JP2007107472A - 石炭ガス化複合発電設備及び石炭ガス化複合発電方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 微粉炭を処理して気体燃料に変換する石炭ガス化炉5と、気体燃料を燃料として運転されるガスタービン設備9と、ガスタービン設備9の燃焼排ガスを導入する排熱回収ボイラ13で生成した蒸気により運転される蒸気タービン設備11と、ガスタービン設備9及び/又は蒸気タービン設備11と連結された発電機Gと、排熱回収ボイラ13から排出される燃焼排ガスを脱硫する排煙脱硫設備15と、石炭ガス化炉5へ微粉炭をスラリーとして供給する給炭装置3とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
湿式給炭方式では、石炭ガス化炉内においてスラリー中に含まれる水分が蒸発するための熱(蒸発潜熱)が必要となるので、この蒸発潜熱分が熱損失となり効率が低下するという問題がある。
このため、乾式給炭方式が多用されていたのが実情である。しかし、乾式給炭方式では、乾燥状態の微粉炭を加圧するために、例えばロックホッパシステム等が必要となるなど、設備が複雑となり、製造コストが高くなるという問題がある。
このため、製造コストの面から湿式給炭方式が見直される状況になっている。
しかし、湿式ガス精製を用いる場合、湿式給炭と組み合わせると(特許文献1)、ガス化炉に投入されたスラリー中の水分から生じた蒸気がガス精製設備で凝縮し除去されるので、熱損失が大きくなり、発電効率が大幅に低下するという問題がある。
一方、乾式ガス精製を用いる場合、湿式給炭と組み合わせると、気体燃料に含まれる蒸気は途中で凝縮することなくガスタービンに導入され、膨張するので、熱損失はそれほどでもない。しかし、膨張した水分は煙突から排出され回収できないので、スラリー製造のために外部から多量の水を補給する必要があり、運転コストがかかるという問題がある。
すなわち、本発明にかかる石炭ガス化複合発電設備は、微粉炭を処理して気体燃料に変換する石炭ガス化炉と、前記気体燃料を燃料として運転されるガスタービン設備と、前記ガスタービン設備の燃焼排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により運転される蒸気タービン設備と、前記ガスタービン設備及び/又は前記蒸気タービン設備と連結された発電機と、前記排熱回収ボイラから排出される前記燃焼排ガスを脱硫する排煙脱硫設備と、を備える石炭ガス化複合発電設備であって、前記石炭ガス化炉へ前記微粉炭をスラリーとして供給する給炭装置を備えることを特徴とする。
また、石炭ガス化炉で生成された気体燃料は、そのままガスタービン設備に供給されるので、気体燃料中に含まれる蒸気(水分)の熱エネルギーはガスタービン設備で有効に回収できる。さらに、この蒸気の凝縮潜熱は排熱回収ボイラの給水加熱を行うことで回収できる。これらによって、微粉炭が有する熱量を有効に活用することができるので、石炭ガス化複合発電設備の発電効率を向上することができる。
また、石炭ガス化炉で生成された気体燃料は、そのままガスタービン設備に供給されるので、気体燃料中に含まれる蒸気(水分)の熱エネルギーはガスタービン設備で有効に回収できる。さらに、この蒸気の凝縮潜熱は排熱回収ボイラの給水加熱を行うことで回収できる。これらによって、微粉炭が有する熱量を有効に活用することができるので、石炭ガス化複合発電設備の発電効率を向上することができる。
また、石炭ガス化炉で生成された気体燃料は、そのままガスタービン設備に供給されるので、気体燃料中に含まれる蒸気(水分)は熱エネルギーとしてガスタービン設備で有効に活用できる。そして、この蒸気は排煙脱硫設備で凝縮潜熱として回収されることもあいまって微粉炭が有する熱量を有効に活用することができ、石炭ガス化複合発電設備の発電効率を向上することができる。
さらに、排煙脱硫設備から回収した水分を、スラリーの材料として給炭装置に供給しているので、運転コストを低減できる。
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第一実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備1について図1を参照して説明する。
図1に示されているように、石炭ガス化複合発電設備(IGCC;Integrated Coal
