本発明は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関や油を燃焼するボイラなどから排出される排気ガス中の粒子状物質を捕集することで、この排気ガスを浄化処理する排気ガス浄化装置に関するものである。
内燃機関などから排出される排気ガス中には、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM:Particulate matter)などの有害物質が含まれており、特に、ディーゼルエンジンでは、燃費性能や耐久性に優れる一方、多量の粒子状物質が排出されることから、環境汚染の面で深刻な問題となっている。従来、排気ガス中に含まれる粒子状物質を除去するものとしては、フィルタ(DPF:diesel particulate filter)や電気集塵機を用いるものが提案されている。
即ち、ディーゼルエンジンの排気通路にフィルタを配設し、排気ガス中の粒子状物質をこのフィルタにより捕集するものであるが、このフィルタは、一般的にガス中からの粒子状物質をその通路を遮断して濾し取るために、捕集した粒子状物質により目詰まりを生じやすく、排気通路の圧力損失が上昇してディーゼルエンジンに悪影響を与えてしまう課題がある。また、電気集塵機は圧力損失を低く維持しながら粒子状物質を捕集するものであるが、この粒子状物質の主成分が電気抵抗の低い未燃カーボンであるため、捕集した粒子状物質が再飛散してしまい、捕集効率が低下してしまう。
そこで、排気ガス中の粒子状物質を効率良く捕集するものとして、例えば、下記特許文献1に記載された排ガス浄化装置が提案されている。この特許文献1に記載された排ガス浄化装置は、フロースルー型の触媒を用い、粒子状物質を帯電させる帯電部と、帯電した粒子状物質を捕集する捕集部とを設けると共に、捕集部に溶融塩型触媒を設け、この捕集部で捕集した粒子状物質を、所定温度以上で溶融する溶融塩型触媒により効率良く酸化燃焼させるものである。
上述した従来の排ガス浄化装置にあっては、帯電部により排気ガス中の粒子状物質を帯電させ、この帯電した粒子状物質をその静電気力により捕集部に捕集し、捕集部で捕集した粒子状物質を所定温度以上で溶融する溶融塩型触媒により効率良く酸化燃焼させている。ところが、この排ガス浄化装置では、フロースルー型の触媒の捕集部の全面にわたって溶融塩型触媒を設け、捕集した粒子状物質を酸化燃焼させており、装置が大型化すると共に、コストが大幅に増加してしまう。また、溶融塩型触媒で粒子状物質を酸化燃焼させるためには、溶融塩型触媒を所定の溶融温度まで上昇させる必要があるが、捕集部及び溶融塩型触媒は排気ガスが流れる流路にあるため、流速の早い排気ガスにより溶融塩型触媒を所定の溶融温度まで上昇させることは困難であり、捕集した粒子状物質を確実に浄化処理することはできない。
本発明はこのような課題を解決するものであり、装置を大型化させることなく、また安価に排気ガス中の粒子状物質を確実に浄化処理することで浄化効率の向上を図った排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための請求項1の発明の排気ガス浄化装置は、入口部及び出口部が設けられたケーシングと、該ケーシング内に排気ガスの流れ方向に沿って配設されて排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極と、前記ケーシング内に排気ガスの流れ方向に沿って前記放電電極に対向して配設されて該放電電極により帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極と、該集塵電極に捕集された粒子状物質を排気ガス流により剥離させる剥離手段と、該剥離手段により剥離された粒子状物質を浄化処理する浄化処理手段とを具えたことを特徴とするものである。
請求項2の発明の排気ガス浄化装置では、前記放電電極は、電圧が印加されたときに前記ケーシング中に排気ガスの流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能である一方、前記集塵電極は、前記二次流れを通過させる開口率を有することを特徴としている。
請求項3の発明の排気ガス浄化装置では、前記ケーシングは筒形状をなし、前記放電電極は該ケーシングの中心部に配設される一方、前記集塵電極は該ケーシングの内面に沿って配設され、該集塵電極に排気ガス流を供給する前記剥離手段としての排気ガス供給通路が前記入口部から前記ケーシングの内面に沿って設けられたことを特徴としている。
請求項4の発明の排気ガス浄化装置では、前記排気ガス供給通路を通して前記集塵電極に供給する排気ガス流の流速を予め設定された第1流速に調整する第1調整手段が設けられたことを特徴としている。
請求項5の発明の排気ガス浄化装置では、前記集塵電極における排気ガスの流れ方向下流側に前記剥離手段により剥離された粒子状物質を再捕集する再捕集部が設けられたことを特徴としている。
請求項6の発明の排気ガス浄化装置では、前記再捕集部に導入される排気ガス流の流速を予め設定された第2流速に調整する第2調整手段が設けられたことを特徴としている。
請求項7の発明の排気ガス浄化装置では、前記浄化処理手段として、前記再捕集部に再捕集された粒子状物質を焼却処理する加熱装置が設けられたことを特徴としている。
請求項8の発明の排気ガス浄化装置では、前記浄化処理手段として、前記再捕集部に再捕集された粒子状物質の酸化を促進する酸化触媒が設けられたことを特徴としている。
請求項9の発明の排気ガス浄化装置では、前記浄化処理手段として、前記剥離手段により剥離された粒子状物質を排気ガスにより前記ケーシングの外部に排出する排出装置が設けられたことを特徴としている。
請求項10の発明の排気ガス浄化装置では、前記排出装置は、前記ケーシングの外部に排出された排気ガスから粒子状物質を分離する分離装置を有することを特徴としている。
