JP2007098908A - 金型及び熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

金型及び熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性に優れた押出成形法により、厚み精度が非常に高いフィルムを得ることを可能とする金型、並びに厚み精度が非常に高い熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】平面部3からなるリップエッジ1cが設けられた金型1であって、リップエッジ1cは長さ方向と幅方向とを有し、金型1は、リップエッジ1cの両側縁にリップエッジ1cの長さ方向に延びる丸められた縁部4,5を有し、リップエッジ1cに対して略直交する方向から観測したときに、リップエッジ1cの幅方向寸法である輝線幅Aのリップエッジ1cの長さ方向における平均値が5〜50μmであり、輝線幅差の最大値が2μm/5mm以下であり、かつリップエッジ1cの幅方向に沿う縁部4,5の寸法である縁部幅のリップエッジ1cの長さ方向における平均値が2μm以下である、金型1。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば液晶ディスプレイなどにおいて位相差補償フィルム等のフィルムの製造に用いられる金型に関し、より詳細には、熱可塑性樹脂の押出成形に用いられる金型、及び該金型を用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイなどに用いられる位相差補償フィルムにおいては、位相差むらによるスジ状の色むらが品質を低下させるため問題となっている。位相差補償フィルムは、一般に、無延伸の原反樹脂フィルムを延伸し、歪みを持たせることにより製造される。しかしながら、原反樹脂フィルム段階で厚みむらが生じていると、延伸により得られた位相差補償フィルムにおいて上記厚みむらに起因する位相差むらが生じることとなる。従って、位相差のばらつきを小さくするには、原反樹脂フィルムの厚みばらつきを小さくすることが必要であり、原反樹脂フィルムの製造工程において、厚み精度に優れた樹脂フィルムを成形することが重要となってきている。
上記のような観点から、従来、位相差補償フィルム等の光学フィルム用の原反樹脂フィルムの製造に際しては、厚み精度を高めることができるため、溶液流延法による製法が多用されてきている。
しかしながら、溶液流延法による製膜では、生産性が十分でなく、かつ溶剤コストが高くつくという問題があった。そのため、溶融押出による製膜方法の採用が検討されている。
例えば、下記の特許文献1には、液晶表示装置の偏光板などに用いられるポリビニルアルコールフィルムの製造方法であって、溶融押出成形法を用いた製造方法が開示されている。ここでは、フレキシブルリップからなるダイを用い、該フレキシブルリップのリップエッジの曲率半径Rを200μm以下とすることにより、厚みばらつきの少ないポリビニルアルコールフィルムを押出成形により得ることができると記載されている。
特開2002−28941号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、リップ間隔を調整し、かつフレキシブルリップのリップエッジの曲率半径Rを小さくしたとしても、光学フィルムに要求されるような高い厚み精度を有する樹脂フィルムを押出成形により得ることはやはり非常に困難であった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、生産性に優れた押出成形法により、例えば光学フィルム等に要求される厚み精度が非常に高いフィルムを得ることを可能とする金型、並びにこのような厚み精度が非常に高い熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明は、熱可塑性樹脂の押出成形に用いられ、面取りにより形成された平面部からなるリップエッジが設けられた金型であって、リップエッジは長さ方向と幅方向とを有し、金型は、リップエッジの両側縁にリップエッジの長さ方向に延びる丸められた縁部を有し、リップエッジに対して略直交する方向から観測したときに、リップエッジの幅方向寸法である輝線幅のリップエッジの長さ方向における平均値が5〜50μmであり、輝線幅差の最大値が2μm/5mm以下であり、かつリップエッジの幅方向に沿う縁部の寸法である縁部幅のリップエッジの長さ方向における平均値が2μm以下であることを特徴とする。
本発明に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、本発明に従って構成された金型を用いて熱可塑性樹脂を押出成形することを特徴とする。
