JP2007105655A - バグフィルター及びそれを用いた集塵方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内面に堆積したダストを払い落とす際の形態保持性が良好で、しかも中間リングを分別することなく焼却処分することが可能なバグフィルターを提供すること。
【解決手段】 筒状に形成された濾布の胴部に中間リング8が固定されてなるバグフィルター1であって、前記中間リング8が可燃性材料からなり、かつ該中間リング8を直径方向に30%圧縮したときの圧縮弾性率が0.2daN/cm以上であることを特徴とするバグフィルター1とする。中間リング8を直径方向に30%圧縮変形させてから荷重を除く操作を3回繰り返したときに、元の直径の90%以上の径が維持されることによって、洗浄時の変形にも耐えられる。
【選択図】 図1
【解決手段】 筒状に形成された濾布の胴部に中間リング8が固定されてなるバグフィルター1であって、前記中間リング8が可燃性材料からなり、かつ該中間リング8を直径方向に30%圧縮したときの圧縮弾性率が0.2daN/cm以上であることを特徴とするバグフィルター1とする。中間リング8を直径方向に30%圧縮変形させてから荷重を除く操作を3回繰り返したときに、元の直径の90%以上の径が維持されることによって、洗浄時の変形にも耐えられる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、気体中のダストを捕捉するためのバグフィルター、特に筒状に形成された濾布の胴部に中間リングが固定されてなるバグフィルターに関する。また、そのようなバグフィルターを用いてダストを捕捉する集塵方法に関する。
気体中に含まれるダストを分離捕集する集塵装置は、大気汚染の防止、作業環境の改善、有価物の回収などの目的で、工場や発電所などで使用されている。集塵装置の中でも、濾過集塵装置、特にバグフィルターを使用する集塵装置は、構造が簡単で取扱いも容易であるので広く用いられている。バグフィルターは、袋状のフィルターにガスを通過させてダストを捕集するものであり、その外面でダストを捕捉する外面濾過方式とその内面でダストを捕捉する内面濾過方式のいずれかが採用される。
外面濾過方式の集塵装置で使用されるバグフィルターは、その内側に金属製の骨組みであるリテーナを挿入して使用される(例えば特許文献1、2)。リテーナが挿入された筒状のバグフィルターに対して外側からダストを含む気体を通過させ、このときに外面からバグフィルターにかかる荷重を、内部に配置したリテーナで支えるという構造である。バグフィルター外面に捕捉されて堆積したダストは、通常、バグフィルター内部に向けられたノズルから瞬間的に吹き込まれたパルスジェット気流によってバグフィルターを膨らませることによって、周期的に払い落とされ、再度集塵操作が繰り返される。
このような外面濾過方式の集塵装置の場合、運転中のバグフィルターの形態はリテーナによって支えられるので、バグフィルター自体に形態を保持するための骨格は必要でなく、単なる筒状の袋であればよい。また、運転終了後には、金属製のリテーナとバグフィルターとを分離することも容易である。しかしながら、パルスジェット気流を発生させるための装置が必要であるために装置が複雑になりやすいし、ランニングコストも高い。また、パルスジェット気流を発生させる際に騒音が発生しやすく、周辺環境に悪影響を与えるおそれがある。さらに、パルスジェットの使用による急激な圧力変化によって水分の凝縮が発生する場合もあり、用途や使用場所によっては使用が困難な場合がある。
そのため、内面濾過方式の集塵装置も使用されている。内面濾過方式の集塵装置においては、筒状のバグフィルターの内側からダストを含む気体を通過させ、濾布の内面でダストを捕捉する。バグフィルターの内面に堆積したダストは周期的に払い落とされるが、その方法として、バグフィルターの内面に堆積したダストを、バグフィルターの外側から逆方向に気体を通すことによって払い落とす方法が広く採用されている。この場合、外側から内側に向けて圧力がかかることになるので、円筒形状を保持するための骨格をバグフィルターが有さない場合には、バグフィルターがつぶれてしまい、円滑に払い落とすことができなくなる。そのため、集塵時及び払い落とし時の濾布の形態を保持することを目的に、バグフィルターに対して中間リングが一定間隔で縫い付けられている。このような中間リングの素材としては、鉄線又は鋼線に亜鉛等のメッキを施したものや、ステンレス線などの金属材料が一般に用いられており、払い落とし時にバグフィルターにかかる応力に対して抗し得る形態保持性が要求される。