請求項11の発明の排気ガス浄化装置では、前記ケーシングの入口部に到達した排気ガスを前記放電電極に導入する主流路と、前記ケーシングの入口部に到達した排気ガスを前記集塵電極に導入する副流路と、排気ガスの流れを前記主流路と前記副流路との間で切換える流路切換手段が設けられたことを特徴としている。
請求項12の発明の排気ガス浄化装置では、前記流路切換手段は、粒子状物質捕集モード時に排気ガスを前記主流路に流す一方、粒子状物質剥離モード時に排気ガスを前記副通路に流すと共に、排気ガスの流速を予め設定された所定流速に調整することを特徴としている。
請求項1の発明の排気ガス浄化装置によれば、ケーシング内に排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極を排気ガスの流れ方向に沿って配設すると共に、放電電極により帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極を排気ガスの流れ方向に沿ってこの放電電極に対向して配設し、集塵電極に捕集された粒子状物質を排気ガス流により剥離させる剥離手段と、剥離手段により剥離された粒子状物質を浄化処理する浄化処理手段を設けたので、ケーシング内に導入された排気ガス中の粒子状物質が放電電極により帯電され、帯電された粒子状物質が集塵電極に捕集されると、剥離手段はこの集塵電極に捕集された粒子状物質を排気ガス流により剥離させ、浄化処理手段により剥離した粒子状物質を浄化処理することとなり、捕集した粒子状物質を集塵電極で処理せずに排気ガス流で剥離させてからまとめて浄化処理するため、浄化処理手段を大型化する必要はなく、排気ガス中の粒子状物質を確実に浄化処理することができ、その結果、浄化効率を向上することができる。
請求項2の発明の排気ガス浄化装置によれば、放電電極は、電圧が印加されたときにケーシング中に排気ガスの流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能である一方、集塵電極は、前記二次流れを通過させる開口率を有するので、帯電しやすい粒子状物質は、元来強力な静電気力によって集塵電極に引付けられて捕集されるが、帯電し難い微細な粒子状物質は、微細な静電気力しか作用しないにも拘らずイオン風によってガス流れを横切る方向に加速された排気ガスと共に集塵電極側に流れ、この集塵電極層の中を通過する間に捕集されることとなり、微細な静電気力しか作用しない帯電し難い微細な粒子状物質をも集塵電極を通過するように流路を流れるガスを対流させることで効率良く捕集し、保持凝集することができる。
請求項3の発明の排気ガス浄化装置によれば、ケーシングを筒形状とし、放電電極をこのケーシングの中心部に配設する一方、集塵電極をケーシングの内面に沿って配設し、集塵電極に排気ガス流を供給する剥離手段としての排気ガス供給通路を入口部からケーシングの内面に沿って設けたので、入口部に到達した排気ガスが排気ガス供給通路を通して集塵電極の表層、およびその層内にも多量に供給されることで、排気ガスの流れのほとんどない集塵極の内面層で、集塵電極層に凝集して保持されている捕集された粒子状物質が、排気ガス流により効率的に凝集した状態で剥離され、且つ、それらの凝集した粒子状物質は後述の再捕集部に導き処理することにより、総合的に粒子状物質の再飛散を防止しつつ粒子状物質を確実に浄化処理することができる。
請求項4の発明の排気ガス浄化装置によれば、排気ガス供給通路を通して集塵電極に供給する排気ガス流の流速を予め設定された第1流速に調整する第1調整手段を設けたので、集塵電極に捕集された粒子状物質を再飛散させることなく適正に剥離させることができる。
請求項5の発明の排気ガス浄化装置によれば、集塵電極における排気ガスの流れ方向下流側に剥離手段により剥離された粒子状物質を再捕集する再捕集部を設け、その再捕集部へ至るガス量の全部、または一部を再捕集部に導き、集塵電極に捕集された凝集された粒子状物質が排気ガス流により剥離され、再捕集部で再捕集されて浄化処理されることとなり確実に浄化処理することができる。
請求項6の発明の排気ガス浄化装置によれば、再捕集部に導入される排気ガス流の流速を予め設定された第2流速に調整する第2調整手段を設けたので、凝集した粒子状物質を第2調整手段で調整し、最低限のガス量を再捕集部に導入することで、機械的に主ガスから凝集粒子を再捕集部へ分離導入し、再捕集部の通過速度を過大とすることなく再捕集部をコンパクトに設計することができ、再捕集部で捕集した凝集された粒子状物質を確実に捕捉することが可能となる。
請求項7の発明の排気ガス浄化装置によれば、浄化処理手段として再捕集部に再捕集された粒子状物質を焼却処理する加熱装置を設けたので、再捕集した粒子状物質をまとめて焼却処理することで、浄化処理手段の簡素化を可能とすることができる。
請求項8の発明の排気ガス浄化装置によれば、浄化処理手段として再捕集部に再捕集された粒子状物質の酸化を促進する酸化触媒を設けたので、再捕集した粒子状物質をまとめて酸化処理することで、浄化処理手段の簡素化を可能とすることができる。
請求項9の発明の排気ガス浄化装置によれば、浄化処理手段として剥離手段により剥離された粒子状物質を排気ガスによりケーシングの外部に排出する排出装置を設けたので、再捕集した粒子状物質をケーシングの外部に排出してまとめて酸化処理することで、浄化処理手段をケーシングの内部に設ける必要がなく、装置の小型化を可能とすることができる。
請求項10の発明の排気ガス浄化装置によれば、ケーシングの外部に排出された排気ガスから粒子状物質を分離する分離装置を設けたので、ケーシングの外部で粒子状物質を確実に分離することができ、排気浄化効率を向上することができる。
請求項11の発明の排気ガス浄化装置によれば、ケーシングの入口部に到達した排気ガスを放電電極に導入する主流路と、ケーシングの入口部に到達した排気ガスを集塵電極に導入する副流路と、排気ガスの流れを主流路と副流路との間で切換える流路切換手段を設けたので、排気ガスを主流路に導入することで放電電極により粒子状物質を確実に帯電させることが可能となり、排気ガスを副流路に導入することで集塵電極に捕集された粒子状物質を適正に剥離させることが可能となり、流路切換手段により粒子状物質捕集モードと粒子状物質剥離モードとを適正に切換えることができる。
