以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(ディスクドライブの全体的な構成および動作)
図1は、本発明のディスクドライブの実施形態を示している。図1中のディスクドライブ10は、例えばDVD、CD、ブルーレイディスクなどの記録ディスクに対し、情報の読み取りまたは記録を行う装置である。ディスクドライブ10は、記録ディスクを着脱することができるタイプであり、また、記録ディスクの着脱方式についてスロットイン方式を採用している。
ディスクドライブ10は、互いに直径の異なる複数種類の記録ディスクに対して情報の読み取りまたは記録を行うことができる。例えば、直径が8cmの記録ディスク1(図2参照)と直径が12cmの記録ディスク2(図7参照)との双方に対して情報の読み取りまたは記録を行うことができる。
図1に示すように、ディスクドライブ10の外殻は、シャーシ11およびフロントカバー12により構成されている。
シャーシ11は例えば金属材料により形成され、底板を有し、必要に応じて側板、天井板を有している。
フロントカバー12は例えば樹脂材料により形成されている。フロントカバー12にはディスクスロット13が形成されている。ディスクスロット13は、記録ディスクのローディングおよびイジェクトを行うときに記録ディスクを通過させる溝である。
なお、以下の説明では、図1中の矢示X方向を左右方向といい、矢示Y方向を前後方向といい、矢示Z方向を上下方向という。
図2は、ディスクドライブ10の内部を示している。図2に示すように、ディスクドライブ10は、一対のローディングアーム21、21、ラックプレート31、セレクトプレート37、イジェクトアーム41、トリガープレート46、第1シフトバー51、第2シフトバー55、トラバースメカ61、モーター65、ピニオン66、スイッチユニット69および制御回路75などを備えている。
ローディングアーム21、21は、ディスクドライブ10前側のディスクスロット13近傍の位置に左右対称に配置されている。各ローディングアーム21は、支軸22を介してシャーシ11上に回動可能に支持されている。各ローディングアーム21は例えば樹脂材料または金属材料により形成されている。
各ローディングアーム21の先端部上面にはローラー23が回転可能に取り付けられている。ローラー23はモーター65により回転する。左側のローラー23は記録ディスクの左側周縁と接触する。右側のローラー23は記録ディスクの右側周縁と接触する。
ローディングアーム21、21は、ローラー23、23を介して記録ディスクを狭持し、記録ディスクの搬送を行う。ローディングアーム21、21は、記録ディスクの前進または後退に従って回動し、これによりローディングアーム21、21の先端側が開閉する。
各ローディングアーム21の軸部下面にはギア24が固定されている。左側のギア24はピニオン25を介してラックプレート31の左側のラック部31Aに噛み合っている。右側のギア24はラックプレート31の右側のラック部31Bに直接噛み合っている。これらのギア24、ピニオン25およびラック部31A、31Bは、各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の左右方向の移動に変換する。具体的には、各ローディングアーム21が開くときの各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の左方向の移動に変換し、各ローディングアーム21が閉じるときの各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の右方向の移動に変換する。
ラックプレート31は、ディスクドライブ10前側のディスクスロット13近傍に位置し、シャーシ11とローディングアーム21、21との間に配置されている。ラックプレート31は、シャーシ11に左右方向に移動可能に支持されている。ラックプレート31は例えば金属材料により形成されている。ラックプレート31には一対のラック部31A、31Bが形成されている。
また、ラックプレート31の右側後部にはスイッチングエッジ32が形成されている。スイッチングエッジ32は左右方向に直線状に伸張している。ラックプレート31の左右方向の移動によりスイッチングエッジ32が左右方向に移動すると、スイッチングエッジ32と第1スイッチ71の切り替えレバーとの接触の有無が変わり、これにより第1スイッチ71のオン、オフが切り替わる。また、ラックプレート31の左右方向の移動によりスイッチングエッジ32が左右方向に移動すると、スイッチングエッジ32と第2スイッチ72の切り替えレバーとの接触の有無が変わり、これにより第2スイッチ72のオン、オフが切り替わる。
また、ラックプレート31の左側後部にはセレクトカム溝33が形成されている。セレクトカム溝33内にはセレクトプレート37のセレクトピン38が挿入されている。また、ラックプレート31の左側後部には2個の退避制御溝、すなわち第1退避制御溝34および第2退避制御溝35が形成されている。ラックプレート31が左方向に移動し、かつ第1シフトバー51が前方向に移動したときに、第1シフトバー51の退避制御ピン53が退避制御溝34、35のいずれかに進入する。
セレクトプレート37は、ディスクドライブ10左側に配置されている。セレクトプレート37は、シャーシ11に固定されたモーターブランケット(図示せず)に前後方向に移動可能に支持されている。これにより、セレクトプレート37はシャーシ11に対し前後方向に移動可能である。セレクトプレート37は例えば金属材料により形成されている。ディスクドライブ10の左側には、いくつかの部材が上下方向に重なり合っている。セレクトプレート37は、概ね、ラックプレート31、トリガープレート46および第2シフトバー55の下方に位置し、ピニオン66の上方に位置する。
セレクトプレート37の前側上面にはセレクトピン38が設けられている。セレクトピン38の一端側は上向きに伸び、ラックプレート31のセレクトカム溝33に挿入され、他端側はセレクトプレート37に固定されている。セレクトピン38およびセレクトカム溝33は、ラックプレート31の左右方向の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換する。具体的には、セレクトピン38およびセレクトカム溝33は、ラックプレート31の左方向の移動をセレクトプレート37の後ろ方向の移動に変換し、ラックプレート31の右方向の移動をセレクトプレート37の前方向の移動に変換する。
また、セレクトプレート37の後ろ側上面には、イジェクトアーム41の回動を規制するストッパー39が設けられている。ストッパー39の上端側は上向きに伸び、下端側はセレクトプレート37に形成された貫通溝91(図13または図15参照)内を通過して、図示しないモーターブランケットに固定されている。
