JP2007103307A - 燃料電池の製造方法、燃料電池、燃料電池用負極の製造方法、燃料電池用負極、電子機器、移動体、発電システム、コージェネレーションシステム、酵素反応利用装置の製造方法、酵素反応利用装置、酵素反応利用装置用電極の製造方法、酵素反応利用装置用電極および固定化方法 - Google Patents

燃料電池の製造方法、燃料電池、燃料電池用負極の製造方法、燃料電池用負極、電子機器、移動体、発電システム、コージェネレーションシステム、酵素反応利用装置の製造方法、酵素反応利用装置、酵素反応利用装置用電極の製造方法、酵素反応利用装置用電極および固定化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高出力化が可能な燃料電池およびそのような燃料電池を容易に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】負極1と正極2とがプロトン伝導体3を介して対向した構造を有し、負極1に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池において、負極1に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン(VK3)、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼを1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化する。VK3を固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる。
【選択図】図2

Description

この発明は、燃料電池の製造方法、燃料電池、燃料電池用負極の製造方法、燃料電池用負極、電子機器、移動体、発電システム、コージェネレーションシステム、酵素反応利用装置の製造方法、酵素反応利用装置、酵素反応利用装置用電極の製造方法、酵素反応利用装置用電極および固定化方法に関し、例えば、負極に触媒としての酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池およびこの燃料電池を用いる各種の機器、装置あるいはシステムに適用して好適なものである。
燃料電池は、正極(酸化剤極)と負極(燃料極)とが電解質(プロトン伝導体)を介して対向した構造を有する。従来の燃料電池では、負極に供給された燃料(水素)が酸化されて電子とプロトン(H+ )とに分離し、電子は負極に渡され、H+ は電解質を通って正極まで移動する。正極では、このH+ が、外部から供給された酸素および負極から外部回路を通って送られた電子と反応して水(H2 O)を生成する。
このように、燃料電池は燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する高効率な発電装置であり、天然ガス、石油、石炭などの化石エネルギーが持つ化学エネルギーを使用場所や使用時によらずに、しかも高い変換効率で電気エネルギーとして取り出すことができる。このため、従来から大規模発電用途などとしての燃料電池の開発研究が活発に行われている。例えば、スペースシャトルに燃料電池が搭載され、電力と同時に乗組員用の水を補給できることや、クリーンな発電装置であることを証明した実績がある。
さらに、近年、固体高分子型燃料電池など、室温から90℃程度の比較的低温の作動温度域を示す燃料電池が開発され、注目を集めている。このため、大規模発電用途のみならず、自動車の駆動用電源、パーソナルコンピュータやモバイル機器などのポータブル電源などの小型システムへの応用が模索されつつある。
このように、燃料電池は大規模発電から小規模発電まで幅広い用途が考えられ、高効率な発電装置として多くの注目を集めている。しかしながら、燃料電池では、燃料として通常、天然ガス、石油、石炭などを改質器により水素ガスに変換して用いており、限りある資源を消費するとともに、高温に加熱する必要があったり、白金(Pt)などの高価な貴金属の触媒を必要としたりするなど、いろいろと問題点がある。また、水素ガスやメタノールを直接燃料として用いる場合でも、その取り扱いには注意を要する。
そこで、生物内で行われている生体代謝が高効率なエネルギー変換機構であることに着目し、これを燃料電池に適用する提案がなされている。ここでいう生体代謝には、微生物体細胞内で行われる呼吸、光合成などが含まれる。生体代謝は、発電効率が極めて高く、また、室温程度の穏やかな条件で反応が進行するという特長を兼ね備えている。
例えば、呼吸は、糖類、脂肪、タンパク質などの栄養素を微生物または細胞内に取り込み、これらの化学エネルギーを、数々の酵素反応ステップを有する解糖系およびトリカルボン酸(TCA)回路を介して二酸化炭素(CO2 )を生成する過程でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)とすることで酸化還元エネルギー、すなわち電気エネルギーに変換し、さらに電子伝達系においてこれらのNADHの電気エネルギーをプロトン勾配の電気エネルギーに直接変換するとともに酸素を還元し、水を生成する機構である。ここで得られた電気エネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP)合成酵素を介して、アデノシン二リン酸(ADP)からATPを生成し、このATPは微生物や細胞が生育するために必要な反応に利用される。このようなエネルギー変換は、細胞質ゾルおよびミトコンドリアで行われている。
また、光合成は、光エネルギーを取り込み、電子伝達系を介してニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+ )を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)とすることで電気エネルギーに変換する過程で、水を酸化し酸素を生成する機構である。この電気エネルギーは、CO2 を取り込み炭素固定化反応に利用され、炭水化物の合成に利用される。
上述したような生体代謝を燃料電池に利用する技術としては、微生物中で発生した電気エネルギーを電子メディエーターを介して微生物外に取り出し、この電子を電極に渡すことで電流を得る微生物電池が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、微生物および細胞には化学エネルギーから電気エネルギーへの変換といった目的の反応以外にも不要な機能が多く存在するため、上述した方法では望まない反応に電気エネルギーが消費されて十分なエネルギー変換効率が発揮されない。
そこで、酵素を用いて所望の反応のみを行う燃料電池(バイオ燃料電池)が提案されている(例えば、特許文献2、3、4参照。)。このバイオ燃料電池は、燃料を酵素により分解してプロトンと電子とに分離するもので、燃料としてメタノールやエタノールのようなアルコール類あるいはグルコースのような糖類を用いたものが開発されている。
特開2000−133297号公報 特開2003−282124号公報 特開2004−71559号公報 特開2005−13210号公報
しかしながら、バイオ燃料電池においては、現時点では大きな出力が得られていないのが実情である。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、高出力化が可能な燃料電池およびそのような燃料電池を容易に製造することができる燃料電池の製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記の燃料電池に用いて好適な燃料電池用負極およびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のような優れた燃料電池を用いた電子機器、移動体、発電システムおよびコージェネレーションシステムを提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、より一般的には、高出力化が可能な酵素反応利用装置およびその製造方法ならびにこの酵素反応利用装置に用いて好適な酵素反応利用装置用電極およびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、電子メディエーターなどに用いて好適なナフトキノン骨格を有する化合物を酵素が固定化された電極などの各種の基体に効率的に固定化することができる固定化方法を提供することである。