合成繊維等でできている使用済みのバグフィルターは焼却処分されることが多いが、金属製中間リングは不燃物である。したがって、焼却処分する際には、中間リングを取り外す分別操作が必要である。ところが、バグフィルターの濾布は厚手の強靭なものであり、濾布を切断して中間リングを手作業で取り外す作業は決して容易ではない。しかも、粉塵の付着した濾布を切断する作業は作業員の健康面からも好ましくない場合がある。
特許文献3には、中間リングを縫い付ける代わりに、筒状バグフィルターの内部に中間リングを配置して、それを外側からクランプ部材で固定する方法が記載されている。これによって、縫い目を通過する粒子による濾過能の低下を防止できるとされている。しかしながら、バグフィルターの内部に中間リングが配置されるので、中間リング周辺に堆積したダストを除去するのが困難である。また、濾布の切断は不要であるものの、焼却処分に際しては、バグフィルター内部の汚染した中間リングを手作業で取り出す必要があり、やはり作業員の作業環境の面から好ましくない場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、内面に堆積したダストを払い落とす際の形態保持性が良好で、しかも中間リングを分別することなく焼却処分することが可能なバグフィルターを提供することを目的とするものである。また、そのようなバグフィルターを用いる集塵方法を提供することを目的とするものである。
上記課題は、筒状に形成された濾布の胴部に中間リングが固定されてなるバグフィルターであって、前記中間リングが可燃性材料からなり、かつ該中間リングを直径方向に30%圧縮したときの圧縮弾性率が0.2daN/cm以上であることを特徴とするバグフィルターを提供することによって解決される。このとき、前記中間リングを直径方向に30%圧縮変形させてから荷重を除く操作を3回繰り返したときに、元の直径の90%以上の径が維持されることが好適である。また、前記中間リングが管状体であること、延伸モノフィラメントを束ねて相互に接着したものであることが、いずれも好適である。
また、上記課題は、上記バグフィルターの内部に気体を吹き込むことによってバグフィルター内面にダストを捕捉し、所定時間経過後にバグフィルター内部の圧力を外部の圧力よりも低くすることによってバグフィルターを変形させて内面に付着したダストを脱落させ、引き続き再度バグフィルターの内部に気体を吹き込むことによってバグフィルター内面にダストを捕捉することを特徴とする集塵方法を提供することによって解決される。
本発明のバグフィルターによれば、バグフィルターの内面に堆積したダストを払い落とす際の形態保持性が良好であり、しかも中間リングを分別することなく焼却処分することができる。
本発明のバグフィルターは、筒状に形成された濾布の胴部に中間リングが固定されてなるバグフィルターである。濾布の素材は、気体中のダストを捕捉することのできるものであれば特に限定されないが、可燃性材料であることが好適である。使用される濾布と中間リングのいずれもが可燃性であることによって、それらを分別することなく焼却処分することができる。濾布の原料としては天然繊維と合成繊維のいずれを使用することもできるが、合成樹脂を原料とする合成繊維からなる布、特に織布が好適であり、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維などが例示される。なかでも、焼却処理時に窒素酸化物やハロゲン元素含有化合物を発生することがない点からは、ポリエステル繊維及びポリプロピレン繊維が好適であり、さらに高強度の布が得られやすいことも考慮すればポリエステル繊維が特に好適である。
本発明で使用される中間リングは、可燃性材料からなるものである。中間リングが可燃性材料からなることによって、濾布と分別することなく焼却処分することができる。具体的な素材としては、樹脂、竹、木、紙などを使用することができるが、強度、弾性率、耐久性、耐湿性などを考慮すれば樹脂製であることが好ましい。使用される樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらのうちから用途に応じて適宜選択される。2種以上の樹脂をブレンド又は複合したものを使用することもできる。焼却処分することを考慮すれば、ハロゲン元素を含有しない樹脂であることが好ましい。さらに、焼却時に窒素酸化物や硫黄酸化物などの有害ガスを排出しないためには、炭素、水素、酸素のみから構成される分子構造を有するものであることが好ましく、高弾性率で高強度のものが得られやすいポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好適である。