本発明に係る金型は、熱可塑性樹脂の押出成形に用いられる。金型には、面取りにより形成された平面部からなるリップエッジが設けられている。リップエッジは長さ方向と幅方向とを有し、金型は、リップエッジの両側縁にリップエッジの長さ方向に延びる丸められた縁部を有する。この金型を用いて、熱可塑性樹脂を押出成形することにより、フィルムが得られる。
本発明では、リップエッジに対して略直交する方向から観測したときに、リップエッジの幅方向寸法である輝線幅のリップエッジの長さ方向における平均値が5〜50μmであり、輝線幅差の最大値が2μm/5mm以下であり、かつリップエッジの幅方向に沿う縁部の寸法である縁部幅のリップエッジの長さ方向における平均値が2μm以下とされているため、熱可塑性樹脂フィルムの押出成形が安定に行われ、厚みむらの少ないフィルムを提供することができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法では、上記のように構成された金型を 用いて熱可塑性樹脂を押出成形するため、フィルムの幅方向において、均一な厚みのフィルムを得ることができる。よって、得られたフィルムは、位相差板などの光学フィルムとして好適に用いられ得る。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明することにより本発明を明らかにする。
本発明の一実施形態に係る金型を図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態の金型を示す模式的断面図である。金型1は流路2を有し、流路2から排出口2aを経て樹脂が押し出されるように構成されている。
図2(a)に斜視図で示すように、金型1はランド面1aと、ランド面1aに直交する天面1bとを有する。金型1のランド面1aと天面1bとの角には、リップエッジ1cが設けられている。リップエッジ1cは、面取りされて形成された平面部からなる。金型1では、天面1bとリップエッジ1cとのなす内角θが135度とされている。リップエッジ1cは、ランド面1aに対して傾斜している傾斜面とされている。
リップエッジ1cは、長さ方向Xと幅方向Yとを有する。なお、押出されるフィルムの幅方向がリップエッジの長さ方向Xに対応している。金型1は、リップエッジ1cの両側縁に、リップエッジ1cの長さ方向Xに延びており、かつ丸められた縁部4,5を有する。縁部4,5は、ランド面1a及び天面1bにそれぞれ連ねられている。
本実施形態の特徴は、輝線幅のリップエッジ1cの長さ方向Xにおける平均値が5〜50μm、輝線幅差の最大値が2μm/5mm以下、かつ縁部幅のリップエッジの長さ方向Xにおける平均値が2μm以下とされていることにある。
リップエッジ1cの幅方向寸法である輝線幅、およびリップエッジ1cの幅方向Yに沿う縁部4,5の寸法である縁部幅の測定にはマイクロスコープが用いられる。
図2(b)は、輝線幅を測定する方法を説明するための斜視図である。ここでは、天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に45度の角度傾けられた方向、すなわちリップエッジ1cに対して略直交する方向から光を照射し得るようにマイクロスコープ6が固定されている。
リップエッジ1cに対して略直交する方向から、該マイクロスコープ6により一定の光をリップエッジ1cに照射したときに、リップエッジ1cにおいて反射される、リップエッジ1cの幅方向Yに沿う光の幅が輝線幅として測定される。すなわち、リップエッジ1cに対して略直交する方向から観測したときに、リップエッジ1cの幅方向寸法が輝線幅として測定される。
また、リップエッジ1cの長さ方向Xに5mm間隔でマイクロスコープ6をスライドさせながら、5mm間隔の各測定位置で輝線幅を上述のように測定する。この間隔で測定された各輝線幅を平均することにより、輝線幅の平均値が求められる。また、測定された各輝線幅について、隣り合う輝線幅の測定値の差の絶対値をそれぞれ算出して輝線幅差とし、最も大きな値である輝線幅差を輝線幅差の最大値とする。
図3は、リップエッジ1cの幅方向Yに沿う縁部4,5の寸法である縁部幅を測定する方法を説明するための図である。上記輝線幅の測定の場合と同様の位置にマイクロスコープ6を固定した後、リップエッジ1cに対して略直交する方向から、マイクロスコープ6により一定の光を縁部4,5に照射する。その結果、縁部4,5において光が反射される部分のリップエッジ1cの幅方向Yに沿う光の幅が縁部4,5の幅として測定される。