本発明者らは、従来技術が有する上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、負極に酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池(バイオ燃料電池)において、電子メディエーターとしてナフトキノン骨格を有する化合物を用いる場合、このナフトキノン骨格を有する化合物を負極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いると最も効率的に固定化することができ、出力の向上を図ることができることを見出した。また、負極に固定化する酵素(酸化酵素、補酵素酸化酵素など)、補酵素および電子メディエーターの組み合わせの最適化および各成分量の最適化に着目し、実際に最適化に成功し、出力の向上を図ることができた。
この発明は、本発明者らが独自に得た上記の知見に基づいて案出されたものである。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素およびナフトキノン骨格を有する化合物を含む電子メディエーターが固定化されている燃料電池の製造方法であって、
上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記負極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
ことを特徴とするものである。
ナフトキノン骨格を有する化合物を負極に固定化する際に用いる溶媒には、必要に応じて、アセトン以外の一種または二種以上の他の溶媒を含ませてもよい。
電子メディエーターに含まれるナフトキノン骨格を有する化合物としては各種のナフトキノン誘導体を用いることが可能であるが、好適には、2−メチル−1,4−ナフトキノン(VK3)、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトキノン(ACNQ)、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)などが用いられる。電子メディエーターには、必要に応じて、ナフトキノン骨格を有する化合物以外に、電子メディエーターとして働く一種または二種以上の他の化合物を含ませてもよい。
負極に固定化される酵素は、使用する燃料に応じて選ばれるが、例えば、燃料としてグルコースのような単糖類を用いる場合には、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含み、通常はこれに加えて酸化酵素によって還元される補酵素を酸化体に戻す補酵素酸化酵素を含む。この補酵素酸化酵素の作用により、補酵素が酸化体に戻るときに電子が生成され、補酵素酸化酵素から電子メディエーターを介して電極に電子が渡される。酸化酵素としては例えばグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、好適にはNAD依存型グルコースデヒドロゲナーゼ、補酵素の酸化体としては例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )が、補酵素酸化酵素としては例えばジアホラーゼなどのNADHデヒドロゲナーゼが用いられる。
燃料として多糖類(広義の多糖類であり、加水分解によって2分子以上の単糖を生じる全ての炭水化物を指し、二糖、三糖、四糖などのオリゴ糖を含む)を用いる場合には、好適には、上記の酸化酵素、補酵素酸化酵素、補酵素および電子メディエーターに加えて、多糖類の加水分解などの分解を促進し、グルコースなどの単糖類を生成する分解酵素も固定化される。多糖類としては、具体的には、例えば、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、マルトース、スクロース、ラクトースなどが挙げられる。これらは単糖類が二つ以上結合したものであり、いずれの多糖類においても結合単位の単糖類としてグルコースが含まれている。なお、アミロースとアミロペクチンとはデンプンに含まれる成分であり、デンプンはアミロースとアミロペクチンとの混合物である。多糖類の分解酵素としてグルコアミラーゼを用い、単糖類を分解する酸化酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼを用いた場合には、グルコアミラーゼによりグルコースにまで分解することができる多糖類、例えばデンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、マルトースのいずれかを含むものであれば、これを燃料として発電することが可能となる。なお、グルコアミラーゼはデンプンなどのα−グルカンを加水分解しグルコースを生成する分解酵素であり、グルコースデヒドロゲナーゼはβ−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化する酸化酵素である。多糖類を分解する分解酵素も負極上に固定化される構成とし、最終的に燃料となる多糖類も負極上に固定化される構成としてもよい。
また、デンプンを燃料とする場合には、デンプンを糊化してゲル状の固形化燃料としたものを用いることもできる。この場合、糊化したデンプンを酵素などが固定化された負極に接触させる、あるいは負極上に酵素などともに固定化する方法をとることができる。こうすることで、負極表面のデンプン濃度を、溶液中に溶解したデンプンを用いた場合よりも高い状態に保持することができ、酵素による分解反応がより速くなり、出力が向上するとともに、燃料の取り扱いが溶液の場合よりも容易で、燃料供給システムを簡素化することができ、しかも燃料電池を天地無用とすることができるため、例えばモバイル機器に用いたときに非常に有利である。
好適な一つの例では、負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン(VK3)、補酵素としての還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼを固定化し、最も好適には、これらを1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化する。ただし、U(ユニット)とは、酵素活性を示す一つの指標であり、ある温度およびpHにおいて1分間当たり1μmolの基質が反応する度合いを示す。
一方、正極には、酵素が固定化されても固定されなくてもよい。酵素が固定化される場合、この酵素は、典型的には酸化酵素を含む。この酸化酵素としては、例えば、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼなどを用いることができる。この場合、正極には、好適には、酵素に加えて電子メディエーターも固定化される。電子メディエーターとしては、例えば、ヘキサシアノ鉄酸カリウムを用いる。電子メディエーターは、好適には、十分に高濃度、例えば、平均値で0.64×10-6mol/mm2 以上固定化する。
酵素、補酵素、電子メディエーターなどを負極または正極に固定化するための固定化材としては、各種のものを用いることができるが、好適には、ポリ−L−リシン(PLL)をはじめとしたポリカチオンまたはその塩とポリアクリル酸(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa))をはじめとしたポリアニオンまたはその塩とを用いて形成されるポリイオンコンプレックスを用いることができ、このポリイオンコンプレックスの内部に酵素、補酵素、電子メディエーターなどが含まれるようにすることができる。
正極または負極の材料としては、カーボン系材料などの従来公知の材料を用いることができるほか、多孔体材料からなる骨格と、この骨格の少なくとも一部の表面を被覆する、カーボン系材料を主成分とする材料とを含む多孔体導電材料を用いることができる。この多孔体導電材料は、多孔体材料からなる骨格の少なくとも一部の表面に、カーボン系材料を主成分とする材料をコーティングすることにより得ることができる。この多孔体導電材料の骨格を構成する多孔体材料は、多孔率が高くても骨格を安定に維持することができるものであれば、基本的にはどのようなものであってもよく、導電性の有無も問わない。多孔体材料としては、好適には、高多孔率および高導電性を有する材料が用いられる。このような高多孔率および高導電性を有する多孔体材料としては、具体的には、金属材料(金属または合金)や、骨格を強固にした(もろさを改善した)カーボン系材料などを用いることができる。多孔体材料として金属材料を用いる場合、金属材料は溶液のpHや電位などの使用環境との兼ね合いにより状態安定性が異なることから様々な選択肢が考えられるが、例えば、ニッケル、銅、銀、金、ニッケル−クロム合金、ステンレス鋼などの発泡金属あるいは発泡合金は入手しやすい材料の一つである。多孔体材料としては、上記の金属材料やカーボン系材料以外に樹脂材料(例えば、スポンジ状のもの)を用いることもできる。