請求項12の発明の排気ガス浄化装置によれば、流路切換手段は、粒子状物質捕集モード時に排気ガスを主流路に流す一方、粒子状物質剥離モード時に排気ガスを副通路に流すと共に、排気ガスの流速を予め設定された所定流速に調整するので、粒子状物質捕集モード時に副通路から集塵電極に流す排気ガスの流速を所定流速に調整することで、集塵電極に捕集された粒子状物質を適正に剥離させることができると共に、粒子状物質の再飛散を防止することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る排気ガス浄化装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る排気ガス浄化装置の概略構成図、図2は、図1のII−II断面図、図3は、図1のIII−III断面図、図4は、実施例1の排気ガス浄化装置における粒子状物質剥離モード状態を表す概略図、図5は、実施例1の排気ガス浄化装置における粒子状物質浄化モード状態を表す概略図である。
本実施例の排気ガス浄化装置は、内燃機関としてのディーゼルエンジンや油焚きボイラなどから排出される排気ガスを浄化処理するものである。具体的には、高電圧を放電電極に印加することで、この放電電極から集塵電極に向けてコロナ放電により生じるイオンが電界内を対向電極に移動する際に、誘起される排気ガスの流れであるイオン風が排気ガス流れとは別に生じる。この場合、集塵電極を開口率の大きな素材で形成することで、イオン風は集塵電極の表面上で反転することなく集塵電極の内部にも導入され、その結果、排気ガス中の粒子状物質を機械的にあるいは静電気的に捕集することができる。そして、集塵電極にて捕集した粒子状物質を排気ガスにより剥離させると共に一箇所に再捕集し、再捕集した粒子状物質をまとめて浄化処理することで、集塵電極を再生することができる。以下、本実施例の排気ガス浄化装置を具体的に説明する。
実施例1の排気ガス浄化装置において、図1乃至図3に示すように、ケーシング11は楕円の筒形状をなし、内部に排気ガス流路(主流路)12が形成されている。このケーシング11は、長手方向における中間部に位置する本体部11aと、その前後に位置する前部11b及び後部11cからなり、本体部11aはほぼ同一の流路断面を有し、前部11b及び後部11cは外側が狭くなるような円錐形状をなしている。そして、ケーシング11の一端部に排気ガスを導入する入口部13が形成される一方、他端部に浄化ガスを排出する出口部14が形成されている。なお、ケーシング11の形状は、楕円に限らず、例えば、後述する放電電極15が1本の場合は真円であってもかまわないことはいうまでもない。
ケーシング11内には、その中心部に排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極15が排気ガスの流れ方向に沿って配設されている。また、このケーシング11内には、その内壁面に放電電極15により帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極16がこの放電電極16に対向し、且つ、排気ガスの流れ方向に沿って配設されている。
この放電電極15は、ケーシング11内に排気ガスの流れ方向に沿って配設された複数本(本実施例では、4本)の主部15aと、この主部15aに所定間隔ごとに放射状に突出した複数の放電部15bとから構成されており、各放電部15bは排気ガス流路12を横切る方向に沿って設けられている。そして、ケーシング11の前後に一対の碍子17が固定され、放電電極15の端部がこの碍子17の取付枠18に装着されている。
一方、集塵電極16は、帯電した粒子状物質を含むイオン風が通過可能な開口率を有した素材より構成され、少なくとも放電電極15側に面した排気ガス流路12側には、導電性のネット、具体的には、金網などの導電性素材が設けられている。なお、イオン風により同伴される粒子状物質を通過させるのに十分な開口率を有し、且つ、導電性の材質であれば、ワイヤを平織り等に織り込んだ金網、パンチングメタル、またはエクスパンデッドメタルとしても良い。また、平織り等の金網を用いる場合、局部的に電界が集中しないようにするために、金網を構成するワイヤの太さが細くなりすぎないように選定する必要がある。更に、この集塵電極16は、その内部を構成する素材は、金網などの導電性素材以外にも十分な開口率を有する素材であれば非導電性の素材であっても構わない。
また、集塵電極16は、上述したように、排気ガスの流れ方向と交差する断面に二次流れを有効的に作用させるものであるが、ガス流れを横切る流路断面に沿う方向に程好い開口率、例えば、金網の素材で構成する場合には70%程度の開口率を有する素材を複数重ねて使用すると共に、ガス流れに沿う方向にも開口率を有する構造となっている。ガス流れに対して直角方向に二次元的な流れの循環を確保するためには、集塵電極16に導かれた排気ガスが、再びガス流れ方向に動き得ることも必要である。
また、集塵電極16の厚さは、集塵電極16の圧力損失と要求される集塵性能から決定されるべきである。使用する材料の空隙率とも関連するが、排気ガスが通過できるように圧力損失をなるべく低くすることが好ましい。従って、比較的薄く、且つ、開口率の大きな素材のものが用いられる。但し、排気ガスの流れ方向に直交する断面内の二次流れのパターンを有効なものとし、集塵電極16を設置した部分と排気ガスが流れる流路との対流を効果的なものとするためには、放電電極15との距離を適正に設定することが必要である。
高圧電源19は、一方が放電電極15の主部15aに接続され、他方が集塵電極16に接続されており、この放電電極15と集塵電極16との間に高電圧を印加することができる。従って、放電電極15側をマイナス極に印加し、集塵電極16を接地させており、放電電極15がマイナス極に印加されることにより放電電極15における放電部15bの先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガスに含まれる粒子状物質がイオン化される。そして、イオン化された粒子状物質は、電界によって移動するのに伴って、放電電極15の放電部15bの先端から集塵電極16に向けて周囲の排気ガスも巻き込んでイオン風が発生する。