バグフィルターの内面に堆積したダストを払い落とすために、バグフィルターの外側から空気を逆流させてその外面から圧力をかける。このとき、バグフィルターの外部の圧力は内部の圧力よりも、通常20〜100mmH2O程度高く、中間リングにかかる荷重は、その圧力差と中間リング1つ当たりの濾布面積との積に比例する値である。中間リングの配置ピッチを狭くすれば、1つの中間リングにかかる荷重を小さくできるけれども製造コストが増大する上に、廃棄物量も増加するので好ましくない。したがって、中間リングが圧縮変形に対して、効果的に耐えられるものであることが重要である。
本発明で使用される中間リングは、直径方向に30%圧縮したときの圧縮弾性率が0.2daN/cm以上のものである。ここで、上記圧縮弾性率は、中間リングをその内径の30%に相当する距離(圧縮歪み量)だけ圧縮した場合に発生する応力(圧縮応力)を測定した際に、「圧縮応力/圧縮歪み量」で示される値(daN/cm)である。これは、一定割合の歪みが与えられた場合に元に戻ろうとする能力を中間リングの直径に関わらず表した数値である。このような圧縮弾性率を有する中間リングを使用することによって、バグフィルターの内面に堆積したダストを払い落とすためにバグフィルターの外側から圧力をかけた場合であっても中間リングが大きく変形することがない。上記圧縮弾性率は好適には0.3daN/cm以上であり、好適には0.35daN/cm以上である。また、上記圧縮弾性率が高すぎる場合には廃棄物量が増加するとともに製造コストも増大するので、好適には3daN/cm以下である。なお、1daN(デカニュートン)は、10Nに等しい値である。
最近では、焼却処分する前に、使用済みバグフィルターを洗浄して再使用する場合が増加しているが、このような場合に、従来広く使用されていた金属製中間リングは洗浄操作によって過大な荷重を受けて変形してしまう場合があった。中間リングは真円形状であることによって、円筒上の濾布から受ける荷重が均等になって変形しにくいのであるから、一旦変形して歪んでしまったものは、払い落とし操作時の圧力で容易に変形してしまうことになる。したがって、仮に変形しても元の形状に回復する性能を有することが好ましい。具体的には、中間リングを直径方向に30%圧縮変形させてから荷重を除く操作を3回繰り返したときに、元の直径の90%以上の径が維持されることが好ましい。このような復元能力を有することによって、バグフィルターの洗浄再使用が容易になる。元の直径の93%以上の径が維持されることがより好ましい。
上記のような力学的性能を有する中間リングの形態は特に限定されない。断面形状が円形、矩形、管状のものなどが使用可能である。なかでも好適な実施態様の1つは管状体である。肉厚や素材の力学物性にもよるが、一般的に同じ重量であれば、管状体の方が曲げ弾性率を大きくすることが可能だからである。したがって、中間リングの素材として樹脂製の管状体、例えばチューブが好適なものとして使用できる。この場合、所望の長さの管状体をリング状に丸めて端部同士を接合すればよい。接合方法は特に限定されず、管状体の中空部に棒状体を挿入して接合してもよいし、周囲をテープで固定してもよいし、溶接してもよいし、これらの接合方法を併せて採用してもよい。例えば、ポリアミド製やポリエステル製の管状体が好適に採用されるが、弾性率の高さや燃焼ガスのことを考慮すればポリエステル製であるほうが好ましい。
また、中間リングの形態として好適な別の実施態様は、延伸モノフィラメントを束ねて相互に接着したものである。延伸モノフィラメントは極めて強靭であるけれども、太いものは生産が困難である。したがって、そのようなモノフィラメントを束ねて相互に接着したものは、極めて強靭な線材として使用することが可能である。特に、洗浄操作などで強い衝撃を受けたような場合であっても変形しにくい。モノフィラメント同士がずれる場合には、複数本を束ねても曲げ弾性率があまり向上しないので、相互に接着して固定することが重要である。モノフィラメントの素材は特に限定されず、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどを使用することができるが、弾性率の高さや燃焼ガスのことを考慮すればポリエステル製が好ましい。モノフィラメントの直径は通常0.1〜2mm程度である。また、接着剤は、モノフィラメント同士が相互に接着するものであれば特に限定されず、エポキシ系接着剤などが好適なものとして使用される。断面当たりのモノフィラメントの本数は特に限定されないが、通常5〜100本程度である。