この多孔体材料の多孔率および孔径(孔の最小径)は、この多孔体材料からなる骨格の表面にコーティングする、カーボン系材料を主成分とする材料の厚さとの兼ね合いで、多孔体導電材料に要求される多孔率および孔径に応じて決められる。この多孔体材料の孔径は一般的には10nm〜1mm、典型的には10nm〜600μmである。一方、骨格の表面を被覆する材料は、導電性を有し、想定される作動電位において安定なものを用いる必要がある。ここでは、このような材料としてカーボン系材料を主成分とする材料を用いる。カーボン系材料は一般に電位窓が広く、しかも化学的に安定なものが多い。このカーボン系材料を主成分とする材料は、具体的には、カーボン系材料のみからなるものと、カーボン系材料を主成分とし、多孔体導電材料に要求される特性などに応じて選ばれる副材料を微量含む材料とがある。後者の材料の具体例を挙げると、カーボン系材料に金属などの高導電性材料を添加することにより電気伝導性を向上させた材料や、カーボン系材料にポリテトラフルオロエチレン系材料などを添加することにより表面撥水性を付与するなど、導電性以外の機能を付与した材料である。カーボン系材料にも様々な種類が存在するが、いかなるカーボン系材料であってもよく、カーボン単体のほか、カーボンに他の元素を添加したものであってもよい。このカーボン系材料は、特に、高導電性・高表面積を有する微細粉末カーボン材料が好ましい。このカーボン系材料としては、具体的には、例えば、KB(ケッチェンブラック)などの高導電性を付与したものや、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの機能性カーボン材料などを用いることができる。このカーボン系材料を主成分とする材料のコーティング方法は、必要に応じて適当な結着剤を用いるなどして多孔体材料からなる骨格の表面にコーティング可能であれば、いかなるコーティング方法を用いてもよい。この多孔体導電材料の孔径は、その孔を通して基質などを含む溶液が容易に出入り可能な程度の大きさに選ばれ、一般的には9nm〜1mm、より一般的には1μm〜1mm、さらに一般的には1〜600μmである。多孔体材料からなる骨格の少なくとも一部の表面がカーボン系材料を主成分とする材料により被覆された状態、あるいは、多孔質材料からなる骨格の少なくとも一部の表面をカーボン系材料を主成分とする材料によりコーティングした状態では、孔が全て互いに連通し、あるいは、カーボン系材料を主成分とする材料による目詰まりが発生しないようにするのが望ましい。
プロトン伝導体として緩衝物質を含む電解質を用いる場合には、高出力動作時に十分な緩衝能を得ることができ、酵素が本来持っている能力を十分に発揮することができるようにするために、電解質に含まれる緩衝物質の濃度を0.2M以上2.5M以下にすることが有効であり、好適には0.2M以上2M以下、より好適には0.4M以上2M以下、さらに好適には0.8M以上1.2M以下とする。緩衝物質は、一般的には、pKa が6以上9以下のものであれば、どのようなものを用いてもよいが、具体例を挙げると、リン酸二水素イオン(H2 PO4 - )、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(略称トリス)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、カコジル酸、炭酸(H2 CO3 )、クエン酸水素イオン、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(略称トリシン)、グリシルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称ビシン)などである。リン酸二水素イオン(H2 PO4 - )を生成する物質は、例えば、リン酸二水素ナトリウム(NaH2 PO4 )やリン酸二水素カリウム(KH2 PO4 )などである。緩衝物質を含む電解質のpHは、好適には7付近であるが、一般的には1〜14のいずれであってもよい。
この燃料電池は、およそ電力が必要なもの全てに用いることができ、大きさも問わないが、例えば、電子機器、移動体、動力装置、建設機械、工作機械、発電システム、コージェネレーションシステムなどに用いることができ、用途などによって出力、大きさ、形状、燃料の種類などが決められる。
第2の発明は、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されている
ことを特徴とするものである。
第2の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第3の発明は、
酵素およびナフトキノン骨格を有する化合物を含む電子メディエーターが固定化された燃料電池用負極の製造方法であって、
上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記負極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
ことを特徴とするものである。
第3の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第4の発明は、
酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化された燃料電池用負極であって、
上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されている
ことを特徴とするものである。
第4の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第5の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用いる電子機器において、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されているものである
ことを特徴とするものである。
この電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、車載機器、家庭電気製品、工業製品などである。
第6の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用いる移動体において、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されているものである
ことを特徴とするものである。
この移動体は、基本的にはどのようなものであってもよく、具体例を挙げると、自動車、二輪車、航空機、ロケット、宇宙船などである。
第7の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用いる発電システムにおいて、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されているものである
ことを特徴とするものである。
この発電システムは、基本的にはどのようなものであってもよく、その規模も問わず、燃料としても、単糖類や多糖類そのもののほか、多糖類を含む生ごみなどを用いてもよい。
第8の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用いるコージェネレーションシステムにおいて、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されているものである
ことを特徴とするものである。
このコージェネレーションシステムは、基本的にはどのようなものであってもよく、その規模も問わず、燃料としても、単糖類や多糖類そのもののほか、多糖類を含む生ごみを用いてもよい。
第5〜第8の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第9の発明は、
酵素およびナフトキノン骨格を有する化合物を含む電子メディエーターが固定化された電極を有する酵素反応利用装置の製造方法であって、
上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記電極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
ことを特徴とするものである。
第10の発明は、
酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化された電極を有する酵素反応利用装置であって、
上記電極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されている
ことを特徴とするものである。
第11の発明は、
酵素およびナフトキノン骨格を有する化合物を含む電子メディエーターが固定化された酵素反応利用装置用電極の製造方法であって、