イジェクトアーム41は、ローディング時には一端側が記録ディスクの後ろ側周縁に接触することにより記録ディスクの引き込み完了を検出し、イジェクト時には一端側が記録ディスクの後ろ側周縁を押すことにより記録ディスクを前方向に移動させる。イジェクトアーム41は、セレクトプレート37の後部上面上に回動可能に支持されている。イジェクトアーム41は例えば金属材料または樹脂材料により形成されている。イジェクトアーム41は支軸42を中心に回動する。イジェクトアーム41の支軸42はセレクトプレート37の前後方向の移動に伴って前後方向に移動する。イジェクトアーム41の一端側上面には接触部材43が取り付けられている。接触部材43は記録ディスクの周縁と接触する。
また、イジェクトアーム41の他端側には押動制御部44が形成されている。押動制御部44は、イジェクトアーム41が後ろ方向に回動すると前方向に移動し、トリガープレート46のトリガーピン47を押し、これによりトリガープレート46を前方向に押し動かす。
トリガープレート46は、セレクトプレート37の後部上方に位置し、シャーシ11に固定されたモーターブランケット(図示せず)に前後方向に移動可能に取り付けられている。トリガープレート46は例えば金属材料により形成されている。トリガープレート46は、セレクトプレート37上方でセレクトプレート37に対して前後方向に移動することができる。また、トリガープレート46は、セレクトプレート37に支軸42を介して回動可能に取り付けられたイジェクトアーム41とコイルばね49を介して接続されている。このため、トリガープレート46はセレクトプレート37の前後方向の移動に伴って、イジェクトアーム41といっしょに前後方向に移動する。
トリガープレート46は、セレクトプレート37およびイジェクトアーム41の上方に覆い被さるように配置されている。もっとも、トリガープレート46の前側右縁部に形成されたラック部46Aは、トリガープレート46からセレクトプレート37の右縁近傍を降りてセレクトプレート37の下方に潜り込んでいる。ラック部46Aは、トリガープレート46が前進したときに、セレクトプレート37の下方に配置されたピニオン66と噛み合う。
トリガープレート46の後ろ側下面にはトリガーピン47が設けられている。トリガーピン47の一端側は下向きに伸び、他端側はトリガープレート46の下面に固定されている。トリガーピン47の一端側は、イジェクトアーム41の押動制御部44と接触可能な位置まで伸びている。
また、トリガープレート46の前側右縁部には第1伝達ピン48が設けられている。伝達ピン48の一端側は右方向に伸び、第1シフトバー51の伝達溝51Aに挿入されている。伝達ピン48の他端側はトリガープレート46の右縁部に固定されている。
イジェクトアーム41とトリガープレート46との間にはコイルばね49が取り付けられている。コイルばね49は、イジェクトアーム41の他端側を前方向に引っ張っている。
第1シフトバー51は、シャーシ11上に前後方向に移動可能に支持されている。シフトバー51は例えば樹脂材料により形成され、例えば金属プレートであるラックプレート31やセレクトプレート37よりも肉厚である。
第1シフトバー51の左側側面には伝達溝51Aが形成されている。伝達溝51Aは、前後方向にシャーシの底板に対しほぼ平行に伸張している。伝達溝51Aにはトリガープレート46の伝達ピン48が挿入されている。また、シフトバー51の前側上面には第2伝達ピン52が設けられている。伝達ピン52の一端側は上方に伸び、第2シフトバー55の伝達スロット55Aに挿入されており、他端側はシフトバー51の上面に固定されている。また、第1シフトバー51の前側上面には退避制御ピン53が設けられている。退避制御ピン53の一端側はラックプレート31の退避制御溝34、35と接触可能な位置まで上方に伸び、他端側はシフトバー51の上面に固定されている。退避制御ピン53は、ラックプレート31が左方向に移動し、かつ第1シフトバー51が前方向に移動したときに、ラックプレート31の退避制御溝34、35のいずれかに進入する。退避制御ピン53および退避制御溝34、35は、クランプ時に、ローディングの過程で左方向に移動したラックプレート31をさらに左方向に移動させる。
第2シフトバー55は、シャーシ11上に左右方向に移動可能に支持されている。シフトバー55は例えば樹脂材料により形成され、例えば金属プレートであるラックプレート31やセレクトプレート37よりも肉厚である。
第2シフトバー55の左側端部には伝達スロット55Aが形成されている。伝達スロット55Aには第1シフトバー51の第2伝達ピン52が挿入されている。また、第2シフトバー55の後ろ側側面には昇降溝55Bが形成されている。昇降溝55Bは、シフトバー55の左右方向の移動によりトラバースメカ61を昇降させるためのカム溝であり、右端が低位置にあり、左端が高位置にある。昇降溝55Bにはトラバースメカ61に取り付けられた昇降ピン64が挿入されている。
また、第2シフトバー55の右側端部にはスイッチングスティック56が形成されている。スイッチングスティック56は左右方向に直線状に伸張している。シフトバー55の左右方向の移動によりスイッチングスティック56が左右方向に移動すると、スイッチングスティック56と第3スイッチ73の切り替えレバーとの接触の有無が変わり、これにより第3スイッチ73のオン、オフが切り替わる。
トラバースメカ61には、ターンテーブル62および光ピックアップ63などが設けられている。モーター65は、ピニオン66を回転駆動すると共に、各ローディングアーム21のローラー23を回転駆動する。ピニオン66は、セレクトプレート37の下方に配置されている。上述したようにセレクトプレート37およびトリガープレート46は前後方向に移動するが、ピニオン66の軸は不動である。ピニオン66は、クランプ動作時にモーター65の動力をトリガープレート46に伝達し、第2シフトバー55、第1シフトバー51、トラバースメカ61などを移動させる。
なお、トリガープレート46、第1シフトバー51、第2シフトバー55、昇降ピン64、モーター65、ピニオン66、ターンテーブル62、ターンテーブル62に対向するようにターンテーブル62の上方に設けられたクランパー(図示せず)などによりクランプ機構が構成されている。
スイッチユニット69は、ディスクドライブ10の右側に配置されている。スイッチユニット69はスイッチ基板70、第1スイッチ71、第2スイッチ72、第3スイッチ73および配線を備えている。スイッチ71ないし73および配線は、スイッチ基板70上に設けられている。