本発明のバグフィルターは、通常、筒状の濾布の一端が開放されていて、他端が閉じられている。バグフィルターの端部を閉じるには、糸で縫いつけてもよいし、キャップを嵌めて固定してもよい。開放されている端部から含塵気体が導入されフィルター内面でダストが捕捉される。通常、バグフィルターの長さは100〜1500cmで、直径は10〜50cm程度である。そして、中間リングは、筒状に形成された濾布の胴部に固定されるものである。1つのバグフィルターに固定される中間リングの数は、1つ以上であればよいが、好適には2つ以上、より好適には3個以上である。そして通常15個以下である。
中間リングの濾布が外面からの圧力を受けた場合の中間リングの変形を防止するためには、筒状の濾布の中心軸に対して同一の中心軸を有するように中間リングを配置することが好ましい。これによって、中間リングの全ての箇所に対して同程度の内向きの荷重がかかることになり、変形しにくくなる。濾布への固定方法は特に限定されないが、濾布に対して縫い付ける方法が好適に採用される。縫着することによって、中間リングを濾布に強固に固定することができるし、使用中にずれることも少ない。また、強固に縫着していれば、洗浄操作に対しても十分に耐えることができる。筒状に形成された濾布の外側に中間リングを縫着することが好ましい。内面に凹凸があるとダストが付着しやすいし、作業性の面からも外側に縫着するほうが楽だからである。具体的には、濾布の外側に中間リングを配置し、それを当て布で覆って、当て布と濾布とを縫い合わせて固定する方法などが好適な方法として採用される。
このようなバグフィルターを集塵装置に取り付けて集塵操作が行われる。バグフィルターの内部に気体を吹き込むことによってバグフィルター内面にダストを捕捉し、所定時間経過後にバグフィルター内部の圧力を外部の圧力よりも低くすることによってバグフィルターを変形させて内面に付着したダストを脱落させ、引き続き再度バグフィルターの内部に気体を吹き込むことによってバグフィルター内面にダストを捕捉するような集塵方法を行う場合に、本発明のバグフィルターが好適に使用される。圧縮弾性率の高い中間リングを使用することによって、バグフィルターの変形によって内面に付着したダストを脱落させる際にも、中間リングが変形しにくい。集塵操作とダストの払い落とし操作は、所定の周期で繰り返される。複数の集塵室を備えた集塵装置であれば、交互に払い落とし操作を行うことによって連続的に集塵操作を行うことも可能である。
所定時間集塵操作を行って、バグフィルターの集塵性能が低下した場合などには、バグフィルターを洗浄することが好ましい場合がある。水や有機溶剤などを使用して洗浄することができるが、変形時の復元性の良好な中間リングを使用することによって、洗浄操作において中間リングに歪みが発生するのを防止することができる。また、バグフィルターの寿命が来た場合には、本発明のバグフィルターを焼却処分することが好ましく、このとき中間リングも一緒に焼却処分することが可能である。結局のところ、濾過性能が低下したら容易に洗浄することができ、その後廃棄する際にも容易に焼却することができるので、作業の軽減も含めれば本発明のバグフィルターは経済的であるといえる。
以下、実施例を使用して本発明をさらに具体的に説明する。実施例における試験方法については、以下の方法に従って行った。
(1)圧縮弾性率(30%圧縮時)
測定装置として、株式会社島津製作所製万能試験機「オートグラフ」を使用し、圧縮速度1cm/分にて圧縮試験を行った。リング内径の30%だけ圧縮した点での応力(daN)を測定し、それを圧縮量(cm)で割って、圧縮弾性率(30%圧縮時:daN/cm)を得た。内径144mmの場合の圧縮量は43.2mmで、内径292mmの場合の圧縮量は87.6mmである。
測定装置として、株式会社島津製作所製万能試験機「オートグラフ」を使用し、圧縮速度1cm/分にて圧縮試験を行った。リング内径の30%だけ圧縮した点での応力(daN)を測定し、それを圧縮量(cm)で割って、圧縮弾性率(30%圧縮時:daN/cm)を得た。内径144mmの場合の圧縮量は43.2mmで、内径292mmの場合の圧縮量は87.6mmである。
(2)復元率(3回圧縮試験後)