上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記電極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
ことを特徴とするものである。
第12の発明は、
酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化された酵素反応利用装置用電極であって、
電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されている
ことを特徴とするものである。
第9〜第12の発明において、酵素反応利用装置は、酵素反応を利用する各種の装置を含むが、具体的には、燃料電池、バイオセンサー、バイオリアクターなどである。
第9〜第12の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第13の発明は、
酵素が固定化された基体にナフトキノン骨格を有する化合物を固定化するようにした固定化方法であって、
上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記基体に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
ことを特徴とするものである。
ここで、ナフトキノン骨格を有する化合物の用途は問わず、電子メディエーターとして用いる場合のみならず、他の目的で用いる場合も含む。また、基体も、電極だけでなく、各種のものであってよい。
第13の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
上述のように構成されたこの発明においては、ナフトキノン骨格を有する化合物を負極や電極などに固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いることにより、ナフトキノン骨格を有する化合物の溶解性を高めることができ、ナフトキノン骨格を有する化合物を負極や電極などに効率的に固定化することができる。
また、負極あるいは電極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼを、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化することにより、これらの電子メディエーター、補酵素、酸化酵素および補酵素酸化酵素の各成分が効率よく働き、負極あるいは電極により多くの電子を供給することができる。
この発明によれば、ナフトキノン骨格を有する化合物を負極に効率的に固定化することができることにより、あるいは、負極に固定化する電子メディエーター、補酵素、酸化酵素および補酵素酸化酵素の組み合わせの最適化および各成分量の最適化により、燃料電池の高出力化が可能である。そして、このように高出力化が可能な燃料電池を用いることにより、高性能の電子機器、移動体、発電システム、コージェネレーションシステムなどを実現することができる。
また、ナフトキノン骨格を有する化合物を電極に効率的に固定化することができることにより、あるいは、電極に固定化する電子メディエーター、補酵素、酸化酵素および補酵素酸化酵素の組み合わせの最適化および各成分量の最適化により、酵素反応利用装置の高出力化が可能である。
また、ナフトキノン骨格を有する化合物を酵素が固定化された基体に効率的に固定化することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池を模式的に示す。このバイオ燃料電池では、燃料としてグルコースを用いるものとする。図2は、このバイオ燃料電池の負極の構成の詳細ならびにこの負極に固定化された酵素群の一例およびこの酵素群による電子の受け渡し反応を模式的に示す。
図1に示すように、このバイオ燃料電池は、負極1と正極2とがプロトン伝導体3を介して対向した構造を有する。負極1は、燃料として供給されたグルコースを酵素により分解し電子を取り出すとともにプロトン(H+ )を発生する。正極2は、負極1からプロトン伝導体3を通って輸送されたプロトンと負極1から外部回路を通って送られた電子と例えば空気中の酸素とにより水を生成する。
負極1は、例えば多孔質カーボンなどからなる電極11(図2参照)上に、グルコースの分解に関与する酵素と、グルコースの分解プロセスにおける酸化反応に伴って還元体が生成される補酵素(例えば、NAD+ )と、補酵素の還元体(例えば、NADH)を酸化する補酵素酸化酵素(例えば、ジアホラーゼ)と、補酵素酸化酵素から補酵素の酸化に伴って生じる電子を受け取って電極11に渡す電子メディエーター(例えば、VK3)とが固定化材(図示せず)(例えば、ポリ−L−リシン(PLL)のようなポリカチオンとポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa))のようなポリアニオンとを用いて形成されたポリイオンコンプレックス)により固定化されて構成されている。
グルコースの分解に関与する酵素としては、例えば、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、好適にはNAD依存型グルコースデヒドロゲナーゼを用いることができる。この酸化酵素を存在させることにより、例えば、β−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化することができる。
さらに、このD−グルコノ−δ−ラクトンは、グルコノキナーゼとフォスフォグルコネートデヒドロゲナーゼ(PhGDH)との二つの酵素を存在させることにより、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに分解することができる。すなわち、D−グルコノ−δ−ラクトンは、加水分解によりD−グルコネートになり、D−グルコネートは、グルコノキナーゼの存在下、アデノシン三リン酸(ATP)をアデノシン二リン酸(ADP)とリン酸とに加水分解することでリン酸化されて、6−フォスフォ−D−グルコネートになる。この6−フォスフォ−D−グルコネートは、酸化酵素PhGDHの作用により、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに酸化される。
また、グルコースは上記分解プロセスのほかに、糖代謝を利用してCO2 まで分解することもできる。この糖代謝を利用した分解プロセスは、解糖系によるグルコースの分解およびピルビン酸の生成ならびにTCA回路に大別されるが、これらは広く知られた反応系である。
単糖類の分解プロセスにおける酸化反応は、補酵素の還元反応を伴って行われる。この補酵素は作用する酵素によってほぼ定まっており、GDHの場合、補酵素にはNAD+ が用いられる。すなわち、GDHの作用によりβ−D−グルコースがD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化されると、NAD+ がNADHに還元され、H+ を発生する。
生成されたNADHは、ジアホラーゼ(DI)の存在下で直ちにNAD+ に酸化され、二つの電子とH+ とを発生する。したがって、グルコース1分子につき1段階の酸化反応で二つの電子と二つのH+ とが生成されることになる。2段階の酸化反応では、合計四つの電子と四つのH+ とが生成される。
上記プロセスで生成された電子はジアホラーゼから電子メディエーターを介して電極11に渡され、H+ はプロトン伝導体3を通って正極2へ輸送される。
上記の酵素、補酵素および電子メディエーターは、電極反応が効率よく定常的に行われるようにするために、プロトン伝導体3に含まれるリン酸緩衝液やトリス緩衝液などの緩衝液によって、酵素にとって最適なpH、例えばpH7付近に維持されていることが好ましい。リン酸緩衝液としては、例えばNaH2 PO4 やKH2 PO4 が用いられる。さらに、イオン強度(I.S.)は、あまり大きすぎても小さすぎても酵素活性に悪影響を与えるが、電気化学応答性も考慮すると、適度なイオン強度、例えば0.3程度であることが好ましい。ただし、pHおよびイオン強度は、用いる酵素それぞれに最適値が存在し、上述した値に限定されない。
図2には、一例として、グルコースの分解に関与する酵素がグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、グルコースの分解プロセスにおける酸化反応に伴って還元体が生成される補酵素がNAD+ 、補酵素の還元体であるNADHを酸化する補酵素酸化酵素がジアホラーゼ(DI)、補酵素酸化酵素から補酵素の酸化に伴って生じる電子を受け取って電極11に渡す電子メディエーターがVK3である場合が図示されている。