各スイッチ71、72、73には切り替えレバーが設けられている。切り替えレバーを押し込むとスイッチがオンになる。切り替えレバーを離すと切り替えレバーが自動的に起きあがり、スイッチがオフになる。第1スイッチ71および第2スイッチ72の切り替えレバーは、ラックプレート31のスイッチングエッジ32が接触することにより押し込まれる。すなわち、第1スイッチ71および第2スイッチ72は、スイッチングエッジ32との接触の有無により、オン、オフが切り替わる。一方、第3スイッチ73の切り替えレバーは、第2シフトバー55のスイッチングスティック56が接触することにより押し込まれる。すなわち、第3スイッチ73は、スイッチングスティック56との接触の有無により、オン、オフが切り替わる。
制御回路75は、スイッチ71ないし73のオン・オフ状態などに基づいて、ローディング時、クランプ時およびイジェクト時におけるモーター65の駆動を制御する。具体的には、制御回路75は、スイッチ71ないし73からそれぞれ出力される出力信号を受け取る。そして、制御回路75は、モーター65を駆動するための駆動信号をモーター65に出力する。
さらに、制御回路75には、ディスク識別回路76が含まれている。ディスク識別回路76は、記録ディスクの位置がクランプ位置であるときの第2スイッチ72のオン・オフ状態を用いて、この記録ディスクの種類を識別する。ディスク識別回路76は、記録ディスクの種類の識別結果を示す識別信号を出力する。この識別信号は制御回路75においてモーター65の駆動制御に用いられる。
直径8cmの記録ディスク1がディスクドライブ10に挿入されたとき、ディスクドライブ10は例えば次のように動作する。
図3に示すように、記録ディスク1がディスクドライブ10に挿入されると、記録ディスク1の周縁が各ローディングアーム21のローラー23に接触し、各ローディングアーム21を後ろ方向に押す。これにより、各ローディングアーム21が開く。各ローディングアーム21が開くと、ギア24、ピニオン25およびラック部31A、31Bの噛合により、ラックプレート31が左方向に移動する。ラックプレート31が移動すると、スイッチングエッジ32が第1スイッチ71の切り替えレバーから離れ、第1スイッチ71がオンからオフに切り替わる。これに応じて制御回路75はモーター65の駆動を開始させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23が回転を始め、ローラー23の回転により記録ディスク1がディスクドライブ10の内部へ引き込まれる。
記録ディスク1が引き込まれ、記録ディスク1が後ろ方向に搬送されるにしたがって、各ローディングアーム21がさらに開き、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。やがて記録ディスク1の後ろ側周縁がイジェクトアーム41の接触部材43に接触し、イジェクトアーム41の一端側を後退させる。イジェクトアーム41の一端側が後退すると、イジェクトアーム41の他端側が前進し、イジェクトアーム41の押動制御部44がトリガーピン47を押し、トリガープレート46を前進させる。
図4に示すように、記録ディスク1がクランプ位置まで搬送され、これによりイジェクトアーム41の一端側が所定の位置まで後退すると、押動制御部44の前進によりトリガープレート46が所定の位置まで前進する。トリガープレート46が所定の位置まで前進すると、トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合う。ピニオン66は、モーター65が駆動している間は常に回転している。トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合うと、ピニオン66の回転により、トリガープレート46がさらに前進する。すなわち、トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合った瞬間、トリガープレート46を前進させる動力源が、押動制御部44の押圧力からピニオン66の回転に切り替わる。
図5に示すように、トリガープレート46が前進し、トリガープレート46の伝達ピン48が第1シフトバー51の伝達溝51A中のストッパー(例えば伝達溝51A前端内壁)に当たると、第1シフトバー51も前進する。第1シフトバー51が前進すると、第1シフトバー51の伝達ピン52により第2シフトバー55が右方向に移動する。第2シフトバー55が右方向に移動すると、スイッチングスティック56も右方向に移動する。これにより、スイッチングスティック56の右端が第3スイッチ73の切り替えレバーに接触し、第3スイッチ73がオフからオンに切り替わる。第3スイッチ73がオフからオンに切り替わると、制御回路75はモーター65の駆動を停止する。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転およびピニオン66の回転が止まる。
また、第2シフトバー55が右方向に移動すると、第2シフトバー55の昇降溝55Bに挿入された昇降ピン64が持ち上がり、これに伴ってトラバースメカ61が上昇する。これにより、記録ディスク1がターンテーブル62とターンテーブル62の上方に配置されたクランパー(図示せず)との間にクランプされる。
また、このとき、第1シフトバー51の前進により、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第1退避制御溝34に進入する。そして、退避制御ピン53が第1退避制御溝34の傾斜縁を押すことにより、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。これにより、各ローディングアーム21がさらに開き、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク1の周縁から離れ、各ローディングアーム21のローラー23と記録ディスク1の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
さらに、退避制御ピン53の第1退避制御溝34への進入によりラックプレート31が左方向に移動すると、セレクトプレート37のセレクトピン38がセレクトカム溝33の左右方向中央付近に形成された傾斜溝部の一部によりわずかに後ろ方向に押され、セレクトプレート37が小さく後退する。セレクトプレート37が小さく後退すると、イジェクトアーム41の支軸42も小さく後退する。このとき、イジェクトアーム41の他端側は、トリガープレート46の前進により伸張したコイルばね49により引っ張られている。このため、イジェクトアーム41は反時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が後退し、イジェクトアーム41の接触部材43が記録ディスク1の周縁から離れる。これにより、イジェクトアーム41の接触部材43と記録ディスク1の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