従って、高圧電源19により放電電極15に高電圧を印加すると、この放電電極15から集塵電極16に向けてコロナ放電により生じるイオンが電界内を移動し、このとき、誘起される排気ガスの2次的な流れであるイオン風が主排気ガスの流れと交差する方向に発生し、帯電した粒子状物質を含んだイオン風が集塵電極16の内部に導入され、その結果、排気ガス中の粒子状物質を静電気的に集塵電極16に捕集することができる。
ケーシング11の入口部13には、排気ガスの導入量を調整する入口ダンパ21が設けられる一方、ケーシング11の出口部14には、浄化ガスの排出量を調整する出口ダンパ22が設けられている。また、ケーシング11の前部11bの内側に前部内筒23が固定されることで、このケーシング11と前部内筒23とにより排気ガス供給通路(剥離手段、副流路)24が形成されており、この排気ガス供給通路の下流端部には、集塵電極16に連通する複数のノズル部24aが形成されている。そして、入口部13とこの排気ガス供給通路24の上流端部との間に連結通路25が設けられ、この連結通路25に第1調整手段としての流量調整弁26が装着されている。一方、ケーシング11の後部11cの内側に後部内筒27が固定されることで、このケーシング11と後部内筒27とにより浄化ガス排出通路28が形成されている。そして、浄化ガス排出通路28の下流端部と出口部14との間に連結通路29が設けられ、この連結通路29に第2調整手段としての流量調整弁30が装着されている。
従って、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を開放することで、排気ガスをケーシング11内に導入し、この排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集することができる。また、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を閉塞し、各流量調整弁26,30の開度を調整することで、排気ガスを排気ガス供給通路24から集塵電極16の表層に高速で供給し、この集塵電極16に捕集された粒子状物質を剥離することができる。この場合、排気ガスにより集塵電極16から粒子状物質を剥離させることから、排気ガス供給通路24への排気ガスの流速を所定流速に調整する必要があり、具体的には、各流量調整弁26,30の開度を調整することで、排気ガスの速度を8〜15m/s、好ましくは、9〜11m/sに調整すると良い。
なお、本実施例では、各ダンパ21,22及び各流量調整弁26,30により排気ガスの流れを排気ガス流路(主流路)12と排気ガス供給通路(副流路)24との間で切換える流路切換手段が構成される。
また、ケーシング11内にて、集塵電極16における排気ガスの流れ方向下流側にヒータ付フィルタ31が設けられると共に、このヒータ付フィルタ31の内側に内壁部32が固定されることで、集塵電極16から剥離された粒子状物質を再捕集する再捕集部33が設けられている。
従って、排気ガスが排気ガス供給通路24から集塵電極16に供給されると、排気ガスによりこの集塵電極16に捕集された凝集した粒子状物質が剥離され、比較的目の粗いフィルタ31の表面の再捕集部33に再捕集することができる。この状態で、ヒータ付フィルタ31を加熱することで、再捕集した粒子状物質を焼却処理して浄化することができる。この場合、本実施例では、ヒータ付フィルタ31により浄化処理手段及び加熱装置が構成される。なお、燃焼させるときには、当該部を通過させるガス流れ量は流量調整弁30にて絞り込むことで、最低限のガス流量で燃焼することが可能で、ヒータの負荷を小さくするとともに、オーバーヒートすることなく燃焼させることが可能となる。
なお、浄化処理手段及び加熱装置として、ヒータ付フィルタ31に代えて、粒子状物質の酸化を促進する酸化触媒、または、ヒータ付酸化触媒としてもよい。
このように構成された本実施例の排気ガス浄化装置において、粒子状物質捕集モードでは、図1に示すように、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を開放する一方、各流量調整弁26,30により排気ガス供給通路24及び浄化ガス排出通路28を閉塞する。すると、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、この入口部13からケーシング11の内部に導入され、放電電極15の放電部15bの先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガス中の粒子状物質がイオン化され、イオン化された粒子状物質が放電電極15の先端から集塵電極16に向けて周囲の排気ガスを巻き込んでイオン風が発生する。この結果、ケーシング11内に導入されて排気ガス流路12を流れる排気ガスに対して、この排気ガスの流れと交差する断面内にイオン風によって排気ガスの二次流れが形成され、イオン化された粒子状物質を含む排気ガスが集塵電極16に吹き付けられる。
従って、ケーシング11内を流れる排気ガスは、このイオン風によって集塵電極16に向けて加速され、この集塵電極16を通過するときに帯電している粒子状物質が捕集される。そして、粒子状物質が除去された浄化ガスは、出口部14からケーシング11の外部に排出される。この場合、排気ガスの流れと交差する断面内における放電電極15の距離は、適正に選定される。例えば、排気ガスの流れ方向に沿う長手方向断面内で隣り合う放電電極15間の距離を小さくすると、電流は満遍なく流れてコロナ放電を発生してイオン風を生じさせることは可能であるが、あまり短い場合にはお互いに干渉し合うため、ある程度の距離を開けることが必要である。逆に、あまりにも開けすぎた場合には、排気ガスの流れ方向から見て有効にイオン風が作用しない領域が増えて十分な効率を得ることができない。