上記(1)において圧縮弾性率を測定するのと同じ要領で、30%の圧縮試験を3回繰り返した。その後、荷重を除いてから中間リングの短径(内径:d1)を測定し、圧縮試験前の中間リングの内径(d2)で割った値「d1/d2」に100を掛けて、復元率(%)を算出した。
上記(1)において圧縮弾性率を測定するのと同じ要領で、30%の圧縮試験を3回繰り返した。その後、荷重を除いてから中間リングの短径(内径:d1)を測定し、圧縮試験前の中間リングの内径(d2)で割った値「d1/d2」に100を掛けて、復元率(%)を算出した。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート製の延伸モノフィラメント(帝人株式会社製「type 900C」:直径1mm)を用い、撚りを加えながらリング状に15回巻いて束ね、エポキシ樹脂(コニシ株式会社製「ボンドE2400」)を全体に含浸させてから固化させた。これにより、内径が144mm、断面直径5.5mmの中間リングを得た。得られた中間リングの圧縮弾性率(30%圧縮時)は、1.273daN/cmであった。また、3回の圧縮試験後の復元率は95.8%であった。
ポリエチレンテレフタレート製の延伸モノフィラメント(帝人株式会社製「type 900C」:直径1mm)を用い、撚りを加えながらリング状に15回巻いて束ね、エポキシ樹脂(コニシ株式会社製「ボンドE2400」)を全体に含浸させてから固化させた。これにより、内径が144mm、断面直径5.5mmの中間リングを得た。得られた中間リングの圧縮弾性率(30%圧縮時)は、1.273daN/cmであった。また、3回の圧縮試験後の復元率は95.8%であった。
図1にバグフィルター1の外観を示す。質量401g/m2、厚さ0.57mm、JIS L1096に基づいて測定した通気度が0.4cm3/cm2・sのポリエステル製織布からなる濾布を用いて、長さ3.3m、外径144mmの筒状のフィルター本体2を縫製した。本体上端3近傍を縫い合わせて縫目4で閉じるとともに、濾布の一部を折り返して吊り下げ用ループ5を形成した。本体下端6は円筒状のまま開放し、当て布7を縫い付けて補強した。本体上端3から300mm、700mm、700mm、550mm、550mmの位置において、5本の中間リング8をフィルター本体2の外側に配置して、縫い付けた。縫い付けるに際しては、中間リング8の外側から帯状の当て布9で覆い、当て布9とフィルター本体2とを縫着した。
こうして得られたバグフィルター1を、図2に示すように吊り下げ用ループ5に紐を掛けて吊るし、バグフィルター1の本体下端6をプラスチック製治具10で塞ぎ、吸引ファン11と差圧計12を取り付けるとともに、3.5kgの重り13をぶら下げた。吸引ファン11の風量を調整して、差圧が30mmH2Oになるようにして、払い落としモデル試験を行った。このとき、中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
比較例1
実施例1において、モノフィラメントの内径を292mmとした以外は、実施例1と同様にして中間リングを得た。得られた中間リングのモノフィラメントの巻き回数は15回、断面直径は6mm、圧縮弾性率(30%圧縮時)は0.114daN/cm、復元率(3回圧縮試験後)は94.4%であった。実施例1で使用したのと同じポリエステル製織布からなる濾布を用いて、長さ3.3m、外径292mmの筒状のフィルター本体を縫製した。本体上端及び本体下端はいずれも円筒状のまま開放し、当て布を縫い付けて補強した。本体上端から650mm、1000mm、1000mmの位置において、3本の中間リングをフィルター本体の外側に配置して、実施例1と同様に縫い付けた。
実施例1において、モノフィラメントの内径を292mmとした以外は、実施例1と同様にして中間リングを得た。得られた中間リングのモノフィラメントの巻き回数は15回、断面直径は6mm、圧縮弾性率(30%圧縮時)は0.114daN/cm、復元率(3回圧縮試験後)は94.4%であった。実施例1で使用したのと同じポリエステル製織布からなる濾布を用いて、長さ3.3m、外径292mmの筒状のフィルター本体を縫製した。本体上端及び本体下端はいずれも円筒状のまま開放し、当て布を縫い付けて補強した。本体上端から650mm、1000mm、1000mmの位置において、3本の中間リングをフィルター本体の外側に配置して、実施例1と同様に縫い付けた。