すなわち、図3に略図的に示すように、マイクロスコープ6から縁部4,5を観測したときに、リップエッジ1cの幅Aの輝線幅領域の両側縁に、リップエッジ1cにおける輝線ほど明るくはない部分が観察される。この部分のリップエッジ1cの幅方向Yに沿う寸法Bが縁部4,5の幅として測定される。このように、縁部4,5が光って見えるのは、縁部4,5によりマイクロスコープ6からの光が部分的に反射され、マイクロスコープ6により集光されるためである。なお、リップエッジ1cの長さ方向Xに5mm間隔でマイクロスコープ5をスライドさせながら、5mm間隔の各測定位置で縁部幅を測定する。測定された各縁部幅を平均することにより、縁部幅の平均値が求められる。
ところで、金型のリップエッジの横断面形状が曲面状とされており、かつ流路面や天面の加工の不備によってリップエッジの形状が部分的に異なっている場合、実際にはリップエッジの幅が均一でない部分があるが、リップエッジに略直交する方向からリップエッジの輝線幅を観測したときには、輝線幅が均一となることがあった。例えば、リップエッジの横断面形状の外縁が真円の円弧ではなく、ランド面側に向かってリップエッジが広くなっている部分がある場合には、実際にはリップエッジの幅が異なる部分があるが、リップエッジに略直交する方向から輝線幅を見たときに、輝線幅が均一となることがあった。
また、金型のリップエッジの横断面形状が曲面状とされている場合には、リップエッジに略直交する方向、すなわち天面に直交する方向からリップエッジ側に45度の角度傾けられた方向からリップエッジを観測した場合と、天面に直交する方向からリップエッジ側に30度の角度傾けられた方向から観測した場合とでは、輝線幅が異なることがあった。よって、リップエッジの横断面形状が曲面状とされている場合には、リップエッジの形状を把握して厚みむらの少ないフィルムを得るためには、輝線幅を複数の角度から測定する必要があった。
本発明では、金型1のリップエッジ1cは面取りにより形成された平面部からなるので、リップエッジ1cに略直交する方向から輝線幅を測定すればよい。
リップエッジを加工する方法として、ランド面1aおよび天面1bを機械研削する前後に、リップエッジを砥石やラッピングペーパー等で手研磨を行う方法が挙げられる。手研磨を行うことで、後工程において機械研削によるリップエッジのバリ等の発生を抑制することができる。
次いで、面取り加工を行う。面取り方法としては、特に限定されないが、機械加工による面取りが一般的に行われ、手研磨による面取りも研磨精度が高く、好ましく行われる。
機械加工による面取り方法としては、特に限定されないが、機械研削用の砥石をあらかじめ面取り角度に削り、この砥石により機械研削を行う方法や、金型を面取り角度分傾けて機械研削を行う方法などが挙げられる。
本発明では、輝線幅の平均値を小さくするよりは、リップエッジの長さ方向Xにおいて輝線幅を均一にし、輝線幅差の最大値を小さくすることが非常に重要である。
本発明では、上記のように測定されたリップエッジ1cの幅方向寸法である輝線幅のリップエッジ1cの長さ方向Xにおける平均値は5〜50μmである。輝線幅が小さいほど、一般的にダイラインの原因となる目脂と呼ばれる滞留樹脂がリップエッジに付着し難くなる。しなしながら、輝線幅が小さすぎると、リップエッジの研削工程で、リップエッジの欠陥が生じやすくなり、金型を用いてフィルムを成形したときに該欠陥に起因するダイラインが発生することがある。よって、本発明では、輝線幅の平均値は上記範囲とされる。
本発明では、上記のように測定された輝線幅差の最大値は2μm/5mm以下である。輝線幅差の最大値が2μm/5mmより大きいと、金型を用いてフィルムを成形したときに、フィルムの厚みむらが大きくなる。
本発明では、上記のように測定されたリップエッジ1cの幅方向Yに沿う縁部4,5の寸法である縁部幅のリップエッジ1cの長さ方向Xにおける平均値は2μm以下である。縁部幅の平均値が2μmより大きいと、金型を用いてフィルムを成形したときに、フィルムの厚みむらが大きくなる。
上記金型1では、天面1bとリップエッジ1cとのなす内角の角度θは135度の角度とされている。天面とリップエッジとのなす内角の角度θは、リップエッジの加工精度やフィルム製造時の目脂の発生に影響するので、好ましくは110〜160度の範囲であり、より好ましくは120〜150度、最も好ましくは135度である。もっとも、天面とリップエッジとのなす内角の角度θが135度と異なる角度、例えば110〜160度の範囲とされた場合でも、リップエッジの縁部幅の平均値は、それぞれ上記範囲内にある必要がある。
フィルムの製造に際して用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、好ましくは、非晶性熱可塑性樹脂が用いられる。非晶性熱可塑性樹脂とは、ほとんど結晶構造をとりえない無定形状態を保つ高分子であり、例えば、ポリサルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルまたはノルボルネン系樹脂などが挙げられる。上記非晶性熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
