JP2007099949A - 摺動構造及び摺動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに摺動する一対の摺動部材の摩擦係数を確実に低減することができる摺動構造を提供する。
【解決手段】本発明の摺動構造は、互いに摺動する一対の摺動部材の摺動面間に潤滑油を給油しながら少なくとも一方の摺動部材を摺動させる摺動構造であって、少なくとも一方の摺動部材の摺動面には、5質量%以上のホウ素を少なくとも含有した非晶質炭素被膜が形成され、摺動面間に存在する潤滑油は、窒素が潤滑油の1質量%以上となる量のコハク酸イミドを少なくとも含んでなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、互いに摺動する一対の摺動部材の摺動面間に潤滑油を給油しながら少なくとも一方の摺動部材を摺動させる摺動構造に係り、特に、これら部材の摺動面の摩擦特性が向上する摺動構造に関する。
従来から、自動車において、エンジン、トランスミッションなど様々な機器に摺動部材が用いられており、これらの摺動部材の摺動抵抗を低減してエネルギ損失を減らし、地球環境の保護のための今後の燃費規制に対応すべく、様々な研究開発が進められている。たとえば、このような研究開発の1つに、摺動部材の耐摩耗性を向上させると共に低摩擦特性を得るために、その摺動面にコーティングを行う技術があるが、近年、このコーティング材料として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの硬質炭素被膜が注目されている。一方、摺動部材を摺動するにあたって、摺動部材の摺動面に供給される潤滑油、グリースは、摺動部材の摺動特性に大きな影響を与えるため、摺動部材の材質、表面粗さ、その使用環境等を考慮して、流体潤滑となるように潤滑油・グリースを選定することは非常に重要である。
例えば、このような一例として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)部材と、鉄基部材との摺動面に、ポリブテニルコハク酸イミドなどの無灰系分散剤を含有した潤滑油組成物を用いた低摩擦摺動部材が提案されている(特許文献1参照)。
特開2005−60416号公報
しかし、上述したようなポリブテニルコハク酸イミドなどの無灰系分散剤を含有させた潤滑油を用いて、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)部材を摺動させた場合には、単に有機Mo化合物等の固体潤滑剤を用いた場合に比べて、摩擦抵抗を低減できるものではあるが、このような潤滑油を用いたとしても、ポリブデニルコハク酸イミドは、潤滑油中の汚濁物質を分散させる分散剤としての働きに期待したものであり、潤滑油の分子量、粘度等様々な諸条件を設定しないと、その効果を充分に発揮することができず、さらに、過酷な使用環境が前提となる自動車の搭載機器において、摩擦を充分に低減できるものであるとは言い難い。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、互いに摺動する一対の摺動部材の摩擦抵抗を確実に低減することができる摺動構造を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく多くの実験と研究を行うことにより、コハク酸イミドを含む潤滑油を給油しながら、ホウ素を含有した非晶質炭素被膜を形成した摺動部材を摺動させた場合には、潤滑油の分散剤として作用するばかりでなく、これらを所定の条件で摺動させたときに、非晶質炭素被膜のホウ素を起点としてコハク酸イミドに含有する窒素が反応し、自己潤滑性に優れた六方晶窒化ホウ素(BN)の薄膜が摺動部材に被覆され、さらに摺動時にこの薄膜が摩滅したとしても、非晶質炭素被膜中のホウ素とコハク酸イミドが再び反応するので、安定した摺動特性が得られるとの知見も得た。
本発明は、本発明者らが得た上記の新たな知見に基づくものであり、本発明の摺動構造は、互いに摺動する一対の摺動部材の摺動面間に潤滑油を給油しながら少なくとも一方の摺動部材を摺動させる摺動構造であって、少なくとも一方の摺動部材の摺動面には、5質量%以上のホウ素を少なくとも含有した非晶質炭素被膜が形成され、摺動面間に存在する潤滑油は、窒素が潤滑油の1質量%以上となる量のコハク酸イミドを少なくとも含んでいることを特徴としている。