そして、粒子状物質捕集モードにて、所定期間にわたって排気ガス中の粒子状物質を捕集すると、集塵電極16における粒子状物質の捕集保持量が増加して捕集効率が低下する。このとき、粒子状物質捕集モードから粒子状物質剥離モードに変更し、集塵電極16の再生処理を実行する。
即ち、図4に示すように、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を閉止する一方、各流量調整弁26,30の開度を調整して排気ガス供給通路24及び浄化ガス排出通路28を開放する。すると、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、排気ガス流路12に導入されず、連結通路25から排気ガス供給通路24に導入され、集塵電極16に供給されることで、この集塵電極16に捕集された粒子状物質を剥離する。そして、集塵電極16から剥離された粒子状物質は再捕集部33に再捕集される。なお、集塵電極16の粒子状物質を剥離した排気ガスは、ヒータ付フィルタ31で粒子状物質が除去された後、浄化ガスとして浄化ガス排出通路28及び連結通路29を通り、出口部14からケーシング11の外部に排出される。
そして、粒子状物質捕集モードにて、集塵電極16に捕集された粒子状物質が剥離されて再捕集部33に再捕集されると、粒子状物質捕集モードから粒子状物質浄化モードに変更する。即ち、図5に示すように、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を開放する一方、各流量調整弁26,30の開度を調整して排気ガス供給通路24及び浄化ガス排出通路28を開放(微開)する。すると、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、排気ガス流路12に導入されると共に、連結通路25から排気ガス供給通路24に導入され、集塵電極16を通って再捕集部33に供給される。この状態で、ヒータ付フィルタ31を加熱することで、再捕集部33に再捕集された粒子状物質が焼却処理される。なお、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、前述した粒子状物質捕集モードと同様に、含有する粒子状物質が帯電されて集塵電極16に捕集される。
このように実施例1の排気ガス浄化装置にあっては、ケーシング11の中心部に排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極15を配設する一方、ケーシング11の内壁面に帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極16を配設し、入口部13に到達した排気ガスを集塵電極16に供給して捕集された粒子状物質を剥離させる排気ガス供給通路24と、集塵電極16から剥離された粒子状物質を再捕集する再捕集部33と、再捕集された粒子状物質を焼却処理するヒータ付フィルタ31を設けている。
従って、ケーシング11内に導入された排気ガスは、放電電極15により含有する粒子状物質が帯電され、この帯電された粒子状物質が集塵電極16に捕集され、その後、集塵電極16に捕集された粒子状物質が排気ガス供給通路24により供給された排気ガス流により剥離され、再捕集部33に再捕集されてからヒータ付フィルタ31により焼却処理されることとなり、捕集した粒子状物質を集塵電極16で処理せずに再捕集部32でまとめて浄化処理するため、浄化処理装置を大型化する必要はなく、排気ガス中の粒子状物質を確実に浄化処理することができ、その結果、浄化効率を向上することができる。
また、本実施例の排気ガス浄化装置では、放電電極15は、電圧が印加されたときにケーシング11中に排気ガスの流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能である一方、集塵電極16は、二次流れを通過させる開口率を有している。帯電しやすい粒子状物質は、元来強力な静電気力によって集塵電極16に引付けられて捕集されるが、帯電し難い微細な粒子状物質は、微細な静電気力しか作用しないにも拘らずイオン風によってガス流れを横切る方向に加速された排気ガスと共に集塵電極16側に流れ、この集塵電極16の中を通過する間に捕集されることとなり、微細な静電気力しか作用しない帯電し難い微細な粒子状物質をも集塵電極16を通過するように流路を流れるガスを対流させることで効率良く捕集することができる。
更に、本実施例の排気ガス浄化装置では、入口ダンパ21及び出口ダンパ22、各流量調整弁26,30により排気ガスの導入先を排気ガス流路12と排気ガス供給通路24とに切換可能としている。従って、粒子状物質捕集モードでは、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を開放する一方、各流量調整弁26,30により排気ガス供給通路24を閉塞することで、排気ガスを排気ガス流路12に導入して含有する粒子状物質を捕集する。一方、粒子状物質剥離モードでは、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を閉止する一方、各流量調整弁26,30により排気ガス供給通路24を開放することで、排気ガスを排気ガス供給通路24に導入して集塵電極16に捕集された粒子状物質を剥離する。そして、粒子状物質浄化モードでは、再捕集部33に再捕集された粒子状物質をヒータ付フィルタ31を加熱することで焼却する。その結果、各モードに合わせて入口ダンパ21及び出口ダンパ22、各流量調整弁26,30を開閉操作することで、粒子状物質の捕集、剥離、再捕集、浄化を適正に効率良く実行することができる。
そして、ケーシング11の中心部に放電電極15を配設し、ケーシング11の内壁面に沿って集塵電極16と排気ガス供給通路24を配設している。従って、粒子状物質剥離モードにて、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を閉止する一方、各流量調整弁26,30の開度を調整して排気ガス供給通路24に所定流速の排気ガスを供給することができ、この所定流速の排気ガスにより集塵電極16に捕集された粒子状物質を確実に、且つ、飛散させることなく剥離して再捕集部33に再捕集させることができ、集塵電極16の再生を効率良く実行することができる。
