべきガスの種類などに応じて、その他の任意の音波、例えば、可聴帯域の音波などを使用することもできる。
また、上記具体例においては、PLL帰還回路を用いているが、このような帰還回路を用いなくても、検出ガスの存在有無による音波の伝播速度差、すなわち音速度差を計測できれば、使用する電気回路の種類などは限定されない。また、電気回路を用いることなく、前記音速度差を直接的に計測するようにしても良い。
本発明のガス検出器の一例を示す構成図である。 図1に示すガス検出器の放出管近傍の検出配管構成を拡大して示す上平面図である。 図1に示すガス検出器の放出管近傍の検出配管構成を拡大して示す側(断)面図である。 ガス検出部内において反射板を有しないガス検出器の、前記ガス検出部近傍の構成を示す上平面図である。 ガス検出部内において反射板を有しないガス検出器の、前記ガス検出部近傍の構成を示す側(断)面図である。 本発明のガス検出方法を説明するための図である。 同じく、本発明のガス検出方法を説明するための図である。 同じく、本発明のガス検出方法を説明するための図である。 本発明のガス検出器及びガス検出方法を用いてヘリウムガスを検出した場合の、検出感度を示すグラフである。 図1〜図3に示すガス検出器のガス検出部の変形例を示す上平面図である。 図1〜図3に示すガス検出器のガス検出部の他の変形例を示す図である。
符号の説明
10 ガス検出器
11 基準信号発生器
12 スピーカー駆動増幅器
13 超音波スピーカー
14 超音波マイク
15 前置増幅器
16 波形整形器
17 ガス検出部(筐体)
18 反射板
19 支持板
20 帰還回路
21 位相比較器
22 ローパスフィルタ
23 電圧周波数発振器
31 警報設定器
41 ガイド板
42 隔離板
45 センサーユニット

Claims (39)

  1. 所定の環境下からガス検出部に向けて検出ガスを取り出す工程と、
    前記ガス検出部において、前記検出ガスが存在しない状態で、前記ガス検出部内に向けて、音波放出手段から音波を放出するとともに反射させ、前記音波が前記ガス検出部内を往復するようにして音波受信手段で計測した音速度を第1の音速度として得る工程と、
    前記ガス検出部において、前記検出ガスが存在する状態で、前記ガス検出部内に向けて、前記音波放出手段から前記音波を放出するとともに反射させ、前記第1の音速度を得たときと同じ回数だけ前記ガス検出部内を往復させて前記音波受信手段で計測した音速度を第2の音速度として得る工程と、
    前記第1の音速度と前記第2の音速度との差分を得ることにより、前記検出ガスの濃度を検出する工程と、
    を具えることを特徴とする、ガス検出方法。
  2. 前記音波の反射は、前記ガス検出部において、前記音波放出手段及び前記音波受信手段と対向するようにして設けた反射板において行うことを特徴とする、請求項1に記載のガス検出方法。
  3. 前記音波放出手段及び前記音波受信手段は、前記反射板に対して並列に配置することを特徴とする、請求項2に記載のガス検出方法。
  4. 前記音波の反射により、前記ガス検出部内を前記音波が少なくとも1往復するようにすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のガス検出方法。
  5. 前記ガス検出部内において、前記音波放出手段から放出された前記音波を前記音波受信手段に導くためのガイド板を設けることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のガス検出方法。
  6. 前記ガス検出部内において、前記音波放出手段から放出された前記音波が前記音波受信手段に直接入力されるのを抑制するための隔離版を設けることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のガス検出方法。
  7. 前記ガス検出部は筐体を構成し、前記反射板を前記筐体の一側面上に設けるとともに、前記反射板と対向する側面において開口部を形成し、前記音波放出手段及び前記音波受信手段を前記開口部に対して取り付け、前記ガス検出部と前記音波放出手段及び前記音波受信手段を有するセンサーユニットとを一体化することを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一に記載のガス検出方法。