本発明の如き摺動構造は、非晶質炭素被膜に含有したホウ素とコハク酸イミドに含有した窒素とが反応し、六方晶窒化ホウ素の薄膜が非晶質炭素被膜の表面に形成される。この六方晶窒化ホウ素は、摺動面に作用する摩擦抵抗を低減するに優れた材料であり、さらに、非晶質炭素被膜に含有したホウ素を起点として、コハク酸イミドの窒素が反応することにより得られたものであるので、単にこの潤滑剤中にホウ素系化合物を含有させたものに比べて、非晶質炭素被膜の表面に形成される薄膜の密着性は向上する。このようにして、摺動部材の摺動面に作用する摩擦抵抗を低減し、摩擦係数を下げることができる。
そして、このような薄膜を形成するためには、非晶質炭素被膜の総質量に対して、非晶質炭素被膜中にホウ素原子を5質量%以上含有させると共に、潤滑油の総質量に対して、窒素原子が1質量%以上となる量のコハク酸イミドを含ませる必要がある。すなわち被膜または潤滑油の少なくとも一方が、この所定量よりも少ない場合には、安定してこの薄膜を形成することが難しい。
また、より好ましくは、非晶質炭素被膜に含有したホウ素は、30質量%以下である。非晶質炭素被膜に含有したホウ素の量が5質量%〜30質量%の場合には、その量の増加に伴って摩擦係数を低減することができるが、30質量%よりも多くホウ素を含有したとしても、それ以上の摩擦係数の低減の効果は期待できず、成膜のコスト高を招き、さらには非晶質炭素被膜の表面硬さが低下してしまう可能性がある。
さらに、潤滑油に含まれるコハク酸イミドは、コハク酸イミドに含有する窒素が潤滑油の3質量%以下となる量であることがより好ましい。窒素が1質量%〜3質量%の場合には、その量の増加に伴って摩擦係数を低減することができるが、コハク酸イミドに含有する窒素を潤滑油の3質量%よりも多くなるようにコハク酸イミドを潤滑油に含めたとしても、それ以上の摩擦係数の低減の効果は期待できない。
このDLC被膜を成膜する方法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどを利用した物理的蒸着法(PVD)により成膜してもよく、プラズマ処理などを利用した化学気相成長法(CVD)により成膜してもよい。
例えば、スパッタリングによりDLC被膜を成膜する場合には、炭素材料とホウ素材料をターゲットとして用いるが、これらの材料の純度は99%以上であることが好ましい。これら材料の純度が、99%未満である場合には、成膜される非晶質炭素被膜に介在する不純物が増加し、この不純物が起点となって膜が摩耗・剥離する可能性がある。
さらに、このスパッタリングの際に、キャリアガス(例えばアルゴンガス)に所定の濃度の炭化水素系のガスを混入した処理ガスを基材と材料(ターゲット)との間に流すが、この炭化水素系のガスとしては、メタン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、プロパン及びこれらの組合せからなる群から選択されるガスがより好ましい。また、この処理ガス中の炭化水素系ガスの体積率が、5%から15%の範囲にあることが好ましい。5%よりも少ない場合には、緻密な膜が形成できず、摺動に耐えられない。また15%よりも多い場合には、硬さがビッカース硬さHv1500未満となり、充分な耐摩耗性を得ることができない。
さらに、スパッタリングを行う際にバイアス電圧は、100V以上必要であり、それ未満である場合には、緻密な膜が形成されない。また、成膜時の基材の温度は、100℃〜250℃が好ましい。この温度が100℃未満である場合には、膜そのものを形成することができず、さらに250℃を越えた場合であっても、膜の性能は変化せず、成膜コストが高くなるため好ましいとはいえない。
また、バイアス電圧をかけてPVDにより成膜をする場合には、バイアス電圧の大きさを所定電圧に設定することにより、被膜の表面硬さを調整することができる。また、この非晶質炭素被膜中に、Si、Ti、Cr、Fe、Wなどの添加元素を含有させてもよく、このような元素を添加することにより、被膜の表面硬さを調整することもできる。
この非晶質炭素被膜は、基材との密着強度が低下しないように、非晶質炭素材料からなる表面硬質層と、Cr、Ti、W、Ni及びこれらの組合せからなる群から選択される元素を含む密着層と、を積層することが好ましい。このような密着層を設けることにより、表面硬質層と基材との密着性を高め、摺動時に、表面硬質層が基材から剥離することを防止することができる。