Gasification Combined Cycle)1には、給炭装置3と、石炭ガス化炉5と、チャー回収装置7と、ガスタービン設備9と、蒸気タービン設備11と、排熱回収ボイラ(HRSG)13と、脱硫設備15と、が備えられている。
微粉炭機19は、原炭バンカ17から供給される石炭を粉砕して数μm〜数百μmの微粉炭とする。微粉炭機19によって粉砕された微粉炭は、一次通風機23から供給される空気によってスラリー製造装置21へと搬送される。
スラリー製造装置21では、微粉炭(65〜70%)と水(30〜35%)とを掻き混ぜてスラリーが製造される。このスラリーは、スラリーポンプ25によって加圧されて石炭ガス化炉5へと搬送される。
石炭ガス化部27には、下方から、コンバスタ31及びリダクタ33が設けられている。コンバスタ31は、微粉炭及びチャーの一部分を燃焼させ、残りは熱分解により揮発分(CO,H2 ,低級炭化水素)として放出させる部分である。コンバスタ33には噴流床が採用されている。しかし、流動床式であっても構わない。
コンバスタバーナ31aには、空気分離装置(ASU)35からの酸素が供給されるようになっている。
なお、コンバスタバーナ31aには、酸素に代わり、空気を供給してもよい。また、空気に酸素を加えて酸素量を調整して供給してもよい。
リダクタ33では、コンバスタ31からの高温燃焼ガスによって微粉炭がガス化される。これにより、石炭からCOやH2 等の可燃性ガスが生成される。石炭ガス化反応は、微粉炭及びチャー中の炭素が高温ガス中のCO2 及びH2O と反応してCOやH2 を生成する吸熱反応である。
熱交換部29を通過した生成ガスは、チャー回収装置7へと導かれる。このチャー回収装置7には、ポーラスフィルタ37と、チャーロックホッパ39と、チャー供給ホッパ41とが備えられている。
ポーラスフィルタ37は、例えばセラミック製のろ材を備えており、生成ガスがろ材を通過する際に、生成ガス中のチャーを濾し取るように構成されている。
捕捉されたチャーはポーラスフィルタ37の濾過面に堆積してチャー層を形成している。チャー層には、生成ガスに含まれるNa分及びK分が凝縮し、結果的にチャー回収装置7においてNa分及びK分も除去され、ガスタービン9における著しい腐食を防止できる。
チャーロックホッパ39には、圧力調節機構が備えられており、チャーが所定量貯留されると、チャーは石炭ガス化炉5内圧力まで昇圧され、チャー供給ホッパ41へ供給される。
チャー供給ホッパへ貯留されたチャーは、空気分離装置35において分離された窒素によって気流搬送され、石炭ガス化炉5のコンバスタバーナ31aへと返送されてリサイクルされる。
なお、チャーとともにコンバスタバーナ31aへと返送されたNa分及びK分は、最終的に溶融した微粉炭の灰とともに石炭ガス化部27の下方から排出される。溶融排出された灰は水で急冷、破砕されガラス状のスラグとなる。
ガスタービン設備9には、生成ガスが燃焼させられる燃焼器43と、燃焼ガスによって駆動されるガスタービン45と、燃焼器43へと高圧空気を送り出すターボ圧縮機47とが備えられている。
ガスタービン45とターボ圧縮機47とは同一の回転軸49によって接続されている。
ガスタービン45を通過した燃焼排ガスは、排熱回収ボイラ13へと導かれる。
蒸気タービン51には、石炭ガス化炉5及び排熱回収ボイラ13から高圧蒸気が供給される。
なお、一軸式のコンバインドシステムに限らず、別軸式のコンバインドシステムであっても構わない。
ガスタービン45及び蒸気タービン51によって駆動される回転軸49から電気を出力する発電機Gが、蒸気タービン設備11を挟んでガスタービン設備9の反対側に設けられている。
なお、発電機Gの配置位置については、この位置に限られず、回転軸49から電気出力が得られるようであればどの位置であっても構わない。
脱硫設備15には、排煙脱硫設備(FGD;Flue Gas Desulfurization)53と湿式電気集塵設備(Wet-EP)59とが設けられている。
排煙脱硫設備53としては、例えば石灰石―石膏法を用いた排煙脱硫設備や水酸化マグネシウムスラリー法を用いた排煙脱硫設備など、公知の排煙脱硫設備を用いることができる。
排煙脱硫設備53では、下部に貯留された吸収液が上部から噴霧され、これが循環して行われることによって排ガス中の硫黄分(主として、SO2)が吸収液に取り除かれるようになっている。