  8. 前記ガイド板は、前記ガス検出部を構成する前記筐体の、前記反射板が設けられた前記側面と、前記開口部が形成された側面との間に位置し、これら側面に連続した2つの側面の内の少なくとも一方に沿って設けることを特徴とする、請求項7に記載のガス検出方法。
  9. 前記開口部は一対の開口部であって、前記音波放出手段及び前記音波受信手段はそれぞれの開口部に取り付けられ、前記隔離板は、前記ガス検出部を構成する前記筐体の、前記開口部が形成された前記側面上において、前記一対の開口部の略中間において突出するようにして設けることを特徴とする、請求項7又は8に記載のガス検出方法。
  10. 前記第1の音速度及び前記第2の音速度は、電気信号として計測することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載のガス検出方法。
  11. 前記電気信号はパルス列信号であることを特徴とする、請求項10に記載のガス検出方法。
  12. 前記第1の音速度及び前記第2の音速度の差分は、所定の帰還回路において得ることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載のガス検出方法。
  13. 前記帰還回路は、フェイズロックドループを構成することを特徴とする、請求項12に記載のガス検出方法。
  14. 前記フェイズロックドループにおいて、前記第1の音速度に関する第1の入力電気信号の位相に対して同期させることを特徴とする、請求項13に記載のガス検出方法。
  15. 前記フェイズロックドループにおいて、前記第1の音速度及び前記第2の音速度の差分は、前記第2の音速度に関する第2の入力電気信号の位相と、前記第1の音速度に関する前記第1の入力電気信号の前記位相との差に応じて生成した差分電気信号として得ることを特徴とする、請求項14に記載のガス検出方法。
  16. 前記第2の音速度に関する第2の入力電気信号の位相と、前記第1の音速度に関する前記第1の入力電気信号の前記位相との差が、前記音波の、前記ガス検出部内の往復動作に伴って増大することを特徴とする、請求項15に記載のガス検出方法。
  17. 前記帰還回路は、前記第1の音速度に関する前記第1の入力電気信号の前記位相と、前記第2の音速度に関する前記第2の入力電気信号の前記位相とが同一になるまで、前記第1の入力電気信号の前記位相と前記第2の入力電気信号の前記位相との比較操作を行うことを特徴とする、請求項15又は16に記載のガス検出方法。
  18. 前記差分電気信号を前記検出ガスの検出信号として出力することを特徴とする、請求項15〜17のいずれか一に記載のガス検出方法。
  19. 所定の環境下から取り出された検出ガスを検出するためのガス検出部と、
    前記ガス検出部に向けて音波を放出するための音波放出手段と、
    前記音波放出手段から放出された前記音波を反射させるための反射手段と、
    前記反射手段によって反射された前記音波を受信するための音波受信手段と、
    前記音波の、前記ガス検出部に前記検出ガスが存在しない場合における第1の音速度と、前記ガス検出部中に前記検出ガスが存在する場合における第2の音速度とを比較検出し、差分を得るための計測手段と、
    を具えることを特徴とする、ガス検出器。
  20. 前記反射手段は、前記ガス検出部において、前記音波放出手段及び前記音波受信手段と対向するようにして設けた反射板を含むことを特徴とする、請求項19に記載のガス検出器。
  21. 前記音波放出手段及び前記音波受信手段は、前記反射板に対して並列に配置することを特徴とする、請求項20に記載のガス検出器。
  22. 前記反射手段により、前記ガス検出部内を前記音波が少なくとも1往復するようにしたことを特徴とする、請求項19〜21のいずれか一に記載のガス検出器。
  23. 前記ガス検出部内において、前記音波放出手段から放出された前記音波を前記音波受信手段に導くためのガイド板を設けたことを特徴とする、請求項19〜22のいずれか一に記載のガス検出器。
  24. 前記ガス検出部内において、前記音波放出手段から放出された前記音波が前記音波受信手段に直接入力されるのを抑制するための隔離版を設けたことを特徴とする、請求項19〜23のいずれか一に記載のガス検出器。
  25. 前記ガス検出部は筐体を構成し、前記反射板は前記筐体の一側面上に設けるとともに、前記反射板と対向する側面において開口部を形成し、前記音波放出手段及び前記音波受信手段を前記開口部に対して取り付け、前記ガス検出部と前記音波放出手段及び前記音波受信手段を有するセンサーユニットとを一体化したことを特徴とする、請求項20〜24のいずれか一に記載のガス検出器。