図5に示すように、記録ディスク1のクランプが完了し、イジェクトアーム41および各ローディングアーム21の退避が完了すると、図示しないスピンドルモーター65が駆動を開始し、ターンテーブル62が回転し、記録ディスク1が回転する。そして、光ピックアップ63により記録ディスク1に対し、情報の読み取りまたは記録が行われる。
記録ディスク1に対する情報の読み取りまたは書き込みが終了し、記録ディスク1をイジェクトする旨の指示が与えられたときには、この指示に応じてモーター65が始動する。このときのモーター65の回転方向は、ローディング時とは逆の方向である。そして、ピニオン66が逆回転を始め、これにより、第1シフトバー51およびトリガープレート46が後退する。さらに、第2シフトバー55が左方向に移動し、スイッチングスティック56が左方向に移動し、スイッチングスティック56が第3スイッチ73の切り替えレバーから離れ、第3スイッチ73がオンからオフに切り替わる。さらに、トラバースメカ61が下降する。さらに、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第1退避制御溝34から退出し、ラックプレート31が図示しないばねの力により右方向に移動する。これにより各ローディングアーム21が閉じ、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク1の周縁に接触する。さらに、トリガープレート46の後退により、イジェクトアーム41が時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が前進し、接触部材43が記録ディスク1の周縁に接触する。また、モーター65の回転開始により各ローラー23が逆回転を開始する。
そして、記録ディスク1は、イジェクトアーム41の接触部材43により押され、さらに各ローディングアーム21のローラー23の逆回転により前方向に搬送される。
図6に示すように、記録ディスク1が前方向に搬送されるにしたがって、各ローディングアーム21の先端側が閉じ、ラックプレート31が右方向に移動する。そして、ラックプレート31のスイッチングエッジ32が第1スイッチ71の切り替えレバーに接触し、第1スイッチ71がオフからオンに切り替わる。第1スイッチ71がオフからオンに切り替わると、制御回路75はモーター65の駆動を停止させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転が停止し、記録ディスク1がイジェクト完了位置に停止する。
イジェクト完了位置は、例えば、いずれの記録ディスクにおいても、その表面面積のおよそ5分の3ないし4分の3程度に相当する部分がディスクスロット13から外に露出し、残りの部分がディスクドライブ10内に留まるような位置であることが望ましい。これにより、イジェクト時に、記録ディスクがディスクスロット13から外へ脱落するのを防止することができ、かつ、ユーザーがイジェクトされた記録ディスクを手で取り出しやすくすることができる。
その後、イジェクト完了位置に停止している記録ディスク1をユーザーがディスクドライブ10内に再び押し込むと、これにより各ローディングアーム21が開き、ラックプレート31が左方向に移動し、第1スイッチ71がオンからオフに切り替わり、モーター65の駆動が開始される。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転が始まり、記録ディスク1がディスクドライブ10内に再び引き込まれる。
直径12cmの記録ディスク2がディスクドライブ10に挿入されたとき、ディスクドライブ10は例えば次のように動作する。
図7に示すように、記録ディスク2がディスクドライブ10に挿入されると、記録ディスク2の周縁が各ローディングアーム21のローラー23に接触し、各ローディングアーム21を後ろ方向に押す。これにより各ローディングアーム21が開く。各ローディングアーム21が開くと、ギア24、ピニオン25およびラック部31A、31Bの噛合により、ラックプレート31が左方向に移動する。ラックプレート31が移動すると、スイッチングエッジ32が第1スイッチ71の切り替えレバーから離れ、第1スイッチ71がオンからオフに切り替わる。これにより、制御回路75はモーター65の駆動を開始させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23が回転を始め、ローラー23の回転により記録ディスク2がディスクドライブ10の内部へ引き込まれる。
図8に示すように、記録ディスク2が引き込まれ、記録ディスク2が後ろ方向に搬送されるにしたがって、ローディングアーム21がさらに開き、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。そして、スイッチングエッジ32が第2スイッチ72の切り替えレバーから離れ、第2スイッチ72がオンからオフに切り替わる。制御回路75は、このときの第2スイッチ72の切り替わりにより動作を変更せず、それゆえ、モーター65は回転を続け、記録ディスク2の搬送が続く。
直径12cmの記録ディスク2が搬送されるときのローディングアーム21、21の開きは、直径8cmの記録ディスク1が搬送されるときのローディングアーム21、21の開きよりも大きい。この結果、直径12cmの記録ディスク2が搬送されるときのラックプレート31の移動量は、直径8cmの記録ディスク1が搬送されるときのラックプレート31の移動量よりも大きい。このようにラックプレート31が左方向に大きく移動すると、ラックプレート31のセレクトカム溝33に挿入されているセレクトピン38が、セレクトカム溝33の左右方向中央付近に形成された傾斜溝部の全部により後ろ方向に大きく押され、セレクトプレート37が大きく後退する。これにより、イジェクトアーム41の支軸42が大きく後退し、トリガープレート46も大きく後退する。
記録ディスク2の搬送が続くと、やがて記録ディスク2の後ろ側周縁がイジェクトアーム41の接触部材43に接触し、イジェクトアーム41の一端側を後退させる。イジェクトアーム41の一端側が後退すると、イジェクトアーム41の他端側が前進し、イジェクトアーム41の押動制御部44がトリガーピン47を押し、トリガープレート46を前進させる。