正極2は、触媒が担持された炭素粉末あるいは炭素に保持されない触媒粒子により構成される。触媒には、例えば、白金(Pt)の微粒子、または鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)あるいはルテニウム(Ru)などの遷移金属と白金との合金あるいは酸化物などの微粒子が用いられる。この正極2は、例えば、プロトン伝導体3の側から順に触媒あるいは触媒を含む炭素粉末よりなる触媒層と多孔質の炭素材料よりなるガス拡散層とが積層された構造に形成される。なお、正極2はこの構成に限らず、触媒として酸素還元酵素を用いることもできる。この場合は、電極との間で電子の受け渡しを行う電子メディエーターと組み合わせて用いられる。
この正極2においては、触媒の存在下で、プロトン伝導体3からのH+ と負極1からの電子とにより空気中の酸素を還元し水を生成する。
プロトン伝導体3は負極1において発生したH+ を正極2に輸送するためのもので、電子伝導性を持たず、H+ を輸送することが可能な材料により構成されている。プロトン伝導体3としては、具体的には、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)系の樹脂膜、トリフルオロスチレン誘導体の共重合膜、リン酸を含浸させたポリベンズイミダゾール膜、芳香族ポリエーテルケトンスルホン酸膜、PSSA−PVA(ポリスチレンスルホン酸ポリビニルアルコール共重合体)や、PSSA−EVOH(ポリスチレンスルホン酸エチレンビニルアルコール共重合体)などからなるものが挙げられる。なかでも、含フッ素カーボンスルホン酸基を有するイオン交換樹脂からなるものが好ましく、具体的には、ナフィオン(商品名、米国デュポン社)が用いられる。
以上のように構成されたバイオ燃料電池において、負極1側にグルコースが供給されると、このグルコースが酸化酵素を含む分解酵素により分解される。この単糖類の分解プロセスで酸化酵素が関与することで、負極1側で電子とH+ とを生成することができ、負極1と正極2との間で電流を発生させることができる。
次に、負極1として用いる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極における各成分量をこの負極1での反応に近い側から順に最適化するために行った実験の結果について説明する。
〈実験1〉
負極1として用いる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極の単極での電気化学測定に使用した電気化学測定系を図3に示す。図3に示すように、容器21内に測定溶液22を入れ、この測定溶液22内に作用極23、対極24および参照極25を浸漬し、これらに電気化学測定装置26を接続した。測定溶液22としては、緩衝溶液(0.1M
NaH2 PO4 −NaOH−NaCl、I.S.(イオン強度)=0.3、pH7)を用いた。作用極23としては、グラッシーカーボンディスク電極(3mmφ、0.071cm2 )上にVK3、ジアホラーゼ(DI)、NADHおよびグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)をポリ−L−リシン(PLL)とポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa)とを用いて形成されるポリイオンコンプレックスを固定化材として用いて固定化したものを用いた。対極24としてはPt線、参照極25としてはAg|AgClを用いた。測定は大気圧下で行い、測定温度は25℃とした。測定溶液22の量は1mlとし、測定前にバブラ27により測定溶液22中にArガスを送り込んでバブリングを十分に行い、脱酸素を行った。
酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極は次のようにして作製した。
まず、以下のようにして各種の溶液を調製した。緩衝溶液としては、測定溶液22として用いたものと同じものを用いた。
・GDH/DI/NADH酵素・補酵素緩衝溶液((1))
ジアホラーゼ(DI)(EC 1.6.99.−、天野エンザイム製、DH”Amano ”3)を10mg秤量し、緩衝溶液1mlに溶解させた((1)´)。酵素を溶解させる緩衝溶液は直前まで8℃以下で冷蔵されていたものが好ましく、酵素緩衝溶液もできるだけ8℃以下で冷蔵保存しておくことが好ましい。
グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)(NAD依存型、EC 1.1.1.47、天野エンザイム製、GDH−2)を13.8mg、NADH(シグマアルドリッチ製、N−8129)を40mg秤量し、これら二つの粉末を緩衝溶液1mlに溶解させた。これに上記の溶液(1)´を20μl加え、よく混合した。
・PLL水溶液((2))
ポリ−L−リシン臭化水素酸塩(PLL)(シグマアルドリッチ製、P−2636)を適量秤量し、1wt%となるように脱イオン水に溶解させた。
・VK3エタノール溶液((3))
2−メチル−1,4−ナフトキノン(VK3)(ナカライテスク、36405−84)を所要量秤量し、エタノール1mlに溶解させた。VK3の量は16.6mg、33.2mg、49.8mg、66.4mgの4水準に変えた。
・PAAcNa水溶液((4))
ポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa)(アルドリッチ製、041−00595)を適量秤量し、1wt%となるように脱イオン水に溶解させた。
上記のようにして調製した各種の溶液を下記に示す量だけ、下記の順序で、それぞれマイクロピペッターなどでグラッシーカーボンディスク電極(BAS製、002012、3mmφ、0.071cm2 )表面上に滴下・混合した後、適宜室温もしくは40℃以下で乾燥を行い、酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極を作製した。
GDH/DI/NADH酵素・補酵素緩衝溶液((1)):10μl
PLL水溶液((2)):10μl
VK3エタノール溶液((3)):4μl
PAAcNa水溶液((4)):4μl
上記の4種類の溶液の混合溶液においては、GDHは4.2U、DIは20U、NADHは0.77μmol、PLL(M=39000)は2.56fmol、VK3は4水準の溶解量に対してそれぞれ、0.77μmol、1.54μmol、2.31μmol、3.08μmol、PAAc(M=8000)は0.50fmol含まれる。
図4は、測定溶液22にグルコースを800mMの濃度に加えたときの電気化学測定により得られる電流値に対するVK3の量的依存性の測定結果を示す。ただし、測定電位は0.8Vである。図4から分かるように、VK3の量が0.77μmolであるときに比べて、VK3の量をその2倍(1.54μmol)以上に増やすと、得られる電流値は約1.3倍以上となり、特にVK3の量が1.54μmolであるときに電流値は約1.5倍となり、最大となる。
〈実験2〉
以下のようにして各種の溶液を調製した。緩衝溶液としては、測定溶液22として用いたものと同じものを用いた。
VK3を溶解させる溶媒としてエタノールの代わりにアセトンを用いた。VK3(ナカライテスク、36405−84)を所要量秤量し、アセトン1mlに溶解させてVK3アセトン溶液((5))を調製した。VK3の量は33.2mg、49.8mg、66.4mgの3水準に変えた。
GDH/DI/NADH酵素・補酵素緩衝溶液((1))、PLL水溶液((2))およびPAAcNa水溶液((4))は実験1と同様に調製した。
上記のようにして調製した各種の溶液を下記に示す量だけ、下記の順序で、それぞれマイクロピペッターなどでグラッシーカーボンディスク電極(BAS製、002012、3mmφ、0.071cm2 )表面上に滴下・混合した後、適宜室温もしくは40℃以下で乾燥を行い、酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極を作製した。
GDH/DI/NADH酵素・補酵素緩衝溶液((1)):10μl
PLL水溶液((2)):10μl
VK3アセトン溶液((5)):4μl
PAAcNa水溶液((4)):4μl
上記の4種類の溶液の混合溶液においては、GDHは4.2U、DIは20U、NADHは0.77μmol、PLL(M=39000)は2.56fmol、VK3は3水準の量に対して1.54μmol、2.31μmol、3.08μmol、PAAc(M=8000)は0.50fmol含まれる。