より好ましい態様としては、この非晶質炭素被膜は、表面硬質層と密着層との間に中間層をさらに設け、この中間層は、表面硬質層から密着層に近づくに従って、密着層の元素の組成になるように、非晶質炭素材料に前記元素が添加されている。このように、傾斜的に、非晶質炭素材料に、Cr、Ti、W、Ni及びこれらの組合せからなる群から選択される元素を添加することにより、表面硬質層に隣接した中間層の界面は、表面硬質層に近い又は同じ組成となり、一方、密着層に隣接した中間層の界面は、密着層に近い又は同じ組成となるので、この中間層が、表面硬質層と密着層との密着性をさらに向上させ、薄膜の密着強度を向上させることができる。
好ましい態様としては、非晶質炭素被膜の表面粗さは、中心線平均粗さRa0.01〜0.1μmである。このような表面粗さを得るためには、被膜前のこれら摺動部材の基材の表面粗さを、前記表面粗さの範囲に調整することにより達成することができる。この非晶質炭素被膜の表面粗さが、中心線平均粗さRa0.1μmよりも大きい場合には、たとえ六方晶窒化ホウ素の薄膜が形成されたとしても、その表面が粗すぎるため充分に摩擦係数を低減する効果を発揮することができない。さらに、表面粗さが、中心線平均粗さRa0.01μmよりも小さくしたとしても、それ以上の効果は期待できず、基材の前研磨工程に時間と費用を要し、好ましいものであるとはいえない。また、非晶質炭素被膜の表面硬さは、Hv1000〜5000がより好ましい。表面硬さがHv1000よりも小さいと、この被膜が摩滅してしまうからであり、Hv5000よりも大きいと、被膜の密着性が低下してしまうからである。
このようなコハク酸イミドは、前述したような量を含有していれば特に限定されるものではないが、アルケニル基又はアルキル基を有する分子量200〜4000のコハク酸イミドが好ましい。また、この一対の摺動部材との間に介在させる潤滑油のベース油は、前述したようなコハク酸イミドの量を満足するのであれば特に限定されるものではなく、鉱油、合成油など特に限定されるものではなく、軸受油、ギヤ油、エンジン油に用いることができる。また、このような潤滑油は、潤滑油としての性能を維持するために、前述したような組成を満足するのであれば、酸化防止剤、摩耗防止剤、極圧剤、摩擦調整剤、金属不活性剤、清浄剤、防錆剤、泡消剤などを適宜追加することができる。また、潤滑油の変わりに、コハク酸イミドを含む基油にさらに増稠剤を分散させたグリースであってもよい。
本発明は、上述した摺動構造の好適な摺動方法として以下に示す摺動方法をも開示する。ホウ素を含有した非晶質炭素被膜が形成された摺動部材の摺動面に、六方晶窒化ホウ素被膜が形成されるように、コハク酸イミドを含んだ潤滑油を給油しながら、前記摺動部材を摺動させることを特徴としており、この非晶質炭素被膜には、5質量%以上のホウ素を少なくとも含有させ、さらに、潤滑剤に窒素が潤滑油の1質量%以上となる量のコハク酸イミドを少なくとも含ませて、この摺動部材を摺動させることがより好ましい。このように、摺動部材の表面に、自己潤滑性に優れた六方晶窒化ホウ素被膜が形成されるので、摺動部材の摩擦係数を低減することができる。
本発明によれば、互いに摺動する一対の摺動部材の摩擦係数を確実に低減することができることができる。この結果、摺動部材を用いた機器の摩擦エネルギの損失を低減することができ、効率のよい運転を行うことができる。さらに、このような摩擦係数の低減に伴い、摺動面の焼付き、かじりなどを抑制し、機器の長寿命化が期待される。
以下に、本発明を実施例により説明する。
[実施例1]
(摺動部材)
以下に、本発明に係る摺動構造における一対の摺動部材として、ブロック試験片とリング試験片とを製作した。
ブロック試験片:非晶質炭素被膜を形成する基材として、表面粗さを中心線平均粗さRa0.05μmにした15.7×10.0×6.3mmのステンレス鋼(SUS440C:JIS規格)を準備し、この基材の15.7×6.3mmの表面にスパッタリング装置(神戸製鋼所製)を用いて、非晶質炭素被膜を成膜した。この成膜条件としては、純度99.99%の炭素材料からなるターゲット(グラファイトターゲット)、純度99.99%のホウ素からなるターゲット、を配置し、これらターゲットと基材との間に、アルゴンガス(不活性ガス)と、メタンガス(炭化水素系ガス)とからなる処理ガスを、処理ガス中のメタンガスの体積率が5%となるよう調整して流した。そして、この処理ガスを流した状態で、成膜温度(具体的には基材の温度)を200℃に保持して、ターゲットと基材との間に100Vに調整したバイアス電圧をかけながら、プラズマを発生させて、基板の表面にこれらターゲットのスパッタ粒子をスパッタリングすることにより、6質量%のホウ素を少なくとも含有し、膜厚(層厚)が1μm、表面粗さが中心線平均粗さRa0.05μmとなるように非晶質炭素被膜(DLC被膜)を成膜した。