図9に示すように、記録ディスク2がクランプ位置まで搬送され、これによりイジェクトアーム41の一端側が所定の位置まで後退すると、押動制御部44の前進によりトリガープレート46が所定の位置まで前進する。トリガープレート46が所定の位置まで前進すると、トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合う。トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合うと、ピニオン66の回転により、トリガープレート46がさらに前進する。
図10に示すように、トリガープレート46が前進し、トリガープレート46の伝達ピン48が例えば第1シフトバー51の伝達溝51Aの前端内壁に当たると、第1シフトバー51も前進する。第1シフトバー51が前進すると、第1シフトバー51の伝達ピン52により第2シフトバー55が右方向に移動する。第2シフトバー55が右方向に移動すると、スイッチングスティック56も右方向に移動する。これにより、スイッチングスティック56の右端が第3スイッチ73の切り替えレバーに接触し、第3スイッチ73がオフからオンに切り替わる。第3スイッチ73がオフからオンに切り替わると、制御回路75はモーター65の駆動を停止する。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転およびピニオン66の回転が止まる。
また、第2シフトバー55が右方向に移動すると、第2シフトバー55の昇降溝55Bに挿入された昇降ピン64が持ち上がり、これに伴ってトラバースメカ61が上昇する。これにより、記録ディスク2がターンテーブル62とターンテーブル62の上方に配置されたクランパー(図示せず)との間にクランプされる。
また、このとき、第1シフトバー51の前進により、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第2退避制御溝35に進入する。そして、退避制御ピン53が第2退避制御溝35の傾斜縁を押すことにより、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。これにより、各ローディングアーム21がさらに開き、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク2の周縁から離れ、各ローディングアーム21のローラー23と記録ディスク2の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
さらに、退避制御ピン53の第2退避制御溝35への進入によりラックプレート31が左方向に移動すると、セレクトプレート37のセレクトピン38が、セレクトカム溝33の右端部に形成された溝部により後ろ方向にわずかに押され、セレクトプレート37が小さく後退する。セレクトプレート37が小さく後退すると、イジェクトアーム41の支軸42も小さく後退する。このとき、イジェクトアーム41の他端側は、トリガープレート46の前進により伸張したコイルばね49により引っ張られている。このため、イジェクトアーム41は反時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が後退し、イジェクトアーム41の接触部材43が記録ディスク2の周縁から離れる。これにより、イジェクトアーム41の接触部材43と記録ディスク2の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
図10に示すように、記録ディスク2のクランプが完了し、イジェクトアーム41および各ローディングアーム21の退避が完了すると、図示しないスピンドルモーター65が駆動を開始し、ターンテーブル62が回転し、記録ディスク2が回転する。そして、光ピックアップ63により記録ディスク2に対し、情報の読み取りまたは記録が行われる。
記録ディスク2に対する情報の読み取りまたは書き込みが終了し、記録ディスク2をイジェクトする旨の指示が与えられたときには、この指示に応じてモーター65が始動する。このときのモーター65の回転方向は、ローディング時とは逆の方向である。そして、ピニオン66が逆回転を始め、これにより、第1シフトバー51およびトリガープレート46が後退する。さらに、第2シフトバー55が左方向に移動し、スイッチングスティック56が左方向に移動し、スイッチングスティック56が第3スイッチ73の切り替えレバーから離れ、第3スイッチ73がオンからオフに切り替わる。さらに、トラバースメカ61が下降する。さらに、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第2退避制御溝35から退出し、ラックプレート31が図示しないばねの力により右方向に移動する。これにより各ローディングアーム21が閉じ、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク2の周縁に接触する。さらに、トリガープレート46の後退により、イジェクトアーム41が時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が前進し、接触部材43が記録ディスク2の周縁に接触する。また、モーター65の回転開始により各ローラー23が逆回転を開始する。
そして、記録ディスク2は、イジェクトアーム41による押され、さらに各ローディングアーム21のローラー23の逆回転により前方向に搬送される。
図11に示すように、記録ディスク2が前方向に搬送されるにしたがって、各ローディングアーム21の先端側が閉じ、ラックプレート31が右方向に移動する。そして、ラックプレート31のスイッチングエッジ32が第2スイッチ72の切り替えレバーに接触し、第2スイッチ72がオフからオンに切り替わる。第2スイッチ72がオフからオンに切り替わると、制御回路75はモーター65の駆動を停止させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転が停止し、記録ディスク2がイジェクト完了位置に停止する。
その後、イジェクト完了位置に停止している記録ディスク2をユーザーがディスクドライブ10内に再び押し込むと、これにより各ローディングアーム21が開き、ラックプレート31が左方向に移動し、第2スイッチ72がオンからオフに切り替わり、モーター65の駆動が開始される。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転により、記録ディスク2がディスクドライブ10内に再び引き込まれる。
(クランプ時のアーム退避)