こうして得られたバグフィルターの上端に金属製のキャップを嵌め込み、当該キャップに紐を掛けて吊るし、バグフィルターの本体下端にも金属製のキャップを嵌め込み、当該キャップに吸引ファンと差圧計を取り付けるとともに、30kgの重りをぶら下げた。吸引ファンの風量を調整して、差圧が50mmH2Oになるようにして、払い落としモデル試験を行った。このとき、中間リングは大きく変形してバグフィルターがつぶれ、払い落としが困難であった。以上の結果を表1にまとめて示す。
実施例2、3
比較例1において、モノフィラメントの巻き数を30回(実施例2)及び45回(実施例3)に変えた以外は比較例1と同様にして中間リングを作成し、評価した。また、比較例1と同様に払い落としモデル試験を行った。このとき、いずれも中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
比較例1において、モノフィラメントの巻き数を30回(実施例2)及び45回(実施例3)に変えた以外は比較例1と同様にして中間リングを作成し、評価した。また、比較例1と同様に払い落としモデル試験を行った。このとき、いずれも中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
実施例4
実施例1において、モノフィラメントを束ねたものをエポキシ樹脂で固める代わりに、アクリルシリコン樹脂(株式会社カンペハピオ製「ハピオパワーMマイルド」)で固めた以外は実施例1と同様にして中間リングを作成し、評価した。また、実施例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、一部の中間リングに変形が認められたが、バグフィルターはつぶれておらず、払い落としが可能であった。以上の結果を表1にまとめて示す。
実施例1において、モノフィラメントを束ねたものをエポキシ樹脂で固める代わりに、アクリルシリコン樹脂(株式会社カンペハピオ製「ハピオパワーMマイルド」)で固めた以外は実施例1と同様にして中間リングを作成し、評価した。また、実施例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、一部の中間リングに変形が認められたが、バグフィルターはつぶれておらず、払い落としが可能であった。以上の結果を表1にまとめて示す。
比較例2
実施例1において、モノフィラメントを束ねたものをエポキシ樹脂で固めずに、そのまま中間リングとして使用した以外は実施例1と同様にして中間リングを作成し、評価した。また実施例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングが大きく変形してバグフィルターがつぶれ、払い落としが困難であった。以上の結果を表1にまとめて示す。
実施例1において、モノフィラメントを束ねたものをエポキシ樹脂で固めずに、そのまま中間リングとして使用した以外は実施例1と同様にして中間リングを作成し、評価した。また実施例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングが大きく変形してバグフィルターがつぶれ、払い落としが困難であった。以上の結果を表1にまとめて示す。
比較例3
ポリアミド製チューブ(ニッタ・ムアー株式会社製「N2−4−6X4」:外径6mm、内径4mm)をリング状に丸め、その両端に、太さ4mm、長さ25mmの棒状体を挿入して、熱したコテで溶接して固定し、内径が144mmの中間リングを得た。得られた中間リングを実施例1同様に評価した。また実施例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングが大きく変形してバグフィルターがつぶれ、払い落としが困難であった。以上の結果を表1にまとめて示す。
ポリアミド製チューブ(ニッタ・ムアー株式会社製「N2−4−6X4」:外径6mm、内径4mm)をリング状に丸め、その両端に、太さ4mm、長さ25mmの棒状体を挿入して、熱したコテで溶接して固定し、内径が144mmの中間リングを得た。得られた中間リングを実施例1同様に評価した。また実施例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングが大きく変形してバグフィルターがつぶれ、払い落としが困難であった。以上の結果を表1にまとめて示す。
実施例5
ポリアミド製チューブ(ニッタ・ムアー株式会社製「N2−4−12X9」:外径12mm、内径9mm)をリング状に丸め、その両端に、太さ9mm、長さ38mmの棒状体を挿入して、熱したコテで溶接して固定し、内径が292mmの中間リングを得た。得られた中間リングを実施例1同様に評価した。また比較例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