図5は、測定溶液22にグルコースを800mMの濃度に加えたときの電気化学測定により得られる電流値に対するVK3の量的依存性の測定結果を示す。ただし、測定電位は0.8Vである。図5から分かるように、VK3を溶解させる溶媒にエタノールを用いた場合(図4)に比べて、VK3を溶解させる溶媒にアセトンを用いた場合には、同じVK3量に対して、得られる電流値は約1.3倍以上となり、特にVK3の量が2.31μmolであるときに電流値は約2.8倍となり、最大となる。これは、VK3を溶解させる溶媒にエタノールを用いた場合には、溶解度が低いため溶媒の量を多くする必要があるので、GDH、DIおよびNADHが固定化されている部分を避けるようにVK3が電極表面に広がってしまい、VK3の固定化の効率が低いのに対し、VK3を溶解させる溶媒にアセトンを用いた場合には、エタノールに比べて溶解度が6倍程度高いため溶媒の量を大幅に少なくすることができ、VK3の広がりを大幅に抑えることができ、VK3の固定化の効率を大幅に向上させることができるためであると考えられる。
〈実験3〉
以下のようにして各種の溶液を調製した。緩衝溶液としては、測定溶液22として用いたものと同じものを用いた。
・GDH/DI酵素緩衝溶液((6))
GDHを13.8mg、DIを40mg秤量し、これら二つの粉末を緩衝溶液1mlに溶解させた。
・NADH補酵素緩衝溶液((7))
NADHを所要量秤量し、緩衝溶液1mlに溶解させた。NADHの量は40mg、80mg、160mg、320mgの4水準に変えた。
・VK3アセトン溶液((5))
実験2と同様に、VK3を溶解させる溶媒としてエタノールの代わりにアセトンを用いたが、濃度を50mg/mlとした。
PLL水溶液((2))およびPAAcNa水溶液((4))は実験1と同様に調製した。
上記のようにして調製した各種の溶液を下記に示す量だけ、下記の順序で、それぞれマイクロピペッターなどでグラッシーカーボンディスク電極(BAS製、002012、3mmφ、0.071cm2 )表面上に滴下・混合した後、適宜室温もしくは40℃以下で乾燥を行い、酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極を作製した。
GDH/DI酵素緩衝溶液((6)):8μl
NADH補酵素緩衝溶液((7)):2μl
PLL水溶液((2)):10μl
VK3アセトン溶液((5)):4μl
PAAcNa水溶液((4)):4μl
上記の5種類の溶液の混合溶液においては、GDHは4.2U、DIは20U、NADHは4水準の量に対して0.77μmol、1.54μmol、3.08μmol、6.16μmol、PLL(M=39000)は2.56fmol、VK3は2.31μmol、PAAc(M=8000)は0.50fmol含まれる。
図6は、測定溶液22にグルコースを400mMの濃度に加えたときの電気化学測定により得られる電流値に対するNADHの量的依存性の測定結果を示す。ただし、測定電位は0.8Vである。図6から分かるように、実験1の場合よりさらにNADH量を増やすことで電流値の増大が確認されたが、NADHを6.16μmol添加して電極を作製した際、著しく電流値が減少した。これは、親水性物質であるNADHが固定化膜内部に増えたことで膜全体が親水性になり、燃料溶液(グルコース溶液)に可溶化してしまったためであると考えられる。この結果により、NADHの至適量は、VK3 2.31μmolに対して0.77〜2.31μmolとなり、VK3:NADH=1.0(mol):0.33〜1.0(mol)の量比での固定化によって得られる電流値は大きくなることが分かった。
〈実験4〉
以下のようにして各種の溶液を調製した。緩衝溶液としては、測定溶液22として用いたものと同じものを用いた。
・GDH/DI酵素緩衝溶液((8))
GDHを所要量、DIも所要量秤量し、これら二つの粉末を緩衝溶液1mlに溶解させた。GDHの量は13.8mg、27.6mg、55.2mg、110.4mgの4水準に変えた。また、DIの量も40mg、80mg、160mg、320mgの4水準に変えた。
・NADH補酵素緩衝溶液((7))
実験3と同様であるが、濃度を80mg/mlとした。
・VK3アセトン溶液((5))
実験2と同様に、VK3を溶解させる溶媒としてエタノールの代わりにアセトンを用いたが、濃度を50mg/mlとした。
PLL水溶液((2))およびPAAcNa水溶液((4))は実験1と同様に調製した。
上記のようにして調製した各種の溶液を下記に示す量だけ、下記の順序で、それぞれマイクロピペッターなどでグラッシーカーボンディスク電極(BAS製、002012、3mmφ、0.071cm2 )表面上に滴下・混合した後、適宜室温もしくは40℃以下で乾燥を行い、酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極を作製した。
GDH/DI酵素緩衝溶液((8)):8μl
NADH補酵素緩衝溶液((7)):2μl
PLL水溶液((2)):10μl
VK3アセトン溶液((5)):4μl
PAAcNa水溶液((4)):4μl
上記の5種類の溶液の混合溶液においては、GDHは4水準の量に対して4.2U、8.4U、16.8U、33.6U、DIは4水準の量に対して20U、40U、80U、160U、NADHは1.54μmol、PLL(M=39000)は2.56fmol、VK3は2.31μmol、PAAc(M=8000)は0.50fmol含まれる。
図7は、測定溶液22にグルコースを400mMの濃度に加えたときの電気化学測定により得られる電流値に対する酵素(GDH、DI)の量的依存性の測定結果を示す。ただし、DIの量はGDHの量の4.76倍である。測定電位は0.8Vである。図7から分かるように、GDHの量が実験1の場合の量(GDH:4.2U、DI:20U)の2倍量まで電流値は増加するが、それ以上になると逆に電流値は減少してしまう。これは、実験3と同様に親水性である酵素の固定化膜内部に占める割合が増え、燃料溶液(グルコース溶液)に膜成分が可溶化してしまったためであると考えられる。
この結果より、GDH/DIの至適量はVK3 2.31μmolに対してGDH:DI=4.2〜8.4(U):20〜40(U)となり、VK3:NADH:GDH:DI=1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の量比での固定化によって、得られる電流値が最大化されることが分かった。
図8は、この実験4における至適範囲の量比のVK3、NADH、GDHおよびDIを用いたサイクリック・ボルタノメトリーの例を示す。図8より、VK3の溶媒にエタノールを用い、VK3の量が0.77μmolである実験1の例(基準例)と比較すると、0.8Vにおける電流値ではそれぞれ12μA、81μAと6.75倍向上した。これは、酵素、補酵素および電子メディエーターの量が最適化されたことで電極11がより多くの電子を受け取ることが可能となり、結果として燃料であるグルコースからの負極1のエネルギー取り出し能力が飛躍的に向上したためであると考えられる。すなわち、バイオ燃料電池の負極1は、この負極1に固定化された酵素、補酵素および電子メディエーターの各成分が効率よく働き、電極11により多くの電子を供与できれば特性は飛躍的に向上するが、電極11に電子を供与するより近い成分側から、すなわち電子メディエーターから順々に固定化の量比を最適化したので、バイオ燃料電池の出力の最大化が達成された。
次に、バイオ燃料電池の具体的な構造例について説明する。
図9AおよびBに示すように、このバイオ燃料電池は、例えばカーボンフェルト(例えば、面積0.25cm2 )に酵素、補酵素および電子メディエータを固定化材で固定化した酵素/補酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる負極1と、例えばカーボンフェルト(例えば、面積0.25cm2 )の上に酵素や電子メディエーターを固定化材で固定化した酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる正極2とが、プロトン伝導体3を介して対向した構成を有している。この場合、正極2の下および負極1の上にそれぞれTi集電体31、32が置かれ、集電を容易に行うことができるようになっている。符号33、34は固定板を示す。これらの固定板33、34はねじ35により相互に締結され、それらの間に、正極2、負極1、プロトン伝導体3およびTi集電体33、34の全体が挟み込まれている。固定板33の一方の面(外側の面)には空気取り込み用の円形の凹部33aが設けられ、この凹部33aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴33bが設けられている。これらの穴33bは正極2への空気の供給路となる。一方、固定板34の一方の面(外側の面)には燃料装填用の円形の凹部34aが設けられ、この凹部34aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴34bが設けられている。これらの穴34bは負極1への燃料の供給路となる。この固定板34の他方の面の周辺部にはスペーサー36が設けられており、固定板33、34をねじ35により相互に締結したときにそれらの間隔が所定の間隔になるようになっている。