図12および図13は、直径8cmの記録ディスク1のクランプ時における第1シフトバー51、ラックプレート31、セレクトプレート37およびイジェクトアーム41の動作を拡大して示している。図14および図15は、直径12cmの記録ディスク2のクランプ時における第1シフトバー51、ラックプレート31、セレクトプレート37およびイジェクトアーム41の動作を拡大して示している。以下、図12ないし図15を参照しながら、クランプ時において各ローディングアーム21およびイジェクトアーム41を記録ディスクの周縁から離す(退避させる)ための構造および動作について説明する。
図12に示すように、ラックプレート31の左側後部に形成された退避制御溝34、35は、傾斜縁34A、35Aをそれぞれ有している。各傾斜縁34A、35Aには、第1シフトバー51が前方向に移動し、退避制御ピン53が傾斜縁34Aまたは35Aに接触し、退避制御ピン53が傾斜縁34Aまたは35Aを押したときに、ラックプレート31が左方向に移動するように傾斜角度が設定されている。
傾斜縁34Aは直径8cmの記録ディスク1に対応している。傾斜縁34Aの配置は、記録ディスク1が引き込み完了位置(クランプ位置)に到達したときのラックプレート31の左右方向における位置、退避制御ピン53の位置、退避制御ピン53の前進量、各ローディングアーム21と記録ディスク1の周縁との間およびイジェクトアーム41と記録ディスク1の周縁との間に適切なクリアランスを確保するのに必要なラックプレート31の移動量などを考慮して決定される。
傾斜縁35Aは直径12cmの記録ディスク2に対応している。傾斜縁35Aの配置は、記録ディスク2が引き込み完了位置(クランプ位置)に到達したときのラックプレート31の左右方向における位置、退避制御ピン53の位置、退避制御ピン53の前進量、各ローディングアーム21と記録ディスク2の周縁との間およびイジェクトアーム41と記録ディスク2の周縁との間に適切なクリアランスを確保するのに必要なラックプレート31の移動量などを考慮して決定される。
一方、ラックプレート31の左側後部に形成されたセレクトカム溝33は、前後方向においてそれぞれ位置が異なる4個の溝部33A、33B、33C、33Dを有している。これらの溝部のうち、溝部33Aは最も前側に配置されている。溝部33Bは溝部33Aよりも後ろ側に配置されており、溝部33Cは溝部33Bよりも後ろ側に配置されている。溝部33Dは最も後ろ側に配置されている。
直径8cmの記録ディスク1のクランプ時において、第1シフトバー51、ラックプレート31、セレクトプレート37およびイジェクトアーム41は例えば次のように動作する。すなわち、ピニオン66、トリガープレート46の伝達ピン48および第1シフトバー51の伝達溝51Aを通じて伝達される動力により、第1シフトバー51が前進する。そして、図12上段に示すように、第1シフトバー51の退避制御ピン53が退避制御溝34の傾斜縁34Aに接触する。
そして、図12下段に示すように、第1シフトバー51の前進によって、退避制御ピン53は、前方向に距離D1移動し、退避制御溝34の内部に進入する。退避制御ピン53が退避制御溝34の内部に進入するまでの間、退避制御ピン53が傾斜縁34Aを押す。これにより、ラックプレート31が左方向に距離D2移動する。ラックプレート31が左方向に距離D2移動すると、この移動がラック部31A、31B、ピニオン25およびギア24により各ローディングアーム21の回動に変換され、各ローディングアーム21が開く。この結果、図5に示すように、ローディングアーム21、21のローラー23、23が記録ディスク1の左側周縁および右側周縁からそれぞれ離れる。そして、左側のローラー23と記録ディスク1の左側周縁との間、および右側のローラー23と記録ディスク1の右側周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
また、ラックプレート31の左方向の移動により、セレクトプレート37のセレクトピン38がセレクトカム溝33の溝部33A内から溝部33B内へ移動する。これにより、セレクトピン38が溝部33B内の縁部により押され、セレクトプレート37が後ろ方向に距離D3移動する。
セレクトプレート37が後ろ方向に移動すると、図13に示すように、イジェクトアーム41の支軸42が距離D3後退する。このとき、イジェクトアーム41の他端側はコイルばね49により前方向に引っ張られているので、イジェクトアーム41は、反時計回りに回動する。もっとも、このときのイジェクトアーム41の回動角度は、ストッパー39により規制される。すなわち、このときイジェクトアーム41が回動するのは、イジェクトアームの他端側が、ストッパー39に接するまでである。なお、ストッパー39は、上端側が上向きに伸び、下端側がセレクトプレート37に形成された貫通溝91を介して、図示しないモーターブランケットに固定されている。このため、セレクトプレート37と共にイジェクトアーム41の支軸42がシャーシ11に対して前後方向に移動しても、ストッパー39はシャーシ11に対して不動である。
これにより、イジェクトアーム41の一端側が距離D4後退し、この結果、イジェクトアーム41の一端側に設けられた接触部材43が記録ディスク1の後ろ側周縁から離れ、接触部材43と記録ディスク1の後ろ側周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
直径12cmの記録ディスク2のクランプ時において、第1シフトバー51、ラックプレート31、セレクトプレート37およびイジェクトアーム41は例えば次のように動作する。すなわち、図14上段に示すように、第1シフトバー51が前進し、第1シフトバー51の退避制御ピン53が退避制御溝35の傾斜縁35Aに接触する。
なお、直径8cmの記録ディスク1のクランプ時においては、各ローディングアーム21の開きが比較的小さく、それゆえラックプレート31の左方向の移動量も比較的小さい。この結果、クランプ時における退避制御溝34の左右方向における位置が、退避制御ピン53の左右方向における位置と一致する。一方、直径12cmの記録ディスク2のクランプ時においては、各ローディングアーム21の開きが比較的大きく、それゆえラックプレート31の左方向の移動量も比較的大きい。この結果、クランプ時における退避制御溝35の左右方向における位置が退避制御ピン53の左右方向における位置と一致する。