ポリアミド製チューブ(ニッタ・ムアー株式会社製「N2−4−12X9」:外径12mm、内径9mm)をリング状に丸め、その両端に、太さ9mm、長さ38mmの棒状体を挿入して、熱したコテで溶接して固定し、内径が292mmの中間リングを得た。得られた中間リングを実施例1同様に評価した。また比較例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
比較例4
直径3mmの鉄線をリング状に丸めて両端を溶接で接着して、内径144mmの中間リングを得た。得られた中間リングを実施例1同様に評価した。また実施例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
直径3mmの鉄線をリング状に丸めて両端を溶接で接着して、内径144mmの中間リングを得た。得られた中間リングを実施例1同様に評価した。また実施例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
比較例5
直径4.5mmの鉄線をリング状に丸めて両端を溶接で接着して、内径292mmの中間リングを得た。得られた中間リングを実施例1同様に評価した。また比較例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
直径4.5mmの鉄線をリング状に丸めて両端を溶接で接着して、内径292mmの中間リングを得た。得られた中間リングを実施例1同様に評価した。また比較例1と同様に払い落としモデル試験を行ったところ、中間リングはほとんど変形しなかった。以上の結果を表1にまとめて示す。
表1に示されるように、中間リングを直径方向に30%圧縮したときの圧縮弾性率が0.2daN/cm未満である比較例1、2及び3では、払い落とし試験において、中間リングが大きく変形することがわかった。一方、金属製の中間リングを用いた比較例4及び5では、中間リングの復元率が低いので、洗浄操作などによって中間リングに永久的な歪みが形成されるおそれがある。これに対し、実施例1〜5では、中間リングの圧縮弾性率が高くて払い落とし試験における変形が生じにくいし、復元率も良好である。
1 バグフィルター
2 フィルター本体
3 本体上端
4 縫目
5 吊り下げ用ループ
6 本体下端
7、9 当て布
8 中間リング
2 フィルター本体
3 本体上端
4 縫目
5 吊り下げ用ループ
6 本体下端
7、9 当て布
8 中間リング
Claims (5)
- 筒状に形成された濾布の胴部に中間リングが固定されてなるバグフィルターであって、前記中間リングが可燃性材料からなり、かつ該中間リングを直径方向に30%圧縮したときの圧縮弾性率が0.2daN/cm以上であることを特徴とするバグフィルター。
- 前記中間リングを直径方向に30%圧縮変形させてから荷重を除く操作を3回繰り返したときに、元の直径の90%以上の径が維持される請求項1記載のバグフィルター。
- 前記中間リングが管状体である請求項1又は2記載のバグフィルター。
- 前記中間リングが延伸モノフィラメントを束ねて相互に接着したものである請求項1又は2記載のバグフィルター。
- 請求項1〜4のいずれか記載のバグフィルターの内部に気体を吹き込むことによってバグフィルター内面にダストを捕捉し、所定時間経過後にバグフィルター内部の圧力を外部の圧力よりも低くすることによってバグフィルターを変形させて内面に付着したダストを脱落させ、引き続き再度バグフィルターの内部に気体を吹き込むことによってバグフィルター内面にダストを捕捉することを特徴とする集塵方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005299925A JP2007105655A (ja) | 2005-10-14 | 2005-10-14 | バグフィルター及びそれを用いた集塵方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005299925A JP2007105655A (ja) | 2005-10-14 | 2005-10-14 | バグフィルター及びそれを用いた集塵方法 |
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---|---|
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