リング試験片:材質SAE4620からなる直径35.0mm、厚さ8.7mの中空円筒試験片を製作し、さらにこの外周面の表面粗さをRa0.25μmにした。
(潤滑油)
ベース油(SAE粘度グレード5W−30の市販エンジン油)に、窒素(原子)が潤滑油の総量の3質量%以上となる量のコハク酸イミドを含有させて、潤滑油とした。
(摩擦試験)
図4に示すように、上に示すブロック試験片10、リング試験片20、及び潤滑油30を組合せて、摩擦試験(ブロックオンリング試験:LFW−1試験)を行った。具体的には、リング試験片20の一部に潤滑油30が浸かるように、湯浴槽40に潤滑油30を張り、油温を80℃に保持した状態でリング試験片20を160rpm(周速0.3m/s)で回転させて試験片表面に油膜を形成させ、リング試験片20の外周面にブロック試験片10を接触させて荷重30kgf(320MPa)を負荷しながら、30分間の連続試験を行った。そして、このときに、リング試験片20に作用する回転抵抗(摺動抵抗)を、装置に取り付けたロードセルにより検出し、摩擦係数を測定した。この結果を表1及び図1に示す。
[実施例2〜4]
実施例1と同様に摺動部材を製作し、これに給油する潤滑油を準備した。実施例1と異なる点は、実施例2〜4のブロック試験片の摺動面に形成した非晶質炭素被膜に含有するホウ素の含有量を順次、10質量%、25質量%、35質量%にした点である。実施例2〜4についても、実施例1と同じ潤滑油を用いて、摩擦試験を行って摩擦係数を測定した。この結果を表1及び図1に示す。
[比較例1及び2]
実施例1と同様に摺動部材を製作し、これに給油する潤滑油を準備した。実施例1と異なる点は、比較例1及び2のブロック試験片の摺動面に形成した非晶質炭素被膜に含有するホウ素の含有量を順次、0質量%、4質量%にした点である。比較例1及び2についても、実施例1と同じ潤滑油を用いて、摩擦試験を行って摩擦係数を測定した。この結果を表1及び図1に示す。
Figure 2007099949
[結果1]
実施例1〜4の摺動部材の摩擦係数μは、0.06以下であり、ホウ素の含有量が多くなるに従って摩擦係数は低減された。さらに、実施例1〜4の摺動部材の摩擦係数は、比較例1,2に比べて小さかった。
[評価1]
上述した結果1から、実施例1〜4の摺動部材の摩擦係数が低減した理由は、非晶質炭素被膜に含有したホウ素とコハク酸イミドに含有した窒素とが反応し、摺動面に作用する摩擦抵抗を低減するに優れた材料である六方晶窒化ホウ素の薄膜が、非晶質炭素被膜の表面に形成されたからであると考えられる。
また、実施例1〜3の摩擦係数と、実施例4の摩擦係数との結果から、非晶質炭素被膜に多くのホウ素を含有させたとしても、それ以上の摩擦係数の低減の効果は期待できず、成膜のコスト高を招き、さらには非晶質炭素被膜の表面硬さが低下してしまう可能性がある。このようなことから、非晶質炭素被膜中に含有する最適なホウ素の量は、5質量%以上であり、より好ましくは、その含有量は30質量%以下である。
[実施例5〜8]
実施例2と同様に摺動部材を製作し、これに給油する潤滑油を準備した。実施例2と実施例7とは同じであり、実施例5,6,8は、順次、潤滑油に含めたコハク酸イミドの窒素が潤滑油の1質量%,2質量%,4質量%となるようにした点が、実施例2(実施例7)とは異なる。これらについて、実施例2と同じように摩擦試験を行い、摩擦係数を測定した。その結果を表2及び図2に示す。
[比較例3及び4]
実施例5と同様に摺動部材を製作し、比較例3,4は、順次、潤滑油に含めたコハク酸イミドの窒素が潤滑油の0質量%,0.5質量%となるようにした点が、実施例5とは異なる。比較例3及び4についても、実施例5と同じように摩擦係数を測定した。この結果を表2及び図2に示す。
Figure 2007099949
[結果2]
実施例5〜8の摺動部材の摩擦係数μは、0.07以下であり、コハク酸イミドの含有量が多くなるに従って摩擦係数は低減された。さらに、実施例5〜8の摺動部材の摩擦係数は、比較例3,4に比べて小さかった。
[評価2]