退避制御ピン53が退避制御溝35の傾斜縁35Aに接触した後、図14下段に示すように、第1シフトバー51の前進によって、退避制御ピン53は、前方向に距離D5移動し、退避制御溝35の内部に進入する。退避制御ピン53が退避制御溝35の内部に進入するまでの間、退避制御ピン53が傾斜縁35Aを押す。これにより、ラックプレート31が左方向に距離D6移動する。ラックプレート31が左方向に距離D6移動すると、この移動がラック部31A、31B、ピニオン25およびギア24により各ローディングアーム21の回動に変換され、各ローディングアーム21が開く。この結果、図10に示すように、ローディングアーム21、21のローラー23、23が記録ディスク2の左側周縁および右側周縁からそれぞれ離れる。そして、左側のローラー23と記録ディスク2の左側周縁との間、および右側のローラー23と記録ディスク2の右側周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
また、ラックプレート31の左方向の移動により、セレクトプレート37のセレクトピン38がセレクトカム溝33の溝部33C内から溝部33D内へ移動する。すなわち、図9に示すように、記録ディスク2の引き込みが完了したときには、各ローディングアーム21は、記録ディスク1の引き込みが完了したときと比較して、大きく開いており、それゆえラックプレート31が大きく左方向に移動している。この結果、セレクトピン38はセレクトカム溝33の溝部33C内に位置している。そして、記録ディスク2の引き込み完了からクランプに移行するとき、図14下段に示すように、ラックプレート31がさらに左方向に移動し、この結果、セレクトピン38がセレクトカム溝33の溝部33C内から溝部33D内へ移動する。これにより、セレクトピン38が押され、セレクトプレート37が後ろ方向に距離D7移動する。
セレクトプレート37が後ろ方向に移動すると、図15に示すように、イジェクトアーム41の支軸42が距離D7後退し、イジェクトアーム41の他端側がコイルばね49により引っ張られ、イジェクトアーム41の他端側がストッパー39に接するまでイジェクトアーム41が反時計回りに回動する。なお、上述したようにストッパー39の下端側は、図示しないモーターブランケットに固定されている。このため、イジェクトアームの一端側(接触部材43)の後退幅D8は、セレクトプレート37の後退幅D7よりも大きく、記録ディスク周辺に十分なクリアランスを与えることができる。
これにより、イジェクトアーム41の一端側が距離D8後退し、この結果、イジェクトアーム41の接触部材43が記録ディスク2の後ろ側周縁から離れ、接触部材43と記録ディスク2の後ろ側周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
以上説明したとおり、ディスクドライブ10によれば、各ローディングアーム21を記録ディスクの周縁から離す動作と、イジェクトアーム41を記録ディスクの周縁から離す動作との双方を、ラックプレート31の左方向の移動といった単一でかつ単純な動作に基づいて実現している。これにより、各ローディングアーム21を記録ディスクの周縁から離す動作と、イジェクトアーム41を記録ディスクの周縁から離す動作とを同期させ、これらの動作を同一のタイミングで迅速に実現することができると共に、これを簡単な構造で実現することができる。
(退避制御ピンの動作遅延)
上述したディスクドライブ10の退避制御ピン53は、第1シフトバー51の前側上面に固定されている場合を例にあげた。しかし、本発明はこれに限られない。以下に述べるように、退避制御ピンを第1シフトバーの前後方向に所定距離移動動可能に取り付けてもよい。
すなわち、図16上側に示すように、第1シフトバー92の前部には、収容部93が設けられている。収容部93は例えば、第1シフトバー92の上面から下方向に向けて凹状に形成された溝である。
収容部93の内部には、フォローマウント94およびコイルばね95が設けられている。フォローマウント94は、収容部93内で前後方向に所定距離D11移動可能である。コイルばね95は、フォローマウント94を前方向に押すように力を与えている。
フォローマウント94上には、退避制御ピン96が設けられている。退避制御ピン96の一端側はラックプレート31の退避制御溝34、35と接触可能な位置まで上方に伸び、他端側はフォローマウント94の上面に固定されている。これにより、退避制御ピン96は、フォローマウント94と一体となって前後方向に所定距離D11移動することができる。
例えば記録ディスク2が引き込み完了位置(クランプ位置)まで搬送され、クランプ動作およびアーム退避動作が開始され、これらの動作の中でトリガープレート46および第1シフトバー92が前進すると、フォローマウント94、コイルばね95および退避制御ピン96などは例えば次のように動作する。
図16上側に示すように、第1シフトバー92が前進すると、退避制御ピン96がラックプレート31の退避制御溝35に進入し、退避制御溝35の傾斜縁35Aに接する。
さらに、第1シフトバー92が前進すると、図16中央に示すように、退避制御ピン96が傾斜縁35Aに押される。これにより、退避制御ピン96およびフォローマウント94がコイルばね95の付勢力に抗して、第1シフトバー92に対して所定距離D11後退する。この結果、第1シフトバー92は前進するものの、退避制御ピン96は傾斜縁35Aに接した状態でしばらくの間停止している。なお、このとき、コイルばね95の付勢力は弱く、傾斜縁35Aを押してラックプレート31を左方向に押し動かす力は生じない。
退避制御ピン96およびフォローマウント94が第1シフトバー92に対して所定距離D11後退すると、フォローマウント94が収容部93内でもはや後退することができない状態になる。この状態からさらに第1シフトバー92が前進すると、第1シフトバー92の前進より生じる前方向の力が退避制御ピン96を介して傾斜縁35Aに加わり、この力が傾斜縁35Aを押し、ラックプレート31を左方向に押し動かす。そして、図16下側に示すように、退避制御ピン96は、退避制御溝35の奥に進入する。
ラックプレート31の左方向の移動により、各ローディングアーム21が図9に示す状態からさらに開く。これにより、図10に示すように、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク2の周縁から離れ、各ローディングアーム21のローラー23と記録ディスク2の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