フィルムの製造に際して、上記熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で、必要に応じて、種々の添加剤が添加されてもよい。このような添加剤としては、熱可塑性樹脂の劣化防止や、成形された光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、あるいは平滑性などを向上させる様々な添加剤が挙げられ、フェノール系もしくはリン系の酸化防止剤、ラクトン系などの熱劣化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系などの紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系や部分エーテル系などの滑剤;アミン系などの帯電防止剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、1種もしくは2種以上添加され得る。
金型のリップランド面では、真直度は10μm未満であることが好ましく、より好ましくは5μm以下であり、面粗度はJIS B 0601において規定されているRy値で0.1μm以下であることが望ましい。また、ピットやピンホールがないことが望ましく、リップエッジの欠けの大きさはエッジ先端から流入方向側に向かって15μm未満であることが望ましい。
金型の材質としては、硬度が高いものが好ましい。特に、金型出口であるリップランドは硬度が高いほど、真直度等の機械加工精度を高め得るので、好ましい。通常、金型、特にリップランド表面には表面処理が施される。表面処理の種類としては、特に限定されないが、ハードクロムメッキ(HCr)、タングステンカーバイト(WC)無電解ニッケル等が挙げられる。
本発明では、押出機に取り付けられた金型から上記熱可塑性樹脂がシート状に押し出され、しかる後、冷却ロールに密着される。図4は、本発明に係る金型12が用いられ、熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられる装置の概略構成図である。図4に示すように、押出機11から熱可塑性樹脂が押し出され、金型12に供給される。金型12で熱可塑性樹脂が製膜され、フィルム15が排出され、冷却ロール13に接触され、冷却される。なお、14はタッチロールであり、冷却ロール13にフィルム15を接触させるために設けられている。このようにして得られたフィルム15は、ロール16,17を経て巻き取られる。
本発明に係る金型を用いてフィルムを製造すると、フィルム15の厚みむらを効果的に低減することができる。ここで、厚みむらとは、ある測定点における厚みと、フィルム15の幅方向において5mm隔てられた位置における厚みとの差の絶対値をいうものとする。なお、リップエッジ1cの長さ方向Xに沿って、フィルムの幅方向が構成される。
金型12の出口から半溶融状態のフィルム15が排出され、該フィルム15が冷却ロール13に接触される。ここで、上記金型12の出口からフィルム15が冷却ロール13に接する接点までの距離、すなわちエアギャップは短いほうが好ましい。エアギャップが短いほうが、外乱による厚みばらつきを低減することができる。従って、エアギャップは70mm以下とすることが望ましい。
また、フィルム15が冷却ロール13に接触する際に、冷却ロール13とフィルム15との間に空気が入らないことが望ましく、かつ冷却速度が全面で均一であることが望ましい。従って、上記接点の下流側近傍において、タッチロール14などの押圧手段によりフィルム15を冷却ロール13側に押圧することが望ましい。
押圧手段としては、タッチロール14に限定されず、エアナイフや静電ピニングなどを用いてもよい。もっとも、安定性に優れ、フィルム15を均一に冷却ロール13に圧接させ得るため、弾性材料からなる表面を有するタッチロールを用いることが望ましい。
冷却ロールの温度は、フィルム15を構成する樹脂の種類によっても異なるが、用いられている樹脂のガラス転移点をTgとしたとき、Tg−10℃〜Tg−100℃の範囲であることが望ましい。
フィルムの平滑性と透明性とを確保するために、冷却ロール13の表面粗さは、JIS B0601に定義されているRy値で0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下とすることが好ましい。上記冷却ロール13は様々な材料で構成され得るが、好ましくは金属からなり、例えば炭素鋼やステンレス鋼などにより構成されているものが好適に用いられる。金属からなる冷却ロール13を用いた場合、冷却ロール13の温度を速やかに一定温度に維持することができ、かつフィルム15を効率よく冷却することができる。