図9Bに示すように、Ti集電体31、32の間に負荷37を接続し、固定板34の凹部34aに燃料として例えばグルコース溶液を入れて発電を行う。
次に、この発明の第2の実施形態によるバイオ燃料電池について説明する。
この第2の実施形態によるバイオ燃料電池は、負極1の電極11の材料に、図10に示すような多孔体導電材料を用いることを除いて、第1の実施形態によるバイオ燃料電池と同様な構成を有する。
図10Aはこの多孔体導電材料の構造を模式的に示し、図10Bはこの多孔体導電材料の骨格部の断面図である。図10AおよびBに示すように、この多孔体導電材料は、三次元網目状構造の多孔体材料からなる骨格41と、この骨格41の表面を被覆するカーボン系材料42とからなる。この多孔体導電材料は、カーボン系材料42に囲まれた多数の孔43が網目に相当する三次元網目状構造を有する。この場合、これらの孔43同士は互いに連通している。カーボン系材料42の形態は問わず、繊維状(針状)、粒状などのいずれであってもよい。
多孔体材料からなる骨格41としては、発泡金属あるいは発泡合金、例えば発泡ニッケルが用いられる。この骨格41の多孔率は一般的には85%以上、より一般的には90%以上であり、その孔径は、一般的には例えば10nm〜1mm、より一般的には10nm〜600μm、さらに一般的には1〜600μm、典型的には50〜300μm、より典型的には100〜250μmである。カーボン系材料42としては、例えばケッチェンブラックなどの高導電性のものが好ましいが、カーボンナノチューブやフラーレンなどの機能性カーボン材料を用いてもよい。
この多孔体導電材料の多孔率は一般的には80%以上、より一般的には90%以上であり、孔43の径は、一般的には例えば9nm〜1mm、より一般的には9nm〜600μm、さらに一般的には1〜600μm、典型的には30〜400μm、より典型的には80〜230μmである。
次に、この多孔体導電材料の製造方法について説明する。
図11Aに示すように、まず、発泡金属あるいは発泡合金(例えば、発泡ニッケル)からなる骨格41を用意する。
次に、図11Bに示すように、この発泡金属あるいは発泡合金からなる骨格41の表面にカーボン系材料42をコーティングする。このコーティング方法としては従来公知の方法を用いることができる。一例を挙げると、カーボン粉末や適当な結着剤などを含むエマルションをスプレーにより骨格41の表面に噴射することによりカーボン系材料42をコーティングする。このカーボン系材料42のコーティング厚さは、発泡金属あるいは発泡合金からなる骨格41の多孔率および孔径との兼ね合いで、多孔体導電材料に要求される多孔率および孔径に応じて決められる。このコーティングの際には、カーボン系材料42に囲まれた多数の孔43同士が互いに連通するようにする。
こうして、目的とする多孔体導電材料が製造される。
この第2の実施形態によれば、発泡金属あるいは発泡合金からなる骨格41の表面をカーボン系材料42により被覆した多孔体導電材料は、孔43の径が十分に大きく、粗な三次元網目状構造を有しながら、高強度でしかも高い導電性を有し、必要十分な表面積を得ることもできる。このため、この多孔体導電材料を用いて電極11を形成し、これに酵素、補酵素および電子メディエーターを固定化することで得られる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極からなる負極1は、その上での酵素代謝反応を高効率に行わせることができ、あるいは、電極11の近傍で起こっている酵素反応現象を効率よく電気信号として捉えることが可能であり、しかも使用環境によらずに安定であり、高性能のバイオ燃料電池を実現することが可能である。
次に、この発明の第3の実施形態によるバイオ燃料電池について説明する。
この第3の実施形態によるバイオ燃料電池は、プロトン伝導体3がリン酸緩衝液やトリス緩衝液などの緩衝液を含む電解質層からなり、少なくとも、負極1および正極2に固定化された酵素の周囲の電解質層には緩衝液が0.2M以上2.5M以下、好適には0.2M以上2M以下、より好適には0.4M以上2M以下、さらに好適には0.8M以上1.2M以下の濃度含まれている。こうすることで高い緩衝能を得ることができ、バイオ燃料電池の高出力動作時においても、酵素にとって最適なpH、例えばpH7付近に維持することができるので、酵素本来の能力を十分に発揮することができる。リン酸緩衝液としては、例えばNaH2 PO4 やKH2 PO4 が用いられる。
上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
以上のように、この第3の実施形態によれば、プロトン伝導体3を構成する電解質層に含まれる緩衝物質(緩衝液)の濃度が0.2M以上2.5M以下であることにより、十分な緩衝能を得ることができ、このためバイオ燃料電池の高出力動作時においても、正極2および負極1に固定化された酵素の周囲の電解質層のpHを至適pH付近に維持することができ、酵素が本来持っている能力を十分に発揮させることができる。これによって、高出力動作が可能な高性能のバイオ燃料電池を実現することができる。
次に、この発明の第4の実施形態によるバイオ燃料電池について説明する。
このバイオ燃料電池においては、燃料として、多糖類であるデンプンを用いる。また、デンプンを燃料に用いることに伴い、負極11にデンプンをグルコースに分解する分解酵素であるグルコアミラーゼも固定化する。
このバイオ燃料電池においては、負極1側に燃料としてデンプンが供給されると、このデンプンがグルコアミラーゼによりグルコースに加水分解され、さらにこのグルコースがグルコースデヒドロゲナーゼにより分解され、この分解プロセスにおける酸化反応に伴ってNAD+ が還元されてNADHが生成され、このNADHがジアホラーゼにより酸化されて2個の電子とNAD+ とH+ とに分離する。したがって、グルコース1分子につき1段階の酸化反応で2個の電子と2個のH+ とが生成される。2段階の酸化反応では合計4個の電子と4個のH+ とが生成される。こうして発生する電子は負極1の電極11aに渡され、H+ はプロトン伝導体3を通って正極2まで移動する。正極2では、このH+ が、外部から供給された酸素および負極1から外部回路を通って送られた電子と反応してH2 Oを生成する。
上記以外のことは第1の実施形態によるバイオ燃料電池と同様である。
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、デンプンを燃料に用いていることにより、グルコースを燃料に用いる場合に比べて発電量を増加させることができるという利点を得ることができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池の負極の構成の詳細ならびにこの負極に固定化された酵素群の一例およびこの酵素群による電子の受け渡し反応を模式的に示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において負極に用いる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極の単極での電気化学測定に用いた測定系を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において負極に用いる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極の単極での電気化学測定により得られる電流値に対するVK3の量的依存性の測定結果を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において負極に用いる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極の単極での電気化学測定により得られる電流値に対するVK3の量的依存性の測定結果を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において負極に用いる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極の単極での電気化学測定により得られる電流値に対するNADHの量的依存性の測定結果を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において負極に用いる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極の単極での電気化学測定により得られる電流値に対するGDHの量的依存性の測定結果を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において負極に用いる酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極の各成分量を最適化したもののサイクリック・ボルタノメトリーの例を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池の具体的な構成例を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態によるバイオ燃料電池において負極の電極材料に用いる多孔体導電材料の構造を説明するための略線図および断面図である。 この発明の第2の実施形態によるバイオ燃料電池において負極の電極材料に用いる多孔体導電材料の製造方法を説明するための略線図である。