排煙脱硫設備53の下部に貯留される吸収液の一部は、排水処理装置55に搬送される。排水処理装置55では、吸収液を処理して副生品を生成するとともに水を排出する。この排出される水は、給水ポンプ57によってスラリー製造装置21へと搬送・供給される。
湿式電気集塵設備59の燃焼排ガス流の下流には、誘引ファン(BUF)61が設けられている。この誘引ファン61は、ガスタービン燃焼排ガスを誘引することにより、燃焼排ガスを煙突63から大気へと放出している。
原炭バンカ17から供給された石炭は微粉炭機19によって粉砕され微粉炭とされた後、一次通風機23からの空気によってスラリー製造装置21に供給される。スラリー製造装置21では、微粉炭は排水処理装置55から給水ポンプ57によって供給された水及び図示しないその他の補給水と混合されてスラリーが形成される。
このように、脱硫設備53の排水処理装置55から回収した水を、スラリーの材料としてスラリー製造装置21に供給しているので、別途スラリー製造装置21に供給される用水量を大幅に低減でき、運転コストを低減することができる。
コンバスタバーナ31aの燃焼用気体としては、空気分離装置35において分離された酸素が使用される。コンバスタ31では、微粉炭及びチャーが燃焼用酸素によって部分燃焼させられる。
リダクタ33を通過した生成ガスは、石炭ガス化炉5の熱交換部29を通過しつつ各熱交換器にその顕熱を与え、蒸気を発生させる。熱交換部29で発生させた蒸気は、蒸気タービン51の駆動のために用いられる。
熱交換部29を通過した生成ガスは、チャー回収装置7のポーラスフィルタ37へと導かれ、チャーはろ材に濾し取られ回収される。この時、ガス中のNa分及びK分は、ここで凝縮してチャーに取り込まれる。
そして、チャーはチャーロックホッパ39に所定量貯留されると、チャーロックホッパ39内の圧力が石炭ガス化炉5内圧力まで昇圧され、その状態でチャー供給ホッパ41と連通され、チャー供給ホッパ41へ供給される。
貯留されたチャーがチャー供給ホッパ41へ供給された後、チャーロックホッパ39内の圧力は元に戻され、再びポーラスフィルタ37からのチャーを受け入れる。
一方、チャー供給ホッパ41へ貯留されたチャーは、空気分離装置35において分離された窒素によって加圧状態で気送搬送され、石炭ガス化炉5のチャーバーナ32aへと供給される。
ガスタービン45を通過した燃焼排ガスは、排熱回収ボイラ13へと導かれ、この燃焼排ガスの顕熱を利用することによって蒸気が発生させられる。排熱回収ボイラ13において発生した蒸気は、蒸気タービン51の駆動のために用いられる。
このような燃焼排ガスの排熱回収時において、排熱回収ボイラ13に導入された燃焼排ガスの上流側では、ボイラ給水配管系を流れるボイラ給水が高温の燃焼排ガスにより加熱されて蒸気になる。この熱交換により温度低下した燃焼排ガスは、下流側に設置されたボイラ給水配管系を通過して低温のボイラ給水を加熱して予熱する。この時、燃焼排ガスに含まれる蒸気の一部は、凝縮して水になり、ボイラ給水に凝縮潜熱を熱量として供給する。
排熱回収ボイラ13を通過した燃焼排ガスは、排煙脱硫設備53へと導かれ、ここで硫黄分(SO2)が除去される。例えば、石灰石―石膏法により除去する場合には、排煙脱硫設備53内の水と混ぜた石灰石(CaCO3)スラリーと硫黄分(SO2)とを反応させ、硫黄分を石膏(CaSO4)として除去している。
硫黄分(SO2,SO3)及び煤塵が取り除かれた燃焼排ガスは、誘引ファン61を経由して煙突63から大気へと放出される。誘引ファン61は、湿式電気集塵設備59から排出された燃焼排ガスを誘引し、煙突63に向けて圧送している。
本実施形態によれば、給炭装置3から石炭ガス化炉5へ微粉炭をスラリーとして供給するようにしたので、微粉炭を乾燥状態で供給するものと比べて機器構成を簡素化でき、製造コストを大幅に低減できる。
また、石炭ガス化炉5で生成された生成ガスは、そのままガスタービン設備9に供給されるので、スラリーの水分から生じた生成ガス中に含まれる蒸気は熱エネルギーとしてガスタービン設備9で有効に活用できる。そして、この蒸気は排熱回収ボイラ13の給水加熱にも活用され、その際凝縮して水分として回収されるので、この時の凝縮潜熱が石炭ガス化炉5にて蒸発潜熱として失われた熱量を回収することができる。これらによって、微粉炭が有する熱量を有効に活用することができるので、石炭ガス化複合発電設備1の発電効率を向上することができる。