図6は、本発明の実施例2に係る排気ガス浄化装置の概略構成図、図7は、実施例2の排気ガス浄化装置における粒子状物質剥離モード状態を表す概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例2の排気ガス浄化装置において、図6に示すように、ケーシング11は、一端部に入口部13が形成される一方、他端部に出口部14が形成されており、その中心部には排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極15が配設され、内壁面には放電電極15により帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極16が配設されている。そして、ケーシング11の前部11bの内側に前部内筒23が固定されることで、排気ガス供給通路24が形成されており、この排気ガス供給通路24は、上流側が入口部13に流通し、下流側が集塵電極16に流通している。また、ケーシング11の入口部13にて、排気ガス流路12の入口部13aには、排気ガスの導入量を調整する入口ダンパ21が設けられている。
一方、ケーシング11の出口部14には、浄化ガスの排出量を調整する出口ダンパ22が設けられている。また、ケーシング11の後部11cの内側に後部内筒27が固定されることで、浄化ガス排出通路28が形成され、その下流端部と出口部14との間に連結通路29が設けられ、この連結通路29に流量調整弁30が装着されている。なお、本実施例では、各ダンパ21,22により排気ガスの流れを排気ガス流路12と排気ガス供給通路24との間で切換える流路切換手段が構成される。
また、ケーシング11内にて、集塵電極16における排気ガスの流れ方向下流側にヒータ付フィルタ31が設けられると共に、このヒータ付フィルタ31の内側に内壁部32が固定されることで、粒子状物質を再捕集する再捕集部33が設けられている。
従って、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を開放することで、排気ガスをケーシング11内に導入し、この排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集することができる。また、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14の開度を調整(絞り)し、流量調整弁30を開放することで、排気ガスの一部を排気ガス供給通路24に導入し、この排気ガス供給通路24から集塵電極16に供給することで、この集塵電極16に捕集された粒子状物質を剥離することができる。そして、この集塵電極16から剥離された粒子状物質を再捕集部33で再捕集し、ヒータ付フィルタ31を加熱することで、再捕集した粒子状物質を焼却処理することができる。
このように構成された本実施例の排気ガス浄化装置において、粒子状物質捕集モードでは、図6に示すように、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を開放する一方、流量調整弁30により浄化ガス排出通路28を閉塞する。すると、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、入口部13aからケーシング11の内部に導入され、放電電極15の放電部15bの先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガス中の粒子状物質がイオン化され、イオン化された粒子状物質が放電電極15の先端から集塵電極16に向けて周囲の排気ガスを巻き込んでイオン風が発生する。この結果、ケーシング11内に導入されて排気ガス流路12を流れる排気ガスに対して、この排気ガスの流れと交差する断面内にイオン風によって排気ガスの二次流れが形成され、イオン化された粒子状物質を含む排気ガスが集塵電極16に吹き付けられる。
従って、ケーシング11内を流れる排気ガスは、このイオン風によって集塵電極16に向けて加速され、この集塵電極16を通過するときに帯電している粒子状物質が捕集される。そして、粒子状物質が除去された浄化ガスは、出口部14からケーシング11の外部に排出される。
そして、粒子状物質捕集モードにて、集塵電極16に粒子状物質が所定量捕集されたら、粒子状物質捕集モードから粒子状物質剥離モードに変更する。即ち、図7に示すように、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14の開度を小さく絞り込む一方、流量調整弁30の開度を調整して浄化ガス排出通路28を開放する。すると、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、その圧力抵抗により一部の排気ガスが排気ガス供給通路24に導入され、集塵電極16に供給されることで、この集塵電極16に捕集された粒子状物質を剥離する。そして、集塵電極16から剥離された粒子状物質は再捕集部33に再捕集される。
そして、集塵電極16に捕集された粒子状物質が剥離されて再捕集部33に再捕集されると、粒子状物質捕集モードから粒子状物質浄化モードに変更する。即ち、図5に示すように、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を開放する一方、流量調整弁26,30の開度を調整して浄化ガス排出通路28を開放(微開)する。すると、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、排気ガス流路12に導入され、浄化ガス排出通路28が開放することで一部の排気ガス(浄化ガス)が再捕集部33に供給される。この状態で、ヒータ付フィルタ31を加熱することで、再捕集部33に再捕集された粒子状物質が焼却処理される。