金型12の温度がばらついていると、樹脂の流動性が変化するので、金型12の温度は安定していることが望ましい。好ましくは、フィルム15を構成する溶融樹脂に接触する部分の金型12の温度は、設定温度±0.5℃以内、より好ましくは設定温度±0.2℃以内に保たれていることが望ましい。
また、一般に、ロール温度は樹脂の固化点に大きく影響を与える。従って、冷却ロール13を様々な温度に温度調節できる構造を有するように、冷却ロール13の軸芯部に温度調節機構を連結もしくは内蔵する構造とすることが望ましい。好ましい温度調節手段としては、シーズヒーターを軸芯部に組み込んで冷却ロール13を適当な温度に設定するように加熱する電気加熱方式の温度調節手段、あるいは誘導発熱コイルによる電磁誘導作用による温度調節手段、軸芯部に設けられた流路に温度制御用の熱媒体を循環させて冷却ロールを設定温度に加熱する熱媒体循環加熱方式などの温度調節手段が用いられ得る。特に好ましいのは、熱媒体循環加熱方式であり、熱媒体としては気体を用いてもよく、水または油などの液体を用いてもよい。好ましくは、熱容量が大きい、水や油などの液体を用いることが望ましい。このような熱媒体流路の好適な例としては、内部に二条スパイラル構造または四条スパイラル構造を有するものが挙げられる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
(フィルムの製造)
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR1420」、Tg=135℃)を用意し、110℃の温度で3時間予備乾燥した。
図4に概略構成を示した装置を用い、押出成形によりフィルム得た。なお、図4に示した製造装置の仕様は、以下の通りである。
押出機11…単軸式押出機
金型12…有効幅1800mm、片面ベンディング式自動金型、流路面表面処理=HCrメッキ及びWCの溶射の2種類の金型を用意した。
冷却ロール13…3本ロール方式、有効幅1900mm、熱媒体温度調節機構が備えられたものである。熱媒体としてはオイルを用いた。
タッチロール14…金属の芯金ロールにゴムライニングを施したもの。
上記製造装置を用い、押出機11からの押出速度を120kg/時間とし、金型12の温度を280℃とし、冷却ロール13の温度を120℃、タッチロール14の温度を110℃、フィルムの有効幅を1400mm、エアギャップを65mmとし、押出成形によりフィルムを製造した。
(輝線幅の測定)
マイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルHFマイクロスコープVH8000)を用い、輝線幅を測定した。図2(b)は、輝線幅を測定する方法を説明するための図である。天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に45度の角度傾けられた方向、すなわちリップエッジ1cに対して略直交する方向から光を照射し得るようにマイクロスコープ6を配置した。該マイクロスコープ6により、リップエッジ1cに一定の光を照射しつつ、リップエッジ1cにおいて反射される、リップエッジ1cの幅方向に沿う光の幅である輝線幅を測定した。また、輝線幅差の測定は、以下の要領で行った。
マイクロスコープ6を5mm間隔で、リップエッジ1cの長さ方向Xにスライドさせながら、5mm間隔の各測定位置でリップエッジ1cの輝線幅を上述のようにして測定した。また5mm間隔で測定された隣り合う輝線幅の測定値の差の絶対値を計算し、輝線幅差とした。
さらに、天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に75度の角度傾けられた方向から光を照射し得るようにマイクロスコープを配置して、上述のようにして輝線幅及び輝線幅差を測定した。
(縁部幅の測定)
マイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルHFマイクロスコープVH8000)を用い、縁部幅を測定した。天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に45度の角度傾けられた方向、すなわちリップエッジ1cに対して略直交する方向から光を照射し得るようにマイクロスコープ6を配置した。図3に示すように、マイクロスコープ6から見たときに、リップエッジ1cの幅Aの輝線幅の両側縁に、網掛け付して示す光る部分が見られるが、この光る部分のリップエッジ1cの幅方向に沿う縁部4,5の幅Bを縁部幅として測定した。なお、マイクロスコープ6を5mm間隔で、リップエッジ1cの長さ方向Xにスライドさせながら5mm間隔の各測定位置で縁部4,5の幅を上述のようにして測定した。