上記結果2から、実施例5〜8の摺動部材の摩擦係数が低減した理由は、非晶質炭素被膜に含有したホウ素とコハク酸イミドに含有した窒素とが反応し、摺動面に作用する摩擦抵抗を低減するに優れた材料である六方晶窒化ホウ素の薄膜が、非晶質炭素被膜の表面に形成されたからであると考えられる。
また、実施例5〜7の摩擦係数と、実施例8の摩擦係数との結果から、コハク酸イミドに含有する窒素を潤滑油の3質量%よりも多くなるようにコハク酸イミドを潤滑油に含めたとしても、それ以上の摩擦係数の低減の効果は期待できず、潤滑油のコストが高くなってしまう。よって、潤滑油の総質量に対して、窒素が1質量%以上となる量のコハク酸イミドを含ませる必要があり、より好ましくは、その含有量は3質量%以下である。
[実施例9〜12]
実施例2と同様に摺動部材を製作し、これに給油する潤滑油を準備した。実施例2と実施例11とは同じであり、実施例9,10,12は、順次、ブロック試験片の非晶質炭素被膜の表面粗さを、順次、中心線平均粗さRa0.01μm,0.03μm,0.1μmにした点が、実施例2と異なる。実施例2と同じ潤滑油を用いて、摩擦試験を行って摩擦係数を測定した。この結果を表3及び図3に示す。
[比較例5]
実施例9と同様に摺動部材を製作し、これに給油する潤滑油を準備した。実施例5は、ブロック試験片の非晶質炭素被膜の表面粗さを、中心線平均粗さRa0.12μmにした点が、実施例9と異なる。実施例9と同じ潤滑油を用いて、摩擦試験を行って摩擦係数を測定した。この結果を表3及び図3に示す。
Figure 2007099949
[結果3]
実施例9〜12の摺動部材の摩擦係数μは、0.06以下であり、非晶質炭素被膜の表面が粗くなるに従って摩擦係数の値も増加した。また、実施例9〜12の摺動部材の摩擦係数μは、比較例5に比べて小さかった。
[評価3]
上記結果3から、たとえ、非晶質炭素被膜に含有したホウ素とコハク酸イミドに含有した窒素とが反応し、摺動面に作用する摩擦抵抗を低減するに優れた材料である六方晶窒化ホウ素の薄膜が、非晶質炭素被膜の表面に形成されたとしても、比較例5の摺動部材の表面は、粗すぎるため充分に摩擦係数を低減する効果を発揮することができない。よって、この非晶質炭素被膜の表面粗さは、中心線平均粗さRa0.1μm以下であることが好ましい。さらに、この面粗さが、中心線平均粗さRa0.01μmよりも小さくしたとしても、それ以上の効果は期待できず、基材の前研磨工程に時間と費用を要し、好ましいものであるとはいえない。
本実施例の摺動機構は、車両のトランスミッションのシフトフォークとハブスリーブ、エンジンのピストンリングとシリンダの摺動部材など、摺動する頻度が高い環境下において使用されることが好ましい。
実施例1〜4の摺動構造と比較例1,2の摺動構造の摩擦試験結果を示した図。 実施例5〜8の摺動構造と比較例3,4の摺動構造の摩擦試験結果を示した図。 実施例9〜12の摺動構造と比較例5の摺動構造の摩擦試験結果を示した図。 摩擦試験を説明するための図。

Claims (5)

  1. 互いに摺動する一対の摺動部材の摺動面間に潤滑油を給油しながら少なくとも一方の摺動部材を摺動させる摺動構造であって、
    少なくとも一方の摺動部材の摺動面には、5質量%以上のホウ素を少なくとも含有した非晶質炭素被膜が形成され、
    摺動面間に存在する潤滑油は、窒素が潤滑油の1質量%以上となる量のコハク酸イミドを少なくとも含んでいる、
    ことを特徴とする摺動構造。
  2. 前記非晶質炭素被膜に含有したホウ素は、30質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の摺動構造。
  3. 前記潤滑油に含まれるコハク酸イミドは、コハク酸イミドに含有する窒素が潤滑油の3質量%以下となる量であることを特徴とする請求項2または3に記載の摺動構造。
  4. 非晶質炭素被膜の表面粗さは、中心線平均粗さRa0.01〜0.1μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の摺動構造。
  5. ホウ素を含有した非晶質炭素被膜が形成された摺動部材の摺動面に、六方晶窒化ホウ素被膜が形成されるように、コハク酸イミドを含んだ潤滑油を給油しながら、前記摺動部材を摺動させることを特徴とする摺動方法。
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