このように実施例2の排気ガス浄化装置にあっては、ケーシング11の中心部に放電電極15を配設する一方、ケーシング11の内壁面に集塵電極16を配設し、入口部13に到達した排気ガスを集塵電極16に供給して捕集された粒子状物質を剥離させる排気ガス供給通路24と、集塵電極16から剥離された粒子状物質を再捕集する再捕集部33と、再捕集された粒子状物質を焼却処理するヒータ付フィルタ31を設け、排気ガス流路12への入口部13aに入口ダンパ21を設け、排気ガスの導入先を排気ガス流路12と排気ガス供給通路24とに切換可能としている。
従って、ケーシング11内に導入された排気ガスは、含有する粒子状物質が放電電極15により帯電され、この帯電された粒子状物質が集塵電極16に捕集され、その後、排気ガス供給通路24により供給された排気ガス流により剥離されて再捕集部33に再捕集され、ヒータ付フィルタ31により焼却処理されることとなり、捕集した粒子状物質を再捕集部32でまとめて浄化処理するため、排気ガス中の粒子状物質を効率的に浄化処理することができる。そして、排気ガス流路12への入口部13aに設けた入口ダンパ21の開度により排気ガスの導入先を排気ガス流路12と排気ガス供給通路24とに切換可能であるため、装置を簡素化して低コスト化を図ることができる。
図8は、本発明の実施例3に係る排気ガス浄化装置の概略構成図、図9は、実施例3の排気ガス浄化装置における粒子状物質剥離モード状態を表す概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例3の排気ガス浄化装置の基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、捕集した粒子状物質を集塵電極から剥離した後にこれを浄化する装置のみが相違しているため、相違点のみ説明して重複する説明は省略する。
実施例3の排気ガス浄化装置において、図8に示すように、一対をなすケーシング11は、一端部に入口部13が形成される一方、他端部に出口部14が形成されており、その中心部には放電電極15が配設され、内壁面には集塵電極16が配設されている。そして、ケーシング11の入口部13には、入口ダンパ21が設けられると共に、排気ガス供給通路24が形成され、入口部13とその上流端部が連結通路25により連結され、この連結通路25に流量調整弁26が装着されている。また、ケーシング11の出口部14には、出口ダンパ22が設けられている。
また、ケーシング11内にて、集塵電極16における排気ガスの流れ方向下流側に、ケーシング11の内壁面と対向して内壁部41が固定されることで、粒子状物質を再捕集する再捕集部42及び粒子状物質排出通路43が設けられている。更に、再捕集部42に再捕集された粒子状物質を粒子状物質排出通路43からケーシング11の外部に排出する排出配管44が連結され、この排出配管44に開閉弁45が装着されている。そして、各ケーシング11の排出配管44は、集合配管46に連結され、この集合配管46にバグフィルタ(または、セラミックフィルタ)47及び吸引ファン48が装着されている。
この場合、本実施例にて、粒子状物質排出通路43、排出配管44、集合配管46により浄化処理手段、排出装置が構成される。また、バグフィルタ47により排出された排気ガスから粒子状物質を分離する分離装置が構成される。
このように構成された本実施例の排気ガス浄化装置において、粒子状物質捕集モードでは、図7に示すように、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14を開放する一方、流量調整弁26により排気ガス供給通路24を閉塞し、開閉弁45により排出配管44を閉塞する。すると、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、ケーシング11の内部に導入され、放電電極15の放電部15bの先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガス中の粒子状物質がイオン化され、イオン化された粒子状物質が放電電極15の先端から集塵電極16に向けて周囲の排気ガスを巻き込んでイオン風が発生する。この結果、ケーシング11内に導入されて排気ガス流路12を流れる排気ガスに対して、この排気ガスの流れと交差する断面内にイオン風によって排気ガスの二次流れが形成され、イオン化された粒子状物質を含む排気ガスが集塵電極16に吹き付けられる。
従って、ケーシング11内を流れる排気ガスは、このイオン風によって集塵電極16に向けて加速され、この集塵電極16を通過するときに帯電している粒子状物質が捕集される。そして、粒子状物質が除去された浄化ガスは、出口部14からケーシング11の外部に排出される。
そして、粒子状物質捕集モードにて、集塵電極16に粒子状物質が所定量捕集されたら、粒子状物質捕集モードから粒子状物質剥離モードに変更する。即ち、図9に示すように、入口ダンパ21及び出口ダンパ22により入口部13及び出口部14の開度を小さく絞り込む一方、流量調整弁26の開度を調整して排気ガス供給通路24を開放する。すると、ケーシング11の入口部13に到達した排気ガスは、その圧力抵抗により一部の排気ガスが排気ガス供給通路24に導入され、集塵電極16に供給されることで、この集塵電極16に捕集された粒子状物質を剥離する。そして、集塵電極16から剥離された粒子状物質は再捕集部42に再捕集される。なお、集塵電極16の粒子状物質を剥離した排気ガスは、排気ガス流路12に戻り、粒子状物質が除去されて出口部14からケーシング11の外部に排出される。
そして、集塵電極16に捕集された粒子状物質が剥離されて再捕集部42に再捕集されると、粒子状物質捕集モードから粒子状物質浄化モードに変更する。即ち、開閉弁45を開放すると共に、吸引ファン48を駆動する。すると、吸引ファン48により集合配管46、排出配管44、粒子状物質排出通路43を通して再捕集部42に吸引力が作用し、この再捕集部33に再捕集されている粒子状物質を粒子状物質排出通路43、排出配管44、集合配管46を通してバグフィルタ47に送り、ここで排気ガスから粒子状物質が分離処理される。