符号の説明
1…負極、2…正極、3…プロトン伝導体、11…電極、31、32…Ti集電体、33、34…固定板、37…負荷、41…骨格、42…カーボン系材料、43…孔

Claims (21)

  1. 正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素およびナフトキノン骨格を有する化合物を含む電子メディエーターが固定化されている燃料電池の製造方法であって、
    上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記負極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
    ことを特徴とする燃料電池の製造方法。
  2. 上記ナフトキノン骨格を有する化合物が2−メチル−1,4−ナフトキノンであることを特徴とする請求項1記載の燃料電池の製造方法。
  3. 上記酵素が、上記負極に固定化された、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池の製造方法。
  4. 上記酵素が、上記単糖類の酸化に伴って還元された補酵素を酸化体に戻すとともに上記電子メディエータを介して電子を上記負極に渡す補酵素酸化酵素を含むことを特徴とする請求項3記載の燃料電池の製造方法。
  5. 上記補酵素の酸化体がNAD+ であり、上記補酵素酸化酵素がNADHデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項4記載の燃料電池の製造方法。
  6. 上記酸化酵素がグルコースデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項3記載の燃料電池の製造方法。
  7. 上記酵素が、上記負極に固定化された、多糖類の分解を促進し単糖類を生成する分解酵素および生成した単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池の製造方法。
  8. 上記分解酵素がグルコアミラーゼ、上記酸化酵素がグルコースデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項7記載の燃料電池の製造方法。
  9. 上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼを、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池の製造方法。
  10. 正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
    上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されている
    ことを特徴とする燃料電池。
  11. 酵素およびナフトキノン骨格を有する化合物を含む電子メディエーターが固定化された燃料電池用負極の製造方法であって、
    上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記負極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
    ことを特徴とする燃料電池用負極の製造方法。
  12. 酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化された燃料電池用負極であって、
    上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されている
    ことを特徴とする燃料電池用負極。
  13. 一つまたは複数の燃料電池を用いる電子機器において、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
    上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されているものである
    ことを特徴とする電子機器。
  14. 一つまたは複数の燃料電池を用いる移動体において、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
    上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されているものである
    ことを特徴とする移動体。
  15. 一つまたは複数の燃料電池を用いる発電システムにおいて、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
    上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されているものである
    ことを特徴とする発電システム。
  16. 一つまたは複数の燃料電池を用いるコージェネレーションシステムにおいて、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記負極に酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化されている燃料電池であって、
    上記負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されているものである
    ことを特徴とするコージェネレーションシステム。
  17. 酵素およびナフトキノン骨格を有する化合物を含む電子メディエーターが固定化された電極を有する酵素反応利用装置の製造方法であって、
    上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記電極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
    ことを特徴とする酵素反応利用装置の製造方法。
  18. 酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化された電極を有する酵素反応利用装置であって、
    上記電極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されている
    ことを特徴とする酵素反応利用装置。
  19. 酵素およびナフトキノン骨格を有する化合物を含む電子メディエーターが固定化された酵素反応利用装置用電極の製造方法であって、
    上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記電極に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
    ことを特徴とする酵素反応利用装置用電極の製造方法。
  20. 酵素、補酵素および電子メディエーターが固定化された酵素反応利用装置用電極であって、
    電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン、補酵素としてのNADH、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼが、1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化されている
    ことを特徴とする酵素反応利用装置用電極。
  21. 酵素が固定化された基体にナフトキノン骨格を有する化合物を固定化するようにした固定化方法であって、
    上記ナフトキノン骨格を有する化合物を上記基体に固定化する際に用いる溶媒としてアセトンを用いる
    ことを特徴とする固定化方法。
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