さらに、排煙脱硫設備53から回収した水を、スラリーの材料として給炭装置3に供給しているので、給炭装置3に供給される用水量を大幅に低減でき、運転コストを低減できる。
次に、本発明の第二実施形態について、図2を用いて説明する。
本実施形態の石炭ガス化複合発電設備1の基本構成は、第一実施形態と同様であるが、第一実施形態とは、チャー回収装置7の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図2を用いてチャー回収装置7について説明し、その他の部分については重複した説明を省略する。
なお、第一実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の石炭ガス化複合発電設備1には、図2に示されるように給炭装置3と、石炭ガス化炉5と、チャー回収装置7と、ガスタービン設備9と、蒸気タービン設備11と、排熱回収ボイラ13と、脱硫設備15と、が備えられている。
減圧ホッパ65は、ポーラスフィルタ37から落下するチャーを貯留する機能を有している。
ロータリフィーダ67は、減圧ホッパ65から排出されるチャーを大気圧状態でスラリー製造装置21に供給するように構成されている。
減圧ホッパ65に貯留されたチャーは、減圧された後に、ロータリフィーダ67によってスラリー製造装置21へ供給される。
スラリー製造装置21において、チャーは微粉炭と併せてスラリーとされ、スラリーポンプ25によって再び石炭ガス化炉5内へ供給される。
すなわち、チャー回収装置7によって生成ガスから分離回収されたチャー分を、スラリーの材料としてスラリー製造装置21に供給するようにしているので、チャー分は給炭装置3から石炭ガス化炉5内へ供給されることになる。このため、チャー分を高圧の石炭ガス化炉5へ供給するため圧力を調整する高価な気送搬送用システムが不要となる。また、チャーを供給する専用のチャーバーナ32aが不要となる。このため、石炭ガス化複合発電設備1の製造コストをさらに低減することができる。
3 給炭装置
5 石炭ガス化炉
7 チャー回収装置
9 ガスタービン設備
11 蒸気タービン設備
13 排熱回収ボイラ
15 排煙脱硫設備
G 発電装置
Claims (4)
- 微粉炭を処理して気体燃料に変換する石炭ガス化炉と、
前記気体燃料を燃料として運転されるガスタービン設備と、
前記ガスタービン設備の燃焼排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により運転される蒸気タービン設備と、
前記ガスタービン設備及び/又は前記蒸気タービン設備と連結された発電機と、
前記排熱回収ボイラから排出される前記燃焼排ガスを脱硫する排煙脱硫設備と、
前記石炭ガス化炉へ前記微粉炭をスラリーとして供給する給炭装置と、を備えることを特徴とする石炭ガス化複合発電設備。 - 前記排煙脱硫設備から回収した水分を、前記スラリーの材料として前記給炭装置に供給することを特徴とする請求項1に記載の石炭ガス化複合発電設備。
- 前記石炭ガス化炉と前記ガスタービン設備との間に設けられたチャー回収装置によって前記気体燃料から分離回収されたチャー分を、前記スラリーの材料の一部として前記給炭装置に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の石炭ガス化複合発電設備。
- 微粉炭をスラリーとして石炭ガス化炉に供給して気体燃料に変換し、
ガスタービン設備で前記気体燃料を燃焼し、
排熱回収ボイラで前記ガスタービン設備からの燃焼排ガスを熱源として蒸気を生成して蒸気ガスタービン設備を駆動し、
前記ガスタービン設備及び/又は前記蒸気タービン設備の動力を用いて発電し、
前記排熱回収ボイラから排出される前記燃焼排ガスを排煙脱硫設備によって脱硫し、排出することを特徴とする石炭ガス化複合発電方法。
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CN110240943A (zh) * | 2019-07-02 | 2019-09-17 | 西北化工研究院有限公司 | 一种组合式进料制备合成气的工艺及装置 |
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