また、図16下側に示すように、ラックプレート31の左方向の移動により、セレクトプレート37のセレクトピン38がセレクトカム溝33の溝部33C内から溝部33D内へ移動する。これにより、セレクトピン38が押され、セレクトプレート37が後ろ方向に移動する。セレクトプレート37が後ろ方向に移動すると、図15に示すように、イジェクトアーム41の支軸42が後退し、イジェクトアーム41の他端側がコイルばね49により引っ張られ、イジェクトアーム41の他端側がストッパー39に接するまでイジェクトアーム41が反時計回りに回動する。これにより、イジェクトアーム41の一端側が後退し、この結果、イジェクトアーム41の接触部材43が記録ディスク2の後ろ側周縁から離れ、接触部材43と記録ディスク2の後ろ側周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
さて、記録ディスク2のクランプ動作およびアーム退避動作が完了し、さらに記録ディスク2に対する情報の読み取りまたは書き込みも終了し、記録ディスク2をイジェクトする旨の指示が与えられたとき、クランプ解除動作およびイジェクト動作が開始される。これらの動作の中で第1シフトバー92およびトリガープレート46が後退すると、フォローマウント94、コイルばね95および退避制御ピン96などは例えば次のように動作する。
図16下側に示すように、アーム退避動作完了時に退避制御ピン96が退避制御溝35の奥に進入している状態から、まず、図17上側に示すように、第1シフトバー92が後退する。すなわち、第1シフトバー92が後退すると、コイルばね95が伸張(復帰)し、コイルばね95の前方向の力により、フォローマウント94および退避制御ピン96が第1シフトバー92に対して前方向に移動する。この結果、第1シフトバー92は後退するものの、退避制御ピン96は退避制御溝35内の奥に進入した状態でしばらくの間停止している。
退避制御ピン96が退避制御溝35内の奥で停止している間、第1シフトバー92の後退により、トリガープレート46が後退する。これにより、イジェクトアーム41とトリガープレート46との間のコイルばね49が収縮(復帰)し、イジェクトアーム41が時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が前進し、接触部材43が記録ディスク2の周縁に接触する。なお、このとき、退避制御ピン96は退避制御溝35内の奥で停止しているので、ラックプレート31は動いておらず、各ローディングアーム21のローラー23は記録ディスク2の周縁から離れた状態を維持している。
続いて、第1シフトバー92がさらに後退し、フォローマウント94および退避制御ピン96が第1シフトバー92に対して前方向に所定距離D11移動すると、フォローマウント94が収容部93内でもはや前方向に移動することができない状態になる。この状態から第1シフトバー92がさらに後退すると、図17下側に示すように、退避制御ピン96が退避制御溝35から退出する。これにより、ラックプレート31が図示しないばねの付勢力により右方向に移動する。これにより、各ローディングアーム21が閉じ、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク2の周縁に接触する。
このように、退避制御ピン96を第1シフトバー92の前後方向に所定距離D11移動動可能に取り付ける構成によれば、クランプ解除動作ないしイジェクト動作の開始時において、第1シフトバー92およびトリガープレート46の後退を開始させつつも、しばらくの間、退避制御ピン96を退避制御溝35内に留まらせておくことができる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク2の周縁に接触する前に、イジェクトアーム41の接触部材43を記録ディスク2の周縁に接触させることができる。つまり、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク2の周縁に接触するのを適切な時間だけ遅延させることができる。
これにより、イジェクト時において、記録ディスク2をイジェクトアーム41の接触部材43と各ローディングアーム21のローラー23との3点で確実に支持することができ、イジェクト時における記録ディスク2の搬送姿勢を一定の状態に保つことができ、搬送の安定性を高めることができる。
また、イジェクトアーム41の接触部材43と各ローディングアーム21のローラー23とを記録ディスク2に確実に接触させることができるので、接触不良などにより生じる異音をなくすことができる。
また、退避制御ピン96を第1シフトバー92に対して前後方向に移動可能としたので、ラックプレート31の退避制御溝35を短くすることができる。
なお、以上の退避制御ピンの動作遅延についての説明では、記録ディスク2が挿入されたときに退避制御ピン96が退避制御溝35に対し進入・退出する場合を例にあげたが、記録ディスク1が挿入されたときに退避制御ピン96が退避制御溝34に対し進入・退出する場合も同様である。
また、上述した実施形態では、互いに直径が異なる2種類の記録ディスク1、2を取り扱うディスクドライブを例にあげたが、本発明はこれに限られない。本発明は、互いに直径の異なる3種類以上の記録ディスクを取り扱うディスクドライブにも適用することができる。この場合、ラックプレートには、互いに直径の異なる3種類以上の記録ディスクにそれぞれ対応するように3個以上の退避制御溝を形成する。
また、上述した実施形態では、セレクトカム溝33をラックプレート31に形成し、セレクトピン38をセレクトプレート37に設ける場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。セレクトカム溝をセレクトプレートに形成し、セレクトピンをラックプレートに設けてよい。
また、上述した実施形態では、セレクトカム溝33およびセレクトピン38により、ラックプレート31の左右方向の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換する場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。例えば、ラックプレート31の左右方向の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換する機構を、ラックおよびピニオンにより構成してもよい。
また、上述したディスクドライブ10において、シャーシ11が基板の具体例であり、ラックプレート31が第1移動部材の具体例であり、ギア24、ピニオン25およびラック部31A、31Bが第1動き変換機構の具体例である。また、セレクトプレート37が第2移動部材の具体例であり、セレクトカム溝33およびセレクトピン38が第2動き変換機構の具体例である。また、第1シフトバー51が第3移動部材の具体例であり、ストッパー39が回動規制部材の具体例である。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うディスクドライブもまた本発明の技術思想に含まれる。