このように実施例3の排気ガス浄化装置にあっては、ケーシング11の中心部に放電電極15を配設する一方、ケーシング11の内壁面に集塵電極16を配設し、入口部13に到達した排気ガスを集塵電極16に供給して捕集された粒子状物質を剥離させる排気ガス供給通路24と、集塵電極16から剥離された粒子状物質を再捕集する再捕集部42と、再捕集された粒子状物質を外部に排出する排出装置として粒子状物質排出通路43、排出配管44、集合配管46と、排気ガスから粒子状物質を分離処理するバグフィルタ47を設けている。
従って、ケーシング11内に導入された排気ガスは、含有する粒子状物質が放電電極15により帯電され、この帯電された粒子状物質が集塵電極16に捕集され、その後、排気ガス供給通路24により供給された排気ガス流により剥離されて再捕集部42に再捕集され、粒子状物質排出通路43、排出配管44、集合配管46により排気ガスと共に外部に排出され、バグフィルタ47を用いて粒子状物質が分離処理されることとなり、捕集した粒子状物質を再捕集部42でまとめてから外部に排出して浄化処理するため、排気ガス中の粒子状物質を効率的に浄化処理することができると共に、ケーシング11内に浄化処理装置などを搭載する必要がなくなり、装置の小型化を可能とすることができる。
図10は、本発明の実施例4に係る排気ガス浄化装置の概略構成図、図11は、実施例4の排気ガス浄化装置における粒子状物質剥離モード状態を表す概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例4の排気ガス浄化装置の基本的な構成は、上述した実施例3とほぼ同様であり、ケーシングの形状のみが相違しているため、相違点のみ説明して重複する説明は省略する。
実施例4の排気ガス浄化装置において、図10及び図11に示すように、ケーシング51内には、複数の排気ガス流路12が並列状態で形成されており、各排気ガス流路12の中心部に放電電極15が配設され、内壁面に集塵電極16が配設されている。そして、各排気ガス流路12の入口部13aに入口ダンパ21が設けられ、出口部14aに出口ダンパ22が設けられている。また、ケーシング51の入口部13には、入口部13aの周囲に位置して排気ガス供給通路24が形成され、ここに開閉弁52が設けられている。
また、各排気ガス流路12の外周側にて、集塵電極16における排気ガスの流れ方向下流側に、粒子状物質を再捕集する再捕集部42及び粒子状物質排出通路43が設けられている。更に、再捕集部42に再捕集された粒子状物質を粒子状物質排出通路43からケーシング51の外部に排出する排出配管44が連結され、この排出配管44に開閉弁45が装着されている。そして、各ケーシング11の排出配管44は、集合配管46に連結され、この集合配管46にバグフィルタ47及び吸引ファン48が装着されている。
なお、このように構成された本実施例の排気ガス浄化装置の作動原理は、上述した実施例3と同様であるため、説明は省略する。
このように実施例4の排気ガス浄化装置にあっては、ケーシング51内に複数の排気ガス流路12が並列状態で形成し、各排気ガス流路12の中心部に放電電極15を配設する一方、内壁面に集塵電極16を配設し、入口部13に到達した排気ガスを集塵電極16に供給して捕集された粒子状物質を剥離させる排気ガス供給通路24と、集塵電極16から剥離された粒子状物質を再捕集する再捕集部42と、再捕集された粒子状物質を外部に排出する排出装置として粒子状物質排出通路43、排出配管44、集合配管46と、排気ガスから粒子状物質を分離処理するバグフィルタ47を設けている。
従って、ケーシング51内に複数の排気ガス流路12を形成し、各排気ガス流路12に対応して、放電電極15、集塵電極16、排気ガス供給通路24、再捕集部42、粒子状物質排出通路43、排出配管44などを配設することで、装置全体をユニット化することで、装置のコンパクト化を可能とすることができる。
なお、上述した実施例3、4では、複数の排気ガス浄化装置を並設して各運転モードを同期して切換えるようにしたが、粒子状物質捕集モードと粒子状物質剥離モード及び粒子状物質浄化モードを交互に実行したり、粒子状物質捕集モードの一部を粒子状物質剥離モード及び粒子状物質浄化モードとしてもよく、この場合、常時連続して排気ガスを浄化することができる。
本発明に係る排気ガス浄化装置は、集塵電極に捕集された粒子状物質を排気ガス流により剥離させてから浄化処理するようにしたものであり、どのような場所に設置される排気ガス浄化装置にも適用することができる。
本発明の実施例1に係る排気ガス浄化装置の概略構成図である。
図1のII−II断面図である。
図1のIII−III断面図である。
実施例1の排気ガス浄化装置における粒子状物質剥離モード状態を表す概略図である。
実施例1の排気ガス浄化装置における粒子状物質浄化モード状態を表す概略図である。
本発明の実施例2に係る排気ガス浄化装置の概略構成図である。
実施例2の排気ガス浄化装置における粒子状物質剥離モード状態を表す概略図である。
本発明の実施例3に係る排気ガス浄化装置の概略構成図である。
実施例3の排気ガス浄化装置における粒子状物質剥離モード状態を表す概略図である。
本発明の実施例4に係る排気ガス浄化装置の概略構成図である。
実施例4の排気ガス浄化装置における粒子状物質剥離モード状態を表す概略図である。
符号の説明
11,51 ケーシング
12 排気ガス流路(主流路)
13,13a 入口部
14.14a 出口部
15 放電電極
16 集塵電極
19 高圧電源
21 入口ダンパ(流路切換手段)
22 出口ダンパ
24 排気ガス供給通路(剥離手段、副流路)
26 流量調整弁(第1調整手段)
28 浄化ガス排出通路
30 流量調整弁(第2調整手段)
31 ヒータ付フィルタ(浄化処理手段、加熱手段)
33,42 再捕集部
43 粒子状物質排出通路(浄化処理手段、排出手段)
44 排出配管(浄化処理手段、排出手段)
46 集合配管(浄化処理手段、排出手段)
47 バグフィルタ(浄化処理手段、分離手段)