  26. 前記ガイド板は、前記ガス検出部を構成する前記筐体の、前記反射板が設けられた前記側面と、前記開口部が形成された側面との間に位置し、これら側面に連続した2つの側面の内の少なくとも一方に沿って設けたことを特徴とする、請求項25に記載のガス検出器。
  27. 前記開口部は一対の開口部であって、前記音波放出手段及び前記音波受信手段はそれぞれの開口部に取り付けられ、前記隔離板は、前記ガス検出部を構成する前記筐体の、前記開口部が形成された前記側面上において、前記一対の開口部の略中間において突出するようにして設けたことを特徴とする、請求項25又は26に記載のガス検出器。
  28. 前記第1の音速度及び前記第2の音速度は、電気信号として計測することを特徴とする、請求項19〜27のいずれか一に記載のガス検出器。
  29. 前記電気信号はパルス列信号であることを特徴とする、請求項28に記載のガス検出器。
  30. 前記第1の音速度及び前記第2の音速度の差分は、所定の帰還回路において得ることを特徴とする、請求項19〜29のいずれか一に記載のガス検出器。
  31. 前記帰還回路は、フェイズロックドループを構成することを特徴とする、請求項30に記載のガス検出器。
  32. 前記フェイズロックドループにおいて、前記第1の音速度に関する第1の入力電気信号の位相に対して同期させることを特徴とする、請求項31に記載のガス検出器。
  33. 前記フェイズロックドループにおいて、前記第1の音速度及び前記第2の音速度の差分は、前記第2の音速度に関する第2の入力電気信号の位相と、前記第1の音速度に関する前記第1の入力電気信号の前記位相との差に応じて生成した差分電気信号として得ることを特徴とする、請求項32に記載のガス検出器。
  34. 前記第2の音速度に関する第2の入力電気信号の位相と、前記第1の音速度に関する前記第1の入力電気信号の前記位相との差が、前記音波の、前記ガス検出部内の往復動作に伴って増大することを特徴とする、請求項33に記載のガス検出器。
  35. 前記帰還回路は、前記第1の音速度に関する前記第1の入力電気信号の前記位相と、前記第2の音速度に関する前記第2の入力電気信号の前記位相とが同一になるまで、前記第1の入力電気信号の前記位相と前記第2の入力電気信号の前記位相との比較操作を行うことを特徴とする、請求項33又は34に記載のガス検出器。
  36. 前記差分電気信号を前記検出ガスの検出信号として出力することを特徴とする、請求項33〜35のいずれか一に記載のガス検出器。
  37. 検出ガスの存在しない雰囲気中に音波を放出して得た第1の音速度と、検出ガスの存在する雰囲気中に前記音波を放出して得た第2の音速度とを計測し、前記第1の音速度と前記第2の音速度との差分を得ることにより、前記検出ガスの濃度を検出するガス検出センサであって、
    前記ガス検出センサは筐体を構成し、反射板を前記筐体の一側面上に設けるとともに、前記反射板と対向する側面において開口部を形成し、音波放出手段及び音波受信手段を前記開口部に対して取り付け、前記ガス検出部と前記音波放出手段及び前記音波受信手段を有するセンサーユニットとが一体化するとともに、
    前記音波放出手段から放出された前記音波が前記反射板で反射された後に前記音波受信手段に入力され、前記音波が前記筐体内を少なくとも1回往復するように構成されたことを特徴とする、ガス検出センサ。
  38. 前記ガス検出部を構成する前記筐体の、前記反射板が設けられた前記側面と、前記開口部が形成された側面との間に位置し、これら側面に連続した2つの側面の内の少なくとも一方に沿って、前記音波放出手段から放出された前記音波を前記音波受信手段に導くためのガイド板を設けたことを特徴とする、請求項37に記載のガス検出センサ。
  39. 前記開口部は一対の開口部であって、前記音波放出手段及び前記音波受信手段はそれぞれの開口部に取り付けられ、前記隔離板は、前記ガス検出部を構成する前記筐体の、前記開口部が形成された前記側面上において、前記一対の開口部の略中間において突出するようにして、前記音波放出手段から放出された前記音波が前記音波受信手段に直接入力されるのを抑制するための隔離板を設けたことを特徴とする、請求項37又は38に記載のガス検出センサ。
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