さらに、天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に75度の角度傾けられた方向から光を照射し得るようにマイクロスコープを配置して、上述のようにして縁部幅を測定した。
(フィルムの評価)
上記のようにして得られたフィルムについて、フィルム厚み測定器(セイコーEM社製、接触式厚み測定器Millitron1240)を用い、フィルムの厚みを測定した。また、フィルムの幅方向において5mm間隔で厚みを測定し、5mm間隔の各測定位置でフィルム厚みを測定し、その平均値を求めた。また、5mm間隔の隣り合う測定点の厚みの差の絶対値をそれぞれ算出してフィルム厚み差とし、最も大きな値であるフィルム厚み差をフィルム厚み差最大値とした。なお、リップエッジの長さ方向Xに沿って、フィルムの幅方向が形成されるので、フィルムの幅方向において厚みむらが大きい場合には、リップエッジの長さ方向Xにおいて金型の形状が不均一であることを意味する。
また、厚みむらを下記評価基準で判定した。
厚みむら判定基準
〇:0.1μm/5mm以下
×:0.1μm/5mmを超える
結果を、下記の表1に示す。
Figure 2007098908
表1から明らかなように、実施例1,2の金型ではいずれも、天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に45度の角度で傾けられた方向、すなわちリップエッジ1cに対して略直交する方向から観測したときに、輝線幅の平均値はそれぞれ20.5、25.0μm、輝線幅差の最大値は2μm/5mm以下、縁部幅の平均値は2μm以下であった。一方、天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に75度傾けられた方向から観測したときに、輝線幅及び片側の縁部幅は観測されなかった。この実施例の金型を用いて製造されたフィルムでは、厚みむらの最大値が0.10μm/5mm以下と非常に小さかった。
他方、比較例1の金型では、天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に45度の角度で傾けられた方向から観測したときに、輝線幅が26.5μm、輝線幅差の最大値が1.0μm/5mmであった。一方、天面1bに直交する方向からリップエッジ1c側に75度の角度で傾けられた方向から観測した場合には、片側の縁部幅は観測されず、輝線幅は11.0μm、輝線幅差の最大値は0.9μm/5mmであった。この比較例の金型を用いて製造されたフィルムでは、厚みむらの最大値が0.18μm/5mmと大きかった。
従って、実施例及び比較例の評価から明らかなように、面取りにより形成された平面部からなるリップエッジが設けられており、リップエッジ1cに対して略直交する方向からを観測したときに、輝線幅の平均値が5〜50μmであり、輝線幅差の最大値が2μm/5mm以下であり、かつ縁部幅の平均値が2μm以下である金型を用いることによって、フィルムの厚み精度を高め得ることがわかる。
本発明で用いられる金型の流路面を示す模式的断面図。 (a)及び(b)は、本発明において用いられる金型の輝線幅を説明するための略図的斜視図、及び輝線幅を測定する方法を説明するための略図的斜視図。 縁部幅を測定する方法を説明するための模式図。 本発明に係る金型を備えており、フィルムの製造に用いられる製造装置の概略構成図。
符号の説明
1…金型
1a…ランド面
1b…天面
1c…リップエッジ
2…流路
2a…排出口
4,5…縁部
6…マイクロスコープ
11…押出機
12…金型
13…冷却ロール
14…タッチロール
15…フィルム
16,17…ロール
A…輝線幅
B…縁部幅
X…長さ方向
Y…幅方向

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂の押出成形に用いられ、面取りにより形成された平面部からなるリップエッジが設けられた金型であって、
    前記リップエッジは長さ方向と幅方向とを有し、前記金型は、前記リップエッジの両側縁に前記リップエッジの長さ方向に延びる丸められた縁部を有し、
    前記リップエッジに対して略直交する方向から観測したときに、前記リップエッジの幅方向寸法である輝線幅の前記リップエッジの長さ方向における平均値が5〜50μmであり、輝線幅差の最大値が2μm/5mm以下であり、かつ前記リップエッジの幅方向に沿う前記縁部の寸法である縁部幅の前記リップエッジの長さ方向における平均値が2μm以下であることを特徴とする、金型。
  2. 請求項1に記載の金型を用いて熱可塑性樹脂を押出成形することを特徴とする、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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